(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
光CT、特に反射型電流センサは、光ファイバを通過する光の偏波面が磁界の作用によって回転するファラデー効果を利用して、前記磁界を生じさせた電流を測定する装置であり、例えば、ガス絶縁開閉装置(GIS)における電流値の測定に使用されている。
この種の光CTにおいて、一般にファラデー素子のファラデー回転角は温度依存性を有するため、従来から、ファラデー素子の温度特性を改善する種々の方法が提案されている。
【0003】
まず、基本的な考え方として、磁気飽和時におけるファラデー回転角の温度係数ができるだけ小さいファラデー素子を用いる方法(第1の従来技術)がある。
【0004】
また、特許文献1には、磁気飽和時におけるファラデー回転角を所定温度において22.5度+α度に設定し、ファラデー回転角を22.5度からα度だけ変化させることで、測定電流値における比誤差の変動幅を±0.5[%]に抑え、言い換えれば、光CTの温度特性の傾きを変化させてその勾配を小さくするようにした電流測定装置(第2の従来技術)が記載されている。
【0005】
特許文献2には、ファラデー回転角を測定する信号処理装置に周囲温度測定用の温度センサを備え、この温度センサによる測定温度をセンサヘッドの周囲温度として推定すると共に、この推定温度を用いて光CTの出力を補正する温度特性補正装置(第3の従来技術)が記載されている。
更に、特許文献3や非特許文献1には、信号処理装置において、ファラデー素子からの光を偏光分離素子により分離して得た二つの信号を異なるゲインにて増幅した後に、一方の出力を反転して他方と加算することにより、光CTの温度特性の傾きを変化させてその勾配を小さくするようにした温度特性改善方法(第4の従来技術)が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
第1の従来技術は、磁気飽和時におけるファラデー回転角の温度依存性に着目したものである。しかし、光CTの温度特性は、センサ用光ファイバ(鉛ガラスファイバ、石英ファイバ等)及び光学部を含むセンサヘッドの温度依存性と信号処理装置の温度依存性によって決まり、センサヘッドの温度依存性は、センサ用光ファイバのベルデ定数の温度係数と光学部を構成するファラデー素子のファラデー回転角の温度係数とによって決まる。
従って、ファラデー回転角の温度係数ができるだけ小さいファラデー素子を用いたとしても、センサ用光ファイバの温度依存性(鉛ガラスファイバの場合:0.01[%/deg])がなくならない限り、光CTは、その使用温度範囲(−40〜+70[℃])において1.1[%]程度の温度依存性を有することになる。
【0009】
また、第2の従来技術はファラデー回転角の温度係数を調整して光CTの温度特性の勾配を小さくし、第4の従来技術は信号処理装置における演算内容を改良して同様の効果を得ようとしているが、光CTの温度依存性は線形ではなく曲線的に変化するため、結果として得られる温度特性改善効果は、光CTに要求される精度(GIS等に適用される電流値測定用の光CTでは、比誤差の変動幅が±0.2[%]以内)を満足することが難しい。
更に、個々の光CTが有する温度特性のばらつきを、光CTの組立後に調整することも困難である。
【0010】
また、第3の従来技術において、信号処理装置とセンサヘッドとを同一の場所に配置することは物理的に不可能であるため、それぞれの周囲温度に差が生じることは避けられない。例えば、信号処理装置が屋内に配置され、センサヘッドが屋外に配置されるような場合には、信号処理装置及びセンサヘッドのそれぞれの設置環境に応じて周囲温度の差が大きくなり、光CT出力の温度補償精度が低下する。
【0011】
加えて、保護継電器等の分野では、100〜180[kA]の大電流を測定するために透過型電流センサが用いられており、これら保護用の透過型電流センサに関しても、定格電流領域において比誤差の変動幅をできるだけ小さくすることが求められている。
【0012】
そこで、本発明の解決課題は、光CTに要求される計測精度を所定の使用温度範囲において満足するようにした光CTの温度特性改善方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、被測定電流が流れる導体を周回するように配置され、かつ、端部にミラーを有するセンサ用光ファイバと、
偏/検光子及びファラデー素子を備え、前記センサ用光ファイバに入射して被測定電流によりファラデー回転を受けた反射光を偏波面が直交する第1の信号,第2の信号に分離する光学部と、を有するセンサヘッド、及び、
前記第1の信号,第2の信号が受光素子を介してそれぞれ入力され、前記受光素子の出力信号の交流成分と直流成分との比からそれぞれ算出した変調度に基づいて被測定電流の大きさを測定する信号処理装置、を備え、
反射型電流センサとして構成される光CTにおいて、
前記第1の信号,第2の信号に基づく変調度をそれぞれ正規化して電流成分に依存しない第1の変調度,第2の変調度を演算し、前記第1の変調度と第2の変調度との差分を算出して使用温度範囲における前記差分の温度特性を予め作成し、
前記温度特性を用いて、前記差分に対応する温度から前記センサヘッドの周囲温度を検出し、検出した前記周囲温度に対応する温度特性補正データを予め作成しておき、
前記信号処理装置により測定した被測定電流の大きさを前記温度特性補正データにより補正して被測定電流を温度補償するものである。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載した光CTの温度特性改善方法において、前記第1の信号,第2の信号に基づく変調度を、被測定電流の実効値相当値によりそれぞれ除算して正規化するものである。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載した光CTの温度特性改善方法において、前記温度特性補正データは、前記第1の信号,第2の信号に基づく変調度の平均値を、前記第1の信号,第2の信号に基づく変調度の基準温度における平均値により正規化して求めたデータであることを特徴とする。
【0016】
請求項4に係る発明は、被測定電流が流れる導体を周回するように配置されたセンサ用光ファイバと、
偏光子から前記センサ用光ファイバに入射して前記被測定電流によりファラデー回転を受けた透過光を、偏波面が直交する第1の信号,第2の信号に分離する検光子と、を有するセンサヘッド、及び、
前記第1の信号,第2の信号が受光素子を介してそれぞれ入力され、前記受光素子の出力信号の交流成分と直流成分との比からそれぞれ算出した変調度に基づいて前記被測定電流の大きさを測定する信号処理装置、
を備えた透過型電流センサが、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載した前記反射型電流センサと近接して配置される光CTにおいて、
前記反射型電流センサのセンサヘッドの周囲温度として検出された温度情報を、前記透過型電流センサのセンサヘッドの周囲温度としても用いるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電流を測定する反射型電流センサの使用温度範囲において、測定電流値の比誤差の変動幅を±0.2[%]以内に抑え、また、反射型電流センサにより検出した温度情報を過電流保護等に用いる透過型電流センサにも用いることで、その比誤差の変動幅を従来よりも小さくすることができる。
これにより、高精度な電流測定動作、保護動作を実現可能な光CTを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図に沿って本発明の実施形態を説明する。
まず、
図1は、本発明の第1実施形態に係る光CT(反射型電流センサ)の全体構成図であり、この光CTは、信号処理装置100とセンサヘッド20とから構成されている。
【0020】
信号処理装置100において、10は光源部、11は光源ユニット、12は光サーキュレータ、13は伝送用光ファイバであり、光源ユニット11から出射された光は光サーキュレータ12、伝送用光ファイバ13を介してセンサヘッド20の光学部21に送出される。
光学部21は、
図2に示すように構成されており、偏/検光子21aと、レンズ21bと、ガーネット結晶等のファラデー回転子21d及び永久磁石21eからなるファラデー素子21cとを備え、ファラデー回転子21dの出射側に鉛ガラスファイバ等のセンサ用光ファイバ22が配置されている。なお、24は保護チューブである。
【0021】
図1に示すように、センサ用光ファイバ22は、その先端部にミラー23を備え、被測定電流Iが流れる導体を周回するように配置されている。ここで、ミラー23は、センサ用光ファイバ22の先端部に平面鏡を固着しても良いし、蒸着によってセンサ用光ファイバ22の先端部に鏡面を形成したものでも良い。
前述した光学部21において、伝送用光ファイバ13から偏/検光子21a、レンズ21bを介してファラデー素子21cに入射した光は、22.5度のファラデー回転を受けてセンサ用光ファイバ22に入射する。センサ用光ファイバ22への入射光は、被測定電流値Iが作る磁界によってファラデー回転を受け、ミラー23により反射して再びセンサ用光ファイバ22からファラデー素子21cに入射する。この入射光は、22.5度の追加のファラデー回転を受け、更に偏/検光子21aにより偏内面が互いに直交する二つの直線偏波成分に分離される。
【0022】
そして、一方の成分は第2の信号Sig2として、伝送用光ファイバ72から後述する信号処理装置100内の第2の受光素子(フォトダイオード)PD2に入射する。また、他方の成分は伝送用光ファイバ13から光サーキュレータ12に戻り、伝送用光ファイバ71から信号処理装置100内の第1の受光素子(フォトダイオード)PD1に第1の信号Sig1として入射する。
【0023】
次に、
図3は、信号処理装置100におけるアナログ信号処理部40の構成を示している。
図3において、第1の信号Sig1は、受光素子PD1により電流信号に変換され、I/V変換部41aにより電圧信号に変換される。この電圧信号は直流成分DC1に交流成分AC1が重畳されたものであるため、I/V変換部41aの出力をローパスフィルタ42aに通して直流成分DC1を抽出すると共に、減算部43aにおいて、I/V変換部41aの出力から直流成分DC1を減算することにより、交流成分AC1を抽出する。
同様にして、第2の信号Sig2についても、I/V変換部41b、ローパスフィルタ42b、及び減算部43aの作用により、直流成分DC2及び交流成分AC2が抽出される。
【0024】
これらの直流成分DC1,DC2及び交流成分AC1,AC2は、
図1のADコンバータ50によりディジタル信号に変換され、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のディジタル信号処理部60に入力される。
【0025】
図4は、ディジタル信号処理部60においてソフトウェアによって実現される機能ブロック図である。
変調度演算手段61は、信号Sig1の交流成分AC1を直流成分DC1にて除算し、同様に信号Sig2の交流成分AC2を直流成分DC2にて除算することにより、各信号Sig1,Sig2の変調度(AC1/DC1),(AC2/DC2)を演算する。なお、各信号Sig1,Sig2の変調度は互いに逆相となっている。
【0026】
これらの変調度(AC1/DC1),(AC2/DC2)は、電流成分算出手段62に入力され、
図5に示すごとく各変調度の差分を求めることにより、被測定電流値Iによるファラデー回転角に比例した電流成分(温度補償されていない電流成分)I
kを得ることができる。上記の変調度演算手段61における交流成分の直流成分による規格化、及び、電流成分算出手段62における平均化処理により、受光パワーの変化による検出感度の変動や受光素子PD1,PD2等の特性のバラツキをキャンセルすることができる。
【0027】
ここで、変調度演算手段61により演算される各信号Sig1,Sig2の変調度(AC1/DC1),(AC2/DC2)は、実際には曲線であるが、これらを一次直線により近似して所定の周囲温度範囲(例えば、−40°〜+80[℃])の温度特性を求めると、
図6の特性線P1(△のプロット)、特性線P2(■のプロット)のようになる。また、両者の差分は、
図6の特性線P3(○のプロット)のようになる。
これらの特性線P1,P2,P3は、予め求めておくことが可能であり、特性線P3を用いれば、センサヘッド20の周囲温度を推定することが可能である。
【0028】
ただし、各信号Sig1,Sig2の変調度(AC1/DC1),(AC2/DC2)は、被測定電流値Iに比例する信号であり、周囲温度のみによって変化するわけではない。従って、各変調度の差分に基づいて周囲温度を推定する場合には、被測定電流値Iに依存しないように各変調度を正規化し、電流値に依存しない各変調度及びその差分の温度特性を得る必要がある。
【0029】
いま、第1の信号Sig1の変調度(AC1/DC1)をm1・sin(ωt)とし、この信号Sig1に対して逆相である第2の信号Sig2の変調度(AC2/DC2)を、−m2・sin(ωt)とおく。
変調度の被測定電流成分をm・sin(ωt)とすると、その実効値相当値は(m/√2)になる。なお、m=m1−(−m2)=m1+m2とおく。この実効値相当値(m/√2)により信号Sig1,Sig2の変調度をそれぞれ除算して正規化すると、数式1,数式2を得る。
[数式1]
M1=m1・sin(ωt)/(m/√2)=√2・m1・sin(ωt)/m
[数式2]
M2=−m2・sin(ωt)/(m/√2)=−√2・m2・sin(ωt)/m
【0030】
図7(a)は、上述した正規化の様子を概念的に示したものであり、信号Sig1,Sig2の変調度を被測定電流成分の実効値相当値(m/√2)により除算して得た特性(温度特性)M1,M2は、
図7(a)の下段に示すようになる。
図7(b)は、これらの特性M1,M2を抽出したものである。
【0031】
いま、周囲温度の基準温度を例えば20[℃]とした時の特性M1(20),M2(20)の差分ΔMが0となるようにΔM特性を求めると、
図7(c)のようになる。このΔM特性は、周囲温度T[℃]と変調度の差分ΔMとの関係を示しており、個々のセンサヘッドについて求めることができるから、テーブル等の形で予め準備しておく。
【0032】
なお、
図8は、上述した処理を実現するための、
図4の温度計測・補正手段65内の温度計測部65aの機能ブロック図である。
図8において、81,86〜88は加減算手段、82は実効値相当値演算手段、83,84は除算手段、85はメモリ、89はΔM特性をテーブル等により備えた温度変換手段である。メモリ85は、周囲温度が20[℃]の時の差分ΔMを0にする操作を行うために、M1(20),M2(20)の値を記憶しておくものであり、後続する加減算手段86,87によりM1,M2からM1(20),M2(20)をそれぞれ減算してその結果の差分を加減算手段88により求め、
図7(c)のΔM特性を得る。
【0033】
図4に示した温度計測・補正手段65内の温度計測部65aは、第1,第2の信号Sig1,Sig2の変調度(AC1/DC1),(AC2/DC2)を実効値相当値(m/√2)により正規化して特性M1,M2を求め、両者の差分ΔMに応じた周囲温度T[℃](例えば、T=60[℃])を
図7(c)のΔM特性に基づいて同定するものである。
【0034】
次に、
図4の温度計測・補正手段65内の温度補正部65bについて説明する。
図9は、温度補正部65bの機能ブロック図である。
図9において、第1の信号Sig1の変調度(AC1/DC1)であるm1・sin(ωt)=P1と、第2の信号Sig2の変調度(AC2/DC2)である−m2・sin(ωt)=P2とを加減算手段91に入力し、更に乗算手段92により1/2を乗算して平均値(P=(P1+P2)/2)を求める。この平均値Pは、メモリ93及び除算手段94に入力される。
ここで、
図10(a)は、上記のP1,P2,Pを概念的に示した図である。
【0035】
図9のメモリ93には、周囲温度の基準温度を例えば20[℃]とした時の平均値P(20)=(P1(20)+P2(20))/2が記憶され、この平均値P(20)が除算手段94に入力されている。
除算手段94では、乗算手段92から出力された平均値Pを平均値P(20)により除算して正規化することにより、基準温度における平均値P(20)に対する平均値Pの比、すなわちP/P(20)が演算される。この比P/P(20)は、温度特性補正データE
mとしてメモリ95に記憶される。
【0036】
図10(b)は、上記の温度特性補正データE
mの概念図であり、周囲温度が20[℃]における比P/P(20)を1.0として正規化してある。
図10(a)のP1,P2,Pはセンサヘッド20ごとに予め求めることができ、
図10(b)の温度特性補正データE
mも予め算出可能である。この温度特性補正データE
mを
図9のメモリ95に記憶させておけば、前述した温度計測部65aが
図8により求めた周囲温度Tに対応する温度特性補正データE
mを得ることができる。
【0037】
図9に戻って、周囲温度Tに応じてメモリ95から読み出した温度特性補正データE
mは、除算手段96に送られる。この除算手段96において、
図4における電流成分算出手段62が算出した電流成分I
kを温度特性補正データE
mによって除算することにより、温度補正済みの電流値I
nが得られる。
この電流値I
nは、
図4の非直線性補正手段63において被測定電流に対する変調度の非直線性を補正した後、最終調整手段64により変換比の調整等を行い、導体を流れる電流Iの測定値として出力される。なお、非直線性補正手段63及び最終調整手段64は本発明に必須の構成要件ではなく、温度補正部65bによって電流値I
nを得ることにより所期の目的を達成することができる。
【0038】
ここで、
図11は、温度特性改善前の反射型電流センサによる被測定電流の比誤差を示しており、
図12は、本発明の第1実施形態において、温度特性改善後の反射型電流センサによる被測定電流の比誤差を示している。
これらの図から明らかなように、第1実施形態によれば、−40〜+80[℃]の範囲において、比誤差の変動範囲がほぼ−0.1[%]以下になっており、GIS等の電流値測定用の光CTとして十分な温度特性が得られている。
【0039】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
保護継電器等に使用されている保護用の透過型電流センサは、反射型電流センサのごとくファラデー素子を使用していないため、第1実施形態のようにセンサヘッドの周囲温度センサとしてファラデー素子を利用することができない。ここで、一般的に光CTでは、電流を高精度に測定するための測定用の反射型電流センサと、過電流保護等を行う保護用の透過型電流センサとが近接して設置されている。
従って、第1実施形態により測定用の反射型電流センサが検出した周囲温度情報を、保護用の透過型電流センサのセンサヘッドの周囲温度情報としても利用すれば、透過型電流センサによる被測定電流の温度補償を行うことができる。本発明の第2実施形態は、この点に着目したものである。
【0040】
なお、良く知られているように、透過型電流センサは、被測定電流が流れる導体を周回するように配置されたセンサ用光ファイバと、偏光子からセンサ用光ファイバに入射して被測定電流によりファラデー回転を受けた透過光を偏波面が直交する第1の信号,第2の信号に分離する検光子と、を有するセンサヘッド、及び、第1,第2の信号が受光素子を介してそれぞれ入力され、これらの受光素子の出力信号の交流成分と直流成分との比からそれぞれ算出した変調度に基づいて被測定電流の大きさを測定する信号処理装置を少なくとも備えている。
【0041】
図13は、第2実施形態の全体構成図である。
図13において、200Aは第1実施形態が適用される反射型電流センサの信号処理基板であり、
図1に示した信号処理装置100の主要部を構成する。また、
図13の200Bは保護用の透過型電流センサの信号処理基板であり、同じく透過型電流センサの信号処理装置の主要部を構成している。
【0042】
この実施形態の概略的な動作としては、例えば、反射型電流センサの信号処理基板200Aから、前述の温度計測部65aにより計測した温度データ(温度T)と温度補正済みの電流データ(電流値I
n)とを通信基板300に伝送し、通信基板300から、上記温度データを透過型電流センサの信号処理基板200Bに伝送する。
信号処理基板200Bでは、透過型電流センサによる電流検出データに対し、上記温度データを用いて第1実施形態と同様の動作により温度補償を行い、温度補正済みの電流データを生成する。そして、この電流データを通信基板300に伝送する。
【0043】
同期I/F基板400は、通信基板300に1PPS同期信号を伝送し、通信基板300は、1PPS同期信号に同期した反射型電流センサ及び透過型電流センサの電流データを信号処理基板200A,200Bから読み出し、同期I/F基板400に伝送する。そして、同期I/F基板400は、反射型電流センサ及び透過型電流センサの温度補正済みの電流データを光CT出力として外部に伝送する。
【0044】
図14は、温度特性改善前の透過型電流センサによる被測定電流の比誤差を示しており、
図15は、本発明の第2実施形態において、温度特性改善後の透過型電流センサによる被測定電流の比誤差を示している。
これらの比較から明らかなように、第2実施形態によれば、−40〜+80[℃]の範囲において、比誤差の変動範囲がほぼ±0.2[%]以下に抑えられており、保護用の光CTとして十分な温度特性が得られている。