特許第6563686号(P6563686)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563686
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】仮設足場用作業布板の端部材
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/00 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   E04G5/00 301G
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-98926(P2015-98926)
(22)【出願日】2015年5月14日
(65)【公開番号】特開2016-216902(P2016-216902A)
(43)【公開日】2016年12月22日
【審査請求日】2018年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】592123923
【氏名又は名称】株式会社タカミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100095212
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 武
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼宮 章好
(72)【発明者】
【氏名】星野 克之
【審査官】 西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−185262(JP,A)
【文献】 実公昭31−017843(JP,Y1)
【文献】 実開昭55−051938(JP,U)
【文献】 韓国公開実用新案第20−2010−0005411(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/00
E04G 5/08
E04G 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮設足場を構成する作業布板の長さ方向の端部に配置され、前記作業布板の本体に取り付けられる端部材であって、それぞれが前記本体に結合される上側水平部及び下側水平部と、この下側水平部の先端よりも前記作業布板の長さ方向外側へ突出している前記上側水平部の先端と前記下側水平部の前記先端とを斜めに連結している傾斜連結部とを有し、板金の折り曲げにより形成されている仮設足場用作業布板の端部材において、
前記下側水平部から立ち上がり、上端が前記上側水平部の下面に結合されている立上り部を有し、この立上り部が、前記下側水平部との接続部となっている下端でこの下側水平部から折り曲げることにより形成されており、
前記立上り部は、鉛直方向に対して傾いた傾き角度をもって前記下側水平部から立ち上がっており、この立上り部の鉛直方向からの傾き方向は、前記傾斜連結部の鉛直方向からの傾き方向と反対側になっていることを特徴とする仮設足場用作業布板の端部材。
【請求項2】
請求項1に記載の仮設足場用作業布板の端部材において、前記立上り部が、前記作業布板の幅方向の両側に2個設けられていることを特徴とする仮設足場用作業布板の端部材。
【請求項3】
請求項1又2に記載の仮設足場用作業布板の端部材において、前記立上り部の前記上端が、前記上側水平部の前記下面に溶接で結合されていることを特徴とする仮設足場用作業布板の端部材。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の仮設足場用作業布板の端部材において、前記立上り部には、エンボス加工により形成された補強部が設けられていることを特徴とする仮設足場用作業布板の端部材。
【請求項5】
請求項4に記載の仮設足場用作業布板の端部材において、前記補強部は、縦長の形状となっていることを特徴とする仮設足場用作業布板の端部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築や土木等の作業現場で構築される仮設足場に作業者用歩行通路等を形成する際に用いられる作業布板のための端部材に関する。
【背景技術】
【0002】
建築や土木等の作業現場で構築される仮設足場は、作業者用歩行通路等を形成するための作業布板が用いられて構成される。この作業布板は、本体と端部材とを含んで構成され、端部材は、作業布板の長さ方向の端部に配置されて本体に取り付けられる。
【0003】
下記の特許文献1に示されている作業布板の端部材は、それぞれの基部が本体に結合される上側水平部及び下側水平部と、この下側水平部の先端よりも作業布板の長さ方向外側へ突出している上側水平部の先端と下側水平部の先端とを斜めに連結している傾斜連結部とを有し、この端部材全体は、板金の折り曲げにより形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−140859号公報(0036段落、図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
作業布板の端部材の上には、本体と同様に、作業者が乗るため、端部材は、大きな重量に対する充分の強度を備えていることが求められる。しかし、このような充分の強度を得るために多くの材料と手間が必要となる構造は、コストの点で好ましくなく、上記特許文献1と同様に、端部材を板金の折り曲げ品とするためには、折り曲げを利用する構造が望まれる。
【0006】
本発明の目的は、充分の強度を備え、かつこの強度を板金の折り曲げによって確保できるようになる仮設足場用作業布板の端部材を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る仮設足場用作業布板の端部材は、仮設足場を構成する作業布板の長さ方向の端部に配置され、前記作業布板の本体に取り付けられる端部材であって、それぞれが前記本体に結合される上側水平部及び下側水平部と、この下側水平部の先端よりも前記作業布板の長さ方向外側へ突出している前記上側水平部の先端と前記下側水平部の前記先端とを斜めに連結している傾斜連結部とを有し、板金の折り曲げにより形成されている仮設足場用作業布板の端部材において、前記下側水平部から立ち上がり、上端が前記上側水平部の下面に結合されている立上り部を有し、この立上り部が、前記下側水平部との接続部となっている下端でこの下側水平部から折り曲げることにより形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
この仮設足場用作業布板の端部材は、下側水平部から立ち上がり、上端が上側水平部の下面に結合されている立上り部を有しているため、この立上り部により、端部材の上に乗る作業者の重量等による大きな荷重に対する充分の強度を確保できるようになる。
【0009】
また、立上り部は、下側水平部との接続部となっている下端でこの下側水平部から折り曲げることにより形成されているため、板金の折り曲げ品となっている端部材を製造する際に、板金の折り曲げにより立上り部も形成することができることになり、このため、充分の強度を板金の折り曲げによって得られるとともに、端部材の材料である板金の歩留まりを向上させて、安価なコストで端部材を製造できるようになる。
【0010】
以上の本発明において、立上り部の個数は1個でもよいが、立上り部を作業布板の幅方向の両側に設けることにより、立上り部の個数を2個としてもよい。
【0011】
このように立上り部を作業布板の幅方向の両側に2個設けると、端部材の強度を一層大きくできる。
【0012】
また、立上り部の上端を上側水平部の下面に結合することは、任意の結合手段により行うことができ、その一例は、立上り部の上端を上側水平部の下面に溶接で結合することであり、ほかの例は、立上り部の上端を上側水平部の下面にビスやリベット等の止着具で結合することである。しかし、立上り部の上端を上側水平部の下面に溶接で結合すると、立上り部と上側水平部とを、簡単な作業により大きな強度で結合することができる。
【0013】
また、立上り部には、エンボス加工により形成された補強部を設けることが好ましい。
【0014】
これによると、立上り部は、端部材の上に乗る作業者の重量等による大きな荷重を充分に受けることができる強度を補強部によって備えることになり、また、端部材全体の強度も大きくすることができる。また、補強部をエンボス加工により形成すると、このエンボス加工は、端部材の材料である板金に簡単に行うことができる加工であるため、立上り部に簡単な作業で補強部を設けることができる。
【0015】
さらに、このように立上り部にエンボス加工による補強部を設ける場合には、この補強部は任意の形状のものでよいが、補強部を縦長の形状とすることが好ましい。
【0016】
このように補強部を縦長の形状とすると、立上り部は、上からの荷重に対して座屈が生じにくいものとなり、このため、端部材の上に乗る作業者の重量等による大きな荷重を一層充分に受けることができる強度を立上り部に付与できる。
【0017】
また、本発明において、立上り部を、下側水平部から鉛直に立ち上がったものとしてもよいが、立上り部を、鉛直方向に対して傾いた傾き角度をもって下側水平部から立ち上がったものとし、この立上り部の鉛直方向からの傾き方向を、前述した傾斜連結部の鉛直方向からの傾き方向と反対側にすることが好ましい。
【0018】
このように立上り部を、鉛直方向に対して傾いた傾き角度をもって下側水平部から立ち上がったものとし、この立上り部の鉛直方向からの傾き方向を、傾斜連結部の鉛直方向からの傾き方向と反対側にすると、端部材に下向きに作用する作業者の重量等による大きな荷重を、立上り部と傾斜連結部とにより有効に支持することができるようになる。
【0019】
以上説明した本発明に係る端部材が使用される作業布板は、建築の作業現場や、土木の作業現場、解体の作業現場、塗装の作業現場等の任意の作業現場で構築される仮設足場に用いることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、作業布板の端部材が充分の強度を備えるようになり、しかもこの強度を、端部材の材料となっている板金の折り曲げによって確保できるようになるという効果を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る作業布板が用いられて構築されている仮設足場を示す斜視図である。
図2図2は、作業布板の平面図である。
図3図3は、作業布板の底面図である。
図4図4は、作業布板の側面図である。
図5図5は、図2のS5−S5線断面図である。
図6図6は、作業布板の本体を二点鎖線で示した端部材の斜視図である。
図7図7は、端部材の正面図である。
図8図8は、端部材の背面図である。
図9図9は、図6のS9−S9線断面図である。
図10図10は、図6のS10−S10線断面図である。
図11図11は、図6の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1には、建築等の作業現場で構築されている仮設足場の一部が示されており、作業対象物の外周に構築されたこの仮設足場は、複数本の支柱1と、これらの支柱1ごとに支柱1の下端に配置され、それぞれの支柱1の高さを調整するためのジャッキベース2と、作業者が乗って作業するための作業布板3とを含んで構築されている。それぞれ支柱1の外周面には、継手部材となっている複数個のフランジ4が上下方向に等間隔で結合されており、また、それぞれの支柱1の上端には、図示しない継ぎ足し用支柱の下端が図示しない連結パイプを介して連結され、これらの継ぎ足し用支柱により仮設足場の大きな高さ寸法が確保される。
【0023】
作業布板3は、複数個の作業布板3が長さ方向や幅方向に並設されることにより作業者歩行通路5を形成するものであり、図1に示されている作業布板3には、幅寸法が大きい作業布板3Aと、幅寸法が小さい作業布板3Bとがある。これらの作業布板3A,3Bの長さ方向の両端部には、作業布板3A,3Bごとに2個のフック部材6が、作業布板3A,3Bの幅方向両側において設けられている。これらのフック部材6は、複数本の支柱1のうち、作業布板3A,3Bの幅方向両側に立設されている2本の支柱1のフランジ4に架け渡されている横架材7に係止され、これにより、それぞれの作業布板3A,3Bは、仮設足場に水平に配置されている。
【0024】
図2図3及び図4には、作業布板3Aの平面図、底面図及び側面図が示されている。これらの図2図4に示されているように、作業布板3Aは、作業布板3Aの長さ方向の中央部に配置され、作業布板3Aの全長の大部分を占めている本体10と、作業布板3Aの長さ方向の両端部に配置され、本体10に取り付けられている端部材11とを有するものとなっている。
【0025】
図5は、図2のS5−S5線断面図であり、この図5から分かるように、本体10は、作業布板3Aの幅方向に並設された2個の踏み部材12からなり、これらの踏み部材12は、板金を折り曲げることにより形成されているため、それぞれの踏み部材12は、作業者が乗る上面部12Aと、この上面部12Aの幅方向の両端部から下側へ折り曲げられることより下方へ延びている側面部12B,12Cと、これらの側面部12B,12Cの下端から互いに向かい合う方向へ折り曲げられることにより、踏み部材12の幅方向内側へ延びている下面部12D,12Eと、これらの下面部12D,12Eの先端から上側へ折り曲げられることにより上方へ起立している起立部12F,12Gとを有している。図3に示されているように、隙間13をあけて作業布板3Aの幅方向に並設されている2個の踏み部材12の下面部12D,12Eには、本体10の幅方向を長さ方向とする板金製の連結部材14が配置され、本体10の長さ方向に2個並設されている連結部材14が、それぞれの踏み部材12の下面部12D,12Eに溶接で結合されることにより、2個の踏み部材12が連結部材14により結合されている。
【0026】
なお、図2に示されているように、板金で形成されているそれぞれの踏み部材12における作業者が乗る上面部12Aには、補強部にもなっている滑り止め部15がエンボス加工により上向きの凸部として形成されており、また、図3及び図5に示されているように、板金製の連結部材14には、補強部16がエンボス加工により形成されている。
【0027】
図5に示されているように、それぞれの踏み部材12において、下面部12D,12Eについての作業布板3Aの幅方向の長さは、上面部12Aについての作業布板3Aの幅方向の長さよりも短いため、2個の起立部12F,12Gの間には、空間部17が設けられている。
【0028】
図1で説明したように、作業布板3Aの幅方向の両側に2個設けられているフック部材6は、厚板材により形成されており、これらのフック部材6は、図5に示されているように、それぞれ踏み部材12における作業布板3Aの幅方向外側の側面部12Bの内側に配置され、それぞれのフック部材6の基部は、図3及び図4で示されているリベット等の止着具18により側面部12Bに止着されている。それぞれの踏み部材12から作業布板3Aの長さ方向外側に突出しているフック部材6の先端部には、図1で示した横架材7が挿入係止される図4の凹部19が形成されており、フック部材6には、横架材7が挿入されたときの凹部19の下部を塞ぐことにより横架材7の脱落を防止するためのロック部材20がピン21により遊動可能に配置されている。
【0029】
なお、図2及び図3から分かるように、作業布板3Aの幅方向の両側に2個設けられているフック部材6のうち、一方のフック部材6Aの先端部に対して他方のフック部材6Bの先端部は、折り曲げ等により作業布板3Aの幅方向内側に少しずれている。このように2個のフック部材6のうち、一方のフック部材6Aの先端部に対して他方のフック部材6Bの先端部を作業布板3Aの幅方向内側に少しずらしている理由は、2個の作業布板3Aを、図1に示されているように、これらの作業布板3Aの長さ方向に並設したときに、同じ横架材7に係止したフック部材6同士が干渉しないようにするためである。
【0030】
作業布板3Aの本体10の長さ方向の両端部に取り付けられている前述の端部材11は、本体10を形成している踏み部材12と同様に、板金を折り曲げることにより形成されている。すなわち、端部材11の材料である板金を、端部材11を展開したときの形状と同じになっている所定形状に打ち抜き、この後に、この打ち抜きによって得られた板金を折り曲げることにより端部材11が製造されている。
【0031】
図6には、端部材11の斜視図が示されており、図7は、端部材11の正面図であり、図8は、端部材11の背面図である。また、図9図6のS9−S9線断面図であり、図10は、図6のS10−S10線断面図である。これらの図6図10に示されているように、端部材11は、本体10から作業布板3Aの長さ方向へ延びている上側水平部30と、本体10から作業布板3Aの長さ方向へ延びている下側水平部31と、これらの上側水平部30の先端と下側水平部31の先端とを斜めに連結している傾斜連結部32とを有し、図9及び図10から分かるように、上側水平部30の先端は、下側水平部31の先端よりも前記作業布板3Aの長さ方向外側へ突出しているため、傾斜連結部32は、上側水平部30の先端から下側へ延びるにしたがい作業布板3Aの長さ方向内側に向かう方向に傾斜している。
【0032】
端部材11についての作業布板3Aの幅方向の長さは、本体10についての作業布板3Aの幅方向の幅寸法と同じ又はこの幅寸法よりも少し短くなっており、図6に示されているように、端部材11における作業布板3Aの幅方向の両側には、上側水平部30の先端部側及び下側水平部31の先端部側において、作業布板3Aの幅方向内側へ切り込まれた切込み部33が形成されている。そして、これらの切込み部33と一致又は略一致する箇所において、下側水平部31からは立上り部34が立ち上がっており、これらの立上り部34の上端は、図9及び図10に示されているように、上側水平部30の下面に溶接されており、このため、立上り部34と上側水平部30の下面との結合部は、溶接部35となっている。
【0033】
なお、図7に示されているように、端部材11における作業布板3Aの幅方向の両側に2個設けられている立上り部34のうち、一方の立上り部34Aに対して他方の立上り部34Bは、作業布板3Aの幅方向内側に少しずれている。このように一方の立上り部34Aに対して他方の立上り部34Bを作業布板3Aの幅方向内側に少しずらした理由は、前述したように、作業布板3Aの幅方向の両側に2個設けられているフック部材6のうち、一方のフック部材6Aの先端部に対して他方のフック部材6Bの先端部が作業布板3Aの幅方向内側に少しずれているため、立上り部34Bと、フック部材6Bの先端部及びこの先端部に配置されている前述のロック部材20とが干渉しないようにするためである。
【0034】
そして、本実施形態のそれぞれの立上り部34は、下側水平部31との接続部となっている図6の下端36でこの下側水平部から折り曲げることにより形成されている。これについて図6の要部を拡大している図11により説明すると、前述したように端部材11は、端部材11の材料である板金を、端部材11を展開したときの形状と同じになっている所定形状に打ち抜き、この後に、この打ち抜きによって得られた板金を折り曲げることにより製造されるが、この打ち抜きを、立上り部34となる部分34’(図11の二点鎖線で示した部分)を残して行う。次いで、打ち抜きによって得られた板金を折り曲げることによって上側水平部30と下側水平部31と傾斜連結部32とを形成し、この後に、下側水平部31との接続部となっている下端36から部分34’を上側へ折り曲げ、これにより、下端36で下側水平部31と接続されている立上り部34を形成し、次いで、前述したように、立上り部34の上端を溶接により上側水平部30の下面に結合する。
【0035】
また、本実施形態の立上り部34は、図10に示されているように、下側水平部31から鉛直線Nに沿って鉛直方向に立ち上がっておらず、鉛直方向に対して傾いた傾き角度をもって下側水平部31から立ち上がっており、この立上り部34の鉛直方向からの傾き方向は、傾斜連結部32の鉛直方向からの傾き方向と反対側になっている。
【0036】
また、本実施形態の端部材11には、下側水平部31の後端部において、すなわち、下側水平部31における作業布板3Aの長さ方向の両端部のうち、作業布板3Aの長さ方向内側の端部において、上側へ突出した突条37が設けられており、この突条37も下側水平部31からの折り曲げによりで形成されている。このような突条37は、図8に示されているように、下側水平部31における作業布板3Aの幅方向全長に渡って設けられておらず、下側水平部31における作業布板3Aの幅方向の両端部と、下側水平部31における作業布板3Aの幅方向中央部とを除く箇所に突条37が設けられており、このため、作業布板3Aの幅方向の間隔をあけて2個の突条37が下側水平部31に形成されている。
【0037】
本体10における作業布板3Aの長さ方向の両端部に端部材11を取り付けるためには、本体10を形成するために図3の連結部材14で作業布板3Aの幅方向に連結されているそれぞれの踏み部材12の2個の起立部12F,12Gの間に、図8に示されているように、突条37を挿入しながら、これらの踏み部材12の上面部12Aと下面部12D,12Eを端部材11の上側水平部30と下側水平部31との間に挿入し、互いに作業布板3Aの幅方向に当接する突条37と起立部12F,12Gとにより、本体10と端部材11とを作業布板3Aの幅方向に位置決めした後に、踏み部材12の上面部12Aと端部材11の上側水平部30とを溶接で結合し、踏み部材12の下面部12D,12Eと端部材11の下側水平部31とを溶接で結合する。
【0038】
これにより、本体10における作業布板3Aの長さ方向の両端部に端部材11が取り付けられたことになる。
【0039】
なお、本実施形態では、図6に示されているように、端部材11の上側水平部30には、この上側水平部30の上に乗った作業者が滑ることを防止するための滑り止め部40が、端部材11の材料である板金のエンボス加工により上向きの凸部として形成されており、この滑り止め部40には、作業布板3Aの幅方向の長さが長い滑り止め部40Aと、作業布板3Aの幅方向の長さが短い滑り止め部40Bとがある。
【0040】
また、それぞれの立上り部34には、図6及び図11に示されているように、端部材11の材料である板金のエンボス加工により補強部41が設けられており、この補強部41は、縦長の形状となっている。
【0041】
以上説明した本実施形態に係る端部材11は、下側水平部31から立ち上がり、上端が上側水平部30の下面に結合されている立上り部34を有しているため、この立上り部34により、端部材11の上に乗る作業者の重量等による大きな荷重に対する充分の強度を確保できる。
【0042】
また、立上り部34は、下側水平部31との接続部となっている下端36でこの下側水平部31から折り曲げることにより形成されているため、板金の折り曲げ品となっている端部材11を製造する際に、板金の折り曲げにより立上り部34も形成できることになり、このため、充分の強度を板金の折り曲げによって得られ、また、端部材11の材料である板金の歩留まりを向上させて、安価なコストで端部材11を製造できるようになる。
【0043】
また、立上り部34は、作業布板3Aの幅方向の両側に2個設けられているため、端部材11の強度を一層大きくできる。
【0044】
さらに、立上り部34の上端を上側水平部30の下面に結合することは、溶接によりお行われているため、立上り部34と上側水平部30とを、簡単な作業である溶接作業により大きな強度で結合することができる。
【0045】
また、立上り部34には、補強部41を設けられているため、立上り部34は、端部材11の上に乗る作業者の重量等による大きな荷重を充分に受けることができる強度を補強部41によって備えることになり、また、端部材11全体の強度も大きくすることができる。また、補強部41は、端部材の材料である板金にエンボス加工により形成されているため、立上り部34に補強部41を簡単な作業によって設けることができる。
【0046】
さらに、補強部41は縦長の形状となっているため、立上り部34は、上からの荷重に対して座屈が生じにくいものとなり、このため、端部材の上に乗る作業者の重量等による大きな荷重を一層充分に受けることができる強度を立上り部34に付与できる。
【0047】
また、本実施形態の立上り部34は、前述したように、下側水平部31から鉛直線Nに沿って鉛直方向に立ち上がっておらず、鉛直方向に対して傾いた傾き角度をもって下側水平部31から立ち上がっているとともに、この立上り部34の鉛直方向からの傾き方向は、上側水平部30の先端と下側水平部31の先端とを斜めに連結している傾斜連結部32の鉛直方向からの傾き方向と反対側になっていため、立上り部34と傾斜連結部32とに作業者の重量等による荷重が作用したときに、立上り部34に作用する荷重のうち、水平方向の成分の向きと、傾斜連結部32に作用する荷重のうち、水平方向の成分の向きとを、これらの成分を相殺させる互いに逆の向きにすることができ、このため、立上り部34と傾斜連結部32に作用する荷重の支持を、これらの立上り部34と傾斜連結部32により一層有効に行うことができる。
【0048】
以上説明した実施形態は、図1で示されている幅寸法が大きい作業布板3Aと、幅寸法が小さい作業布板3Bとのうち、幅寸法が大きい作業布板3Aについてであったが、幅寸法が小さい作業布板3Bの本体は、幅寸法が大きい作業布板3Aの本体を形成するために2個用いられている踏み部材12の個数が1個となっているものであり、このため、幅寸法が小さい作業布板3Bのための端部材は、幅寸法が大きい作業布板3Aのための端部材11よりも作業布板3の幅方向の長さが短いだけであり、このため、幅寸法が大きい作業布板3Aのための端部材11の立上り部34に関する構成等は、幅寸法が小さい作業布板3Bのための端部材の立上り部を設ける際にもそのまま適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、建築や土木等の作業現場で構築される仮設足場に作業者用歩行通路等を形成するために用いられる作業布板に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
3,3A,3B 作業布板
10 本体
11 端部材
30 上側水平部
31 下側水平部
32 傾斜連結部
34,34A,34B 立上り部
35 溶接部
36 下端
41 補強部
N 鉛直線
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11