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特許6563830ばね金具及び防音パネル及び防音パネルの設置構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563830
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】ばね金具及び防音パネル及び防音パネルの設置構造
(51)【国際特許分類】
   E01F 8/00 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   E01F8/00
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-32596(P2016-32596)
(22)【出願日】2016年2月24日
(65)【公開番号】特開2017-150198(P2017-150198A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
(72)【発明者】
【氏名】萩原 徹
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−245821(JP,A)
【文献】 特開2003−129430(JP,A)
【文献】 特開2002−275836(JP,A)
【文献】 米国特許第04143495(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 8/00
E04B 1/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に沿って溝部が形成された支柱の前記溝部内に防音パネルの端部を挿入させて設置させる防音壁に用いられるばね金具であって、
前記ばね金具は、基板部と、該基板部から延設される付勢部とを備え、
前記基板部が前記防音パネルへ当接すると共に、前記付勢部が前記支柱の溝部の内側面へ当接して、前記防音パネルを前記溝部の内側面に対して離間させる方向へ付勢するように設けられており、
前記基板部には雌ねじ部が設けられ、該雌ねじ部は前記基板部と前記付勢部とが離間する方向へ雌ねじ部分が向けられており、
前記付勢部にはねじ部材により押圧可能な押圧部が前記雌ねじ部に対応する位置近傍に設けられており、
前記雌ねじ部へ螺合するねじ部材により前記押圧部が押圧されて、前記付勢部と前記基板部とが接近した状態で保持されていることを特徴とするばね金具。
【請求項2】
上下方向に沿って溝部が形成された支柱の前記溝部内に端部が挿入されて設置される防音パネルであって、
該防音パネルの前記端部にはばね金具が固定されており、
前記ばね金具は、前記防音パネルに固定される基板部と、該基板部から延設される付勢部とを備え、
前記付勢部が前記支柱の溝部の内側面へ当接して、前記防音パネルを前記溝部の内側面に対して離間させる方向へ付勢するように設けられており、
前記基板部には雌ねじ部が設けられ、該雌ねじ部は前記基板部と前記付勢部とが離間する方向へ雌ねじ部分が向けられており、
前記付勢部にはねじ部材により押圧可能な押圧部が前記雌ねじ部に対応する位置近傍に設けられており、
前記支柱へ設置される前の状態において、前記雌ねじ部へ螺合するねじ部材により前記押圧部が押圧されて、前記付勢部と前記基板部とが接近した状態で保持されていることを特徴とする防音パネル。
【請求項3】
上下方向に沿って溝部が形成された支柱の前記溝部内に防音パネルの端部が挿入されて設置されており、
前記支柱の前記溝部の内側面と、該溝部に挿入された防音パネルの端部との間にはばね金具が配置されており、
前記ばね金具は、前記防音パネルへ当接される基板部と、該基板部から延設される付勢部とを備え、
該付勢部が前記支柱の溝部の内側面へ当接して、前記防音パネルを前記溝部の内側面に対して離間させる方向へ付勢させており、
前記基板部には雌ねじ部が設けられ、該雌ねじ部は前記基板部と前記付勢部とが離間する方向へ雌ねじ部分が向けられており、
前記付勢部には前記雌ねじ部に対応する位置近傍に押圧部が設けられており、
前記雌ねじ部へ螺合させたねじ部材により前記押圧部を押圧させて、前記付勢部を前記基板部へ接近させる前記ばね金具の弾性変形の発生及び保持を可能に設けられていることを特徴とする防音パネルの設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車道や鉄道などに設置される吸音パネルや遮音パネルなどの防音パネルを支柱へ固定するためのばね金具、及びばね金具を固定させた防音パネル、及びばね金具によって防音パネルを支柱へ固定させた防音パネルの設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内部に吸音材を内装した吸音パネルや、透光性を有するポリカーボネート板などの遮音板の周囲を枠材で囲う遮音パネルなどの防音パネルを用いる防音壁は、H形鋼を用いた支柱を間隔をあけて複数立設させ、各支柱の溝内に前記防音パネルの両端をそれぞれ挿入させる設置方法が一般的である。このような防音壁においては、支柱の溝の一方の内側面と防音パネルとの間にばね金具を取り付けて両者を離間させるように付勢し、前記防音パネルを前記溝の他方の内側面へ押しつけてがたつきなどを抑制させる構成がよく用いられており、このようなばね金具について種々の発明が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、上下方向に沿って溝部が形成された支柱の前記溝部内に防音パネルの端部を挿入させて設置させる防音壁に用いられるばね金具であって、
前記ばね金具は、基板部と、該基板部の下部から前方へ延設される付勢部と、前記基板部の側部から延設される取付板部とを備え、
前記基板部の後面を防音パネルの前面に対向させて、前記取付板部を前記防音パネルに着脱可能に取り付けるとともに、前記付勢部を前記支柱の溝部の内側面に圧接させることにより、前記防音パネルの前面を前記内側面に対して離間させる方向に付勢させることができることを特徴とするばね金具が、本出願人によって提案されている。
また、特許文献2では、一定間隔をおいて立設されたH形支柱に防音パネルが挿着されてなる防音壁において、H形支柱の相対向したフランジ間に防音パネルの両端部が隙間を設けて緩挿され、該フランジの側縁に前記隙間に挿入させる挿入片とフランジ外面に配置させる押圧片とを有する横断面U字状の固定バネが配設挟装させれ、少なくとも押圧片に穿設されたボルト挿入孔に貫通させたボルト螺子部にナットを螺入させることによって、押圧片が締め付けられ、反発弾性に抗して挿入片が防音パネルに押圧されることを特徴とする防音パネルの固定構造が、本出願人によって提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−059337号公報
【特許文献2】特開2000−355912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示されるばね金具は、支柱に防音パネルを取り付けた状態でばね金具を取り外し可能に設けており、特許文献2に示される防音パネルの固定構造は、バネ材を支柱へ差し込む作業においてハンマー等で打ち込むような作業を不要にしているが、本発明はこれらと異なる構成によって、容易に設置可能な防音パネルと、ばね金具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。
すなわち、本発明に係るばね金具は、上下方向に沿って溝部が形成された支柱の前記溝部内に防音パネルの端部を挿入させて設置させる防音壁に用いられるばね金具であって、
前記ばね金具は、基板部と、該基板部から延設される付勢部とを備え、
前記基板部が前記防音パネルへ当接すると共に、前記付勢部が前記支柱の溝部の内側面へ当接して、前記防音パネルを前記溝部の内側面に対して離間させる方向へ付勢するように設けられており、
前記基板部には雌ねじ部が設けられ、該雌ねじ部は前記基板部と前記付勢部とが離間する方向へ雌ねじ部分が向けられており、
前記付勢部にはねじ部材により押圧可能な押圧部が前記雌ねじ部に対応する位置近傍に設けられており、
前記雌ねじ部へ螺合するねじ部材により前記押圧部が押圧されて、前記付勢部と前記基板部とが接近した状態で保持されていることを特徴としている。
【0007】
本発明に係るばね金具によれば、基板部を前記防音パネルへ当接させると共に、前記基板部から延設させた付勢部を前記支柱の溝部の内側面へ当接させて、防音パネルを支柱の溝部の内側面に対して離間させる方向へ付勢するので、上下方向に沿って溝部を形成させた支柱の前記溝部内に防音パネルの端部を挿入させて設置させたときに、防音パネルのがたつきや位置ずれ等が抑制され、安定する。
また、前記基板部に雌ねじ部を設け、前記付勢部にねじ部材により押圧可能な押圧部を前記雌ねじ部に対応する位置近傍に設けて、前記雌ねじ部へ螺合させたねじ部材により前記押圧部を押圧させて前記付勢部と前記基板部とが接近した状態で保持させるので、支柱の溝部の内側面とこれに挿入させた防音パネルの端部との間に前記ばね金具を容易に配置できる。
また、ばね金具を配置させた後に、前記ねじ部材を前記雌ねじ部から螺脱させることで、前記付勢部と基板部とが接近した状態を容易に解除でき、防音パネルを溝部の内側面から離間させるように付勢させることができる。
【0008】
また、本発明に係る防音パネルは、上下方向に沿って溝部が形成された支柱の前記溝部内に端部が挿入されて設置される防音パネルであって、
該防音パネルの前記端部にはばね金具が固定されており、
前記ばね金具は、前記防音パネルに固定される基板部と、該基板部から延設される付勢部とを備え、
前記付勢部が前記支柱の溝部の内側面へ当接して、前記防音パネルを前記溝部の内側面に対して離間させる方向へ付勢するように設けられており、
前記基板部には雌ねじ部が設けられ、該雌ねじ部は前記基板部と前記付勢部とが離間する方向へ雌ねじ部分が向けられており、
前記付勢部にはねじ部材により押圧可能な押圧部が前記雌ねじ部に対応する位置近傍に設けられており、
前記支柱へ設置される前の状態において、前記雌ねじ部へ螺合するねじ部材により前記押圧部が押圧されて、前記付勢部と前記基板部とが接近した状態で保持されていることを特徴としている。
【0009】
本発明に係る防音パネルによれば、雌ねじ部へ螺合させたねじ部材により押圧部を押圧させて、端部に固定させたばね金具の付勢部と基板部とを接近した状態で保持させているので、前記ばね金具を固定させた防音パネルの端部を支柱の溝部へ容易に挿入させることができる。
また、防音パネルの端部を支柱の溝部へ挿入させた後、前記ねじ部材を雌ねじ部から螺脱させることで、前記付勢部と基板部とが接近した状態を容易に解除でき、防音パネルを溝部の内側面から離間させるように付勢させることができる。
【0010】
また、本発明に係る防音パネルの設置構造は、上下方向に沿って溝部が形成された支柱の前記溝部内に防音パネルの端部が挿入されて設置されており、
前記支柱の前記溝部の内側面と、該溝部に挿入された防音パネルの端部との間にはばね金具が配置されており、
前記ばね金具は、前記防音パネルへ当接される基板部と、該基板部から延設される付勢部とを備え、
該付勢部が前記支柱の溝部の内側面へ当接して、前記防音パネルを前記溝部の内側面に対して離間させる方向へ付勢させており、
前記基板部には雌ねじ部が設けられ、該雌ねじ部は前記基板部と前記付勢部とが離間する方向へ雌ねじ部分が向けられており、
前記付勢部には前記雌ねじ部に対応する位置近傍に押圧部が設けられており、
前記雌ねじ部へ螺合させたねじ部材により前記押圧部を押圧させて、前記付勢部を前記基板部へ接近させる前記ばね金具の弾性変形の発生及び保持を可能に設けられていることを特徴としている。
【0011】
本発明に係る防音パネルの設置構造によれば、支柱の溝部内へ挿入させた防音パネルの端部と、前記溝部の内側面との間に配置させたばね金具の付勢部と基板部によって、前記防音パネルを前記溝部の内側面から離間させる方向へ付勢させているので、防音パネルのがたつきや位置ずれ等が抑制され、安定する。
また、前記基板部に雌ねじ部を設け、ねじ部材により押圧可能な押圧部を前記付勢部の前記雌ねじ部に対応する位置近傍に設け、前記雌ねじ部へ螺合させたねじ部材によって前記押圧部を押圧させて、前記付勢部を前記基板部へ接近させる前記ばね金具の弾性変形を生じさせて保持できるので、前記ばね金具による防音パネルの付勢を容易に解除でき、防音パネルを支柱から取り外すことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るばね金具及び防音パネルによれば、支柱の溝部へ防音パネルの端部を挿入させて容易に設置できる。
また、本発明に係る防音パネルの設置構造によれば、支柱へ取り付けた防音パネルのがたつきなどを抑制させるばね金具の付勢を容易に解除させて、支柱から防音パネルを取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る防音パネルの実施の一形態を示す正面図である。
図2図1の右側面図である。
図3図1の防音パネルに固定されたばね金具を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図である。
図4図3の左側面図である。
図5図3の背面図である。
図6図1の防音パネルの端部付近の平面図である。
図7図1の防音パネルの端部を支柱に挿入させた状態を示す平面図である。
図8図7のばね金具のねじ部材を螺脱させた状態を示す図である。
図9図8のばね金具に他のねじ部材を螺合させた状態を示す図である。
図10図9のねじ部材により、ばね金具の押圧部を押圧させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態を図面に基づき具体的に説明する。
図面において1は防音パネルである。
防音パネル1は、内側に中空部分を有する横長の矩形箱状に形成させており、多数の貫通孔12を略全面に亘って設けた前面板11と、その後方に配置させた背面板との間に吸音材を内装させ、前方からの騒音を前記吸音材で吸収させて低減させるように設けている。
【0015】
防音パネル1は、左右の端部をそれぞれ間隔を開けて立設させた支柱9へ取り付けて設置させるように設けている。防音パネル1の端部には、支柱9への取り付けに用いるばね金具2をそれぞれ前面側に固定させており、左右の端部にそれぞれ4個づつ合計8個のばね金具2を取り付けている。
【0016】
図3図1の防音パネル1に固定されたばね金具2を示す、(イ)は平面図であり、(ロ)は正面図であり、図4図3の左側面図であり、図5図3の背面図である。
ばね金具2は、基板部3と、この基板部3の側方から前方へ向けて延設させた曲部4と、この曲部4から側方へ延設させた付勢部5とを備える略U字形状に形成して設けた、所謂板ばねであり、後方側に配置させた基板部3の後面を前記防音パネル1へ当接させて固定させるように設けている。
【0017】
前記ばね金具2の基板部3には、丸孔形状の貫通孔32を2個形成させており、各貫通孔32は前記基板部3の端部付近に上下に間隔をあけて配置させている。
前記各貫通孔32は、ばね金具2を前記防音パネル1へ固定させるためのボルト等のねじ部材を挿通させるために設けている。また各貫通孔32に挿通させたねじ部材によるばね金具2の取り付け作業を容易にするために、各貫通孔32に対応する前記付勢部5の位置に切り欠きを設けている。
尚、図3(イ)は、貫通孔32の図示を省略している。
【0018】
図3〜5に示すばね金具2には、ボルトからなるねじ部材6を取り付けている。
前記ねじ部材6は、その雄ねじ部61を前記付勢部5へ前方から挿通させると共に、前記基板部3に形成した雌ねじ部31へ螺合させて取り付けている。
雌ねじ部31は、前記基板部3の端部付近に設けており、具体的には、上下に間隔をあけて形成した前記各貫通孔32の中央に配置させている。
前記付勢部5には、前記雌ねじ部31に対応する位置に、左右に長い長孔形状の貫通長孔51を形成しており、この貫通長孔51へ前記ねじ部材6の雄ねじ部61を挿通させている。雌ねじ部31に対応する位置とは、雌ねじ部31の雌ねじ部分を延長させた位置を意味する。
尚、前記ばね金具2に形成した貫通長孔51は孔形状に設けているが、これに限るものではなく、付勢部5へねじ部材6を挿通可能な他の形状に設けても良い。例えば、貫通する部分が付勢部5の端部に至る切り欠き形状に設けても良い。
【0019】
前記ばね金具2は、曲部4が弾性変形して前記基板部3と前記付勢部5とが接近している状態を、取り付けた前記ねじ部材6によって保持させている。
具体的には、前記基板部3は、前記貫通長孔51の周囲に位置する押圧部52が、前記ねじ部材6のねじ頭部62に当接し押圧された状態となされている。
即ち、前記ばね金具2は、前記ねじ部材6を雌ねじ部31から螺脱させると、曲部4の弾性変形が復元して、基板部3と付勢部5とが離間するように設けている。
【0020】
前記ばね金具2は、前記基板部3の板厚を部分的に大きく形成させた厚板部33を設けている。
具体的には、厚板部33は基板部3の前面側に矩形の金属板を取り付けて設けており、前記雌ねじ部31と各貫通孔32はこの厚板部33に形成させている。
厚板部33に雌ねじ部31を形成することで、ばね金具2を構成する板ばね全体の厚みを大きくすることなく雌ねじ部31の雌ねじの長さを十分な長く設けることができる。また、雌ねじ部31へ螺結させて前記基板部3と付勢部5とを接近させた状態で保持するねじ部材6によって生じる、雌ねじ部31の近傍とそれ以外の基板部3の部分との間の歪みを抑制できる。
尚、図3〜5に示すばね金具2は、矩形板状の厚板部33に雌ねじ部31を形成しているが、これに限るものではなく、基板部3へナットなどの雌ねじ部材を固定させて厚板部33を設けても良く、厚板部33を設けずに基板部3へ雌ねじ部31を形成してもよい。厚板部33を設けずに雌ねじ部31を形成する場合には、基板部3へ所謂バーリング加工などを施し、雌ねじ部31の雌ねじの長さを基板部3の板厚よりも長く設けてもよい。
【0021】
図6図1の防音パネル1の端部付近の平面図である。
図6は、防音パネル1の前面側に、図3〜5に示すばね金具2を固定させた状態を示している。
防音パネル1の前面側には、ばね金具2を固定するためのねじ部材13を設けており、ねじ部材13は雄ねじを前方へ突出させて設けている。
前記ばね金具2は、前記各貫通孔32へ前記ねじ部材13を挿通させ、このねじ部材13へナット14を螺結させて防音パネル1へ固定させている。
尚、図1の防音パネル1は、ねじ部材13の雄ねじを突出させて設けているがこれに限るものではなく、防音パネル1へ雌ねじを備えるねじ部材を設け、前記貫通孔32へ挿通させたボルトを螺結させて前記ばね金具2を固定させるようにしてもよい。
【0022】
図7図1の防音パネル1の端部を支柱9に挿入させた状態を示す平面図である。
図1の防音パネル1は、間隔をあけて立設させた支柱9の間に架け渡してそれぞれ固定させるように設けている。
尚、図7及び後述する図8〜10においては、ばね金具2を防音パネル1へ取り付けているねじ部材13やナット14の図示を省略して、図を簡略化している。
【0023】
支柱9は、その両側の側方に上下方向に沿って溝部91を備えるように設けており、具体的には支柱9は2本のフランジ95a、95bとそれらの間に1本のウェブ96を備えた断面H形とした、所謂、H形鋼を用いている。支柱9は、前記フランジ95aとフランジ95bとをそれぞれ前方側と後方側に配置させ、前記各フランジ95a、95bとこれらの間に形成させたウェブ96とが前記溝部91を形成するように配置させて立設させている。
【0024】
前記防音パネル1の端部を支柱9の溝部91へ挿入させたとき、防音パネル1に取り付けたばね金具2も前記溝部91へ挿入されるように設けている。前記ばね金具2の部分を含む防音パネル1の厚み方向の大きさは、前記支柱9の溝部91の溝幅の大きさ、即ち溝部91の内側面を構成するフランジ95aの後面とフランジ95bの前面との間隔よりも若干小さく形成させており、支柱9の溝部91へ防音パネル1の端部を容易に挿入できるように設けている。
【0025】
前記防音パネル1は、その端部を支柱9の溝部91へ挿入させたとき、溝部91へ挿入されるばね金具2の基板部3の一部と、付勢部5の一部が溝部91の外側に配置されるように設けている。
具体的には、ばね金具2を防音パネル1へ取り付けるねじ部材13と、前記基板部3と前記付勢部5とを接近させて保持しているねじ部材6とが溝部91の外側に配置されるように、基板部3に形成した貫通孔32、雌ねじ部31と、付勢部5に設けた貫通長孔51を形成している。
【0026】
図7に示すように、支柱9の溝部91へ防音パネル1の端部を挿入させた後、ばね金具2へ取り付けたねじ部材6を雌ねじ部31から螺脱させると、曲部4の弾性変形が復元し、基板部3と付勢部5とが接近した状態が解除され、基板部3と付勢部5とが離間する。
図8図7のばね金具2のねじ部材6を螺脱させた状態を示す図である。
ねじ部材6を雌ねじ部31から螺脱させて基板部3と付勢部5を離間させると、付勢部5の前面が支柱9の溝部91の内側面、即ちフランジ95aの後面へ当接すると共に、離間する基板部3が防音パネル1の後面を支柱9のフランジ95bの前面へ押しつけるように防音パネル1を後方へ付勢させる。
ばね金具2の付勢によりフランジ95bの前面へ押しつけられた防音パネル1は、支柱9に対する位置ずれや、がたつき、摩耗などが抑制されるように設置される。
【0027】
図1の防音パネル1を支柱9へ設置させ、防音パネル1を支柱9の溝部91の内側面へ押しつけるようにばね金具2が付勢する状態において、付勢部5の貫通長孔51が雌ねじ部31に対応する位置に配置されるようにばね金具2を設けている。
具体的には、図8に示すように基板部3と付勢部5とが離間した状態においても、貫通長孔51が雌ねじ部31の雌ねじ部分の延長上に位置するように設けている。換言すると、支柱9へ防音パネル1を設置させた状態において、ばね金具2の貫通長孔51へ挿通させたねじ部材の雄ねじ部分を、雌ねじ部31へ螺合させることができるように設けている。
図9図8のばね金具2に他のねじ部材8を螺合させた状態を示す図である。
【0028】
前記ねじ部材8は、雄ねじ部81とねじ頭部82とを備えるボルトを有し、この雄ねじ部81へナット83を螺合させている。
図9は、このねじ部材8の雄ねじ部81をばね金具2の貫通長孔51へ前方から挿通させると共に、基板部3の雌ねじ部31へ螺結させた状態を示している。
この状態でねじ部材8のナット83を回転させ、ばね金具2の方向へ移動させれば、ナット83を貫通長孔51の近傍に位置する付勢部5の押圧部52に当接させ、更に押圧部52を押圧させて、曲部4を弾性変形させ付勢部5を基板部3へ接近させると共に、その状態を保持することができる。
図10図9のねじ部材8により、ばね金具2の押圧部52を押圧させた状態を示す図である。
【0029】
図10において、ばね金具2は、雌ねじ部31へ取り付けたねじ部材8により、基板部3と付勢部5を接近させた状態で保持させているので、ばね金具2による防音パネル1の付勢が解除され、ばね金具2と支柱9の溝部91の内側面との間に若干の隙間を生じさせている。
このため、支柱9へ設置させた防音パネル1を溝部91から容易に抜き取り取り外すことができる。
また、ばね金具2を防音パネル1へ取り付けているナット14を取り外せば、防音パネル1を支柱9へ取り付けた状態で、ばね金具2のみを取り外すことも容易に実施できる。
【0030】
本発明に係るばね金具2や防音パネル1は、図1〜10に示す実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0031】
例えば、図1に示す防音パネル1は、図6に示すように、ばね金具2をねじ部材13及びナット14を用いて防音パネル1へ取り付けているがこれに限るものではない。
例えば、ねじ部材13以外の取り付け手段を用いてばね金具2を防音パネル1へ取り付けても良く、ばね金具2を防音パネル1へ直接取り付けずに防音パネル1の前面と支柱9の溝部91の内側面との間に配置させ、ばね金具2の付勢の力によって取り付け位置から外れないように設けても良い。
【0032】
また、図1に示す防音パネル1は、内側の中空部分に吸音材を内装させて吸音性を備えさせているが、これに限るものではなく、吸音材を備えず主に遮音性能を有する防音パネルを利用しても良い。
【符号の説明】
【0033】
1 防音パネル
11 前面板
12 貫通孔
13 ねじ部材
14 ナット
2 ばね金具
3 基板部
31 雌ねじ部
32 貫通孔
33 厚板部
4 曲部
5 付勢部
51 貫通長孔
52 押圧部
6 ねじ部材
61 雄ねじ部
62 ねじ頭部
8 ねじ部材
81 雄ねじ部
82 ねじ頭部
83 ナット
9 支柱
91 溝部
95a フランジ
95b フランジ
96 ウェブ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10