特許第6563825号(P6563825)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563825
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】ガス発生器
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/264 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   B60R21/264
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-9577(P2016-9577)
(22)【出願日】2016年1月21日
(65)【公開番号】特開2016-147660(P2016-147660A)
(43)【公開日】2016年8月18日
【審査請求日】2018年11月7日
(31)【優先権主張番号】特願2015-22880(P2015-22880)
(32)【優先日】2015年2月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】株式会社ダイセル
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100098408
【弁理士】
【氏名又は名称】義経 和昌
(72)【発明者】
【氏名】井本 勝大
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 征幸
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−070073(JP,A)
【文献】 特開2010−173558(JP,A)
【文献】 特開2010−132067(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3180828(JP,U)
【文献】 特開2013−226889(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0146611(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/264
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス排出口を有するディフューザシェルとクロージャシェルからなるハウジング内に筒状フィルタが配置され、前記筒状フィルタの内側に第1燃焼室と第2燃焼室が配置されたガス発生器であって、
前記筒状フィルタが、外周面が前記ガス排出口と間隔をおいて、第1環状端面が前記ディフューザシェルの天板に当接され、第2環状端面が前記クロージャシェルの底板に当接されて配置されており、
前記第1燃焼室が、前記第1燃焼室内に充填された第1bガス発生剤の点火手段を有する点火手段室と、第2ガス発生剤が充填された前記第2燃焼室の外側空間からなるものであり、
前記点火手段室が、筒状の第1ホルダと、第1点火器と、周壁部に厚さ方向に貫通された複数の第1連通孔を有している第1カップ部材で囲まれた、第1aガス発生剤が充填された空間からなり、
前記筒状の第1ホルダが、前記クロージャシェルの底板の第1穴部に固定され、前記第1点火器が、前記筒状の第1ホルダ内に固定され、前記第1カップ部材が、開口部側から前記筒状の第1ホルダの内側に圧入されているものであり、
前記第2燃焼室が、筒状の第2ホルダと、第2点火器と、周壁部に厚さ方向に貫通された複数の第2連通孔を有している第2カップ部材で囲まれた第2ガス発生剤が充填された空間からなり、
前記筒状の第2ホルダが、前記クロージャシェルの底板の第2穴部に固定され、前記第2点火器が、前記筒状の第2ホルダ内に固定され、前記第2カップ部材が、開口部側から前記筒状の第2ホルダの外側に圧入され、前記周壁部の複数の第2連通孔を含む面が外側からカバー部材で覆われているものであり、
さらにクロージャシェルの底面には前記筒状フィルタの支持部材が配置されており、
前記支持部材が、前記クロージャシェルの底板部に形成された第1穴部と第2穴部に対応する穴を有する底面部と、前記底面部の外周部から垂設された外周壁部を有しているものであり、
前記支持部材の外周壁部の一部が、前記第1ホルダと前記筒状フィルタの間で厚さ方向両側から挟み付けられており、
前記支持部材の底面部が、前記クロージャシェルの底板と前記筒状の第2ホルダに圧入された前記第2カップ部材の開口部の環状端面の間で厚さ方向両側から挟み付けられており、
前記支持部材の外周壁部が前記筒状フィルタの第2環状端面側の内周面に当接されていることで、前記支持部材の底面部と外周壁部からなる角部が、前記筒状フィルタの第2環状端面と前記ディフューザシェルの底板との当接部に当接されているものであり、
第2点火器が作動して、第2燃焼室内の第2ガス発生剤が着火燃焼されて内部の圧力が上昇したとき、第2連通孔とカバー部材の間から前記クロージャシェルの底板方向に燃焼ガスが流出されるものである、ガス発生器。
【請求項2】
前記筒状フィルタの内周面側の高さ(h1)と前記支持部材の外周壁部の高さ(h2)の比(h2/h1)が0.1〜0.2の範囲である、請求項1記載のガス発生器。
【請求項3】
前記ディフューザシェルが、内側の平坦面と、外周側の下向きに傾斜した上部環状傾斜面を有し、
前記クロージャシェルが、内側の平坦面と、外周側の上向きに傾斜した下部環状傾斜面を有しており、
前記筒状フィルタの第1環状端面が前記上部環状傾斜面に当接できる傾斜面を有し、前記筒状フィルタの第2環状端面が前記下部環状傾斜面に当接できる傾斜面を有しており、
前記ディフューザシェルの上部環状傾斜面に前記筒状フィルタの第1環状端面が当接され、前記クロージャシェルの下部環状傾斜面に前記筒状フィルタの第2環状端面が当接されている、請求項1記載のガス発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車に搭載するエアバッグ装置で使用できるガス発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載するエアバッグ装置に使用するガス発生器としては、ガス発生源としてガス発生剤を使用したものが汎用されている。
ガス発生器の点火器が作動してガス発生剤が燃焼したとき、燃焼ガス中に溶融状態の金属を含むミストが含まれる場合がある。
燃焼ガスに含まれるミストは、ガス発生器のハウジング内に配置されたクーラントフィルタにより濾過され、ガス発生器からエアバッグ内に放出され難くなっている。
【0003】
ガス発生器の作動時、内圧の上昇によりハウジングが変形して、ハウジングとクーラントフィルタの間に隙間が生じてしまうと、ミストを含む燃焼ガスがクーラントフィルタを通過せずに直接ガス排出口からエアバッグ内に放出されるショートパスが生じるおそれもある。
このようなショートパスの発生を防止するため、特許文献1の図16では、ハウジングの天板側にクーラント/フィルタ支持部材432が圧入して配置され(段落番号0134)、特許文献2の図2では、ハウジングの天板側にクーラント支持部材32が圧入して配置され(段落番号0041)、特許文献3の図2では、ハウジングの天板側にクーラント手段支持部材50が圧入して配置されている(段落番号0037)。
【0004】
特許文献4の図11では、ハウジングの底板側にアンダープレート18が圧入して配置されているが、ガス発生剤6を支持するためのものであると記載されている(段落番号0053)。
特許文献4の図12では、ショートパスを防止する目的でハウジングの天板側にクーラント支持部材55が配置され(段落番号0050)、ハウジングの底板側に仕切部材110が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−95304号公報
【特許文献2】特開2001−206189号公報
【特許文献3】特開2001−233167号公報
【特許文献4】特開平11−334517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ハウジングと他部材との組み合わせで筒状フィルタの支持部材を固定すると共に、前記筒状フィルタの支持部材によって、ハウジング底板と筒状フィルタとの当接部分からのショートパスを防止することができる、ガス発生器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ガス排出口を有するディフューザシェルとクロージャシェルからなるハウジング内に筒状フィルタが配置され、前記筒状フィルタの内側に第1燃焼室と第2燃焼室が配置されたガス発生器であって、
前記筒状フィルタが、外周面が前記ガス排出口と間隔をおいて、第1環状端面が前記ディフューザシェルの天板に当接され、第2環状端面が前記クロージャシェルの底板に当接されて配置されており、
前記第1燃焼室が、前記第1燃焼室内に充填された第1bガス発生剤の点火手段を有する点火手段室と、第2ガス発生剤が充填された前記第2燃焼室の外側空間からなるものであり、
前記点火手段室が、筒状の第1ホルダと、第1点火器と、周壁部に厚さ方向に貫通された複数の第1連通孔を有している第1カップ部材で囲まれた、第1aガス発生剤が充填された空間からなり、
前記筒状の第1ホルダが、前記クロージャシェルの底板の第1穴部に固定され、前記第1点火器が、前記筒状の第1ホルダ内に固定され、前記第1カップ部材が、開口部側から前記筒状の第1ホルダの内側に圧入されているものであり、
前記第2燃焼室が、筒状の第2ホルダと、第2点火器と、周壁部に厚さ方向に貫通された複数の第2連通孔を有している第2カップ部材で囲まれた第2ガス発生剤が充填された空間からなり、
前記筒状の第2ホルダが、前記クロージャシェルの底板の第2穴部に固定され、前記第2点火器が、前記筒状の第2ホルダ内に固定され、前記第2カップ部材が、開口部側から前記筒状の第2ホルダの外側に圧入され、前記周壁部の複数の第2連通孔を含む面が外側からカバー部材で覆われているものであり、
さらにクロージャシェルの底面には前記筒状フィルタの支持部材が配置されており、
前記支持部材が、前記クロージャシェルの底板部に形成された第1穴部と第2穴部に対応する穴を有する底面部と、前記底面部の外周部から垂設された外周壁部を有しているものであり、
前記支持部材の外周壁部の一部が、前記第1ホルダと前記筒状フィルタの間で厚さ方向両側から挟み付けられており、
前記支持部材の底面部が、前記クロージャシェルの底板と前記筒状の第2ホルダに圧入された前記第2カップ部材の開口部の環状端面の間で厚さ方向両側から挟み付けられており、
前記支持部材の外周壁部が前記筒状フィルタの第2環状端面側の内周面に当接されていることで、前記支持部材の底面部と外周壁部からなる角部が、前記筒状フィルタの第2環状端面と前記ディフューザシェルの底板との当接部に当接されているものであり、
第2点火器が作動して、第2燃焼室内の第2ガス発生剤が着火燃焼されて内部の圧力が上昇したとき、第2連通孔とカバー部材の間から前記クロージャシェルの底板方向に燃焼ガスが流出されるものである、ガス発生器を提供する。
【0008】
本発明のガス発生器は、作動時においてハウジングの底板方向に燃焼ガスが流れるものであり、筒状フィルタの支持部材によって、筒状フィルタとハウジング底板の間から前記燃焼ガスがショートパスすることを防止するものである。
支持部材は、クロージャシェルの底板部に形成された第1穴部と第2穴部に対応する穴を有する底面部と、前記底面部の外周部から垂設された外周壁部を有している。
支持部材の外周壁部は、筒状フィルタの第2環状端面側の内周面に当接されているため、支持部材の底面部と外周壁部からなる角部は、筒状フィルタの第2環状端面とディフューザシェルの底板との当接部に当接されている。
ガス発生器の作動時において、筒状フィルタの第2環状端面とディフューザシェルの底板との当接部に隙間が生じたとき、前記隙間から燃焼ガスのショートパスが生じるおそれがあるが、本発明のガス発生器では、前記隙間に当接された支持部材の底面部と外周壁部からなる角部がショートパスを防止するように作用する。
筒状フィルタは、特許文献1〜4に記載されているクーラントフィルタまたはクーラントと同じものを使用することができる。
【0009】
支持部材は、筒状フィルタの内周面に圧入されていると共に、第1ホルダと筒状フィルタの間で外周壁部の一部が厚さ方向から挟み付けられ、第2カップ部材とハウジング底板の間で底面部が厚さ方向から挟み付けられることで固定されている。
このように支持部材は、単に圧入して固定されているものではなく、他部材との組み合わせで厚さ方向から挟み付けられて固定されているため、支持部材の底面部と外周壁部からなる角部と筒状フィルタの第2環状端面とディフューザシェルの底板との当接部との接触状態が維持される。
このため、支持部材の底面部と外周壁部からなる角部によって、筒状フィルタの第2環状端面とディフューザシェルの底板との当接部からのショートパス防止機能が高められている。
【0010】
本発明のガス発生器は、前記筒状フィルタの内周面側の高さ(h1)と前記支持部材の外周壁部の高さ(h2)の比(h2/h1)が0.1〜0.2の範囲であるものが好ましい。
前記範囲にすることで、ショートパス防止機能が高められ、筒状フィルタへの燃焼ガス流の通過も妨げられない。
【0011】
本発明のガス発生器は、前記ディフューザシェルが、内側の平坦面と、外周側の下向きに傾斜した上部環状傾斜面を有し、
前記クロージャシェルが、内側の平坦面と、外周側の上向きに傾斜した下部環状傾斜面を有しており、
前記筒状フィルタの第1環状端面が前記上部環状傾斜面に当接できる傾斜面を有し、前記筒状フィルタの第2環状端面が前記下部環状傾斜面に当接できる傾斜面を有しており、
前記ディフューザシェルの上部環状傾斜面に前記筒状フィルタの第1環状端面が当接され、前記クロージャシェルの下部環状傾斜面に前記筒状フィルタの第2環状端面が当接されているものが好ましい。
このようにすることで、筒状フィルタの位置決めが容易になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガス発生器は、ハウジングに配置された筒状フィルタの支持部材によって、クロージャシェルと筒状フィルタとの接触面からの燃焼ガスのショートパスが防止されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のガス発生器の軸方向断面図。
図2図1の部分拡大図。
図3図1のガス発生器で使用する筒状フィルタの支持部材の斜視図。
図4図3に示すものとは別実施形態の筒状フィルタの支持部材の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に示すガス発生器1は、ディフューザシェル11とクロージャシェル20からなるハウジング10を有している。ディフューザシェル11とクロージャシェル20は、鉄、ステンレスなどの金属からなるものである。
ディフューザシェル11は、天板12、上部周壁部13を有しており、開口部側にフランジ部14を有している。
上部周壁部13には、周方向に均等間隔で複数のガス排出口15が形成されており、ガス排出口15は内側からシールテープ16で閉塞されている。
クロージャシェル20は、底板21、下部周壁部22を有しており、底板21には、2つの点火器を取り付けるための第1穴部23、第2穴部24が形成されている。
ハウジング10は、クロージャシェル20にディフューザシェル11が被せられた状態で、上部周壁部13の内側面と下部周壁部22の外側面の接触部25において溶接一体化されている。
【0015】
ハウジング10内には筒状フィルタ30が配置されている。
筒状フィルタ30は、外周面31aがガス排出口15を有する上部周壁部13と下部周壁部22の両方と間隔をおいて配置されている。
筒状フィルタ30の第1環状端面32はディフューザシェル11の天板12に当接され、反対側の第2環状端面33はクロージャシェル20の底板21に当接されている。
【0016】
図1の実施形態では天板12は、天板12の外周側に下向きに傾斜した上部傾斜面12aを有し、底板21の外周側に上向きに傾斜した下部傾斜面21aを有しており、残部は平坦面になっている。
筒状フィルタ30の第1環状端面32は上部傾斜面12aに対応した傾斜面を有しており、第2環状端面33は下部傾斜面21aに対応した傾斜面を有しており、それぞれの傾斜面同士が当接されることで位置決めされている。
なお、天板12と底板21が傾斜面のない平坦面からなるものであり、筒状フィルタ30の第1環状端面32と第2環状端面33も平坦面であるものを使用することもできる。
【0017】
筒状フィルタ30の内側には、第1燃焼室40と第2燃焼室50が配置されている。
第1燃焼室40は、点火手段室42と第2燃焼室50を除いた外側空間からなるものである。
第1燃焼室40内には、所要量の第1bガス発生剤41bが充填されている。
【0018】
点火手段室42は、筒状の第1ホルダ43と、第1点火器44と、第1カップ部材45で囲まれた空間からなる。
第1ホルダ43は、クロージャシェル20と同じ材質からなるものを用いることができ、第1カップ部材45は、鉄、ステンレス、アルミニウムなどからなるものが好ましい。
点火手段室42内には、所要量の第1aガス発生剤41aが充填されている。第1カップ部材45の底面部47側には、必要に応じてクッション材を配置することができる。
筒状の第1ホルダ43は、クロージャシェルの底板21の第1穴部23に嵌め込まれ、接触部において溶接固定されている。
第1点火器44は、筒状の第1ホルダ43内に固定されている。
図1の実施形態では、筒状の第1ホルダ43の内周壁面に形成された環状段差面43aに第1点火器44の金属カラー44aが位置するように挿入されている。
第1カップ部材45は、開口部45a側から筒状の第1ホルダ43の内側に圧入されており、開口部45aの環状端面46aと環状段差面43aの間で金属カラー44aが挟み付けられている。
金属カラー44aと第1ホルダ43の内周壁面との環状の隙間には、防湿性を付与するため、Oリング49が嵌め込まれている。
【0019】
第1カップ部材45は、開口部45a側の外径が底面部47側の外径よりも大きく、開口部45aから底面部47の間に段差部48を有している。
第1カップ部材45は、段差部48から底面部47の間の周壁部46において、周方向に複数の第1連通孔46bを有している。複数の第1連通孔46bは、内側からシールテープで閉塞することもできる。
複数の第1連通孔46bと第2カップ部材60の周壁部64に形成された複数の第2連通孔65は、軸X方向の高さが異なっている。
筒状の第1ホルダ43の天板12側のかしめ部43bが、第1カップ部材45の段差部48を半径方向内側に押し付けているため、作動前には第1カップ部材45の軸X方向への脱落が防止されている。
【0020】
第2燃焼室50は、筒状の第2ホルダ52と、第2点火器53と、周壁部64に厚さ方向に貫通された複数の第2連通孔65を有している第2カップ部材60で囲まれた空間からなるものである。
第2ホルダ52は、クロージャシェル20と同じ材質からなるものを用いることができ、第2カップ部材60は、鉄、ステンレス、アルミニウムなどからなるものが好ましい。
第2燃焼室50内には、所要量の第2ガス発生剤51が充填されている。第2カップ部材60の底面部62側には、必要に応じてクッション材を配置することができる。
【0021】
筒状の第2ホルダ52は、クロージャシェルの底板21の第2穴部24に嵌め込まれ、接触部において溶接固定されている。
第2点火器53は、筒状の第2ホルダ52内に固定されている。
図1の実施形態では、筒状の第1ホルダ52の内周壁面に形成された環状段差面52aに第2点火器53の金属カラー53aが位置するように挿入され、さらに筒状の第2ホルダ52のかしめ部52bにより金属カラー53aが押さえつけられることで固定されている。
金属カラー53aと第2ホルダ52の内周壁面との環状の隙間には、防湿性を付与するため、Oリング59が嵌め込まれている。
【0022】
第2カップ部材60は、開口部61側から筒状の第2ホルダ52の外側に圧入されている。
第2カップ部材60は、開口部61側の外径が底面部62側の外径よりも小さく、開口部61から底面部62の間に段差部63を有している。
第2カップ部材60は、段差部63から底面部62の間の周壁部64において、周方向に複数の第2連通孔65を有している。
【0023】
第2カップ部材60は、底面部62と周壁部64の複数の第2連通孔65を含む面が外側からカップ形状のカバー部材67で覆われている。
カバー部材67は、少なくとも周壁部64の複数の第2連通孔65を含む面を覆うことができるものであればよく、筒形状のものでもよい。
カバー部材67は、金属からなるものであり、好ましくは冷間圧延鋼板(SPCC)からなるものを使用することができる。
カバー部材67は、開口部側に切り欠き(例えば、三角に切り取られた部分)を形成して、第2カップ部材60の第2連通孔65から噴き出した燃焼ガスの圧力を受けたとき、前記切り欠き部分から開裂して、燃焼ガスが底板21側に流出し易くなるようにすることができる。
【0024】
クロージャシェル20の底板21には、筒状フィルタ30の支持部材70が配置されている。
支持部材70は、図3に示すとおり、底面部71と、底面部71の外周部から垂設された外周壁部74を有している。
底面部71は、クロージャシェル20の底板21に形成された第1穴部23と同じ形状および大きさの穴72と、第2穴部24と同じ形状および大きさの穴73を有している。
支持部材70の穴72と穴73は、図1に示すように配置したとき、穴72と第1穴部23が一致し、穴73と第2穴部24と一致するように位置が調整されている。
【0025】
支持部材70は、外周壁部74の外周面74aが筒状フィルタ30の第2環状端面33側の内周面31bに当接されており、外周壁部74の一部は、第1ホルダ43と筒状フィルタ30の内周面31bの間で厚さ方向両側から挟み付けられている。
支持部材70の底面部71は、クロージャシェル20の底板21と第2カップ部材60の開口部61の環状端面61aの間で、厚さ方向両側から挟み付けられている。
支持部材70は、底面部71と外周壁部74からなる角部75が、筒状フィルタ30の第2環状端面33とクロージャシェル20の底板21の下部傾斜面21aとの当接部に当接されている。
【0026】
筒状フィルタ30の内周面側の底板21から天板12までの高さ(h1)と支持部材70の外周壁部74の高さ(h2)の比(h2/h1)は0.1〜0.2の範囲であることが好ましく、0.1〜0.15の範囲であることがより好ましい。
h2/h1が前記範囲内であると、第2環状端面33と下部傾斜面21aの当接部分からのショートパス機能が十分に高められると共に、燃焼ガスが筒状フィルタ30を通過して濾過および冷却された後、ガス排出口15から排出される機能も維持される。
【0027】
支持部材71は、図4に示すように底面部71が一つの穴80を有しているものでもよい。
一つの穴80は、クロージャシェル20の底板21に形成された第1穴部23と第2穴部24を含む形状および大きさのものである。
穴80の内周部81は、第1ホルダ43の外周面の一部と第2ホルダ52の外周面の一部に当接できるようになっている。
ガス発生器1は、必要に応じて、ガス発生剤41bを支持するためのリテーナを配置することができる。
【0028】
次に自動車のエアバッグ装置に本発明のガス発生器1を使用したときの動作を説明する。
以下においては、最初に第1点火器44が作動して、僅かに遅れて第2点火器53が作動したときの動作について説明する。
【0029】
第1点火器44が作動して、点火手段室42内の第1aガス発生剤41aが着火燃焼すると、第1カップ部材45の第1連通孔46bから燃焼ガスが第1燃焼室40内に流出して、第1bガス発生剤41bを着火燃焼させる。
第1bガス発生剤41bの燃焼により第1燃焼室40内の圧力がさらに上昇すると、天板12は軸X方向に変形するが、このとき天板12の外周部分の上部傾斜面12aは変形し難く、残部の平坦面が変形し易くなる。
なお、点火手段室42内の第1aガス発生剤41aと第1燃焼室40内の第1bガス発生剤が燃焼して燃焼ガスが発生したときでも、第2カップ部材60の第2連通孔65は金属製のカバー部材67で覆われているため、前記燃焼ガスにより第2燃焼室50内の第2ガス発生剤51が着火されることはない。
【0030】
第1燃焼室40内の燃焼ガスは、筒状フィルタ30を通って、シールテープ16を破り、ガス排出口15からエアバッグ内に排出される。
その後、第2点火器53が作動して、第2燃焼室50内の第2ガス発生剤51が着火燃焼して燃焼ガスが発生する。
第2燃焼室50の第2連通孔65はカバー部材67で覆われているため、燃焼ガスは第2連通孔65とカバー部材67の隙間から、底板21方向に流れる。
【0031】
支持部材70は、底面部71と外周壁部74からなる角部75が、筒状フィルタ30の第2環状端面33とクロージャシェル20の底板21の下部傾斜面21aとの当接部に当接されている。
このため、筒状フィルタ30の第2環状端面33とクロージャシェル20の底板21の下部傾斜面21aの間に隙間が生じた場合であっても、底面部71と外周壁部74からなる角部75により燃焼ガスのショートパスが防止される。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のガス発生器は、自動車に搭載するエアバッグ装置に使用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 ガス発生器
10 ハウジング
11 ディフューザシェル
15 ガス排出口
20 クロージャシェル
40 第1燃焼室
42 点火手段室
44 第1点火器
45 第1カップ部材
50 第2燃焼室
53 第2点火器
60 第2カップ部材
70 筒状フィルタの支持部材
71 底面部
74 外周壁部
75 角部
図1
図2
図3
図4