特許第6563777号(P6563777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563777
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】車両用運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20190808BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20190808BHJP
   B60W 50/14 20120101ALI20190808BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   B60K35/00 Z
   B60R21/00 993
   B60W50/14
   B60R16/02 640J
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-210946(P2015-210946)
(22)【出願日】2015年10月27日
(65)【公開番号】特開2017-81378(P2017-81378A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 元暁
【審査官】 首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/171228(WO,A1)
【文献】 米国特許第2737640(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0234580(US,A1)
【文献】 特開平5−272965(JP,A)
【文献】 特開2015−63178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
B63B 39/14
B64D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され画像を表示する表示部と、
前記表示部を制御し、前記車両の前方視野の画像である前方画像に、円弧状に間隔をあけて配列される棒状の複数のロール目盛画像、及び、前記複数のロール目盛画像の配列方向に沿って円弧状の軌跡で移動可能である棒状のロール指針画像を重畳させて前記表示部に表示させ、実際の水平方向である実水平方向に対する前記車両のロール方向の傾きに応じて、前記ロール指針画像を前記複数のロール目盛画像の配列方向に沿って相対移動させ前記実水平方向と一致させると共に前記前方画像を前記複数のロール目盛画像に対して相対回転させて前記前方画像における仮想の水平方向である仮想水平方向を前記実水平方向と一致させる処理を実行可能である制御部とを備えることを特徴とする、
車両用運転支援装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記実水平方向に対する前記車両の前記ロール方向の傾きがない状態では、前記ロール指針画像、及び、前記前方画像を前記複数のロール目盛画像に対する基準位置であるロール方向水平基準位置として前記表示部に表示させる処理を実行し、
前記車両が前記実水平方向に対して前方に向かって前記ロール方向の右回りに傾いた状態では、前記ロール指針画像を前記ロール方向水平基準位置に対して前記車両の前方に向かって左回りに相対移動させると共に前記前方画像を前記ロール方向水平基準位置に対して前記車両の前方に向かって左回りに相対回転させて前記表示部に表示させる処理を実行し、
前記車両が前記実水平方向に対して前方に向かって前記ロール方向の左回りに傾いた状態では、前記ロール指針画像を前記ロール方向水平基準位置に対して前記車両の前方に向かって右回りに相対移動させると共に前記前方画像を前記ロール方向水平基準位置に対して前記車両の前方に向かって右回りに相対回転させて前記表示部に表示させる処理を実行する、
請求項1に記載の車両用運転支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記前方画像に、直線状に間隔をあけて配列される棒状の複数のピッチ目盛画像、及び、前記複数のピッチ目盛画像の配列方向に沿って直線状の軌跡で移動可能である棒状のピッチ指針画像を重畳させて前記表示部に表示させ、前記複数のピッチ目盛画像、及び、前記ピッチ指針画像を前記複数のロール目盛画像に対する前記ロール指針画像の相対移動に同伴して前記複数のロール目盛画像に対して相対回転させ前記複数のピッチ目盛画像の配列方向を実際の鉛直方向である実鉛直方向と一致させる処理、及び、前記実水平方向に対する前記車両のピッチ方向の傾きに応じて、前記ピッチ指針画像、及び、前記前方画像を前記複数のピッチ目盛画像に沿って相対移動させる処理を実行可能である、
請求項1又は請求項2に記載の車両用運転支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記実水平方向に対する前記車両の前記ピッチ方向の傾きがない状態では、前記ピッチ指針画像、及び、前記前方画像を前記複数のピッチ目盛画像に対する基準位置であるピッチ方向水平基準位置として前記表示部に表示させる処理を実行し、
前記車両の前部が前記実水平方向に対して前記ピッチ方向の上側を向くように前記車両が傾いた状態では、前記ピッチ指針画像、及び、前記前方画像を前記ピッチ方向水平基準位置に対して前記複数のピッチ目盛画像に沿って前記実鉛直方向下側に相対移動させて前記表示部に表示させる処理を実行し、
前記車両の前部が前記実水平方向に対して前記ピッチ方向の下側を向くように前記車両が傾いた状態では、前記ピッチ指針画像、及び、前記前方画像を前記ピッチ方向水平基準位置に対して前記複数のピッチ目盛画像に沿って前記実鉛直方向上側に相対移動させて前記表示部に表示させる処理を実行する、
請求項3に記載の車両用運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用運転支援装置に関連する技術として、例えば、特許文献1には、車体のロール状態を絵図で表示することで車両の傾きを表示するロールインジケータを備えたロールオーバ防止装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−347910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載のロールオーバ防止装置は、例えば、よりわかり易い車両の傾き表示の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、車両の傾きをわかり易く表示することができる車両用運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用運転支援装置は、車両に搭載され画像を表示する表示部と、前記表示部を制御し、前記車両の前方視野の画像である前方画像に、円弧状に間隔をあけて配列される棒状の複数のロール目盛画像、及び、前記複数のロール目盛画像の配列方向に沿って円弧状の軌跡で移動可能である棒状のロール指針画像を重畳させて前記表示部に表示させ、実際の水平方向である実水平方向に対する前記車両のロール方向の傾きに応じて、前記ロール指針画像を前記複数のロール目盛画像の配列方向に沿って相対移動させ前記実水平方向と一致させると共に前記前方画像を前記複数のロール目盛画像に対して相対回転させて前記前方画像における仮想の水平方向である仮想水平方向を前記実水平方向と一致させる処理を実行可能である制御部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記車両用運転支援装置では、前記制御部は、前記実水平方向に対する前記車両の前記ロール方向の傾きがない状態では、前記ロール指針画像、及び、前記前方画像を前記複数のロール目盛画像に対する基準位置であるロール方向水平基準位置として前記表示部に表示させる処理を実行し、前記車両が前記実水平方向に対して前方に向かって前記ロール方向の右回りに傾いた状態では、前記ロール指針画像を前記ロール方向水平基準位置に対して前記車両の前方に向かって左回りに相対移動させると共に前記前方画像を前記ロール方向水平基準位置に対して前記車両の前方に向かって左回りに相対回転させて前記表示部に表示させる処理を実行し、前記車両が前記実水平方向に対して前方に向かって前記ロール方向の左回りに傾いた状態では、前記ロール指針画像を前記ロール方向水平基準位置に対して前記車両の前方に向かって右回りに相対移動させると共に前記前方画像を前記ロール方向水平基準位置に対して前記車両の前方に向かって右回りに相対回転させて前記表示部に表示させる処理を実行するものとすることができる。
【0008】
また、上記車両用運転支援装置では、前記制御部は、前記前方画像に、直線状に間隔をあけて配列される棒状の複数のピッチ目盛画像、及び、前記複数のピッチ目盛画像の配列方向に沿って直線状の軌跡で移動可能である棒状のピッチ指針画像を重畳させて前記表示部に表示させ、前記複数のピッチ目盛画像、及び、前記ピッチ指針画像を前記複数のロール目盛画像に対する前記ロール指針画像の相対移動に同伴して前記複数のロール目盛画像に対して相対回転させ前記複数のピッチ目盛画像の配列方向を実際の鉛直方向である実鉛直方向と一致させる処理、及び、前記実水平方向に対する前記車両のピッチ方向の傾きに応じて、前記ピッチ指針画像、及び、前記前方画像を前記複数のピッチ目盛画像に沿って相対移動させる処理を実行可能であるものとすることができる。
【0009】
また、上記車両用運転支援装置では、前記制御部は、前記実水平方向に対する前記車両の前記ピッチ方向の傾きがない状態では、前記ピッチ指針画像、及び、前記前方画像を前記複数のピッチ目盛画像に対する基準位置であるピッチ方向水平基準位置として前記表示部に表示させる処理を実行し、前記車両の前部が前記実水平方向に対して前記ピッチ方向の上側を向くように前記車両が傾いた状態では、前記ピッチ指針画像、及び、前記前方画像を前記ピッチ方向水平基準位置に対して前記複数のピッチ目盛画像に沿って前記実鉛直方向下側に相対移動させて前記表示部に表示させる処理を実行し、前記車両の前部が前記実水平方向に対して前記ピッチ方向の下側を向くように前記車両が傾いた状態では、前記ピッチ指針画像、及び、前記前方画像を前記ピッチ方向水平基準位置に対して前記複数のピッチ目盛画像に沿って前記実鉛直方向上側に相対移動させて前記表示部に表示させる処理を実行するものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る車両用運転支援装置は、表示部が車両の前方画像にロール目盛画像、及び、ロール指針画像を重畳させて表示し、車両のロール方向の傾きに応じて、ロール指針画像を複数のロール目盛画像に沿って相対移動させ実水平方向と一致させると共に前方画像を複数のロール目盛画像に対して相対回転させて仮想水平方向を実際水平方向と一致させることで、例えば、実際の見た目に近く直感的、感覚的にわかり易い絵面で車両の傾きを表示することができるので、車両の傾きをわかり易く表示することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る車両用運転支援装置が適用された車両表示装置の概略構成を示す正面図である。
図2図2は、実施形態に係る車両用運転支援装置が適用された車両表示装置を搭載する車両における各方向について説明する模式的な斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る車両用運転支援装置が適用された車両表示装置の概略構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る車両用運転支援装置が適用された車両表示装置の概略構成を示す正面図である。
図5図5は、実施形態に係る車両用運転支援装置の表示部における表示態様を説明する模式図である。
図6図6は、実施形態に係る車両用運転支援装置の表示部における車両の各状態での表示態様を比較する模式図である。
図7図7は、変形例に係る車両用運転支援装置の表示部の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
[実施形態]
図1図4は、実施形態に係る車両用運転支援装置が適用された車両表示装置の概略構成を示す正面図である。図2は、実施形態に係る車両用運転支援装置が適用された車両表示装置を搭載する車両における各方向について説明する模式的な斜視図である。図3は、実施形態に係る車両用運転支援装置が適用された車両表示装置の概略構成を示すブロック図である。図5は、実施形態に係る車両用運転支援装置の表示部における表示態様を説明する模式図である。図6は、実施形態に係る車両用運転支援装置の表示部における車両の各状態での表示態様を比較する模式図である。
【0014】
図1に示す本実施形態に係る車両用運転支援装置1は、車両表示装置100の一部として適用されている。車両表示装置100は、いわゆる車載メータを構成するものであり、例えば、車両V(図2参照)のダッシュボードに設けられたインストルメントパネルに搭載され、車両Vの運転に供される情報として当該車両Vに関する種々の情報を表示する。図1に例示する車両表示装置100は、例えば、車両Vに関する情報として当該車両表示装置100が搭載される車両Vの車速を表示するアナログ式速度計101等を含んで構成され、当該アナログ式速度計101等と共に車両用運転支援装置1が組み込まれている。
【0015】
なお、以下の説明では、図1図2に示すように、当該車両表示装置100が搭載される車両Vにおいて、「車両前後方向」とは、典型的には、車両Vの全長方向に相当し、さらに言えば、車両Vの前後進方向に沿った方向に相当する。「車両左右方向」とは、典型的には、車両Vの車幅方向に相当する。「車両高さ方向」とは、典型的には、車両Vの車高方向に相当する。典型的には、車両Vが水平面に位置する状態で、車両前後方向、及び、車両左右方向は、実際の水平方向である実水平方向に沿った方向であり、車両高さ方向は、実際の鉛直方向である実鉛直方向に沿った方向である。第1方向である車両前後方向と第2方向である車両左右方向と第3方向である車両高さ方向とは、相互に直交する。また、以下の説明では、車両前後方向において、車両Vが前進する側を「前方」、車両Vが後進する側を「後方」という場合がある。車両左右方向において、車両前後方向前方に向かって左側(図1中左側)を「左側」、車両前後方向前方に向かって右側(図1中右側)を「右側」という場合がある。車両高さ方向において、鉛直方向上側を「上側」、鉛直方向下側を「下側」という場合がある。また、以下の説明では、車両Vの「前方視野」とは、典型的には、車両Vの運転者の目視位置から車両前後方向前方に視える視野であり、フロントウィンド越しに視認できる範囲の視野である。また、以下の説明で「画像」という場合、いわゆる静止画像の他、時々刻々と変化する動画像も含むものである。さらに、車両Vにおいて、「ロール方向」とは、典型的には、車両Vの車両前後方向に沿った前後車軸X1の軸回り方向に相当する。車両Vにおいて、「ピッチ方向」とは、典型的には、車両Vの車両左右方向に沿った左右車軸X2の軸回り方向に相当する。
【0016】
本実施形態に係る車両用運転支援装置1は、図1に示すように、車両表示装置100においてアナログ式速度計101の車両左右方向の左側に隣接して組み込まれている。そして、本実施形態に係る車両用運転支援装置1は、車両Vの前方視野の画像である前方画像50に、ロール目盛画像51、ロール指針画像52、ピッチ目盛画像53、ピッチ指針画像54等を重畳させて表示し、これらロール目盛画像51、ロール指針画像52、ピッチ目盛画像53、ピッチ指針画像54を前方画像50と連携させて動的に表示することで、直感的、感覚的にわかり易い車両Vの傾き表示を実現している。以下、各図を参照して車両用運転支援装置1の各構成について詳細に説明する。
【0017】
具体的には、車両用運転支援装置1は、図1図3に示すように、表示部2と、制御部3とを備える。
【0018】
表示部2は、車両Vに搭載され各種の画像を表示するものであり、ここでは、当該車両Vの運転支援表示を行うものである。本実施形態の表示部2は、車両Vの前方視野の画像である前方画像50に、ロール目盛画像51、ロール指針画像52、ピッチ目盛画像53、ピッチ指針画像54等を重畳して表示可能である。
【0019】
表示部2は、例えば、薄型の液晶ディスプレイを用いることができるが、これに限らず、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等を用いることもできる。表示部2は、前方画像50、ロール目盛画像51、ロール指針画像52、ピッチ目盛画像53、ピッチ指針画像54等の各種の画像を表示する表示領域21が車両Vの運転者に視認可能なように当該運転者側(典型的には車両前後方向後方側)を向いて位置する。表示領域21は、アナログ式速度計101の車両左右方向の左側に隣接して位置する。ここでは、表示領域21は、車両左右方向に沿った略長方形状に形成されると共に縁部に見返し板や装飾備品等が重ねられている。ここでは、表示部2は、表示領域21において運転支援表示を行う主たる領域である主表示領域22に前方画像50、ロール目盛画像51、ロール指針画像52、ピッチ目盛画像53、ピッチ指針画像54等を表示する。当該主表示領域22は、表示部2の略中央に位置し、車両左右方向に沿った略長方形状でかつ車両左右方向の端部が曲線状の形状であるがこれに限らない。表示部2は、制御部3による制御に基づいて前方画像50、ロール目盛画像51、ロール指針画像52、ピッチ目盛画像53、ピッチ指針画像54等を含む種々の画像を表示する。
【0020】
なお、表示部2は、表示領域21における主表示領域22の周りに、車両Vに関する他の情報、例えば、積算走行距離、冷却水温計、バッテリ蓄電量等を表示することもできる。また、表示部2は、図1等に示すように、主表示領域22において運転支援表示を行っている状態から、図4等に示すように、主表示領域22の境界を非表示として表示領域21全体で車両Vに関する他の情報を表す表示も可能であり、例えば、図4の例では、走行用動力源の出力回転数を表示する回転計を模式的に表した回転計画像102やDrive Info画像103等を表示する状態とすることも可能である。
【0021】
表示部2が表示する前方画像50は、図1に示すように、車両Vの前方視野の画像であり、後述の制御部3によって生成される画像である。前方画像50は、典型的には、車両Vの運転者の目視位置から車両前後方向前方に視える視野を画像としたもの、さらに言えば、運転者の目視位置からフロントウィンド越しに視認できる範囲の視野を画像としたものである。前方画像50は、車両Vの走行に伴った当該車両Vの前方視野変化に伴って時々刻々と変化する。前方画像50は、車両Vにおける運転席の幾何学的な配置、運転者の平均的な体格等に応じて、実験、シミュレーション等に基づいて、運転者の目視位置から視認できる範囲の視野に応じた画像となるように予め画角が定められている。当該予め定められる画角は、固定の画角であってもよいし、運転者の視線位置等を検出し当該検出された視線位置等に応じて可変とされてもよい。前方画像50は、例えば、車両Vの前方視野を撮像する撮像装置によって撮像された画像を用いてもよいし、車両Vの現在位置情報(GPS情報)に基づいて後述する記憶部31から読み出された仮想的な3次元画像等であってもよい。
【0022】
表示部2が表示するロール目盛画像51、ロール指針画像52、ピッチ目盛画像53、ピッチ指針画像54は、図1図5に示すように、前方画像50に重畳されて表示される画像である。ロール目盛画像51、ロール指針画像52、ピッチ目盛画像53、ピッチ指針画像54は、後述の制御部3によって生成される画像である。ここではまず、図5を参照して車両Vが水平面に位置する状態を基準として各画像の詳細を説明する。
【0023】
ロール目盛画像51は、棒状の目盛を表す画像であり、複数表示される。複数のロール目盛画像51は、円弧状に間隔をあけて配列されて表示される。ここでは、複数のロール目盛画像51は、13本が1組となってロール目盛群画像55を構成する。ロール目盛群画像55は、車両左右方向に対向して一対で表示される。一対のロール目盛群画像55は、車両左右方向と直交する基準線L1を中心に線対称に対向し、それぞれのロール目盛画像51が中心点Pを共有し当該中心点Pを中心とした円弧状に配列されて表示される。ここでは、基準線L1は、車両Vの実際の車両高さ方向(実鉛直方向)に沿って延在する仮想の線であり、中心点Pは、基準線L1上に位置し、複数のロール目盛画像51の円弧状配列における仮想の中心をなす点である。各ロール目盛群画像55は、それぞれの複数のロール目盛画像51が中心点Pを中心とした放射状でかつ車両高さ方向に沿って積層されるような位置関係で表示される。
【0024】
ロール指針画像52は、棒状の指針を表す画像であり、複数表示される。ロール指針画像52は、車両左右方向に対向して一対で表示される。一対のロール指針画像52は、基準線L1を中心に線対称に対向し、中心点Pを通る仮想の直線状に配列されて表示される。各ロール指針画像52は、それぞれロール目盛群画像55を構成する複数のロール目盛画像51の配列方向に沿って円弧状の軌跡で移動可能に表示される。ここでは、各ロール指針画像52は、中心点Pとは反対側に位置する先端部がそれぞれロール目盛群画像55を構成する複数のロール目盛画像51の中心点P側に沿って円弧状の軌跡で移動可能に表示される。つまり、一対のロール指針画像52は、中心点Pを通る仮想の直線状に配列された状態で、中心点Pを回動中心とした円弧状の軌跡で回動可能に表示される。
【0025】
ピッチ目盛画像53は、棒状の目盛を表す画像であり、複数表示される。複数のピッチ目盛画像53は、直線状に間隔をあけて配列されて表示される。ここでは、複数のピッチ目盛画像53は、11本が1組となってピッチ目盛群画像56を構成する。ピッチ目盛群画像56は、車両左右方向に対向して一対で表示される。一対のピッチ目盛群画像56は、基準線L1を中心に線対称に対向し、図5の状態では、それぞれのピッチ目盛画像53が実鉛直方向に沿って直線状に配列されて表示される。ここでは、各ピッチ目盛群画像56は、それぞれ図5の状態で実鉛直方向に沿った直線画像56aを含み、それぞれの複数のピッチ目盛画像53が当該直線画像56aから中心点P側に突出して位置するような位置関係で表示される。またここでは、各ピッチ目盛群画像56は、それぞれの複数のピッチ目盛画像53が大きいものと小さいものとを含んでおり、当該大きいものと小さいものとが直線画像56aに沿って交互に配列されて表示される。
【0026】
ピッチ指針画像54は、棒状の指針を表す画像であり、複数表示される。ピッチ指針画像54は、車両左右方向に対向して一対で表示される。一対のピッチ指針画像54は、図5の状態では、基準線L1を中心に線対称に対向し、中心点Pを通る仮想の直線状に配列されて表示される。各ピッチ指針画像54は、図5の状態では、それぞれピッチ目盛群画像56を構成する複数のピッチ目盛画像53の配列方向に沿って直線状の軌跡で移動可能に表示される。つまり、一対のピッチ指針画像54は、直線画像56aの中心点P側で複数のピッチ目盛画像53のいずれかと重なり得る位置で、2つが一緒に当該直線画像56aに沿って直線状の軌跡で移動可能に表示される。
【0027】
制御部3は、表示部2を制御し当該表示部2による表示を制御するものである。ここでは、制御部3は、表示部2が表示する画像も制御する。本実施形態の制御部3は、車両表示装置100の各部を制御する制御装置によって兼用されるものとして説明するがこれに限らず、当該制御装置とは別個に構成され、相互に検出信号や駆動信号、制御指令等の情報の授受を行う構成であってもよい。制御部3は、CPU、ROM、RAM及びインターフェースを含む周知のマイクロコンピュータを主体とする電子回路を含んで構成される。制御部3は、車両Vの状態を検出する車両状態検出装置104を構成する種々のセンサ、検出器類が電気的に接続され、検出結果に対応した電気信号が入力される。制御部3は、表示部2に電気的に接続され、当該表示部2に駆動信号を出力する。制御部3は、各種センサ、検出器類等から入力された各種入力信号等に基づいて、格納されている制御プログラムを実行することにより、表示部2に駆動信号を出力し当該表示部2の駆動を制御する。
【0028】
具体的には、制御部3は、図3に示すように、機能概念的に、記憶部31、情報取得部32、画像生成部33、及び、表示制御部34を含んで構成される。記憶部31、情報取得部32、画像生成部33、及び、表示制御部34は、電気的に接続されている各種装置との間で種々の情報を授受することができる。
【0029】
記憶部31は、メモリ等の記憶装置であり、制御部3での各種処理に必要な条件やデータ、制御部3で実行する各種プログラム等が格納されている。記憶部31は、例えば、車両Vの現在位置情報に基づいて読み出される予めモデリングされた仮想空間の3次元地図画像データ、複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55、ロール指針画像52、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、ピッチ指針画像54等の画像データ等を予め記憶している。また、記憶部31は、情報取得部32が取得した各種情報を一時的に記憶することもできる。
【0030】
情報取得部32は、車両Vに関する各種情報を取得する部分である。情報取得部32は、車両状態検出装置104に電気的に接続され、当該車両状態検出装置104から検出結果に対応した電気信号が入力される。ここで、車両状態検出装置104は、上述したように、当該車両用運転支援装置1が搭載される車両Vの状態を検出する種々のセンサ、検出器類を含んで構成される。車両状態検出装置104は、当該種々のセンサ、検出器類として、例えば、車両Vの前方視野を連続的に撮像するCCDカメラ等の撮像装置、車両Vの車速を検出する車速センサ、車両Vのロール角、ピッチ角、ヨー角等の各種回転角を検出する回転角センサ、車両Vの車体に生じる各方向に作用する加速度を検出する加速度センサ、車両Vの現在位置情報(GPS情報)を受信するGPS受信機等のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。例えば、撮像装置は、撮像した画像が運転者の目視位置から視認できる範囲の視野に応じた前方画像50となる予め定められた画角となるように車両Vの車両前後方向前方側に設けられる。情報取得部32は、上記車両状態検出装置104によって検出された車両Vの状態を表す情報(車両Vの前方視野の画像、車両Vの車速、車両Vのロール角、ピッチ角、ヨー角等の各種回転角、車両Vに生じる加速度、車両Vの現在位置情報(GPS情報)等)を取得する。ここで、ロール角は、車両Vの前後車軸X1の軸回り方向であるロール方向の回転角に相当し、後述する実水平方向に対する車両Vのロール方向の傾きに相当する。また、ピッチ角は、車両Vの左右車軸X2の軸回り方向であるピッチ方向の回転角に相当し、後述する実水平方向に対する車両Vのピッチ方向の傾きに相当する。また、車両状態検出装置104は、車両Vにおける運転支援系の処理を行う処理部自体を含んでいてもよく、情報取得部32は、当該運転支援系の処理を行う処理部からの運転支援指示情報を取得することもできる。また、情報取得部32は、記憶部31とも電気的に接続されており、取得した各種情報を記憶部31に格納することもできる。
【0031】
画像生成部33は、表示部2で表示する画像データである表示画像データを生成する部分である。画像生成部33は、記憶部31、情報取得部32に電気的に接続されており、記憶部31に格納されている画像データ、情報取得部32によって取得された各種情報に基づいて、表示画像データを生成する。画像生成部33は、車両状態検出装置104を構成する撮像装置が撮像し情報取得部32が取得した車両Vの前方視野の画像、情報取得部32が取得した車両Vの現在位置情報に基づいて記憶部31から読み出された3次元地図画像データ等に基づいて、前方画像50を表す画像データを生成する。そして、画像生成部33は、記憶部31から複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55、ロール指針画像52、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、ピッチ指針画像54の画像データを読み出し、前方画像50にこれら複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55、ロール指針画像52、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、ピッチ指針画像54を重畳させて、表示部2で最終的に表示する表示画像データを生成する。画像生成部33は、例えば、所定の制御周期毎に車両Vの走行に伴って時々刻々と変化する前方画像50に応じて逐次表示画像データを生成していく。
【0032】
表示制御部34は、画像生成部33が生成した表示画像データに基づいて、表示部2に画像を表示させる部分である。表示制御部34は、表示部2、画像生成部33に電気的に接続されており、画像生成部33が生成した表示画像データに基づいて、表示部2に実際に表示される画像を制御する。これにより、表示制御部34は、前方画像50に、複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55、ロール指針画像52、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、ピッチ指針画像54を重畳させて表示部2に表示させる。
【0033】
そして、本実施形態に係る制御部3は、表示部2を制御し、運転支援表示として、前方画像50に重畳させた複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55、ロール指針画像52、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、ピッチ指針画像54を前方画像50と連携させて動的に表示する処理を実行可能である。
【0034】
この場合、制御部3は、情報取得部32が取得した情報、記憶部31に格納されている画像データ等に基づいて画像生成部33が運転支援表示を踏まえた表示画像データを生成し、表示制御部34が当該画像生成部33によって生成された運転支援表示を踏まえた表示画像データに基づいて運転支援表示を踏まえた画像を表示部2に表示させる。なお、以下の説明では、情報取得部32、画像生成部33、表示制御部34による一連の画像表示に係る処理を区別して説明する必要がない場合には、説明の簡略化のため単に制御部3による処理として説明する。
【0035】
具体的には、制御部3は、図1に示すように、実水平方向に対する車両Vのロール方向の傾きに応じて、ロール指針画像52を複数のロール目盛画像51の配列方向に沿って相対移動させ実水平方向と一致させると共に前方画像50を複数のロール目盛画像51に対して相対回転させて前方画像50における仮想の水平方向である仮想水平方向を実水平方向と一致させる処理を実行可能である。ここで、前方画像50における仮想水平方向とは、実水平方向ではなく、前方画像50で表される仮想空間における仮想的な水平方向、さらに言えば、前方画像50で表される仮想空間に対応した実空間における水平方向に相当する方向であり、前方画像50に応じて予め設定される。
【0036】
この場合、制御部3は、複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55の主表示領域22における相対位置が常に同じ位置となるように、当該ロール目盛群画像55の位置を固定して表示部2に表示させる。一方、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのロール方向の傾き、ここでは、車両状態検出装置104によって検出されたロール角に応じて、中心点Pを回動中心とした円弧状の軌跡で一対のロール指針画像52を回動させることで、当該各ロール指針画像52を複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55に沿って相対移動させ実水平方向と一致させて表示部2に表示させる。また、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのロール方向の傾き、ここでは、車両状態検出装置104によって検出されたロール角に応じて、中心点Pの近傍を回動中心として前方画像50を複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55に対して相対回転させて前方画像50における仮想水平方向を実水平方向と一致させて表示部2に表示させる。ここでは、制御部3は、主表示領域22において、ロール方向に対する車両Vの実際の回転方向とは反対方向に一対のロール指針画像52、前方画像50を相対回転させることで、各ロール指針画像52、及び、前方画像50における仮想水平方向を実水平方向と一致させて表示部2に表示させる。制御部3は、典型的には、ロール指針画像52、及び、前方画像50における仮想水平方向を、常に実水平方向に沿って表示部2に表示させることとなる。
【0037】
また、制御部3は、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、及び、ピッチ指針画像54を、ロール目盛群画像55に対するロール指針画像52の相対移動に同伴して当該ロール目盛群画像55に対して相対回転させ、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56の配列方向を実鉛直方向と一致させる処理を実行可能である。この場合、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのロール方向の傾き、ここでは、車両状態検出装置104によって検出されたロール角に応じて、中心点Pを回動中心とした一対のロール指針画像52の回動に伴って、中心点Pを回動中心としてピッチ目盛群画像56、ピッチ指針画像54をロール目盛群画像55に対して相対回転させることで、複数のピッチ目盛画像53の配列方向を実鉛直方向と一致させて表示部2に表示させる。制御部3は、ピッチ目盛群画像56の配列方向を実鉛直方向と一致させることで、直線画像56aが実鉛直方向に沿うような位置関係で表示部2に表示させることとなる。制御部3は、典型的には、ピッチ目盛群画像56を構成する複数のピッチ目盛画像53の配列方向、さらに言えば、ピッチ目盛群画像56を構成する直線画像56aの延在方向を、常に実鉛直方向に沿って表示部2に表示させることとなる。
【0038】
そして、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのピッチ方向の傾きに応じて、ピッチ指針画像54、及び、前方画像50を複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56に沿って相対移動させる処理を実行可能である。この場合、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのピッチ方向の傾き、ここでは、車両状態検出装置104によって検出されたピッチ角に応じて、直線画像56aに沿った直線状の軌跡で一対のピッチ指針画像54を移動させることで、当該各ピッチ指針画像54を複数のピッチ目盛画像53に沿って相対移動させて表示部2に表示させる。また、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのピッチ方向の傾き、ここでは、車両状態検出装置104によって検出されたピッチ角に応じて、前方画像50を直線画像56aに沿って移動させることで、当該前方画像50を複数のピッチ目盛画像53に沿って相対移動させて表示部2に表示させる。
【0039】
以下、図6を参照して車両Vの各状態での表示部2の表示態様を詳細に説明する。図6は、車両Vが車両左右方向に対して水平である状態、右下がりである状態、左下がりである状態、車両前後方向に対して水平である状態、前上がりの状態、前下がりの状態、及び、これらを組み合わせた各状態における表示態様を表している。図6中、向かって上下方向の中段は、車両Vが車両前後方向に対して水平である場合を表し、上段は、車両Vが車両前後方向に対して前上がりである場合を表し、下段は、車両Vが車両前後方向に対して前下がりである場合を表している。また、図6中、向かって左右方向の中央列は、車両Vが車両左右方向に対して水平である場合を表し、左列は、車両Vが車両左右方向に対して左下がりである場合を表し、右列は、車両Vが車両左右方向に対して右下がりである場合を表している。また、図6では、実水平方向を模式的に線L2で表し(以下、「実水平方向L2」と表記する場合がある。)、仮想水平方向に沿った仮想の基準水平線を模式的に線L3で表している(以下、「仮想基準水平線L3」と表記する場合がある。)。ここで、仮想基準水平線L3は、前方画像50で表される仮想空間における仮想的な水平線のうち基準となる水平線であり、例えば、パースペクティブで表された前方画像50における消失点VP(Vanishing Point)近傍の地表面近傍の水平線として前方画像50に応じて予め設定される。
【0040】
まず、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのロール方向の傾きがない状態で、かつ、実水平方向に対する車両Vのピッチ方向の傾きがない状態では、図6中、上下方向の中段、左右方向の中央列に示すような表示態様を表示部2に表示させる。ここで、実水平方向に対する車両Vのロール方向の傾きがない状態とは、車両Vが車両左右方向に対して水平な面に位置している状態であり、ロール角が0である状態である。また、実水平方向に対する車両Vのピッチ方向の傾きがない状態とは、車両Vが車両前後方向に対して水平な面に位置している状態であり、ピッチ角が0である状態である。この場合、制御部3は、ロール指針画像52、及び、前方画像50を複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55に対する基準位置であるロール方向水平基準位置として表示部2に表示させる処理(以下、この処理を「ロール基準位置処理」という場合がある。)、及び、ピッチ指針画像54、及び、前方画像50を複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56に対する基準位置であるピッチ方向水平基準位置として表示部2に表示させる処理(以下、この処理を「ピッチ基準位置処理」という場合がある。)を実行する。
【0041】
ここで、ロール指針画像52のロール方向水平基準位置とは、複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55に対して予め設定される基準となる位置であり、一例として、各ロール指針画像52が各ロール目盛群画像55を構成する複数のロール目盛画像51のうちの中央のロール目盛画像51を指し示す位置である。前方画像50のロール方向水平基準位置とは、複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55に対して予め設定される基準となる位置であり、一例として、前方画像50における仮想基準水平線L3が各ロール目盛群画像55を構成する複数のロール目盛画像51のうちの中央のロール目盛画像51とほぼ一致する位置である。また、ピッチ指針画像54のピッチ方向水平基準位置とは、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56に対して予め設定される基準となる位置であり、一例として、各ピッチ指針画像54が各ピッチ目盛群画像56を構成する複数のピッチ目盛画像53のうちの中央のピッチ目盛画像53を指し示す位置である。前方画像50のピッチ方向水平基準位置とは、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56に対して予め設定される基準となる位置であり、一例として、前方画像50における仮想基準水平線L3が各ピッチ目盛群画像56を構成する複数のピッチ目盛画像53のうちの中央のピッチ目盛画像53とほぼ一致する位置である。上述した図5に示した表示態様は、ロール指針画像52、ピッチ指針画像54、前方画像50がロール方向水平基準位置、ピッチ方向水平基準位置にある状態での表示態様に相当する。
【0042】
次に、制御部3は、車両Vが実水平方向に対して前方に向かってロール方向の右回りに傾いた状態で、かつ、実水平方向に対する車両Vのピッチ方向の傾きがない状態では、図6中、上下方向の中段、左右方向の右列に示すような表示態様を表示部2に表示させる。この場合、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのロール方向の傾き、ここでは、車両状態検出装置104によって検出されたロール角に応じて、各ロール指針画像52をロール方向水平基準位置に対して車両Vの前方に向かって左回りに相対移動させると共に前方画像50をロール方向水平基準位置に対して車両Vの前方に向かって左回りに相対回転させて表示部2に表示させる処理を実行する(以下、この処理を「ロール左回り処理」という場合がある。)。このとき、制御部3は、車両Vのロール方向に対する傾きの大きさ、言い換えれば、ロール角の大きさに応じて各ロール指針画像52の相対移動量、前方画像50の相対回転量を異ならせる。制御部3は、車両Vのロール方向に対する傾きの大きさ(ロール角の大きさ)が相対的に大きいほど相対移動量、相対回転量を大きくし、車両Vのロール方向に対する傾きの大きさ(ロール角の大きさ)が相対的に小さいほど相対移動量、相対回転量を小さくする。これにより、一対のロール指針画像52は、複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55に沿って左回りに相対移動し、ロール方向水平基準位置に対して左下がりとなり、実水平方向と一致する。前方画像50は、複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55に対して左回りに相対回転し、前方画像50における仮想基準水平線L3がロール方向水平基準位置に対して左下がりとなり、実水平方向と一致する。またこのとき、制御部3は、ピッチ指針画像54をピッチ方向水平基準位置で維持したままの状態で、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、及び、ピッチ指針画像54を、ロール指針画像52の左回りの相対移動に同伴して、ロール目盛群画像55に対して左回りに相対回転させ、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56の配列方向を実鉛直方向と一致させる処理を実行する(以下、この処理を「左回り同伴処理」という場合がある。)。これにより、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、及び、ピッチ指針画像54は、ピッチ目盛群画像56を構成する複数のピッチ目盛画像53の配列方向、及び、直線画像56aの延在方向が実鉛直方向と一致する。
【0043】
次に、制御部3は、車両Vが実水平方向に対して前方に向かってロール方向の左回りに傾いた状態で、かつ、実水平方向に対する車両Vのピッチ方向の傾きがない状態では、図6中、上下方向の中段、左右方向の左列に示すような表示態様を表示部2に表示させる。この場合、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのロール方向の傾き、ここでは、車両状態検出装置104によって検出されたロール角に応じて、各ロール指針画像52をロール方向水平基準位置に対して車両Vの前方に向かって右回りに相対移動させると共に前方画像50をロール方向水平基準位置に対して車両Vの前方に向かって右回りに相対回転させて表示部2に表示させる処理を実行する(以下、この処理を「ロール右回り処理」という場合がある。)。このとき、制御部3は、上記と同様に、車両Vのロール方向に対する傾きの大きさ、言い換えれば、ロール角の大きさに応じて各ロール指針画像52の相対移動量、前方画像50の相対回転量を異ならせる。これにより、一対のロール指針画像52は、複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55に沿って右回りに相対移動し、ロール方向水平基準位置に対して右下がりとなり、実水平方向と一致する。前方画像50は、複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55に対して右回りに相対回転し、前方画像50における仮想基準水平線L3がロール方向水平基準位置に対して右下がりとなり、実水平方向と一致する。またこのとき、制御部3は、ピッチ指針画像54をピッチ方向水平基準位置で維持したままの状態で、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、及び、ピッチ指針画像54を、ロール指針画像52の右回りの相対移動に同伴して、ロール目盛群画像55に対して右回りに相対回転させ、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56の配列方向を実鉛直方向と一致させる処理を実行する(以下、この処理を「右回り同伴処理」という場合がある。)。これにより、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、及び、ピッチ指針画像54は、ピッチ目盛群画像56を構成する複数のピッチ目盛画像53の配列方向、及び、直線画像56aの延在方向が実鉛直方向と一致する。
【0044】
次に、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのロール方向の傾きがない状態で、かつ、車両Vの前部が実水平方向に対してピッチ方向の上側を向くように車両Vが傾いた状態では、図6中、上下方向の上段、左右方向の中央列に示すような表示態様を表示部2に表示させる。この場合、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのピッチ方向の傾き、ここでは、車両状態検出装置104によって検出されたピッチ角に応じて、各ピッチ指針画像54、及び、前方画像50をピッチ方向水平基準位置に対して複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56に沿って実鉛直方向下側に相対移動させる処理を実行する(以下、この処理を「ピッチ下側処理」という場合がある。)。このとき、制御部3は、車両Vのピッチ方向に対する傾きの大きさ、言い換えれば、ピッチ角の大きさに応じて各ピッチ指針画像54、前方画像50の相対移動量を異ならせる。制御部3は、車両Vのピッチ方向に対する傾きの大きさ(ピッチ角の大きさ)が相対的に大きいほど相対移動量を大きくし、車両Vのピッチ方向に対する傾きの大きさ(ピッチ角の大きさ)が相対的に小さいほど相対移動量を小さくする。これにより、一対のピッチ指針画像54、前方画像50は、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56に対して実鉛直方向下側に相対移動し、各ピッチ指針画像54、及び、前方画像50における仮想基準水平線L3がピッチ方向水平基準位置に対して実鉛直方向下側にオフセットされた位置となる。
【0045】
次に、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのロール方向の傾きがない状態で、かつ、車両Vの前部が実水平方向に対してピッチ方向の下側を向くように車両Vが傾いた状態では、図6中、上下方向の下段、左右方向の中央列に示すような表示態様を表示部2に表示させる。この場合、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのピッチ方向の傾き、ここでは、車両状態検出装置104によって検出されたピッチ角に応じて、各ピッチ指針画像54、及び、前方画像50をピッチ方向水平基準位置に対して複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56に沿って実鉛直方向上側に相対移動させる処理を実行する(以下、この処理を「ピッチ上側処理」という場合がある。)。このとき、制御部3は、上記と同様に、車両Vのピッチ方向に対する傾きの大きさ、言い換えれば、ピッチ角の大きさに応じて各ピッチ指針画像54、前方画像50の相対移動量を異ならせる。これにより、一対のピッチ指針画像54、前方画像50は、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56に対して実鉛直方向上側に相対移動し、各ピッチ指針画像54、及び、前方画像50における仮想基準水平線L3がピッチ方向水平基準位置に対して実鉛直方向上側にオフセットされた位置となる。
【0046】
次に、制御部3は、車両Vが実水平方向に対して前方に向かってロール方向の右回りに傾いた状態で、かつ、車両Vの前部が実水平方向に対してピッチ方向の上側を向くように車両Vが傾いた状態では、図6中、上下方向の上段、左右方向の右列に示すような表示態様を表示部2に表示させる。この場合、制御部3は、上述した「ロール左回り処理」と、「左回り同伴処理」と、「ピッチ下側処理」とを組み合わせた処理を実行する。これにより、一対のロール指針画像52は、ロール方向水平基準位置に対して左下がりとなり実水平方向と一致し、前方画像50は、前方画像50における仮想基準水平線L3がロール方向水平基準位置に対して左下がりとなり実水平方向と一致する。また、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、及び、ピッチ指針画像54は、ピッチ目盛群画像56を構成する複数のピッチ目盛画像53の配列方向、及び、直線画像56aの延在方向が実鉛直方向と一致する。そして、一対のピッチ指針画像54、前方画像50は、各ピッチ指針画像54、及び、前方画像50における仮想基準水平線L3がピッチ方向水平基準位置に対して実鉛直方向下側にオフセットされた位置となる。
【0047】
次に、制御部3は、車両Vが実水平方向に対して前方に向かってロール方向の右回りに傾いた状態で、かつ、車両Vの前部が実水平方向に対してピッチ方向の下側を向くように車両Vが傾いた状態では、図6中、上下方向の下段、左右方向の右列に示すような表示態様を表示部2に表示させる。この場合、制御部3は、上述した「ロール左回り処理」と、「左回り同伴処理」と、「ピッチ上側処理」とを組み合わせた処理を実行する。これにより、一対のロール指針画像52は、ロール方向水平基準位置に対して左下がりとなり実水平方向と一致し、前方画像50は、前方画像50における仮想基準水平線L3がロール方向水平基準位置に対して左下がりとなり実水平方向と一致する。また、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、及び、ピッチ指針画像54は、ピッチ目盛群画像56を構成する複数のピッチ目盛画像53の配列方向、及び、直線画像56aの延在方向が実鉛直方向と一致する。そして、一対のピッチ指針画像54、前方画像50は、各ピッチ指針画像54、及び、前方画像50における仮想基準水平線L3がピッチ方向水平基準位置に対して実鉛直方向上側にオフセットされた位置となる。
【0048】
次に、制御部3は、車両Vが実水平方向に対して前方に向かってロール方向の左回りに傾いた状態で、かつ、車両Vの前部が実水平方向に対してピッチ方向の上側を向くように車両Vが傾いた状態では、図6中、上下方向の上段、左右方向の左列に示すような表示態様を表示部2に表示させる。この場合、制御部3は、上述した「ロール右回り処理」と、「右回り同伴処理」と、「ピッチ下側処理」とを組み合わせた処理を実行する。これにより、一対のロール指針画像52は、ロール方向水平基準位置に対して右下がりとなり実水平方向と一致し、前方画像50は、前方画像50における仮想基準水平線L3がロール方向水平基準位置に対して右下がりとなり実水平方向と一致する。また、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、及び、ピッチ指針画像54は、ピッチ目盛群画像56を構成する複数のピッチ目盛画像53の配列方向、及び、直線画像56aの延在方向が実鉛直方向と一致する。そして、一対のピッチ指針画像54、前方画像50は、各ピッチ指針画像54、及び、前方画像50における仮想基準水平線L3がピッチ方向水平基準位置に対して実鉛直方向下側にオフセットされた位置となる。
【0049】
次に、制御部3は、車両Vが実水平方向に対して前方に向かってロール方向の左回りに傾いた状態で、かつ、車両Vの前部が実水平方向に対してピッチ方向の下側を向くように車両Vが傾いた状態では、図6中、上下方向の下段、左右方向の左列に示すような表示態様を表示部2に表示させる。この場合、制御部3は、上述した「ロール右回り処理」と、「右回り同伴処理」と、「ピッチ上側処理」とを組み合わせた処理を実行する。これにより、一対のロール指針画像52は、ロール方向水平基準位置に対して右下がりとなり実水平方向と一致し、前方画像50は、前方画像50における仮想基準水平線L3がロール方向水平基準位置に対して右下がりとなり実水平方向と一致する。また、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、及び、ピッチ指針画像54は、ピッチ目盛群画像56を構成する複数のピッチ目盛画像53の配列方向、及び、直線画像56aの延在方向が実鉛直方向と一致する。そして、一対のピッチ指針画像54、前方画像50は、各ピッチ指針画像54、及び、前方画像50における仮想基準水平線L3がピッチ方向水平基準位置に対して実鉛直方向上側にオフセットされた位置となる。
【0050】
なお、制御部3は、不図示の操作部への運転者等の操作入力や車両Vにおける運転支援系の処理を行う処理部によって自動で切り替えられる運転支援のモード変更等に応じて、複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55、ロール指針画像52、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、ピッチ指針画像54等を適宜非表示とすることがき、また、図4に例示したように、前方画像50自体を非表示とすることもできる。
【0051】
以上で説明した車両用運転支援装置1によれば、車両Vに搭載され画像を表示する表示部2と、表示部2を制御し、車両Vの前方視野の画像である前方画像50に、円弧状に間隔をあけて配列される棒状の複数のロール目盛画像51、及び、複数のロール目盛画像51の配列方向に沿って円弧状の軌跡で移動可能である棒状のロール指針画像52を重畳させて表示部2に表示させ、実際の水平方向である実水平方向に対する車両Vのロール方向の傾きに応じて、ロール指針画像52を複数のロール目盛画像51の配列方向に沿って相対移動させ実水平方向と一致させると共に前方画像50を複数のロール目盛画像51に対して相対回転させて前方画像50における仮想の水平方向である仮想水平方向を実水平方向と一致させる処理を実行可能である制御部3とを備える。
【0052】
したがって、車両用運転支援装置1は、表示部2が車両Vの前方画像50にロール目盛画像51、及び、ロール指針画像52を重畳させて表示し、車両Vのロール方向の傾きに応じて、ロール指針画像52を複数のロール目盛画像51に沿って相対移動させ実水平方向と一致させると共に前方画像50を複数のロール目盛画像51に対して相対回転させて仮想水平方向を実水平方向と一致させることで、例えば、車両Vの運転者の実際の見た目に近く直感的、感覚的にわかり易い絵面で車両Vのロール方向の傾きを表示することができるので、斬新な見た目で車両Vの傾きをわかり易く表示することができる。ここでは、車両用運転支援装置1は、ロール指針画像52を複数のロール目盛画像51に沿って相対移動させ実水平方向と一致させることでロール指針画像52によって実水平方向を指し示すことができる。
【0053】
より詳細には、以上で説明した車両用運転支援装置1によれば、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのロール方向の傾きがない状態では、ロール指針画像52、及び、前方画像50を複数のロール目盛画像51に対する基準位置であるロール方向水平基準位置として表示部2に表示させる処理を実行し、車両Vが実水平方向に対して前方に向かってロール方向の右回りに傾いた状態では、ロール指針画像52をロール方向水平基準位置に対して車両Vの前方に向かって左回りに相対移動させると共に前方画像50をロール方向水平基準位置に対して車両Vの前方に向かって左回りに相対回転させて表示部2に表示させる処理を実行し、車両Vが実水平方向に対して前方に向かってロール方向の左回りに傾いた状態では、ロール指針画像52をロール方向水平基準位置に対して車両Vの前方に向かって右回りに相対移動させると共に前方画像50をロール方向水平基準位置に対して車両Vの前方に向かって右回りに相対回転させて表示部2に表示させる処理を実行する。したがって、車両用運転支援装置1は、表示部2に表示されるロール指針画像52、前方画像50のロール方向水平基準位置に対する位置差分に基づいて、車両Vのロール方向の傾き度合い、傾き方向を直感的、感覚的にわかり易く表示することができる。
【0054】
さらに、以上で説明した車両用運転支援装置1によれば、制御部3は、前方画像50に、直線状に間隔をあけて配列される棒状の複数のピッチ目盛画像53、及び、複数のピッチ目盛画像53の配列方向に沿って直線状の軌跡で移動可能である棒状のピッチ指針画像54を重畳させて表示部2に表示させ、複数のピッチ目盛画像53、及び、ピッチ指針画像54を複数のロール目盛画像51に対するロール指針画像52の相対移動に同伴して複数のロール目盛画像51に対して相対回転させ複数のピッチ目盛画像53の配列方向を実際の鉛直方向である実鉛直方向と一致させる処理、及び、実水平方向に対する車両Vのピッチ方向の傾きに応じて、ピッチ指針画像54、及び、前方画像50を複数のピッチ目盛画像53に沿って相対移動させる処理を実行可能である。したがって、車両用運転支援装置1は、表示部2が車両Vの前方画像50にピッチ目盛画像53、及び、ピッチ指針画像54を重畳させて表示し、ロール指針画像52の相対移動に同伴して相対回転させ複数のピッチ目盛画像53の配列方向を実鉛直方向と一致させると共に、車両Vのピッチ方向の傾きに応じて、ピッチ指針画像54、前方画像50を複数のピッチ目盛画像53に沿って相対移動させることで、例えば、車両Vの運転者の実際の見た目に近く直感的、感覚的にわかり易い絵面で車両Vのピッチ方向の傾きを表示することができるので、車両Vの傾きをさらにわかり易く表示することができる。
【0055】
より詳細には、以上で説明した車両用運転支援装置1によれば、制御部3は、実水平方向に対する車両Vのピッチ方向の傾きがない状態では、ピッチ指針画像54、及び、前方画像50を複数のピッチ目盛画像53に対する基準位置であるピッチ方向水平基準位置として表示部2に表示させる処理を実行し、車両Vの前部が実水平方向に対してピッチ方向の上側を向くように車両Vが傾いた状態では、ピッチ指針画像54、及び、前方画像50をピッチ方向水平基準位置に対して複数のピッチ目盛画像53に沿って実鉛直方向下側に相対移動させて表示部2に表示させる処理を実行し、車両Vの前部が実水平方向に対してピッチ方向の下側を向くように車両Vが傾いた状態では、ピッチ指針画像54、及び、前方画像50をピッチ方向水平基準位置に対して複数のピッチ目盛画像53に沿って実鉛直方向上側に相対移動させて表示部2に表示させる処理を実行する。したがって、車両用運転支援装置1は、表示部2に表示されるピッチ目盛画像53、前方画像50のピッチ方向水平基準位置に対する位置差分に基づいて、車両Vのピッチ方向の傾き度合い、傾き方向を直感的、感覚的にわかり易く表示することができる。
【0056】
なお、上述した本発明の実施形態に係る車両用運転支援装置は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0057】
また、以上の説明では、車両用運転支援装置1は、車両表示装置100の一部に適用されるものとして説明したがこれに限らず、ナビゲーションシステムに適用されてもよい。この場合、表示部2は、ナビゲーションシステムの表示装置によって兼用される。
【0058】
また、車両用運転支援装置1は、例えば、いわゆるヘッドアップディスプレイに適用されてもよい。図7は、変形例に係る車両用運転支援装置の表示部の概略構成を示す模式図である。この場合、図7に示す変形例に係る車両用運転支援装置201は、表示部2にかえて、例えば、ヘッドアップディスプレイによって虚像画像が投影される車両VのフロントウィンドFW等の一部が、前方画像50に複数のロール目盛画像51からなるロール目盛群画像55、ロール指針画像52、複数のピッチ目盛画像53からなるピッチ目盛群画像56、ピッチ指針画像54等を重畳して表示可能である表示部202を構成してもよい。この場合であっても、車両用運転支援装置201は、車両Vの傾きをわかり易く表示することができる。
【0059】
また、以上の説明では、表示部2は、複数のピッチ目盛画像53、ピッチ指針画像54を表示するものとして説明したが、少なくとも前方画像50、ロール目盛画像51、ロール指針画像52を表示するものであれば、複数のピッチ目盛画像53、ピッチ指針画像54を表示しなくてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1、201 車両用運転支援装置
2、202 表示部
3 制御部
50 前方画像
51 ロール目盛画像
52 ロール指針画像
53 ピッチ目盛画像
54 ピッチ指針画像
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7