(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記液膜厚測定部により測定された前記液膜の厚さと第1の所定値とを比較し、前記液膜厚測定部により測定された前記液膜の厚さが前記第1の所定値以下であると判断した場合、前記基板加熱部に前記基板を加熱させることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
前記制御部は、液体の種類ごとに閾値を有し、液体の種類ごとの閾値から前記液体の種類に応じた閾値を選択し、前記第1の所定値として用いることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
前記制御部は、前記液膜厚測定部により測定された前記液膜の厚さに応じて前記ノズルに前記液体を供給させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
前記制御部は、前記基板加熱部による前記基板の加熱を制限し、前記液膜厚測定部により測定された前記液膜の厚さと、前記第1の所定値よりも小さい第2の所定値とを比較し、前記液膜厚測定部により測定された前記液膜の厚さが前記第2の所定値以下であると判断した場合、前記ノズルに前記液体を供給させることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の基板処理装置。
前記基板を加熱する工程では、測定された前記液膜の厚さと第1の所定値とを比較し、測定された前記液膜の厚さが前記第1の所定値以下であると判断した場合、前記基板を加熱することを特徴とする請求項9に記載の基板処理方法。
前記基板を加熱する工程では、液体の種類ごとに閾値を有し、液体の種類ごとの閾値から前記液体の種類に応じた閾値を選択し、前記第1の所定値として用いることを特徴とする請求項10に記載の基板処理方法。
前記基板を加熱する工程前に、測定された前記液膜の厚さに応じて前記基板の被処理面に前記液体を供給し、前記基板の被処理面上の液膜の厚さを調整する工程を有することを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の基板処理方法。
測定された前記液膜の厚さと、前記第1の所定値よりも小さい第2の所定値とを比較し、測定された前記液膜の厚さが前記第2の所定値以下であると判断した場合、前記液体を供給することを特徴とする請求項10または請求項11に記載の基板処理方法。
前記基板を加熱する工程前に、測定された前記液膜の厚さに応じて前記基板の被処理面上の液膜を加熱し、前記基板の被処理面上の液膜の厚さを調整する工程を有することを特徴とする請求項9から13のいずれか一項に記載の基板処理方法。
前記基板を加熱する工程前に、測定された前記液膜の厚さに応じて前記基板の被処理面上の液膜に気体を吹き付け、前記基板の被処理面上の液膜の厚さを調整する工程を有することを特徴とする請求項9から14のいずれか一項に記載の基板処理方法。
前記基板を加熱する工程前に、測定された前記液膜の厚さに応じ、前記基板の被処理面に交わる軸を回転軸として前記基板を回転させ、前記基板の被処理面上の液膜の厚さを調整する工程を有することを特徴とする請求項9から15のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について
図1から
図5を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、第1の実施形態に係る基板処理装置10は、処理室11と、カップ12と、支持部13と、回転機構14と、ノズル15と、第1の移動機構16と、液膜厚測定部17と、第2の移動機構18と、基板加熱部19と、制御部20とを備えている。
【0014】
処理室11は、基板Wを処理するための処理ボックスである。この処理室11は、例えば直方体や立方体などの箱形状に形成されており、カップ12や支持部13、回転機構14、ノズル15、第1の移動機構16、液膜厚測定部17、第2の移動機構18、基板加熱部19などを収容する。
【0015】
カップ12は、処理室11内の略中央に設けられている。このカップ12は、支持部13を周囲から囲むように円筒形状に形成されている。カップ12の周壁の上部は径方向の内側に向かって傾斜しており、また、支持部13上の基板Wが露出するように開口している。このカップ12は、回転する基板Wから飛散した処理液や流れ落ちた処理液を受け取る。なお、カップ12の底面には、受け取った処理液を排出するための排出口(不図示)が形成されている。
【0016】
支持部13は、カップ12内の略中央に位置付けられ、複数の支持部材13aにより基板Wをカップ12内で水平状態に支持する。この支持部13は、水平面内で回転可能に設けられており、例えばスピンテーブルと呼ばれる。なお、支持部13の回転軸は、支持部13上の基板Wの被処理面の中心に垂直に交わる軸(基板Wの被処理面に交わる軸の一例)である。
【0017】
回転機構14は、支持部13の下部に設けられ、支持部13を水平面内で回転させるように構成されている。例えば、回転機構14は、支持部13の中央に連結された回転軸やその回転軸を回転させるモータ(いずれも不図示)などを有している。この回転機構14は、モータの駆動により回転軸を介して支持部13を水平面内で回転させる。回転機構14は制御部20に電気的に接続されており、その駆動が制御部20により制御される。
【0018】
ノズル15は、支持部13の上方に位置付けられ、支持部13上の基板Wの被処理面に沿って第1の移動機構16により揺動可能に形成されている。このノズル15は、支持部13上の基板Wの被処理面の中央付近に向けて処理液(例えば洗浄液)を供給する。なお、ノズル15には、処理室11外の貯留部から配管(いずれも不図示)などを介して処理液が供給される。
【0019】
第1の移動機構16は、可動アーム16aと、揺動機構16bとを備えている。可動アーム16aは、前述のノズル15を保持する。揺動機構16bは、可動アーム16aの一端を支持してその可動アーム16aを支持部13上の基板Wの被処理面に沿って揺動させる。第1の移動機構16は、制御部20に電気的に接続されており、その駆動が制御部20により制御される。例えば、第1の移動機構16は、ノズル15を支持部13上の基板Wの被処理面の中央付近に対向させる液供給位置と、その液供給位置から退避して基板Wの搬入や搬出を可能とする待機位置とに移動させる。
【0020】
液膜厚測定部17は、支持部13の上方に位置付けられ、支持部13上の基板Wの被処理面に沿って第2の移動機構18により揺動可能に形成されている。この液膜厚測定部17は、支持部13上の基板Wの被処理面に形成された液膜の厚さを測定する。液膜厚測定部17は、制御部20に電気的に接続されており、測定した液膜厚の値(液膜厚値)を制御部20に送信する。液膜厚測定部17としては、例えば、レーザ変位計やカメラなどを用いることが可能である。また、液膜厚測定法としては、例えば、光干渉原理を用いることが可能である。なお、別の例として、支持部13内に重量計を用いることが可能である。この重量計を用いる場合には、基板W上の液膜の重量(液膜の重量=液膜を含む基板の重さ−基板の重さ)を理論的あるいは実験的に液膜の厚さに換算する。
【0021】
第2の移動機構18は、第1の移動機構16と同様、可動アーム18aと、揺動機構18bとを備えている。可動アーム18aは、前述の液膜厚測定部17を保持する。揺動機構18bは、可動アーム18aの一端を支持してその可動アーム18aを支持部13上の基板Wの被処理面に沿って揺動させる。第2の移動機構18は、制御部20に電気的に接続されており、その駆動が制御部20により制御される。例えば、第2の移動機構18は、液膜厚測定部17を支持部13上の基板Wの被処理面の中心と外周縁との間の中央付近に対向させる測定位置と、その測定位置から退避して基板Wの搬入や搬出を可能とする待機位置とに移動させる。
【0022】
基板加熱部19は、複数のランプ19aを有している。これらのランプ19aは、直管形のランプであり、支持部13の上方に水平状態で互いに平行になるように設けられている。この基板加熱部19は、支持部13上の基板Wを非接触で加熱する。ランプ19aとしては、例えば、ハロゲンランプや遠赤外線ランプを用いることが可能である。基板加熱部19は制御部20に電気的に接続されており、その駆動が制御部20により制御される。
【0023】
制御部20は、装置制御部20aと、液膜厚解析部20bと、加熱制御部20cとを備えている。装置制御部20aはメインの制御部である。また、液膜厚解析部20bは、液膜厚測定部17により測定された液膜の厚さを解析する。加熱制御部20cは装置制御部20aの命令に応じて基板加熱部19を制御する。
【0024】
装置制御部20aは、各部を集中的に制御するマイクロコンピュータと、基板処理に関する基板処理情報や各種プログラムなどを記憶する記憶部(いずれも不図示)を具備している。この装置制御部20aは、基板処理情報や各種プログラムに基づいて回転機構14や第1の移動機構16、第2の移動機構18などを制御し、例えば、基板Wの回転やノズル15の揺動、液膜厚測定部17の揺動などの動作を制御する。
【0025】
液膜厚解析部20bは、液膜厚測定部17により測定された液膜の厚さ(液膜厚値)と第1の所定値とを比較する。そして、液膜厚解析部20bは、液膜厚測定部17により測定された液膜の厚さが第1の所定値以下であると判断した場合、液膜の厚さが適切であると判定し、加熱を許可する加熱許可信号を装置制御部20aに送信する。装置制御部20aは、加熱許可信号を受信すると、加熱を命令する加熱命令信号を加熱制御部20cに送信する。
【0026】
加熱制御部20cは、装置制御部20aから加熱命令信号を受信すると、支持部13上の基板Wに対する加熱を実行する。この加熱制御部20cは、基板Wをライデンフロスト温度(ライデンフロスト現象が生じる温度)以上に急速に加熱して基板Wの被処理面上の処理液(例えば洗浄液)を液玉にするように基板加熱部19を制御する。なお、基板加熱部19は、少なくとも基板Wの被処理面を非接触でライデンフロスト温度以上に急速に(例えば数秒から十数秒の範囲内で)加熱することが可能な加熱部である。
【0027】
前述の第1の所定値は、加熱開始タイミングを決定するための値である。液膜の厚さが第1の所定値より厚い場合、その状態で基板Wを乾燥させると、基板Wの被処理面上に筋状のウォーターマークが生じ、乾燥不良が発生する。基板Wを急速に加熱して基板W上の処理液を液玉にする場合、処理液の膜厚が厚いほど、液玉数が多くなる。液玉数が多くなると、回転する基板Wの遠心力により被処理面外へ液玉が排出されるまでに基板Wの被処理面と接触する接触箇所が増加することになる。基板Wの被処理面は液玉との接触時の気化熱により冷却されることから、液玉数が多くなり過ぎると、急速加熱中であっても基板Wの被処理面の一部にライデンフロスト温度以下となる箇所、すなわち、急速乾燥ではなく通常乾燥により乾燥する部分が生じる。この場合、例えば、被処理面外へ排出される液玉が移動する跡が残り、筋状のウォーターマークなどの液染みが発生する。
【0028】
このため、液染みを生じさせない液膜厚の上限値が予め求められ、その上限値が第1の所定値として設定される。したがって、液膜の厚さが第1の所定値以下となるタイミングで基板Wの加熱を開始することで、基板Wの被処理面上の液玉数を適切にし、乾燥不良の発生を抑えることができる。
【0029】
ここで、
図2に示すように、基板回転数がR
1[rpm]、R
2[rpm]及びR
3[rpm]のどれであっても(R
1<R
2<R
3)、基板Wに対する液供給の終了から、液膜厚dは時間の経過と共に薄くなる。この関係(
図2のグラフ)は実験的に求められている。液膜厚dが第1の所定値d
Bよりも大きい場合には(d
B<d)、筋状のウォーターマークが生じ、乾燥不良が発生する。一方、液膜厚dが0(ゼロ)より大きく、第1の所定値d
B以下である場合には(0<d≦d
B)、ウォーターマークが生じず、乾燥不良は発生しない。したがって、液染みを生じさせない液膜厚の上限値は第1の所定値d
Bであり、液膜の厚さが第1の所定値d
B以下となるタイミングで基板Wの加熱を開始することが重要となる。
【0030】
また、
図3に示すように、液膜厚dは基板周速の増加と共に薄くなる。この関係(
図3のグラフ)は実験的に求められている。なお、
図3では、基板周速だけが変更され、処理時間及び液膜厚測定位置は一定である。液膜厚dが320μmよりも大きい場合には、筋状のウォーターマークが生じ、乾燥不良が発生する。一方、液膜厚dが320μm以下である場合には、ウォーターマークが生じず、乾燥不良は発生しない。
【0031】
したがって、
図3に示すグラフから、第1の所定値d
Bは、例えば、パターン高さ(又はパターン深さ)をd
Pとすると、0<d
P<d
B≦320μmの関係式が成り立つように設定される。第1の所定値d
Bが320μm以下であれば、前述のように基板Wの被処理面上の液玉数が適切になるため、筋状のウォーターマークなどの乾燥不良の発生を抑えることができる。また、第1の所定値d
Bがパターン高さd
Pよりも大きければ、基板Wが加熱されるまで、基板Wの被処理面上の液膜の厚さがパターン高さd
Pより薄くなることが防止される。これにより、パターンが液膜から露出して部分的に乾燥することを抑えることが可能となるので、基板Wの被処理面における不均一な乾燥を抑制し、乾燥不良の発生を抑えることができる。
【0032】
なお、液膜厚解析部20bは、例えば、
図4に示すように、処理液の種類ごとに閾値(しきい値)を定める閾値情報(例えばテーブル)を有している。処理液の種類ごとの閾値は実験的に予め求められている。液膜厚解析部20bは、閾値情報における処理液の種類ごとの閾値の中から、ノズル15から供給される処理液の種類に応じた閾値を選択し、前述の第1の所定値として用いる。処理液の種類がAである場合には、閾値aが第1の所定値として設定され、処理液の種類がBである場合には、閾値bが第1の所定値として設定される。また、処理液の種類がCである場合には、閾値cが第1の所定値として設定される。
【0033】
このように、処理液の種類に応じて適切な閾値を第1の所定値として用いることが可能になる。これにより、処理液の種類が変わっても、確実に筋状のウォーターマークなどの乾燥不良の発生を抑えることができる。なお、例えば、使用される処理液の種類は、入力部(不図示)に対するユーザの入力操作に応じて決定される。処理液の種類が決定されると、その決定された種類に対応する閾値が閾値情報から選択され、第1の所定値として自動的に設定される。
【0034】
次に、前述の基板処理装置10が行う基板処理(基板処理方法)について
図5を参照して説明する。なお、支持部13上には基板Wが載置されており、基板Wに対する各処理(例えば有機物除去処理や再付着防止処理など)が行われた後の洗浄処理について説明する。
【0035】
図5に示すように、各処理後の洗浄処理において、処理開始タイミングT1で、支持部13、すなわち基板Wが回転機構14により回転し始める(基板回転)。処理開始タイミングT1から所定時間後、液供給開始タイミングT2で、洗浄液(例えば純水又は炭酸水)がノズル15から支持部13上の基板Wの被処理面の略中央に供給され始める(洗浄液供給)。供給された洗浄液は基板Wの回転による遠心力によって基板Wの被処理面全体に広がっていく。これにより、支持部13上の基板Wの被処理面には液膜が形成され、被処理面は洗浄液により覆われて処理される。
【0036】
この被処理面上の液膜の厚さが液膜厚測定部17により測定される。液膜の厚さ(液膜厚値)は、液供給が開始するとd
0まで急激に上昇し、その後、d
0で一定に維持される。なお、液供給前でも、前処理で用いられた液体が基板Wの被処理面上に液膜を形成して残っているため、液供給開始タイミングT2の前から液膜の厚さは0(ゼロ)ではない。通常、加熱処理工程前に基板Wの被処理面が自然に乾燥すると、被処理面における乾燥が不均一となり、ウォーターマークなどの乾燥不良が発生する。このため、各処理の間でも加熱処理工程まで基板Wの被処理面が濡らされ、乾燥不良の発生が抑えられる。
【0037】
その後、液供給開始タイミングT2から所定の洗浄処理時間が経過すると、液供給終了タイミングT3で洗浄液の供給が停止される。このとき、基板Wの回転数は一定に維持されており、基板Wの被処理面上の洗浄液は基板Wの回転による遠心力によって処理面上から流れ落ち、液膜の厚さはd0から徐々に減少していく。この液膜の厚さが第1の所定値dB以下となる加熱開始タイミングT4で、基板加熱部19は支持部13上の基板Wを加熱し始める(基板加熱)。その後、加熱開始タイミングT4から所定の加熱処理時間が経過すると、加熱終了タイミングT5で基板Wの加熱が停止される。最後に、加熱終了タイミングT5から所定時間後、処理終了タイミングT6で支持部13の回転、すなわち基板Wの回転が停止される。
【0038】
前述の加熱処理では、基板加熱部19による加熱によって、基板Wの被処理面上のパターンの周囲から液体が気化するため、基板表面は瞬時に乾燥することになる。このとき、基板加熱部19は、液体が供給された基板Wの表面に気層を生じさせて液体を液玉化させる(液体の液玉を生成する)ように、基板Wだけを瞬時に加熱する。基板Wが基板加熱部19により瞬時に加熱されると、基板Wの被処理面上のパターンに接触している液体が他の部分の液体よりも早く気化を始める。これにより、基板Wの被処理面上のパターンの周囲には、液体の気化によりガスの層、すなわち気層が薄膜のように生成される。このため、隣り合うパターン間の液体は気層によってパターン間から押し出され、乾燥が進行することになる。
【0039】
したがって、前述のように基板Wを瞬時に加熱することで、基板Wの被処理面上のパターンに接触している液体が瞬時に気化し、その被処理面上における他の部分の液体が直ちに液玉化する(液玉化現象)。被処理面上の各液玉は、基板Wの回転による遠心力で基板W上から飛ばされ、基板Wは急速に乾燥する。このようにして、一部のパターン間に液体が残留することを抑えることが可能となり、基板Wの被処理面における液体の乾燥速度が均一となるため、残留した液体による倒壊力(例えば、表面張力など)によってパターンが倒壊することを抑えることができる。さらに、基板Wの被処理面上の液膜の厚さに基づいて基板Wが加熱されるため、基板Wの被処理面上の液玉数を調整することが可能となり、筋状のウォーターマークなどの乾燥不良の発生を抑えることができる。
【0040】
一方、基板加熱部19を使用せずに乾燥を行う場合には、液体が乾燥していく過程で液体の乾燥速度に不均一が生じ、一部のパターンの間に液体が残り、その部分の液体による倒壊力によってパターンが倒壊する。例えば、パターンの一つの幅は20nmであり、その高さは200nmである(幅に対して高さが10倍である)。このようにパターンが微細なパターンであり、そのパターンの間の隙間に入り込んだ液体は乾燥しづらくなる。このため、他の部分が乾燥した後も、一部のパターンの間には液体が残り、その液体による倒壊力によってパターンが倒壊することがある。
【0041】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、液体が供給された基板Wの被処理面にガスの層(気層)を生じさせて基板Wの被処理面上の液体を液玉化させるように基板Wが基板加熱部19により加熱される。これにより、基板Wの被処理面上のパターンに接触する液体から気化を進行させることが可能となる。このとき発生するガスの層によりパターン間に液体を残すことなく、基板Wの表面を瞬時に乾燥させることができる。このように、液体がパターン間に残ることを抑制し、残留した液体によるパターン倒壊を抑えることが可能になるので、パターン倒壊を抑えつつ良好な基板乾燥を行うことができる。
【0042】
また、基板Wの被処理面上の液膜の厚さが液膜厚測定部17により測定され、その液膜の厚さに応じて基板加熱部19が制御部20により制御される。これにより、液膜の厚さに基づいて基板Wが加熱されるため、基板Wの被処理面上の液玉数を調整することが可能となり、液染み(例えば筋状のウォーターマーク)などの乾燥不良の発生を抑えることができる。例えば、基板Wの被処理面上の液膜の厚さが第1の所定値以下で適切である場合に、基板Wが基板加熱部19により加熱される。これにより、液体の膜厚が厚いほど増加する液玉数を抑えることが可能となる。したがって、液染みが発生することを抑制し、乾燥不良を抑えることができる。すなわち、液染みが生じない均一な乾燥を実現し、パターン倒壊を抑えつつ良好な基板乾燥を行うことができる。
【0043】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について
図6を参照して説明する。なお、第2の実施形態では、第1の実施形態との相違点(処理室、搬送室及び加熱室)について説明し、その他の説明は省略する。
【0044】
図6に示すように、第2の実施形態においては、処理室11A、搬送室11B、加熱室11Cが設けられている。処理室11Aは、処理(例えば洗浄処理)を行うための部屋である。また、搬送室11Bは、処理室11Aから加熱室11Cに基板Wを搬送するための部屋である。加熱室11Cは、加熱処理を行うための部屋である。このように第2の実施形態では、洗浄処理と加熱処理とが異なる部屋で行われる。
【0045】
処理室11Aには、第1の実施形態に係るカップ12、支持部13、回転機構14、ノズル15及び第1の移動機構16が設けられている。この処理室11Aでは、処理液(例えば洗浄液)がノズル15から支持部13上の基板Wの被処理面に供給され、第1の実施形態と同様に基板処理が行われる。基板処理後、液膜が基板Wの被処理面上に形成された状態で、基板Wは処理室11Aから搬送室11Bを介して加熱室11Cに搬送される。
【0046】
搬送室11Bには、二つのゲート(扉)31及びハンドリング装置(搬送部の一例)32が設けられている。各ゲート31は、処理室11A側と加熱室11C側に個別に配置されている。これらのゲート31はスライド移動可能に形成されている。一方のゲート31は処理室11Aと搬送室11Bをつなぐための扉として機能し、他方のゲート31は搬送室11Bと加熱室11Cとをつなぐための扉として機能する。ハンドリング装置32は、処理室11A側のゲート31を介して処理室11A内から処理後の基板Wを搬出し、加熱室11C側のゲート31を介して加熱室11Cに搬入する。
【0047】
加熱室11Cには、第1の実施形態に係る支持部13、回転機構14、ノズル15、第1の移動機構16、液膜厚測定部17、第2の移動機構18及び基板加熱部19が設けられている。加熱室11C内のノズル15は、基板Wの被処理面上の液膜の厚さに応じて用いられる。例えば、基板Wが処理室11Aから搬送室11Bを介して加熱室11Cに搬送される途中で、搬送による振動などによって基板Wの被処理面上の液膜の厚さが薄くなることがある。基板Wの被処理面上の液膜の厚さが薄くなり過ぎた場合には、基板Wの被処理面上の液膜の厚さを厚くするため、加熱室11C内のノズル15は支持部13上の基板Wの被処理面に処理液を補充するように制御部20により制御される。
【0048】
具体的には、加熱室11C内での基板Wの載置完了から基板回転の開始(
図5中の処理開始タイミングT1参照)までの間、すなわち補充期間中に、基板加熱部19による基板Wの加熱が制限された状態で、液膜厚測定部17により測定された液膜の厚さと、第1の所定値よりも小さい第2の所定値とが液膜厚解析部20bにより比較される。液膜厚測定部17により測定された液膜の厚さが第2の所定値以下であると判断された場合には、加熱室11C内のノズル15に液体供給が指示される。例えば、液膜の厚さが第2の所定値以下になって薄くなり過ぎると、基板Wの被処理面が部分的に乾燥し始めることがあり、最終的に液染みなどの乾燥不良が発生する場合がある。このため、液膜の厚さが第2の所定値以下になった場合には、加熱室11C内のノズル15から処理液が基板Wの被処理面に所定量(所定時間)供給され、液膜の厚さが第2の所定値より厚くされる。この液膜の厚さが第2の所定値より厚くされた状態で、第1の実施形態に係る基板処理が開始されることになる。なお、処理液の補充時に基板Wを回転させずに停止させているが、これに限るものではなく、基板Wを回転させるようにしても良い。
【0049】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、補充期間中に、液膜厚測定部17により測定された液膜の厚さに応じて加熱室11C内のノズル15に液体を供給させることによって、基板Wの被処理面上の液膜の厚さを調整することが可能になる。これにより、基板Wの被処理面上の液玉数を調整することができ、その結果、基板Wの被処理面における不均一な乾燥を抑制し、パターン倒壊を抑えつつ良好な基板乾燥を確実に行うことができる。
【0050】
また、補充期間中に、液膜厚測定部17により測定された液膜の厚さと、第1の所定値よりも小さい第2の所定値とが比較され、液膜厚測定部17により測定された液膜の厚さが第2の所定値以下であると判断された場合、加熱室11C内のノズル15から液体が供給される。これにより、液膜の厚さが第2の所定値よりも厚く維持され、液膜の厚さが第2の所定値以下になって薄くなり過ぎ、基板Wの被処理面が部分的に乾燥し始めることを抑制することが可能となる。これにより、液染みなどの乾燥不良の発生を確実に抑えることができる。
【0051】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について
図7を参照して説明する。なお、第3の実施形態では、第1の実施形態との相違点(液膜加熱部)について説明し、その他の説明は省略する。
【0052】
図7に示すように、第3の実施形態においては、液膜加熱部41が設けられている。この液膜加熱部41は、支持部13内に配置されており、回転中の基板Wを加熱してその基板Wの被処理面上の液膜を加熱する。液膜加熱部41としては、例えば、ヒータやランプなどを用いることが可能である。液膜加熱部41は制御部20に電気的に接続されており、その駆動が制御部20により制御される。
【0053】
制御部20は、基板Wを加熱する加熱処理工程前に、液膜厚測定部17により測定された液膜の厚さに応じ、基板Wの被処理面上の液体を加熱することによって基板Wの被処理面上の液体の蒸発を促進させ、液膜の厚さを調整するように液膜加熱部41を制御する。例えば、加熱処理工程前に基板Wの被処理面上の液膜の厚さが薄くされ、短時間で第1の所定値に近づけられる。このように液膜加熱部41による加熱は、基板Wの被処理面上の液膜の厚さが第1の所定値となる時間を短縮するための加熱である。したがって、液膜の厚さが第1の所定値になると、基板加熱部19による加熱が開始される。なお、加熱温度や加熱時間などは実験により予め求められている。加熱温度は液体の沸点以下ある。加熱時間は基板Wの被処理面上で液体が乾燥しない程度の時間である。また、液膜加熱部41による加熱開始タイミングは、基板Wが搬送される前であることが好ましい。
【0054】
以上説明したように、第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、液膜加熱部41を設けることによって、液膜の加熱により基板Wの被処理面上の液膜の厚さを調整することが可能になる。これにより、基板Wの被処理面上の液玉数を調整することができ、その結果、基板Wの被処理面における不均一な乾燥を抑制し、パターン倒壊を抑えつつ良好な基板乾燥を確実に行うことができる。
【0055】
(第4の実施形態)
第4の実施形態について
図8を参照して説明する。なお、第4の実施形態では、第1の実施形態との相違点(気体吹付部)について説明し、その他の説明は省略する。
【0056】
図8に示すように、第4の実施形態においては、気体吹付部51と、第3の移動機構52とが設けられている。この気体吹付部51は、支持部13の上方に配置されており、例えばスリット状の吹付口から、回転する支持部13上の基板Wの被処理面に向けて気体(例えば、窒素などの不活性ガス)を吹き付ける。気体吹付部51は制御部20に電気的に接続されており、その駆動が制御部20により制御される。
【0057】
第3の移動機構52は、可動アーム52aと、揺動機構52bとを備えている。可動アーム52aは、前述の気体吹付部51を保持する。揺動機構52bは、可動アーム52aの一端を支持してその可動アーム52aを支持部13上の基板Wの被処理面に沿って揺動させる。第3の移動機構52は、制御部20に電気的に接続されており、その駆動が制御部20により制御される。
【0058】
制御部20は、基板Wを加熱する加熱処理工程前に、液膜厚測定部17により測定された液膜の厚さに応じ、第3の移動機構52により気体吹付部51を揺動しながら、基板Wの被処理面上の液膜に気体を吹き付けることによって基板Wの被処理面上の液膜の厚さを調整するように気体吹付部51を制御する。例えば、加熱処理工程前に基板Wの被処理面上の液膜の厚さが薄くされ、短時間で第1の所定値に近づけられる。このように気体吹付部51による気体吹付は、基板Wの被処理面上の液膜の厚さが第1の所定値となる時間を短縮するためのものである。したがって、液膜の厚さが第1の所定値になると、基板加熱部19による加熱が開始される。なお、吹付量や吹付時間などは実験により予め求められている。
【0059】
以上説明したように、第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、気体吹付部51を設けることによって、気体の吹き付けにより基板Wの被処理面上の液膜の厚さを調整することが可能になる。これにより、基板Wの被処理面上の液玉数を調整することができ、その結果、基板Wの被処理面における不均一な乾燥を抑制し、パターン倒壊を抑えつつ良好な基板乾燥を確実に行うことができる。
【0060】
(他の実施形態)
また、前述の各実施形態においては、基板加熱部19の一例としてランプ19aを用いているが、これに限るものではなく、例えば、IH(誘導加熱)ヒータなどの加熱器を用いることが可能である。さらに、ランプ19aの形状も直管形に限るものではなく、例えば、丸形や球形など各種の形状を採用することが可能である。なお、ランプ19aやIHヒータは、どちらも電磁波(光も電磁波に含まれる)により基板Wを加熱する加熱器である。
【0061】
また、前述の第2の実施形態においては、一例として、加熱室11Cにノズル15や第1の移動機構16を設けているが、これに限るものではない。例えば、基板Wが処理室11Aから搬送室11Bを介して加熱室11Cに搬送される途中で、搬送による振動によって基板Wの被処理面上の液膜の厚さが薄くならない場合などには、ノズル15や第1の移動機構16を取り除くことも可能である。この場合には、装置の簡略化を実現することができる。また、処理室11Aから基板Wを搬出する前に、搬送による振動によって基板Wの被処理面上の液膜の厚さが薄くなる分の量を補うため、処理室11A内のノズル15から支持部13上の基板Wの被処理面に多めに洗浄液を供給し、基板Wの被処理面上の液膜の厚さを予め必要以上(少なくとも第2の所定値以上)に厚くしておくことも可能である。
【0062】
また、前述の第3又は第4の実施形態においては、一例として、液膜加熱部41又は気体吹付部51を用いて基板Wの被処理面上の液膜の厚さを調整しているが、これに限るものではなく、例えば、回転機構14による基板Wの回転などにより基板Wの被処理面上の液膜の厚さを調整することも可能である。回転機構14を用いる場合には、例えば、液膜厚測定部17により測定された液膜の厚さに応じ、基板Wの回転によって基板Wの被処理面上の液膜の厚さを調整するように回転機構14を制御部20により制御する。
【0063】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。