特許第6563796号(P6563796)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6563796封止構造、有機EL表示装置、及びセンサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563796
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】封止構造、有機EL表示装置、及びセンサ
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/04 20060101AFI20190808BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20190808BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20190808BHJP
   H01L 23/10 20060101ALI20190808BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20190808BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H05B33/04
   H05B33/14 A
   H05B33/02
   H01L23/10 B
   H01L27/32
   G09F9/30 365
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-236594(P2015-236594)
(22)【出願日】2015年12月3日
(65)【公開番号】特開2017-103150(P2017-103150A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】白神 崇生
【審査官】 ▲うし▼田 真悟
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−119705(JP,A)
【文献】 特開2003−168556(JP,A)
【文献】 特開2010−021514(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/154947(WO,A1)
【文献】 特開昭63−128090(JP,A)
【文献】 特開2012−023038(JP,A)
【文献】 特開2005−276804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00−33/28
H01L 27/32
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を有する第1基板と、
前記第1主面上であって、前記第1基板の縁に沿って設けられる枠状の第1金属層と、
前記第1金属層上に設けられる枠状の接着層と、
前記接着層よりも上方に位置し、前記第1主面に対向する第2主面を有する第2基板と、
前記第1主面上であって、前記第1基板、前記第1金属層、前記接着層、及び前記第2基板に囲まれて封止された封止空間内に設けられる素子部と、
前記第2主面上に設けられる枠状の第2金属層と、
を備え、
前記接着層は、炭化水素系樹脂又は無極性熱可塑性樹脂を含有する共に前記第1金属層及び前記第2金属層に接着
前記第1金属層において前記接着層が接着する面は、凸部及び凹部が設けられた凹凸面である、
封止構造。
【請求項2】
第1主面を有する第1基板と、
前記第1主面上であって、前記第1基板の縁に沿って設けられる枠状の第1金属層と、
前記第1金属層上に設けられる枠状の接着層と、
前記接着層よりも上方に位置し、前記第1主面に対向する第2主面を有する第2基板と、
前記第1主面上であって、前記第1基板、前記第1金属層、前記接着層、及び前記第2基板に囲まれて封止された封止空間内に設けられる素子部と、
を備え、
前記第2基板は、金属基板であり、
前記接着層は、炭化水素系樹脂又は無極性熱可塑性樹脂を含有する共に前記第1金属層及び前記第2主面に接着し、
前記第1金属層において前記接着層が接着する面は、凸部及び凹部が設けられた凹凸面である、
封止構造。
【請求項3】
前記凸部の平均ピッチは10nm以上1μm以下であり、前記凹部に対する前記凸部の平均高さは50nm以上1μm以下である、請求項1又は2に記載の封止構造。
【請求項4】
前記接着層は、前記炭化水素系樹脂から構成され、
前記炭化水素系樹脂は、オレフィン樹脂である、請求項1〜のいずれか一項に記載の封止構造。
【請求項5】
前記接着層は、前記無極性熱可塑性樹脂から構成され、
前記無極性熱可塑性樹脂は、フッ素系樹脂である、請求項1〜のいずれか一項に記載の封止構造。
【請求項6】
前記第1基板は、ガラス基板、セラミックス基板、又は半導体基板である、請求項1〜のいずれか一項に記載の封止構造。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載の封止構造を備え、
前記素子部は有機EL素子を有する、有機EL表示装置。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか一項に記載の封止構造を備え、
前記素子部はセンサ素子を有する、センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封止構造、有機EL表示装置、及びセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置として、有機EL材料(EL:Electro-Luminescence)を含有する有機EL素子を用いた自発光型表示装置が脚光を浴びている。この有機EL素子は水分の浸入により劣化するため、当該有機EL素子には外気から保護される工夫が施される。例えば、下記特許文献1には、ガラス基板上に設けられる有機EL素子を、紫外線硬化型樹脂から構成される接着剤と、封止基板とを用いて封止する封止構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−152511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の接着剤として、エポキシ樹脂が用いられる。接着剤がエポキシ樹脂等の極性基を有する樹脂から構成される場合、当該接着剤内に水分が拡散しやすい。このため、上記特許文献1の封止構造においては、水分が接着剤を介して封止された領域内に浸入するおそれがある。一方、極性基を有さない樹脂等から構成される接着剤を用いると、基板を構成する材料によっては接着剤が当該基板に良好に接着しないことがある。この場合、基板が接着剤から剥離してしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、基板の剥離及び水分の浸入を抑制できる封止構造、有機EL表示装置、及びセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る封止構造は、第1主面を有する第1基板と、第1主面上であって、第1基板の縁に沿って設けられる枠状の第1金属層と、第1金属層上に設けられる枠状の接着層と、接着層よりも上方に位置し、第1主面に対向する第2主面を有する第2基板と、第1主面上であって、第1基板、第1金属層、接着層、及び第2基板に囲まれて封止された封止空間内に設けられる素子部と、を備え、接着層は、炭化水素系樹脂又は無極性熱可塑性樹脂を含有すると共に第1金属層に接着する。
【0007】
この封止構造では、接着層は、極性基を有しない炭化水素系樹脂又は無極性熱可塑性樹脂を含有するため、当該接着層内に水分が拡散しにくくなる。したがって、第1基板、第1金属層、接着層、及び第2基板に囲まれて封止された封止空間内に設けられる素子部に水分が浸入しにくくなる。また、接着層は第1金属層に接着する。一般に、炭化水素系樹脂又は無極性熱可塑性樹脂から構成される接着層は、金属に対して良好な接着性を示す。このため、例えば接着層が第1基板に接着しにくい場合であっても、当該接着層は第1主面上に設けられる第1金属層に良好に接着するので、第1基板が接着層から剥離することを抑制できる。
【0008】
また、上記封止構造は、第2主面上に設けられる枠状の第2金属層をさらに備え、接着層は、第2金属層に接着してもよい。この場合、例えば接着層が第2基板に接着しにくい場合であっても、当該接着層は第2主面上に設けられる第2金属層に良好に接着するので、第2基板が接着層から剥離することを抑制できる。
【0009】
また、第2基板は、金属基板であり、接着層は、第2主面に接着してもよい。この場合、接着層は第2主面と良好に接着し、第2基板が接着層から剥離することを抑制できる。
【0010】
また、第1金属層において接着層が接着する面は、凸部及び凹部が設けられた凹凸面であってもよい。この場合、接着層と第1金属層との界面の面積が大きくなる。これにより、外部から封止空間までの当該界面を介した距離が長くなる。したがって、水分が当該界面を介して浸入しにくくなる。加えて、接着層が第1金属層に接触する面積が増加し、第1金属層に対する接着層の接着力が向上する。
【0011】
また、凸部の平均ピッチは10nm以上1μm以下であり、凹部に対する凸部の平均高さは50nm以上1μm以下であってもよい。この場合、水分が当該界面を介してより一層浸入しにくくなる。
【0012】
また、接着層は、炭化水素系樹脂から構成され、炭化水素系樹脂は、オレフィン樹脂であってもよい。
【0013】
また、接着層は、無極性熱可塑性樹脂から構成され、無極性熱可塑性樹脂は、フッ素系樹脂であってもよい。
【0014】
また、第1基板は、ガラス基板、セラミックス基板、又は半導体基板であってもよい。この場合、接着層は第1基板に接着しにくくなる。しかしながら、接着層は第1主面上に設けられる第1金属層に良好に接着するので、第1基板が接着層から剥離することを抑制できる。
【0015】
本発明の他の一態様に係る有機EL表示装置は、上記段落のいずれかに記載の封止構造を備え、素子部は有機EL素子を有する。
【0016】
この有機EL表示装置では、封止構造内に有機EL素子が設けられており、接着層は極性基を有しない炭化水素系樹脂又は無極性熱可塑性樹脂を含有するため、当該接着剤内に水分が拡散しにくくなる。したがって、第1基板、第1金属層、接着層、及び第2基板に囲まれて封止された空間内に設けられる有機EL素子に水分が浸入しにくくなる。また、接着層は第1金属層に接着する。一般に、炭化水素系樹脂又は無極性熱可塑性樹脂から構成される接着層は、金属に対して良好な接着性を示す。このため、例えば接着層が第1基板に接着しにくい場合であっても、当該接着層は第1主面上に設けられる第1金属層に良好に接着するので、第1基板が接着層から剥離することを抑制できる。
【0017】
本発明の他の一態様に係るセンサは、上記段落のいずれかに記載の封止構造を備え、素子部はセンサ素子を有する。
【0018】
このセンサでは、封止構造内にセンサ素子が設けられており、接着層は極性基を有しない炭化水素系樹脂又は無極性熱可塑性樹脂を含有するため、当該接着剤内に水分が拡散しにくくなる。したがって、第1基板、第1金属層、接着層、及び第2基板に囲まれて封止された空間内に設けられるセンサ素子に水分が浸入しにくくなる。また、接着層は第1金属層に接着する。一般に、炭化水素系樹脂又は無極性熱可塑性樹脂から構成される接着層は、金属に対して良好な接着性を示す。このため、例えば接着層が第1基板に接着しにくい場合であっても、当該接着層は第1主面上に設けられる第1金属層に良好に接着するので、第1基板が接着層から剥離することを抑制できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、基板の剥離及び水分の浸入を抑制できる封止構造、有機EL表示装置、及びセンサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態に係る封止構造を示す概略平面図である。
図2図2は、図1のα−α線断面図である。
図3図3は、第1変形例に係る封止構造を示す概略断面図である。
図4図4(a)は、第2変形例に係る封止構造の封止部を示す概略拡大断面図であり、図4(b)は、第3変形例に係る封止構造の封止部を示す概略拡大断面図である。
図5図5は、実施例に係る封止構造を示す概略断面図である。
図6】実施例1,2及び比較例の乾燥剤の重量変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0022】
図1は、実施形態に係る封止構造を示す概略平面図である。図2は、図1のα−α線断面図である。図1及び図2に示されるように、封止構造1は、主面(第1主面)2aを有する第1基板2、第1基板2上に設けられる枠状の封止部3、封止部3よりも上方に位置すると共に主面2aに対向する主面(第2主面)4aを有する第2基板4、第1基板2と封止部3と第2基板4とに囲まれて封止された封止空間S内に設けられる素子部5、及び封止空間S内に設けられる乾燥剤6を備えている。
【0023】
第1基板2は、平面視にて略矩形状を有する基板である。したがって、第1基板2の主面2aは、略矩形状を有する。第1基板2としては、例えばガラス基板、セラミックス基板、又は半導体基板が用いられる。また、第1基板2は光透過性及び可撓性等を有してもよい。本実施形態では、第1基板2としてガラス基板が用いられる。
【0024】
封止部3は、第1基板2と第2基板4とを接合する部分である。封止部3は、第1基板2の主面2a上であって、当該第1基板2の縁に沿って設けられる。封止部3は、主面2a上に設けられる枠状の第1金属層11と、第1金属層11上に設けられる枠状の接着層12と、接着層12上に設けられると共に第1金属層11に対向する第2金属層13とを有する。封止部3において、第2金属層13に対向する第1金属層11の対向面11aと、接着層12の第1金属層11に対向する主面12aとは互いに隙間なく密着している。また、第1金属層11に対向する第2金属層13の対向面13aと、接着層12の第2金属層13に対向する主面12bとは互いに隙間なく密着している。
【0025】
第1金属層11は、第1基板2の主面2aの縁に沿って設けられると共に枠形状を有する。第1金属層11は、例えば主面2a上に設けられた金属膜を枠状にパターニングすることによって形成される。この金属膜は、例えば真空蒸着法又はスパッタリング等によって形成される。第1金属層11は、例えばモリブデン層、ニオブ層、アルミニウム層、ニッケル層、又はクロム層等の種々の金属層である。第1金属層11は、単層構造でもよいし積層構造でもよい。第1金属層11の厚さは、例えば50nm以上である。また、第1金属層11の幅は、例えば1μm以上2mm以下であり、100μm以上1mm以下が好ましい。
【0026】
接着層12は、第1金属層11及び第2金属層13に接着する接着剤から構成される枠状の層である。接着層12に含まれる接着剤は、加熱により溶融して接着性を発揮し、ヒドロキシル基及びカルボキシル基等の極性基を有さない有機化合物を含有する。このような有機化合物として、例えばオレフィン樹脂等の炭化水素系樹脂、又は、フッ素系樹脂等の無極性熱可塑性樹脂が用いられる。本実施形態では、接着層12としてオレフィンフィルムが用いられる。接着層12の厚さは、例えば50μm以上300μm以下である。また、接着層12の幅は、例えば1μm以上2mm以下であり、100μm以上1mm以下が好ましい。
【0027】
本実施形態では、接着層12の縁は、第1金属層11の縁及び第2金属層13の縁からはみ出ているが、接着層12の縁は第1金属層11の縁及び第2金属層13の縁と揃ってもよい。なお、接着層12において第1金属層11に接する主面12a及び第2金属層13に接する主面12bの少なくとも何れかには、第1金属層11上に配置される前に大気圧プラズマ処理が施されてもよい。大気圧プラズマ処理とは、例えば接着層12に対してプラズマ化したガスを照射する処理である。プラズマ化するガスとして、例えばヘリウムガスが用いられる。接着層12に大気圧プラズマ処理を行うことにより、接着層12においてプラズマ化したガスが照射された表面は活性化する。接着層12における活性化した表面を接着面とすることで、当該表面と、第1金属層11及び第2金属層13の少なくとも何れかとは、化学的接着により強固に接合する。なお、上述した活性化とは、表面にダングリングボンド(未結合手)を生成すること、又は当該表面にラジカルを発生させることである。また、接着層12には、大気圧プラズマ処理の代わりにオゾンガスが照射されてもよい。
【0028】
第2金属層13は、第2基板4の主面4aの縁に沿って設けられると共に枠形状を有する。第2金属層13は、例えば主面4a上に設けられた金属膜を枠状にパターニングすることによって形成される。この金属膜は、例えば真空蒸着法又はスパッタリング等によって形成される。第2金属層13は、例えばモリブデン層、ニオブ層、アルミニウム層、ニッケル層、又はクロム層等の種々の金属層である。第2金属層13は、単層構造でもよいし積層構造でもよい。第2金属層13の厚さは、例えば50nm以上である。また、第2金属層13の幅は、例えば1μm以上2mm以下であり、100μm以上1mm以下が好ましい。本実施形態では、第2金属層13の幅は、第1金属層11の幅と揃っているが、第1金属層11の幅と異なってもよい。
【0029】
第2基板4は、平面視にて略矩形状を有する基板である。したがって、第2基板4の主面4aは、略矩形状を有する。上述したように主面4aは第1基板2の主面2aと対向している。また、主面4aは主面2aと略同一形状となっている。このため、当該主面4a上に設けられる第2金属層13は、第1金属層11に対向すると共に接着層12に接着するように位置する。第2基板4としては、例えばガラス基板、セラミックス基板、プラスチック基板、又は金属基板が用いられる。また、第2基板4は光透過性及び可撓性等を有してもよい。第2基板4がプラスチック基板である場合、例えば耐熱性を有するポリイミド基板等が用いられる。なお、金属基板は、少なくとも金属元素を含む基板であり、合金から構成される基板でもよい。また、金属基板は、金属又は合金を主成分とする基板であってもよい。金属基板として、例えば銅板、モリブデン板、又はステンレス板等が用いられる。本実施形態では、第2基板4としてガラス基板が用いられる。
【0030】
素子部5は、封止空間S内であって、第1基板2の主面2a上に形成される電気素子、配線、電子回路、及び電子部品等を有する。電気素子は、電気が供給されることにより何らかの機能を発揮するものであり、例えば発光素子及びセンサ素子等のいずれか一つを有する。電子回路は、例えば電気素子を駆動させるために動作する回路である。この電子回路は、例えば主面2a上に形成された抵抗、トランジスタ、及びキャパシタ等によって構成される。電子部品は、例えば集積回路等である。本実施形態では、素子部5内に水分の浸入によって劣化しやすい素子として一又は複数の有機EL素子が形成されている。したがって、封止構造1は有機EL表示装置となる。
【0031】
乾燥剤6は、封止空間S内の水分を吸着するものである。乾燥剤6は、封止空間S内であって、第2基板4の主面4a上に形成されている。乾燥剤6は、シート状又は粉体状等の固体、又はゲル状である。乾燥剤6は、無機物でもよく有機物でもよい。また、第2基板4が光透過性を備える場合、乾燥剤6は光透過性を備えてもよい。光透過性を備える乾燥剤としては、直鎖状又は環状の有機金属化合物が用いられる。この有機金属化合物は、例えばアルミニウム、ランタン、イットリウム、ガリウム、シリコン、又はゲルマニウムのいずれかを含む。
【0032】
以上に説明した本実施形態に係る封止構造1によれば、接着層12は炭化水素系樹脂から構成されるオレフィンフィルムである。これにより、接着層12は極性基を有しないため、当該接着層12内に水分が拡散しにくくなる。したがって、第1基板2と、第1金属層11、接着層12、及び第2金属層13を有する封止部3と、第2基板4とに囲まれて封止された封止空間S内に設けられる素子部5に水分が浸入しにくくなる。また、接着層12は第1金属層11及び第2金属層13に接着する。一般に、炭化水素系樹脂から構成される接着層12は、金属に対して良好な接着性を示す。このため、例えば接着層12が第1基板2及び第2基板4の一方又は両方に接着しにくい場合であっても、当該接着層12は主面2a上に設けられる第1金属層11と良好に接着するので、第1基板2が接着層12から剥離することを抑制できる。加えて、接着層12は、主面4a上に設けられる第2金属層13と良好に接着するので、第2基板4が接着層12から剥離することを抑制できる。
【0033】
また、第1基板2は、ガラス基板、セラミックス基板、又は半導体基板であってもよい。この場合、接着層12は第1基板2に接着しにくくなる。しかしながら、接着層12は主面2a上に設けられる第1金属層11に良好に接着するので、第1基板2が接着層12から剥離することを抑制できる。
【0034】
また、封止空間S内には乾燥剤6が設けられてもよい。この場合、封止空間S内の水分が乾燥剤6によって吸着されるので、素子部5に水分が好適に浸入しにくくなる。
【0035】
以下では、上記実施形態の第1変形例〜第3変形例を説明する。第1〜第3変形例の説明では、上記実施形態と異なる点について主に説明する。
【0036】
図3は、第1変形例に係る封止構造を示す概略断面図である。図3に示されるように、封止構造1Aの第2基板4Aは、金属基板である。また、封止部3Aは、第1金属層11及び接着層12のみを有している。したがって、第2基板4Aの主面4aには第2金属層13が設けられておらず、主面4aが接着層12に直接接着している。
【0037】
このような第1変形例によれば、接着層12は、金属基板である第2基板4Aに対して良好な接着性を示す。したがって、上記実施形態と同様に、第2基板4Aが接着層12から剥離することを抑制できるという作用効果が奏される。加えて、封止部3Aは第2金属層13を有さなくてもよいので、当該封止部3Aを簡易に形成できる。
【0038】
図4(a)は、第2変形例に係る封止構造の封止部を示す概略拡大断面図である。図4(a)に示されるように、封止構造1Bの封止部3において、第1金属層11Aの対向面11aは、複数の凸部21及び複数の凹部22が設けられた凹凸面である。凸部21及び凹部22は、例えば硫酸加水等のエッチャントを用いたウェットエッチング、又はRIE(反応性イオンエッチング)等のドライエッチングによって得られる。凸部21の高さ、凹部22の深さ、及び凸部21同士のピッチ等は、それぞれ均一であってもよいし、それぞれ不均一でもよい。また、第1金属層11Aの一部の領域に凸部21及び凹部22が密集してもよいし、凸部21及び凹部22が散在してもよい。
【0039】
隣接する凸部21同士の平均ピッチP1は、10nm以上1μm以下である。この平均ピッチP1は、隣接する凸部21の頂点同士の平面視における平均距離である。また、凹部22に対する凸部21の平均高さH1は、50nm以上1μm以下である。平均高さH1は、凹部22の底点から凸部21の頂点までの平均高さである。凸部21及び凹部22は、第1金属層11Aの幅方向に沿って延在すると共に平均高さH1の中心を通過する中心線C1を基準として定められる。具体的には、第1金属層11Aの厚さ方向において、中心線C1よりも第2基板4側を凸部21とし、中心線C1よりも第1基板2側を凹部22とする。なお以下では、第1金属層11Aの幅方向を単に幅方向とし、第1金属層11Aの厚さ方向を単に厚さ方向とする。
【0040】
第1金属層11Aと同様に、第2金属層13Aの対向面13aは、複数の凸部31及び複数の凹部32が設けられた凹凸面である。凸部31及び凹部32は、凸部21及び凹部22と同様に、例えばウェットエッチング又はドライエッチングによって得られる。このため、凸部31の高さ、凹部32の深さ、及び凸部31同士のピッチ等は、それぞれ均一であってもよいし、それぞれ不均一でもよい。隣接する凸部31同士の平均ピッチP2は、10nm以上1μm以下である。この平均ピッチP2は、隣接する凸部31の頂点同士の平面視における平均距離である。また、凹部32に対する凸部31の平均高さH2は、50nm以上1μm以下である。平均高さH2は、凹部32の底点から凸部31の頂点までの平均高さである。凸部31及び凹部32は、幅方向に沿って延在すると共に平均高さH2の中心を通過する中心線C2を基準として定められる。具体的には、厚さ方向において、中心線C2よりも第1基板2側を凸部31とし、中心線C2よりも第2基板4側を凹部32とする。
【0041】
このような第2変形例においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。また、接着層12が接着する対向面11aは、凸部21及び凹部22が交互に連続して設けられた凹凸面である。この場合、接着層12の主面12aと対向面11aとの界面の面積が大きくなる。これにより、外部から封止空間Sまでの当該界面を介した距離が長くなる。したがって、水分が上記界面を介して浸入しにくくなる。加えて、接着層12が第1金属層11Aに接触する面積が増加し、第1金属層11Aに対する接着層12の接着力が向上する。
【0042】
また、平均ピッチP1及び平均高さH1が上記範囲に定められることにより、接着層12の主面12aと第1金属層11Aの対向面11aとの界面を介した水分の浸入が、より好適に抑制される。
【0043】
さらには、第1金属層11Aと同様に、接着層12が接着する対向面13aは、凸部31及び凹部32が交互に連続して設けられた凹凸面である。このため、接着層12の主面12bと対向面13aとの界面の面積が大きくなる。これにより、外部から封止空間Sまでの当該界面を介した距離が長くなる。したがって、水分が上記界面を介して浸入しにくくなる。加えて、接着層12が第2金属層13Aに接触する面積が増加し、第2金属層13Aに対する接着層12の接着力が向上する。加えて、平均ピッチP2及び平均高さH2が上記範囲に定められることにより、主面12bと対向面13aとの界面を介した水分の浸入が、より好適に抑制される。
【0044】
第2変形例においては、凸部21と凹部32とが互いに対向しており、凹部22と凸部31とが互いに対向している。この場合、接着層12の偏在が抑制されるので、第1金属層11Aと接着層12との剥離が抑制されると共に、第2金属層13Aと接着層12との剥離が抑制される。しかしながら、凸部21と凸部31とが互いに対向してもよいし、凹部22と凹部32とが互いに対向してもよい。
【0045】
図4(b)は、第3変形例に係る封止構造の封止部を示す概略拡大断面図である。図4(b)に示されるように、封止構造1Cの第2基板4Bは、金属基板である。また、封止部3Aは、第1金属層11A及び接着層12のみを有している。したがって、第2基板4Aの主面4aには第2金属層13が設けられておらず、主面4aが接着層12に直接接着している。
【0046】
第2基板4Bの主面4aにおいて、接着層12が接着する領域4bは、複数の凸部41及び複数の凹部42が設けられた凹凸面である。凸部41及び凹部42は、凸部21及び凹部22と同様に、例えばウェットエッチング又はドライエッチングによって得られる。このため、凸部41の高さ、凹部42の深さ、及び凸部41同士のピッチ等は、それぞれ均一であってもよいし、それぞれ不均一でもよい。隣接する凸部41同士の平均ピッチP3は、10nm以上1μm以下である。この平均ピッチP3は、隣接する凸部41の頂点同士の平面視における平均距離である。また、凹部42に対する凸部41の平均高さH3は、50nm以上1μm以下である。平均高さH3は、凹部42の底点から凸部41の頂点までの平均高さである。凸部41及び凹部42は、幅方向に沿って延在すると共に平均高さH3の中心を通過する中心線C3を基準として定められる。具体的には、厚さ方向において中心線C3よりも第1基板2側を凸部41とし、中心線C3よりも第2基板4B側を凹部42とする。
【0047】
このような第3変形例においても、上記第2変形例と同様の作用効果が奏される。加えて第3変形例においては、第1変形例と同様に、封止部3Aは第2金属層13を有さなくてもよいので、当該封止部3Aを簡易に形成できる。
【0048】
また、平均ピッチP3及び平均高さH3が上記範囲に定められることにより、接着層12の主面12aと第2基板4Bの主面4aとの界面を介した水分の浸入が、より好適に抑制される。
【0049】
第3変形例においては、凸部21と凹部42とが互いに対向しており、凹部22と凸部41とが互いに対向している。この場合、接着層12の偏在が抑制されるので、第1金属層11Aと接着層12との剥離が抑制されると共に、第2基板4Bと接着層12との剥離が抑制される。しかしながら、凸部21と凸部41とが互いに対向してもよいし、凹部22と凹部42とが互いに対向してもよい。
【0050】
本発明による封止構造は、上述した実施形態及び変形例に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、本発明の素子部5は、表示素子の代わりにMEMS等のセンサ素子を有してもよい。この場合、上記封止構造はセンサとなる。また、素子部5は、表示素子及びセンサ素子の両方を有してもよく、その他の有機エレクトロニクス(有機半導体素子又は色素増感型太陽電池等)を有してもよい。
【0051】
また、上記実施形態及び上記変形例において、接着層12は枠状に成形されたフィルムでなくてもよい。例えば、接着層12は液体状の接着剤を硬化した部材でもよい。この場合、例えば第1金属層上に接着剤を塗布し、第2金属層を当該接着剤に接合させる。そして、熱処理などによって接着剤を硬化させてもよい。また、接着層12には、接着剤に加えて種々の添加物が含有されてもよい。例えば、添加物として無機フィラー又は界面活性剤が挙げられる。無機フィラーを含有する接着層12内には、水分がより拡散しにくくなる。界面活性剤を含有する接着層12と第1金属層との界面、及び当該接着層12の第2金属層との界面には、水分がより浸入しにくくなる。なお、接着層12がフッ素系樹脂等の無極性熱可塑性樹脂から構成される場合であっても、上記実施形態及び上記変形例と同様の効果が奏される。
【0052】
また、第2変形例において、第1金属層11Aの対向面11aと、第2金属層13Aの対向面13aとのいずれか一方のみが凹凸面であってもよい。同様に、第3変形例において、第2基板4Bの領域4bのみが凹凸面であってもよい。なお、第3変形例の領域4bは、主面4a全体に形成されてもよい。換言すると、主面4a全体に凸部41及び凹部42が交互に連続して形成されてもよい。
【0053】
また、上記第2変形例において、平均ピッチP1,P2及び平均高さH1,H2の少なくとも一つが上記範囲に定められてもよい。同様に、上記第3変形例において、平均ピッチP1,P3及び平均高さH1,H3の少なくとも一つが上記範囲に定められてもよい。
【実施例】
【0054】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0055】
(実施例1)
図5は、実施例に係る封止構造を示す概略断面図である。図5に示されるように、主面2aの中央部に窪み51が設けられた第1基板2Aと、当該窪み51に対向する主面4aを有する第2基板4とを、枠状の封止部3によって接着された封止構造101を準備した。この封止構造101の準備方法を以下にて説明する。
【0056】
まず、主面2aの中央部に窪み51が設けられた第1基板2Aと、当該窪み51に対向する主面4aを有する第2基板4とを準備した。次に、主面2a上にモリブデンから構成される金属膜を形成すると共に、主面4a上にモリブデンから構成される金属膜を形成した。次に、上記金属膜をそれぞれパターニングし、主面2aの縁に沿った枠状の第1金属層11を形成すると共に、主面4aの縁に沿った枠状の第2金属層13を形成した。次に、第1基板2Aを50%aqの硫酸加水に10分浸漬させることにより、対向面11aが凹凸面である第1金属層11Aを形成した。同様に、第2基板4を50%aqの硫酸加水に10分浸漬させることにより、対向面13aが凹凸面である第2金属層13Aを形成した。次に、露点−70℃のグローブボックス内で窪み51に乾燥剤52であるシート状の酸化カルシウム(CaO)を約100mg充填した。次に、シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製ZEONOR、登録商標)を枠状に成形したフィルム状の接着層12を用いて、第1基板2Aと第2基板4とを仮止めした。このとき、第1金属層11Aの対向面11aと、第2金属層13Aの対向面13aとによって、接着層12を挟持した。そして、不活性ガス中且つ160℃以上の条件下で熱処理を行った。これにより接着層12を第1金属層11A及び第2金属層13Aに融着させ、封止構造101を得た。
【0057】
(実施例2)
フィルム状の接着層12に対して予め大気圧プラズマ処理を施した以外は実施例1と同様の手法により、封止構造を準備した。大気圧プラズマ処理では、まず周波数が10kHzである10kVの交流電圧をヘリウムガスに印加し、当該ヘリウムガスをプラズマ化した。そしてこのプラズマ化したヘリウムを大気中にジェット噴出させ、接着層12の表面に照射した。
【0058】
(比較例)
封止部3の代わりに、エポキシ樹脂系接着剤(ナガセケムテックス株式会社製XNR5516)を用いて第1基板2Aと第2基板4とを接合し、封止構造を得た。本比較例では、第1基板2Aの主面2aに第1金属層11を形成せず、第2基板4の主面4aに第2金属層13を形成しなかった。したがって本比較例では、第1基板2A及び第2基板4は、硫酸加水に浸漬していない。
【0059】
(高温高湿試験)
実施例1の封止構造101、実施例2の封止構造、及び比較例の封止構造のそれぞれに対して高温高湿試験を行い、各封止構造内に充填された乾燥剤の重量変化を測定した。高温高湿試験では、温度を85℃に設定し、湿度85%に設定した条件下に各封止構造を300時間静置した。
【0060】
図6は、実施例1,2及び比較例の乾燥剤の重量変化を示すグラフである。図6において、縦軸は乾燥剤の水分増加量を示し、横軸は試験時間を示している。また、グラフ61は実施例1の測定結果を示し、グラフ62は実施例2の測定結果を示し、グラフ63は比較例の測定結果を示している。比較例においては、高温高湿試験を300時間行った場合、乾燥剤の重量が約0.00025g(0.25mg)増加していた。これに対して、実施例1においては、乾燥剤の重量が約0.0001g(0.1mg)増加していた。また、実施例2においては、乾燥剤の重量の増加が確認されなかった。このため、大気圧プラズマ処理済の接着層12が用いられた実施例2の封止構造は、最も水分が封止空間S内に浸入しにくいことが確認された。
【符号の説明】
【0061】
1,1A〜1C,101…封止構造、2,2A…第1基板、2a…主面(第1主面)、3,3A…封止部、4,4A,4B…第2基板、4a…主面(第2主面)、5…素子部、11,11A…第1金属層、11a…対向面、12…接着層、13,13A…第2金属層、21,31,41…凸部、22,32,42…凹部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6