(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態における梁1〜4の被覆構造は、
図1〜
図15に示すように、建物の外周部から突出する梁1〜4を被覆してなるものである。
建物の外周部には外壁材5〜9が設けられ、外壁材5〜9のうち梁1〜4が突出する位置には梁1〜4が貫通可能な切欠部5a〜8aが形成され、梁1〜4と切欠部5a〜8aとの間には隙間Sが形成されている。
そして、隙間Sには、梁1〜4のうち少なくとも切欠部5a〜8aの縁部に対向する箇所を被覆する耐火板材10と、この耐火板材10と切欠部5a〜8aの縁部との間に充填されるシーリング材11と、が設けられている。
【0019】
梁1〜4は、建物の躯体を構成する鉄骨梁を延長させたもの、あるいは建物の躯体を構成する鉄骨梁に連結されたものである。
鉄骨梁の種類としては、本実施の形態ではH形鋼が用いられているが、これに限られるものではなく、I型鋼や溝形鋼等の鉄骨梁が用いられてもよい。
梁1〜4は、説明の便宜上、以下において第一梁1、第二梁2、第三梁3、第四梁4と称する。
【0020】
外壁材5〜9としては、PALC(Precastable Autoclaved Lightweight Ceramics)等の気泡コンクリート材料からなるパネル状体が採用されている。また、PALCからなる外壁材以外にも、ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)からなるパネル状体等のコンクリート製外壁材や、その他の材質の外壁材が用いられてもよいものとする。
【0021】
耐火板材10としては、釘やビス等の打ち込み・ねじ込みに耐え得る強度を持った耐火材が好適であり、本実施の形態においてはケイカル板(珪酸カルシウム板)が採用される。その他にも例えば石膏ボードやサイディング材等を採用してもよい。
【0022】
シーリング材11は目地充填材であり、目地底となるバックアップ材12とセットで用いられるものであり、シーリング材11は、バックアップ材12と、外壁材5〜9の切欠部5a〜8aと、耐火板材10と、に対して密着した状態に充填される。
また、バックアップ材12は不燃材料であり、本実施の形態においては例えばロックウールを成形したものが採用されている。
【0023】
建物には、その外周部に、第一梁1〜第四梁4が突出する箇所が設けられている。そのような箇所としては、例えば
図1に示すような外階段(階段自体は図示せず)が設けられる領域20や、
図10に示すようなバルコニー30が挙げられる。その他にも、アパートやマンション等の集合住宅等の建物に設けられる外廊下や、建物の外周部から張り出す庇等でもよい。すなわち、建物の居住部以外の箇所であって、かつ建物から突出するようにして設けられる箇所において突出して設けられる梁、または、このような箇所に向かって建物の躯体から延出する梁が、耐火板材10等によって被覆される対象の梁とされている。
なお、本実施の形態における建物は、鉄骨軸組工法によって建築されており、柱や梁等を接合して躯体が形成されている。
【0024】
以下、外階段が設けられる領域20における第一梁1と第二梁2の被覆構造と、バルコニー30における第三梁3と第四梁4の被覆構造について説明する。
【0025】
<領域20における梁1,2の被覆構造>
図1に示すような外階段が設けられる領域20は、アパートやマンション等の集合住宅等の建物に設けられており、例えば外廊下と一体的に形成されている。
外階段が設けられる領域20の周囲には、当該領域20を囲むようにして複数の壁21,22,23が設けられている。
壁21は、外階段領域20のコーナーに配置されており、壁22および壁23と対向するように配置されている。つまり、壁22と壁23は、壁21を基点にして互いに直交する方向に設けられている。
【0026】
壁21は、当該壁21を構成する柱や梁等を被覆する外壁材5を有する。また、壁22は、当該壁22を構成する柱や梁等を被覆する外壁材6を有する。また、壁23は、当該壁23を構成する柱や梁等を被覆する外壁材7を有する。
第一梁1は、対向する壁21,22間に、すなわち対向する外壁材5,6間に架設される、化粧が施された化粧梁である。
第二梁2は、対向する壁21,23間に、すなわち対向する外壁材5,7間に架設される、化粧が施された化粧梁である。
【0027】
まず、第一梁1の被覆構造について、
図1〜
図4等を参照して説明する。
外壁材5のうち第一梁1が突出する位置には、
図2,
図3に示すように、第一梁1が貫通可能な切欠部5aが形成されている。
切欠部5aは、断面視における第一梁1の最大外形よりも範囲が広くなるように外壁材5に形成されている。すなわち、H形鋼である第一梁1は、ウェブと上下のフランジとを有する。そして、上側のフランジの上面と、下側のフランジの下面と、上側のフランジの短手方向両端部と下側のフランジの短手方向両端部とをそれぞれ仮想的に繋ぐ線とで構成される矩形状の範囲が、断面視における第一梁1の最大外形とされている。外壁材5に形成される切欠部5aは、このような第一梁1の最大外形よりも範囲が広くなるように設定されている。
なお、複数の外壁材5が隣接する箇所(
図9参照)から第一梁1が突出する場合は、その外壁材5ごとに切欠形成された箇所を集合させて、第一梁1の最大外形に対応した切欠部5aを形成している。
【0028】
このように形成された切欠部5aと第一梁1との間には隙間Sが形成されている。
すなわち、外壁材5は、厚みがある(例えば80mm程度)ため、切欠部5aは、外壁材5の内外方向に沿って外壁材5の厚み分に対応した面が形成されている。このような切欠部5aの面と、第一梁1のうち外壁材5から突出する根元の位置2aとの間に、隙間Sが形成されている。
なお、外壁材5における切欠部5aの外部側縁は座堀り加工が施されており、後述する化粧カバー13の端部を収納して、化粧カバーを外壁材5側に寄せて配置できるようにしている。
【0029】
隙間Sには、第一梁1のうち少なくとも切欠部5aの縁部に対向する箇所を被覆する耐火板材10が設けられている。
なお、第一梁1が上述のように化粧梁である場合には、耐火板材10は、第一梁1の長さ方向および全周に亘って当該第一梁1の全体を被覆しているものとする。すなわち、耐火板材10は、複数の耐火板材10を矩形枠状に組み立てて、第一梁1を囲むようにして設けられている。
【0030】
さらに、隙間Sには、耐火板材10と切欠部5aの縁部との間に充填されるシーリング材11が設けられている。すなわち、シーリング材11は、隙間S内において耐火板材10よりも外側に配置されている。
より詳細に説明すると、隙間Sにおいて、耐火板材10と切欠部5aの縁部との間に、まずバックアップ材12が目地底となるように設けられており、バックアップ材12と、外壁材5の切欠部5aと、耐火板材10と、に対して密着した状態となるようにシーリング材11が充填されている。
【0031】
また、第一梁1は、外壁材5よりも壁21の内部において耐火被覆材14によって被覆されている。この耐火被覆材14は、耐熱ロックウールを不織布で覆った軟質な耐火材であり、被覆対象物に巻き付けるようにして設けられ、被覆対象物の形状に応じて容易に適応できる。
このような第一梁1を被覆する耐火被覆材14と耐火板材10とが、第一梁1の長さ方向に隣接して設けられている。すなわち、第一梁1のうち、外壁材5よりも壁21の内部側が耐火被覆材14によって被覆されている。
【0032】
なお、第一梁1はH形鋼であるため、
図4に示すように、ウェブの両側には耐火被覆材14が捨て張りされている。捨て張りされた部分をさらに被覆するようにして耐火被覆材14が第一梁1を被覆している。
また、このように耐火被覆材14が捨て張りされた位置よりもさらに壁21の内部側には、他の耐火被覆材15が設けられている。当該他の耐火被覆材15は、中央部分が第一梁1のウェブに対して固定されている。
【0033】
そして、耐火板材10は、
図2,
図3に示すように、その隙間S側の端部が、耐火被覆材14に当接するようにして設けられている。
なお、施工時には、
図4に示すように、矩形枠状に組まれた耐火板材10を、耐火被覆材14側にスライドさせて、当該耐火被覆材14に当接させる。
また、耐火板材10は、第一梁1のウェブに固定されて側方に張り出すブラケット18に対してビス等により固定されている(
図9参照)。ブラケット18自体は、ウェブに対してボルト・ナットで固定されている。
【0034】
以上のような第一梁1の被覆構造は、当該第一梁1が架設される一方の壁21側と他方の壁22側とに対して同様の状態で適用されている。
すなわち、図示はしないが、壁22側においても外壁材6に切欠部が形成されており、第一梁1と切欠部との間に形成された隙間Sには、耐火板材10とシーリング材11とが設けられている。
また、第一梁1の壁22側の端部は、外壁材6よりも壁22の内部において耐火被覆材14によって被覆されている。
【0035】
続いて、第二梁2の被覆構造について、
図1,
図5〜
図7等を参照して説明する。
ただし、上述の第一梁1の被覆構造と重複する構成については説明を省略する。
【0036】
壁23を構成する外壁材7のうち第二梁2が突出する位置には、
図5,
図6に示すように、第二梁2が貫通可能な切欠部7aが形成されている。
切欠部7aは、断面視における第二梁2の最大外形よりも範囲が広くなるように外壁材7に形成されている。
【0037】
切欠部7aと第一梁1との間には隙間Sが形成されている。
そして、隙間Sには、第二梁2のうち少なくとも切欠部7aの縁部に対向する箇所を被覆する耐火板材10が設けられている。
なお、第二梁2が上述のように化粧梁である場合には、耐火板材10は、第二梁2の長さ方向および全周に亘って当該第二梁2の全体を被覆しているものとする。
さらに、隙間Sには、耐火板材10と切欠部7aの縁部との間に充填されるシーリング材11が設けられている。
【0038】
なお、第二梁2は、
図1,
図5〜
図7に示すように、建物の躯体を構成する他の梁Hと直交して配置されたものであり、当該他の梁Hに接合された状態となっている。
第二梁2は、他の梁Hとの接合部において耐火被覆材14によって被覆されている。すなわち、第二梁2の接合側端部が、外壁材7よりも壁23の内部において耐火被覆材14によって被覆されている。
より詳細に説明すると、
図5,
図7に示すように、第二梁2の接合側端部を左右から挟み込むようにして耐火被覆材14が設けられている。さらに、
図6,
図7に示すように、第二梁2の接合側端部を上下から挟み込むようにして耐火被覆材14が設けられている。当該上下から挟み込む耐火被覆材14は、第二梁2と他の梁Hとに跨って配置されている。
【0039】
なお、第二梁2の接合側端部を左右から挟み込む耐火被覆材14の裏側には、他の梁Hのウェブの隙間を埋める耐火被覆材14が捨て張りされている。
また、このように耐火被覆材14が捨て張りされた位置よりもさらに他の梁Hの長さ方向端部側には、他の耐火被覆材15が設けられている。当該他の耐火被覆材15は、中央部分が第一梁1のウェブに対して固定されている。
【0040】
そして、耐火板材10は、
図5,
図6に示すように、その隙間S側の端部が、耐火被覆材14に当接するようにして設けられている。
なお、施工時には、
図7に示すように、矩形枠状に組まれた耐火板材10を、耐火被覆材14側にスライドさせて、当該耐火被覆材14に当接させる。
【0041】
以上のような第二梁2の被覆構造は、当該第二梁2が架設される一方の壁23側と他方の壁21側とに対して同様の状態で適用されている。
すなわち、図示はしないが、壁21側においても外壁材5に切欠部が形成されており、第二梁2と切欠部との間に形成された隙間Sには、耐火板材10とシーリング材11とが設けられている。
また、第二梁2の壁21側の端部は、外壁材5よりも壁21の内部において耐火被覆材14によって被覆されている。
【0042】
続いて、第一梁1と第二梁2とに共通する仕上げ構造について説明する。
すなわち、耐火板材10とシーリング材11との間に、透湿防水シート16と耐水シート17のうち少なくとも一方が介在した状態となっている。本実施の形態においては、
図8に示すように、透湿防水シート16と耐水シート17の双方が、耐火板材10とシーリング材11との間に介在している。
【0043】
なお、これら透湿防水シート16と耐水シート17の取付作業は、施工時に耐火板材10を、耐火被覆材14側にスライドさせる前に行うことが望ましい。
すなわち、
図8(a)に示すように、第一梁1または第二梁2の少なくとも根元の位置1a,2aを被覆する耐火板材10の周りに、透湿防水シート16を巻き付ける。
次に、
図8(b)に示すように、耐火板材10における各梁1,2の根元の位置1a,2aに対応した箇所に耐水シート17を巻き付ける。
ここで、これら透湿防水シート16と耐水シート17が巻き付けられた耐火板材10を、耐火被覆材14側にスライドさせて、当該耐火被覆材14に当接させる。
その後、バックアップ材12を隙間Sに設け、当該バックアップ材12と、外壁材5,6の切欠部5aと、耐火板材10と、に対して密着した状態となるようにシーリング材11を充填する。
【0044】
このようにして、耐火板材10とシーリング材11との間に、透湿防水シート16と耐水シート17を介在させることができる。
なお、透湿防水シート16は、各梁1,2の根元の位置1a,2aに対応した耐火板材10の箇所だけに設けられてもよいし、各梁1,2を全体的に被覆する耐火板材10の全体に亘って設けられてもよい。
一方、耐水シート17は、各梁1,2の根元の位置1a,2aに対応した耐火板材10の箇所だけに設けられているものとする。
【0045】
以上のような防水仕上げが終わった後に、最終的に化粧カバー13が設けられる。すなわち、各梁1,2を被覆する耐火板材10は、
図9に示すように、化粧カバー13によって被覆されている。
化粧カバー13の内側面には、当該化粧カバー13の剛性を補強するための芯材13aが設けられている。
また、化粧カバー13の左右側面には、当該化粧カバー13の長さ方向に沿って横目地13bが形成されている。化粧カバー13は、この横目地13bから耐火板材10に向かってビス等が設けられることによって、耐火板材10に対して固定されている。
なお、化粧カバー13は、図示はしないが、上下に分割される構成であり、上側の分割体の端部と、下側の分割体の端部とが横目地13bの箇所で重なり合う構成となっている。すなわち、この重なり部分をビス止めしている。
【0046】
<バルコニー30における梁3,4の被覆構造>
図10に示すようなバルコニー30は、アパートやマンション等の集合住宅や戸建て住宅等の建物に設けられている。
バルコニー30の周囲には、当該バルコニー30を囲むようにして複数の壁31,32が設けられている。
また、壁31は、建物のコーナーに配置されており、壁32は、建物の中央側に配置されている。すなわち、
図10に示すバルコニー30は、建物のコーナーに配置されている。
【0047】
壁31は、当該壁31を構成する柱や梁等を被覆する外壁材8を有する。また、壁32は、当該壁32を構成する柱や梁等を被覆する外壁材9を有する。
第三梁3は、壁31から外壁材8を貫通するようにして外側に突出し、バルコニー30を支持する支持梁である。
第四梁4は、壁32から外壁材9を貫通するようにして外側に突出し、バルコニー30を支持する支持梁である。
【0048】
第三梁3におけるバルコニー30中央側の面には、バルコニー30の床30aの側端部を支持するアングル状の支持部材30bが設けられている。
床30aは、ALC(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)からなる耐火性能を有する。
支持部材30bは、第三梁3に対し、当該第三梁3のウェブに取り付けられた図示しないブラケットを介して取り付けられている。
また、図示はしないが、第四梁4におけるバルコニー30中央側の面にも同様に支持部材30bが設けられているものとする。
【0049】
また、第三梁3と第四梁4との間には、
図10,
図11,
図14に示すように、床30aを支持する床梁30cが複数架設されている。すなわち、バルコニー30の床30aは、当該複数の床梁30cによって支持されるとともに、両端部が、複数の支持部材30bによって支持されている。
【0050】
まず、第三梁3の被覆構造について、
図10〜
図15を参照して説明する。
外壁材8のうち第三梁3が突出する位置には、第三梁3が貫通可能な切欠部8aが形成されている。
切欠部8aは、断面視における第三梁3の最大外形よりも範囲が広くなるように外壁材8に形成されている。このように形成された切欠部8aと第三梁3との間には隙間Sが形成されている。
なお、外壁材8における切欠部8aの外部側縁は座堀り加工が施されており、バルコニー30の図示しない仕上げ材の端部を収納できるようになっている。
【0051】
隙間Sには、第三梁3のうち少なくとも切欠部8aの縁部に対向する箇所を被覆する耐火板材10が設けられている。
より詳細に説明すると、第三梁3は、床30aの側端部のうち支持部材30bによって支持される箇所を除き、耐火板材10と床30aの側端部によって略全周に亘って被覆されている。すなわち、
図12に示すように、第三梁3を囲む耐火ラインが、支持部材30bの位置で途切れた状態となっている。
そこで、耐火板材10と床30aの側端部との間には、床30aの側端部のうち支持部材30bによって支持される箇所を跨ぐようにして耐火被覆材14が設けられている。耐火被覆材14は、耐火板材10の側面と床30aの下面とに取り付けられるため、L字状に折り曲げられて設けられている。
【0052】
第三梁3を囲む耐火板材10は、バルコニー30中央側の面を被覆する一枚の耐火板材10と、三枚の耐火板材10を予めコ字状に組んでなるコ字状体10aとに分けて第三梁3を被覆している。
一枚の耐火板材10は、上端部が支持部材30bの高さに位置している。
コ字状体10aは、第三梁3の上面および下面と、バルコニー30中央とは反対側の側面と、を被覆する三枚の耐火板材10によって予めコ字状に組まれてなる。
【0053】
このようにコ字状に組まれた耐火板材10(コ字状体10a)を第三梁3に装着する際は、
図15に示すように、コ字状体10aを外側から横方向に移動させ、第三梁3に向かって装着する。この時、コ字状体10aは、第三梁3の上面に設けられたパッキン30dの上に載せられて、ビスや釘等によって固定される。
一枚の耐火板材10は、ビスや釘等によって、上端部が支持部材30bの側面に固定され、下端部が、コ字状体10aを構成する下側の耐火板材10の端面に固定される。
【0054】
なお、図示はしないが、支持部材30bが設けられない位置に一枚の耐火板材10を設ける場合は、この一枚の耐火板材10の上端部は床30aの側端部に到達する高さに設定し、第三梁3と床30aの側端部との間の隙間に下方から差し込むようにして設けるようにする。
【0055】
また、第三梁3の上方には、
図12〜
図14に示すように、平面視L字状に組まれた耐火板材10が設けられている。このように平面視L字状に組まれた耐火板材10は、床30aの上面にも跨って配置されており、バルコニー30の床面から上方に立ち上がる立ち上がり部として機能する。
このような平面視L字状に組まれた耐火板材10も、コ字状体10aや一枚の耐火板材10と同様に、隙間S内に設けられた状態となっている。
【0056】
さらに、隙間Sには、耐火板材10と切欠部8aの縁部との間に充填されるシーリング材11が設けられている。すなわち、シーリング材11は、隙間S内において耐火板材10よりも外側に配置されている。
より詳細に説明すると、隙間Sにおいて、耐火板材10と切欠部8aの縁部との間に、まずバックアップ材12が目地底となるように設けられており、バックアップ材12と、外壁材8の切欠部8aと、耐火板材10と、に対して密着した状態となるようにシーリング材11が充填されている。
また、コ字状体10aよりも上方に設けられた平面視L字状に組まれた耐火板材10の周囲にもシーリング材11が充填されている。
【0057】
また、第三梁3は、外壁材8よりも外側において耐火被覆材14によって被覆されている。そして、第三梁3をそれぞれ被覆する耐火被覆材14と耐火板材10とが、第三梁3の長さ方向に隣接して設けられている。
すなわち、第三梁3のうち、外壁材8よりも外側であって、バルコニー30の完成後には当該バルコニー30の仕上げ材によって遮蔽される箇所が耐火被覆材14によって被覆されている。
【0058】
以上のような第三梁3の被覆構造は、壁32側の第四梁4に対しても同様の状態で適用されている。
すなわち、図示はしないが、壁32側においても外壁材9に切欠部が形成されており、第四梁4と切欠部との間に形成された隙間Sには、耐火板材10とシーリング材11とが設けられている。
また、第四梁4も、外壁材9よりも外側において耐火被覆材14によって被覆されている。
【0059】
なお、図示はしないが、第三梁3と第四梁4の場合も、耐火板材10とシーリング材11との間(第三梁3と第四梁4の根元の位置3a,4a)に、透湿防水シート16と耐水シート17のうち少なくとも一方を介在させた状態としてもよい。
その後、バルコニー30は、外側の床梁30cに対して手摺を取り付けたり、外周を覆う仕上げ材を取り付けたりして、その施工が行われる。
【0060】
本実施の形態によれば、梁1〜4と外壁材5〜9における切欠部5a〜8aとの間に形成された隙間Sに、梁1〜4のうち少なくとも切欠部5a〜8aの縁部に対向する箇所を被覆する耐火板材10と、この耐火板材10と切欠部5a〜8aの縁部との間に充填されるシーリング材11と、が設けられているので、これら耐火板材10とシーリング材11によって隙間Sを確実に塞ぐようにして被覆できる。耐火板材10には耐火性能があり、シーリング材11には防水性能があるため、建物の外周部の梁1〜4が突出する部分における耐火性能および防水性能を向上させることができる。
また、シーリング材11を充填するに当たって、耐火板材10は板であるため、当該シーリング材11の下地材として機能する。これによって、例えば繊維状の素材からなる耐火材を使用するよりも、シーリング材11を確実に充填することができるとともに、その状態を安定的に維持できるので、建物の外周部の梁1〜4が突出する部分における防水性能の向上に貢献できる。
【0061】
また、耐火板材10とシーリング材11との間に、透湿防水シート16と耐水シート17のうち少なくとも一方が介在しているので、隙間Sから湿気を逃がしつつ隙間Sからの水の浸入を防いだり、雨や雪による劣化を防いだりすることができ、その結果、建物の外周部の梁1〜4が突出する部分における防水性能をより向上させることができる。
【0062】
また、耐火板材10と梁1〜4を被覆する耐火被覆材14とが、梁1〜4の長さ方向に隣接して設けられているので、例えば梁1〜4の形状の複雑性や外壁材5〜7よりも内側構造の複雑性等によって耐火板材10で被覆できない箇所を、耐火被覆材14によって被覆することができる。これによって、梁を、耐火板材10によって被覆された箇所だけでなく、その他の箇所も耐火被覆材14によって被覆できるので、梁1〜4における耐火性能を向上させることができる。
【0063】
また、外階段が設けられる領域20の場合において、耐火板材10は、梁1,2の長さ方向および全周に亘って当該梁1,2の全体を被覆しており、当該耐火板材10は化粧カバー13によって被覆されているので、梁1,2の全体を、化粧カバー13によって意匠性を高めつつ、耐火板材10によって耐火性能を向上させることができる。
【0064】
また、バルコニー30の場合において、梁3,4のバルコニー30中央側の面に支持部材30bが設けられているので、梁3,4は、床30aの側端部のうち支持部材30bによって支持される箇所を除き、耐火板材10と床30aの側端部によって略全周に亘って被覆された状態となる。このような状態において、耐火板材10と床30aの側端部との間に、床30aの側端部のうち支持部材30bによって支持される箇所を跨ぐようにして耐火被覆材14が設けられるので、梁3,4を全周に亘って耐火被覆することができる。