特許第6563685号(P6563685)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6563685オピオイドと組み合わせたパルミトイルエタノールアミドの使用
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  • 特許6563685-オピオイドと組み合わせたパルミトイルエタノールアミドの使用 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563685
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】オピオイドと組み合わせたパルミトイルエタノールアミドの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/164 20060101AFI20190808BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 31/485 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 9/46 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 9/02 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20190808BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   A61K31/164
   A61K45/00
   A61K31/485
   A61K9/48
   A61K9/20
   A61K9/16
   A61K9/107
   A61K9/46
   A61K9/02
   A61K47/42
   A61P25/04
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-98334(P2015-98334)
(22)【出願日】2015年5月13日
(65)【公開番号】特開2015-221794(P2015-221794A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2018年4月24日
(31)【優先権主張番号】MI2014A000876
(32)【優先日】2014年5月14日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515128150
【氏名又は名称】エピテック・グループ・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】EPITECH GROUP S.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ・デッラ・ヴァッレ
(72)【発明者】
【氏名】マリア・フェデリカ・デッラ・ヴァッレ
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツォ・ディ・チェーザレ・マネッリ
(72)【発明者】
【氏名】カルラ・ゲラルディーニ
【審査官】 鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−145858(JP,A)
【文献】 特表2012−522004(JP,A)
【文献】 Inflammopharmacology,2013年,Vol.22,No.2,pp.79-94
【文献】 Pain Medicine,2012年,Vol.13,No.9,pp.1121-1130
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A61K 9/00−9/72
A61K 45/00
A61K 47/00−47/69
A61P 25/04
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疼痛症状の処置を受けているヒトまたは動物患者におけるオピオイド耐性の発現を遅延させるための、オピオイドと組み合わせて、ヒトまたは動物に用いるための医薬であって、該オピオイドと別に、連続してまたは組合せで投与される、非微粒子化形態、微粒子化形態(PEA-m)、超微粒子化形態(PEA-um)またはその混合物のパルミトイルエタノールアミドを含み、該オピオイドがオピエートとも称される天然アルカロイドまたは合成もしくは半合成化合物から選択される、医薬。
【請求項2】
該非微粒子化パルミトイルエタノールアミドが、50.0〜100.0μmの粒子サイズを有し; 該微粒子化パルミトイルエタノールアミドが2.0〜10.0μmの粒子サイズを有し、該超微粒子化パルミトイルエタノールアミドが0.8〜6.0μmの粒子サイズを有する、請求項1記載の医薬。
【請求項3】
該オピオイドが、モルヒネ、ヘロイン、エトルフィン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファノール、コデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、メチルナルトレキソン、フェンタニルおよびメサドンから選択される、請求項1または2記載の医薬。
【請求項4】
該オピオイドがモルヒネである、請求項記載の医薬。
【請求項5】
オピオイドでの処置が開始する1日前から開始して、または、該オピオイドでの処置が開始する前に10日間の前処置が行われて、毎日ヒトまたは動物に投与される、請求項1〜のいずれかに記載の医薬。
【請求項6】
パルミトイルエタノールアミドの一日の用量が、患者の体重1kgあたり3〜50 mgまたは体重1kgあたり20〜30 mgである、請求項1〜のいずれか記載の医薬。
【請求項7】
パルミトイルエタノールアミドの投与を、好ましくは8〜10時間の間隔を開けて、1日2回の処置に分ける、請求項記載の医薬
【請求項8】
パルミトイルエタノールアミドによる毎日の処置が、オピオイドでの処置期間を通して維持される、請求項1〜のいずれかに記載の医薬。
【請求項9】
請求項1〜のいずれかに記載の医薬と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、経口経路、舌下経路および直腸経路から選択される投与経路に適用される、医薬用もしくは動物用医薬用組成物。
【請求項10】
錠剤、硬質ゼラチンカプセル、油性のビヒクル中の軟質ゼラチンカプセル、舌下で用いるための顆粒剤、経口使用のための乳剤、発泡性錠剤、坐剤または微小浣腸剤の医薬形態である、請求項記載の医薬用または動物用医薬用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オピオイドと組み合わせて、鎮痛剤としてヒトまたは動物に用いるための、N-パルミトイルエタノールアミドを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
オピオイドは、オピオイド受容体に対して活性であり、鎮痛作用を有する物質である。オピオイドには、天然のアルカロイド、例えばモルヒネおよびその類似体(アヘン(オピウム)由来であるため、オピエートとも称される)およびアルカロイド構造(ヘロイン)または非アルカロイド構造の合成もしくは半合成化合物の両方が含まれる。
【0003】
モルヒネは、ケシ(Papaver somniferum)から抽出される主要な天然のアルカロイドであり、中程度および重度の疼痛の制御のための治療的処置に選択される。モルヒネは強力で有効であるにも関わらず、鎮痛効果に対する耐性が誘発されるため、持続性の疼痛に対する連続的な治療において、該物質の適用は制限されている。耐性の発現により、同じ鎮痛効果を得るためには、用量を連続的に増加させることが必要となる。この複雑な病態生理サイクルは、過度の鎮静、身体活性の低下、便秘、呼吸抑制等により、患者のクオリティオブライフの低下を招く。
【0004】
実験動物においてこの現象を証明する文献が多数存在する。いくつかの仮説は、オピオイドに対する耐性を説明している。考えられるメカニズムとして、GDPのGTPへの交換能の低下に伴うオピオイド受容体とG蛋白質の間のカップリングの抑制、脱感作ならびに活性化受容体の内在化、受容体の内在化およびμ受容体の二量体化に伴う受容体の下方制御が考えられている。
【0005】
特に、耐性の発現に脊髄グリア細胞が関与していることを示す最近の知見がある。モルヒネおよび他のオピオイドに対する鎮痛耐性の発現において、マイクログリアおよび星状細胞が活性化することが示されている。これらの細胞種を阻害することによって、オピオイドの鎮痛効果を延長させることができることも示唆されている。
【0006】
パルミトイルエタノールアミド(PEA) は、パルミチン酸およびエタノールアミドから形成される内在性のアミドである。PEAは、種々の疼痛に対して抗侵害受容性効果を発揮することが知られている脂質性のメディエーターであり、特に、微粒子化または超微粒子化形態で用いたときの、興味深い抗神経障害性プロフィールにより特徴付けられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発明者は驚くべきことに、PEAが慢性疼痛に特徴付けられる病態において、脊髄および脳のグリア細胞の活性化を有意に減少させることができることを見出した。
【0008】
さらに、驚くべきことに、本発明の発明者は、超微粒子化PEAが、オピオイド、特にモルヒネの長期間の使用による耐性の発現を妨げることができることを見出した。PEAがオピオイドに結合することで、該処置の有効性が延長されることが可能になり、鎮痛効果は、オピオイドを単独で投与した処置の2倍持続するようになる。
【0009】
したがって、本発明の目的の一つは、疼痛の症状を処置において、オピオイドと組み合わせて用いるための、パルミトイルエタノールアミド(PEA)、あるいは非微粒子化形態 (非微粒子化PEA), 微粒子化形態 (PEA-m)または超微粒子化形態(PEA-um)のパルミトイルエタノールアミドであり、ここで、該パルミトイルエタノールアミドは、該オピオイドと別々に、連続的に、または組み合わせて投与される。
【0010】
具体的には、本発明の目的は、オピオイドと組み合わせて、鎮痛剤として患者に用いるための、パルミトイルエタノールアミド (PEA)、あるいは非微粒子化形態 (非微粒子化PEA)、微粒子化形態(PEA-m) もしくは超微粒子化形態 (PEA-um) のパルミトイルエタノールアミドまたはそれを含む医薬組成物であり、ここで、該パルミトイルエタノールアミドは、該患者におけるオピオイドに対する耐性の発現を遅延させる。
【0011】
本発明は、後記特許請求の範囲の記載によって規定される。
【0012】
本発明の方法のさらなる特徴および利点は、以下の好ましい態様の例についての記載から明らかであるが、これらの態様は例示のためのものであって、限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】モルヒネを単独で、またはPEAと組み合わせて用いたラットに対する、「機械刺激誘発試験(paw pressure test)」に関するグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、疼痛症状の処置において、オピオイドと組み合わせてヒトまたは動物に用いるための、パルミトイルエタノールアミド (PEA), またはその非微粒子化形態(非微粒子化PEA)、微粒子化形態 (PEA-m)、超微粒子化形態(PEA-um)またはその混合物のパルミトイルエタノールアミドに関し、ここで、該パルミトイルエタノールアミドは、該オピオイドと別々に、連続的に、または組み合わせて投与される。
【0015】
具体的には、本発明は、オピオイドと組み合わせて、鎮痛剤として患者に用いるための、パルミトイルエタノールアミド (PEA)、あるいは非微粒子化形態(非微粒子化PEA)、微粒子化形態(PEA-m)、超微粒子化形態(PEA-um)、その混合物のパルミトイルエタノールアミドまたはそれを含む医薬組成物に関し、ここで、該パルミトイルエタノールアミドは、該患者におけるオピオイド耐性の発現を遅延させる。
【0016】
パルミトイルエタノールアミドは、US 5,990,170の実施例25に記載するとおりに合成し得る。
【0017】
非微粒子化PEAは、該合成品を細かく粉砕することによって得られ、粒子サイズが50.0〜100.0μmの生成物である。
【0018】
PEA-mは、US 6,548,550 B1に記載されているように取得でき、2.0〜10.0μmの粒子サイズを有する。
【0019】
PEA-umは、PCT出願WO 2011/027373 A1に記載されているように取得でき、0.8〜6.0μmの粒子サイズを有する。
【0020】
これらの形態のPEAについてのさらなる情報が、上記の引用した特許文献に記載されており、生成物の特徴に関するその内容は、引用により本願明細書に包含される。
【0021】
該オピオイドは、天然のアルカロイド、所謂オピエートまたは合成もしくは半合成化合物から選択される。
【0022】
好ましくは、該オピオイドは、以下から選択される: モルヒネ、ヘロイン、エトルフィン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファノール、コデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、メチルナルトレキソン、フェンタニルおよびメサドン。
【0023】
より好ましくは、該オピオイドはモルヒネである。
【0024】
オピオイドは、"The Pharmacological Basis of Therapeutics" 12th edition - Chapter 18, Table 18-2, page 498 (Goodman and Gilman)に記載の指示にしたがって、伝統的な種々の投与経路を用いてヒトに投与してよい。
【0025】
パルミトイルエタノールアミドは、オピオイドを用いた処置を開始する1日前からヒトへの投与を開始しても、または必要であれば、オピオイド処置を開始する前に10日間前処置を行ってもよい。
【0026】
パルミトイルエタノールアミドの1日当たりの用量の範囲は、患者の体重1kgあたり3~50 mg (好ましくは20〜30mg/kg) であり、8〜10時間おいた、1日2回の処置に分けるのが好ましい。パルミトイルエタノールアミドによる毎日の処置は、オピオイドによる処置期間を通して維持しなければならない。患者の年齢および体重、さらに処置する医学的症状の重症度によって、投与量を連続的に変化させる必要がある場合もあることを、考慮する必要がある。厳密な用量および投与経路は、最終的には、担当する医師または獣医師の裁量により決定される。
【0027】
パルミトイルエタノールアミドによる処置は、錠剤、硬質ゼラチンカプセル、油性ビヒクル中の軟質ゼラチンカプセル、舌下に用いるための顆粒剤、経口に用いるための乳剤、発泡性錠剤、坐剤または微小浣腸剤の医薬形態で、経口、舌下または直腸投与される。
【0028】
したがって、本発明の組成物は、選択した医薬形態の機能として、薬学的に許容される賦形剤および添加剤を含んでいてよい。
【0029】
経口投与するためには、該医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤、例えば結合剤(例えばアルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース); 充填剤 (例えばラクトース、微結晶セルロースまたはリン酸水素カルシウム); 滑剤 (例えばステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ); 崩壊剤 (例えばジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム); または阻害剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)を含んでよい。錠剤は、当該分野でよく知られた方法によってコーティングしてもよい。経口投与用の液体製剤は、それ自体が、例えば、液剤、シロップ剤または懸濁剤の形態であっても、または、凍結乾燥生成物であって、使用する前に水または他の適当なビヒクルで再構成してもよい。該液体製剤は、薬学的に許容される添加剤、例えば懸濁剤(例えばソルビトールシロップ、セルロース誘導体または食用硬化油);乳化剤(例えばレシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えばアーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは植物油分画(fractionated vegetable oil));および保存剤(例えばメチル-もしくはプロピル-p-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)とともに、慣用的な方法で製剤してよい。該製剤はまた、香味料、着色料および甘味料を適宜含んでいてよい。
【0030】
経口投与用の製剤は、有効成分の徐放が可能になるように、適当な方法で製剤してよい。
【0031】
頬側投与のためには、該組成物は、頬粘膜への吸収に適当な、慣用的な方法で製剤された錠剤またはトローチ剤の形態であってよい。典型的なバッカル製剤は、舌下投与用の錠剤である。
【0032】
本発明によれば、該組成物は、また、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドなどの、一般的な坐剤の基本成分を含む坐剤、停留浣腸剤、または微小浣腸剤などの直腸用組成物として製剤してもよい。
【0033】
上述の組成物に加えて、該組成物はまた、デポジット製剤として製剤してもよい。該長時間作用性の製剤は、(例えば皮下、経皮または筋肉内に)インプランテーションまたは筋肉内注射によって投与し得る。したがって、本発明の化合物は、例えば、適当なポリマー性または疎水性の物質(例えば適当な油中の乳剤形態)、イオン交換樹脂とともに、または最小限の可溶性を示す誘導体、例えば、可溶性が最小限の塩として製剤してよい。
【0034】
上述の製剤は、慣用の方法、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences Handbook, Mack Pub. Co., NY, USAに記載の方法にしたがって製剤し得る。
【実施例】
【0035】
PEAのオピオイドに対する耐性現象への効果を評価するために、モデル動物において、モルヒネ耐性の発現を再現した。問題となっている物質の、耐性発現の遅延化能を評価するために、該オピオイドでの慢性的な処理を、(Pluronic F-68水溶液からなる)ビヒクルに懸濁した超微粒子化PEAの共投与とともに行った。
【0036】
2つの動物群を、ビヒクルのみまたは上述のようにビヒクルに懸濁した超微粒子化PEA (PEA-um、30 mg/kg)の皮下投与(s.c.)により毎日処置を行った。モルヒネの投与を1日目に開始し、翌日以降続けておこなった(10 mg/kg、腹腔内投与)。図1に示すように、痛みの閾値は、モルヒネの注射前(前試験) および30分後に測定した。
【0037】
行動評価は、動物が後肢で支える重量を評価する、「機械刺激誘発試験(Paw Pressure test)」を用いて行った(Ugo Basile, Paw Pressure Analgesy Meter "Randar-Selitto" Rat)。ビヒクル+モルヒネ処理したラットでは、処置の5日目までは、前試験と比較して痛みの閾値が有意に上昇したが、5日目では耐性が発現しており、さらなる鎮痛効果は見られなかった。
【0038】
対照的に、PEA-um + モルヒネ処理を行った動物群では、鎮痛効果の延長が見られ、10日目まで有意であった。
【0039】
一方、モルヒネの鎮痛効果の有効性については2群間で有意な差は見られなかった。
【0040】
結論としては、驚くべきことに、本発明のモルヒネモデルについての実施例で示すように、超微粒子化PEAが、オピオイドの長期間の使用による耐性の発現プロセスを妨げ得ることを見出した。PEAがオピオイドに結合することにより、該処置の有効性が長く続くことにより、鎮痛効果を持続することが可能になり、オピオイドを単独で投与した処置に比べて鎮痛効果は2倍である。
【0041】
モルヒネについての実施例で得られたのと同様の結果は、例えば上述するような、治療に通常用いられる主要なオピオイド物質を用いても得られる。
本発明には、次の態様が含まれる。
[1] 疼痛症状の処置において、オピオイドと組み合わせて、ヒトまたは動物に用いるための、該オピオイドと別に、連続してまたは組合せで投与される、非微粒子化形態、微粒子化形態(PEA-m)、超微粒子化形態(PEA-um)またはその混合物のパルミトイルエタノールアミド。
[2] 該パルミトイルエタノールアミドが、患者におけるオピオイド耐性の発現を遅延させる、オピオイドと組み合わせて鎮痛剤として患者に用いるための、[1]記載のパルミトイルエタノールアミド。
[3] 該非微粒子化パルミトイルエタノールアミドが、50.0〜100.0μmの粒子サイズを有し; 該微粒子化パルミトイルエタノールアミドが2.0〜10.0μmの粒子サイズを有し、該超微粒子化パルミトイルエタノールアミドが0.8〜6.0μmの粒子サイズを有する、[1]または[2]記載の使用のためのパルミトイルエタノールアミド。
[4] 該オピオイドがオピエートとも称される天然アルカロイドまたは合成もしくは半合成化合物から選択される、[1]〜[3]のいずれかに記載の使用のためのパルミトイルエタノールアミド。
[5] 該オピオイドが、モルヒネ、ヘロイン、エトルフィン、ヒドロモルホン、オキシモルホン、レボルファノール、コデイン、ヒドロコドン、オキシコドン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン、メチルナルトレキソン、フェンタニルおよびメサドンから選択される、[4]記載の使用のためのパルミトイルエタノールアミド。
[6] 該オピオイドがモルヒネである、[5]記載の使用のためのパルミトイルエタノールアミド。
[7] オピオイドでの処置が開始する1日前から開始して、または、該オピオイドでの処置が開始する前に10日間の前処置が行われて、毎日ヒトまたは動物に投与される、[1]〜[6]のいずれかに記載の使用のためのパルミトイルエタノールアミド。
[8] パルミトイルエタノールアミドの一日の用量が、患者の体重1kgあたり3〜50 mgまたは体重1kgあたり20〜30 mgである、[1]〜[7]のいずれか記載の使用のためのパルミトイルエタノールアミド。
[9] パルミトイルエタノールアミドの投与を、好ましくは8〜10時間の間隔を開けて、1日2回の処置に分ける、[8]記載の使用のためのパルミトイルエタノールアミド。
[10] パルミトイルエタノールアミドによる毎日の処置が、オピオイドでの処置期間を通して維持される、[1]〜[9]のいずれかに記載の使用のためのパルミトイルエタノールアミド。
[11] [1]〜[10]のいずれかに記載の使用のための、パルミトイルエタノールアミドと薬学的に許容される賦形剤とを含む、経口経路、舌下経路および直腸経路から選択される投与経路に適用される、医薬用もしくは動物用医薬用組成物。
[12] 錠剤、硬質ゼラチンカプセル、油性のビヒクル中の軟質ゼラチンカプセル、舌下で用いるための顆粒剤、経口使用のための乳剤、発泡性錠剤、坐剤または微小浣腸剤の医薬形態である、[11]記載の使用のための医薬用または動物用医薬用組成物。

図1