(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563714
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23D 14/70 20060101AFI20190808BHJP
F23D 14/08 20060101ALI20190808BHJP
F23D 14/62 20060101ALI20190808BHJP
F23C 99/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
F23D14/70 B
F23D14/08 H
F23D14/62
F23C99/00 329
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-130147(P2015-130147)
(22)【出願日】2015年6月29日
(65)【公開番号】特開2017-15283(P2017-15283A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】特許業務法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 真伍
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴大
(72)【発明者】
【氏名】岡本 英男
【審査官】
柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−060897(JP,A)
【文献】
特開平10−288315(JP,A)
【文献】
特開平03−055420(JP,A)
【文献】
特開昭64−038512(JP,A)
【文献】
実開昭56−169130(JP,U)
【文献】
独国特許出願公開第19905791(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/70
F23C 99/00
F23D 14/08
F23D 14/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合管部と、混合管部からの混合気を噴出する上端の炎口部と、袖火混合管部と、炎口部の両脇に位置し袖火混合管部からの混合気を噴出する袖火炎口部とを有し、炎口部から噴出する混合気を理論空燃比より燃料濃度が希薄な淡混合気とし、袖火炎口部から噴出する混合気を理論空燃比より燃料濃度が濃い濃混合気とする濃淡バーナから成る前後方向に長手のガスバーナを横方向に複数並設した燃焼装置であって、複数のガスバーナの混合管部の上流端のガス導入口に臨む複数のガスノズルと、複数のガスバーナの袖火混合管部の上流端の袖火ガス導入口に臨む複数の袖火ガスノズルと、複数のガスバーナのガス導入口及び袖火ガス導入口を覆うダンパとを備え、ダンパに、複数のガスバーナのガス導入口に重なる複数の通気孔と、複数のガスバーナの袖火ガス導入口に重なる複数の袖火通気孔とを形成するものにおいて、
ダンパに、通気孔として、ガスノズルから噴出する燃料ガスが衝突する障害物を有する第1の通気孔と、障害物を有しない第2の通気孔とを混在させて形成することを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
請求項1記載の燃焼装置であって、前記第2の通気孔は、これを通過する一次空気量が前記第1の通気孔を通過する一次空気量よりも多くなるように形成され、
ガス導入口に第1の通気孔が重なるガスバーナを第1のガスバーナ、ガス導入口に第2の通気孔が重なるガスバーナを第2のガスバーナ、第1のガスバーナの袖火ガス導入口に重なる袖火通気孔を第1の袖火通気孔、第2のガスバーナの袖火ガス導入口に重なる袖火通気孔を第2の袖火通気孔として、第2の袖火通気孔は、これを通過する一次空気量が第1の袖火通気孔を通過する一次空気量よりも少なくなるように形成されることを特徴とする燃焼装置。
【請求項3】
請求項2記載の燃焼装置であって、前記複数のガスバーナが複数のグループに組み分けされ、燃焼させるグループの数、組合せを可変すると共に、単独で燃焼させることがあるグループに属するガスバーナの配置範囲の端に前記第1のガスバーナである特定ガスバーナが配置されるものにおいて、特定ガスバーナの前記袖火ガス導入口に重なる前記第1の袖火通気孔は、これを通過する一次空気量が他の第1の袖火通気孔を通過する一次空気量よりも少なくなるように形成されることを特徴とする燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混合管部と、混合管部からの混合気を噴出する上端の炎口部とを有する前後方向に長手のガスバーナを横方向に複数並設した燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の燃焼装置では、複数のガスバーナの混合管部の上流端のガス導入口に臨む複数のガスノズルと、複数のガスバーナのガス導入口を覆うダンパとを備え、ダンパに、複数のガスバーナのガス導入口に重なる複数の通気孔を形成している。そして、従来、各通気孔に、ガスノズルから噴出する燃料ガスが衝突する障害物を設け、燃料ガスと一次空気との混合を促進できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このものでは、燃料ガスと一次空気との混合の促進で、全てのガスバーナにおいて、炎口部から噴出する混合気の空燃比の前後方向における分布(空燃比分布)が均一化される。然し、これでは、各ガスバーナの前後方向各箇所で発生する燃焼振動の周波数が他のガスバーナの前後方向同一箇所で発生する燃焼振動の周波数と一致して、燃焼騒音が大きくなってしまう。
【0004】
また、従来、ダンパに形成する通気孔の開口面積を一部のガスバーナで他のガスバーナよりも大きくしたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。これによれば、一部のガスバーナでの燃焼振動の周波数と他のガスバーナでの燃焼振動の周波数とに混合気の空燃比の相違に起因して差を生じ、周波数差による相互干渉作用で燃焼騒音が抑制される。然し、通気孔の開口面積を大きくして混合気の空燃比をエアリッチ側に変えると、高負荷燃焼時に火炎リフトを生じやすくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−60897号公報
【特許文献2】特開平10−288315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、火炎リフトといった燃焼不良を抑制しつつ燃焼騒音を低減できるようにした燃焼装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、混合管部と、混合管部からの混合気を噴出する上端の炎口部と
、袖火混合管部と、炎口部の両脇に位置し袖火混合管部からの混合気を噴出する袖火炎口部とを有
し、炎口部から噴出する混合気を理論空燃比より燃料濃度が希薄な淡混合気とし、袖火炎口部から噴出する混合気を理論空燃比より燃料濃度が濃い濃混合気とする濃淡バーナから成る前後方向に長手のガスバーナを横方向に複数並設した燃焼装置であって、複数のガスバーナの混合管部の上流端のガス導入口に臨む複数のガスノズルと、
複数のガスバーナの袖火混合管部の上流端の袖火ガス導入口に臨む複数の袖火ガスノズルと、複数のガスバーナのガス導入口
及び袖火ガス導入口を覆うダンパとを備え、ダンパに、複数のガスバーナのガス導入口に重なる複数の通気孔
と、複数のガスバーナの袖火ガス導入口に重なる複数の袖火通気孔とを形成するものにおいて、ダンパに、通気孔として、ガスノズルから噴出する燃料ガスが衝突する障害物を有する第1の通気孔と、障害物を有しない第2の通気孔とを混在させて形成することを特徴とする。
【0008】
ここで、ガス導入口に第1の通気孔が重なるガスバーナを第1のガスバーナ、ガス導入口に第2の通気孔が重なるガスバーナを第2のガスバーナとして、第1のガスバーナでは、燃料ガスと一次空気との混合が促進されて、炎口部から噴出する混合気の空燃比分布が均一化されるが、第2のガスバーナでは、炎口部から噴出する混合気の空燃比分布が多少とも不均一になる。そして、第2のガスバーナにおける空燃比分布の不均一性に起因して、第1のガスバーナの前後方向各箇所で発生する燃焼振動の周波数と第2のガスバーナの前後方向同一箇所で発生する燃焼振動の周波数との間に差を生ずる。そして、この周波数差による相互干渉作用で燃焼騒音を低減できる。
【0009】
また、本発明において
、前記第2の通気孔は、これを通過する一次空気量が前記第1の通気孔を通過する一次空気量よりも多くなるように形成され、ガス導入口に第1の通気孔が重なるガスバーナを第1のガスバーナ、ガス導入口に第2の通気孔が重なるガスバーナを第2のガスバーナ、第1のガスバーナの袖火ガス導入口に重なる袖火通気孔を第1の袖火通気孔、第2のガスバーナの袖火ガス導入口に重なる袖火通気孔を第2の袖火通気孔として、第2の袖火通気孔は、これを通過する一次空気量が第1の袖火通気孔を通過する一次空気量よりも少なくなるように形成されることが望ましい。
【0010】
これによれば、第2のガスバーナの炎口部から噴出する淡混合気の全体的な空燃比が第1のガスバーナの炎口部から噴出する淡混合気の空燃比よりエアリッチとなって、第2のガスバーナで発生する淡混合気の燃焼振動の周波数と第1のガスバーナで発生する淡混合気の燃焼振動の周波数との差が大きくなり、燃焼騒音が効果的に低減される。また、第2のガスバーナの袖火炎口部から噴出する濃混合気は、第2の袖火通気孔による一次空気の制限で空燃比がガスリッチ側に変化するため、第2のガスバーナの炎口部から噴出する淡混合気の空燃比がエアリッチ側に変化しても、第2のガスバーナの袖火炎口部から噴出する濃混合気の燃焼に消費される淡混合気中の一次空気の量が増加して、第2のガスバーナでの高負荷燃焼時における淡火炎(淡混合気の燃焼で形成される火炎)のリフトを抑制できる。更に、第1のガスバーナの袖火炎口部から噴出する濃混合気の空燃比と第2のガスバーナの袖火炎口部から噴出する濃混合気の空燃比とが相違するため、第1のガスバーナで発生する濃混合気の燃焼振動の周波数と第2のガスバーナで発生する濃混合気の燃焼振動の周波数との間にも差も生じ、燃焼騒音をより効果的に低減できる。
【0011】
ところで、前記複数のガスバーナが複数のグループに組み分けされ、燃焼させるグループの数、組合せを可変すると共に、単独で燃焼させることがあるグループに属するガスバーナの配置範囲の端に前記第1のガスバーナである特定ガスバーナが配置される場合には、特定ガスバーナが属するグループの単独燃焼時に、特定ガスバーナの袖火炎口部から噴出する濃混合気の燃焼で形成される濃火炎がリフトしやすくなる。そのため、特定ガスバーナの袖火ガス導入口に重なる第1の袖火通気孔は、これを通過する一次空気量が他の第1の袖火通気孔を通過する一次空気量よりも少なくなるように形成されることが望ましい。これによれば、特定ガスバーナの袖火炎口部から噴出する濃混合気の空燃比がガスリッチ側に変化し、特定ガスバーナが属するグループの単独燃焼時における特定ガスバーナでの濃火炎のリフトを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】
図2のIII−III線で切断した切断正面図。
【
図4】実施形態の燃焼装置に設けられるガスバーナの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至
図3を参照して、本発明の実施形態の燃焼装置は燃焼筐1を備えている。燃焼筐1の上面は開放されており、燃焼筐1の上に被加熱物として図示省略した給湯用熱交換器が設置される。燃焼筐1内には、燃焼筐1内の空間を燃焼室2とその下側の給気室3とに仕切る仕切り板4が設けられている。給気室3の底面には図示省略した燃焼ファンがダクト5を介して接続されており、燃焼ファンから給気室3に空気が供給される。仕切り板4には、多数の分布孔4aが形成されており、給気室3に供給された空気がこれら分布孔4aを介して燃焼室2に二次空気として供給されるようにしている。
【0014】
燃焼室2には、前後方向に長手のガスバーナ6が横方向に複数(本実施形態では17本)並設されている。各ガスバーナ6は、
図4乃至
図6に示す如く、バーナ本体61と、バーナ本体61の上部に被せたバーナキャップ62とを備えている。バーナ本体61の上端には、上方に開口する前後方向に細長い形状の炎口部63が形成され、また、バーナキャップ62により、炎口部63の両脇に位置する袖火炎口部64が形成されている。そして、各ガスバーナ6は、理論空燃比より燃料濃度が希薄な淡混合気を炎口部63から噴出させると共に、理論空燃比より燃料濃度が濃い濃混合気を袖火炎口部64から噴出させる濃淡バーナで構成される。
【0015】
バーナ本体61は、横方向に対峙する一対の側板61a,61aで構成されている。尚、両側板61a,61aは、一枚の板をバーナ本体61の下縁となる折り曲げ線で合掌状態に折り曲げることにより形成されている。そして、各側板61aのプレス加工により、バーナ本体61に、上端の炎口部63と、下部の混合管部65と、混合管部65からの混合気を炎口部63に導く分布室部66とが形成されている。混合管部65は、バーナ本体61の下部前縁に位置する上流端のガス導入口65aから後方にのびており、混合管部65の後端部から分布室部66が前後方向に広がりながら上方にのびている。分布室部66の上部には、横幅を狭めた絞り部66aが形成されている。絞り部66aの横幅は、混合管部65と分布室部66との接続部の真上に位置する部分から前方に向けて次第に広がっている。これにより、炎口部63に流入する混合気の前後方向流量分布が均等化される。また、バーナ本体61の前部には、混合管部65と分布室部66との間に位置させて、袖火混合管部67が形成されている。この袖火混合管部67は、バーナ本体61の前縁に位置する袖火ガス導入口67aから後方に少しのびて終端しており、その後端部側面に流出孔67bが開設されている。
【0016】
バーナキャップ62は、バーナ本体61の一対の側板61a,61aの外側に被せられる一対の側板62a,62aと、両側板62a,62aをその上縁で連結する前後複数個所のブリッジ部62bとを有している。そして、バーナ本体61の側板61aとバーナキャップ62の側板62aとの間に、上端の袖火炎口部64と、袖火混合管部67から流出孔67bを介してバーナ本体61の外側に流出する濃混合気を袖火炎口部64に導く通路が画成される。また、バーナキャップ62の側板62aの前後複数個所には、バーナ本体61の側板61aの外側面に当接して、袖火炎口部64を前後方向に分断する凹部62cが形成されている。
【0017】
また、炎口部63内には、横方向に並設した複数の整流板68aを有する整流部材68が装着されている。整流部材68には、バーナキャップ62のブリッジ部62bに合致する前後複数個所に、整流板68a同士を当接させて、各整流板68a間に画成される炎口部流路を前後方向に分断する当接部68bが形成されている。また、バーナ本体61の炎口部63には、その上下方向中間部に位置させて、整流部材68を横方向両側から挟み込む狭窄部63aが形成されている。これにより、狭窄部63aの上側の側板61aの部分と外側の整流板68aとの間に淡混合気が噴出しない盲空隙63bが画成され、炎口部63から噴出する淡混合気が盲空隙63b上に還流して保炎効果が得られるようにしている。
【0018】
また、仕切り板4の前縁に立上り部41を曲成すると共に、立上り部41の前側に燃焼筐1の下部前面を塞ぐようにしてマニホールド7を装着している。マニホールド7には、各ガスバーナ6の混合管部65の上流端のガス導入口65aに臨むガスノズル71と、各ガスバーナ6の袖火混合管部67の上流端の袖火ガス導入口67aに臨む袖火ガスノズル72とが設けられている。
【0019】
また、仕切り板4の立上り部41の前面に、各ガスバーナ6のガス導入口65a及び袖火ガス導入口67aを覆うダンパ8を設けて、このダンパ8に、各ガスバーナ6のガス導入口65aに重なる通気孔81と、各ガスバーナ6の袖火ガス導入口67aに重なる袖火通気孔82とを形成している。そして、各ガスノズル71と各袖火ガスノズル72から噴射される燃料ガスが夫々各通気孔81と各袖火通気孔82を介して各ガス導入口65aと各袖火ガス導入口67aに供給されると共に、給気室3から立上り部41とマニホールド7との間に画成される空隙と各通気孔81と各袖火通気孔82を介して各ガス導入口65aと各袖火ガス導入口67aに一次空気が供給されるようにしている。
【0020】
また、
図3に示す如く、ダンパ8に、通気孔81として、ガスノズル71から噴出する燃料ガスが衝突する障害物81aを有する♯1(第1)の通気孔81と、障害物81aを有しない♯2(第2)の通気孔81とを混在させて形成している。障害物81aは、♯1の通気孔81の上下方向中央部を横断する、後方にV字状に凹入する帯状板部で構成される。尚、本実施形態では、♯1の通気孔81と♯2の通気孔81とを1個ずつ交互に配置しているが、これらを2〜3個ずつ交互に配置することも可能である。
【0021】
ここで、ガス導入口65aに♯1の通気孔81が重なるガスバーナ6を♯1(第1)のガスバーナ6、ガス導入口65aに♯2の通気孔81が重なるガスバーナ6を♯2(第2)のガスバーナ6として、♯1のガスバーナ6では、燃料ガスが障害物81aに衝突することで燃料ガスと一次空気との混合が促進されて、炎口部63から噴出する淡混合気の空燃比分布が均一化されるが、♯2のガスバーナ6では、炎口部63から噴出する淡混合気の空燃比分布が多少とも不均一になる。そして、♯2のガスバーナ6から噴出する淡混合気の空燃比分布の不均一性に起因して、♯1のガスバーナ6の前後方向各箇所で発生する淡混合気の燃焼振動の周波数と♯2のガスバーナ6の前後方向同一箇所で発生する淡混合気の燃焼振動の周波数との間に差を生ずる。そして、この周波数差による相互干渉作用で燃焼騒音を低減できる。
【0022】
更に、本実施形態では、♯2の通気孔81の開口面積を、♯1の通気孔81の障害物81a以外の部分の開口面積よりも大きくして、♯2の通気孔81を通過する一次空気量が♯1の通気孔81を通過する一次空気量よりも多くなるようにしている。尚、ダンパ8の横方向一部の場所には空気圧が比較的強く作用する。そして、空気圧が強く作用する場所では、♯2の通気孔81の開口面積が♯1の通気孔81の障害物81a以外の部分の開口面積より小さくても、♯2の通気孔81を通過する一次空気量が♯1の通気孔81を通過する一次空気量よりも多くなる。そのため、♯2の通気孔81のうちには開口面積が♯1の通気孔81の障害物81a以外の部分の開口面積より小さなものもある。また、♯1のガスバーナ6の袖火ガス導入口67aに重なる袖火通気孔82を♯1(第1)の袖火通気孔82、♯2のガスバーナ6の袖火ガス導入口67aに重なる袖火通気孔82を♯2(第2)の袖火通気孔82として、♯2の袖火通気孔82の開口面積を♯1の袖火通気孔82の開口面積よりも小さくし、♯2の袖火通気孔82を通過する一次空気量が♯1の袖火通気孔82を通過する一次空気量よりも少なくなるようにしている。
【0023】
これによれば、♯2のガスバーナ6の炎口部63から噴出する淡混合気の全体的な空燃比が♯1のガスバーナ6の炎口部63から噴出する淡混合気の空燃比よりエアリッチとなる。そして、淡混合気の全体的な空燃比差により、♯2のガスバーナ6で発生する淡混合気の燃焼振動の周波数と♯1のガスバーナ6で発生する淡混合気の燃焼振動の周波数との差が大きくなり、燃焼騒音が効果的に低減される。
【0024】
尚、淡混合気の空燃比をエアリッチ側に変化させると、高負荷燃焼時に淡混合気の燃焼で形成される淡火炎がリフトしやすくなる。然し、本実施形態では、♯2のガスバーナ6の袖火炎口部64から噴出する濃混合気の空燃比が、♯2の袖火通気孔82による一次空気の制限で、ガスリッチ側に変化する。そのため、♯2のガスバーナ6の炎口部63から噴出する淡混合気の空燃比がエアリッチ側に変化しても、♯2のガスバーナ6の袖火炎口部64から噴出する濃混合気の燃焼に消費される淡混合気中の一次空気の量が増加して、♯2のガスバーナ6での高負荷燃焼時における淡火炎のリフトを抑制できる。
【0025】
更に、♯1のガスバーナ6の袖火炎口部64から噴出する濃混合気の空燃比と♯2のガスバーナ6の袖火炎口部64から噴出する濃混合気の空燃比とが相違するため、♯1のガスバーナ6で発生する濃混合気の燃焼振動の周波数と♯2のガスバーナ6で発生する濃混合気の燃焼振動の周波数との間にも差を生じ、燃焼騒音をより効果的に低減できる。
【0026】
ところで、燃焼室2内の17本のガスバーナ6は、
図3で左端から数えて1番目から3番目までの3本のガスバーナ6から成る第1グループと、4番目及び5番目の2本のガスバーナ6から成る第2グループと、6番目から8番目までの3本のガスバーナ6から成る第3グループと、9番目から17番目までの9本のガスバーナ6から成る第4グループとに組み分けされている。そして、燃焼させるグループの数、組合せを給湯負荷に応じて可変するようにしている。具体的には、第2グループのみを燃焼させる状態と、第2と第3の両グループを燃焼させる状態と、第1と第2と第3のグループを燃焼させる状態と、第3と第4のグループを燃焼させる状態と、第1から第4までの全てのグループを燃焼させる状態とに切換自在としている。
【0027】
ここで、単独で燃焼させることがある第2グループに属するガスバーナ6の配置範囲の左端には、♯1のガスバーナ6である特定ガスバーナ6Aが配置されている。この場合、特定ガスバーナ6Aの袖火ガス導入口67aに重なる♯1の袖火通気孔82を通過する一次空気量が他の♯1の袖火通気孔82を通過する一次空気量と同一であると、第2グループのみの燃焼時に、特定ガスバーナ6Aの左側の袖火炎口部64が、第1グループのガスバーナ6の火炎で加熱されることなく、特定ガスバーナ6Aの左側に流れる二次空気流により冷やされ、特定ガスバーナ6Aの左側の袖火炎口部64から噴出する濃混合気に二次空気が特定ガスバーナ6Aの左隣のガスバーナ6で消費されることなく過剰に供給されることと相俟って、この濃混合気の燃焼で形成される濃火炎がリフトしやすくなる。
【0028】
そこで、本実施形態では、特定ガスバーナ6Aの袖火ガス導入口67aに重なる♯1の袖火通気孔82の開口面積を他の♯1の袖火通気孔82の開口面積よりも小さくして、特定ガスバーナ6Aの袖火ガス導入口67aに重なる♯1の袖火通気孔82を通過する一次空気量が他の♯1の袖火通気孔82を通過する一次空気量よりも少なくなるようにしている。これによれば、特定ガスバーナ6Aの袖火炎口部64から噴出する濃混合気の空燃比がガスリッチ側に変化し、第2グループのみを燃焼させるときの特定ガスバーナ6Aにおける濃火炎のリフトを防止できる。
【符号の説明】
【0030】
6…ガスバーナ、6A…特定ガスバーナ、63…炎口部、64…袖火炎口部、65…混合管部、65a…ガス導入口、67…袖火混合管部、67a…袖火ガス導入口、71…ガスノズル、72…袖火ガスノズル、8…ダンパ、81…通気孔、81a…障害物、82…袖火通気孔。