特許第6563745号(P6563745)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563745
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】デブリの堆積量推定装置及び推定方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/00 20060101AFI20190808BHJP
   G01T 3/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   G21C17/00 110
   G21C17/00GDF
   G01T3/00 H
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-170417(P2015-170417)
(22)【出願日】2015年8月31日
(65)【公開番号】特開2017-49028(P2017-49028A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2018年7月11日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、経済産業省、「高速炉等技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の規定の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
(73)【特許権者】
【識別番号】307041573
【氏名又は名称】三菱FBRシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】近澤 佳隆
(72)【発明者】
【氏名】石川 信行
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 仁
【審査官】 村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−052258(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0209808(US,A1)
【文献】 特開平04−104085(JP,A)
【文献】 特開平04−151590(JP,A)
【文献】 特開2005−083923(JP,A)
【文献】 特開2014−130054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00− 1/16; 1/167−7/12
G21C17/00−19/50;23/00
G21F 9/00− 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉心を収納し液体金属が充填された原子炉容器内のデブリの堆積量を推定する装置であって、
前記原子炉容器の外部から当該原子炉容器内の中性子束の計測を行う中性子検出器と、
前記中性子検出器によって検出した中性子束の値に基づき前記原子炉容器内のデブリの堆積量を推定するデブリ堆積量推定手段と
を備える
ことを特徴とするデブリの堆積量推定装置。
【請求項2】
前記中性子検出器が、前記原子炉容器の外部を覆う生体遮蔽壁に形成された上下方向に延びる穴に挿通され、
前記デブリ堆積量推定手段が、
炉心損傷状況を想定した遮蔽解析を行ってデブリの堆積位置及び堆積量と中性子束の鉛直方向の分布との関連付けを行う遮蔽解析部と、
前記遮蔽解析部による解析結果と前記中性子検出器によって検出した中性子束の値とを比較して原子炉容器内に実際に堆積しているデブリの量を推定するデブリ堆積量推定演算部と
を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のデブリの堆積量推定装置。
【請求項3】
前記遮蔽解析部が、解析結果に基づいて前記中性子検出器による計測を実施する計測位置を決定し、
前記デブリ堆積量推定演算部が、前記遮蔽解析部による解析結果と前記計測位置に位置付けた前記中性子検出器によって検出した中性子束の値とを比較して前記原子炉容器内の前記計測位置に堆積したデブリの量を推定する
ことを特徴とする請求項2に記載のデブリの堆積量推定装置。
【請求項4】
前記遮蔽解析部が、解析結果に基づいて実際に前記中性子検出器による計測を実施する複数の計測位置を決定し、
前記デブリ堆積量推定演算部が、前記遮蔽解析部による解析結果と前記中性子検出器によってそれぞれの前記計測位置ごとに検出した中性子束の値とを比較して前記原子炉容器内の各前記計測位置に堆積したデブリの量を推定する
ことを特徴とする請求項2に記載のデブリの堆積量推定装置。
【請求項5】
炉心を収納し液体金属が充填された原子炉容器内のデブリの堆積量を推定する方法であって、
前記原子炉容器の外部から中性子束の計測を行い、
検出した中性子束の値に基づいて前記原子炉容器内のデブリの堆積量を推定する
ことを特徴とするデブリの堆積量推定方法。
【請求項6】
炉心損傷状況を想定した遮蔽解析を行ってデブリの堆積位置及び堆積量と中性子束の鉛直方向の分布とを関連付け、
解析結果と実際に検出した中性子束の値とを比較して前記原子炉容器内に堆積したデブリの量を推定する
ことを特徴とする請求項5に記載のデブリの堆積量推定方法。
【請求項7】
解析結果に基づいて中性子束の計測を実施する計測位置を決定し、
解析結果と前記計測位置で検出した中性子束の値とを比較して前記原子炉容器内に堆積したデブリの量を推定する
ことを特徴とする請求項6に記載のデブリの堆積量推定方法。
【請求項8】
解析結果に基づいて中性子束の計測を実施する複数の計測位置を決定し、
解析結果とそれぞれの前記計測位置で検出した中性子束の値とを比較して前記原子炉容器内に堆積したデブリの量を推定する
ことを特徴とする請求項6に記載のデブリの堆積量推定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉心を収納し液体金属が充填された原子炉容器の外部から当該原子炉容器内部にあるデブリの堆積量を推定するデブリの堆積量推定装置及び推定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の過酷事故(シビアアクシデント)の一つに、炉心損傷事故がある。例えば、高速増殖炉では炉心の出力密度が高く、事故時に炉心の反応度が大きくなることから短時間で炉心損傷に至る可能性が指摘されている。そのためJSFR(Japan Sodium-cooled Fast Reactor:日本で開発中の先進ループ型ナトリウム冷却高速炉)では、炉心損傷事故時に損傷物質によって再臨界することを回避し、原子炉容器底部が溶融するメルトスルーを生じることなく炉内で事象が終息するよう種々の対策が施されている。
【0003】
損傷炉心物質は炉心燃料や種々構造物が混在したデブリであり、炉内で事象が終息した場合、当該デブリは原子炉容器底部に設けたコアキャッチャ等に再配置される。デブリは、核反応により生成された中性子やガンマ線を放射する同位体元素を数多く含んでおり、高い放射能を有している。
【0004】
過酷事故が発生した場合、炉内で事象を終息させるための前述したような対策が想定通りに機能し再臨界を回避していることを監視する手段として、各位置に再配置したデブリの堆積量を測定することが有効であると考えられる。
【0005】
従来、軽水炉発電プラントにおいてデブリの位置を特定する方法として、レーザー発振装置と、レーザー発振装置から発振されたレーザー光をシート状に照射するレーザーシート形成用の走査光学系と、レーザーシートにおける測定領域の光データを伝送する光ケーブルと、光ケーブルによって伝送された光データを撮影して画像データを取得するカメラと、画像データを処理する画像処理部と、走査光学系および光ケーブルを原子炉圧力容器または原子炉格納容器内の冷却水中に挿入するアームと、を備え、画像処理部によりデブリの崩壊熱が周辺の冷却水に生じさせる対流を検知することによってデブリの位置を特定するようにしたものが公知となっている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0006】
また、同じく軽水炉発電プラントにおけるデブリの位置特定方法として、対象物に光を照射してスクリーンに投影し、スクリーンに投影された光を撮影し、撮影された画像からゆらぎがある位置を判断し、ゆらぎがある位置からデブリの位置を検知するようにしたものも公知となっている(例えば、下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−160738号公報
【特許文献2】特開2014−215185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来のデブリの堆積位置特定方法は、過酷事故発生時に原子炉格納容器内へ検出器を挿入するものであり、検出器の耐環境性、検出器挿入用開口部の設置の必要性、作業員の安全性(作業員の炉内への近接可能性)など、種々の課題を有している。
【0009】
一方で、近年では上述したようにデブリがある程度特定された位置に堆積するよう種々の対策が施されているため、デブリの堆積量が推定できれば、炉内の状況を把握することができると考えられる。
【0010】
以上のことから本発明は、安全かつ確実に、炉内に堆積したデブリの堆積量を推定することを可能としたデブリの堆積量推定装置及び推定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための第1の発明に係るデブリの堆積量推定装置は、
炉心を収納し液体金属が充填された原子炉容器内のデブリの堆積量を推定する装置であって、
前記原子炉容器の外部から当該原子炉容器内の中性子束の計測を行う中性子検出器と、
前記中性子検出器によって検出した中性子束の値に基づき前記原子炉容器内のデブリの堆積量を推定するデブリ堆積量推定手段と
を備える
ことを特徴とする。
【0012】
上記の課題を解決するための第2の発明に係るデブリの堆積量推定装置は、
前記中性子検出器が、前記原子炉容器の外周を覆う生体遮蔽壁に形成された上下方向に延びる穴に挿通され、
前記デブリ堆積量推定手段が、
炉心損傷状況を想定した遮蔽解析を行ってデブリの堆積位置及び堆積量と中性子束の鉛直方向の分布との関連付けを行う遮蔽解析部と、
前記遮蔽解析部による解析結果と前記中性子検出器によって検出した中性子束の値とを比較して原子炉容器内に実際に堆積しているデブリの量を推定するデブリ堆積量推定演算部と
を備える
ことを特徴とする。
【0013】
上記の課題を解決するための第3の発明に係るデブリの堆積量推定装置は、
前記遮蔽解析部が、解析結果に基づいて前記中性子検出器による計測を実施する計測位置を決定し、
前記デブリ堆積量推定演算部が、前記遮蔽解析部による解析結果と前記計測位置に配置した前記中性子検出器によって検出された中性子束の値とを比較して前記原子炉容器内の前記計測位置に堆積したデブリの量を推定する
ことを特徴とする。
【0014】
上記の課題を解決するための第4の発明に係るデブリの堆積量推定装置は、
前記遮蔽解析部が、解析結果に基づいて実際に前記中性子検出器による計測を実施する複数の計測位置を決定し、
前記デブリ堆積量推定演算部が、前記遮蔽解析部による解析結果と前記中性子検出器によってそれぞれの前記計測位置ごとに検出した中性子束の値とを比較して前記原子炉容器内の各前記計測位置に堆積したデブリの量を推定する
ことを特徴とする。
【0015】
上記の課題を解決するための第5の発明に係るデブリの堆積量推定方法は、
炉心を収納し液体金属が充填された原子炉容器内のデブリの堆積量を推定する方法であって、
前記原子炉容器の外部から中性子束の計測を行い、
検出した中性子束の値に基づいて前記原子炉容器内のデブリの堆積量を推定する
ことを特徴とする。
【0016】
上記の課題を解決するための第6の発明に係るデブリの堆積量推定方法は、
炉心損傷状況を想定した遮蔽解析を行ってデブリの堆積位置及び堆積量と中性子束の鉛直方向の分布とを関連付け、
解析結果と実際に検出した中性子束の値とを比較して前記原子炉容器内に堆積したデブリの量を推定する
ことを特徴とする。
【0017】
上記の課題を解決するための第7の発明に係るデブリの堆積量推定方法は、
解析結果に基づいて中性子束の計測を実施する計測位置を決定し、
解析結果と前記計測位置で検出した中性子束の値とを比較して前記原子炉容器内に堆積したデブリの量を推定する
ことを特徴とする。
【0018】
上記の課題を解決するための第8の発明に係るデブリの堆積量推定方法は、
解析結果に基づいて中性子束の計測を実施する複数の計測位置を決定し、
解析結果とそれぞれの前記計測位置で検出した中性子束の値とを比較して前記原子炉容器内に堆積したデブリの量を推定する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
上述した本発明に係るデブリの堆積量推定装置及び推定方法によれば、安全かつ確実に、炉内に堆積したデブリの堆積量を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施例に係るデブリの堆積量推定装置を用いた中性子束計測例を示す説明図である。
図2】本発明の実施例に係るデブリの堆積量推定装置の構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施例に係るデブリの堆積量推定方法を説明するフローチャートである。
図4】炉心中心高さからの距離と中性子束分布との関係を示す分布図である。
図5】炉心中心高さからの距離と計数率との関係を示す分布図である。
図6】デブリが複数個所に堆積した例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るデブリの堆積量推定装置及び推定方法について説明する。
【実施例】
【0022】
図1から図4を用いて本発明の一実施例に係るデブリの堆積量推定装置及び推定方法の詳細を説明する。
【0023】
図1に高速増殖炉であるJSFRに本実施例に係るデブリの堆積推定装置及び推定方法を適用した例を示す。
図1に示すように、炉心11を収納する原子炉容器10の内部空間には、下部プレナム12と中間プレナム13とを隔てるスカート部15が設けられており、炉心11は当該スカート部15等の据付部によって支持されている。
炉心11の上方には、中間プレナム13と上部プレナム14とを隔てる円環状に形成された積層板16が原子炉容器10の内周面に沿って設けられている。また、下部プレナム12には過酷事故発生時に溶融した燃料の受け皿となるコアキャッチャ17が設けられている。
この原子炉容器10内には冷却材として液体金属である液体ナトリウム18が充填されている。また、原子炉容器10は、その外周を生体遮蔽壁20によって取り囲まれている。
【0024】
なお、図1は過酷事故発生時を想定したものであり、コアキャッチャ17にデブリDが堆積した状態を示している。
【0025】
そして、デブリの堆積量推定装置30は、一つの中性子検出器31と、デブリ堆積量推定手段としてのデブリ堆積量推定部32とから構成されている。
本実施例では、生体遮蔽壁20に上下方向(本実施例では鉛直方向)に沿って計測用の穴20aが形成されており、中性子検出器31は当該検出器31の水平方向外側の空間に存在する中性子束を計測するようにこの計測用の穴20aに挿通され、原子炉容器10の外側から原子炉容器10内部の中性子束の計測を行う。計測用の穴20aの深さは、少なくともコアキャッチャ17と同じ高さにおいて中性子検出器31による計測を行うことができる深さとする。
中性子検出器31によって計測した結果はデブリ堆積量推定部32に送られる。
【0026】
デブリ堆積量推定部32は、図2に示すように遮蔽解析部321と、遮蔽解析結果記憶部322と、中性子計測結果記憶部323と、デブリ堆積量推定演算部324とを備えている。
【0027】
遮蔽解析部321は、予め過酷事故が発生した場合の状況(原子炉構造、デブリ堆積位置、デブリ堆積量、計測開始時期など)を想定して模擬解析(以下、遮蔽解析という)を実施する。この遮蔽解析によりデブリDの堆積位置及び堆積量と特定の位置(例えば、計測用の穴20aのコアキャッチャと同じ深さにある位置)に配置した中性子検出器31により検出した中性子束の量との関係を把握し、デブリDの堆積量と計測位置での中性子束の鉛直方向の分布との関連付けを行う。
【0028】
遮蔽解析結果記憶部322は、遮蔽解析部321によって実施した遮蔽解析の結果を保管する。
中性子計測結果記憶部323は、中性子検出器31によって検出した中性子束の計測結果を保管する。
【0029】
デブリ堆積量推定演算部324は、遮蔽解析結果記憶部322に保管された遮蔽解析の結果と、中性子計測結果記憶部323に保管された中性子束の計測結果とに基づいて原子炉容器10内部の特定の位置に堆積したデブリDの堆積量の推定を行う。すなわち、原子炉容器10の外部から中性子束を計測した結果と遮蔽解析で得られたデブリDの堆積量に対する計測位置における中性子束の値とを比較してデブリDの堆積量を推定する。推定結果は、図示しない表示部等に出力される。
【0030】
以下、図3から図5を用いて本実施例におけるデブリの堆積量推定方法についてより詳しく説明する。
本実施例に係るデブリの堆積量推定装置では、まず、遮蔽解析部321において、過酷事故発生における計測時の状況(原子炉構造、デブリ堆積位置、デブリ堆積量、計測開始時期など)を想定して遮蔽解析を実施し(ステップS1)、原子炉容器10内部の中性子束の鉛直方向の分布を求める(ステップS2)。なお、デブリDに含まれる中性子束の量については、これまでの知見を踏まえて求めたデブリDの組成(燃料と構造材との割合)に基づいて定めるものとする。ステップS2で求めた中性子束の分布は、解析結果として遮蔽解析結果記憶部323に保管される。
図4に示す例は、デブリDが全てコアキャッチャ17に堆積したと想定した場合の中性子束の分布の一例である。
【0031】
続いて、同じく遮蔽解析部321において、ステップS2で求めた中性子束の分布を、中性子検出器31が計測する計数率の分布に変換する(ステップS3)。図5に示す例は、図4に示す中性子束の仮想分布を、計数率分布に変換した例である。ステップS3で求めた計数率分布は、解析結果として遮蔽解析結果記憶部323に保管される。
【0032】
続いて、ステップS3で求めた計数率分布から、デブリDが堆積していることを特徴づける次の二つの観点に基づいて、過酷事故が発生した場合に中性子検出器31により中性子束の計測を行う位置(本実施例では、計測用の穴20a内の中性子検出器31を配置する深さ。以下、計測位置という)を決定する(ステップS4)。
・計数率が多い。
・鉛直方向の計数率の変化が小さい。
【0033】
図5に示す例では、炉心11の中心高さよりも850cm下方の位置(コアキャッチャが設置されている位置)が、計数率が高く且つ鉛直方向の計数率の変化が小さいことから、この位置が計測位置として決定される。
【0034】
そして、事故が発生した場合には、ステップS4で決定した計測位置に中性子検出器31を手動又は遠隔操作等により配置し、当該計測位置において中性子束の計測を行う(ステップS5)。計測結果は、中性子計測結果記憶部323に保管される。
【0035】
続いて、デブリ堆積量推定演算部324において、遮蔽解析の結果と中性子検出器31によって計測した結果とに基づき、デブリDの堆積量を推定する(ステップS6)。より具体的には、デブリ堆積量推定演算部324では、解析で求めたデブリDの堆積量(本実施例では、全てのデブリDがコアキャッチャ17に堆積したと仮定したときのデブリDの堆積量)を1としたときの比率rを下式(1)により求める。
【0036】
【数1】
【0037】
ただし、C:計測した中性子束のカウント数[c]
T:計測時間[s]
a:解析結果から求まる計数率[cps]
【0038】
そして、式(1)により求めた比率rから、実際に原子炉容器10の内部に堆積しているデブリDの堆積量を推定する。このように構成される本実施例に係るデブリの堆積量推定方法での推定誤差は約2%であった(誤差要素として検出器の据付誤差(±10cm)に起因するものとカウント数のゆらぎ(1σ)に起因するものとを考慮)。
なお、本実施例では、デブリDの組成(燃料と構造材の割合)をこれまでの知見を踏まえて定めているため、そこから発生する中性子束を計測することで堆積量の推定を可能としている。
【0039】
このように、本実施例に係るデブリの堆積量推定方法は、デブリDの中に中性子を放射する同位体元素が含まれていることに着目し、原子炉容器10の外部から原子炉容器10内部の中性子束を計測することによってデブリDの堆積位置における量を推定するものである。
【0040】
JSFRに代表される高速増殖炉ではナトリウムなどの液体金属を冷却材に使用していることから、軽水に比べ中性子が冷却材等に吸収されにくく、デブリDから放射される中性子束を原子炉容器10の外部から計測できるため、原子炉容器10の内部に中性子検出器31を挿入する必要がなく、安全にデブリDの堆積位置における量を推定することが可能である。
【0041】
また、JSFRでは、再臨界を回避するため種々の対策が施されており、デブリが堆積する位置はある程度特定することが可能であるため、デブリの量を推定することで、炉内の状況を把握することも可能となる。
【0042】
このように、本実施例に係るデブリの堆積量推定装置及び推定方法によれば、確実かつ安全に、特定された位置に堆積したデブリの堆積量を推定することができ、これにより、炉内の状況を把握することができる。
【0043】
なお、JSFRでは、上述した再臨界を回避するため種々の対策として、炉心を構成する燃料集合体内に損傷炉心物質が通るダクトを設け、事故時には損傷炉心物質がこのダクトを通って上部に吹き上げ積層板に堆積し、残りの損傷炉心物質も受け皿であるコアキャッチャに落ちて堆積するように構成されている(図6参照)。本実施例ではデブリが全てコアキャッチャ17に堆積したと想定して遮蔽解析を行う例を示したが、例えば図6に示すように、過酷事故時に損傷炉心物質が積層板16及びコアキャッチャ17に堆積するように構成されている場合は、計測位置として各堆積位置に対応する計測位置を設定し、それぞれの計測位置ごとに解析結果と実際の計測結果とに基づき各堆積位置におけるデブリDの堆積量を推定すればよい。
【0044】
また、本実施例では一つの中性子検出器31により中性子束の計測を行う例を示したが、生体遮蔽壁に計測用の穴を複数形成し、それぞれの穴に中性子検出器を挿通して原子炉容器10内の中性子束を計測し、それぞれの計測結果を総合的に判断してデブリDの堆積量を推定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、炉心を収納し液体金属が充填された原子炉容器の外部から当該原子炉容器内部にあるデブリの堆積量を推定するデブリの堆積量推定装置及び推定方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
10 原子炉容器
11 炉心
12 下部プレナム
13 中間プレナム
14 上部プレナム
15 スカート部
16 積層板
17 コアキャッチャ
18 液体ナトリウム
20 生体遮蔽壁
20a 計測用の穴
30 デブリの堆積量推定装置
31 中性子検出器
32 デブリ堆積量推定部
321 遮蔽解析部
322 遮蔽解析結果記憶部
323 中性子計測結果記憶部
324 デブリ堆積量推定演算部
D デブリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6