(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
調理容器を加熱するコンロバーナと、前記調理容器が載置される五徳と、前記コンロバーナを上下方向に貫通する貫通口に挿通されて前記調理容器の温度を検出する温度検出装置と、前記コンロバーナの火力を制御する制御手段とを備えるガスコンロであって、
前記温度検出装置が、(a)一端側が前記ガスコンロに設けた所定の固定部に固定され、前記一端側に対する他端側が上下方向に伸びるように配設された固定側支持部材と、(b)前記固定側支持部材に支持され、前記固定側支持部材に対して上下動可能に構成された移動側支持筒と、(c)前記移動側支持筒の上端に配設され、前記調理容器の上下動に追随して上下動することにより、前記調理容器の底面に常時当接するように構成された当接体と、(d)前記当接体の下面側に、前記当接体と熱的に結合する態様で配設されたサーミスタとを具備しているとともに、
前記所定の固定部が下降して、前記当接体の上面が前記五徳の上端より下方に位置する前記温度検出装置の下降状態と、前記所定の固定部が上昇して前記当接体の上面が前記五徳の上端より上方に位置する前記温度検出装置の上昇状態とを切り換える切換手段を備えており、さらに、
前記温度検出装置が前記上昇状態にあるときに、前記調理容器が前記五徳上に載置された場合に、前記調理容器の載置を検出する載置検出部を備えているとともに、
前記温度検出装置が前記下降状態にあるときに、前記載置検出部が前記調理容器の載置を検出した場合には、前記制御手段が、前記調理容器の前記載置検出部が故障していると判断して前記コンロバーナによる加熱を停止するように構成されていること
を特徴とするガスコンロ。
前記固定側支持部材の前記他端側と、前記一端側との間に水平方向に伸びる横引き部を備え、前記固定側支持部材の前記一端側に前記切換手段が配置されていることを特徴とする請求項1記載のガスコンロ。
前記温度検出装置の前記下降状態と、前記上昇状態とを切り換える際に、前記固定側支持部材の前記他端側を前記貫通口に沿って誘導する誘導体を備えていることを特徴とする請求項2記載のガスコンロ。
(a)前記コンロバーナによる加熱を停止する場合には、前記制御手段が、前記温度検出装置が前記下降状態となるように前記切換手段を制御し、(b)前記コンロバーナによる加熱を行う場合には、前記制御手段が、前記温度検出装置が前記上昇状態となり、(c)前記調理容器が前記五徳上に載置されている場合には、前記制御手段が、前記温度検出装置の当接部が、前記調理容器の底面に当接するように、前記切換手段を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスコンロ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1の加熱調理器(ガスコンロ)の場合、温度検出手段(温度検出装置)の当接体(集熱板)は、調理容器が載置されない状態において、調理容器を載置する五徳の上端よりも上方に突出した状態となる。
【0006】
その場合、一つのコンロバーナの五徳上から、他のコンロバーナの五徳上に調理容器を移動させたり、一旦五徳上から調理容器を退避させて、再び当該五徳上に調理容器を戻したりする場合に、五徳の上端よりも上方に突出した温度検出手段が、調理容器の移動の邪魔になる場合があり、使い勝手が悪いという問題点がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、調理容器の温度を検出するための温度検出手段(温度検出装置)が、五徳上において調理容器を移動させる場合に邪魔になるようなことがなく、使い勝手のよいガスコンロを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明のガスコンロは、
調理容器を加熱するコンロバーナと、前記調理容器が載置される五徳と、前記コンロバーナを上下方向に貫通する貫通口に挿通されて前記調理容器の温度を検出する温度検出装置と、前記コンロバーナの火力を制御する制御手段とを備えるガスコンロであって、
前記温度検出装置が、(a)一端側が前記ガスコンロに設けた所定の固定部に固定され、前記一端側に対する他端側が上下方向に伸びるように配設された固定側支持部材と、(b)前記固定側支持部材に支持され、前記固定側支持部材に対して上下動可能に構成された移動側支持筒と、(c)前記移動側支持筒の上端に配設され、前記調理容器の上下動に追随して上下動することにより、前記調理容器の底面に常時当接するように構成された当接体と、(d)前記当接体の下面側に、前記当接体と熱的に結合する態様で配設されたサーミスタとを具備しているとともに、
前記所定の固定部が下降して、前記当接体の上面が前記五徳の上端より下方に位置する前記温度検出装置の下降状態と、前記所定の固定部が上昇して前記当接体の上面が前記五徳の上端より上方に位置する前記温度検出装置の上昇状態とを切り換える切換手段を備えて
おり、さらに、
前記温度検出装置が前記上昇状態にあるときに、前記調理容器が前記五徳上に載置された場合に、前記調理容器の載置を検出する載置検出部を備えているとともに、
前記温度検出装置が前記下降状態にあるときに、前記載置検出部が前記調理容器の載置を検出した場合には、前記制御手段が、前記調理容器の載置検出部が故障していると判断して前記コンロバーナによる加熱を停止するように構成されていること
を特徴としている。
【0009】
本発明のガスコンロにおいて
は、前記固定側支持部材の前記他端側と、前記一端側との間に水平方向に伸びる横引き部を備え、前記固定側支持部材の前記一端側に前記切換手段が配置されていることが好ましい。
【0010】
また、前記温度検出装置の前記下降状態と、前記上昇状態とを切り換える際に、前記固定側支持部材の前記他端側を前記貫通口に沿って誘導する誘導体を備えていることが好ましい。
【0011】
また、(a)前記コンロバーナによる加熱を停止する場合には、前記制御手段が、前記温度検出装置が前記下降状態となるように前記切換手段を制御し、(b)前記コンロバーナによる加熱を行う場合には、前記制御手段が、前記温度検出装置が前記上昇状態となり、(c)前記調理容器が前記五徳上に載置されている場合には、前記制御手段が、前記温度検出装置の当接部が、前記調理容器の底面に当接するように、前記切換手段を制御すること
が好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガスコンロは、上述のように構成されており、温度検出装置が、(a)固定側支持部材と、(b)固定側支持部材に支持され、固定側支持部材に対して上下動可能に構成された移動側支持筒と、(c)移動側支持筒の上端に配設され、調理容器の上下動に追随して上下動することにより、調理容器の底面に常時当接するように構成された当接体と、(d)当接体の下面側に、当接体と熱的に結合するような態様で配設されたサーミスタとを具備しているとともに、所定の固定部が下降して、当接体の上面が五徳の上端より下方に位置する温度検出装置の下降状態と、所定の固定部が上昇して当接体の上面が五徳の上端より上方に位置する温度検出装置の上昇状態とに切り換える切換手段を備えているので、温度検出装置の下降状態では、五徳上において調理容器を移動させるときに、温度検出装置が邪魔になることがない。しかも、温度検出装置の上昇状態においては、五徳上に調理容器が載置されたときに当接体が調理容器の下面の上下位置に追随して上下するので、温度検出装置によって調理容器の温度を適切に検出することができる。
【0013】
また、温度検出装置が前記上昇状態にあるときに、調理容器が五徳上に載置された場合に、調理容器の載置を検出する載置検出部を備えているので、調理容器が五徳上に載置されているか否かに応じて、制御手段によって適切にコンロバーナの火力を制御する。具体的には、調理容器が五徳上に載置されていないときにはコンロバーナの火力を小火力にしたり、コンロバーナを消火したりするなどの制御を行うことが可能になり、安全性や信頼性を向上させることが可能になる。
【0014】
また、温度検出装置が下降状態にあるときに、載置検出部が調理容器の載置を検出した場合には、制御手段が、載置検出部が故障していると判断してコンロバーナによる加熱を停止するようにしているので、信頼性をさらに向上させることができる。
【0015】
すなわち、温度検出装置の下降状態においては、調理容器が五徳上に載置されたときであっても、当接体の上面が五徳の上端より下方に位置しているため、載置検出部は、調理容器が五徳上に載置されたことを検出できないが、このときに、載置検出部が調理容器が載置されたことを検出した場合には、制御手段は、載置検出部が故障していると判断することができる。
そして、載置検出部が故障していると判断したときに、コンロバーナによる加熱を停止することにより、調理容器の載置検出部が故障した状態でコンロバーナによる加熱が継続されてしまうことを防止して、安全性を向上させることができる。
【0016】
また、固定側支持部材の他端側と、一端側との間に水平方向に伸びる横引き部を備え、固定側支持部材の一端側に切換手段が配置された構成とした場合、コンロバーナを上下方向に貫通する貫通口から煮汁などが浸入したときにも、侵入した煮汁などが切換手段に落下することを防止することが可能になり、より信頼性の高いガスコンロを提供することが可能になる。
【0017】
また、温度検出装置の下降状態と、上昇状態とを切り換える際に、固定側支持部材の他端側を貫通口に沿って誘導する誘導体を備えた構成とした場合、固定側支持部材の一端側に切換手段が配置される場合にも、固定側支持部材の他端側が誘導体によって貫通口に沿って誘導されるので、移動側支持筒の上端に配設される当接体を調理容器の底面に適切に当接させることが可能になり、信頼性の高いガスコンロを提供することが可能になる。
【0018】
(a)コンロバーナによる加熱を停止する場合には、制御手段が、温度検出装置が下降状態となるように切換手段を制御し、(b)コンロバーナによる加熱を行う場合には、制御手段が、温度検出装置が上昇状態となり、(c)調理容器が五徳上に載置されている場合には、制御手段が、温度検出装置の当接部が、調理容器の底面に当接するように、切換手段を制御するように構成した場合、コンロバーナによる加熱が停止したときに温度検出装置が下降するため、温度検出装置が調理容器の移動などの邪魔になることがなく、また、コンロバーナによる加熱を行うときには、調理容器の底面に当接した温度検出装置によって調理容器の温度を適切に検出することが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施形態]
以下、本発明の実施形態を示して、その特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【0021】
<ガスコンロの基本構造>
図1は本発明の実施形態にかかるグリル付きガスコンロ(ドロップインコンロ)の外観構成を示す図である。
【0022】
このグリル付きガスコンロA(以下、単にガスコンロともいう)は、
図1に示すように、コンロバーナとして、標準バーナ1a、高火力バーナ1b、および小バーナ1cの3つのコンロバーナ(加熱部)を備えており、トッププレートの上部に、標準バーナ1a、高火力バーナ1b、および小バーナ1cに対する鍋などの被加熱物(調理物)を受け止め、支持するための五徳51が載置されている。
【0023】
そして、標準バーナ(コンロバーナ)1aには、被加熱物(例えば、調理容器である鍋の底)に接触してその温度を検出するためのサーミスタからなる温度検出装置(温度センサ)9が,標準バーナ1aを上下方向に貫通する貫通口2に挿通されて標準バーナ1aの中央を貫通するように配設されている。なお、この温度検出装置9を備えた標準バーナ1aにより、炊飯、湯沸かし、揚げものなどの温調調理を行うことができる。
【0024】
また、グリル部4は、前面部が開口した箱状に形成されたグリル庫内に、魚などの被調理物を載置するための載置部として機能する焼き網を設けて構成されている。また、グリル庫内には、加熱部として、1つの上側バーナ(図示せず)と2つの下側バーナ(図示せず)が配設されている。
【0025】
さらに、ガスコンロAの前面(前側面)には、上述のコンロバーナとグリルバーナの点火および消火、火力調節と各種の設定とを指令する手動操作部34が設けられている。
【0026】
また、このガスコンロAは、各種の制御を実行するように構成された制御部(制御手段)(図示せず)を備えている。制御手段は、手動操作部34にて指令された指令情報に基づいて、コンロバーナおよびグリルバーナの燃焼状態などを制御するように構成されている。
また、ガスコンロAの前面には、自動復帰型の押し操作式の電源スイッチ24、電源ランプ25が設けられている。
【0027】
上記手動操作部34は、コンロバーナ(標準バーナ1a、高火力バーナ1b、小バーナ1c)の夫々に対して各別に点火・消火や火力調節を指令するための3つの加熱状態調節部21(21a,21b,21c)、標準バーナ1aの温調機能(湯沸かし、揚げ物、炊飯)とタイマ機能についての操作および表示を行う標準バーナ用の付加機能操作・表示部32、グリルバーナ(特に図示しない上側バーナと下側バーナ)の火力調節などを行うグリルバーナ操作部22、グリルバーナの作動状態の切り換えを指令するグリル用の付加機能操作・表示部33などを備えている。
【0028】
<特徴的構成>
次に、本発明の実施形態にかかるガスコンロAの特徴的な構成について説明する。
【0029】
本発明の一実施形態にかかるガスコンロAにおいて、標準バーナ(コンロバーナ)1aに用いられている温度検出装置9は、
図2〜4に示すように、(a)一端側11aがガスコンロAに設けた固定部61に固定され、一端側11aに対する他端側11bが上下方向に伸びるように配設された固定側支持部材11と、(b)固定側支持部材11に支持され、固定側支持部材11に対して上下動可能に構成された移動側支持筒12と、(c)移動側支持筒12の上端に配設され、調理容器40の上下動に追随して上下動することにより、調理容器40の底面に常時当接するように構成された当接体13と、(d)当接体13の下面側に、当接体13と熱的に結合する態様で配設されたサーミスタ14とを備えている。
【0030】
この実施形態では、ガスコンロAに設けたナットが、上述の固定側支持部材11の一端側11aが固定される所定の固定部61として機能するように構成されている。
【0031】
また、固定側支持部材11の一端側11aと他端側11bとの間には、水平方向に伸びる横引き部11cが設けられており、固定側支持部材11の一端側11aと他端側11bの間の横引き部11cに、以下に説明する切換手段100が配置されている(
図2、
図3、
図4)。
【0032】
すなわち、この実施形態のガスコンロAは、
1)所定の固定部であるナット61が下降することにより、当接体13の上面が五徳51の上端より下方に位置する温度検出装置9の下降状態と、
2)固定部(ナット)61が上昇することにより、当接体13の上面が五徳51の上端より上方に位置する温度検出装置9の上昇状態と
を切り換える切換手段100を備えており、切換手段100は、固定側支持部材11の横引き部11cに配設されている。
【0033】
次に、切換手段100について詳しく説明する。
図2〜4に示すように、切換手段100を構成する固定部(ナット)61には、その中心を上下方向に貫通する形態で雌ねじ62が形成されている。そして、切換手段100を構成する駆動手段であるモータ(この実施形態ではステッピングモータ)66の出力軸64には雄ねじ65が形成されており、出力軸64に形成された雄ねじ65と、固定部(ナット)61に形成された雌ねじ62が螺合するように構成されている。
【0034】
なお、モータ66の出力軸64が回転しても、固定側支持部材11が、固定部(ナット)6が固定された箇所を中心として回転しないように構成されている。
【0035】
また、雄ねじ62が形成された出力軸64が回転したときにも、固定部(ナット)61は回転しないように構成されている。
したがって、この実施形態のガスコンロAにおいて、モータ66の出力軸64が回転すると、モータ66の出力軸64の回転に伴い、固定部(ナット)61が上下方向に移動することになる。
【0036】
このように、この実施形態のガスコンロAでは、固定部(ナット)61、モータ(ステッピングモータ)66、モータ66の出力軸64などが切換手段100を構成している。
【0037】
また、この実施形態のガスコンロAは、
図2〜4に示すように、温度検出装置9を構成する、固定側支持部材11の他端側11bをコンロバーナ1(1a)の貫通口2に沿って誘導するための誘導体(誘導板)81を備えている(
図2〜4)。
【0038】
さらに、この実施形態のガスコンロAは、温度検出装置9の上昇状態において調理容器40が五徳51上に載置されたことを検出する調理容器40の載置検出部80を備えている(
図2〜4)。
【0039】
すなわち、この実施形態のガスコンロAにおいては、固定側支持部材11の横引き部11cの下側にリードスイッチ71が配設され、横びき部11cの上側の、前記横びき部11cを介してリードスイッチ71と対向する位置にマグネット(永久磁石)72が配設されている。また、横引き部11cの内部には、磁性体(強磁性体)73が配設されている。なお、磁性体(強磁性体)73は、サーミスタ14と、制御手段を接続するためのサーミスタ用リード線45の所定の位置に取り付けられている。
【0040】
そして、上述のリードスイッチ71およびマグネット72と、磁性体73とが、調理容器40が五徳51上に存在するか否かを検出する載置検出部80を構成している。
【0041】
この載置検出部80においては、
(a)
図2に示すように温度検出装置9が五徳51よりも下方に位置する下降状態や、
(b)
図3に示すように温度検出装置9が五徳51よりも上方に位置する上昇状態において、調理容器40が五徳51上に載置されていないときには、
固定側支持部材11の横引き部11cの外側に、横引き部11cを挟んで配設されたリードスイッチ71とマグネット72の間に、磁性体73が存在するように構成されている。
【0042】
そして、この載置検出部80によれば、上記(a)の温度検出装置9の下降状態や、上記(b)の温度検出装置9の上昇状態において、リードスイッチ71とマグネット72の間に、磁性体73が存在する場合には、リードスイッチ71がOFFすることで、調理容器40が五徳51上に載置されていない非載置状態であることが検出される。
【0043】
一方、温度検出装置9が五徳51よりも上方に位置する上昇状態において、五徳51上に調理容器40が載置されると、移動側支持筒(可動筒)12が下方に移動し、固定側支持部材11の横引き部11cの内部において、サーミスタ用リード線45に取り付けられた磁性体73がサーミスタ用リード線45とともに右方向に移動し、リードスイッチ71とマグネット72の間に、磁性体73が位置しなくなり、リードスイッチ71がONする。これにより、調理容器40が五徳51上に載置されていない非載置状態から、調理容器40が五徳51上に載置された載置状態になったことが検出される。以下、さらに詳しく説明する。
【0044】
磁性体(強磁性体)73は、移動側支持筒
12の上下動と共に固定側支持部材11内を移動するサーミスタ用リード線45に止着されており、
図4に示すように温度検出装置9の上昇状態において調理容器40が五徳51上に載置された載置状態では、リードスイッチ71とマグネット
72との間から離間した位置に磁性体
73が移動する。
【0045】
そして、リードスイッチ71とマグネット72との間に磁性体(強磁性体)73が存在するときは、
図6(a)に示すように、マグネット72からの磁力線の大半が磁性体73を通過しリードスイッチ71にはマグネット(永久磁石)72からの磁力線がほとんど通過せずリードスイッチ71がOFFする。
【0046】
また、リードスイッチ71とマグネット72の間から離間した位置に磁性体73が移動したときには、
図6(b)に示すように、マグネット72からの磁力線は磁性体73によって遮蔽されず、マグネット72からの磁力線がリードスイッチ71を通過してリードスイッチ71がONする。
【0047】
そのため、
図3に示す温度検出装置9の上昇状態において調理容器40が五徳51上に載置されていないときには、リードスイッチ71がOFFし、
図4に示すように温度検出装置9の上昇状態において調理容器40が五徳51上に載置された載置状態では、リードスイッチ71がONし、温度検出装置9の上昇状態において調理容器40が五徳51上に載置されたことが検出される。
【0048】
このように、本実施形態のガスコンロAは、温度検出装置の上昇状態において調理容器が五徳上に載置されたことを検出する調理容器の載置検出部を備えているので、調理容器40が五徳51上に載置されているか否かに応じて、制御手段が適切にコンロバーナ1aの火力を制御する、例えば、調理容器40が五徳51上に載置されていないときにはコンロバーナ1aの火力を小火力に減少したり、調理容器40が五徳51上に載置されていないときにはコンロバーナ1aを消火したりするなどの制御を行う。
【0049】
また、この実施形態のガスコンロAでは、制御手段を構成するマイクロコンピュータが、メインルーチンにおいて、所定の周期(例えば0.05秒に1回)で繰り返し温度検出装置9の昇降に関する制御サブルーチンを実行するように構成されている。
【0050】
以下に、この実施形態のガスコンロAが備える制御手段による、切換手段100の制御に関する温度検出装置9の昇降制御サブルーチン(温度検出装置昇降制御サブルーチン)について、
図5を参照して詳細に説明する。
【0051】
制御手段は、温度検出装置昇降制御サブルーチンを実行すると、先ず、#001で点火操作があったかどうか判定する。
【0052】
点火操作があったとき(#001)は、ステッピングモータ(モータ)を固定筒上昇の回転方向に回転させ(#002)、所定のパルス数だけ駆動させて(#003)、ステッピングモータを停止し(#004)、温度検出装置昇降制御サブルーチンを終了してメインルーチンにリターンする。
【0053】
そして、#001で点火操作がないと判定した場合は、#005に進み、消火操作があったかどうか判定する。
【0054】
消火操作があったときは、ステッピングモータを固定筒下降方向に回転させ(#006)、所定のパルス数だけ駆動させて(#007)、ステッピングモータを停止し(#008)、温度検出装置昇降制御サブルーチンを終了してメインルーチンにリターンする。
【0055】
以上のように、この実施形態のガスコンロAでは、制御手段が、コンロバーナによる加熱を停止する場合には、温度検出装置の下降状態となるように切換手段(を構成するステッピングモータ)を制御し、コンロバーナによる加熱を行う場合には、温度検出装置が上昇状態となり、調理容器が五徳上に載置されている場合には、温度検出装置の当接部が、調理容器の底面に当接するように、切換手段を制御する。
【0056】
この実施形態のガスコンロAは、上述のように構成されており、コンロバーナによる加熱が行われていない場合には、温度検出装置9が下降状態となるため、五徳51上において調理容器40を移動させるときに、温度検出装置9が他の部材に干渉したりすること(邪魔になること)がない。しかも、温度検出装置9の上昇状態においては、五徳51上に調理容器40が載置されたときに当接体13が調理容器40の下面の上下位置に追随して上下するため、温度検出装置9によって調理容器40の温度を適切に検出することができる。
【0057】
また、この実施形態のガスコンロAは、上述のように、固定側支持部材11の一端側11aと他端側11bとの間に水平方向に伸びる横引き部11cを備え、固定側支持部材11の一端側11aに切換手段100が配置されているので、コンロバーナ1を上下方向に貫通する貫通口2から煮汁などが浸入した場合にも、煮汁などが切換手段100に落下して不具合を招いたりすることを防止することができる。
【0058】
また、この実施形態のガスコンロAは、上述のように、固定側支持部材11の他端側11bを貫通口2に沿って誘導する誘導体(誘導板)81を具備しているので、固定側支持部材11の一端側11aと他端側11bの間に水平方向に伸びる横引き部11cを備え、固定側支持部材11の一端側11aに切換手段100が配置された構成とした場合にも、固定側支持部材11の他端側11bが誘導体(誘導板)81によって貫通口2に沿って誘導されるので、移動側支持筒12の上端に配設される当接体13が調理容器40の底面に確実に当接させることが可能になる。
【0059】
なお、この実施形態のガスコンロAが備えている、固定側支持部材11の一端側11aと他端側11bの間に横引き部11cを備える構成は必須の構成ではなく、横引き部11cを備えていない構成とすることも可能である。
【0060】
さらに、固定側支持部材11の他端側11bを貫通口2に沿って誘導する誘導体(誘導板)81を備えた構成も任意の構成であり、誘導体(誘導板)を備えていない構成とすることも可能である。
【0061】
[別実施形態]
この実施形態のガスコンロAは、
図7に示すように、温度検出装置9の下降状態において、調理容器40が五徳51上に載置されたことが載置検出部80によって検出されたときには、制御手段が、載置検出部80が故障していると判断してコンロバーナ1による加熱を停止するように構成されている。
【0062】
すなわち、温度検出装置9の下降状態においては、
図2に示すように当接体13の上面が五徳51の上端より下方に位置しており、調理容器40が五徳51上に載置されたときであっても、
図7に示すように、磁性体(強磁性体)73は依然マグネット72とリードスイッチ71との間に位置することになる。そのため、載置検出部80は、調理容器40が五徳51上に載置されたことを検出することができないので、温度検出装置9の下降状態において、調理容器40が五徳51上に載置されたことが載置検出部80によって検出されたときには、制御手段が、載置検出部80が故障していると判断することができる。
そして、調理容器40の載置検出部80が故障していると判断したときには、コンロバーナ1(1a)による加熱を停止することにより、調理容器40の載置検出部80が故障した状態でコンロバーナ1(1a)による加熱を継続してしまうことが防止されるため、さらに信頼性の高いガスコンロを提供することが可能になる。
【0063】
なお、上記実施形態では、制御手段が、上述のように切換手段を制御するようにしたガスコンロについて説明したが、切換手段を使用者が手動で制御するように構成することも可能である。
【0064】
さらに、上記実施形態では、所定の固定部をその中心に雌ねじを形成したナットにより構成したが、所定の固定部は、これに限られるものではなく、雌ねじを形成したナット以外の要素によって固定部を構成することも可能である。
【0065】
また、上記実施形態では、切換手段を構成するモータとしてステッピングモータを用いているが、ステッピングモータ以外のモータを駆動手段とすることも可能である。
【0066】
また、上記実施形態では、標準バーナが、温度を検出するための温度検出装置を備えるとともに、温度検出装置の下降状態と、上昇状態とに切り換える切換手段を備えている場合を例にとって説明したが、標準バーナに限らず、高火力バーナや、小バーナが温度検出装置および切換手段を備えているような構成とすることも可能である。
【0067】
また、上記実施形態では、ドロップインコンロを例にとって説明したが、本発明はテーブルコンロにも適用することが可能である。
【0068】
本発明は、さらにその他の点においても、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の変形を加えることが可能である。