特許第6563693号(P6563693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6563693近赤外線吸収パターン印刷シートおよびこれに用いるインキ組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563693
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】近赤外線吸収パターン印刷シートおよびこれに用いるインキ組成物
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/22 20060101AFI20190808BHJP
   C09D 11/101 20140101ALI20190808BHJP
   C09K 3/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   G02B5/22
   C09D11/101
   C09K3/00 105
【請求項の数】11
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-108745(P2015-108745)
(22)【出願日】2015年5月28日
(65)【公開番号】特開2016-224176(P2016-224176A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年4月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】513244753
【氏名又は名称】カーリットホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】矢島 淳吾
(72)【発明者】
【氏名】田村 正明
(72)【発明者】
【氏名】笠原 直人
【審査官】 辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−034250(JP,A)
【文献】 特開2015−067776(JP,A)
【文献】 特開2011−068731(JP,A)
【文献】 特開2011−241335(JP,A)
【文献】 特開2015−074091(JP,A)
【文献】 特開2014−105251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/22
C09D 11/101
C09K 3/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上に、近赤外線を吸収する層がパターン印刷されている近赤外線吸収パターン印刷シートであって、
下記成分(a)〜(c)
(a)近赤外線吸収剤
(b)分子量が15004000であり、アクリロイル基を9または10個有するウレタンアクリレート
(c)分子量が50000であり、アクリロイル基を2または3個有するウレタンアクリレート
を含有し、成分(b)と成分(c)の質量比が57894311であるインキ組成物を用いて近赤外線を吸収する層をパターン印刷したことを特徴とする近赤外線吸収パターン印刷シート。
【請求項2】
成分(a)近赤外線吸収剤が、下記一般式(1)
【化1】
(式(1)中、R〜Rはそれぞれ同一でも異なっていても良い有機基を表し、Xはアニオンを示す。)
で表されるジイモニウム塩化合物である請求項1記載の近赤外線吸収パターン印刷シート。
【請求項3】
一般式(1)で表されるジイモニウム塩化合物中のR〜Rが、下記一般式(2)
【化2】
(式(2)中、Aは炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を示す。)
で表されるシクロヘキシルアルキル基である請求項2記載の近赤外線吸収パターン印刷シート。
【請求項4】
インキ組成物の粘度が100〜300mPa・sである請求項1〜3の何れかに記載の近赤外線吸収パターン印刷シート。
【請求項5】
パターン印刷をグラビア印刷で行うものである請求項1〜4の何れかに記載の近赤外線吸収パターン印刷シート。
【請求項6】
近赤外線を吸収する層の裏面に、更に、紫外線吸収層を設けるものである請求項1〜5の何れかに記載の近赤外線吸収パターン印刷シート。
【請求項7】
基材が可視光を透過するものである請求項1〜6の何れかに記載の近赤外線吸収パターン印刷シート。
【請求項8】
下記成分(a)〜(c)
(a)近赤外線吸収剤
(b)分子量が15004000であり、アクリロイル基を9または10個有するウレタンアクリレート
(c)分子量が50000であり、アクリロイル基を2または3個有するウレタンアクリレート
を含有し、成分(b)と成分(c)の質量比が57894311であることを特徴とするインキ組成物。
【請求項9】
成分(a)近赤外線吸収剤が、下記一般式(1)
【化3】
(式(1)中、R〜Rはそれぞれ同一でも異なっていても良い有機基を表し、Xはアニオンを示す。)
で表されるジイモニウム塩化合物である請求項8記載のインキ組成物。
【請求項10】
一般式(1)で表されるジイモニウム塩化合物中のR〜Rが、下記一般式(2)
【化4】
(式(2)中、Aは炭素数1〜10のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を示す。)
で表されるシクロヘキシルアルキル基である請求項9記載のインキ組成物。
【請求項11】
インキ組成物の粘度が100〜300mPa・sである請求項8〜10の何れかに記載のインキ組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線カメラ等の利用により位置情報を提供可能な近赤外線吸収パターン印刷シートおよびそれに用いるインキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、手書きした文字、絵および記号等を、情報処理装置が扱うことのできる電子データに変換する必要性が高まっている。特に、手書き情報をリアルタイムでコンピューター等へ入力する方式への需要が高まっている。
【0003】
特許文献1には、赤外線カメラを有する光学ペンによる読み取り可能な光学フィルムが開示され、近赤外線または紫外線を拡散する基材上に、近赤外線または紫外線を吸収する層がパターン印刷されてなる光学フィルムが記載されている。特許文献1に記載の近赤外線または紫外線を吸収する層をパターン印刷する際に用いるインキでは、粘度が低くドットの接触角が小さくなるため、赤外線カメラで見た際のコントラスト比が小さい欠点がある。また、特許文献1に記載の近赤外線または紫外線吸収層は耐溶剤性に劣るため、前記吸収層の上に保護のためのアクリル樹脂等の層を設けることが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−209598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、赤外線カメラで見た際に高いコントラスト比を有し、更にドットの耐溶剤性に優れた近赤外線吸収パターン印刷に関する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、近赤外線を吸収する層がパターン印刷されている近赤外線吸収パターン印刷シートにおいて、近赤外線吸収剤と、特定の種類のウレタンアクリレートを、特定の質量比で組み合わせたインキ組成物を用いて近赤外線を吸収する層をパターン印刷することにより、赤外線カメラで見た際に高いコントラスト比を有し、更にドットの耐溶剤性に優れた近赤外線吸収パターン印刷シートが得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、基材上に、近赤外線を吸収する層がパターン印刷されている近赤外線吸収パターン印刷シートであって、
下記成分(a)〜(c)
(a)近赤外線吸収剤
(b)分子量が1000〜3000であり、アクリロイル基を9または10個有するウレタンアクリレート
(c)分子量が30000〜70000であり、アクリロイル基を2または3個有するウレタンアクリレート
を含有し、成分(b)と成分(c)の質量比が50〜90:10〜50であるインキ組成物を用いて近赤外線を吸収する層をパターン印刷したことを特徴とする近赤外線吸収パターン印刷シートである。
【0008】
また、本発明は、下記成分(a)〜(c)
(a)近赤外線吸収剤
(b)分子量が1000〜3000であり、アクリロイル基を9または10個有するウレタンアクリレート
(c)分子量が30000〜70000であり、アクリロイル基を2または3個有するウレタンアクリレート
を含有し、成分(b)と成分(c)の質量比が50〜90:10〜50であることを特徴とするインキ組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の近赤外線吸収パターン印刷シートは、基材上にパターン印刷した近赤外線吸収パターン(ドット)の高さを高くすることができるため、赤外線カメラで見た際のコントラスト比が従来よりも高いものとなる。
【0010】
また、この近赤外線吸収パターンは耐溶剤性に優れるため、近赤外線吸収パターンの上に保護のためのアクリル樹脂等の層を容易に設けることもできる。更に、近赤外線吸収パターン印刷シートには従来必要であった近赤外線の反射層を設ける必要もない。
【0011】
従って、本発明の近赤外線吸収パターン印刷シートは、赤外線カメラを利用した各種入力デバイスに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の近赤外線吸収パターン印刷シートの一態様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、近赤外線とは、波長750〜2000nmの範囲の光をいう。また、分子量はゲル浸透クロマトグラフィーで測定されるものをいう。更に、粘度は25℃においてE型粘度計により測定されるものをいう。また更に、接触角は接触角計により測定される滴下10秒後の接触角をいう。更にまた、コントラスト比は赤外線カメラで確認した際のパターン印刷部(黒)と非印刷部(白)との輝度の差をいう。
【0014】
本発明の近赤外線吸収パターン印刷シート(以下、「本発明シート」という)は、基材上に、近赤外線を吸収する層がパターン印刷されたものであって、
下記成分(a)〜(c)
(a)近赤外線吸収剤
(b)分子量が1000〜3000であり、アクリロイル基を9または10個有するウレタンアクリレート
(c)分子量が30000〜70000であり、アクリロイル基を2または3個有するウレタンアクリレート
を含有し、成分(b)と成分(c)の質量比が50〜90:10〜50であるインキ組成物を用いて近赤外線を吸収する層がパターン印刷されたものである。
【0015】
本発明シートを構成する基材は、特に限定されないが、例えば、可視光を透過する、いわゆる透明な材質で形成されたものが好ましい。この様な材質のものとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;トリアセチルセルロース(TAC);メチルメタクリレート系共重合物等のアクリル樹脂;スチレン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル樹脂;ポリメタクリルイミド樹脂等の樹脂を挙げることができる。これら樹脂は有色であっても無色であってもよい。また、これら樹脂の形状も特に限定されないが、シート状のものが好ましい。
【0016】
本発明シートを構成する近赤外線を吸収する層を形成するインキ組成物(以下、「本発明組成物」という)の成分(a)の近赤外線吸収剤は、近赤外線を吸収するものであれば特に限定されず、例えば、ジイモニウム塩化合物、フタロシアニン化合物、シアニン化合物、アントラキノン化合物、ジチオール化合物等が挙げられる。これら近赤外線吸収剤の中でもジイモニウム塩化合物が好ましく、特に下記一般式(1)で表されるジイモニウム塩化合物が、UV硬化耐性、かつ、近赤外線を吸収する能力に優れているため好ましい。
【0017】
【化1】
【0018】
上記一般式(1)中の、R〜Rの有機基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、好ましい有機基としては、例えば、ハロゲン原子で置換されていてもよい直鎖または分岐状のC1−10アルキル基、シクロヘキシルアルキル基、フェニルアルキル基等が挙げられる。
【0019】
上記有機基のうち、C1−10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、iso−アミル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。
【0020】
また、上記有機基のうち、ハロゲン原子で置換されたC1−10アルキル基としては、例えば、2−ハロゲノエチル基、2,2−ジハロゲノエチル基、2,2,2−トリハロゲノエチル基、3−ハロゲノプロピル基、3,3−ジハロゲノプロピル基、3,3,3−トリハロゲノプロピル基、4−ハロゲノブチル基、4,4−ジハロゲノブチル基、4,4,4−トリハロゲノブチル基、5−ハロゲノペンチル基、5,5−ジハロゲノペンチル基、5,5,5−トリフルオロペンチル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。より具体的には、2−フルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、4−フルオロブチル基、5−フルオロペンチル基等のモノフルオロアルキル基等が挙げられる。
【0021】
更に、上記有機基のうち、シクロヘキシルアルキル基は、下記一般式(2)で表すことができる。
【0022】
【化2】
【0023】
一般式(2)中、Aは炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を示す。
【0024】
上記シクロヘキシルアルキル基の具体例としては、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルプロピル基、シクロヘキシルブチル基、メチル2−エチルシクロヘキシルメチル基、3−メチルシクロヘキシルメチル基、4−メチルシクロヘキシルメチル基、4−メチルシクロヘキシルエチル基、4−メチルシクロヘキシルプロピル基、4−メチルシクロヘキシルブチル基、4−フルオロシクロヘキシルメチル基等が挙げられる。これらの中でもシクロヘキシルメチル基が好ましい。
【0025】
また更に、上記有機基のうち、フェニルアルキル基は、下記一般式(3)で表すことができる。
【0026】
【化3】
【0027】
一般式(3)中、Bは炭素数1〜10のアルキル基、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を示し、R10は炭素数1〜4のアルキル基またはハロゲン原子を示す。
【0028】
上記フェニルアルキル基の具体例としては、メチルベンジル基、エチルベンジル基、プロピルベンジル基、ブチルベンジル基等が挙げられる。
【0029】
これらの有機基の中で、特に好ましいのは、一般式(2)で表されるシクロヘキシルアルキル基であり、特に好ましくはシクロヘキシルメチル基である。これらの有機基にすることで、疎水性が高くなるため、耐久性に優れるようになる。
【0030】
また、一般式(1)で表されるジイモニウム塩化合物中のXは、ジイモニウム化合物カチオンの電荷を中和させるのに必要なアニオンであり、例えば、無機アニオン、有機酸アニオン等が使用できる。アニオンとして具体的には、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、過塩素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオン、ビス(フルオロスルホニル)イミド酸イオン等が挙げられる。
【0031】
これらアニオンの中でも、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオン、ビス(フルオロスルホニル)イミド酸イオンがより好ましく挙げられ、ヘキサフルオロリン酸イオンまたはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸イオンが好ましい。
【0032】
これらジイモニウム塩化合物は、例えば、特開2010−249964号公報の記載に基づいて合成したものや、市販のもの等を利用することができる。市販品としては、例えば、CIR−FS163M(日本カーリット社製、末端:シクロヘキシルメチル基)、CIR−265(日本カーリット社製、末端:エチルベンジル基)等が挙げられる。
【0033】
本発明組成物の成分(b)の分子量が1000〜3000であり、アクリロイル基を9または10個有するウレタンアクリレートは、特に限定されず、例えば、アルコール、ポリオール、および/またはヒドロキシル基含有アクリレート等のヒドロキシル基含有化合物類とイソシアネート類を反応させ、または必要によって、これらの反応によって得られたポリウレタン化合物を(メタ)アクリル酸でエステル化して合成したものや、市販のもの等を利用することができる。市販のものとしては、例えば、アートレジンH−135(根上工業社製、分子量約1500のウレタンアクリレート、アクリロイル基を10個有する)、アートレジン UN−901T(根上工業社製、分子量4000のウレタンアクリレート、アクリロイル基を10個有する)、紫光UV−1700B(日本合成化学社製、分子量約2000、アクリロイル基を9個有する)、紫光UV−7620EA(日本合成化学社製、分子量約4100、アクリロイル基を9個有する)等が挙げられる。
【0034】
本発明組成物の成分(c)の分子量が30000〜70000であり、アクリロイル基を2または3個有するウレタンアクリレートは、特に限定されず、例えば、アルコール、ポリオール、および/またはヒドロキシル基含有アクリレート等のヒドロキシル基含有化合物類とイソシアネート類を反応させ、または必要によって、これらの反応によって得られたポリウレタン化合物を(メタ)アクリル酸でエステル化して合成したものや、市販のもの等を利用することができる。市販のものとしては、例えば、アートレジンUN−5500MI(根上工業社製、分子量約50000のウレタンアクリレート、アクリロイル基を2個有する)、紫光UV−3700B(日本合成化学社製、分子量約38000、アクリロイル基を2個有する)等が挙げられる。
【0035】
なお、本発明組成物においては、成分(b)および(c)のように、ウレタンアクリレートの分子量が特定のものを用いることにより、組成物(固形分濃度30質量%)の粘度を後記するようなパターン印刷に適した粘度にすることができ、かつ、パターン印刷した赤外線吸収層の耐溶剤性を優れたものとすることができる。また、アクリロイル基の数を変えることで、組成物の粘度に変化はないが、パターン印刷した赤外線吸収層の耐溶剤性をさらに優れたものとすることができる。
【0036】
また、本発明組成物においては、成分(b)と成分(c)の質量比は、50〜90:10〜50、好ましくは60〜70:40〜30、より好ましくは60:40あるいは70:30である。こうすることにより硬化性を損なわず耐溶剤性が良好なパターン印刷物となる。
【0037】
更に、本発明組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、溶剤、光重合開始剤、紫外線吸収剤、レオロジーコントロール剤等の添加剤等を添加してもよい。
【0038】
上記溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の一般的な溶剤やそれらの混合物等が挙げられる。
【0039】
上記光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチル−ベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート等が挙げられる。
【0040】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、2−[4−[(2−ヒドロキシ−3−(ドデシルおよびトリデシル)オキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−[1−オクチルオキシカルボニルエトキシ]フェニル)−4,6−ビス(4−フェニルフェニル)−1,3,5−トリアジンなどのヒドロキシフェニルトリアジン系、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(3−tブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレートなどのサリチレート系等が挙げられ、これらを単独でもしくは2種以上混合して用いる。
【0041】
上記レオロジーコントロール剤としては、例えば、変性ウレア、ウレア変性ポリアマイド、脂肪酸アマイド、ポリウレタン、高分子ウレア誘導体、シリカ、炭酸カルシウム、スメクタイト等が挙げられる。
【0042】
本発明組成物の好ましい態様としては、例えば、以下のものが挙げられる。
近赤外線吸収剤 5〜8質量%
分子量が1000〜3000であり、アクリロイル基を9または10個有するウレタンアクリレート 10〜15質量%
分子量が30000〜70000であり、アクリロイル基を2または3個有するウレタンアクリレート 5〜10質量%
溶剤 60〜70質量%
光重合開始剤 1〜3質量%
紫外線吸収剤 1〜3質量%
レオロジーコントロール剤 0.1〜1質量%
成分(b)と成分(c)の質量比60〜70:40〜30
【0043】
以上説明した本発明組成物は、基本的に各成分を混合することにより調製することができるが、具体的には、次の様にして調製することができる。まず、溶剤60〜70重量部に、成分(a)を5〜8重量部入れ、撹拌混合する。次に、これに成分(b)を10〜15重量部、成分(c)を5〜10重量部、必要により、光重合開始剤を1〜3重量部、紫外線吸収剤を1〜3重量部、レオロジーコントロール剤を0.1〜1重量部入れて溶解することにより調製することができる。
【0044】
また、本発明組成物の固形分濃度は、パターン印刷に適した濃度であれば特に限定されず、また、その粘度も特に限定されないが、例えば、100〜300mPa・s、好ましくは200〜300mPa・sである。
【0045】
更に、本発明組成物の接触角は、特に限定されないが、例えば、平坦な基板上に滴下10秒後に、30〜45°、好ましくは40〜45°である。
【0046】
このようにして調製された本発明組成物を用いて近赤外線を吸収する層をパターン印刷する方法は特に限定されないが、例えば、フレキソ印刷、グラビア印刷、孔版印刷、インキジェット印刷等の印刷方法が挙げられる。これらの印刷方法の中でも高速印刷が可能で大量生産に向いており、かつ精度が高いグラビア印刷が好ましい。本発明のインキ組成物の粘度はグラビア印刷に最適であるため、高速印刷でかつ精度が高く印刷することができる。
【0047】
また、印刷されるパターンは、特に限定されないが、不規則な配列のドット状のパターンである。
【0048】
上記パターン印刷後は、乾燥炉に数分間通し、溶剤を揮発させた後、紫外線硬化させることにより本発明シートが得られる。
【0049】
なお、本発明シートの近赤外線を吸収する層(パターン)の裏面には、更に、紫外線吸収層を設けてもよい。これにより近赤外線吸収層が紫外線で劣化するのを防止することができる。紫外線吸収層は、紫外線吸収剤を含有する(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマー樹脂で形成することができる。紫外線吸収剤は、250〜400nmの波長を吸収する色素であり、具体的には、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。この紫外線吸収層を設けることで、近赤外線吸収層や内部部品の紫外線による劣化を防止し、耐久性を向上させることができる。
【0050】
また、本発明シートの近赤外線を吸収する層(パターン)の表面には、更に、保護層を設けてもよい。上記近赤外線を吸収する層は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエン、イソプロパノール等の溶剤にほとんど溶解しないため、耐溶剤性は高いが、この保護層を設けることで耐溶剤性が更に向上する。保護層は、(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマー樹脂で形成することができる。
【0051】
更に、本発明シートの基材の下には、更に、ハードコート層を設けてもよい。これにより傷付き防止となる。ハードコート層は(メタ)アクリレートモノマーおよび/またはオリゴマー樹脂で形成することができる。
【0052】
また更に、本発明シートの近赤外線を吸収する層(パターン)の表面には、近赤外線を反射する反射層を設けてもよいが、本発明シートにおいては近赤外線を吸収する層の厚さが十分にあるため、反射層は必須ではない。
【0053】
上記した紫外線吸収層、保護層、ハードコート層、反射層等は、公知の方法に従って、適宜、印刷、焼成、硬化等を行うことにより形成することができる。
【0054】
本発明シートの好ましい態様としては、例えば、下から順に、ハードコート層、基材、近赤外線を吸収する層、保護層の構成である。
【0055】
以上のようにして得られる本発明シートはパターン印刷された近赤外線を吸収する層を、従来のものよりも厚くすることができ、例えば、径が130〜160μmで高さが1.0〜1.3μmとすることができる。
【0056】
そのため、本発明シートは、赤外線カメラ等の近赤外線の照射および検知が可能な端末で、近赤外線吸収パターン印刷シート上のパターンを認識することにより、前記シートにおける位置情報を提供することができる。特に、本発明シートは高いコントラスト比となるため、赤外線カメラによる認識が容易である。
【0057】
以上説明した本発明シートは、例えば、タブレットモジュールの表面に設けることができる。これによりタブレットの画面の上から赤外線カメラで位置情報を確認することができる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明の実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0059】
実 施 例 1
インキ組成物:
メチルイソブチルケトンにUV硬化耐性を有するジイモニウム色素(日本カーリット社製、CIR−FS163M:末端がシクロヘキシルメチル基)20質量部を入れ、攪拌混合した。この溶液に分子量約1500のウレタンアクリレート(根上工業社製、アートレジンH−135、アクリロイル基10個)40質量部、分子量約50000のウレタンアクリレート(根上工業製、アートレジンUN−5500MI、固形分50%、溶媒:メチルイソブチルケトン、アクリロイル基2個)60質量部、光重合開始剤(ビーエーエスエフジャパン社製、イルガキュア127)3質量部、レオロジーコントロール剤(ビックケミー社製、BYK−405)を入れて溶解させ、固形分濃度を30%にした近赤外線吸収インキ組成物を得た(固形分比は57:43)。
【0060】
上記で得たインキ組成物の25℃における粘度を、E型粘度計(東京計器社製)を用いて測定した結果、230mPa・sであった。また、接透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)基材に上記で得たインキ組成物を滴下し、接触角計(協和界面化学社製)を用いて接触角を測定した結果、10秒後に40°と、高い接触角を有していた。
【0061】
実 施 例 2
近赤外線吸収パターン印刷シート:
100μm厚の透明なPET基材からなる透明基板上に、実施例1で得たインキ組成物をグラビア印刷により平面視形状が直径130μmの円形の不規則な配列のドット状パターンを印刷した。その後、この基板を100℃の乾燥炉に1〜2分通し、溶媒を揮発させた後、240W/cm、出力100%でUV硬化させ、近赤外線吸収パターン印刷シートを得た(ドット径130μm)。この近赤外線吸収パターン印刷シートの模式図を図1に示した。
【0062】
試 験 例 1
近赤外線吸収パターン印刷シートの物性評価:
(1)耐溶剤性
パターン印刷した表面部分を、メチルエチルケトンを含浸させた産業用ワイパー(日本製紙クレシア社製、キムワイプ)で10往復拭き取り、耐溶剤性を以下の評価基準で評価した。
【0063】
<評価基準>
(評価) (内容)
○ : 外観変化およびワイパーへの付着なし
△ : 外観変化は見られないが、ワイパーへの付着が少し認められる
× : 外観変化が見られ、ワイパーへの付着も多く認められる
【0064】
上記評価の結果、外観変化およびワイパーへの付着はなく、高い耐溶剤性を有していた(判定○)。
【0065】
(2)ドットの高さ
近赤外線吸収パターンのドットの高さを触針式表面形状測定装置にて測定したところ1.1μmであることがわかった。
【0066】
(3)コントラスト比
メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトンの混合溶媒にアクリレートオリゴマー(根上工業製、アートレジンUN−901T)100重量部、光重合開始剤(ビーエーエスエフジャパン社製、イルガキュア127)3重量部を入れて溶解させ、固形分濃度を40%にしたUV硬化性インキを得た。
【0067】
実施例2と同様にしてドット状にパターン印刷した表面に、更に、上記で得たUV硬化性インキをグラビア印刷後、100℃の乾燥炉に1〜2分通し、溶媒を揮発させた後、240W/cm、出力100%でUV硬化させ、近赤外線吸収パターンを保護層で覆った光学フィルムを得た。
【0068】
この光学フィルムに赤外線カメラから近赤外線を照射し、その反射光の有無を検知し、観察される画像のコントラスト比を目視で以下の評価基準により評価した。
【0069】
<評価基準>
(評価) (内容)
○ : 非印刷部(白)と比較してパターン印刷部(黒)が濃く、鮮明に認められる
△ : 非印刷部(白)と比較してパターン印刷部(黒)がやや薄いが、認められる
× : 非印刷部(白)と比較してパターン印刷部(黒)が薄く、鮮明に認められない
【0070】
上記評価の結果、この光学フィルムは高いコントラスト比を有していた(判定○)。
【0071】
実 施 例 3
インキ組成物:
実施例1において、分子量約1500のウレタンアクリレート(根上工業社製、アートレジンH−135、アクリロイル基10個)を40質量部から55質量部、分子量約50000のウレタンアクリレート(根上工業製、アートレジンUN−5500MI、固形分50%、溶媒:メチルイソブチルケトン、アクリロイル基2個)を60質量部から30質量部に代える以外は実施例1と同様にして、インキ組成物を得た(固形分比は79:21)。このインキ組成物の粘度や接触角を実施例1と同様にして測定したところ、25℃における粘度は160mPa・sであり、接触角は34°であった。
【0072】
実 施 例 4
近赤外線吸収パターン印刷シート:
実施例2において、インキ組成物として実施例3で得たものを用いる以外は実施例2と同様にして、近赤外線吸収パターン印刷シートを得た(ドット径150μm)。また、試験例1と同様にして耐溶剤性、ドット高さおよびコントラスト比を調べたところ、耐溶剤性は○であり、ドット高さは1.1μmであり、コントラスト比は○であった。
【0073】
実 施 例 5
インキ組成物:
実施例1において、分子量約1500のウレタンアクリレート(根上工業社製、アートレジンH−135、アクリロイル基10個)を40質量部から62質量部、分子量約50000のウレタンアクリレート(根上工業製、アートレジンUN−5500MI、固形分50%、溶媒:メチルイソブチルケトン、アクリロイル基2個)を60質量部から16質量部に代える以外は実施例1と同様にして、インキ組成物を得た(固形分比は89:11)。このインキ組成物の粘度や接触角を実施例1と同様にして測定したところ、25℃における粘度は130mPa・sであり、接触角は32°であった。
【0074】
実 施 例 6
近赤外線吸収パターン印刷シート:
実施例2において、インキ組成物として実施例5で得たものを用いる以外は実施例2と同様にして、近赤外線吸収パターン印刷シートを得た(ドット径160μm)。また、試験例1と同様にして耐溶剤性、ドット高さおよびコントラスト比を調べたところ、耐溶剤性は○であり、ドット高さは1.0μmであり、コントラスト比は○であった。
【0075】
実 施 例 7
インキ組成物:
実施例1において、分子量約1500のウレタンアクリレート(根上工業社製、アートレジンH−135、アクリロイル基10個)40質量部を分子量4000のウレタンアクリレート(アートレジン UN−901T、根上工業社製、アクリロイル基9個、固形分80%)50質量部に代える以外は実施例1と同様にして、インキ組成物を得た(固形分比は57:43)。このインキ組成物の粘度や接触角を実施例1と同様にして測定したところ、25℃における粘度は240mPa・sであり、接触角は42°であった。
【0076】
実 施 例 8
近赤外線吸収パターン印刷シート:
実施例2において、インキ組成物として実施例7で得たものを用いる以外は実施例2と同様にして、近赤外線吸収パターン印刷シートを得た(ドット径130μm)。また、試験例1と同様にして耐溶剤性、ドット高さおよびコントラスト比を調べたところ、耐溶剤性は○であり、ドット高さは1.2μmで、コントラスト比は○であった。
【0077】
実 施 例 9
インキ組成物:
実施例1において、ジイモニウム色素(日本カーリット社製、CIR−FS163M、末端:シクロヘキシルメチル基)を、ジイモニウム色素(日本カーリット社製、CIR−265、末端:エチルベンジル基)に代える以外は実施例1と同様にして、インキ組成物を得た(固形分比は57:43)。このインキ組成物の粘度や接触角を実施例1と同様にして測定したところ、25℃における粘度は230mPa・sであり、接触角は40°であった。
【0078】
実 施 例 10
近赤外線吸収パターン印刷シート:
実施例2において、インキ組成物として実施例9で得たものを用いる以外は実施例2と同様にして、近赤外線吸収パターン印刷シートを得た(ドット径130μm)。また、試験例1と同様にして耐溶剤性、ドット高さおよびコントラスト比を調べたところ、耐溶剤性は○であり、ドット高さは1.1μmであり、コントラスト比は○であった。
【0079】
比 較 例 1
インキ組成物および近赤外線吸収パターン印刷シート:
実施例1において、分子量約1500のウレタンアクリレート(根上工業社製、アートレジンH−135、アクリロイル基10個)40質量部を70質量部に代え、分子量約50000のウレタンアクリレート(根上工業製、アートレジンUN−5500MI、固形分50%、溶媒:メチルイソブチルケトン、アクリロイル基2個)60質量部を用いない以外は実施例1と同様にして、インキ組成物を得た(固形分比は100:0)。このインキ組成物の粘度や接触角を実施例1と同様にして測定したところ、25℃における粘度は40mPa・sであり、接触角は16°であった。
【0080】
実施例2において、インキ組成物として上記で得たものを用いる以外は実施例2と同様にして、近赤外線吸収パターン印刷シートを得た(ドット径220μm)。また、試験例1と同様にして耐溶剤性、ドット高さおよびコントラスト比を調べたところ、耐溶剤性は○であり、ドット高さは0.3μmであり、コントラスト比は×であった。
【0081】
比 較 例 2
インキ組成物および近赤外線吸収パターン印刷シート:
実施例1において、分子量約50000のウレタンアクリレート(根上工業製、アートレジンUN−5500MI、固形分50%、溶媒:メチルイソブチルケトン、アクリロイル基2個)60質量部を140質量部に代え、分子量約1500のウレタンアクリレート(根上工業社製、アートレジンH−135、アクリロイル基10個)40質量部を用いない以外は実施例1と同様にして、インキ組成物を得た(固形分比は0:100)。このインキ組成物の粘度や接触角を実施例1と同様にして測定したところ、25℃における粘度は400mPa・sであり、接触角は50°であった。
【0082】
実施例2において、インキ組成物として上記で得たものを用いる以外は実施例2と同様にして、近赤外線吸収パターン印刷シートを得た(ドット径100μm)。また、試験例1と同様にして耐溶剤性、ドット高さおよびコントラスト比を調べたところ、耐溶剤性は×であり、ドット高さは3.0μmであり、コントラスト比は測定不能であった。なお、この結果はドットが溶解してしまったためである。
【0083】
比 較 例 3
インキ組成物および近赤外線吸収パターン印刷シート:
実施例1において、分子量約50000のウレタンアクリレート(根上工業製、アートレジンUN−5500MI、固形分50%、溶媒:メチルイソブチルケトン、アクリロイル基2個)を60質量部から120質量部に代える以外は実施例1と同様にして、インキ組成物を得た(固形分比は40:60)。このインキ組成物の粘度や接触角を実施例1と同様にして測定したところ、25℃における粘度は310mPa・sであり、接触角は48°であった。
【0084】
実施例2において、インキ組成物として上記で得たものを用いる以外は実施例2と同様にして、近赤外線吸収パターン印刷シートを得た(ドット径110μm)。また、試験例1と同様にして耐溶剤性、ドット高さおよびコントラスト比を調べたところ、耐溶剤性は△であり、ドットの高さは2.0μmであり、コントラスト比は△であった。なお、コントラスト比が低くなったのはドットが若干溶解したためである。
【0085】
比 較 例 4
インキ組成物および近赤外線吸収パターン印刷シート:
実施例1において、分子量約1500のウレタンアクリレート(根上工業社製、アートレジンH−135、アクリロイル基10個)を40質量部から65質量部、分子量約50000のウレタンアクリレート(根上工業製、アートレジンUN−5500MI、固形分50%、溶媒:メチルイソブチルケトン、アクリロイル基2個)を60質量部から10質量部に代える以外は実施例1と同様にして、インキ組成物を得た(固形分比は93:7)。このインキ組成物の粘度や接触角を実施例1と同様にして測定したところ、25℃における粘度は80mPa・sであり、接触角は25°であった。
【0086】
実施例2において、インキ組成物として上記で得たものを用いる以外は実施例2と同様にして、近赤外線吸収パターン印刷シートを得た(ドット径210μm)。また、試験例1と同様にして耐溶剤性、ドット高さおよびコントラスト比を調べたところ、耐溶剤性は○であり、ドットの高さは0.5μmであり、コントラスト比は×であった。
【0087】
比 較 例 5
インキ組成物および近赤外線吸収パターン印刷シート:
実施例1において、分子量約50000のウレタンアクリレート(根上工業製、アートレジンUN−5500MI、固形分50%、溶媒:メチルイソブチルケトン、アクリロイル基2個)60質量部を分子量15000のウレタンアクリレート(アートレジン UN‐9200、根上工業社製、アクリロイル基2個) 30質量部に代える以外は実施例1と同様にして、インキ組成物を得た(固形分比は57:43)。このインキ組成物の粘度や接触角を実施例1と同様にして測定したところ、25℃における粘度は70mPa・sであり、接触角は24°であった。
【0088】
実施例2において、インキ組成物として上記で得たものを用いる以外は実施例2と同様にして、近赤外線吸収パターン印刷シートを得た(ドット径210μm)。また、試験例1と同様にして耐溶剤性、ドット高さおよびコントラスト比を調べたところ、耐溶剤性は○であり、ドットの高さは0.4μmであり、コントラスト比は×であった。
【0089】
比 較 例 6
インキ組成物および近赤外線吸収パターン印刷シート:
実施例1において、分子量約1500のウレタンアクリレート(根上工業社製、アートレジンH−135、アクリロイル基10個)40質量部を分子量4900のウレタンアクリレート(アートレジン UN−904、根上工業社製、アクリロイル基10個)40部に代える以外は実施例1と同様にして、インキ組成物を得た(固形分比は57:43)。このインキ組成物の粘度や接触角を実施例1と同様にして測定したところ、25℃における粘度は250mPa・sであり、接触角は44°であった。
【0090】
実施例2において、インキ組成物として上記で得たものを用いる以外は実施例2と同様にして、近赤外線吸収パターン印刷シートを得た(ドット径120μm)。また、試験例1と同様にして耐溶剤性、ドット高さおよびコントラスト比を調べたところ、耐溶剤性は△であり、ドットの高さは1.3μmであり、コントラスト比は△であった。
【0091】
比 較 例 7
インキ組成物および近赤外線吸収パターン印刷シート:
実施例1において、分子量約1500のウレタンアクリレート(根上工業社製、アートレジンH−135、アクリロイル基10個)40質量部を分子量1500のウレタンアクリレート(アートレジン UN−906S、根上工業社製、アクリロイル基6個)70部に代える以外は実施例1と同様にして、インキ組成物を得た(固形分比は57:43)。このインキ組成物の粘度や接触角を実施例1と同様にして測定したところ、25℃における粘度は55mPa・sであり、接触角は40°であった。
【0092】
実施例2において、インキ組成物として上記で得たものを用いる以外は実施例2と同様にして、近赤外線吸収パターン印刷シートを得た(ドット径250μm)。また、試験例1と同様にして耐溶剤性、ドット高さおよびコントラスト比を調べたところ、耐溶剤性は×であり、ドットの高さは0.2μmであり、コントラスト比は△であった。
【0093】
比 較 例 8
インキ組成物および近赤外線吸収パターン印刷シート:
実施例1において、分子量約1500のウレタンアクリレート(根上工業社製、アートレジンH−135、アクリロイル基10個)40質量部を分子量1500のウレタンアクリレート(アートレジン UN−906S、根上工業社製、アクリロイル基6個)40部に代える以外は実施例1と同様にして、インキ組成物を得た(固形分比は57:43)。このインキ組成物の粘度や接触角を実施例1と同様にして測定したところ、25℃における粘度は230mPa・sであり、接触角は40°であった。
【0094】
実施例2において、インキ組成物として上記で得たものを用いる以外は実施例2と同様にして、近赤外線吸収パターン印刷シートを得た(ドット径130μm)。また、試験例1と同様にして耐溶剤性、ドット高さおよびコントラスト比を調べたところ、耐溶剤性は△であり、ドットの高さは1.0μmであり、コントラスト比は△であった。
【0095】
以上の実施例および比較例において得られたインキ組成物および近赤外線吸収パターン印刷シートの評価結果をまとめたものを表1および表2に示した。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
本発明のように成分(a)〜(c)を含有し、成分(b)と成分(c)の質量比が50〜90:10〜50であるインキ組成物が、ほどよい粘度や接触角であり、これを用いて近赤外線を吸収する層をパターン印刷すると耐溶剤性、ドット径の再現性、ドットの高さ、コントラスト比に優れる近赤外線吸収パターン印刷シートが得られることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の近赤外線吸収パターン印刷シートは、赤外線カメラ等を利用した各種デバイスに好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 近赤外線吸収パターン印刷シート
2 近赤外線を吸収する層(ドット)
3 基材
図1