特許第6563875号(P6563875)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563875
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】固定具
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/00 20060101AFI20190808BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20190808BHJP
   F16B 5/04 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   F16B19/00 F
   F16B5/06 Q
   F16B5/04 B
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-160727(P2016-160727)
(22)【出願日】2016年8月18日
(65)【公開番号】特開2018-28355(P2018-28355A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2018年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 昌弘
【審査官】 鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−041764(JP,A)
【文献】 実開昭58−084411(JP,U)
【文献】 実開昭64−053509(JP,U)
【文献】 特開2003−032862(JP,A)
【文献】 実開昭48−059956(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 19/00, 5/06, 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方が互いに固定され或いは一体化し、他方が互いに分かれているか或いは実質的に分かれており、弾性変形可能な複数の弾性変形部、を備える挿入部と、
前記弾性変形部のうちの少なくとも二つの前記他方における間隔を、前記一方の側から狭め得る駆動部と、
を備え
前記弾性変形部が、前記他方から被固定物への挿入が行われ得、
前記挿入部が、前記他方の端部に向かって細くなっており前記弾性変形部のうちの前記少なくとも二つのうちの一つに接続されている先端部、を備え、
前記駆動部が、前記先端部の細い方の端から挿入された場合に前記先端部の中間で引っかかる閉じた形状及び大きさの第一部と、前記第一部を前記一方に向けて引っ張ることが可能な第二部とを備え
固定具。
【請求項2】
前記挿入部に前記第二部の一部を収める溝を備える請求項1に記載された固定具。
【請求項3】
前記被固定物への挿入が、前記被固定物に形成された穴への挿入である、請求項1又は請求項2に記載された固定具。
【請求項4】
前記駆動部が、前記間隔を、前記穴に前記挿入された部分により狭め得る、請求項3に記載された固定具。
【請求項5】
先端部が、前記弾性変形部のうちの前記少なくとも二つのうちの前記一つに接続されている部分の近傍に、当該一つから当該一つの側面方向にはみ出したはみ出し部を備える、請求項1乃至請求項4のうちのいずれか一に記載された固定具。
【請求項6】
前記挿入部が前記他方の端部に向かって細くなっており、前記弾性変形部のうちの前記少なくとも二つのうちの各々にその各々が接続されている複数の前記先端部を備える、請求項1乃至請求項のうちのいずれか一に記載された固定具。
【請求項7】
先端部の各々が、前記弾性変形部のうちの前記少なくとも二つのうちの各々に接続されている部分の近傍に、前記先端部の各々から、前記弾性変形部のうちの前記少なくとも二つのうちの各々の側面方向にはみ出したはみ出し部を備える、請求項に記載された固定具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被固定物を固定するための固定具に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の被固定物に共通の固定具を通すことで互いに固定させることが一般に行われている。しかしながら、一旦互いに固定した前記複数の被固定物の固定を解除するための、前記共通の固定具の前記複数の被固定物からの除去が困難な場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1は、この問題を解決するために、締結部材(固定具)の引抜き移動に連れて、各係止爪を係止状態から係止解除状態に縮径変形させる複数の係止解除案内面が形成されている重合部材の締結構造を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−214591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する方法は、被固定物に、係止解除案内面を形成する必要がある。そのため、特許文献1が開示する方法は被固定物に所定の処理を施す必要性から、固定対象とする被固定物の選択の幅が狭められるという問題がある。
【0006】
本発明は、被固定物の選択の幅を狭めることなしに、固定後における被固定物からの除去をより容易にし得る固定具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の固定具は挿入部と駆動部とを備える。前記挿入部は、一方が互いに固定され或いは一体化し、他方が互いに分かれているか或いは実質的に分かれており、弾性変形可能な複数の弾性変形部を備える。前記駆動部は、前記弾性変形部のうちの少なくとも二つの前記他方における間隔を、前記一方の側から狭め得る。
【発明の効果】
【0008】
本発明の固定具は、被固定物の選択の幅を狭めることなしに、固定後における被固定物からの除去をより容易にし得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の固定具の構成例を表す概念図である。
図2】挿入部の構成例を表す概念図である。
図3】駆動部の構成例を表す概念図である。
図4】固定具を用いて板を固定させた状態を表す図である。
図5】固定具を用いて板を固定する動作を表す図(その1)である。
図6】固定具を用いて板を固定する動作を表す図(その2)である。
図7】固定具を用いて板を固定する動作を表す図(その3)である。
図8】固定具を用いて板を固定する動作を表す図(その4)である。
図9】板の固定を解除する動作を表す図(その1)である。
図10】板の固定を解除する動作を表す図(その2)である。
図11】板の固定を解除する動作を表す図(その3)である。
図12】変形部を備える固定具の構成例を表す概念図である。
図13】2枚の板を変形部を備える固定具で固定した状態を表す図である。
図14】つまみ部を設けた固定具の構成例を表す概念図である。
図15】先端部の最上部の径が軸部の径に等しい固定具の構成例を表す図である。
図16】本発明の固定具の最小限の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[構成と動作]
図1は、本実施形態の固定具の例である固定具11aの構成を表す概念図である。図1(a)は固定具11aの側面図である。図1(b)は、固定具11aの、図1(a)に表す矢印91bの方向を見た場合を想定した図である。また、図1(c)は、固定具11aの、図1(a)に表す矢印91aの向きを見た場合を想定した図である。また、図1(d)は、固定具11aの、図1(a)に表す矢印91cの方向を見た場合を想定した図である。
【0011】
固定具11aは、挿入部21aと駆動部22aとを備える。
【0012】
挿入部21a及び駆動部22aの構成及び固定具11aの動作については後述する。
【0013】
図2は、挿入部21aの構成例を表す概念図である。図2(a)乃至(d)は、この順に、挿入部21aの図1(a)乃至(d)と同じ向きを見た場合を想定した図である。
【0014】
挿入部21aは、止め部211aと、軸部212aと、先端部213aa、213abとを備える。
【0015】
軸部212aは、固定部212cと、弾性部212aa、212abとを備える。
【0016】
止め部211aには、切欠部216aa、216abが形成されている。また、固定部212cには、切欠部216ba、216bbが形成されている。切欠部216aa、216ab、216ba、216bbは、図1(a)乃至(d)に表すように、駆動部22aの一部が挿入部21aに収まる部分である。
【0017】
軸部212aの固定部212cは止め部211aに固定されている。固定部212cと止め部211aとは一体的な構造であっても構わない。
【0018】
弾性部212aaの端部79aaと、弾性部212abの端部79abとは、固定部212cの下面に固定されている。なお、本実施形態における上下左右は、各図面に向かってみた上下左右とする。弾性部212aa、212abと固定部212cとは一体的な構造であっても構わない。
【0019】
弾性部212aaの端部79baには先端部213aaが固定されている。弾性部212aaと先端部213aaとは一体的な構造であっても構わない。
【0020】
弾性部212abの端部79bbには先端部213abが固定されている。弾性部212abと先端部213abとは一体的な構造であっても構わない。
【0021】
図2(d)には、各部分の径が表してある。これらの径は、切欠部216aa、216ab、216ba、216bb、弾性部212aa、212ab間の隙間及び先端部213aa、213ab間の間隔を無視した場合を想定した、各部分の径である。
【0022】
止め部211aの径81dは、弾性部212aa、212abの径81bより大きい。また、先端部213aa、213abの図2(a)に表す最上部の径81c、すなわち、図2(a)に表す箇所96aと箇所96bとの距離は、弾性部212aa、212abの径81bより大きい。また、先端部213aa、213abの図2(a)における最下部の径81a、すなわち、図2(a)に表す箇所96eと箇所96fとの距離は、弾性部212aa、212abの径81bより小さい。
【0023】
図3は、駆動部22aの構成を表す概念図である。
【0024】
図3(a)乃至(d)は、この順に、駆動部22aの図1(a)乃至(d)と同じ向きを見た場合を想定した図である。
【0025】
駆動部22aは、引張部221aと輪部222aとを備える。
【0026】
輪部222aは、略輪状の物である。輪部222aの、断面形状及び断面の大きさは任意に設定できる。そして、輪部222aの内径は、図1(a)乃至(d)に表すように、図2(d)に表す径81aと、径81cとの間である。ここで、径81aは、先端部213aa、213abの図2(a)における最下部の径、すなわち、図2(a)に表す箇所96eと箇所96fとの距離である。また、径81cは、先端部213aa、213abの図2(a)における最上部の径、すなわち、図2(a)に表す箇所96aと箇所96bとの距離である。
【0027】
引張部221aは、典型的には線状である。
【0028】
引張部221aの端部79caと端部79cbとは、図3(a)乃至(d)に表すように、輪部222aの略対称な位置に接続されている。
【0029】
次に、図1に表す固定具11aを用いた、所定の穴の開いた一対の板の固定例について、説明する。
【0030】
図4は、図1に表す固定具11aを用いて、所定の穴の開いた一対の板を固定した状態を表す図である。図4(a)乃至(d)は、この順に、図1(a)乃至(d)と同じ向きを見た場合を想定した図である。
【0031】
板86aは、略円筒状の穴である穴71aを備える。また、板86bは、略円筒状の穴である穴71bを備える。穴71a及び穴71bの径は、共に、図2(d)に表す径81bより大きく、径81cより小さい。ここで径81bは、弾性部212aa、212abの径である。また、径81cは、先端部213aa、213abの図4(a)における最上部の径、すなわち、箇所96aと箇所96bの距離である。
【0032】
固定部212c及び弾性部212aa、212abは、穴71a、71bの内部に収まるが、止め部211a及び先端部213aa、213abは穴71a、71bの外に位置する。そして、板86a、86bの穴71a及び71bの近傍の部分は、止め部211aの下端である端部79dと、先端部213aaの上端である端部79ea及び先端部213abの上端である端部79ebとの間に、上下方向の移動が制限される。なお、本実施形態において「固定」は、所定の範囲に移動を制限することをいうことにする。
【0033】
次に、図5乃至図8を参照して、固定具11aを用いて、板86a、86bを固定する動作について説明する。
【0034】
図5は、固定具11aを穴71a、71bに挿入する前の状態を表す図である。
【0035】
板86a、86bの穴71a及び穴71bは、図に向かって左右方向及び奥行方向の位置が略一致するように重ねて設置されている。この状態から、固定具11aを、先端部213aa、213abが穴71aに挿入されるように、矢印91aが表す向きに下降させる。
【0036】
固定具11aは、当該下降の結果、図6に表すように、先端部213aa、213abが、板86aの位置98a、98bに当たる。
【0037】
先端部213aaの位置98bに当たった部分は、矢印91aの逆向きの力と矢印91bの逆向きの力を受ける。先端部213aaは弾性部212aaに固定されている。そして、弾性部212aaは矢印91bの逆向きに弾性変形できる。そのため、先端部213aaの位置98bに当たった部分は、弾性部212aaの矢印91bの逆向きの弾性変形により矢印91bの逆向きに移動する。
【0038】
先端部213abの位置98aに当たった部分は、矢印91aの逆向きの力と矢印91bの向きの力を受ける。先端部213abは弾性部212abに固定されている。そして、弾性部212abは矢印91bの向きに弾性変形できる。そのため、先端部213abの位置98aに当たった部分は、弾性部212abの矢印91bの向きの弾性変形により矢印91bの向きに移動する。
【0039】
こうして、弾性部212aa及び弾性部212abの弾性変形により、図7に表すように、先端部213aa及び先端部213abは、穴71a、71bに挿入され、下降する。
【0040】
そして、先端部213aaの箇所96b及び先端部213abの箇所96aが、板86bの位置98d、98cより下方に位置すると、弾性部212aa、212abの弾性変形が戻る。そして、固定具11a及び板86a、86bの組合せは、図8に表すような、前述の図4に表す状態と同じ状態になる。
【0041】
次に、図9乃至図11を参照して、図8及び図4に表す状態から、固定具11aを取り除き、板86a、86bの固定を解除する動作について説明する。
【0042】
まず、図9に表すように、引張部221aの箇所37aに対し矢印91eの向きの力を加える。当該力を加える際、挿入部21aは動かさないこととする。すると、引張部221aに結合された輪部222aに対し、矢印91eの向きの力が加えられ、輪部222aは、先端部213aaの箇所96d及び先端部213abの箇所96cに当たる。そして、輪部222aは、先端部213aaに対し矢印91bの逆向きの力、先端部213abに対し矢印91bの向きの力を、それぞれ加える。
【0043】
先端部213aa、213abに加えられる力により、弾性部212aa、212abは弾性変形する。当該弾性変形により、固定具11aは、図10に表すような状態になる。当該状態の固定具11aの先端部213aa、213abは矢印91eの向きに、穴71b、71aに挿入可能になる。
【0044】
挿入部21aに対し矢印91eの向きの力を加えたまま、挿入部21aを上昇させることにより、固定具11aは穴71b、71aを通り抜ける。その結果、固定具11aと板86a、86bの組合せは、図11に表す状態になる。すなわち、板86a、86bは、固定具11aにより固定された状態から解放される。
【0045】
固定具11bは、板と止め部との間の隙間に挿入されることが想定された弾性部を備えていても構わない。
【0046】
図12は、変形部を備える固定具の例である固定具11bの構成を表す概念図である。固定具11bは、図1乃至図3に表す固定具11aの構成に加えて、変形部231aを備える。変形部231aは、軸部212aの軸の周りを囲んで設置される。そして、変形部231aは、上下方向に弾性変形することが可能である。変形部231aとしては、例えばバネやゴム等の弾性部材を用いることができる。図12には、ばね形状の変形部231aを例として表してある。
【0047】
図13は、所定の穴を設けた2枚の板を固定具11bで固定した状態を表す概念図である。変形部231aは上下方向に縮んだ状態で、止め部211aと板86aとの間に挿入されている。変形部231aは上下方向に縮んだ状態にあるため、先端部213aa、213abと止め部211aとの間に位置する板86a、86bに対し、下向きの弾性力を加え続ける。そのため、板86a、86bの穴71a、71b近傍の部分は、前記弾性力により、上下方向の移動が一層制限される。すなわち、板86a、86bの穴71a、71b近傍の部分のがたつきが抑えられる。
【0048】
引張部を引上げやすくするつまみ部を設けることも想定され得る。
【0049】
図14は、つまみ部を設けた固定具の例である固定具11cの構成を表す概念図である。
【0050】
固定具11cは、図12に表す固定具11bの構成に加えて、つまみ部241aを備える。つまみ部241aは、引張部221aの箇所37aの下方に位置し、止め部211a上に止め部211aとは分離され設置されている。そのため、つまみ部241aを止め部211aに対して相対的に上向きに移動させることにより、容易に、引張部221aに矢印91eの向きの力を加えることができる。そのため、固定具11cは、引張部221aに矢印91eの向きに力を加えることにより、箇所96eと箇所96fとを近づける動作をより容易に行わせることが可能である。
【0051】
先端部の最上部の径は必ずしも軸部の径より大きい必要はない。
【0052】
図15は、先端部の最上部の径が軸部の径に等しい固定具の例である、固定具11dの構成を表す図である。
【0053】
先端部213ba、213bbの最上部である箇所96i、箇所96jは、弾性部212ba、212bbに対して横方向に張り出していない。
【0054】
図15に表すような、先端部の最上部の径が軸部の径より大きくない場合であっても、挿入された穴から固定具11dを抜き取ることを容易にする効果は得られる。引張部221aに矢印91eの向きの力を加えることにより、弾性部212aa、212abの径を小さくし、穴の側壁と弾性部212aa、212abの径との間隔を広げることができるためである。
【0055】
本実施形態の固定具は、引張部を引き上げることにより、弾性部や先端部の径を小さくすることができる。そのため、本実施形態の固定具は、挿入する穴に特別な加工を行わない場合であっても、挿入した穴から容易に抜き取ることができるという効果を奏する。
【0056】
図1及び図2に表すように、先端部の最上部が軸部212aの横方向に張り出している場合には、一般的な固定具は、基板の、当該固定具を挿入した側から、当該固定具を抜き取ることが困難である。当該固定具を抜き取るために、基板の当該固定具を挿入した側の反対側からの作業が必要になる場合もあり得る。本実施形態の固定具は、図1及び図2に表すように、先端部の最上部が軸部212aより張り出している場合でも、基板の、本実施形態の固定具を挿入した側から、本実施形態の固定具を抜き取ることを容易にし得る。
[効果]
本実施形態の固定具は、引張部を引き上げることにより、弾性部や先端部の径を小さくすることができる。そのため、本実施形態の固定具は、挿入する穴に特別な加工を行わない場合であっても、挿入した穴から容易に抜き取ることができる。
【0057】
なお、以上の説明では、固定具を挿入する穴の形状が円柱状で、固定具の形状も当該穴の形状に合わせた形状の場合を例に説明した。しかしながら、固定具を挿入する穴の形状としては種々の形状が想定でき、固定具の形状も穴の形状により種々の形状を選択することが可能である。
【0058】
図16は、本発明の固定具の最小限の構成である固定具11xを表すブロック図である。
【0059】
固定具11xは、挿入部21xと駆動部22xとを備える。
【0060】
挿入部21xは、一方が互いに固定され或いは一体化し、他方が互いに分かれているか或いは実質的に分かれており、弾性変形可能な図示しない複数の弾性変形部を備える。ここで、挿入部21xの他方が互いに「実質的に分かれている」は、当該他方の一部はつながっており、かつ、当該他方の大部分は分かれていることをいう。
【0061】
駆動部22xは、前記弾性変形部のうちの少なくとも二つの前記他方における間隔を、前記一方の側から狭め得る。
【0062】
上述のように、固定具11xは、前記弾性変形部のうちの少なくとも二つの前記他方における間隔を、駆動部22xにより、前記一方の側から狭め得る。そのため、固定具11xは、挿入した固定具11xを、前記一方の側から除去することをより容易にすることができる。
【0063】
そのため、固定具11xは、上記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
【0064】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0065】
また、上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
【0066】
(付記A1)
一方が互いに固定され或いは一体化し、他方が互いに分かれているか或いは実質的に分かれており、弾性変形可能な複数の弾性変形部、を備える挿入部と、
前記弾性変形部のうちの少なくとも二つの前記他方における間隔を、前記一方の側から狭め得る駆動部と、
を備える固定具。
【0067】
(付記A1.1)
前記複数の弾性変形部が、前記他方から被固定物への挿入が行われ得る、付記A1に記載された固定具。
【0068】
(付記A1.2)
前記挿入が、前記被固定物に形成された穴への挿入である、付記A1.1に記載された固定具。
【0069】
(付記A1.3)
前記駆動部が、前記間隔を、前記穴に挿入された部分により狭め得る、付記A1.2に記載された固定具。
【0070】
(付記A2)
前記少なくとも二つが二つである、付記A1又は付記A1.1に記載された固定具。
【0071】
(付記A3)
前記挿入部が、前記他方の端部に向かって細くなっており前記少なくとも二つのうちの一つに接続されている先端部、を備える、付記A1乃至付記A2のうちのいずれか一に記載された固定具。
【0072】
(付記A4)
前記接続されている先端部が、前記少なくとも一つに接続されている部分の近傍に、前記少なくとも一つから前記少なくとも一つの側面方向にはみ出したはみ出し部を備える、付記A3に記載された固定具。
【0073】
(付記A5)
前記挿入部が前記他方の端部に向かって細くなっており前記少なくとも二つのうちの各々にその各々が接続されている複数の先端部を備える、付記A1乃至付記A4のうちの一に記載された固定具。
【0074】
(付記A6)
前記複数の先端部の各々が、前記少なくとも二つのうちの各々に接続されている部分の近傍に、先端部の各々から前記少なくとも二つのうちの各々の側面方向にはみ出したはみ出し部を備える、付記A5に記載された固定具。
【0075】
(付記A7)
前記駆動部が、前記先端部の細い方の端から挿入された場合に前記先端部の中間で引っかかる閉じた形状及び大きさの第一部と、前記第一部を前記一方に向けて引っ張ることが可能な第二部とを備える、
付記A1乃至付記A6のうちのいずれか一に記載された固定具。
【0076】
(付記A8)
前記第一部が輪状である付記A7に記載された固定具。
【0077】
(付記A9)
前記挿入部に前記第二部の一部を収める溝を備える付記A7又は付記A8に記載された固定具。
【0078】
(付記A9.1)
前記第一部を前記一方に向けて引っ張るためのつまみ部をさらに備える付記A7乃至付記A9のうちのいずれか一に記載された固定具。
【0079】
(付記A10)
前記挿入部が、前記一方に、外側に張り出した止め部を備える、付記A1乃至付記A9のうちのいずれか一に記載された固定具。
【0080】
(付記A11)
前記挿入部の周囲に変形部を備える付記A10に記載された固定具。
【0081】
(付記A12)
前記変形部が弾性を有する付記11に記載された固定具。
【0082】
(付記A13)
前記変形部がバネである、付記A11又は付記A12に記載された固定具。
【0083】
(付記A14)
前記変形部は、前記被固定物を固定した際に、前記被固定物と前記止め部との間に位置することが想定される、付記11乃至付記A13のうちのいずれか一に記載された固定具。
【符号の説明】
【0084】
11a、11b、11c、11d、11x 固定具
21a、21x 挿入部
22a、22x 駆動部
71a、71b 穴
79aa、79ab、79ba、79bb、79ca、79cb、79d、79ea、79eb 端部
81a、81b、81c、81d 径
86a、86b 板
91a、91b、91c、91e 矢印
37a、96a、96b、96c、96d、96e、96f 箇所
98a、98b、98c、98d 位置
211a 止め部
211aa、211ab、211ba、211bb 切欠部
212a 軸部
212aa、212ab 弾性部
212c 固定部
213aa、213ab 先端部
221a 引張部
222a 輪部
231a 変形部
241a つまみ部
図1
図2
図3
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