(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の典型的な実施形態の幾つかの例を説明する。なお、この明細書にて引用された文献の内容や公知技術を実施形態に援用することができる。
【0011】
実施形態の眼科検査システムは、各種の施設に設置された眼科検査装置や、持ち運び可能な眼科検査装置を用いた遠隔検査に用いられる。実施形態における遠隔検査では、典型的には、複数の眼科検査装置を管理する施設(管理センタ)に設置された情報処理装置(検者端末)を使用する検者から、眼科検査装置を用いて検査を行っている被検者に対して指示が送られる。被検者は、この指示に基づいて検査を進めることができる。
【0012】
なお、眼科検査装置が設置される施設の例として、医療機関、眼鏡店、健康診断会場、検診会場、患者の自宅、福祉施設、公共施設などがある。また、検者から被検者に送られる指示には、検査の進め方に関する支援や、眼科検査装置の操作や、被検者への助言などが含まれてよい。
【0013】
また、遠隔検査の態様は上記のものには限定されない。例えば、管理センタの外(例えば検者の自宅)に設置された検者端末から管理センタを介して眼科検査装置に指示を送信するように構成することができる。
【0014】
眼科検査装置は、被検眼の検査に用いられる任意の装置であってよく、眼科測定装置としての機能及び眼科撮影装置としての機能の少なくとも一方を備えてよい。眼科測定装置は、被検眼の特性を測定するための装置であり、その例として、視力検査装置(視標呈示装置、フォロプタ等)、眼屈折検査装置(レフラクトメータ、ケラトメータ等)、眼圧計、スペキュラーマイクロスコープ、ウェーブフロントアナライザ、視野計、マイクロペリメータなどがある。また、眼科撮影装置は、被検眼を画像化するための装置であり、その例として、OCT、眼底カメラ、SLOなどがある。更に、眼科検査装置は、測定データや撮影画像を解析するためのアプリケーションを備えていてもよい。
【0015】
〈眼科検査システムの構成〉
実施形態に係る眼科検査システムの構成の例を説明する。
図1に例示された眼科検査システム1は、検査が行われるN個の施設(第1施設〜第N施設)のそれぞれと管理センタとを結ぶネットワークを利用して構築されている。
【0016】
各施設(第n施設:n=1〜N、Nは1以上の整数)には、眼科検査装置2−i
n(i
n=1〜K
n、K
nは1以上の整数)が設置されている。つまり、各施設(第n施設)には、1以上の眼科検査装置2−i
nが設置されている。眼科検査装置2−i
nは、眼科検査システム1の一部を構成する。なお、眼科以外の検査を実施可能な検査装置が眼科検査システム1に含まれていてもよい。
【0017】
本例の眼科検査装置2−i
nは、被検者(被検眼)の検査を実施する「検査装置」としての機能と、各種データ処理や外部装置との通信を行う「コンピュータ」としての機能の双方を備えている。他の例において、検査装置とコンピュータとを別々に設けることが可能である。この場合、検査装置とコンピュータとは互いに通信可能に構成されてよい。更に、検査装置の数とコンピュータの数とはそれぞれ任意であり、例えば単一のコンピュータと複数の検査装置とを設けることができる。
【0018】
更に、各施設(第n施設)には情報処理装置3−nが設置されている。なお、情報処理装置は必須ではなく、眼科検査システム1に含まれていなくてよい。情報処理装置3−nは、当該施設において使用されるコンピュータであり、例えば、タブレット端末やスマートフォン等のモバイル端末、当該施設に設置されたサーバ(施設内サーバ等)であってよい。なお、情報処理装置3−nは、当該施設においてその機能を使用可能なコンピュータであれば十分であり、例えば、当該施設の外に設置されたコンピュータ(クラウドサーバ等)であってもよい。
【0019】
眼科検査装置2−i
nと情報処理装置3−nとは、第n施設内に構築されたネットワーク(施設内LAN等)や、広域ネットワーク(インターネット等)や、近距離通信技術を介して通信を行えるように構成されてよい。
【0020】
管理センタには管理サーバ4が設置されている。管理サーバ4は、管理センタ(又はその外部)に設置された検者端末5m(m=1〜M、Mは1以上の整数)とネットワーク(LAN、広域ネットワーク等)を介して通信が可能である。更に、管理サーバ4は、各施設に設置された眼科検査装置2−i
nと広域ネットワークを介して通信が可能である。
【0021】
管理サーバ4は、例えば、眼科検査装置2−i
nと検者端末5mとの間の通信を中継する機能と、この通信の内容を記録する機能とを備える。また、管理サーバ4は、眼科検査装置2−i
nと検者端末5mとを対応付ける機能、つまり、眼科検査装置2−i
nのそれぞれに検者を割り当てる機能を備える。また、管理サーバ4は、眼科検査装置2−i
nと検者端末5mとの間の通信の内容に既定のミスが発生したことを検知し、これを記録するとともに、検者端末5m等に警告を通知するよう構成されていてよい。
【0022】
検者端末5mは、眼科検査装置2−i
nを用いて実施されている検査を指導・管理する検者により使用されるコンピュータを含む。
【0023】
〈眼科検査装置の構成〉
眼科検査装置2−i
nの構成について説明する。
図2に例示された眼科検査装置2は、
図1に示す複数の眼科検査装置2−i
nのそれぞれに相当する。同様に、情報処理装置3−nのそれぞれを情報処理装置3と記載し、検者端末5mのそれぞれを検者端末5と記載することがある。
【0024】
眼科検査装置2は、制御部20と、検査部21と、検査状況情報生成部22と、ユーザインターフェイス(UI)部23と、通信部24とを備える。これら構成要素は、一体的に(つまり単一の筐体内に)設けられていてもよいし、2以上の筐体内に分散配置されていてもよい。前者の例として、レフラクトメータ、ケラトメータ、眼圧計、スペキュラーマイクロスコープ、ウェーブフロントアナライザ、視野計、マイクロペリメータ、OCT、眼底カメラ、SLOなどがある。後者の例として、視標呈示装置とフォロプタとを含む視力検査装置がある。また、制御部20の一部又は全部をパーソナルコンピュータや携帯端末に設けることができる。また、ユーザインターフェイス部23の一部又は全部を、パーソナルコンピュータ、携帯端末、テレビ受像機、スマートテレビなどに設けることができる。
【0025】
〈制御部20〉
制御部20は、各種の制御や演算を実行する。制御部20はプロセッサを含む。なお、本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。制御部20は、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。制御部20は、更に、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどを含んでいてよい。
【0026】
〈出力制御部201〉
制御部20は出力制御部201を備える。出力制御部201は、検者端末5から眼科検査装置2に送信された情報を出力するための制御を行う。出力される情報の例として視覚情報と音声情報がある。視覚情報は、視覚系により認識される情報であり、文字列情報や画像情報を含む。文字列情報は、例えば、検者の指示を表す文字メッセージを含む。画像情報は、例えば、検者の顔や手の動画像や、検者の指示を表すマークを含む。出力制御部201は、後述のLCD214や表示装置231を制御することにより視覚情報を出力させる。音声情報は、聴覚系により認識される情報であり、警告音や音声メッセージを含む。出力制御部201は、後述の音声出力装置233を制御することにより聴覚情報を出力させる。出力制御部201が実行する処理の具体例は後述される。
【0027】
〈検査部21〉
検査部21は、制御部20による制御を受けて被検眼の検査を実行する。検査部21は、眼科検査装置2の種別に応じた構成を備える。検査部21の構成は、公知の構成の少なくとも一部であってよく、或いは公知の構成を含んでよい。検査部21は、以下のような光学系と、図示しない機構(アクチュエータ、動力伝達機構等)を含む。
【0028】
検査部21が被検眼Eの特性を測定する機能を備える場合、検査部21は、例えば、被検眼に光を投射するための光学系を少なくとも備え、被検眼に投射された光の戻り光を検出するための光学系を更に備える。更に、検査部21は、被検眼に固視標を投影するための光学系や、アライメントを行うための光学系や、フォーカシングを行うための光学系など、各種機能の光学系を備えていてよい。また、検査部21は、戻り光の検出結果(画像信号、映像信号等)を処理するためのプロセッサを含んでよい。
【0029】
検査部21が被検眼Eを撮影する機能を備える場合、検査部21は、例えば、被検眼に光を投射するための光学系と、被検眼に投射された光の戻り光を検出するための光学系とを含む。更に、検査部21は、測定機能の場合と同様に、各種の光学系を含んでよい。また、検査部21は、戻り光の検出結果(画像信号、映像信号等)を処理するためのプロセッサを含んでよい。
【0030】
以上のような光学系は検査光学系211に相当する。検査光学系211は、光学素子212と投射系213とを含む。光学素子212は、投射系213から出力された光束を被検眼Eに導くために被検眼Eに適用される。光学素子212は、例えば、レンズ(対物レンズ等)、プリズム(対物プリズム等)、凹面鏡(放物面鏡等)、ガラス板などの各種光学素子のいずれかを含んでよい。
【0031】
投射系213は、被検眼Eを検査するための光束(検査光束)を光学素子212を介して被検眼Eに投射する。投射系213にはLCD214が設けられている。LCD214は、制御部20の制御を受けて動作する。LCD214は、検査に用いられる情報(検査情報:視標、固視標等)を表示する機能と、検者端末5から送信された情報を表示する機能とを担う。後者は情報提示光学系の機能であり、LCD214は情報提示光学系の表示部に相当する。更に、投射系213は、検者端末5から送信された情報に相当するLCD214からの光束(表示光束)を光学素子212を介して被検眼Eに導く導光系の機能を奏する。つまり、本実施形態の検査部21では、検査光学系と情報提示光学系とが共通の構成となっている。これに対し、検査光学系と情報提示光学系とを別々に構成することも可能であり、その例は後述される。
【0032】
〈検査状況情報生成部22〉
検査状況情報生成部22は、被検眼Eの検査の状況を表す検査状況情報を生成する。検査状況情報は、検査の進行状況(検査のフェーズ)、検査の途中結果(例えば、視力検査における視標の呈示履歴)、検査時間(例えば、検査開始時刻、経過時間)などを含む。眼科検査装置2が被検眼Eや被検者を撮影する機能を備える場合、検査状況情報は、被検眼E等の撮影画像(静止画像、動画像)を含んでよい。また、検査状況情報は、音声入力装置234を介して入力された被検者の音声情報を含んでよい。生成された検査状況情報は検者端末5に送信され、検者によって参照される。検査状況情報生成部22は、例えば、プロセッサと、検査を実施するためのコンピュータプログラム又はこれを監視するコンピュータプログラムとを含む。
【0033】
なお、眼科検査装置2から検者端末5に向けて送信される情報の全てが検査状況情報生成部22に処理される必要はない。例えば、被検眼Eの動画像や被検者の音声情報をそのまま検者端末5に向けて送信することができる。それにより、被検眼Eの状態や被検者のリクエストを実質的にタイムラグなく検者に提供することができる。
【0034】
〈ユーザインターフェイス部23〉
ユーザインターフェイス部23は、被検者(及びその近くにいる検者)に向けた情報を出力する機能と、ユーザが情報入力や操作指示を行うための機能とを備える。ユーザインターフェイス部23は、前者の機能のための表示装置231及び音声出力装置233と、後者の機能のための操作装置232及び音声入力装置234とを含む。
【0035】
表示装置231は、フラットパネルディスプレイ等の表示デバイスを含む。操作装置232は、眼科検査装置2の筐体や外部に設けられたボタン、キー、ジョイスティック、ノブ、操作パネル等の操作デバイスを含む。また、操作装置232は、眼科検査装置2に接続されたパーソナルコンピュータ等の操作デバイス(マウス、キーボード、トラックパッド、ボタン、タッチパネル等)を含んでよい。ユーザインターフェイス部23は、表示装置231と操作装置232とが一体化されたタッチパネル等のデバイスや、グラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を含んでよい。また、ユーザインターフェイス部23は、音声入力装置234から入力された被検者の音声に基づき操作や入力を行うためのプロセッサ及びコンピュータプログラムを含んでもよい。
【0036】
音声出力装置233は、例えば、出力される音声情報(音声信号)を処理する回路と、処理された音声情報を出力するスピーカとを含む。また、音声入力装置234は、音声情報を電気信号に変換するマイクロフォンと、この電気信号を処理する回路とを含む。
【0037】
〈通信部24〉
通信部24は、管理サーバ4及び情報処理装置3との間でデータ通信を行う。データ通信の方式は任意である。例えば、通信部24は、インターネットに準拠した通信インターフェイス、LANに準拠した通信インターフェイス、近距離通信に準拠した通信インターフェイスなどを含む。データ通信は有線通信でも無線通信でもよい。通信部24は、管理サーバ4や情報処理装置3以外の外部装置との間でデータ通信が可能であってもよい。通信部24により送受信されるデータは暗号化されてよい。その場合、例えば、制御部20は、送信データを暗号化する暗号化処理部と、受信データを復号化する復号化処理部とを含む。
【0038】
〈情報処理装置の構成〉
情報処理装置3の構成について説明する。
図3に例示された情報処理装置3は、制御部30と、ユーザインターフェイス(UI)部31と、通信部32とを備える。
【0039】
〈制御部30〉
制御部30は、情報処理装置3の各部の制御と、各種の演算処理とを実行する。制御部30はプロセッサを含む。制御部30は、更に、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどを含んでいてよい。
【0040】
〈ユーザインターフェイス部31〉
ユーザインターフェイス部31は、ユーザに向けた情報を出力する機能と、ユーザが情報入力や操作指示を行うための機能とを備える。ユーザインターフェイス部31は、眼科検査装置2のユーザインターフェイス23と同様に、表示装置311、操作装置312、音声出力装置313、及び音声入力装置314を含む。
【0041】
〈通信部32〉
通信部32は、管理サーバ4及び眼科検査装置2との間でデータ通信を行う。データ通信の方式や暗号化については、眼科検査装置2の通信部24と同様であってよい。
【0042】
〈検者端末の構成〉
検者端末5の構成について説明する。
図4に例示された検者端末5は、制御部50と、撮影部51と、ユーザインターフェイス(UI)部52と、送信情報生成部53と、通信部54とを備える。
【0043】
〈制御部50〉
制御部50は、検者端末5の各部の制御と、各種の演算処理とを実行する。制御部50はプロセッサを含む。制御部50は、更に、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブなどを含んでいてよい。
【0044】
〈撮影部51〉
撮影部51は、検者を動画撮影するために使用され、例えばビデオカメラを含む。撮影対象は、被検者への指示を表現するために用いられる身体部位(例えば、顔、上半身、手など)を含む。
【0045】
〈ユーザインターフェイス部52〉
ユーザインターフェイス部52は、検者に向けた情報を出力する機能と、検者が情報入力や操作指示を行うための機能とを備える。ユーザインターフェイス部52は、眼科検査装置2のユーザインターフェイス23と同様に、表示装置521、操作装置522、音声出力装置523、及び音声入力装置524を含む。
【0046】
制御部50は、例えば、眼科検査装置2から逐次に送信される検査状況情報を表示し、かつ、被検者への指示を入力するための画面(GUI等)を表示装置521に表示させる。また、制御部50は、被検者の音声情報を音声出力装置523に出力させる。検者は、表示情報や音声情報を参照して指示の内容を決定し、操作装置522を用いてそれを入力する。また、音声による指示は、音声入力装置524を介して入力される。
【0047】
〈送信情報生成部53〉
送信情報生成部53は、検者がユーザインターフェイス52を用いて入力した内容(指示)に基づいて、眼科検査装置2を使用している被検者に向けた情報(送信情報)を生成する。送信情報生成部53は、例えば、プロセッサと、上記画面(GUI)に連係して実行される送信情報生成プログラムとを含む。
【0048】
なお、検者端末5から眼科検査装置2に向けて送信される情報の全てが送信情報生成部53に処理される必要はない。例えば、検者の動画像や音声情報をそのまま眼科検査装置2に向けて送信することができる。それにより、検者の指示を実質的にタイムラグなく被検者に提供することができる。
【0049】
〈通信部54〉
通信部54は、管理サーバ4との間でデータ通信を行う。データ通信の方式や暗号化については、眼科検査装置2の通信部24と同様であってよい。
【0050】
〈使用形態〉
本実施形態の眼科検査システムの使用形態について説明する。使用形態の例を
図5に示す。
【0051】
(S1:検査開始)
眼科検査装置2を用いた被検眼Eの検査が開始される。なお、眼科検査装置2と検者端末5との間の通信(双方向通信)をこの段階から開始するようにしてもよい。また、検査の開始を受けて、制御部20は、検査状況情報生成部22に検査状況情報の生成を開始させる。
【0052】
(S2:検者呼び出し要求)
被検者は、検者のアシストが必要なとき、ユーザインターフェイス部23を利用して検者を呼び出す。検者のアシストが必要なときの例として、検査のやり方が分からないとき、疲れたとき、検査のステップを戻したいときなどがある。また、ユーザインターフェイス部23の利用の態様の例として、操作装置232による所定の操作の実施や、音声入力装置234による音声の入力がある。
【0053】
(S3:要求・情報の送信)
制御部20は、ステップS2で入力された検者呼び出し要求を所定の情報とともに管理サーバ4に送信するよう通信部24を制御する。検者呼び出し要求とともに送信される情報の例として、眼科検査装置2に予め割り当てられた識別情報(装置ID)、被検者に予め割り当てられた識別情報(被検者ID)、眼科検査装置2が設置された施設に予め割り当てられた識別情報(施設ID)、現時点までに生成された検査状況情報の少なくとも一部、検者呼び出し要求の内容などがある。
【0054】
(S4:検者端末の選択)
管理サーバ4は、ステップS3で眼科検査装置2から送信された検者呼び出し要求及び情報を受信し、当該被検者をアシストする検者を選択する(つまり、いずれかの検者端末5を選択する)。そのために、管理サーバ4は、例えば、各検者端末5の稼動状態を監視する機能を備え、現在稼働していない検者端末5(被検者のアシストを現在行っていない検者)のいずれかを選択する。
【0055】
(S5:情報の転送)
管理サーバ4は、ステップS4で選択された検者端末5に、眼科検査装置2から受信した情報を転送する。
【0056】
(S6:双方向通信の開始)
更に、管理サーバ4は、ステップS3で検者呼び出し要求等を送信した眼科検査装置2と、ステップS4で選択された検者端末5との間の双方向通信を確立する。このとき、情報処理装置3と検者端末5との間の通信の確立も行うように構成してもよい。なお、前述したように、これ以前の段階で通信を確立するよう構成することも可能である。
【0057】
(S7:撮影開始)
ステップS5で転送された情報を検者端末5が受信すると、制御部50は、撮影部51を制御して検者の動画撮影を開始させる。このとき、検者が発する音声の入力も開始される。撮影部51により逐次に取得されるフレームは、リアルタイムで管理サーバ4を介して眼科検査装置2に送信される。
【0058】
(S8:情報の表示開始)
眼科検査装置2は、検者端末5から逐次に送信されるフレーム及び音声情報を受信する。出力制御部201は、逐次に受信されるフレームをLCD214にリアルタイムで表示させる。それにより、検者の動画像がリアルタイムで表示される。また、出力制御部201は、逐次に受信される音声情報を音声出力装置233にリアルタイムで出力させる。それにより、検者の音声がリアルタイムで出力される。
【0059】
このような連係動作により、被検者は、検者の顔や身振り手振りや音声をリアルタイムで把握することができる。逆に、検者も、被検者の音声や操作をリアルタイムで把握することができる。
【0060】
(S9:情報の表示開始)
検者によるアシスト作業を容易化するために、検者端末5の制御部50は、前述した画面(GUI等)を表示装置521に表示させ、ステップS5で管理サーバ4から転送された情報(特に検査状況情報)をこの画面に表示させる。新たな検査状況情報を受けると、制御部50は表示内容を更新する。
【0061】
(S10:指示の入力開始)
検者は、操作装置522(GUI)を利用して指示を入力する。指示の内容の例として、検査の変更、文字列情報の提示、画像情報の提示などがある。また、GUI以外の手段を利用した指示として、身振り手振りによる指示や、音声による指示などがある。指示の具体例については後述する。
【0062】
(S11:情報の生成開始)
送信情報生成部53は、ステップS10で入力された内容(指示)に基づいて、被検者に向けた送信情報を生成する。送信情報の生成は、例えば、検者が指示の入力を行う度に実行される。
【0063】
(S12:情報の送信開始)
検者端末5は、ステップS11で生成された送信情報を管理サーバ4を介して眼科検査装置2に送信する。
【0064】
(S13:アシスト開始)
眼科検査装置2は、ステップS12で検者端末5から送信された送信情報を受信する。出力制御部201は、送信情報に基づいて、検者の動画像や指示をLCD214に表示させる。
【0065】
検査の指示の具体例を以下に説明する。検査の変更は、視力検査に用いられる視標の種類をランドルト環からイラストチャートに切り替える動作を含むとする。イラストチャートはイラストからなる視標であり、例えば、複数段階の視力値に相当する文字や画像を日常見慣れた風景に含めて形成された視標である。検査の変更の指示は、例えば、GUIに設けられた所定のソフトウェアキーを操作することにより実施される。眼科検査装置2の出力制御部201は、検査の変更の指示を受けて、LCD214に表示される視力検査用の視標をランドルト環からイラストチャートに切り替える。
【0066】
ランドルト環を用いた視力検査のための表示の例を
図6Aに示す。
図6Aに示す表示内容600には、「C」形状のランドルト環と、このランドルト環に対応する視力値を表す文字列「視力値:0.5」と、ランドルト環の切り欠き部の方向を選択入力するためにランドルト環の周囲に配置された上下左右それぞれの方向の矢印画像とが含まれる。
【0067】
イラストチャートを用いた視力検査のための表示の例を
図6Bに示す。
図6Bに示す例では、LCD214にイラストチャート610が表示されている。イラストチャート610には、道路を走行する普通自動車とバス、道路標識、デジタル時計などが記載されている。道路標識が示す制限速度「30」、デジタル時計が示す時刻「8:45」、バスの行先を示す文字列「LPH」、バスのナンバープレートに記された文字列「ATG4」、普通自動車のナンバープレートに記された文字列「FZ59」は、それぞれ異なる視力値に対応する大きさで記載されている。
図6Bに示す例では、検者画像表示領域620が更に表示されている。検者画像表示領域620には、検者端末5により取得されている検者の動画像が、出力制御部201によってリアルタイムで表示される。
【0068】
検者の指示の表示の例を
図6Cに示す。バスの行先を示す文字列「LPH」を被検者に読ませたい場合、検者は、GUIを用いてそのための操作を行う。出力制御部201は、検者端末5から送られた送信情報に基づいて、指示内容を示す指示情報630を表示させる。本例の指示情報630は、文字列「バスの行先を読んで下さい」が記載され、かつ、バスの行先表示を指し示す吹き出し画像である。検者は、このような指示情報630を表示させつつ、音声で指示を行うことも可能である。
【0069】
被検眼Eの視力に関する情報(視力値、屈折度数等)が予め取得された場合、出力制御部201は、この情報に基づいて指示の表示サイズを調整することができる。出力制御部201は、視力値及び/又は屈折度数と、文字及び/又は画像の表示サイズとが関連付けられたテーブル情報を予め記憶している。指示内容に文字列情報や画像情報が含まれているとき、出力制御部201は、被検眼Eの視力値及び/又は屈折度数に関連付けられた表示サイズを選択し、選択された表示サイズで文字列情報や画像情報をLCD214に表示させる。
【0070】
図6Cに示す例では、ポインタ640が更に表示されている。検者は、GUIを用いてポインタ640をリアルタイムで移動させることができる。それにより、例えば、バスの行先表示の位置を示すことが可能である。
【0071】
〈作用・効果〉
実施形態の作用及び効果について説明する。
【0072】
実施形態の眼科検査システムは、複数の眼科検査装置(2−i
n)と、複数の眼科検査装置のいずれかに検査の指示を送信するために検者により使用される検査指示装置(検査端末5)とを含む。
【0073】
検査指示装置は、撮影部(51)と、ユーザインターフェイス(ユーザインターフェイス部52)と、第1通信部(通信部54)とを備える。撮影部は、検者を動画撮影するよう構成される。ユーザインターフェイスは、検査の指示を入力するために用いられる。第1通信部は、撮影部により取得される動画像と、ユーザインターフェイスを用いて入力された指示とを、複数の眼科検査装置のいずれかにリアルタイムで送信するよう構成される。
【0074】
一方、眼科検査装置のそれぞれは、検査光学系(211)と、情報提示光学系(検査光学系211)と、第2通信部(通信部24)と、制御部(20)とを備える。検査光学系は、被検眼に適用される光学素子(212)と、被検眼を検査するための検査光束をこの光学素子を介して被検眼に投射する投射系(213)とを含む。情報提示光学系は、表示部(LCD214)と、この表示部から出力された表示光束を上記光学素子を介して被検眼に導く導光系(投射系213、光学素子212等)とを含む。第2通信部は、検査指示装置から送信された動画像及び指示を受信するよう構成される。制御部は、第2通信部により受信された動画像及び指示を表示部にリアルタイムで表示させるよう構成される。ここで、リアルタイムとは、被検者と検者との間のやりとりを阻害しない程度のタイムラグを許容してよいことを少なくとも意味する。
【0075】
このような実施形態によれば、検査のために適用される光学素子を介して検者の動画像及び指示を被検眼に提示するよう構成されているので、被検者は、顔や視線の向きを変えることなく検者とのインタラクティブなやりとりを行うことができる。
【0076】
上記の典型的な実施形態は、検査光学系の少なくとも一部と情報提示光学系の少なくとも一部とが共通な構成を備える。更に、表示部は、被検眼の検査に用いられる検査情報を表示する。検査情報は、被検眼の視力検査に用いられる視標(ランドルト環、イラストチャート等)を含んでよい。検査光学系の投射系は、検査情報を表示している表示部から出力された検査光束を被検眼に投射するよう構成される。第2通信部が動画像及び指示の少なくとも一方を含む情報を受信したとき、制御部は、受信された情報を検査情報とともに表示部に表示させるよう構成される。
【0077】
検査光学系と情報提示光学系とが別々に配置された例を
図7に示す。眼科検査装置2Aの検査部21Aにおいて、検査光学系は、被検眼Eに適用される光学素子215と、被検眼Eを検査するための検査光束を光学素子215を介して被検眼Eに投射する投射系216とを含む。また、情報提示光学系は、LCD217(表示部)と、LCD217から出力された表示光束を光学素子215を介して被検眼Eに導く導光系218とを含む。検査光学系の光路と情報提示光学系の光路とは、ビームスプリッタ219によって合成されている。ビームスプリッタ219は、例えば、ハーフミラー、ダイクロイックミラー又は偏光ビームスプリッタである。なお、検査部21以外の構成要素については
図2におけるそれらと同様であってよい。
【0078】
図2のように検査光学系と情報提示光学系とを共通に構成するか、或いは、
図7のようにこれらを個別に構成するかは、例えば眼科検査装置が備える機能に応じて決定される。
【0079】
実施形態において、眼科検査装置の制御部は、予め取得された被検眼の視力値及び屈折度数の少なくとも一方に基づいて、検者の指示の表示サイズを設定するよう構成されてよい。なお、検査指示装置(検者端末)や管理サーバが表示サイズを設定し、その設定情報を眼科検査装置に送信するように構成することも可能である。実施形態はこのような構成も含むと解釈される。
【0080】
このように被検眼の視力値や屈折度数に応じて指示の表示サイズを調整可能に構成することで、被検者は指示の内容を正しくかつ容易に把握することができる。
【0081】
実施形態において、眼科検査装置の制御部は、検者からの指示として、被検眼の検査を支援するための文字列情報及び画像情報の少なくとも一方を表示させるよう構成されてよい。これに代えて、又はこれに加えて、眼科検査装置のそれぞれが、音声情報を出力する音声出力部(音声出力装置233)を備え、検者からの指示が音声情報を含む場合、制御部がこの音声情報を音声出力部にリアルタイムで出力させるよう構成されてよい。このような構成によれば、被検者に対して様々な方法で指示を伝えることができる。
【0082】
実施形態において、眼科検査装置のそれぞれは、被検者のメッセージを入力するための入力部(操作装置232、音声入力装置234等)を備えてよい。このメッセージは、文字列情報、画像情報、音声情報など、任意の態様であってよい。第2通信部(通信部24)は、入力されたメッセージを検査指示装置(検査端末5)にリアルタイムで送信するよう構成される。検査指示装置の第1通信部(通信部54)は、眼科検査装置から送信されたメッセージを受信し、ユーザインターフェイス(表示装置521、音声出力装置523等)が、受信されたメッセージをリアルタイムで出力するよう構成される。
【0083】
このような構成によれば、被検者のメッセージをリアルタイムで検者に伝達することができる。それにより、両者の間のインタラクティブなやりとりの好適化を図ることが可能となる。
【0084】
実施形態において、眼科検査装置のそれぞれは、被検眼の検査の状況を表す検査状況情報を生成する情報生成部(検査状況情報生成部22)を備えてよい。第2通信部(通信部24)は、生成された検査状況情報を検査指示装置(検者端末5)にリアルタイムで送信するよう構成される。検査指示装置の第1通信部(通信部54)は、眼科検査装置から送信された検査状況情報を受信し、ユーザインターフェイス(表示装置521等)が、受信された検査状況情報をリアルタイムで出力するよう構成される。
【0085】
このような構成によれば、検者は、被検者の状態や検査の状態をリアルタイムで把握することができる。それにより、より適正なアシストを提供することが可能となる。
【0086】
実施形態の眼科検査システムは、複数の眼科検査装置のいずれかの近傍にて使用可能な情報処理装置(3)を含んでいてよい。情報処理装置は、検査指示装置(検者端末5)から送信された動画像及び指示の少なくとも一方を含む情報を通信装置(通信部32)により受信し、受信された情報を表示装置(311)によりリアルタイムで表示するよう構成される。
【0087】
このような構成によれば、被検者を検査の現場でアシストする者に対し、検者の指示を提供することができる。すなわち、遠隔地から被検者をアシストする検者と、検査現場で被検者をアシストする者とが、指示内容を共有することができる。それにより、より適正なアシストを提供することが可能となる。
【0088】
上記の実施形態では、検者の動画像と指示の双方を被検者に提供しているが、検者の指示のみを被検者に提供するように構成することが可能である。この場合、
図4に示す検者端末5の構成要素のうちの撮影部51を設ける必要がない。更に、
図6B及び
図6Cに示す検者画像表示領域620をLCD214に表示させる必要もない。また、検者端末5に撮影部51を設けるとともに、検者の動画像の提示の有無を任意に切り替えられるように構成することも可能である。少なくとも検者の指示を被検者に提供する場合の典型的な実施形態は次のような構成となる。
【0089】
実施形態の眼科検査システムは、複数の眼科検査装置(2−i
n)と、複数の眼科検査装置のいずれかに検査の指示を送信するために検者により使用される検査指示装置(検査端末5)とを含む。
【0090】
検査指示装置は、ユーザインターフェイス(ユーザインターフェイス部52)と、第1通信部(通信部54)とを備える。ユーザインターフェイスは、検査の指示を入力するために用いられる。第1通信部は、ユーザインターフェイスを用いて入力された指示を複数の眼科検査装置のいずれかにリアルタイムで送信するよう構成される。なお、本実施形態の検査指示装置は撮影部(51)を備えていなくてもよい。
【0091】
一方、眼科検査装置のそれぞれは、検査光学系(211)と、情報提示光学系(検査光学系211)と、第2通信部(通信部24)と、制御部(20)とを備える。検査光学系は、被検眼に適用される光学素子(212)と、被検眼を検査するための検査光束をこの光学素子を介して被検眼に投射する投射系(213)とを含む。情報提示光学系は、表示部(LCD214)と、この表示部から出力された表示光束を上記光学素子を介して被検眼に導く導光系(投射系213、光学素子212等)とを含む。第2通信部は、検査指示装置から送信された指示を受信するよう構成される。制御部は、第2通信部により受信された指示を表示部にリアルタイムで表示させるよう構成される。
【0092】
検者の指示の入力態様、送信態様、受信態様及び出力態様はそれぞれ任意であるが、少なくとも上記の実施形態と同様であってよい。
【0093】
このような実施形態によっても、検査のために適用される光学素子を介して検者の指示を被検眼に提示することができるので、被検者は、顔や視線の向きを変えることなく検者とのインタラクティブなやりとりを行うことが可能である。
【0094】
以上に説明した実施形態は本発明の典型的な例示に過ぎない。よって、本発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。