特許第6563833号(P6563833)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6563833光ディスク再生装置、その再生処理回路、光ディスクの再生方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563833
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】光ディスク再生装置、その再生処理回路、光ディスクの再生方法
(51)【国際特許分類】
   G11B 20/10 20060101AFI20190808BHJP
   G11B 20/18 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   G11B20/10 C
   G11B20/10 321Z
   G11B20/18 560A
   G11B20/18 572C
   G11B20/18 572F
   G11B20/18 574D
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-45876(P2016-45876)
(22)【出願日】2016年3月9日
(65)【公開番号】特開2017-162529(P2017-162529A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2019年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 洋行
【審査官】 中野 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭62−183065(JP,A)
【文献】 特開2004−071003(JP,A)
【文献】 特開平08−221903(JP,A)
【文献】 特開平08−007479(JP,A)
【文献】 特開2000−105978(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0071732(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 20/10
G11B 20/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクの再生方法であって、
メインシーケンス(A)と、
サブシーケンス(B)と、
を備え、
前記メインシーケンス(A)は、
現在のフレーム番号を取得し、フレーム番号が、最後に正常と判定されたフレーム番号と連続であるとき、現在のフレームを正常、そうでないとき異常と判定するステップ(A−1)と、
前記ステップ(A−1)の結果、現在のフレームが正常であるとき、現在のフレームのオーディオデータをメインバッファに格納して再生対象とし、次のフレームに移動し、ステップ(A−1)に戻るステップ(A−2)と、
前記ステップ(A−1)の結果、現在のフレームが異常であるとき、サブシーケンスに移行するステップ(A−3)と、
を含み、
前記サブシーケンス(B)は、
現在のフレームのオーディオデータをサブバッファに暫定的に保持するステップ(B−1)と、
次のフレームに移動し、現在のフレーム番号を取得するステップ(B−2)と、
現在のフレーム番号が期待値と一致するか否かを判定するステップ(B−3)と、
前記ステップ(B−3)において、現在のフレーム番号が期待値と一致したとき、それまでに前記サブバッファに暫定的に保持されたオーディオデータを前記メインバッファに格納して再生対象とし、次のフレームに移動し、前記メインシーケンスの前記ステップ(A−1)に戻るステップと(B−4)、
前記ステップ(B−3)において、現在のフレーム番号が期待値と一致せず、かつ前記サブシーケンスの繰り返し回数が所定の許容回数N(Nは自然数)以下のとき、前記ステップ(B−1)に戻るステップ(B−5)と、
前記ステップ(B−3)において、現在のフレーム番号が期待値と一致せず、かつ前記サブシーケンスの繰り返し回数が前記許容回数Nを超えたとき、最後に正常と判定されたフレームに移動し、前記メインシーケンスの前記ステップ(A−1)に戻るステップと(B−6)と、
を含むことを特徴とする再生方法。
【請求項2】
暫定的に保持されたフレームのオーディオデータに誤りがあるとき、その前および/またはその後のフレームのオーディオデータの補完により、誤ったオーディオデータを修正するステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の再生方法。
【請求項3】
前記サブシーケンス(B)は、
前記ステップ(B−3)において、現在のフレーム番号が、期待値より1大きいとき、それまでに暫定的に保持されたオーディオデータを再生処理し、不足する1フレーム分のオーディオデータを補完により生成するステップ(B−7)をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の再生方法。
【請求項4】
光ディスクの再生処理回路であって、
現在のフレーム番号を取得するフレーム番号取得部と、
現在のフレームのオーディオデータを取得するオーディオデータ取得部と、
前記現在のフレーム番号および前記オーディオデータを処理する信号処理部と、
メインバッファと、
サブバッファと、
を備え、
前記信号処理部は、
(i)現在のフレーム番号が、最後に正常と判定されたフレーム番号と連続であるとき、現在のフレームのオーディオデータを前記メインバッファに格納し、不連続であるとき、現在のフレームのオーディオデータをサブバッファに保持し、ピックアップを次のフレームに移動させ、
(ii)前記サブバッファにオーディオデータを格納した回数が許容回数Nを超えると、ピックアップを最後に正常と判定されたフレームに移動させ、
(iii)前記サブバッファにオーディオデータを格納した回数が許容回数Nを超える前に、現在のフレーム番号が期待値と一致すると、それまでに前記サブバッファに格納したオーディオデータをメインバッファに格納することを特徴とする再生処理回路。
【請求項5】
前記サブバッファに格納されるあるフレームのオーディオデータに誤りがあるとき、その前および/またはその後のフレームのオーディオデータの補完により、誤ったオーディオデータを修正し、前記メインバッファに格納する補完回路をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の再生処理回路。
【請求項6】
前記メインバッファに格納されるあるフレームのオーディオデータに誤りがあるとき、その前および/またはその後のフレームのオーディオデータの補完により、誤ったオーディオデータを修正する補完回路をさらに備えることを特徴とする請求項4または5に記載の再生処理回路。
【請求項7】
ひとつの半導体基板に一体集積化されることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の再生処理回路。
【請求項8】
ピックアップと、
前記ピックアップを位置決めするサーボ機構と、
前記ピックアップからの電気信号を処理するアナログフロントエンド回路と、
前記アナログフロントエンド回路からのデータを処理するとともに、サーボ機構を制御する請求項4から7のいずれかに記載の再生処理回路と、
を備えることを特徴とする光ディスク再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオデータを収容するメディアとして、コンパクトディスクが広く普及している。コンパクトディスクには、ピットと呼ばれる溝が形成されており、ピットとランドのパターンが情報を表す。
【0003】
再生装置は、フレームごとに順にデータを読み出す。各フレームには、フレーム番号が順に付されている。再生装置は、サブコードに含まれるフレーム番号を取得し、フレーム番号が昇順で連続的に増加したか否かが判定される。そしてフレーム番号が連続的に増加しているときには、そのフレーム内のデータを読み出し、読み出したデータをバッファに格納する。フレーム番号が不連続である場合、最後に正しく読み出したフレーム番号に戻り、読み込みをリトライする。再生装置は、バッファに格納されたデータを再生する。
【0004】
コンパクトディスクの再生時に、振動が発生すると、音飛びの原因となる。またコンパクトディスクの表面に傷が付いている場合にも、音飛びの原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−35097号公報
【特許文献1】特開平9−45017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1(a)は、振動が発生したときの再生の様子を示す図である。第10フレーム〜第12フレームまでは正常に読み出される(i)。そして、振動によってピックアップが第16フレームに対応する位置に移動し(ii)、そのフレームのサブコードが読み出される(iii)。そして、サブコードに含まれるフレーム番号16と、直前に正常に読み出したフレーム番号12との連続性がチェックされる。フレーム番号12と16は不連続であるため(iv)、再生装置は第12フレームに戻り、読み込みをリトライする(v)。振動が収まっていれば、第12フレーム以降を正常に読み出すことができる(vi)。リトライに要する時間(数百ms)が、バッファの長さ(たとえば数秒)より短ければ、音飛びせずに再生することができる。
【0007】
図1(b)は、コンパクトディスクに傷が付いているときの再生の様子を示す図である。いま第13,第14フレームに傷が入っているとする。傷が存在しない第10〜第12フレームについては、正常に読み出すことができ、バッファに格納される。ところが第13フレームには傷が入っており、正しいフレーム番号が取得できない。その結果、フレーム番号が不連続と判定され(ii)、最後に正常に読み出された第12フレームに戻り、そこから再生をリトライする(iii)。ふたたび第13フレームを読み出しても、正しいフレーム番号が取得できず、再度のリトライが発生する。このように傷によりフレーム番号が正しく読み出せないと、リトライが繰り返される。やがてバッファに格納されるデータがすべて再生済みとなると、長時間の無音(音飛び)が発生することとなる。
【0008】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、音飛びを抑制した再生装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様は、光ディスクの再生方法に関する。再生方法は、メインシーケンス(A)と、サブシーケンス(B)と、を備える。メインシーケンス(A)は、以下の処理を含む。
ステップA−1: 現在のフレーム番号を取得し、フレーム番号が、最後に正常と判定されたフレーム番号と連続であるとき、現在のフレームを正常、そうでないとき異常と判定する。
ステップA−2: ステップ(A−1)の結果、現在のフレームが正常であるとき、現在のフレームのオーディオデータを再生対象とし、次のフレームに移動し、ステップ(A−1)に戻る。
ステップ(A−3): ステップ(A−1)の結果、現在のフレームが異常であるとき、サブシーケンスに移行する。
またサブシーケンス(B)は以下の処理を含む。
(B−1) 現在のフレームのオーディオデータを暫定的に保持する。
(B−2) 次のフレームに移動し、現在のフレーム番号を取得する。
(B−3) 現在のフレーム番号が期待値と一致するか否かを判定する。
(B−4) ステップ(B−3)において、現在のフレーム番号が期待値と一致したとき、それまでに暫定的に保持されたオーディオデータを再生対象とし、次のフレームに移動し、メインシーケンスのステップ(A−1)に戻る。
(B−5) ステップ(B−3)において、現在のフレーム番号が期待値と一致せず、かつサブシーケンスの繰り返し回数が所定の許容回数N(Nは自然数)以下のとき、ステップ(B−1)に戻る。
(B−6) ステップ(B−3)において、現在のフレーム番号が期待値と一致せず、かつサブシーケンスの繰り返し回数が許容回数Nを超えたとき、最後に正常と判定されたフレームに移動し、メインシーケンスのステップ(A−1)に戻る。
【0010】
この態様によると、許容回数N以下の連続するフレームに傷などが入っている場合に、音飛びを発生させずに、オーディオデータを再生できる。
【0011】
ある態様の再生方法は、暫定的に保持されたフレームのオーディオデータに誤りがあるとき、その前および/またはその後のフレームのオーディオデータの補完により、誤ったオーディオデータを修正するステップをさらに備えてもよい。
傷などの影響によって、フレーム番号に加えて、オーディオデータが誤っている場合に、自然な再生が可能となる。
【0012】
サブシーケンス(B)は、ステップ(B−3)において、現在のフレーム番号が、期待値より1大きいとき、それまでに暫定的に保持されたオーディオデータを再生処理し、不足する1フレーム分のオーディオデータを補完により生成するステップ(B−7)をさらに含んでもよい。これにより、さらに音飛びを抑制できる。
【0013】
本発明の別の態様は、光ディスクの再生処理回路に関する。再生処理回路は、現在のフレーム番号を取得するフレーム番号取得部と、現在のフレームのオーディオデータを取得するオーディオデータ取得部と、現在のフレーム番号およびオーディオデータを処理する信号処理部と、メインバッファと、サブバッファと、を備える。信号処理部は、(i)現在のフレーム番号が、最後に正常と判定されたフレーム番号と連続であるとき、現在のフレームのオーディオデータをメインバッファに格納し、不連続であるとき、現在のフレームのオーディオデータをサブバッファに保持し、ピックアップを次のフレームに移動させる。また信号処理部は、(ii)サブバッファにオーディオデータを格納した回数が許容回数Nを超えると、ピックアップを最後に正常と判定されたフレームに移動させる。また信号処理部は、(iii)サブバッファにオーディオデータを格納した回数が許容回数Nを超える前に、現在のフレーム番号が期待値と一致すると、それまでにサブバッファに格納したオーディオデータをメインバッファに格納する。
【0014】
この態様によると、許容回数N以下の連続するフレームに傷などが入っている場合に、音飛びを発生させずに、オーディオデータを再生できる。
【0015】
再生処理回路は、メインバッファに格納されるオーディオデータを再生する再生部をさらに備えてもよい。再生部は、あるフレームにおいてオーディオデータに誤りがあるとき、その前および/またはその後のフレームのオーディオデータの補完により、誤ったオーディオデータを修正してもよい。
【0016】
再生処理回路は、サブバッファに格納されるあるフレームのオーディオデータに誤りがあるとき、その前および/またはその後のフレームのオーディオデータの補完により、誤ったオーディオデータを修正し、メインバッファに格納する補完回路をさらに備えてもよい。
【0017】
再生処理回路は、メインバッファに格納されるあるフレームのオーディオデータに誤りがあるとき、その前および/またはその後のフレームのオーディオデータの補完により、誤ったオーディオデータを修正する補完回路をさらに備えてもよい。
【0018】
再生処理回路はひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。
「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0019】
本発明の別の態様は、光ディスク再生装置に関する。光ディスク再生装置は、ピックアップと、ピックアップを位置決めするサーボ機構と、ピックアップからの電気信号を処理するアナログフロントエンド回路と、アナログフロントエンド回路からのデータを処理するとともにサーボ機構を制御する再生処理回路と、を備える。
【0020】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0021】
本発明のある態様によれば、音飛びを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1(a)は、振動が発生したときの再生の様子を示す図であり、図1(b)は、コンパクトディスクに傷が付いているときの再生の様子を示す図である。
図2】実施の形態に係る再生処理回路を備える光ディスク再生装置のブロック図である。
図3図2の光ディスク再生装置の動作を示すフローチャートである。
図4】コンパクトディスクに傷が付いているときの再生の様子を示す図である。
図5図4に対応するタイムチャートである。
図6】振動によりピックアップがジャンプしたときの再生の様子を示す図である。
図7図6に対応するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0024】
図2は、実施の形態に係る再生処理回路100を備える光ディスク再生装置200のブロック図である。光ディスク再生装置200は、光ディスク(コンパクトディスク)2に記録されたオーディオデータを読み出し、それを再生する。
【0025】
光ディスク再生装置200は、ピックアップ202、サーボ機構204、アナログフロントエンド回路206および再生処理回路100を備える。ピックアップ202は、光ディスク2の表面にレーザ光を照射し、その反射光を検知する。反射光は、光ディスク2の表面に形成されたランドとピットのパターンに応じた波形を有する。ピックアップ202は、反射光に応じた電気信号S1を生成する。アナログフロントエンド回路206は、ピックアップ202が生成した電気信号S1を増幅し、1/0のデジタル信号に変換する。
【0026】
サーボ機構204は、ピックアップ202を位置決めする。具体的には、サーボ機構204は、ピックアップ202の高さを決めるフォーカシングサーボ、ピックアップ202の径方向の位置をピット列に追従するように微調節するトラッキングサーボ、およびピックアップ202全体を周方向にゆっくりと移動させるサーボを含む。
【0027】
再生処理回路100は、アナログフロントエンド回路206からのデータS2を処理するとともに、サーボ機構204を制御する。
【0028】
再生処理回路100は、フレーム番号取得部102、オーディオデータ取得部104、信号処理部110、メインバッファ112、サブバッファ114、再生処理部116、補完回路120を備える。再生処理回路100は、ひとつの半導体基板に集積化された機能ICであってもよい。
【0029】
フレーム番号取得部102は、サブコードを参照し、現在のフレーム番号S11を取得する。オーディオデータ取得部104は、現在のフレームのオーディオデータS12を取得する。
【0030】
信号処理部110は、フレーム番号取得部102が取得した現在のフレーム番号S11およびオーディオデータ取得部104が取得したオーディオデータS12を処理する。
【0031】
信号処理部110は、(i)現在のフレーム番号S11が、最後に正常と判定されたフレーム番号(最終正常フレーム番号)S13と連続であるとき、現在のフレームのオーディオデータS12をメインバッファ112に格納し、再生対象とする。そして信号処理部110は、サーボ機構204を制御して、ピックアップ202を次のフレームに移動させる。再生処理部116は、メインバッファ112に格納されたオーディオデータを再生する。メインバッファ112はFIFO(First In First Out)メモリであってもよい。
【0032】
また信号処理部110は、(ii)サブバッファ114にオーディオデータS12を格納した回数(つまり後述のサブシーケンスの繰り返し回数Y)が許容回数Nを超えると、サーボ機構204を制御して、ピックアップ202を、最後正常フレームに移動させる。たとえば許容回数Nは、3〜20回程度であってもよい。許容回数は、メインバッファ112が格納可能なフレーム数Mに応じて定めればよく、N≦Mとすることが望ましい。
【0033】
また信号処理部110は、(iii)サブバッファ114にオーディオデータS12を格納した回数(繰り返し回数Y)が許容回数Nを超える前に、現在のフレーム番号S11が期待値S14と一致すると、それまでにサブバッファ114に格納したオーディオデータS12をメインバッファ112に格納し、再生対象とする。フレーム番号S11の期待値S14は、最終正常フレーム番号S13を基準として、フレームの移動ごとに1ずつインクリメントした値である。
【0034】
なおメインバッファ112とサブバッファ114は、物理的に独立したメモリであってもよいし、ひとつのメモリの異なる空間であってもよい。
【0035】
補完回路120は、メインバッファ112に格納されるあるフレームのオーディオデータに誤りがあるとき、その前および/またはその後のフレームのオーディオデータの補完により、誤ったオーディオデータを修正してもよい。
【0036】
それに代えて、あるいはそれに加えて、補完回路120は、サブバッファ114に格納されるあるフレームのオーディオデータに誤りがあるとき、その前および/またはその後のフレームのオーディオデータの補完により、誤ったオーディオデータを修正し、メインバッファ112に格納してもよい。
【0037】
以上が再生処理回路100および光ディスク再生装置200の構成である。続いてその動作を説明する。図3は、図2の光ディスク再生装置200の動作を示すフローチャートである。
【0038】
このフローチャートは、メインシーケンスAと、サブシーケンスBに分けて考えることができる。はじめにメインシーケンスAを説明する。メインシーケンスAは、ステップS100,S102,S104,S106を含む。
【0039】
ステップS100において、現在のフレーム番号を取得する。このときに併せてそのフレームのオーディオデータを取得してもよい。そしてフレーム番号が、最後に正常と判定されたフレーム番号と連続か否かが判定し、連続であるとき現在のフレームを正常、そうでないとき異常と判定する(S102)。
【0040】
ステップS102の結果、現在のフレームが正常であるとき(S102のY)、現在のフレームのオーディオデータを再生対象とし(S104)、次のフレームに移動する(S106)。そしてステップS100に戻る。
【0041】
光ディスク2に傷などの異常がなく、振動などによるピックアップ202のジャンプが発生しない状況では、メインシーケンスAが繰り返される。
【0042】
続いてサブシーケンスBを説明する。サブシーケンスBには、メインシーケンスAのステップS102の結果、現在のフレームが異常であるときに移行する(S102のN)。
【0043】
サブシーケンス(B)では、現在のフレームのオーディオデータを暫定的に保持する(S108)。そして次のフレームに移動し(S110)、現在のフレーム番号(およびオーディオデータ)を取得する(S112)。そして、現在のフレーム番号が期待値と一致するか否かを判定する(S114)。
【0044】
そして現在のフレーム番号が期待値と一致したとき(S114のY)、それまでに暫定的に保持されたオーディオデータを再生対象とし(S116)、次のフレームに移動し(S18)、メインシーケンスAのステップS100に戻る。
【0045】
一方、ステップS114において、現在のフレーム番号が期待値と一致せず(S114のN)、かつサブシーケンスBの繰り返し回数Yが所定の許容回数N(Nは自然数)以下のとき(S120のY)、サブシーケンスBの先頭のステップS108に戻り、サブシーケンスを繰り返す。このとき繰り返し回数Yはインクリメントされる。
【0046】
またステップS114において、現在のフレーム番号が期待値と一致せず(S114のN)、かつサブシーケンスBの繰り返し回数Yが許容回数Nを超えたとき(S120のN)、最後に正常と判定されたフレームに移動し(S122)、メインシーケンスAのステップS100に戻る。
【0047】
なお、図3のフローチャートは、各処理の順序を限定するものではなく、いくつかの処理は、破綻しない限りにおいて入れかえて実行することが可能であり、そうしたものも本発明の範囲に含まれる。
【0048】
図4は、コンパクトディスクに傷が付いているときの再生の様子を示す図である。図5は、図4に対応するタイムチャートである。いま第13,第14フレームに傷が入っているとする。傷が存在しない第10〜第12フレームについては、図3のメインシーケンスAによって正常に読み出すことができ、それらのオーディオデータD10,D11,D12は、メインバッファ112に順に格納される。ここでは許容数N=3とする。メインバッファ112のデータは、先頭のデータが再生されると、先送りされる。
【0049】
第13フレームには傷が入っており、取得されたフレーム番号X(≠13)は、前回のフレーム番号12と不連続である。その結果、サブシーケンスBに移行する。第13フレームのオーディオデータD13は、サブバッファ114に格納され、暫定的に保持される。また最終正常フレーム番号S13の値が、12にセットされる。
【0050】
続いて第14フレームに読み進められる。第14フレームについて、取得されたフレーム番号X(≠14)は、期待値S14の値14と不一致である。したがって、第14フレームのオーディオデータD14は、サブバッファ114に格納され、暫定的に保持される。最終正常フレーム番号S13の値は12のままである。
【0051】
続いて、第15フレームに読み進められる。第15フレームでは、傷がないため、正しいフレーム番号15が取得される。このフレーム番号15は、期待値S14の値15と一致する。したがって、第13〜15フレームのデータがサブバッファ114からメインバッファ112にコピーされる。第16フレーム以降は、メインシーケンスに戻る。
【0052】
このように、実施の形態に係る再生処理回路100によれば、許容回数N以下の連続するフレームに傷などが入っている場合に、音飛びを発生させずに、オーディオデータを再生できる。
【0053】
図6は、振動によりピックアップがジャンプしたときの再生の様子を示す図である。図7は、図6に対応するタイムチャートである。ここでは第12フレームを正常に読み出した後に、第60フレームにジャンプした場合を示す。
【0054】
第60フレームに関して取得されたフレーム番号60は、前回のフレーム番号12と不連続である。その結果、サブシーケンスBに移行する。第60フレームのオーディオデータD60は、サブバッファ114に格納され、暫定的に保持される。また最終正常フレーム番号S13の値が、12にセットされる。サブシーケンスの繰り返し回数Yは1回である。
【0055】
続いて第61フレームに読み進められる。第61フレームについて、取得されたフレーム番号61は、期待値S14の値14と不一致である。したがって、第61フレームのオーディオデータD61は、サブバッファ114に格納され、暫定的に保持される。最終正常フレーム番号S13の値は12のままである。サブシーケンスの繰り返し回数Yは2にインクリメントされる。
【0056】
続いて第62フレームに読み進められる。第62フレームについて、取得されたフレーム番号62は、期待値S14の値15と不一致である。したがって、第62フレームのオーディオデータD62は、サブバッファ114に格納され、暫定的に保持される。サブシーケンスの繰り返し回数Yは3にインクリメントされる。
【0057】
続いて第63フレームに読み進められる。第63フレームについて、取得されたフレーム番号63は、期待値S14の値16と不一致である。繰り返し回数Yは、許容回数N(=3)を超えるため、サブバッファ114のデータが破棄される。そして、最後に正常に読み出された第12フレームに移動し、メインシーケンスが再開する。
【0058】
このように、振動などによりピックアップの位置が移動した場合には、従来と同様に、元のフレームからの再生を再開することができる。
【0059】
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
【0060】
(変形例1)
実施の形態では、図3のフローチャートでは、サブシーケンスからメインシーケンスに戻るために、フレーム番号と期待値の一致を条件としたが、現在のフレーム番号が、期待値から1だけずれている場合にも、メインシーケンスに復帰してもよい。現在のフレーム番号が、期待値よりも1小さい場合には、1フレーム分のオーディオデータが不足することを意味する。そこでこの場合には、不足するフレームの前および/または後のフレームを用いた補完処理によって、不足するフレームのオーディオデータを生成し、これをメインバッファ112に格納してもよい。
【0061】
(変形例2)
実施の形態では、コンパクトディスクを例としたが、本発明はそれには限定されず、同様のフレームやセクタを単位とした読み出しを行うさまざまな光ディスクの再生装置に適用可能である。
【0062】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【符号の説明】
【0063】
2…光ディスク、100…再生処理回路、102…フレーム番号取得部、104…オーディオデータ取得部、110…信号処理部、112…メインバッファ、114…サブバッファ、116…再生処理部、120…補完回路、200…光ディスク再生装置、202…ピックアップ、204…サーボ機構、206…アナログフロントエンド回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7