(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、可撓性部材が撓み状態になった際にポンプ停止信号を出力するスイッチ手段を有する構成が記載されているが、これの実施には、可撓性部材を用いた構成が必要となり、また可撓性部材の調整も必要となる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて、トラクタに装着する作業機の高さ方向の位置に応じて制御内容を変更でき、位置の設定をより簡単かつ確実に行うことができる農作業機用制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の農作業機用制御システムの一つは、トラクタに装着して農作業を行う作業機に有するアクチュエータの制御を行う農作業機用制御システムにおいて、操作部と、制御部とを有し、前記操作部は、現在の前記作業機の高さ方向の位置を特定するための情報である作業機位置情報を取得し、操作により現在の作業機位置情報を第1の切換位置又は第2の切換位置として設定可能であり、前記制御部は、前記作業機位置情報と前記第1の切換位置と
前記第1の切換位置よりも高い位置に設定された前記第2の切換位置を取得し、前記作業機が上昇中の場合は、前記第1の切換位置よりも前記作業機が高い位置であるか否かを判定し、該判定に応じて前記アクチュエータの制御を決定し、前記作業機が下降中の場合は、前記第2の切換位置よりも前記作業機が高い位置であるか否かを判定し、該判定に応じて前記アクチュエータの制御を決定することを特徴とする。
【0008】
また本発明の農作業機用制御システムの一つは、トラクタに装着して農作業を行う作業機に有するアクチュエータの制御を行う農作業機用制御システムにおいて、操作部と、制御部とを有し、前記操作部は、現在の前記作業機の高さ方向の位置を特定するための情報である作業機位置情報を取得
すると共に、切換位置設定スイッチを有し、前記切換位置設定スイッチを押すと現在の作業機位置情報を
第1の切換位置又は第2の切換位置として設定
し、前記制御部は、前記作業機位置情報と前記
第1の切換位置と前記第2の切換位置を取得し、
前記作業機が上昇中の場合は、前記
第1の切換位置よりも前記作業機が高い位置であるか否かを判定し、該判定に応じて前記アクチュエータの制御を決定
し、前記作業機が下降中の場合は、前記第2の切換位置よりも前記作業機が高い位置であるか否かを判定し、該判定に応じて前記アクチュエータの制御を決定することを特徴とする。
【0009】
さらに本発明の農作業機用制御システムの一つは、前記作業機位置情報は、前記トラクタが有するロアーリンクの角度に関する情報であることを特徴とする。
さらに本発明の農作業機用制御システムの一つは、前記判定は、前記ロアーリンクの角度が前記
第1の切換位置又は前記第2の切換位置として設定した角度よりも上側に大きいか否かで判定することを特徴とする。
【0010】
さらに本発明の農作業機用制御システムの一つは、前記アクチュエータの制御は、前記作業機が前記
第1の切換位置よりも高い位置であると判定した場合は、前記アクチュエータを停止し、前記作業機が前記
第2の切換位置よりも低い位置であると判定した場合は、前記アクチュエータを駆動させることを特徴とする
。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、農作業機用制御システムにおいて、トラクタに装着する作業機の高さ方向の位置に応じて制御内容を変更でき、位置の設定をより簡単かつ確実に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明の農作業機用制御システムを示す概略図である。本発明の農作業機用制御システムは、トラクタ1(
図2、3で例を記載)に装着する作業機(
図2、3で施肥播種機50として例を記載)に設けられたアクチュエータ14を制御するシステムであり、操作部12や制御部13を有し、さらに、トラクタやセンサの出力部11から出力される作業機位置情報を利用する。
【0015】
出力部11から、作業機位置情報を操作部12と制御部13へ出力する。作業機位置情報は、作業機の高さ方向の位置を特定するための情報であり、角度の情報を含むことができる。例えば、トラクタ1のロアーリンク6(
図2、3で例を記載)の角度、作業機の角度、作業機に有するヒッチ53(
図2、3で例を記載)の角度、さらに、これら等から特定される高さ方向の位置情報でもよい。出力部11からの作業機位置情報として、例えば、トラクタ1側に有するCAN(Controller Area Network)によるシステムから取得してよい。このときの情報として、例えば、ロアーリンク6の角度や位置の情報を取得できれば、作業機の高さ方向の位置を特定でき、後述する制御を行うことができる。この場合の出力部11は、トラクタ1側に存在して、操作部12側へ接続してもよい。このとき、制御部13への作業機位置情報の送信は操作部12を介して送ってもよい。さらに、作業機に傾斜センサを取り付けてその角度を検出した情報を得るようにしても後述する制御を行うことができる。この場合の出力部11は作業機に設けられ制御部13側へ接続してもよい。このとき、操作部12への作業機位置情報の送信は制御部13を介して送ってもよい。
【0016】
操作部12は、アクチュエータ14の制御の内容を切り換える切換位置を設定するための操作部である。切換位置は作業機位置情報に合わせて、角度又は位置に関する情報により設定される。操作部12は、作業機位置情報を取得する。また、設定された切換位置の設定値を制御部13へ送る。操作部12は遠隔で操作可能で、トラクタ1の運転席近傍に配置可能となる。このとき、操作部12と制御部13の間の情報伝達は有線接続により行ってもよく、また、無線通信で行ってもよい。また、操作部12は、アクチュエータ14を操作するためのスイッチ等を有する他の操作部と共通化してもよい。
【0017】
制御部13は、作業機位置情報を取得して、さらに、切換位置の設定値に基づきアクチュエータ14の制御を行う。また、操作部12又は他の操作部から切換位置以外の情報を取得してアクチュエータ14の制御を行ってもよい。例えば、アクチュエータ14の作動のON、OFFやアクチュエータ14が回転する場合の回転数の決定などである。制御部13は、制御のために必要な電子デバイス等で構成され、コントロールボックスとしてボックス内に格納して独立させることもできる。制御部13は、後述する制御を行うために作業機側に設定される。一方で、制御部13を操作部12側に一体もしくは近傍に別体で設けて、アクチュエータ14と有線接続させることも可能である。
【0018】
アクチュエータ14は、作業機側に設けられており、制御部13により制御される。アクチュエータ14として、例えば、モータや電動油圧シリンダ等があげられる。
【0019】
図2は、本発明の農作業機用制御システムを適用する作業機の作業時の一例を示す側面図である。
図3は、本発明の農作業機用制御システムを適用する作業機の非作業時の一例を示す側面図である。ここで説明する作業機は、施肥播種機50である。なお、
図2、3では、トラクタ1の図は後ろ半分のみを記載している。また、
図3では、操作部30と制御部40の図示は省略してある。
【0020】
施肥播種機50の前側には、中央から上側に向けてマスト51が取り付けられ、下側の左右には、ヒッチ53がそれぞれ取り付けられている。マスト51には、マストピン52を有し、ヒッチ53には、ロワーピン54を有している。一方、トラクタ1の後部には、連結装置20が取り付けられている。連結装置20は、上部中央の前側(トラクタ側)にトップリンク取付部21を有し、上部中央の後ろ側(施肥播種機50側)には、マストピン係合部23を有し、下部左右の前側には、ロアーリンク取付部22を有し、下部左右の後ろ側には、ロワーピン係合部24を有している。トップリンク取付部21にトラクタ1のトップリンク5(図示簡略)の一端を取り付け、左右のロアーリンク取付部22には、左右のロアーリンク6の一端をそれぞれ取り付ける。なお、トップリンク5のトラクタ1側の他端は回動可能な支点5a、ロアーリンク6のトラクタ1側の他端は回動可能な支点6aとなっている。そして、マスト51のマストピン52が、連結装置20のマストピン係合部23と係合して、左右のヒッチ53のロワーピン54が左右のロワーピン係合部24とそれぞれ係合することで、施肥播種機50がトラクタ1に装着される。
【0021】
トラクタ1のPTO動力は、ジョイント(図示省略)を介するなどして入力軸55から入力されてロータリ60の耕耘部63を回転させて耕耘を行う。ロータリ60の上部には、肥料ホッパー71が設置されており、内容物として肥料を有しており、肥料モータ73の回転に連動して肥料ホッパー71の下部に有する操出ローラ72の回転にともない肥料が肥料ホース74を通り肥料排出部75から排出される。さらに、肥料ホッパー71の後部には、種子ホッパー81が設置されており、内容物として種子を有しており、種子モータ83の回転に連動して種子ホッパー81の下部に有する操出ローラ82の回転にともない種子が種子ホース84を通り種子排出部85から排出される。
【0022】
肥料排出部75は、ロータリ60の前側に設置されており、排出された肥料は、耕耘部63の回転にともない土中に攪拌される。一方、種子排出部85は、耕耘部63より後ろに設置されており、耕耘した土に、ディスク65で溝をつけ、その溝の中に種子が排出され、種子排出部85の後部の鎮圧輪66で地面を鎮圧し、種子を土中に埋め込むことができる。
【0023】
操出ローラ72、82は凹部を有しており、ここに、肥料ホッパー71内の肥料又は種子ホッパー81内の種子が落ちて、操出ローラ72、82が回転して凹部が下側に来ると肥料ホース74又は種子ホース84から排出される。このため、操出ローラ72、82の回転数すなわち肥料モータ73又は種子モータ83の回転数に応じて内容物の排出量が決定される。そして、肥料モータ73の回転を止めれば肥料の排出が止まり、種子モータ83の回転を止めれば種子の排出が止まる。
【0024】
また、施肥播種機50には、制御部40を有している。肥料モータ73と種子モータ83は、制御部40によって制御される。一方、遠隔で操作可能な操作部30は、制御部40と有線で接続されている。また、操作部30は、トラクタ1から作業機位置情報を取得可能となっており、これは、制御部40へも送られている。なお、ここでは、
図1で説明した、操作部12は操作部30に、制御部13は制御部40に、アクチュエータ14は肥料モータ73と種子モータ83にそれぞれ対応している。
【0025】
図2は作業時の図であり、作業機である施肥播種機50を下に下ろして、施肥と播種の農作業を行う。そして、移動時などは、
図3のように施肥播種機50を上に上げて移動を行う。このときは、トラクタ1を旋回して向きを変えたり、圃場から外に移動したりすることを行う。
図3の状態では、農作業は行わない非作業時となる。
図2から
図3、もしくは、
図3から
図2の状態に変化させるにはトラクタ1の運転席で作業者が、ロアーリンク6の角度を変化させる操作を行う。ロアーリンク6はトラクタ側の支点6aを中心として油圧などの力により回動させることが可能となっている。ロアーリンク6を
図2から
図3の様に上に上げればロアーリンク6は、
図2、3で支点6aを中心に反時計方向に回転し、ロアーリンク6の角度は後傾から前傾側に傾く。このとき、トップリンク5も含めたリンクの作用によって、作業機(施肥播種機50)は上に上がると同時に前側に傾くようになる。
【0026】
このため、作業機位置情報として、ロアーリンク6の角度を特定できれば作業機である施肥播種機50の高さ方向の位置に対応した情報を取得することができる。また、この他、作業機位置情報として施肥播種機50に傾斜センサを設けて前後方向の角度を特定しておいても施肥播種機50の高さ方向の位置に対応した情報を取得することができる。
【0027】
図4は、本発明の農作業機用制御システムを適用する操作部の一例を示す図であり、(a)は第1切換位置が設定前の状態を示し、(b)は第1切換位置が設定後の状態を示す。
図4では、
図1で説明した操作部12の具体例として操作部30を示している。
【0028】
操作部30は、第1切換位置設定スイッチ31と、第2切換位置設定スイッチ32と、メモリー登録スイッチ33と、表示部35を有しており、表示部35では、現在位置表示35aと第1切換位置表示35bと、第2切換位置表示35cが表示可能となっている。
図4の例では、上から、現在位置表示35a、第1切換位置表示35b、第2切換位置表示35cの順で表示されている。また、操作部30は下記で説明する制御に必要な記憶部も有している。
【0029】
第1切換位置設定スイッチ31は、現在の作業機位置情報を第1切換位置として設定するスイッチである。
【0030】
第2切換位置設定スイッチ32は、現在の作業機位置情報を第2切換位置として設定するスイッチである。
【0031】
メモリー登録スイッチ33は、設定した第1切換位置や第2切換位置の情報を記憶しておいて、必要に応じて記憶した情報を読み出すことが可能とするためのスイッチである。例えば、作業機の種類を変更したとき、以前に設定した情報を第1切換位置や第2切換位置の情報として呼び出す等である。このため、現在設定されている第1切換位置や第2切換位置の情報を登録するためのスイッチや、すでに登録した情報を第1切換位置や第2切換位置として呼び出して設定するためのスイッチ等を有している。
【0032】
現在位置表示35aは、現在の作業機位置情報を表示するものである。表示方法は、作業機位置情報の内容に応じて表示される。
【0033】
第1切換位置表示35bは、設定された第1切換位置表示35bの情報を表示するものである。第1切換位置表示35bは、現在位置表示35aと同時に表示することで、現在の状態に対する第1切換位置を確認することができる。
【0034】
第2切換位置表示35cは、設定された第2切換位置表示35cの情報を表示するものである。第2切換位置表示35cは、現在位置表示35aと同時に表示することで、現在の状態に対する第2切換位置を確認することができる。
【0035】
図4では、(a)の状態が、現在位置表示35aが「15%」を示し、第1切換位置表示35bが「未設定」を示し、第2切換位置表示35cは「60%」を示している。ここで、第1切換位置は設定されていない表示(未設定)を示している。この状態から、第1切換位置設定スイッチ31を押すと、
図4(b)のように、第1切換位置が「15%」と設定される。すなわち、作業者は、作業機(施肥播種機50)の高さ方向の位置を調整して、設定させたい高さにして、第1切換位置設定スイッチ31又は第2切換位置設定スイッチ32を押せば現在の作業機位置情報を切換位置として設定を行うことができる。
【0036】
図5は、本発明の農作業機用制御システムによる切換位置設定の一例を示すフローチャートである。切換位置の設定は、操作部12(30)で行う。まず、制御がスタートすると(S101)、操作部12(30)の電源がONになっているかを判定し(S102)、操作部12(30)の電源がONとなっていれば、切換位置設定スイッチ(操作部30なら第1切換位置設定スイッチ31もしくは第2切換位置設定スイッチ32)がONになっているかを判定する(S103)。ONとなっていれば、作業機位置情報を読み込み(S104)、読み込んだ作業機位置情報を、切換位置設定スイッチに対応する切換位置として記憶(S105)するものである。なお、S102で操作部12(30)の電源がONでなければ、制御は終了する(S106)。また、切換位置設定スイッチがONでなければS102に戻る。このようにして、現在の作業機の高さ方向の位置を切換位置としてスイッチごとに設定することができる。
【0037】
図6は、本発明の農作業機用制御システムによる設定された切換位置の一例を示す説明図である。上記のように設定された切換位置は、例えば、ロアーリンク6を回動させて、最大の前傾角度として最大に上げた場合のヒッチ(
図2、3ではヒッチ53)の位置であるヒッチ最上点103と、最大の後傾角度として最大に下げた場合のヒッチの位置であるヒッチ最下点104の間に設定される。これらの間に第1切換位置101と第2切換位置102を異なる位置で設定することができる。
図6では、第2切換位置102は、第1切換位置101よりも高い位置となっている。
【0038】
作業機位置情報の例として、ヒッチ最下点104からヒッチ最上点103の間を百分率で表し、第1切換位置101を下から15%の位置、第2切換位置102を下から60%の位置などで表すことができる。これら、ロアーリンク6による最上点、最下点の位置は、トラクタによっては異なる設定が可能であり、その設定によっては、水平に対して同じロアーリンク6の角度でもCANによる情報提供の内容が異なる場合がある。またこれ以外にも、傾斜センサからの情報などの角度もしくは位置を示す他の形式の情報も想定される。このように、作業機位置情報は、様々な形式の情報が想定されるため、作業機(施肥播種機50)を実際の高さにして、高さ方向の位置に基づく情報を第1切換位置101及び第2切換位置102とすることで、作業者が求める制御を可能とすることができる。
【0039】
図7は、本発明の農作業機用制御システムによるアクチュエータ制御の一例を示すフローチャートである。これらの制御は制御部13(40)で行う。
【0040】
制御がスタートすると(S201)、電源がONとなっている場合は現在の作業機位置情報を読み込む(S202、S203)。これは、出力部11から出力された作業機位置情報による角度や位置に関する値を読み込むものである。そして、現在の作業機位置の状態について判定する(S204)。この現在の作業機位置の状態の判定は、上昇中か下降中か停止中かを判定するものである。上昇中である場合、即ち
図6でいえばヒッチ最上点103側へ作業機が移動している場合は、作業機位置情報が一定時間内に上がる方向に数値が変化しているため、その数値の変化を読み取り上昇中であると判定する。また、下降中である場合、即ち
図6でいえばヒッチ最下点104側へ作業機が移動している場合は、作業機位置情報が一定時間内に下がる方向に数値が変化しているため、その数値の変化を読み取り下降中であると判定する。また、停止中であれば、作業機位置情報の内容が一定時間内に変化がないことを読み取り停止中であることを判定する。
【0041】
現在の作業機位置の状態が上昇中である場合は、作業機位置情報により第1切換位置として設定されている位置よりも作業機が上か否かを判定する(S205)。この判定は、例えば、作業機位置情報が角度の情報なら、角度が切換位置として設定されている角度より大きい等、第1切換位置の角度より上側の角度であるか否かで判定する。そして、第1切換位置として設定されている位置よりも上の位置であると判断される場合は、アクチュエータ14を停止する(S206)。一方、第1切換位置として設定されている位置よりも下の位置(上でない位置)であると判断される場合は、アクチュエータ14を駆動する(S207)。
【0042】
現在の角度の状態が下降中である場合は、作業機位置情報により第2切換位置として設定されている位置よりも作業機が上か否かを判定する(S208)。この判定は、第1切換位置を第2切換位置とした場合のS205と同様である。そして、第2切換位置として設定されている位置よりも上の位置であると判断される場合は、アクチュエータ14を停止する(S209)。一方、第2切換位置として設定されている位置よりも下の位置(上でない位置)であると判断される場合は、アクチュエータ14を駆動する(S210)。
【0043】
また、現在の角度の状態が停止中である場合はそのままS202に戻る。
【0044】
このように、現在の作業機の状態が上昇中と下降中で異なる切換位置を設定して、その切換位置に対して作業機が上にあるか否かでアクチュエータ14の制御を変更することで、制御の幅を広げることができる。例えば、
図2、3で説明した施肥播種機50であれば、施肥播種機50が上昇して、地面から離れた場合は比較的早くアクチュエータ14である肥料モータ73及び種子モータ83を停止して、無駄な肥料や種子の散布を止めたい。この場合は、低めの位置で第1切換位置の設定をする。一方、施肥播種機50を上げた状態から下降させる場合は、地面に近づいてから肥料モータ73及び種子モータ83を回すと、それらの排出までに時間がかかるために、農作業の開始に対して肥料や種子の排出のタイミングが遅くなってしまう。このため、下降の場合は、地面よりも比較的高い位置から肥料モータ73及び種子モータ83を駆動させたい場合が多い。これらの場合は第1切換位置よりも高い位置で第2切換位置の設定を行う。このように、作業機の上昇中と下降中で、アクチュエータ14の駆動や停止のタイミングを変えたい場合があり、多様な制御を可能とする。さらに、第1切換位置101と第2切換位置102は、作業者により実際の位置を用いて任意に設定できるためそれぞれの状況に応じた制御を可能とする。
【0045】
図8は、本発明の農作業機用制御システムによるアクチュエータ制御の別の例を示すフローチャートである。
図7までは、第1切換位置101と第2切換位置102の2つの切換位置で設定する場合について説明したが、
図8では、切換位置が1つだけの場合について説明する。この場合、
図4で説明した切換位置表示や切換位置設定スイッチは1つだけでもよい。切換位置の設定は、
図5と同様に設定可能である。
【0046】
制御がスタートすると(S301)、電源がONとなっている場合は現在の作業機位置情報を読み込む(S302、S303)。そして、作業機位置情報により切換位置として設定されている位置より作業機が上か否かを判定する(S304)。この判定は、上述したS205やS208と同様である。そして、切換位置として設定されている位置よりも上の位置であると判断される場合は、アクチュエータ14を停止する(S305)。一方、切換位置として設定されている位置よりも下の位置(上でない位置)であると判断される場合は、アクチュエータ14を駆動する(S306)。
【0047】
このように、切換位置が1つの場合でも、作業者が実際の位置で設定してその切換位置により現在の作業機が上にあるか否かでアクチュエータ14の制御を変更することができる。このため、複雑な設定をすることなく、また、出力部11から出力される作業機位置情報の数値の種類に関わらず適切な位置を決めることができる。
【0048】
以上のように、本発明の実施形態について説明したが、本発明は施肥播種機に限らず、施肥機単独や播種機単独でもよく、また、これ以外のトラクタに装着して農作業を行う作業機について、作業機位置情報に基づいてアクチュエータの制御を行うことのできる作業機全般に適用することができる。また、上述した実施形態の一部構成を他の実施形態の一部の構成に置き換えて適用することや、必要に応じて他の構成と組み合わせて利用してもよい。