特許第6563680号(P6563680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社GSユアサの特許一覧 ▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6563680-蓄電装置 図000002
  • 特許6563680-蓄電装置 図000003
  • 特許6563680-蓄電装置 図000004
  • 特許6563680-蓄電装置 図000005
  • 特許6563680-蓄電装置 図000006
  • 特許6563680-蓄電装置 図000007
  • 特許6563680-蓄電装置 図000008
  • 特許6563680-蓄電装置 図000009
  • 特許6563680-蓄電装置 図000010
  • 特許6563680-蓄電装置 図000011
  • 特許6563680-蓄電装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563680
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20190808BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20190808BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20190808BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20190808BHJP
   H01M 2/30 20060101ALI20190808BHJP
   H01M 2/04 20060101ALI20190808BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20190808BHJP
   H01M 10/6555 20140101ALI20190808BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20190808BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20190808BHJP
   H01G 11/18 20130101ALI20190808BHJP
   H01G 11/10 20130101ALI20190808BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20190808BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
   H01M10/613
   H01M10/615
   H01M2/02 A
   H01M2/30 D
   H01M2/04 A
   H01M10/647
   H01M10/6555
   H01M10/6557
   H01M10/6563
   H01G11/18
   H01G11/10
   H01G11/78
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-95960(P2015-95960)
(22)【出願日】2015年5月8日
(65)【公開番号】特開2016-213063(P2016-213063A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(72)【発明者】
【氏名】西村 洋介
(72)【発明者】
【氏名】▲堤▼ 雅和
(72)【発明者】
【氏名】歳岡 芳昌
【審査官】 太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−277471(JP,A)
【文献】 特開2013−237102(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/093965(WO,A1)
【文献】 特開2010−040345(JP,A)
【文献】 特開2009−146645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/00 − 2/08
H01M 2/10
H01G 11/10
H01G 11/18
H01G 11/78
H01M 2/30
H01M 10/613
H01M 10/615
H01M 10/647
H01M 10/6555
H01M 10/6557
H01M 10/6563
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電素子と、
該蓄電素子と隣り合う隣接部材とを備え、
前記蓄電素子は、電極体を収容するケース本体であって、第一方向における少なくとも一方の端部において開口する胴部を有するケース本体と、前記開口を塞ぐ蓋体と、前記ケース本体に収容される電極体と、を備え、
前記胴部は、
前記第一方向における前記胴部の前記一方の端部及び他方の端部のうちの少なくとも何れか一つの端部に形成される厚肉部と、
少なくとも該胴部における前記第一方向の各端部の間の部分によって構成され且つ前記厚肉部よりも薄い薄肉部と、を有し、
前記隣接部材は、
前記第一方向に間隔をあけて並ぶと共に、それぞれが前記胴部に沿い且つ前記第一方向と直交する方向に沿って延びる一対のシール部と、
少なくとも前記第一方向における前記一対のシール部間において隣り合う前記蓄電素子に沿って広がるベースと、を有し、
前記一対のシール部のうちの一方のシール部が前記第一方向における前記薄肉部の一方の端部に密接すると共に、該一対のシール部のうちの他方のシール部が前記第一方向における前記薄肉部の他方の端部に密接することによって、前記ベースと前記一対のシール部と該一対のシール部が密接する前記薄肉部とによって流体が流通可能な通風領域が画定されている、
蓄電装置。
【請求項2】
前記一対のシール部のそれぞれは、該ベースから前記蓄電素子に向けて突出し、
前記厚肉部の外面は、前記薄肉部の外面よりも前記ベースに向かって突出している
請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記蓄電素子は、
前記蓋体の外面上に配置される外部端子を備え、
前記厚肉部は、前記第一方向における前記胴部の一方の端部に形成される第一の厚肉部を有する
請求項1又は請求項に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記胴部は、前記第一の厚肉部に形成される溶接部を介して前記蓋体と接合される
請求項に記載の蓄電装置。
【請求項5】
蓄電素子と、
該蓄電素子と隣り合うスペーサと、を備え、
前記蓄電素子は、電極体を収容するケース本体であって、第一方向における一方の端部において開口するケース本体と、前記開口を塞ぐ蓋体と、前記ケース本体に収容される電極体と、を備え、
前記ケース本体は、前記第一方向における前記ケース本体の前記一方の端部に形成される厚肉部と、前記第一方向における前記ケース本体の他方の端部及び各端部の間の部分によって構成され且つ該厚肉部よりも薄い薄肉部とを有するとともに、前記厚肉部に形成される溶接部を介して前記蓋体と接合され、
前記スペーサは、隣り合う前記蓄電素子に沿って広がるベースと、前記第一方向に間隔をあけて並ぶと共に、それぞれが前記薄肉部に沿い且つ前記第一方向と直交する方向に沿って延びる一対のシール部を有するとともに、該一対のシール部のそれぞれが前記ベースから突出し、且つ前記薄肉部の前記第一方向における各端部に密接することによって該スペーサと前記蓄電素子との間に流体を流通させる通風領域を画定し、
前記厚肉部の外面は、前記薄肉部よりも前記ベースに向かって突出する
蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電素子を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、積層配置される複数の単電池と、隣接する単電池に挟持されるスペーサ部材とを備える組電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。そして、かかる組電池では、各単電池を冷却するために、電池間の隙間に冷却風を送る冷却風通路が形成される。
【0003】
より具体的に説明する。前記組電池において、スペーサ部材は、電池が積層される方向に延在する仕切り部と、単電池表面と平行に延在する連結部とを有する。そのため、隣接する単電池の間には、スペーサ部材の仕切り部と連結部、及び単電池表面によって、冷却風通路が形成される。
【0004】
従って、前記組電池では、冷却風通路に送られる冷却風によって各単電池が冷却される。
【0005】
ところで、前記単電池には、発電要素を収容する外装缶であって、開口端部と、該開口端部よりも薄い胴体部とを有する外装缶を備えるものがある(例えば、特許文献2参照)。この単電池では、開口端部が胴体部よりも肉厚であるため、開口端部と胴体部とが冷却風に曝されたときに、開口端部の内部の温度が胴体部の内部の温度よりも下がり難く、このため、該単電池の冷却効率が下がることがある。このような事象は、単電池を冷却する場合に限らず、単電池を加熱する場合にも生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−206666号公報
【特許文献2】再表99/025036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、蓄電素子の冷却又は加熱の効率の高い蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る蓄電装置は、
蓄電素子と、
該蓄電素子と隣り合う隣接部材とを備え、
前記蓄電素子は、電極体を収容するケース本体であって、第一方向における少なくとも一方の端部において開口する胴部を有するケース本体と、前記開口を塞ぐ蓋体と、を備え、
前記胴部は、
前記第一方向における前記胴部の前記一方の端部及び他方の端部のうちの少なくとも何れか一方の端部に形成される厚肉部と、
該厚肉部よりも薄い薄肉部とを有し、
前記隣接部材は、前記第一方向に間隔をあけて並ぶ一対のシール部を有し、
該一対のシール部のそれぞれは、前記薄肉部に密接する。
【0009】
かかる構成によれば、蓄電素子と隣り合う隣接部材が第一方向に間隔をあけて並ぶ一対のシール部を有するため、該一対のシール部の間に蓄電素子を冷却又は加熱するための流体を流通させることができる。さらに、一対のシール部のそれぞれが薄肉部に密接するため、該一対のシール部によって、薄肉部の近傍を流れる前記流体が厚肉部の近傍に向かって流れることを抑制できる。
【0010】
従って、前記蓄電装置では、前記流体を胴部のうちの薄肉部に対応する領域に集中させることによって、厚肉部よりも厚みの薄い薄肉部を積極的に冷却又は加熱できるため、蓄電素子の冷却又は加熱の効率を高めることができる。
【0011】
前記蓄電装置において、
前記隣接部材は、隣り合う前記蓄電素子に沿って広がるベースを有し、
前記一対のシール部のそれぞれは、該ベースから前記蓄電素子に向けて突出し、
前記厚肉部の外面は、前記薄肉部の外面よりも前記ベースに向かって突出していてもよい。
【0012】
シール部と薄肉部との間に隙間が生じると、前記流体が薄肉部の近傍から厚肉部の近傍に向かって流れるが、かかる構成によれば、厚肉部の外面は、薄肉部の外面よりもベースに向かって突出しているため、薄肉部の近傍から厚肉部の近傍に向かって流れる前記流体には圧力損失が生じる。
【0013】
従って、シール部と薄肉部との間に隙間が生じたとしても、前記流体が薄肉部の近傍から厚肉部の近傍に向かって流れることが抑えられるため、前記流体が薄肉部の近傍に集中し易く、これにより、蓄電素子の冷却又は加熱の効率が高まり易い。この場合、前記厚肉部の外面は、前記第一方向において、前記薄肉部から離れた位置であるほど前記ベースに近くてもよい。かかる構成によれば、厚肉部の外面と隣接部材のベースとの間隔は、第一方向において薄肉部から離れた位置であるほど狭いため、薄肉部の近傍から厚肉部の近傍に向かって流れる前記流体に生じる圧力損失がより大きくなる。
【0014】
前記蓄電装置において、
前記一方のシール部のうちの少なくとも一方のシール部は、前記薄肉部と、前記厚肉部とに密接してもよい。
【0015】
かかる構成によれば、前記一方のシール部は、薄肉部と、厚肉部とに密接するため、前記流体が薄肉部の近傍から厚肉部の近傍に流れることがより確実に抑えられる。従って、前記流体が薄肉部の近傍に集中し易いため、蓄電素子の冷却又は加熱の効率が高まり易い。
【0016】
前記蓄電装置において、
前記蓄電素子は、
前記蓋体の外面上に配置される外部端子を備え、
前記厚肉部は、前記第一方向における前記胴部の一方の端部に形成される第一の厚肉部を有していてもよい。
【0017】
前記第一方向における前記胴部の他方の端部に形成される第一の厚肉部には、充放電時に生じる外部端子の熱が伝わり易いため、該第一の厚肉部の温度が上がり易いが、かかる構成によれば、薄肉部を積極的に冷却できるため、第一の厚肉部の熱が薄肉部に伝わり易い状態が維持される結果、第一の厚肉部の温度が下がり易くなる。従って、第一の厚肉部と薄肉部とが効率良く冷却されるため、蓄電素子の冷却効率がさらに高まる。
【0018】
前記胴部は、前記第一の厚肉部に形成される溶接部を介して前記蓋体と接合されていてもよい。
【0019】
かかる構成によれば、薄肉部よりも厚い第一の厚肉部に溶接部が形成されるため、該溶接部の溶接深さや、溶接面積を大きくし易い。従って、胴部と蓋体とにおける接合強度の向上や、溶接の品質の安定化を図ることができる。
【0020】
前記隣接部材は、一対のシール部のそれぞれが前記薄肉部に密接することによって、該隣接部材と前記蓄電素子との間に流体を流通させる通風領域を画定してもよい。
【0021】
かかる構成によれば、一対のシール部のそれぞれが薄肉部に密接することで隣接部材と蓄電素子との間に流体を流通させる通風領域を画定するため、該一対のシール部のそれぞれによって、該通風領域内を流通する前記流体が該通風領域外に流れることを抑制できる。すなわち、前記蓄電装置では、一対のシール部によって、薄肉部の近傍を流れる前記流体が厚肉部の近傍に向かって流れることを抑制できる。
【0022】
従って、前記蓄電装置では、前記流体を胴部のうちの薄肉部に対応する通風領域に集中させることによって、厚肉部よりも厚みの薄い薄肉部を積極的に冷却又は加熱できるため、蓄電素子の冷却又は加熱の効率を高めることができる。
【0023】
本発明に係る別の蓄電装置は、
蓄電素子と、
該蓄電素子と隣り合うスペーサと、を備え、
前記蓄電素子は、電極体を収容するケース本体であって、第一方向における一方の端部において開口するケース本体と、前記開口を塞ぐ蓋体と、を備え、
前記ケース本体は、前記第一方向における前記ケース本体の前記一方の端部に形成される厚肉部と、該厚肉部よりも薄い薄肉部とを有するとともに、前記厚肉部に形成される溶接部を介して前記蓋体と接合され、
前記スペーサは、隣り合う前記蓄電素子に沿って広がるベースと、前記第一方向に間隔をあけて並ぶ一対のシール部を有するとともに、該一対のシール部のそれぞれは、前記ベースから突出し、且つ前記薄肉部に密接することによって該スペーサと前記蓄電素子との間に流体を流通させる通風領域を画定し、
前記厚肉部の外面は、前記薄肉部よりも前記ベースに向かって突出している。
【0024】
かかる構成によれば、一対のシール部のそれぞれが薄肉部に密接するため、該一対のシール部によって、前記流体が薄肉部近傍から厚肉部の近傍に向かって流れることを抑制できる。
【0025】
従って、前記蓄電装置では、前記流体を胴部のうちの薄肉部に対応する領域に集中させることによって、厚肉部よりも厚みの薄い薄肉部を積極的に冷却又は加熱できるため、蓄電素子の冷却又は加熱の効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、蓄電素子の冷却又は加熱の効率が高い蓄電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る蓄電装置の斜視図である。
図2図2は、同実施形態に係る蓄電装置の分解斜視図である。
図3図3は、同実施形態に係る蓄電装置の蓄電素子の斜視図である。
図4図4は、同実施形態に係る蓄電装置の蓄電素子と内部スペーサとの縦断面図である。
図5図5は、同実施形態に係る蓄電装置の蓄電素子と外部スペーサとの縦断面図である。
図6図6は、同実施形態に係る蓄電装置における内部スペーサのシール部を説明するための図である。
図7図7は、同実施形態に係る蓄電装置における外部スペーサのシール部を説明するための図である。
図8図8は、本発明の他の実施形態に係る蓄電装置における蓄電素子の形状を示す図である。
図9図9は、本発明の別の実施形態に係る蓄電装置における蓄電素子の形状を示す図である。
図10図10は、本発明のさらに別の実施形態に係る蓄電装置における内部スペーサの形状を示す図である。
図11図11は、本発明のさらに別の実施形態に係る蓄電装置における内部スペーサの形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の蓄電装置の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。尚、本実施形態の各構成部材の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材の名称と異なる場合がある。
【0029】
蓄電装置は、図1、及び図2に示すように、蓄電素子1と、該蓄電素子1に隣り合うスペーサ(隣接部材)2とを備える。また、蓄電装置は、蓄電素子1及びスペーサ2をひとまとめに保持する保持部材3を備える。保持部材3は、導電材料により成形される。これに伴い、蓄電装置は、蓄電素子1と保持部材3との間に配置されるインシュレータ4を備える。
【0030】
蓄電素子1は、図3に示すように、正極及び負極を含む電極体を収容し且つ開口を有するケース本体100を備える。また、蓄電素子1は、ケース本体100の開口を塞ぐ蓋体101を備える。さらに、蓄電素子1は、ケース本体100の外面上又は蓋体101の外面上に配置された一対の外部端子11を備える。なお、本実施形態では、ケース本体100及び蓋体101をケース10と称して以下の説明を行う。
【0031】
すなわち、ケース10は、開口を有するケース本体100を備える。また、ケース10は、ケース本体100の開口を閉じる蓋体101を有する。
【0032】
図3、及び図4に示すように、ケース本体100は、有底筒状である。より具体的に説明する。ケース本体100は、板状の閉塞部100aであってケース3の内側を向く内面とケース3の外側を向く外面とを有する閉塞部100aと、閉塞部100aの周縁に接続される胴部100bであって、閉塞部100aの内面側に延び且つ該内面を包囲する筒状の胴部100bとを備える。
【0033】
胴部100bは、第一方向における一方の端部において開口する。そして、胴部100bの第一方向における他方の端部は、閉塞部100aによって閉塞される。より具体的に説明する。本実施形態に係る胴部100bは、間隔をあけて互いに対向する一対の第一壁100cと、一対の第一壁100cを挟んで互いに対向する一対の第二壁100dとを備える。第一壁100cの表面積は、第二壁100dの表面積よりも広い。そのため、胴部100bは、扁平角筒状である。
【0034】
さらに、胴部100bは、図4に示すように、第一方向における各端部のうちの少なくとも何れか一方の端部に形成される厚肉部100eと、該厚肉部100eよりも薄い薄肉部100fとを有する。本実施形態における胴部100bは、他方の端部に形成される厚肉部100eと、該厚肉部100eよりも薄い薄肉部100fとを有する。すなわち、胴部100bにおける他方の端部によって厚肉部100eが構成され、胴部100bにおける一方の端部、及び各端部の間の部分によって薄肉部100fが構成される。
【0035】
厚肉部100eは、薄肉部100fよりも外向きに張り出すように形成される。そのため、厚肉部100eの外面は、薄肉部100fの外面よりもスペーサ2に近い。また、厚肉部100eの外面と、スペーサ2との間には、隙間が形成される。そのため、厚肉部100eの外面とスペーサ2との間隔は、薄肉部100fの外面とスペーサ2との間隔よりも狭い。
【0036】
本実施形態において、厚肉部100eの外面は、第一方向において薄肉部100fから離れた位置であるほどスペーサ2に近い。すなわち、厚肉部100eの外面は、第一方向において、薄肉部100fの外面からスペーサ2に接近するように傾斜する。
【0037】
本実施形態において、厚肉部100eは、胴部100bの各第一壁100cと各第二壁100dとに亘って形成される。より具体的に説明する。厚肉部100eは、第一方向における各第一壁100cの一方の端部と、第一方向における各第二壁100dの一方の端部とに亘って形成される。さらに、厚肉部100eは、胴部100bの第一方向における一方の端部(胴部100bの開口端縁部)の全周に亘って形成される。
【0038】
そのため、各第一壁100cにおいて、第一方向における一方の端部の厚みは、第一方向における他方の端部の厚みよりも厚い。また、各第二壁100dにおいて、第一方向における一方の端部の厚みは、第一方向における他方の端部の厚みよりも厚い。
【0039】
ケース本体100は、各種加工方法により作製し得る。本実施形態では、ケース本体100は、深絞り加工により形成される。
【0040】
蓋体101のサイズ及び形態は、ケース本体100の開口に対応する。本実施形態に係る蓄電素子1は、閉塞部100aが略長方形に形成されるに伴い、開口も略長方形に形成される。従って、本実施形態に係る蓋体101は、ケース本体100の開口に対応して長方形状に形成される。
【0041】
これに伴い、蓋体101は、長手方向の両端に短手方向に延びる一対の第一端縁を有する。また、蓋体101は、短手方向の両端に長手方向に延びる一対の第二端縁を有する。
【0042】
蓋体101には、一対の外部端子11が配置される。本実施形態において、蓋体101が長方形状に形成されるに伴い、一対の外部端子11のそれぞれは、蓋体101における長手方向の両側の二箇所に配置される。通常、蓋体101における一対の端子位置には、ケース10を内外に貫通した孔が設けられ、該孔に外部端子11と電極体Dとを電気的に接続するための導電部材が挿通される。
【0043】
蓋体101と、胴部100の厚肉部100eとは、溶接されることによって互いに接合される。本実施形態では、蓋体101と、胴部100の厚肉部100eとが溶接されることによって互いに接合される。そのため、本実施形態に係る蓄電素子1は、蓋体101と、胴部100の厚肉部100eとを溶接することによって形成される溶接部102を有する。
【0044】
溶接部102は、蓋体101の外周面と、厚肉部100eの外周面とにレーザ光を照射することによって形成される。
【0045】
本実施形態に係る蓄電装置は、複数の蓄電素子1を備える。複数の蓄電素子1のそれぞれは、一方向に整列する。本実施形態において、複数の蓄電素子1のそれぞれは、ケース10の第一壁100cを一方向に向けて整列する。蓄電装置は、隣り合う二つの蓄電素子1の外部端子11同士を電気的に接続するバスバーを備える。
【0046】
なお、以下の説明において、便宜上、蓄電素子1の整列する方向をX軸方向とする。また、蓄電素子1の整列する方向と直交する二軸方向のうちの一つの方向(第二方向)をY軸方向とし、残りの一つの方向(第一方向)をZ軸方向とする。これに伴い、各図面には、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のそれぞれに対応する直交三軸(座標軸)が補助的に図示される。
【0047】
スペーサ2は、絶縁性を有する。スペーサ2は、蓄電素子1のケース10(胴部100bの第一壁100c)と隣り合うベースと、シール部とを有する。また、スペーサ2は、
ベースに隣り合う蓄電素子1の位置ずれを防止する規制部とを有する。
【0048】
スペーサ2について、より具体的に説明する。蓄電装置は、上述のように、複数の蓄電素子1を備える。これに伴い、蓄電装置は、図2に示すように、2種類のスペーサ2を備える。すなわち、蓄電装置は、スペーサ2として、二つの蓄電素子1間に配置されるスペーサ(以下、内部スペーサという)2Aと、複数の蓄電素子1のうちの最も端にある蓄電素子1に隣り合うスペーサ(以下、外部スペーサという)2Bとを備える。
【0049】
まず、内部スペーサ2Aについて説明する。内部スペーサ2Aは、図4に示すように、蓄電素子1(ケース本体100の第一壁100c)に隣り合うベース20Aと、それぞれがZ軸方向(胴部100bの一対の端部が並ぶ方向)において間隔をあけて並ぶ一対のシール部21Aとを有する。また、内部スペーサ2Aは、該ベース20Aに隣り合う二つの蓄電素子1の位置ずれを防止する規制部22Aを有する(図2参照)。
【0050】
内部スペーサ2Aのベース20Aは、隣り合う蓄電素子1(蓄電素子1の胴部100b)に沿って広がる。内部スペーサ2Aのベース20Aは、二つの蓄電素子1に挟み込まれる。内部スペーサ2Aのベース20Aは、隣り合う二つの蓄電素子1のうちの一方の蓄電素子1と対向する第一面と、該第一面とは反対側の第二面であって、二つの蓄電素子1のうちの他方の蓄電素子1と対向する第二面とを有する。
【0051】
内部スペーサ2Aのベース20Aは、隣り合う蓄電素子1(蓄電素子1の胴部100b)に沿って広がる。内部スペーサ2Aのベース20Aは、隣り合う一対の蓄電素子1のうちの少なくとも何れか一方の蓄電素子1との間において、蓄電素子1を冷却又は加熱するための流体を通過させるための通風路23Aを形成する。本実施形態に係る内部スペーサ2Aのベース20Aは、Z軸方向において連続する矩形波形状に形成される。そのため、内部スペーサ2Aのベース20Aは、X軸方向において隣り合う一対の蓄電素子1のそれぞれとの間に通風路23Aを形成する。
【0052】
より具体的に説明する。蓄電素子1において、内部スペーサ2Aのベース20Aは、隣り合う二つの蓄電素子1のうちの一方の蓄電素子1のみに当接する第一当接部200Aと、隣り合う二つの蓄電素子1のうちの他方の蓄電素子1のみに当接する第二当接部201Aとを有する。これに伴い、内部スペーサ2Aのベース20Aは、第一当接部200Aと第二当接部201Aとに繋がる連接部202Aを有する。
【0053】
第一当接部200Aは、Y軸方向に延びる。また、第一当接部200Aは、Y軸方向における全長に亘って蓄電素子1の胴部100b(第一壁100c)に当接する。そして、第二当接部201Aは、Y軸方向に延びる。また、第二当接部201Aは、Y軸方向における全長に亘って蓄電素子1の胴部100b(第一壁100c)に当接する。
【0054】
内部スペーサ2Aのベース20Aは、複数の第一当接部200Aと、複数の第二当接部201Aとを有する。そして、各第一当接部200Aと各第二当接部201Aとは、Z軸方向において交互に配置される。
【0055】
これにより、蓄電装置では、第一当接部200Aにおける蓄電素子1と当接する面とは反対側の面と、第一当接部200Aに繋がる一対の連接部202Aとによって、Y軸方向において前記流体を流通させる複数の通風路23Aが形成される。また、蓄電装置では、第二当接部201Aにおける蓄電素子1と当接する面とは反対側の面と、第二当接部201Aに繋がる一対の連接部202Aとによって、Y軸方向において前記流体を流通させる複数の通風路23Aが形成される。このようにして、蓄電装置では、内部スペーサ2Aのベース20Aの第一面と蓄電素子1との間、及び内部スペーサ2Aのベース20Aの第二面と蓄電素子1との間のそれぞれに複数の通風路23Aが形成される。
【0056】
なお、内部スペーサ2Aのベース20Aと厚肉部100eの外面との間には、隙間が形成されることが好ましい。このようにすれば、厚肉部100eの外面が内部スペーサ2Aのベース20Aに接触することによって、シール部21Aと薄肉部100fとの密着性が低下することが抑制される。
【0057】
一対のシール部21Aのそれぞれは、薄肉部100fに密接することによって、互いの間に前記流体を流通させる通風領域を画定する。また、内部スペーサ2Aでは、各第一当接部200Aと、各第二当接部201Aと、各連接部202Aとが一対のシール部21Aの間に配置される。従って、内部スペーサ2Aでは、通風路23Aが一対のシール部21Aの間に形成される。
【0058】
一対のシール部21Aのそれぞれは、Y軸方向に延びる。より具体的に説明する。Y軸方向における一対のシール部21Aの長さは、Y軸方向における胴部100の第一壁100cの長さと略同一である。これにより、本実施形態に係る蓄電素子1では、Y軸方向における胴部100の第一壁100cの略全長に亘って、一対のシール部21Aのそれぞれが密接するため、通風領域からの前記流体の流出が抑制される。
【0059】
一対のシール部21Aのうちの一方のシール部21Aは、Z軸方向における薄肉部100fの一方の端部に密接し、一対のシール部21Aのうちの他方のシール部21Aは、Z軸方向における薄肉部100fの他方の端部に密接する。
【0060】
各シール部21Aは、隣り合う蓄電素子1のそれぞれに密接する一対の封止部210Aを有する。一対の封止部210Aのそれぞれは、X軸方向においてベース20Aから互いに相反する方向に延出する。本実施形態において、一対の封止部210Aのそれぞれは、X軸方向において互いに相反する方向に膨らむ円弧状である。これに伴い、一方のシール部21A(各封止部210A)の一部と、厚肉部100eの一部とは、Z軸方向において互いに並ぶ。
【0061】
なお、各蓄電素子1の電極体Dは、各シール部21Aのそれぞれの間に対応する位置に配置されることが好ましい。すなわち、各蓄電素子1の電極体Dは、Z軸方向における一端からZ軸方向における他端に亘って、一対のシール部21Aによって画定される通風領域と対応する領域内に配置されることが好ましい。このようにすれば、前記流体を通過させる通風領域と対応する領域内に電極体Dが配置されるため、電極体Dの冷却又は加熱の効率が高まる。
【0062】
上述のように、内部スペーサ2Aは、隣り合う二つの蓄電素子1の間に配置される。そのため、規制部22Aは、内部スペーサ2Aに隣り合う二つの蓄電素子1の相対移動を規制すべく、内部スペーサ2Aのベース20Aの第一面に隣り合う蓄電素子1と、内部スペーサ2Aのベース20Aの第二面に隣り合う蓄電素子1とに向かって延びる。
【0063】
本実施形態に係る蓄電装置は、上述のように、複数の蓄電素子1を備えるため、内部スペーサ2Aは、隣り合う蓄電素子1の間のそれぞれに配置されている。すなわち、蓄電装置は、複数の内部スペーサ2Aを備える。
【0064】
次に、外部スペーサ2Bについて説明する。図5に示すように、外部スペーサ2Bは、蓄電素子1のケース本体100(胴部100bの第一壁100c)に対向する第一面及び該第一面とは反対側の第二面を有するベース20Bと、シール部21Bとを有する。該ベース20Bに隣り合う蓄電素子1の位置を決定する規制部22Bとを有する(図2参照)。
【0065】
また、本実施形態に係る外部スペーサ2Bは、ベース20Bと保持部材3(保持部材3の後述する終端部材30)とが対向する。すなわち、外部スペーサ2Bは、蓄電素子1と終端部材30との間に配置される。
【0066】
外部スペーサ2Bは、ベース20Bの第一面から蓄電素子1に向けて突出する突出部200Bであって、該蓄電素子1に当接する突出部200Bを有する。
【0067】
上述のように、外部スペーサ2Bのベース20Bは、隣り合う蓄電素子1に沿って広がる。すなわち、ベース20Bは、プレート状に形成される。
【0068】
外部スペーサ2Bのベース20Bは、隣り合う蓄電素子1との間において、蓄電素子1を冷却又は加熱するための流体を通過させるための通風路23Bを形成する。本実施形態における外部スペーサ2Bでは、ベース20Bに隣り合う蓄電素子1に突出部200Bが当接することによって、ベース20Bと、該ベース20Bに隣り合う蓄電素子1との間に通風路23Bが形成される。
【0069】
より具体的に説明する。突出部200Bは、Y軸方向に延びる。また、第一当接部200Aは、Y軸方向における全長に亘って蓄電素子1の胴部100b(第一壁100c)に当接する。本実施形態に係る外部スペーサ2Bのベース20Bは、複数の突出部200Bを有する。そして、複数の突出部200Bのそれぞれは、Z軸方向において互いに間隔をあけて配置される。これにより、外部スペーサ2Bのベース20Bと蓄電素子1との間には、Y軸方向において前記流体を流通させる複数の通風路23Bが形成される。
【0070】
なお、厚肉部100eの外面と外部スペーサ2Bのベース20Bとの間にも、隙間が形成されることが好ましい。このようにすれば、厚肉部100eの外面が外部スペーサ2Bのベース20Bに接触することによって、シール部21Bと薄肉部100fとの密着性が低下することが抑制される。
【0071】
一対のシール部21Bのそれぞれは、薄肉部100fに密接することによって、互いの間に前記流体を流通させる通風領域を画定する。また、外部スペーサ2Bでは、各突出部200Bが一対のシール部21Bの間に配置される。従って、外部スペーサ2Bでは、通風路23Bが一対のシール部21Bの間に形成される。
【0072】
一対のシール部21Bのそれぞれは、Y軸方向に延びる。より具体的に説明する。Y軸方向における一対のシール部21Bの長さは、Y軸方向における胴部100の第一壁100cの長さと略同一である。これにより、本実施形態に係る蓄電素子1では、Y軸方向における胴部100の第一壁100cの略全長に亘って、一対のシール部21Bのそれぞれが密接するため、通風領域からの前記流体の流出が抑制される。
【0073】
一対のシール部21Bのうちの一方のシール部21Bは、Z軸方向における薄肉部100fの一方の端部に密接し、一対のシール部21Aのうちの他方のシール部21Bは、Z軸方向における薄肉部100fの他方の端部に密接する。
【0074】
各シール部21Bは、隣り合う蓄電素子1のそれぞれに密接する封止部210Bを有する。封止部210Bは、X軸方向においてベース20Bから隣り合う蓄電素子1に向けて延出する。本実施形態において、封止部210Bは、X軸方向においてベース20Bから隣り合う蓄電素子1に向けて膨らむ円弧状である。これに伴い、一方のシール部21B(封止部210B)の一部と、厚肉部100eの一部とは、Z軸方向において互いに並ぶ。
【0075】
なお、各蓄電素子1の電極体Dは、各シール部21Bのそれぞれの間に対応する位置に配置されることが好ましい。すなわち、各蓄電素子1の電極体Dは、Z軸方向における一端からZ軸方向における他端に亘って、一対のシール部21Bによって画定される通風領域と対応する領域内に配置されることが好ましい。このようにすれば、前記流体を通過させる通風領域と対応する領域内に電極体Dが配置されるため、電極体Dの冷却又は加熱の効率が高まる。
【0076】
上述のように、外部スペーサ2Bの第一面は、蓄電素子1と隣り合う。規制部22Bは、外部スペーサ2Bの第一面に隣り合う蓄電素子1の相対移動を規制すべく、外部スペーサ2Bのベース20Bの第一面と隣り合う蓄電素子1に向かって延びる。
【0077】
本実施形態に係る外部スペーサ2Bは、上述のように、蓄電素子1を介して該内部スペーサ2Aと隣り合うように配置される。すなわち、蓄電装置は、一対の外部スペーサ2Bを備える。外部スペーサ2Bは、複数の蓄電素子1のうちの最も端にある蓄電素子1に隣り合う。すなわち、外部スペーサ2Bは、整列する複数の蓄電素子1を挟み込むように一対設けられる。
【0078】
また、一対の外部スペーサ2Bのそれぞれは、上述のように、第一面が蓄電素子1のケース本体100と対向する。そのため、一対の外部スペーサ2Bのそれぞれは、互いの外部スペーサ2Bのベース20Bの第一面同士が向かい合うようにして配置される。従って、蓄電装置において、一対の外部スペーサ2Bのそれぞれは、X軸方向において互いに対称となるように配置される。
【0079】
本実施形態において、保持部材3は、金属製である。保持部材3は、図2に示すように、各外部スペーサ2Bと隣り合う位置のそれぞれに配置される一対の終端部材30と、該一対の終端部材30のそれぞれを接続する一対のフレーム31とを備える。
【0080】
一対の終端部材30のそれぞれは、外部スペーサ2Bと対向する第一面と、該第一面とは反対側の第二面とを有する。一対の終端部材30のそれぞれは、外部スペーサ2Bのベース20Bに当接する圧接部300を有する。
【0081】
インシュレータ4は、絶縁性を有する材料で構成される。インシュレータ4は、各蓄電素子1に対して一対のフレーム31のそれぞれを絶縁する一対の絶縁部40を有する。
【0082】
一対の絶縁部40のうちの一方の絶縁部40は、一対のフレーム31のうちの一方のフレーム31と蓄電素子1との間、及び該一方のフレーム31とスペーサ2(内部スペーサ2A及び外部スペーサ2B)との間に跨って配置される。
【0083】
一対の絶縁部40のうちの他方の絶縁部40は、一対のフレーム31のうちの他方のフレーム31と蓄電素子1との間、及び該他方のフレーム31とスペーサ2(内部スペーサ2A及び外部スペーサ2B)との間に跨って配置される。
【0084】
以上の蓄電装置によれば、各内部スペーサ2Aは、図6に示すように、一対のシール部21Aのそれぞれが蓄電素子1の薄肉部100fに密接するため、薄肉部100の近傍を流通する前記流体が厚肉部100eの近傍に流れることを抑制できる。すなわち、薄肉部100aと対応する領域を流れる前記流体が厚肉部100eと対応する領域に逃げることが抑制される。
【0085】
また、各外部スペーサ2Bも、図7に示すように、一対のシール部21Bのそれぞれが蓄電素子1の薄肉部100fに密接するため、薄肉部100の近傍を流通する前記流体が厚肉部100eの近傍に流れることが抑制される。
【0086】
従って、蓄電装置では、前記流体を胴部100bのうちの薄肉部100fに対応する領域に集中させることによって、厚肉部100eよりも厚みの薄い薄肉部100fを積極的に冷却又は加熱できるため、蓄電素子1の冷却又は加熱の効率を高めることができる。
【0087】
また、蓄電装置では、厚肉部100eの外面とスペーサ2のベースとの間隔が薄肉部100fの外面とスペーサ2との間隔よりも狭いため、シール部21Aと薄肉部100fとの間に隙間が生じたとしても、薄肉部100の近傍を流通する前記流体が厚肉部100の近傍に向かって流れることが抑えられる。
【0088】
より具体的に説明する。厚肉部100eの外面と内部スペーサ2Aのベース20Aとの間隔は、Z軸方向において薄肉部100fから離れた位置であるほど狭い。そのため、薄肉部100とシール部21Aとの間に生じた隙間を通じて薄肉部100の近傍から厚肉部100の近傍に向かって流れる流体には圧力損失が生じる。従って、内部スペーサ2Aの一方のシール部21Aと薄肉部100fとの間に隙間が生じたとしても、前記流体が薄肉部100の近傍から厚肉部100の近傍に向かって流れることが抑えられる。
【0089】
また、厚肉部100eの外面と外部スペーサ2Bのベース20Bとの間隔は、Z軸方向において薄肉部100fから離れた位置であるほど狭い。薄肉部100とシール部21Bとの間に生じた隙間を通じて薄肉部100の近傍から厚肉部100の近傍に向かって流れる前記流体には圧力損失が生じる。従って、外部スペーサ2Bの一方のシール部21Bと薄肉部100fとの間に隙間が生じたとしても、前記流体が薄肉部100の近傍から厚肉部100の近傍に向かって流れることが抑えられる。
【0090】
このように、蓄電装置では、前記流体が薄肉部100の近傍から厚肉部100の近傍に向かって流れることが抑えられるため、蓄電素子1の冷却又は加熱の効率が低下し難い。
【0091】
本実施形態に係る蓄電装置において、蓄電素子1は、充放電時に生じる外部端子11の熱が胴部100bの他方の端部に形成される厚肉部100eに伝わり易いため、該厚肉部100eの温度が上がり易いが、内部スペーサ2Aの一対のシール部21Aの間(本実施形態では、通風路23A)、及び外部スペーサ2Bの一対のシール部21Bの間(本実施形態では、通風路23B)に蓄電素子1を冷却するための流体(冷却流体)を通過させる場合、薄肉部100fが積極的に冷却されるため、厚肉部100eの熱が薄肉部100fに伝わり易い状態が維持される結果、厚肉部100eの温度が下がり易くなる。従って、厚肉部100eと薄肉部100fとが効率良く冷却されるため、蓄電素子1の冷却効率がさらに高まる。
【0092】
本実施形態に係る蓄電装置において、蓄電素子1は、薄肉部100よりも厚い第一の厚肉部100に対して溶接部102が形成されるため、溶接部102の溶接深さや、溶接面積を大きくし易い。従って、胴部100bと蓋体101との接合強度を向上させたり、溶接の品質を安定化したりすることができる。
【0093】
さらに、蓄電装置では、内部スペーサ2A、及び外部スペーサ2Bのそれぞれによって、隣り合う蓄電素子1の薄肉部100fの略全域に対応する領域に通風領域が画定されるため、蓄電素子1の薄肉部100fの略全域を前記流体によって冷却又は加熱することによって、蓄電素子1の冷却又は加熱の効率をさらに高めることができる。
【0094】
より具体的に説明する。内部スペーサ2Aでは、一方のシール部21AがZ軸方向における薄肉部100fの一方の端部に密接し、他方のシール部21AがZ軸方向における薄肉部100fの他方の端部に密接するため、内部スペーサ2Aの各シール部21Aによって、薄肉部100fの略全域に対応する領域に通風領域が画定される。
【0095】
そして、外部スペーサ2Bでは、一方のシール部21BがZ軸方向における薄肉部100fの一方の端部に密接し、他方のシール部21BがZ軸方向における薄肉部100fの他方の端部に密接するため、外部スペーサ2Bの各シール部21Bによって、薄肉部100fの略全域に対応する領域に通風領域が画定される。
【0096】
従って、内部スペーサ2Aが画定する通風領域や、外部スペーサ2Bが画定する通風領域を通過する前記流体によって、各蓄電素子1の薄肉部100fの略全体が冷却又は加熱されるため、蓄電素子1の冷却又は加熱の効率がさらに高まる。
【0097】
なお、本発明に係る蓄電装置は、上記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことは勿論である。
【0098】
上記実施形態において、胴部100bは、板状の閉塞部100aの周縁から内面側に延びていたが、この構成に限定されない。例えば、胴部100bは、Z軸方向における両端において開口していてもよい。この場合、胴部100bの各開口は、別々の蓋体101によって塞がれていればよい。また、胴部100bと各蓋体101とは、溶接によって互いに接合されていればよい。
【0099】
上記実施形態において、胴部100bは、他方の端部に形成される厚肉部100eを有するが、この構成に限定されない、例えば、図8に示すように、胴部100bは、他方の端部に形成される第一の厚肉部100eと、一方の端部に形成される第二の厚肉部100eとを有していてもよい。
【0100】
かかる構成の蓄電装置においても、内部スペーサ2Aの各シール部21Aと、外部スペーサ2Bの各シール部21Bとが薄肉部100fに密接するため、厚肉部100eと薄肉部100fとが効率良く冷却され、蓄電素子1の冷却効率が高まる。なお、胴部100bは、例えば、一方の端部に形成される第二の厚肉部100eのみを有していてもよい。
【0101】
上記実施形態において、厚肉部100eの外面は、薄肉部100fから離れた位置であるほどスペーサ2に近付くように形成されるが、この構成に限定されない。例えば、図9に示すように、厚肉部100eの外面と、薄肉部100fの外面とは、互いの間に段差が生じるように形成されていてもよい。
【0102】
上記実施形態において、厚肉部100eは、胴部100bの他方の端部の全周に亘って形成されていたが、この構成に限定されない。例えば、厚肉部100eは、胴部100bの前記他方の端部のうちの各第一壁100cに対応する部分のみに形成されていてもよい。
【0103】
上記実施形態において、内部スペーサ2Aの一方のシール部21Aは、胴部100bの薄肉部100fのみに密接していたが、この構成に限定されない。例えば、図10に示すように、内部スペーサ2Aの一方のシール部21Aは、胴部100bの薄肉部100fに加えて、厚肉部100eに密接していてもよい。
【0104】
このようにすれば、内部スペーサ2Aの一方のシール部21Aは、薄肉部100fの一方の端部と、胴部100bの他方の端部に形成される厚肉部100eとに密接するため、
前記流体が薄肉部100fの近傍から厚肉部100eの近傍に向かって流れることがより確実に抑えられる。すなわち、前記流体がZ軸方向において通風領域から流出することがより確実に抑えられる。従って、前記流体が胴部100bのうちの薄肉部100fに対応する領域に集中し易いため、蓄電素子1の冷却又は加熱の効率が高まり易い。なお、胴部100bの一方の端部に厚肉部100e(第二の厚肉部100e)が形成される場合、内部スペーサ2Aの他方のシール部21Aは、胴部100bの薄肉部100fに加えて、該厚肉部100eに密接していてもよい。
【0105】
また、外部スペーサ2Bの一方のシール部21Bも、胴部100bの薄肉部100fのみに密接していたが、この構成に限定されない。例えば、外部スペーサ2Bの一方のシール部21Bは、胴部100bの薄肉部100fに加えて、厚肉部100eに密接していてもよい。なお、胴部100bの一方の端部に厚肉部100e(第二の厚肉部100e)が形成される場合、外部スペーサ2Bの他方のシール部21Bは、胴部100bの薄肉部100fに加えて、該厚肉部100eに密接していてもよい。
【0106】
この場合、外部スペーサ2Bの一方のシール部21Bは、薄肉部100fの一方の端部と、胴部100bの他方の端部に形成される厚肉部100eとに密接するため、前記流体が薄肉部100fの近傍から厚肉部100eの近傍に向かって流れることがより確実に抑えられる。すなわち、前記流体がZ軸方向において通風領域から流出することがより確実に抑えられる。従って、前記流体が胴部100bのうちの薄肉部100fに対応する領域に集中し易いため、蓄電素子1の冷却又は加熱の効率が高まり易い。
【0107】
上記実施形態において、厚肉部100eは、薄肉部100fよりも外向きに張り出すように形成されるが、この構成に限定されない。例えば、図11に示すように、厚肉部100eは、薄肉部100fよりも内向きに張り出すように形成されてもよい。なお、厚肉部100eでは、Z軸方向において薄肉部100fから離れた部分であるほど厚みが大きくなるように形成されてもよい。また、厚肉部100eの内面と、薄肉部100fの内面とは、互いの間に段差が生じるように形成されてもよい。
【0108】
上記実施形態において、内部スペーサ2Aのベース20Aは、X軸方向において隣り合う一対の蓄電素子1のそれぞれとの間に通風路23Aを形成するが、この構成に限定されない。例えば、内部スペーサ2Aのベース20Aは、X軸方向において隣り合う一方の蓄電素子1との間に通風路23Aを形成してもよい。
【0109】
上記実施形態において、内部スペーサ2Aにおける各シール部21Aの封止部210Aは、X軸方向において隣り合う蓄電素子1に向けて膨らむ円弧状に形成されるが、この構成に限定されない。例えば、内部スペーサ2Aにおいて、各シール部21Aの封止部210Aは、X軸方向において隣り合う蓄電素子1に向けて突出し且つY軸方向に延びる突起によって構成されていてもよい。
【0110】
また、上記実施形態において、外部スペーサ2Bにおける各シール部21Bの封止部210Bは、X軸方向において隣り合う蓄電素子1に向けて膨らむ円弧状に形成されるが、この構成に限定されない。例えば、外部スペーサ2Bにおいて、各シール部21Bの封止部210Bは、X軸方向において隣り合う蓄電素子1に向けて突出するリブ状に形成されていてもよい。
【0111】
上記実施形態において、蓄電装置は、複数の蓄電素子1を備えるが、この構成に限定されない。例えば、蓄電装置は、単一の蓄電素子1を備えていてもよい。この場合、蓄電装置は、X軸方向における蓄電素子1の両側に配置される一対の外部スペーサ2Bを備えていればよい。
【0112】
上記実施形態において、内部スペーサ2Aのベース20Aは、矩形波形状にすることによって、該ベース20Aと蓄電素子1との間に通風路が形成されるが、この構成に限定されない。例えば、内部スペーサ2Aのベース20Aは、第一面と蓄電素子1との間(第二面と蓄電素子1との間)に流体を通過させることができれば、ベース20Aの形状が矩形波形状であるものに限定されない。また、内部スペーサ2Aのベース20Aと蓄電素子1との間に通風路を形成する必要がない場合、内部スペーサ2Aのベース20Aは、平板状に形成されていてもよい。
【0113】
上記実施形態では、電極体Dは、ケース本体100の内面に接触する構成であるが、この構成に限定されない。例えば、電極体Dは、ケース本体100の内面に接触していない構成でもよく、絶縁性のシートを介して間接的にケース本体100の内面に接触する構成でもよい。
【0114】
上記実施形態では、蓄電素子の種類を明記しなかったが、蓄電素子の種類は、限定されない。本実施形態に係る蓄電装置では、蓄電素子として、例えば、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタを採用してもよい。
【符号の説明】
【0115】
1…蓄電素子、2…スペーサ、2A…内部スペーサ、2B…外部スペーサ、3…保持部材、4…インシュレータ、10…ケース、11…外部端子、20A…ベース、20B…ベース、21A…シール部、21B…シール部、22A…規制部、22B…規制部、23A…通風路、23B…通風路、30…終端部材、31…フレーム、40…絶縁部、100…ケース本体、100a…閉塞部、100b…胴部、100c…第一壁、100d…第二壁、100e…厚肉部、100f…薄肉部、101…蓋体、102…溶接部、200A…第一当接部、200B…突出部、201A…第二当接部、202A…連接部、210A…封止部、210B…封止部、300…圧接部、D…電極体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11