(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563799
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】自動車運搬用車両における積降道板の収納引出構造
(51)【国際特許分類】
B60P 1/43 20060101AFI20190808BHJP
B60P 3/08 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
B60P1/43 A
B60P3/08
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-246542(P2015-246542)
(22)【出願日】2015年12月17日
(65)【公開番号】特開2017-109651(P2017-109651A)
(43)【公開日】2017年6月22日
【審査請求日】2018年8月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236551
【氏名又は名称】株式会社浜名ワークス
(74)【代理人】
【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑
(74)【代理人】
【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭
(74)【代理人】
【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 盛信
【審査官】
川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−077534(JP,U)
【文献】
特開平04−154443(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0139281(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/43
B60P 3/07 − 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左積降道板及び右積降道板と、自動車運搬用車両における下段デッキの幅方向中央部の下側位置に、前記左積降道板及び右積降道板を、車体幅方向に並べて水平に収納する道板収納部と、車両後方から見て、前記道板収納部の幅方向両側に、積降される自動車の車輪に対応する位置で、車体後端面に、且つ、車体幅方向に水平に設けられた、左道板掛け及び右道板掛けと、を有してなり、
前記左積降道板及び右積降道板は、車体前後方向の前端に、前記左道板掛け及び右道板掛けに上方から引掛けられる引掛けフック部を各々有し、
前記左道板掛け及び右道板掛けは、車体前後方向の鉛直断面において、底壁と、この底壁の車体前後方向後側に立上る後側壁からなるアングル形状であり、内側に車体幅方向のチャネルを構成し、且つ、前記道板収納部から引出された前記左又は右積降道板の前記引掛けフック部が上方から内側に入り込んで掛止め自在とされた自動車運搬用車両における積降道板の収納引出構造であって、
前記左道板掛け及び右道板掛けの間に、該左道板掛け及び右道板掛けと同一の断面形状で、これらと車体幅方向に連続して設けられ、内側に前記左道板掛け及び右道板掛け内のチャネルと車体幅方向に連続するチャネルを形成する中間道板掛けと、
前記左積降道板及び右積降道板の前記引掛けフック部における車体前後方向前側で、車体幅方向両端に取付けられたガイドローラと、を有し
前記ガイドローラの車体幅方向両端間の長さは、前記左積降道板及び右積降道板の車体幅方向の長さ以下とされ、
前記ガイドローラは、前記左及び右道板掛けと前記中間道板掛けにおける前記後側壁に、車体幅方向に転接移動可能なチャネル側壁ローラと、このチャネル側壁ローラの内側に設けられ、前記底壁に車体幅方向に転接移動可能なチャネル底壁ローラと、を備え、
前記左積降道板の前記引掛けフック部は、前記中間道板掛内と前記左道板掛け内との間で、また、前記右積降道板の前記引掛けフック部が、前記中間道板掛内と前記右道板掛け内との間で、前記引掛けフック部が前記チャネル内で、それぞれ車体幅方向移動自在としたことを特徴とする自動車運搬用車両における積降道板の収納引出構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記左積降道板及び右積降道板の前記引掛けフック部の車体前後方向前端には、車体幅方向に長い補強用パイプが設けられ、前記ガイドローラは前記補強用パイプの車体幅方向両端に取付けられたことを特徴とする自動車運搬用車両における積降道板の収納引出構造。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記中間道板掛けの、車体幅方向中央位置には、前記チャネルを車体幅方向に等分する仕切り板を設けたことを特徴とする自動車運搬用車両における積降道板の収納引出構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記左道板掛けの車体幅方向左側端から少なくとも1/4の長さ範囲で、また、前記右道板掛けの車体幅方向右側端から少なくとも1/4の長さ範囲で、上壁及び車体前後方向前壁を有してなり、前記チャネルを覆うアングル形状の道板外れ止め部材が設けられ、
前記ガイドローラの前記チャネル側壁ローラは、前記道板外れ止め部材の前側壁及び前記後側壁のいずれかに選択的に転接可能とされたことを特徴とする自動車運搬用車両における積降道板の収納引出構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車運搬用車両における自動車積み降ろし用の積降道板の収納引出構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車運搬用車両としては、例えば特許文献1に記載されたようなものがある。
【0003】
従来の自動車運搬用車両における積降道板の収納引出構造は、
図7に示されるように、左積降道板1及び右積降道板(図示省略)と、自動車運搬用車両2における下段デッキ3の幅方向中央部の下側位置に、左積降道板1及び右積降道板を車体幅方向に並べて水平に収納する道板収納部4と、車両後方から見て、道板収納部4の幅方向両側に積み降ろしされる自動車の車輪に対応する位置で、車体後端面に、且つ、車体幅方向に水平に設けられた左道板掛け5と、右道板掛け(図示省略)とを有してなり、又、左積降道板1及び右積降道板は、車体前後方向の前端に、左道板掛け5及び右道板掛けに上方から引掛けられる引掛けフック部6を有している。
【0004】
自動車を積み降ろしする場合は、道板収納部4から左積降道板1及び右積降道板を人力で引っ張り出して、そのまま車体幅方向に移動させ、それぞれの引掛けフック部6を左道板掛け5及び右道板掛けに引掛けた後、車体幅方向後端を路面に降ろすという作業をしていた。
【0005】
図7及び
図8A、
図8Bにおける符号7は、引掛けフック部6の更に車体前後方向前側に溶着された、引掛けフック部6の補強用パイプ7を示す。
【0006】
又、
図8A、
図8Bの符号8は、各左右の道板掛けの、車体幅方向両端から、その長さの約1/4の範囲を覆う、道板外れ止め部材を示す。
【0007】
従来の積降道板の収納引出構造においては、
図8Aに示されるように、引掛けフック部6を左(又は右)道板掛け5内に降ろしてから、車体幅方向左側又は右側に人力によって持ち上げながら移動させるが、近年、女性ドライバーが増えて、このような人力による作業は女性にとって積降道板が重すぎて困難となっている。又、道板掛けの内側に形成されたチャネル内の引掛けフック部6と補強用パイプ7とを水平に、且つ、横方向に移動させるために、例えばローラを付けることが考えられるが、
図8Bに示されるように、積降道板が傾いたり、あるいは水平面内で揺動したりすると、補強用パイプ7及び引掛けフック部6が道板掛けと道板外れ止め部材8との間でこじれて移動不可能となるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−335307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、道板収納部から引出した左右の積降道板を、そのまま、容易に水平に移動して、左右の道板掛け内に装着できるようにした自動車運搬用車両における積降道板の収納引出構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、左積降道板及び右積降道板と、自動車運搬用車両における下段デッキの幅方向中央部の下側位置に、前記左積降道板及び右積降道板を、車体幅方向に並べて水平に収納する道板収納部と、車両後方から見て、前記道板収納部の幅方向両側に、積降される自動車の車輪に対応する位置で、車体後端面に、且つ、車体幅方向に水平に設けられた、左道板掛け及び右道板掛けと、を有してなり、前記左積降道板及び右積降道板は、車体前後方向の前端に、前記左道板掛け及び右道板掛けに上方から引掛けられる引掛けフック部を各々有し、前記左道板掛け及び右道板掛けは、車体前後方向の鉛直断面において、底壁と、この底壁の車体前後方向後側に立上る後側壁からなるアングル形状であり、内側に車体幅方向のチャネルを構成し、且つ、前記道板収納部から引出された前記左又は右積降道板の前記引掛けフック部が上方から内側に入り込んで掛止め自在とされた自動車運搬用車両における積降道板の収納引出構造であって、前記左道板掛け及び右道板掛けの間に、該左道板掛け及び右道板掛けと同一の断面形状で、これらと車体幅方向に連続して設けられ、内側に前記左道板掛け及び右道板掛け内のチャネルと車体幅方向に連続するチャネルを形成する中間道板掛けと、前記左積降道板及び右積降道板の前記引掛けフック部における車体前後方向前側で、車体幅方向両端に取付けられたガイドローラと、を有し前記ガイドローラの車体幅方向両端間の長さは、前記左積降道板及び右積降道板の車体幅方向の長さ以下とされ、前記ガイドローラは、前記左及び右道板掛けと前記中間道板掛けにおける前記後側壁に、車体幅方向に転接移動可能なチャネル側壁ローラと、このチャネル側壁ローラの内側に設けられ、前記底壁に車体幅方向に転接移動可能なチャネル底壁ローラと、を備え、前記左積降道板の前記引掛けフック部は、前記中間道板掛内と前記左道板掛け内との間で、また、前記右積降道板の前記引掛けフック部が、前記中間道板掛内と前記右道板掛け内との間で、前記引掛けフック部が前記チャネル内で、それぞれ車体幅方向移動自在としたことを特徴とする自動車運搬用車両における積降道板の収納引出構造により、上記課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による積降道板の収納引出構造は、道板収納部から引出した左右の積降道板を、そのまま左右の道板掛け内に水平に、容易に移動させることができ、女性でも、積降道板の収納引出が出来るという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係る自動車運搬用車両の一部及び積降道板の収納引出構造を示す車両側面図
【
図2】同実施例における左右の道板掛け及び中間道板掛けを模式的に示す車両後面図
【
図4】同実施例の道板掛け、引掛けフック部及びガイドローラを拡大して示す側面図
【
図5】同実施例における左右の積降道板の車体前後方向前端部分を拡大して示す平面図
【
図7】従来の一般的な自動車運搬用車両における左側の積降道板の収納引出構造を示す平面図
【
図8A】同積降道板の先端部分を、積降道板を水平に保持した状態で道板掛けに引掛けた状態を模式的に示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1に示されるように、この実施例に係る自動車運搬用車両10における、積降道板の収納引出構造20は、左積降道板22A及び右積降道板22Bと、下段デッキ12の幅方向中央部の下側位置に、左積降道板22A及び右積降道板22Bを、車体幅方向に並べて水平に収納する道板収納部24と、車両後方から見て、道板収納部24の幅方向両側に、積降される自動車14の車輪に対応する位置で、車体後端面に、且つ、車体幅方向に水平に設けられた、左道板掛け26A及び右道板掛け26B(
図2参照)と、を有している。
【0015】
左積降道板22A及び右積降道板22Bは、車体前後方向の前端に、
図3に示されるように、左道板掛け26A、右道板掛け26Bに上方から引掛けられる引掛けフック部28を各々有している。
【0016】
左道板掛け26A及び右道板掛け26Bは、
図4に拡大して示されるように、車体前後方向の鉛直断面において、底壁27Aと、この底壁27Aの車体前後方向後側に立上る後側壁27Bからなるアングル形状であり、内側に車体幅方向のチャネル30を構成し、且つ、道板収納部24から引出された左又は右積降道板22A、22Bの引掛けフック部28が上方から内側に入り込んで掛止め自在に構成されている。
【0017】
積降道板の収納引出構造20は、
図2に示されるように、左道板掛け26A及び右道板掛け26Bの間には、これらと同一の断面形状で、車体幅方向に連続して設けられ、内側に左道板掛け26A、右道板掛け26B内のチャネル30と車体幅方向に連続するチャネル31を形成する中間道板掛け32と、左積降道板22A及び右積降道板22Bの引掛けフック部28における車体前後方向前側に設けられた補強用パイプ34の車体幅方向両端に取付けられたガイドローラ36と、を有している。
【0018】
ここで、上記の車体幅方向両端に取付けられた一対のガイドローラ36の車体幅方向両端間の長さは、左積降道板22A及び右積降道板22Bの車体幅方向の長さ以下とされている。
【0019】
ガイドローラ36は、
図4に拡大して示されるように、左及び右道板掛け26A、26Bと中間道板掛け32における後側壁27Bに、車体幅方向に転接移動可能なチャネル側壁ローラ36Aと、このチャネル側壁ローラ36Aの内側に設けられ、底壁27Aに車体幅方向に転接移動可能なチャネル底壁ローラ36Bと、を備えて構成されている。
【0020】
図2〜
図4における符号38は、左道板掛け26Aの左端から、及び、右板掛け26Bの右端から、それぞれの全長の約1/4の長さの範囲で設けられたアングル形状の道板外れ止め部材を示す。この道板外れ止め部材38は、チャネル30の上側を覆う上壁38A及び車体前後方向前側の、前側壁38Bを有している。
【0021】
上記ガイドローラ36におけるチャネル側壁ローラ36Aは道板外れ止め部材38の前側壁38B及び左、右道板掛け26A、26Bにおける後側壁27Bのいずれかに選択的に転接可能に構成されている。
【0022】
チャネル側壁ローラ36Aの直径は、後側壁27Bと前側壁38B間の距離よりもわずかに小さくされ、チャネル30内をガイドローラ36が車体幅方向に移動する際に、左積降道板22A及び右積降道板22Bが、車体前後方向に僅かに移動したり、あるいは傾いても、後側壁27B又は前側壁38Bのいずれかに選択的に接触して転接できるようにされている。
【0023】
また、チャネル底壁ローラ36Bは、常時、底壁27Aに転接可能な状態となっている。
【0024】
道板収納部24内において、平行に収納された左積降道板22Aと右積降道板22Bの中間位置、即ち、中間道板掛け32の車体幅方向中央位置には、
図2に示されるように、中間道板掛け32内のチャネル31を車体幅方向に2等分する位置に、仕切り板27Cが設けられている。
【0025】
この仕切り板27Cは、例えば、左道板掛け26A内の引掛けフック部28が、中間道板掛け32の車体幅方向中央位置を超えて反対側(右道板掛け26B方向)に移動することを規制するものである。
【0026】
次に、上記ガイドローラ36の、補強用パイプ34への取付構造及び、チャネル側壁ローラ36A、チャネル底壁ローラ36Bの詳細について説明する。
【0027】
ガイドローラ36は、
図5及び
図6に示されるように、ブラケット40により、補強用パイプ34の車体幅方向両端位置にボルトナット41により締め付け固定されている。
【0028】
ブラケット40の
図5において上端又は下端には、チャネル側壁ローラ36Aの回転軸37Aが設けられ、更に、この回転軸37Aの中心を、
図5において左右方向に貫通して、チャネル側壁ローラ36Aを回転自在に支持する内側回転軸37Bと、を備えて、構成されている。
【0029】
この実施例においては、左積降道板22A、右積降道板22Bの一方から順に道板収納部24から人力によって引出し、それぞれの車体前後方向の前端に設けられているガイドローラ36が中間道板掛け32内に落ち込むようにする。
【0030】
次に、左又は右積降道板22A又は22Bを水平にしたまま、補強用パイプ34の両端に取付けられた一対のガイドローラ36をチャネル30、31内を転接させることにより、左積降道板22A、右積降道板22Bを車体幅方向に平行移動させ、それぞれの引掛けフック部28が、左道板掛け26A又は右道板掛け26Bに順次入り込むように移動させる。
【0031】
この時、ガイドローラ36は、そのチャネル底壁ローラ36Bが常時底壁27Aに転接し、且つ、チャネル側壁ローラ36Aは、後側壁27B及び前側壁38Bのいずれかに選択的に接触することになるので、左及び右積降道板22A、22Bは、水平状態のまま、円滑に所定位置まで移動されることになる。
【符号の説明】
【0032】
10…自動車運搬用車両
12…下段デッキ
14…自動車
20…積降道板の収納引出構造
22A…左積降道板
22B…右積降道板
24…道板収納部
26A…左道板掛け
26B…右道板掛け
27A…底壁
27B…後側壁
27C…仕切り板
28…引掛けフック部
30、31…チャネル
32…中間道板掛け
34…補強用パイプ
36…ガイドローラ
36A…チャネル側壁ローラ
36B…チャネル底壁ローラ
37A…回転軸
37B…内側回転軸
38…道板外れ止め部材
38A…上壁
38B…前側壁
40…ブラケット
41…ボルトナット