特許第6563822号(P6563822)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563822
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】ワイヤ端部固定具及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20190808BHJP
   H02G 1/02 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H02G7/00
   H02G1/02
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-5305(P2016-5305)
(22)【出願日】2016年1月14日
(65)【公開番号】特開2017-127131(P2017-127131A)
(43)【公開日】2017年7月20日
【審査請求日】2018年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 和秀
【審査官】 木村 励
(56)【参考文献】
【文献】 特開平3−234947(JP,A)
【文献】 実公昭42−10278(JP,Y1)
【文献】 特開平6−253439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 7/00
H02G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲状に屈曲した基端部、前記基端部の両端から直線状に延びる一対の中間部、及び、前記各中間部から延在し、ワイヤに巻き付けられて該ワイヤを保持する一対のグリップ部を備える巻付けグリップと、
前記基端部に係合し、前記基端部を湾曲状に維持する弧状部、及び、前記弧状部の両端からそれぞれ延びる一対の直状部を備えるU字状のシンブルと、
前記弧状部の外周を前記基端部の内周に添って配置するように前記巻付けグリップと前記シンブルとを一体的に保持するチューブ体と、を備え、
前記チューブ体は、前記巻付けグリップ及び前記シンブルの重合部分の少なくとも一部を内挿した状態で前記巻付けグリップ及び前記シンブルの外面形状に追従して変形し、前記巻付けグリップ及び前記シンブルを一体的に保持していることを特徴とするワイヤ端部固定具。
【請求項2】
前記チューブ体は、熱収縮チューブからなることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ端部固定具。
【請求項3】
前記チューブ体は、内面に接着層を備え、前記チューブ体の内面と、前記巻付けグリップ及び前記シンブルの外面とが前記接着層で接合されていることを特徴とする請求項2に記載のワイヤ端部固定具。
【請求項4】
前記チューブ体は、可撓性材料からなる外皮と、前記外皮の内面に形成された接着層とからなり、前記チューブ体の内面と、前記巻付けグリップ及び前記シンブルの外面とが前記接着層で接合されていることを特徴とする請求項1に記載のワイヤ端部固定具。
【請求項5】
前記チューブ体は、前記シンブルの前記直状部先端を越えて延在していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のワイヤ端部固定具。
【請求項6】
前記シンブルの前記一対の直状部は、互いに先端が近接する方向に傾斜しており、前記チューブ体によって前記一対の直状部の一方のみが前記巻付けグリップの前記一対の中間部の一方に一体的に結合されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のワイヤ端部固定具。
【請求項7】
前記シンブルの前記一対の直状部は、互いに平行に延在しており、前記チューブ体によって前記一対の直状部の少なくとも一方が前記巻付けグリップの前記中間部に一体的に結合されていることを特徴とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のワイヤ端部固定具。
【請求項8】
ワイヤ端部固定具を製造する方法であって、
湾曲状に屈曲した基端部、前記基端部の両端から直線状に延びる一対の中間部、及び、前記各中間部から延在し、ワイヤに巻き付けられて該ワイヤを保持する一対のグリップ部を備える巻付けグリップを準備する工程と、
前記基端部に係合し、前記基端部を湾曲状に維持する弧状部、及び、前記弧状部の両端からそれぞれ延びる一対の直状部を備えるU字状のシンブルを準備する工程と、
前記巻付けグリップの前記基端部の内周に添って前記シンブルの前記弧状部の外周を配置し、前記巻付けグリップ及び前記シンブルの重合部分の少なくとも一部を、熱収縮チューブからなるチューブ体で包囲する工程と、
前記巻付けグリップ及び前記シンブルの重合部分の少なくとも一部を内挿した状態の前記チューブ体を収縮させ、前記巻付けグリップ及び前記シンブルの外面形状に追従して前記チューブ体を変形させるように、前記チューブ体を加熱する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
ワイヤ端部固定具を製造する方法であって、
湾曲状に屈曲した基端部、前記基端部の両端から直線状に延びる一対の中間部、及び、前記各中間部から延在し、ワイヤに巻き付けられて該ワイヤを保持する一対のグリップ部を備える巻付けグリップを準備する工程と、
前記基端部に係合し、前記基端部を湾曲状に維持する弧状部、及び、前記弧状部の両端からそれぞれ延びる一対の直状部を備えるU字状のシンブルを準備する工程と、
可撓性材料からなる外皮、及び、前記外皮の内面に形成された接着層からなるチューブ体を準備する工程と、
前記巻付けグリップの前記基端部の内周に添って前記シンブルの前記弧状部の外周を配置し、前記巻付けグリップ及び前記シンブルの重合部分の少なくとも一部を、前記チューブ体で包囲する工程と、
前記巻付けグリップ及び前記シンブルの外面形状に追従して前記チューブ体を変形させるように、前記巻付けグリップ及び前記シンブルの重合部分の少なくとも一部を内挿した状態の前記チューブ体の外皮を押圧し、前記チューブ体内面と前記巻付けグリップ及び前記シンブルの外面とを接着する工程と、を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤの端部を電柱等の構造物に対して張設した状態で固定するためのワイヤ端部固定具及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電柱等の構造物の傾斜や倒壊を防止するために、電柱上部と地面(例えば地中アンカなど)との間に斜めに張架された支線が形成される。そして、該支線を形成するために、ワイヤに張力を加えた状態でワイヤ端部を支持及び固定する種々の装置が用いられている。
【0003】
特許文献1は、地面に立設された電柱(イ)の上部にアーム(1)を設け、そのアーム(1)の先端から地面に向けて支線(ロ)を張設する支線装置を開示する。該支線装置(1)は、ワイヤロープ等の線状物からなる支線(ロ)先端のアイ部に挿入されるU字状を呈した割シンブル(T)を備える。割シンブル(T)の割シンブル本体(10)は、横断面U字形又は半円形の鋼製溝部材から形成され、溝(10a)が外側に開口し、その溝底部の凸面(10b)が内側に向くようにU字状に湾曲されている。さらに、割シンブル(T)は、割シンブル本体(10)のU字状の開口部(T’)の相対する一方の面に突起(11)を設けたことを特徴とする。割シンブル(T)により、支線(ロ)に加わる張力により支線(ロ)のアイ部の曲率が過度に縮小されることが防止される。なお、()内に特許文献1の符号を示した。
【0004】
特許文献2は、電柱関係の支線、メッセンジャーワイヤーの引き留め又は接続、落石防護網のワイヤーロープの引き留め等に使用される巻付けグリップ(1)を開示する。この巻付けグリップ(1)は、ワイヤーロープ(3)に、螺旋状の巻付け部(2)を巻き付けることによって、ワイヤーロープ(3)を確実かつ容易に引き留めるものである。なお、()内に特許文献2の符号を示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4115316号公報
【特許文献2】特開2013−22504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のようなシンブル(割シンブル)に特許文献2のような巻付けグリップを組み合わせて用いることにより、構造物間(例えば電柱−地中アンカ間)にワイヤを張設して支線を形成することができる。この場合、施工時において、シンブルと巻付けグリップとが別体であるので、シングルの外周部分を巻付けグリップの弧状の折り返し部分(アイ部)に宛がった状態で張設作業が行われる。そのため、施工時に両方の部材をそれぞれ手で把持することが必要となり、作業が困難となることが問題として挙げられる。さらには、作業中、一方の部材を高所などから落下させ、事故などにつながる虞もあった。特に、シンブルの外周形状と巻付けグリップの折り返し部分の形状との間に大きな差があるような場合、その取り扱いの困難さが顕著となり、施工者の負担が非常に大きい。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、施工における作業性を改善するワイヤ端部固定具及び該ワイヤ端部固定具の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のワイヤ端部固定具は、湾曲状に屈曲した基端部、前記基端部の両端から直線状に延びる一対の中間部、及び、前記各中間部から延在し、ワイヤに巻き付けられて該ワイヤを保持する一対のグリップ部を備える巻付けグリップと、
前記基端部に係合し、前記基端部を湾曲状に維持する弧状部、及び、前記弧状部の両端からそれぞれ延びる一対の直状部を備えるU字状のシンブルと、
前記弧状部の外周を前記基端部の内周に添って配置するように前記巻付けグリップと前記シンブルとを一体的に保持するチューブ体と、を備え、
前記チューブ体は、前記巻付けグリップ及び前記シンブルの重合部分の少なくとも一部を内挿した状態で前記巻付けグリップ及び前記シンブルの外面形状に追従して変形し、前記巻付けグリップ及び前記シンブルを一体的に保持していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載のワイヤ端部固定具は、請求項1に記載のワイヤ端部固定具において、前記チューブ体は、熱収縮チューブからなることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載のワイヤ端部固定具は、請求項2に記載のワイヤ端部固定具において、前記チューブ体は、内面に接着層を備え、前記チューブ体の内面と、前記巻付けグリップ及び前記シンブルの外面とが前記接着層で接合されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載のワイヤ端部固定具は、請求項1に記載のワイヤ端部固定具において、前記チューブ体は、可撓性材料からなる外皮と、前記外皮の内面に形成された接着層とからなり、前記チューブ体の内面と、前記巻付けグリップ及び前記シンブルの外面とが前記接着層で接合されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載のワイヤ端部固定具は、請求項1から4のいずれか一項に記載のワイヤ端部固定具において、前記チューブ体は、前記シンブルの前記直状部先端を越えて延在していることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載のワイヤ端部固定具は、請求項1から5のいずれか一項に記載のワイヤ端部固定具において、前記シンブルの前記一対の直状部は、互いに先端が近接する方向に傾斜しており、前記チューブ体によって前記一対の直状部の一方のみが前記巻付けグリップの前記一対の中間部の一方に一体的に結合されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載のワイヤ端部固定具は、請求項1から5のいずれか一項に記載のワイヤ端部固定具において、前記シンブルの前記一対の直状部は、互いに平行に延在しており、前記チューブ体によって前記一対の直状部の少なくとも一方が前記巻付けグリップの前記中間部に一体的に結合されていることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の方法は、ワイヤ端部固定具を製造する方法であって、
湾曲状に屈曲した基端部、前記基端部の両端から直線状に延びる一対の中間部、及び、前記各中間部から延在し、ワイヤに巻き付けられて該ワイヤを保持する一対のグリップ部を備える巻付けグリップを準備する工程と、
前記基端部に係合し、前記基端部を湾曲状に維持する弧状部、及び、前記弧状部の両端からそれぞれ延びる一対の直状部を備えるU字状のシンブルを準備する工程と、
前記巻付けグリップの前記基端部の内周に添って前記シンブルの前記弧状部の外周を配置し、前記巻付けグリップ及び前記シンブルの重合部分の少なくとも一部を、熱収縮チューブからなるチューブ体で包囲する工程と、
前記巻付けグリップ及び前記シンブルの重合部分の少なくとも一部を内挿した状態の前記チューブ体を収縮させ、前記巻付けグリップ及び前記シンブルの外面形状に追従して前記チューブ体を変形させるように、前記チューブ体を加熱する工程と、を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の方法は、ワイヤ端部固定具を製造する方法であって、
湾曲状に屈曲した基端部、前記基端部の両端から直線状に延びる一対の中間部、及び、前記各中間部から延在し、ワイヤに巻き付けられて該ワイヤを保持する一対のグリップ部とを備える巻付けグリップを準備する工程と、
前記基端部に係合し、前記基端部を湾曲状に維持する弧状部、及び、前記弧状部の両端からそれぞれ延びる一対の直状部を備えるU字状のシンブルを準備する工程と、
可撓性材料からなる外皮と、前記外皮の内面に形成された接着層とからなるチューブ体を準備する工程と、
前記巻付けグリップの前記基端部の内周に添って前記シンブルの前記弧状部の外周を配置し、前記巻付けグリップ及び前記シンブルの重合部分の少なくとも一部を、前記チューブ体で包囲する工程と、
前記巻付けグリップ及び前記シンブルの外面形状に追従して前記チューブ体を変形させるように、前記巻付けグリップ及び前記シンブルの重合部分の少なくとも一部を内挿した状態の前記チューブ体の外皮を押圧し、前記チューブ体内面と前記巻付けグリップ及び前記シンブルの外面とを接着する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載のワイヤ端部固定具によれば、チューブ体が巻付けグリップ及びシンブルの重合部分の少なくとも一部を内挿した状態で巻付けグリップ及びシンブルの外面形状に追従して変形していることにより、極めて簡易な構造で巻付けグリップとシンブルとを一体的に仮保持することが可能となった。そして、巻付けグリップの基端部内周とシンブルの弧状部外周とが互いに対向するように添設された状態で互いに両者が一体的に保持されていることにより、両者を一体的に取り扱うことが可能となるとともに巻付けグリップに対するシンブルの位置決めをも省略することができる。その結果として、施工者の作業負担を大幅に軽減することに貢献する。
【0018】
請求項2に記載のワイヤ端部固定具によれば、請求項1の発明の効果に加えて、チューブ体が熱収縮チューブからなる。換言すると、チューブ体は、熱で原形から収縮変形したものである。すなわち、筒状のチューブ体に巻付けグリップ及びシンブルの重合部分の少なくとも一部を内挿した状態で該チューブ体を加熱して収縮させることにより、巻付けグリップ及びシンブルの外面形状に追従して変形したチューブ体を簡単に形成することができる。
【0019】
請求項3に記載のワイヤ端部固定具によれば、請求項2の発明の効果に加えて、チューブ体の内面と、巻付けグリップ及びシンブルの外面との間に介在する接着層により、熱収縮したチューブ体内面と巻付けグリップ及びシンブルの外面との間の接合をより強固なものとすることができる。
【0020】
請求項4に記載のワイヤ端部固定具によれば、請求項1の発明の効果に加えて、チューブ体の内面に接着層が形成されていることにより、筒状のチューブ体に巻付けグリップ及びシンブルの重合部分の少なくとも一部を内挿した状態で該チューブ体の外皮を押圧することにより、外皮内面の接着層を巻付けグリップ及び/又はシンブルの外面に接着し、巻付けグリップ及びシンブルの外面形状に追従して変形したチューブ体を簡単に形成することができる。
【0021】
請求項5に記載のワイヤ端部固定具によれば、請求項1から4のいずれかのワイヤ端部固定具の発明に加えて、チューブ体が重合部分(直状部先端)を越えて延在し、巻付けグリップの外周にしっかりと密着していることにより、チューブ体が巻付けグリップとシンブルとをより強固に一体保持している。
【0022】
請求項6に記載のワイヤ端部固定具によれば、請求項1から5のいずれかのワイヤ端部固定具の発明に加えて、チューブ体によって一対の直状部の一方のみが巻付けグリップの一対の中間部の一方に一体的に結合されていることにより、シンブルの形状に応じて、巻付けグリップとシンブルとが効果的に一体保持されている。また、巻付けグリップ及びシンブルの直線部分同士で重合しているため、該重合部分をチューブ体で簡単に覆うことができるという利点を有する。さらに、シンブルが巻付けグリップにチューブ体によって片持ちで保持されているので、施工時において、シンブルの弧状部と巻付けグリップの基端部の湾曲の形状差に対応し易いという利点がある。
【0023】
請求項7に記載のワイヤ端部固定具によれば、請求項1から5のいずれかのワイヤ端部固定具の発明に加えて、チューブ体によって、互いに平行に延在する一対の直状部の一方又は両方が巻付けグリップの一対の中間部に一体的に結合されていることにより、シンブルの形状に応じて、巻付けグリップとシンブルとが適切に一体保持されている。
【0024】
請求項8に記載のワイヤ端部固定具を製造する方法によれば、チューブ体に巻付けグリップ及びシンブルの重合部分の少なくとも一部を内挿した状態で、巻付けグリップ及びシンブルの外面形状に追従してチューブ体を変形させることにより、極めて簡易な構造で巻付けグリップとシンブルとを一体的に仮保持するワイヤ端部固定具の製造が可能となった。特には、筒状のチューブ体に巻付けグリップ及びシンブルの重合部分の少なくとも一部を内挿した状態で該チューブ体を加熱して収縮させることにより、巻付けグリップ及びシンブルの外面形状に追従して変形したチューブ体を簡単に形成することができる。そして、製造されたワイヤ端部固定具では、熱収縮したチューブ体によって、巻付けグリップの基端部内周とシンブルの弧状部外周とが互いに対向するように添設された状態で両者を一体的に取り扱うことが可能となる。すなわち、本方法は、施工者の作業負担を大幅に軽減することができるワイヤ端部固定具を簡易な工程で提供するものである。
【0025】
請求項9に記載のワイヤ端部固定具を製造する方法によれば、チューブ体に巻付けグリップ及びシンブルの重合部分の少なくとも一部を内挿した状態で、巻付けグリップ及びシンブルの外面形状に追従してチューブ体を変形させることにより、極めて簡易な構造で巻付けグリップとシンブルとを一体的に仮保持するワイヤ端部固定具の製造が可能となった。特には、筒状のチューブ体に巻付けグリップ及びシンブルの重合部分の少なくとも一部を内挿した状態で該チューブ体の外皮を押圧することにより、外皮内面の接着層を巻付けグリップ及び/又はシンブルの外面に接着し、巻付けグリップ及びシンブルの外面形状に追従して変形したチューブ体を簡単に形成することができる。そして、製造されたワイヤ端部固定具では、熱収縮したチューブ体によって、巻付けグリップの基端部内周とシンブルの弧状部外周とが互いに対向するように添設された状態で両者を一体的に取り扱うことが可能となる。すなわち、本方法は、施工者の作業負担を大幅に軽減することができるワイヤ端部固定具を簡易な工程で提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態のワイヤ端部固定具の概略正面図。
図2図1のワイヤ端部固定具の巻付けグリップの概略正面図。
図3図1のワイヤ端部固定具のシンブルの概略斜視図。
図4図3のシンブルの(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図、(d)A−A断面図。
図5図1のワイヤ端部固定具の部分拡大正面図。
図6】本実施形態のワイヤ端部固定具を製造する方法の各工程を示す模式図。
図7図1のワイヤ端部固定具による支線構造を示す概略図。
図8図7の支線構造の部分拡大図。
図9】本発明の変形例のワイヤ端部固定具の斜視図。
図10】本発明の変形例のワイヤ端部固定具の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状寸法を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0028】
[第1実施形態]
本発明の一実施形態のワイヤ端部固定具100は、電柱Pの支線を形成すべく、電柱Pの上部に一端で支持されたワイヤW他端と、地中に埋設されたアンカに結合された支線棒Xとを連結する用途に用いられる。しかしながら、本発明のワイヤ端部固定具は、実施形態の用途に限定されることなく、ワイヤ端部を固定又は支持する種々の用途に応用することが可能である。すなわち、本発明のワイヤ端部固定具は、メッセンジャワイヤの固定など他のワイヤ固定用途に用いられてもよいことは言うまでもない。
【0029】
図1を参照して、本実施形態のワイヤ端部固定具100の構成を説明する。図1は、ワイヤ端部固定具100の概略正面図である。図1に示すように、ワイヤ端部固定具100は、略中央で折れ曲がった長尺状の巻付けグリップ110と、該巻付けグリップ110に添って配置された蹄鉄状のシンブル120と、巻付けグリップ110及びシンブル120を一体的に保持するチューブ体130とを備えてなる。以下、各構成部材について詳細に説明する。
【0030】
図2は、巻付けグリップ110の概略平面図である。該巻付けグリップ110は、連続的に延在する長尺体であり、複数本の金属製の線材を並列に束ねて付着したものである。該巻付けグリップ110は、ある程度の剛性を有し、所定の力で塑性変形して折り曲げ可能である。図2に示すとおり、巻付けグリップ110は、湾曲状に屈曲した基端部111と、該基端部111の両端から直線状に延びる一対の中間部113と、各中間部113先端から直線的に延在し、ワイヤWに巻き付けられて該ワイヤWを保持する一対のグリップ部115とを備える。巻付けグリップ110は、基端部111を境に略対称な形状を有し、且つ、折り曲げ変形可能な剛性を有している。基端部111は、巻付けグリップ110全体のほぼ中央位置で湾曲した部分として定められている。中間部113は、基端部111の両端に連設された所定長の直線部分として定められている。グリップ部115は、中間部113の先端に連設された螺旋状部分として定められている。この一対のグリップ部115は、互いに異なる長さを有している。そして、一方のグリップ部115の螺旋の内側にワイヤWを内挿し、両グリップ部115を撚り合わせることにより、一対のグリップ部115でワイヤWを確実にグリップして支持又は固定することが可能である。
【0031】
図3は、シンブル120の概略斜視図である。図4(a)〜(d)は、該シンブル12の平面図、正面図、側面図及びA−A断面図である。シンブル120は、正面視U字形状の金属片である。図3及び図4に示すように、シンブル120は、湾曲した弧状部121と、該弧状部121の両端からそれぞれ直線的に延びる一対の直状部123とを備えてなる。該一対の直状部123は、互いに先端が近接する方向に傾斜している。また、該シンブル120は、連続する横断面視U字形状を有している。すなわち、シンブル120は、正面視U字形状の外周面に外周凹部125を有するとともに、正面視U字形状の内周面に内周凸部127を有している。該シンブル120の外周凹部125において、外側に開口する溝が連続形成され、該溝内に巻付けグリップ110の基端部111を収容可能である。他方、シンブル120の内周凸部127には、支線構造10における支持棒Xの連結部X1(図7,8参照)が係合する。そして、シンブル120は、その外周凹部125に巻付けグリップ110(基端部111)を収容した状態でワイヤWに張力が加わった場合に該基端部111の曲率が過度に縮小されることを防止し、該基端部111(アイ部)を湾曲状に維持することが可能である十分な剛性で構成されている。
【0032】
チューブ体130は、巻付けグリップ110及びシンブル120を内挿する筒状に構成されている。本実施形態のワイヤ端部固定具100では、チューブ体130は、熱によって収縮変形した熱収縮チューブから構成されている。すなわち、チューブ体130は、ポリオレフィン、フッ素系ポリマー、熱可塑性エラストマーなどからなる一般的な熱収縮チューブからなる。チューブ体130は、熱収縮性の外皮と、その内面に形成された熱溶融性接着剤(エチレン酢酸ビニル等)からなる接着層とを備えることが好ましい。該接着層により、チューブ体130の内面と、巻付けグリップ110及びシンブル120の外面とを強固且つ確実に接合することができる。しかしながら、チューブ体130は、熱収縮性の外皮のみから構成されてもよい。
【0033】
図5は、図1のワイヤ端部固定具100の部分拡大図である。図5に示すように、チューブ体130が、弧状部121の外周を基端部111の内周に添って配置するように巻付けグリップ110とシンブル120とを一体的に保持している。なお、本明細書における「添って」、「添設」は、互いに接触又は隣接している状態に加え、互いに離隔して並んだ状態をも含んでいる。そして、シンブル120の一対の直状部123が互いに先端が近接する方向に傾斜しており、チューブ体130によって一対の直状部123の一方のみが巻付けグリップ110の一対の中間部113の一方に一体的に結合されている。本実施形態では、巻付けグリップ110の直線状の一方の中間部113のみがシンブル120の一方の直状部123に一体的に保持されている。そして、基端部111及び弧状部121、並びに、他方の中間部113及び直状部123は互いに離隔しているものの、互いに対向するように寄り添って配置されている。
【0034】
より詳細には、シンブル120の一方の直状部123の外周凹部125に巻付けグリップ110の中間部113が収容された状態で、チューブ体130が巻付けグリップ110(中間部113)及びシンブル120(直状部123)の重合部分を包囲している。該重合部分は、巻付けグリップ110及びシンブル120の直状箇所からなるので、チューブ体130で包囲し易い。また、チューブ体130は、シンブル120の直状部123先端に跨がって延在している。換言すると、チューブ体130は、重合部分を包囲するとともに、重合部分からシンブル120の先端部分を越えて巻き付けグリップ110の先端側に延在し、その境界の先端側で巻き付けグリップ110の中間部110のみを包囲している。そして、チューブ体130は、重合部分(全体又は一部)を内挿した状態で、巻付けグリップ110及びシンブル120の外面形状に追従して収縮変形し、重合部分との境界で肩部131が形成されるように先端側で窄まっている。このように、チューブ体130の先端側が窄まっていることにより、チューブ体130が巻付けグリップ110及びシンブル120の外面により強く吸着(密着)し、巻付けグリップ110及びシンブル120が互いにずれることが抑えられている。
【0035】
次に、図6を参照して、本実施形態のワイヤ端部固定具100を製造する方法を説明する。なお、本方法は、支線構造10を構築する方法の一部をなし、該方法を経て支線構造10が構築され得る。
【0036】
まず、巻付けグリップ110、シンブル120及びチューブ体130を準備する。次に、図6(a)に示すように、巻付けグリップ110のいずれか一方のグリップ部115先端からチューブ体130を外挿し、該チューブ体130を中間部113にまでスライドさせる。次いで、図6(b)に示すように、巻付けグリップ110の基端部111の内周に添ってシンブル120の弧状部121の外周を配置し、巻付けグリップ110及びシンブル120の重合部分(一部又は全部)をチューブ体130で包囲する。より具体的には、シンブル120の弧状部121外周を巻付けグリップ110の基端部111の内周に対向させつつ、直状部123における外周凹部125内に中間部113を収容することで、巻付けグリップ110及びシンブル120を部分的に重合させる。そして、直線状の重合部分と、その先端側の中間部113単体部分との間に跨がるようにチューブ体130を配置する。
【0037】
続いて、巻付けグリップ110及びシンブル120の重合部分を内挿した状態のチューブ体130をヒートガン等で加熱し、チューブ体130を熱収縮させる。その結果、図6(c)に示すように、チューブ体130は、巻付けグリップ110及びシンブル120の外面形状に追従して変形し、重合部分及び巻付けグリップ110単体部分の外面に吸着する。なお、チューブ体130の内面に熱溶融性の接着層が設けられている場合、加熱により、外皮の熱収縮とともに接着層が溶融し、外皮と巻付けグリップ110及びシンブル120の外面との間が接着層でより強固に接合される。こうして、ワイヤ端部固定具100を製造することができる。
【0038】
図7及び図8を参照して、本実施形態のワイヤ端部固定具100を用いて構築された支線構造10について説明する。図7及び図8は、該支線構造10を示す概略図及びその部分拡大図である。該支線構造10は、電柱上部と地中に埋設されたアンカとの間にワイヤW及び支持棒Xが斜めに張架されて構成されたものである。なお、説明の便宜上、電柱と地中アンカを図示しない。
【0039】
本実施形態の支線構造10では、ワイヤWの一端が電柱の上部に固定され、且つ、支持棒Xの一端が地中アンカに固定されている。ワイヤWは、鋼材を束ねて形成された線材であり、電柱を支持するのに十分な強度を有している。支持棒Xは、電柱を支持するのに十分な剛性を有する鋼製の棒材であり、その他端に環状の連結部X1が形成されている。そして、図7及び図8に示すように、ワイヤ端部固定具100がワイヤWと支持棒Xとを張力が付加された状態で固定している。より詳細には、巻付けグリップ110の一方のグリップ部115の螺旋の内側にワイヤWが内挿された状態で一対のグリップ部115が撚り合わせられることにより、グリップ部115がワイヤWの端部を固定している。また、グリップ部115が撚り合わせられることにより、基端部111でアイ部が形成されている。シンブル120は、チューブ体130によって巻付けグリップ110に一体的に保持された状態で外周凹部125に基端部111(アイ部の一端側)を収容している。そして、支持棒Xの連結部X1の環の内側に巻付けグリップ110(基端部111)及びシンブル120が配置され、シンブル120の弧状部121の内周凸部125が連結部X1の内周面に係合(圧接)している。換言すると、シンブル120が支持棒Xの連結部X1を支承している。当該支線構造10において、ワイヤWに強い張力が作用して巻付けグリップ110がシンブル120に圧接することで、巻付けグリップ110のアイ部がシンブル120の外周凹部125に沿って変形している。そして、当該張力に対抗してシンブル120の弧状部121の湾曲性が維持されている(多少の変形は許容される)ことで、シンブル120によって巻付けグリップ110のアイ部の曲率が過度に縮小されることが防止されている。
【0040】
以下、本発明に係る一実施形態のワイヤ端部固定具100の作用効果について説明する。
【0041】
本実施形態のワイヤ端部固定具100によれば、チューブ体130が巻付けグリップ110及びシンブル120の重合部分を内挿した状態で巻付けグリップ110及びシンブル120の外面形状に追従して変形していることにより、極めて簡易な構造で巻付けグリップ110とシンブル120とを一体的に仮保持することが可能となった。そして、巻付けグリップ110の基端部111内周とシンブル120の弧状部121外周とが互いに対向するように添設された状態で互いに両者が一体的に保持されていることにより、両者を一体的に取り扱うことが可能となるとともに巻付けグリップ110に対するシンブル120の位置決めをも省略することができる。より具体的には、ワイヤWをグリップ部115で固定する作業や、支持棒Xの連結部X1を巻付けグリップ110のアイ部及びシンブル120に係合させる作業において、シンブル120が巻付けグリップ110の所定位置に仮保持されているので、グリップ110及びシンブル120のいずれか一方を把持すれば済む。さらに、巻付けグリップ110の一方の中間部113にシンブル120の一方の直状部123が一体化したため、シンブル120先端と中間部113との間に隙間がなく、巻付けグリップ110を掛け留める留め具が環状であっても容易に挿通可能である。その結果、施工者の作業負担を大幅に軽減することができる。さらに、施工者が部材を落下させる虞をも未然に防止することができる。
【0042】
また、本実施形態のワイヤ端部固定具100によれば、チューブ体130が熱収縮チューブからなる。換言すると、チューブ体130は、熱で原形から収縮変形したものである。すなわち、筒状のチューブ体130に巻付けグリップ110及びシンブル120の重合部分の少なくとも一部を内挿した状態で該チューブ体130を加熱して収縮させることにより、巻付けグリップ110及びシンブル120の外面形状に追従して変形したチューブ体130を簡単に形成することができる。さらに、本実施形態のワイヤ端部固定具100によれば、巻付けグリップ110及びシンブル120の直線部分同士で重合しているため、該重合部分をチューブ体130で簡単に覆うことができるという利点を有する。さらに、本実施形態では、シンブル120が巻付けグリップ110にチューブ体130によって片持ちで保持されているので、施工時において、シンブル120の弧状部121と巻付けグリップ110の基端部111の湾曲の形状差に対応し易いという利点がある。すなわち、弧状部121と基端部111の湾曲形状が大きく異なっていても、シンブル120の弧状部121(外周凹部125)と巻付けグリップ110の基端部111とが互い対向して(添って)いれば、チューブ体130で保持されていない片方の中間部113を屈曲させることで、シンブル120の外周形状に沿って巻付けグリップ110を変形させ、支線構造10を容易に構築することができる。さらには、一般的に巻付けグリップ110の径は必要な強度によって複数種類用意されており、大きな径を受け入れ可能となるようにシンブル120の外周凹部125を大きく形成すると、小径の巻付けグリップ110を受け入れた際に形状差が大きくなり、巻付けグリップ110とシンブル120との間に隙間やがたつきを生じる。しかしながら、本実施形態のワイヤ端部固定具100では、チューブ体130が巻付けグリップ110及びシンブル120の外面形状に追従するように変形するので、がたつきを抑えつつ両者を確実に一体化することができる。
【0043】
[第2実施形態]
第2実施形態のワイヤ端部固定具100では、チューブ体130が可撓性材料からなる外皮と該外皮の内面に形成された接着層とからなり、チューブ体130の内面と、巻付けグリップ110及びシンブル120の外面とが接着層で接合されている。接着層は、一般的な接着剤から形成可能である。すなわち、第1実施形態とは異なり、チューブ体130は熱収縮チューブで構成されていない。本実施形態において、チューブ体130の外皮が可撓変形するとともに接着層が巻付けグリップ110及びシンブル120の重合部分の外面に接着することにより、チューブ体130が重合部分を内挿した状態で巻付けグリップ110及びシンブル120の外面形状に追従して変形し、巻付けグリップ110及びシンブル120を一体的に保持している。すなわち、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、施工者の作業負担を大幅に軽減するとともに、施工者が部材を落下させる虞をも未然に防止する効果が発揮される。
【0044】
第2実施形態のワイヤ端部固定具100は、巻付けグリップ110、シンブル120及びチューブ体130を準備する工程と、巻付けグリップ110の基端部111の内周に添ってシンブル120の弧状部121の外周を配置し、巻付けグリップ110及びシンブル120の重合部分の少なくとも一部をチューブ体130で包囲する工程と、巻付けグリップ110及びシンブル120の外面形状に追従してチューブ体130を変形させるように、重合部分を内挿した状態のチューブ体130の外皮を指などで押圧し、チューブ体130内面と巻付けグリップ110及びシンブル120の外面とを接着する工程と、を経て製造される。
【0045】
第2実施形態のワイヤ端部固定具100によれば、チューブ体130の内面に接着層が形成されていることにより、筒状のチューブ体130に巻付けグリップ110及びシンブル120の重合部分の少なくとも一部を内挿した状態で該チューブ体130の外皮を押圧することにより、外皮内面の接着層を巻付けグリップ110及び/又はシンブル120の外面に接着し、巻付けグリップ110及びシンブル120の外面形状に追従して変形したチューブ体130を簡単に形成することができる。
【0046】
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形例を取り得る。以下、本発明の変形例を説明する。なお、各変形例において、三桁で示される構成要素において下二桁が共通する構成要素は、説明がない限り、同一又は類似の特徴を有し、その説明を一部省略する。
【0047】
(1)上記実施形態では、巻付けグリップ110の中間部113とシンブル120の直状部123がチューブ体130で一体的に保持されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、図9に示すワイヤ端部固定具200では、巻付けグリップ210の基端部211とシンブル220の弧状部221とがチューブ体230で一体的に保持されている。あるいは、巻付けグリップをシンブルの形状に合わせて湾曲させることにより、シンブル全体を巻付けグリップに重合させて、該重合部分全体をチューブ体で覆うようにしてもよい。
【0048】
(2)上記実施形態では、シンブル120の直状部123が互いに先端が近接するように延びているが、図10に示すワイヤ端部固定具300のように、シンブル320の直状部323が互いに平行であってもよい。該ワイヤ端部固定具300では、2つのチューブ体330によって、巻付けグリップ310の両方の中間部313が、シンブル320の両方の直状部323に一体的に保持されている。
【0049】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0050】
10 支線構造
100 ワイヤ端部固定具
110 巻付けグリップ
111 基端部(アイ部)
113 中間部
115 グリップ部
120 シンブル
121 弧状部
123 直状部
125 外周凹部
127 内周凸部
130 チューブ体
W ワイヤ
X 支持棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10