特許第6563887号(P6563887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6563887有機電界発光素子、及び新規イリジウム錯体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563887
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】有機電界発光素子、及び新規イリジウム錯体
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20190808BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20190808BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20190808BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20190808BHJP
   C07F 15/00 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H05B33/14 B
   H01L27/32
   G09F9/30 365
   C09K11/06 660
   C07F15/00 ECSP
【請求項の数】20
【全頁数】71
(21)【出願番号】特願2016-222859(P2016-222859)
(22)【出願日】2016年11月16日
(62)【分割の表示】特願2013-536300(P2013-536300)の分割
【原出願日】2012年9月25日
(65)【公開番号】特開2017-63213(P2017-63213A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2016年11月18日
(31)【優先権主張番号】特願2011-218507(P2011-218507)
(32)【優先日】2011年9月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】512253626
【氏名又は名称】ユー・ディー・シー アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 康介
(72)【発明者】
【氏名】板井 雄一郎
【審査官】 三笠 雄司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/073245(WO,A1)
【文献】 特表2005−536565(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102010009193(DE,A1)
【文献】 特開2008−13700(JP,A)
【文献】 特表2008−504371(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/028479(WO,A2)
【文献】 特開2007−266598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00−33/28
H01L 27/32
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有する有機電界発光素子であって、前記有機層のうち少なくとも一層に下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有する有機電界発光素子。
【化1】
一般式(1)において、R111〜R134は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R127〜R130のうち隣り合う少なくとも2つ、R130とR131、R131〜R134のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。ただし、R111〜R134のうち少なくとも1つは、下記一般式(A)で表される基を表す。
【化2】
一般式(A)において、Xはハロゲン化アルキル基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。Rはシアノ基以外の置換基を表す。Rは複数存在する場合、互いに同じでも異なってもよい。nは0〜4の整数を表す。*は結合部位を表す。
ただし、R116、R124、R132の少なくとも1つが一般式(A)で表される基であるとき、その一般式(A)のXは炭素数1のフッ化アルキル基であり、Lは単結合又は置換もしくは無置換のアリーレン基である。
また、下記の<1>〜<5>の少なくとも1つを満たす。
<1>前記一般式(A)におけるRの少なくとも1つが、置換もしくは無置換のアリール基であり、nが1〜4の整数である。
<2>
前記一般式(1)におけるR111が置換もしくは無置換のアルキル基である。
<3>前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(4)で表される化合物である。
【化3】
一般式(4)において、R111〜R120、及びR122〜R126は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R411〜R415は各々独立に水素原子又はシアノ基以外の置換基を表す。2つのR111〜R118はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119とR120、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R411〜R415のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R411〜R415のうち少なくとも1つはハロゲン化アルキル基を表す。
<4>前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(5)で表される化合物である。
【化4】
一般式(5)において、R111、R112、R114、及びR115〜R126は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R511〜R515は各々独立に水素原子又はシアノ基以外の置換基を表す。2つのR111、R112、R114、R115〜R118、R511〜R515はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111とR112、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R511〜R515のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R511〜R515のうち少なくとも1つはハロゲン化アルキル基を表す。
<5>前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(6)で表される化合物である。
【化5】
一般式(6)において、R111〜R124、及びR126は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R611〜R615は各々独立に水素原子又はシアノ基以外の置換基を表す。2つのR111〜R118はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123とR124、R611〜R615のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R611〜R615のうち少なくとも1つはハロゲン化アルキル基を表す。
【請求項2】
前記一般式(A)におけるRの少なくとも1つが、置換もしくは無置換のアリール基であり、nが1〜4の整数である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
前記一般式(A)におけるRの少なくとも1つが、Xに対するオルト位に置換した置換もしくは無置換のアリール基であり、nが1〜4の整数である、請求項1または2に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記一般式(1)におけるR111〜R118が表す置換基が、前記一般式(A)で表される基以外の置換基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
前記一般式(1)におけるR111が置換もしくは無置換のアルキル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化6】
一般式(2)において、R111〜R123、R125、及びR126は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R211〜R215は各々独立に水素原子又はシアノ基以外の置換基を表す。2つのR111〜R118はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R125とR126、R211〜R215のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。ただし、R211〜R215のうち少なくとも1つは炭素数1のハロゲン化アルキル基を表す。また、R211〜R215のうち少なくとも1つは置換もしくは無置換のアリール基を表す。
【請求項7】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化7】
一般式(3)において、R111〜R115、R117、R118、及びR119〜R126は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R311〜R315は各々独立に水素原子又はシアノ基以外の置換基を表す。2つのR111〜R115、R117、R118、R311〜R315はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R117とR118、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R311〜R315のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。ただし、R311〜R315のうち少なくとも1つは炭素数1のハロゲン化アルキル基を表す。また、R311〜R315のうち少なくとも1つは置換もしくは無置換のアリール基を表す。
【請求項8】
前記一般式(1)で表される化合物が、前記一般式(4)で表される化合物である、請求項1に記載の有機電界発光素子
【請求項9】
前記一般式(1)で表される化合物が、前記一般式(5)で表される化合物である、請求項1に記載の有機電界発光素子
【請求項10】
前記一般式(1)で表される化合物が、前記一般式(6)で表される化合物である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項11】
前記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される化合物を発光層に含有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
【請求項12】
前記発光層に、前記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される化合物以外に、更にシアノ基を有する化合物を含有する請求項11に記載の有機電界発光素子。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
【請求項16】
下記一般式(1)で表される化合物。
【化8】
一般式(1)において、R111〜R134は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R127〜R130のうち隣り合う少なくとも2つ、R130とR131、R131〜R134のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。ただし、R111〜R134のうち少なくとも1つは、下記一般式(A)で表される基を表す。
【化9】
一般式(A)において、Xはハロゲン化アルキル基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。Rはシアノ基以外の置換基を表す。Rは複数存在する場合、互いに同じでも異なってもよい。nは0〜4の整数を表す。*は結合部位を表す。
ただし、R116、R124、R132の少なくとも1つが一般式(A)で表される基であるとき、その一般式(A)のXは炭素数1のフッ化アルキル基であり、Lは単結合又は置換もしくは無置換のアリーレン基である。
また、下記の<1>〜<5>の少なくとも1つを満たす。
<1>前記一般式(A)におけるRの少なくとも1つが、置換もしくは無置換のアリール基であり、nが1〜4の整数である。
<2>
前記一般式(1)におけるR111が置換もしくは無置換のアルキル基である。
<3>前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(4)で表される化合物である。
【化10】
一般式(4)において、R111〜R120、及びR122〜R126は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R411〜R415は各々独立に水素原子又はシアノ基以外の置換基を表す。2つのR111〜R118はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119とR120、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R411〜R415のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R411〜R415のうち少なくとも1つはハロゲン化アルキル基を表す。
<4>前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(5)で表される化合物である。
【化11】
一般式(5)において、R111、R112、R114、及びR115〜R126は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R511〜R515は各々独立に水素原子又はシアノ基以外の置換基を表す。2つのR111、R112、R114、R115〜R118、R511〜R515はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111とR112、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R511〜R515のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R511〜R515のうち少なくとも1つはハロゲン化アルキル基を表す。
<5>前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(6)で表される化合物である。
【化12】
一般式(6)において、R111〜R124、及びR126は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R611〜R615は各々独立に水素原子又はシアノ基以外の置換基を表す。2つのR111〜R118はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123とR124、R611〜R615のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R611〜R615のうち少なくとも1つはハロゲン化アルキル基を表す。
【請求項17】
下記一般式(2)で表される化合物。
【化13】
一般式(2)において、R111〜R123、R125、及びR126は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R211〜R215は各々独立に水素原子又はシアノ基以外の置換基を表す。2つのR111〜R118はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R125とR126、R211〜R215のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は置換もしくは無置換のアリーレン基を表す。ただし、R211〜R215のうち少なくとも1つは炭素数1のハロゲン化アルキル基を表す。また、R211〜R215のうち少なくとも1つは置換もしくは無置換のアリール基を表す。
【請求項18】
前記一般式(2)におけるR211〜R215のうち少なくとも1つが、ハロゲン化アルキル基に対するオルト位に置換した置換もしくは無置換のアリール基である、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
前記一般式(2)におけるR111〜R118が表す置換基が、下記一般式(A)であらわされる基以外の置換基である、請求項17または18に記載の化合物。
【化14】
一般式(A)において、Xはハロゲン化アルキル基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。Rはシアノ基以外の置換基を表す。Rは複数存在する場合、互いに同じでも異なってもよい。nは0〜4の整数を表す。*は結合部位を表す。
【請求項20】
前記一般式(2)におけるR111が置換もしくは無置換のアルキル基である、請求項17〜19のいずれか1項に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機電界発光素子、及び新規イリジウム錯体に関する。より詳細には、フェニルピリジン2座配位子を3つ有するイリジウム錯体であって、少なくとも1つのフェニルピリジン配位子がシアノ基又はハロゲン化アルキル基が置換したフェニル基を有するイリジウム錯体を用いた有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子(以下、「素子」、「有機EL素子」ともいう)は、低電圧駆動で高輝度の発光が得られることから活発に研究開発が行われている。有機電界発光素子は、一対の電極間に有機層を有し、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔とが有機層において再結合し、生成した励起子のエネルギーを発光に利用するものである。
【0003】
近年、イリジウム錯体などの燐光発光材料を用いることにより、素子の高効率化が進んでいる(特許文献1〜4参照)。
しかしながら、従来のイリジウム錯体を用いた素子は耐久性の観点で更なる改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第09/073245号
【特許文献2】国際公開第09/146770号
【特許文献3】日本国特開2001−357977号公報
【特許文献4】日本国特開2006−86482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、駆動電圧が低く、効率に優れ、かつ耐久性に優れた有機電界発光素子、及び該素子の作製に用いられるイリジウム錯体を提供することである。
また、本発明の別の目的は、上述の有機電界発光素子に有用である化合物を提供することである。更に、本発明の別の目的は、本発明の有機電界発光素子を含む発光装置、表示装置及び照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らの検討により、フェニルピリジン骨格を有する2座配位子を3つ有するイリジウム錯体において、シアノ基又はハロゲン化アルキル基が置換したフェニル基を置換基として導入することで、有機電界発光素子の耐久性が大幅に改善することが分かった。
本発明は下記の手段により達成することができる。
【0007】
[1]
基板上に、陽極及び陰極からなる一対の電極と、上記電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有する有機電界発光素子であって、上記有機層のうち少なくとも一層に下記一般式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有する有機電界発光素子。
【0008】
【化1】
【0009】
一般式(1)において、R111〜R134は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R127〜R130のうち隣り合う少なくとも2つ、R130とR131、R131〜R134のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。ただし、R111〜R134のうち少なくとも1つは、下記一般式(A)で表される基を表す。
【0010】
【化2】
【0011】
一般式(A)において、Xはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。Rは置換基を表す。Rは複数存在する場合、互いに同じでも異なってもよい。nは0〜4の整数を表す。*は結合部位を表す。
[2]
上記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である、[1]に記載の有機電界発光素子。
【0012】
【化3】
【0013】
一般式(2)において、R111〜R123、R125、R126、及びR211〜R215は各々独立に水素原子又は置換基を表す。2つのR111〜R118はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R125とR126、R211〜R215のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R211〜R215のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表す。
[3]
上記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である、[1]に記載の有機電界発光素子。
【0014】
【化4】
【0015】
一般式(3)において、R111〜R115、R117、R118、R119〜R126、及びR311〜R315は各々独立に水素原子又は置換基を表す。2つのR111〜R115、R117、R118、R311〜R315はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R117とR118、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R311〜R315のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R311〜R315のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表す。
[4]
上記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(4)で表される化合物である、[1]に記載の有機電界発光素子。
【0016】
【化5】
【0017】
一般式(4)において、R111〜R120、R122〜R126、及びR411〜R415は各々独立に水素原子又は置換基を表す。2つのR111〜R118はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119とR120、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R411〜R415のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R411〜R415のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表す。
[5]
上記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(5)で表される化合物である、[1]に記載の有機電界発光素子。
【0018】
【化6】
【0019】
一般式(5)において、R111、R112、R114、R115〜R126、及びR511〜R515は各々独立に水素原子又は置換基を表す。2つのR111、R112、R114、R115〜R118、R511〜R515はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111とR112、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R511〜R515のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R511〜R515のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表す。
[6]
上記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(6)で表される化合物である、[1]に記載の有機電界発光素子。
【0020】
【化7】
【0021】
一般式(6)において、R111〜R124、R126、及びR611〜R615は各々独立に水素原子又は置換基を表す。2つのR111〜R118はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123とR124、R611〜R615のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R611〜R615のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表す。
[7]
上記一般式(A)におけるX、上記一般式(2)におけるR211〜R215のうち少なくとも1つ、上記一般式(3)におけるR311〜R315のうち少なくとも1つ、上記一般式(4)におけるR411〜R415のうち少なくとも1つ、上記一般式(5)におけるR511〜R515のうち少なくとも1つ、上記一般式(6)におけるR611〜R615のうち少なくとも1つがシアノ基である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
[8]
上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される化合物を発光層に含有する、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子。
[9]
上記発光層に、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される化合物以外に、更にシアノ基を有する化合物を含有する[8]に記載の有機電界発光素子。
[10]
[1]〜[9]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
[11]
[1]〜[9]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
[12]
[1]〜[9]のいずれか一項に記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
[13]
下記一般式(2)で表される化合物。
【0022】
【化8】
【0023】
一般式(2)において、R111〜R123、R125、R126、及びR211〜R215は各々独立に水素原子又は置換基を表す。2つのR111〜R118はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R125とR126、R211〜R215のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R211〜R215のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表す。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、駆動電圧が低く、効率に優れ、かつ耐久性に優れた有機電界発光素子を提供することができる。更に、該有機電界発光素子を用いた発光装置、表示装置及び照明装置を提供することができる。
また、本発明によれば、上記駆動電圧が低く、効率に優れ、かつ耐久性に優れた有機電界発光素子の製造に用いられるイリジウム錯体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る有機電界発光素子の構成の一例を示す概略図である。
図2】本発明に係る発光装置の一例を示す概略図である。
図3】本発明に係る照明装置の一例を示す概略図である。
図4】化合物(1−7)のH−NMRデータを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
下記一般式(1)の説明における水素原子は同位体(重水素原子等)も含み、また更に置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
本発明において、「置換基」というとき、その置換基は置換されていてもよい。例えば、本発明で「アルキル基」と言う時、フッ素原子で置換されたアルキル基(例えばトリフルオロメチル基)やアリール基で置換されたアルキル基(例えばトリフェニルメチル基)なども含むが、「炭素数1〜6のアルキル基」と言うとき、置換されたものも含めた全ての基として炭素数が1〜6であることを示す。
【0027】
本発明において、置換基群Aを以下のように定義する。
(置換基群A)
アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチル、アントラセニルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(芳香族ヘテロ環基(ヘテロアリール基)も包含し、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、リン原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子であり、具体的にはピリジル、ピラジニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、キノリル、フリル、チエニル、セレニエニル、テルリエニル、ピペリジル、ピペリジノ、モルホリノ、ピロリジル、ピロリジノ、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基、シロリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24であり、例えばトリメチルシリルオキシ、トリフェニルシリルオキシなどが挙げられる。)、ホスホリル基(例えばジフェニルホスホリル基、ジメチルホスホリル基などが挙げられる。)が挙げられる。
【0028】
〔一般式(1)で表される化合物〕
以下、一般式(1)で表される化合物について説明する。
【0029】
【化9】
【0030】
一般式(1)において、R111〜R134は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R127〜R130のうち隣り合う少なくとも2つ、R130とR131、R131〜R134のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。ただし、R111〜R134のうち少なくとも1つは、下記一般式(A)で表される基を表す。
【0031】
【化10】
【0032】
一般式(A)において、Xはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表す。Lは単結合又は2価の連結基を表す。Rは置換基を表す。Rは複数存在する場合、互いに同じでも異なってもよい。nは0〜4の整数を表す。*は結合部位を表す。
【0033】
一般式(1)において、イリジウム原子と窒素原子との間の結合、及びイリジウム原子と炭素原子との間の結合は、実線で表されているが、共有結合でも配位結合でもよい。また、後述する一般式(2)〜(6)においても同様である。
【0034】
一般式(1)において、R111〜R134は、各々独立に水素原子又は置換基を表す。該置換基としては、前記置換基群Aから選ばれる基を挙げることができる。
111〜R134は、水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又はシアノ基が好ましく、耐久性に優れるという理由から、水素原子、アルキル基、アリール基、又はシアノ基がより好ましく、水素原子、アルキル基、又はアリール基が更に好ましい。アルキル基としては、前記置換基群Aにおけるアルキル基の好ましい範囲に対して、更に、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。アリール基としては、前記置換基群Aにおけるアリール基の好ましい範囲に対して、更に、炭素数6〜10のアリール基が好ましく、具体的にはフェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基が最も好ましい。ヘテロアリール基としては、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、ピロリル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イソキサゾリル基、イソチアゾリル基などが好ましく挙げられる。
【0035】
111〜R134が置換基を表す場合、該置換基は更に別の置換基により置換されていてもよく、該別の置換基としては前記置換基群Aから選ばれる基を挙げることができ、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又はシアノ基が好ましく、アルキル基、又はアリール基がより好ましい。更なる置換基としてのアルキル基、アリール基の好ましい範囲は、前述のR111〜R134がアルキル基、アリール基である場合の好ましい範囲と同様である。
【0036】
111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R127〜R130のうち隣り合う少なくとも2つ、R130とR131、R131〜R134のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。
環を形成する態様としては、黄色から赤色の発光材料を得るという観点からは、R111とR112が結合して環を形成する態様、R119とR120が結合して環を形成する態様、R127とR128が結合して環を形成する態様、R112とR113が結合して環を形成する態様、R120とR121が結合して環を形成する態様、R128とR129が結合して環を形成する態様、R113とR114が結合して環を形成する態様、R121とR122が結合して環を形成する態様、及び、R129とR130が結合して環を形成する態様から選ばれる少なくとも1つの態様が好ましい。
形成される環としては、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環、シクロアルカン環などが挙げられ、好ましくはベンゼン環である。
これら形成される環は置換基を有していてもよく、置換基としては前記置換基群Aから選ばれる基を挙げることができ、アルキル基、アリール基又はシアノ基が好ましく、アルキル基、又はアリール基がより好ましい。
【0037】
一般式(1)のR111〜R134のうち少なくとも一つは、前記一般式(A)で表される基を表す。
【0038】
一般式(1)のR111〜R134のうち、一般式(A)で表される基を表すものは、蒸着のしやすさの観点からは3個以下が好ましく、1〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましく、1個が更に好ましい。
【0039】
一般式(A)におけるXはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表す。ハロゲン化アルキル基におけるハロゲンとしてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子が好ましい。ハロゲン化アルキル基としては炭素数1〜3のフッ化アルキル基が好ましく、炭素数1のフッ化アルキル基がより好ましい。
有機EL素子の耐久性向上の観点から、一般式(A)におけるXはシアノ基であることが好ましい。
【0040】
一般式(A)におけるLは単結合又は2価の連結基を表す。該2価の連結基としては、アリーレン基又はアルキレン基が挙げられる。
Lとしては単結合又はアリーレン基であることが好ましい。アリーレン基としては、1〜3個のベンゼン環からなるアリーレン基であることが好ましく、1個又は2個のベンゼン環からなるアリーレン基であることがより好ましく、具体的にはフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基が好ましく、フェニレン基、又はビフェニレン基がより好ましい。
Lがアリーレン基を表す場合、具体的には下記L1〜L15を挙げることができ、素子特性に優れるという理由から、L1、L2、L4、L5、L7、L8、L13、L14が好ましく、L2、L8がより好ましい。
なお、下記L1〜L15において、*は結合部位を表す。L1〜L15は更に置換基を有してもよい。
【0041】
【化11】
【0042】
Lが2価の連結基を表す場合は、置換基を有してもよく、該置換基としては前記置換基群Aから選ばれる基を挙げることができ、アルキル基、アリール基、シアノ基が好ましい。
【0043】
一般式(A)におけるRは置換基を表す。該置換基としては、前記置換基群Aから選ばれる基を挙げることができ、アルキル基、アリール基、又はシアノ基が好ましく、アルキル基、又はアリール基がより好ましく、アリール基が更に好ましい。Rが表す置換基としてのアルキル基、アリール基の好ましい範囲は、前述のR111〜R134がアルキル基、アリール基である場合の好ましい範囲と同様である。
Rは更に別の置換基により置換されていてもよく、該別の置換基としては前記置換基群Aから選ばれる基を挙げることができ、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、又はシアノ基が好ましく、アルキル基、又はアリール基がより好ましい。
【0044】
一般式(A)におけるnは0〜4の整数を表す。nは好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは0〜2の整数であり、更に好ましくは0又は1であり、特に好ましくは0である。
一般式(A)で表される基は、一般式(1)において、R116、R124、及びR132から選ばれる2つ以下、R113、R121、及びR129から選ばれる2つ以下、R112、R120、及びR128から選ばれる2つ以下、R117、R125、及びR133から選ばれる2つ以下に置換することが好ましく、R116、R124、及びR132から選ばれる2つ以下、R113、R121、及びR129から選ばれる2つ以下、R117、R125、及びR133から選ばれる2つ以下に置換することがより好ましく、R116、R124、及びR132から選ばれる2つ以下、R117、R125、及びR133から選ばれる2つ以下に置換することが更に好ましい。
【0045】
耐久性に優れるという観点から、前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)〜(6)のいずれかで表される化合物であることが好ましく、蒸着のしやすさの観点から下記一般式(2)、(4)、又は(6)で表される化合物であることがより好ましく、下記一般式(2)又は(4)で表される化合物であることが更に好ましく、下記一般式(2)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0046】
【化12】
【0047】
一般式(2)において、R111〜R123、R125、R126、及びR211〜R215は各々独立に水素原子又は置換基を表す。2つのR111〜R118はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R125とR126、R211〜R215のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R211〜R215のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表す。
【0048】
一般式(2)において、R111〜R123、R125、R126、及びR211〜R215の具体例及び好ましい範囲は、前記一般式(1)のR111〜R134と同様であり、R111〜R123、R125、R126、及びR211〜R215が置換基を表す場合に有してもよい更なる置換基の具体例及び好ましい範囲も前記一般式(1)のR111〜R134が置換基を表す場合に有してもよい更なる置換基の具体例及び好ましい範囲と同様である。
一般式(2)において、R111〜R118はそれぞれ2つずつ存在するが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、合成のしやすさから同じであることが好ましい。
【0049】
111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R125とR126、R211〜R215のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。
黄色から赤色の発光材料を得るという観点からは、R111とR112が結合して環を形成する態様、R119とR120が結合して環を形成する態様、R112とR113が結合して環を形成する態様、R120とR121が結合して環を形成する態様、R113とR114が結合して環を形成する態様、及びR121とR122が結合して環を形成する態様から選ばれる少なくとも1つの態様が好ましい。
形成される環の具体例及び好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるR111〜R134が環を形成する場合の環の具体例及び好ましい範囲と同様である。また、該環は置換基を有してもよく、該置換基の具体例及び好ましい範囲も前記一般式(1)で説明したものと同様である。
【0050】
一般式(2)において、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Lの具体例及び好ましい範囲は前記一般式(1)のLの具体例及び好ましい範囲と同様であり、単結合又はフェニレン基が特に好ましい。また、Lが有してもよい置換基も前記一般式(1)において説明したものと同様である。
【0051】
一般式(2)のR211〜R215のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表し、シアノ基を表すことが好ましい。
一般式(2)のR211〜R215のうちシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表すものは1〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましく、1個が更に好ましい。
一般式(2)のR211〜R215のうちシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表すもの以外は水素原子、アルキル基、又はアリール基を表すことが好ましく、水素原子、又はアリール基を表すことがより好ましく、水素原子を表すことが更に好ましい。
【0052】
前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(3)で表される化合物である場合も好ましい。
【0053】
【化13】
【0054】
一般式(3)において、R111〜R115、R117、R118、R119〜R126、及びR311〜R315は各々独立に水素原子又は置換基を表す。2つのR111〜R115、R117、R118、R311〜R315はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R117とR118、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R311〜R315のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R311〜R315のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表す。
【0055】
一般式(3)において、R111〜R115、R117、R118、R119〜R126、及びR311〜R315の具体例及び好ましい範囲は、前記一般式(1)のR111〜R134と同様であり、R111〜R115、R117、R118、R119〜R126、及びR311〜R315が置換基を表す場合に有してもよい更なる置換基の具体例及び好ましい範囲も前記一般式(1)のR111〜R134が置換基を表す場合に有してもよい更なる置換基の具体例及び好ましい範囲と同様である。
一般式(3)において、R111〜R115、R117、R118、及びR311〜R315はそれぞれ2つずつ存在するが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、合成のしやすさから同じであることが好ましい。
【0056】
111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R117とR118、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R311〜R315のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。
形成される環の具体例及び好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるR111〜R134が環を形成する場合の環の具体例及び好ましい範囲と同様である。また、該環は置換基を有してもよく、該置換基の具体例及び好ましい範囲も前記一般式(1)で説明したものと同様である。
【0057】
一般式(3)において、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Lの具体例及び好ましい範囲は前記一般式(1)のLの具体例及び好ましい範囲と同様であり、単結合又はフェニレン基が特に好ましい。また、Lが有してもよい置換基も前記一般式(1)において説明したものと同様である。
【0058】
一般式(3)のR311〜R315のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表し、シアノ基を表すことが好ましい。
一般式(3)のR311〜R315のうちシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表すものは1〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましく、1個が更に好ましい。
一般式(3)のR311〜R315のうちシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表すもの以外は水素原子、アルキル基、又はアリール基を表すことが好ましく、水素原子、又はアリール基を表すことがより好ましく、水素原子を表すことが更に好ましい。
【0059】
前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(4)で表される化合物である場合も好ましい。
【0060】
【化14】
【0061】
一般式(4)において、R111〜R120、R122〜R126、及びR411〜R415は各々独立に水素原子又は置換基を表す。2つのR111〜R118はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119とR120、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R411〜R415のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R411〜R415のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表す。
【0062】
一般式(4)において、R111〜R120、R122〜R126、及びR411〜R415の具体例及び好ましい範囲は、前記一般式(1)のR111〜R134と同様であり、R111〜R120、R122〜R126、及びR411〜R415が置換基を表す場合に有してもよい更なる置換基の具体例及び好ましい範囲も前記一般式(1)のR111〜R134が置換基を表す場合に有してもよい更なる置換基の具体例及び好ましい範囲と同様である。
一般式(4)において、R111〜R118はそれぞれ2つずつ存在するが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、合成のしやすさから同じであることが好ましい。
【0063】
111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119とR120、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R411〜R415のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。
形成される環の具体例及び好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるR111〜R134が環を形成する場合の環の具体例及び好ましい範囲と同様である。また、該環は置換基を有してもよく、該置換基の具体例及び好ましい範囲も前記一般式(1)で説明したものと同様である。
【0064】
一般式(4)において、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Lの具体例及び好ましい範囲は前記一般式(1)のLの具体例及び好ましい範囲と同様であり、単結合又はフェニレン基が特に好ましい。また、Lが有してもよい置換基も前記一般式(1)において説明したものと同様である。
【0065】
一般式(4)のR411〜R415のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表し、シアノ基を表すことが好ましい。
一般式(4)のR411〜R415のうちシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表すものは1〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましく、1個が更に好ましい。
一般式(4)のR411〜R415のうちシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表すもの以外は水素原子、アルキル基、又はアリール基を表すことが好ましく、水素原子、又はアリール基を表すことがより好ましく、水素原子を表すことが更に好ましい。
【0066】
前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(5)で表される化合物である場合も好ましい。
【0067】
【化15】
【0068】
一般式(5)において、R111、R112、R114、R115〜R126、及びR511〜R515は各々独立に水素原子又は置換基を表す。2つのR111、R112、R114、R115〜R118、R511〜R515はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111とR112、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R511〜R515のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R511〜R515のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表す。
【0069】
一般式(5)において、R111、R112、R114、R115〜R126、及びR511〜R515の具体例及び好ましい範囲は、前記一般式(1)のR111〜R134と同様であり、R111、R112、R114、R115〜R126、及びR511〜R515が置換基を表す場合に有してもよい更なる置換基の具体例及び好ましい範囲も前記一般式(1)のR111〜R134が置換基を表す場合に有してもよい更なる置換基の具体例及び好ましい範囲と同様である。
一般式(5)において、R111、R112、R114、R115〜R118、及びR511〜R515はそれぞれ2つずつ存在するが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、合成のしやすさから同じであることが好ましい。
【0070】
111とR112、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123〜R126のうち隣り合う少なくとも2つ、R511〜R515のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。
形成される環の具体例及び好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるR111〜R134が環を形成する場合の環の具体例及び好ましい範囲と同様である。また、該環は置換基を有してもよく、該置換基の具体例及び好ましい範囲も前記一般式(1)で説明したものと同様である。
【0071】
一般式(5)において、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Lの具体例及び好ましい範囲は前記一般式(1)のLの具体例及び好ましい範囲と同様であり、単結合又はフェニレン基が特に好ましい。また、Lが有してもよい置換基も前記一般式(1)において説明したものと同様である。
【0072】
一般式(5)のR511〜R515のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表し、シアノ基を表すことが好ましい。
一般式(5)のR511〜R515のうちシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表すものは1〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましく、1個が更に好ましい。
一般式(5)のR511〜R515のうちシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表すもの以外は水素原子、アルキル基、又はアリール基を表すことが好ましく、水素原子、又はアリール基を表すことがより好ましく、水素原子を表すことが更に好ましい。
【0073】
前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(6)で表される化合物である場合も好ましい。
【0074】
【化16】
【0075】
一般式(6)において、R111〜R124、R126、及びR611〜R615は各々独立に水素原子又は置換基を表す。2つのR111〜R118はそれぞれ同じでも異なっていてもよい。R111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123とR124、R611〜R615のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。Lは単結合又は2価の連結基を表す。ただし、R611〜R615のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表す。
【0076】
一般式(6)において、R111〜R124、R126、及びR611〜R615の具体例及び好ましい範囲は、前記一般式(1)のR111〜R134と同様であり、R111〜R124、R126、及びR611〜R615が置換基を表す場合に有してもよい更なる置換基の具体例及び好ましい範囲も前記一般式(1)のR111〜R134が置換基を表す場合に有してもよい更なる置換基の具体例及び好ましい範囲と同様である。
一般式(6)において、R111〜R118はそれぞれ2つずつ存在するが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、合成のしやすさから同じであることが好ましい。
【0077】
111〜R114のうち隣り合う少なくとも2つ、R114とR115、R115〜R118のうち隣り合う少なくとも2つ、R119〜R122のうち隣り合う少なくとも2つ、R122とR123、R123とR124、R611〜R615のうち隣り合う少なくとも2つは互いに結合して環を形成してもよい。
形成される環の具体例及び好ましい範囲は、前記一般式(1)におけるR111〜R134が環を形成する場合の環の具体例及び好ましい範囲と同様である。また、該環は置換基を有してもよく、該置換基の具体例及び好ましい範囲も前記一般式(1)で説明したものと同様である。
【0078】
一般式(6)において、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Lの具体例及び好ましい範囲は前記一般式(1)のLの具体例及び好ましい範囲と同様であり、単結合又はフェニレン基が特に好ましい。また、Lが有してもよい置換基も前記一般式(1)において説明したものと同様である。
【0079】
一般式(6)のR611〜R615のうち少なくとも1つはシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表し、シアノ基を表すことが好ましい。
一般式(6)のR611〜R615のうちシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表すものは1〜3個が好ましく、1〜2個がより好ましく、1個が更に好ましい。
一般式(6)のR611〜R615のうちシアノ基又はハロゲン化アルキル基を表すもの以外は水素原子、アルキル基、又はアリール基を表すことが好ましく、水素原子、又はアリール基を表すことがより好ましく、水素原子を表すことが更に好ましい。
【0080】
一般式(1)で表される化合物の分子量は昇華適性の観点から、400以上1000以下が好ましく、450以上900以下がより好ましい。
【0081】
有機電界発光素子を高温駆動時や素子駆動中の発熱に対して安定して動作させる観点から、一般式(1)で表される化合物のガラス転移温度(Tg)は80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましく、100℃以上であることが更に好ましく、110℃以上であることが特に好ましい。
【0082】
一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に列挙するが、本発明がこれらに限定されることはない。
【0083】
【化17】
【0084】
【化18】
【0085】
【化19】
【0086】
【化20】
【0087】
【化21】
【0088】
【化22】
【0089】
【化23】
【0090】
【化24】
【0091】
上記一般式(1)で表される化合物は、国際公開第2009/073245号、国際公開第2010/028151号等に記載の方法により合成することができる。
【0092】
本発明は一般式(1)で表される化合物(更に一般式(2)、(3)、(4)、(5)又は(6)で表される化合物)にも関する。
一般式(1)で表される化合物は、その用途が限定されることはなく、有機電界発光素子のいずれの有機層に含有されてもよいが、一般式(1)で表される化合物の導入層としては、発光層が好ましく、発光材料として用いられることが特に好ましい。
【0093】
〔一般式(1)で表される発光材料〕
本発明は、上記一般式(1)で表される発光材料にも関する。
本発明の一般式(1)で表される化合物及び発光材料は、電子写真、有機トランジスタ、有機光電変換素子(エネルギー変換用途、センサー用途等)、有機電界発光素子等の有機エレクトロニクス素子に好ましく用いることができ、有機電界発光素子に用いるのが特に好ましい。
【0094】
〔一般式(1)で表される化合物を含有する薄膜〕
本発明は一般式(1)で表される化合物を含有する薄膜にも関する。本発明の薄膜は、一般式(1)で表される化合物を蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等の湿式製膜法により形成することができる。薄膜の膜厚は用途によっていかなる厚みでもよいが、好ましくは0.1nm〜1mmであり、より好ましくは0.5nm〜1μmであり、更に好ましくは1nm〜200nmであり、特に好ましくは1nm〜100nmである。
【0095】
〔有機電界発光素子〕
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、陽極及び陰極からなる一対の電極と、該電極間に発光層を含む少なくとも一層の有機層とを有する有機電界発光素子であって、前記有機層のうち少なくとも一層に前記一般式(1)で表される化合物を少なくとも一種含有する。有機電界発光素子の性質上、一対の電極である陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明若しくは半透明であることが好ましい。
有機層としては、発光層以外に、正孔注入層、正孔輸送層、ブロック層(正孔ブロック層、励起子ブロック層など)、電子輸送層、電子注入層などが挙げられる。これらの有機層は、それぞれ一層でも複数層設けてもよく、複数層設ける場合には同一の材料で形成してもよいし、層毎に異なる材料で形成してもよい。
図1に、本発明に係る有機電界発光素子の構成の一例を示す。図1の有機電界発光素子10は、基板2上に、一対の電極(陽極3と陰極9)の間に発光層6を含む有機層を有する。有機層としては、陽極3側から正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、正孔ブロック層7及び電子輸送層8がこの順に積層されている。
【0096】
<有機層の構成>
前記有機層の層構成としては、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記透明電極上に又は前記半透明電極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機層は、前記透明電極又は前記半透明電極上の全面又は一部の面に形成される。
有機層の形状、大きさ、及び厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0097】
具体的な層構成として、下記が挙げられるが本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
・陽極/発光層/陰極
・陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
・陽極/発光層/電子輸送層/陰極
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/ブロック層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極
有機電界発光素子の素子構成、基板、陰極及び陽極については、例えば、特開2008−270736号公報に詳述されており、該公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0098】
<基板>
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
【0099】
<陽極>
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
【0100】
<陰極>
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
【0101】
<有機層>
本発明における有機層について説明する。
【0102】
(有機層の形成)
本発明の有機電界発光素子において、各有機層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法、スピンコート法、バーコート法等の溶液塗布法のいずれによっても好適に形成することができる。
【0103】
(発光層)
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層又は正孔輸送層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層又は電子輸送層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
【0104】
(発光材料)
本発明では、発光層に少なくとも一種の発光材料を含有することが好ましく、少なくとも一種の燐光発光材料を含有することがより好ましい。燐光発光材料としては、前記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
本発明では、発光層に前記一般式(1)で表される化合物に加えて、発光材料として、蛍光発光材料や、一般式(1)で表される化合物とは異なる燐光発光材料を用いることもできる。
これら蛍光発光材料や燐光発光材料については、例えば、特開2008−270736号公報の段落番号[0100]〜[0164]、特開2007−266458号公報の段落番号[0088]〜[0090]に詳述されており、これら公報の記載の事項を本発明に適用することができる。
【0105】
本発明に使用できる燐光発光材料としては、例えば、US6303238B1、US6097147、WO00/57676、WO00/70655、WO01/08230、WO01/39234A2、WO01/41512A1、WO02/02714A2、WO02/15645A1、WO02/44189A1、WO05/19373A2、特開2001−247859、特開2002−302671、特開2002−117978、特開2003−133074、特開2002−235076、特開2003−123982、特開2002−170684、EP1211257、特開2002−226495、特開2002−234894、特開2001−247859、特開2001−298470、特開2002−173674、特開2002−203678、特開2002−203679、特開2004−357791、特開2006−256999、特開2007−19462、特開2007−84635、特開2007−96259等の特許文献に記載の燐光発光化合物などが挙げられ、中でも、更に好ましい発光材料としては、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、及びCe錯体等の燐光発光性金属錯体化合物が挙げられる。特に好ましくは、Ir錯体、Pt錯体、又はRe錯体であり、中でも金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が好ましい。更に、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点で、Ir錯体、Pt錯体が特に好ましく、Ir錯体が最も好ましい。
これら燐光発光性金属錯体化合物は、発光層において、前記一般式(1)で表される化合物と共に含有されるのが好ましい。
【0106】
発光層中の一般式(1)で表される化合物は、発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることがより好ましく、2質量%〜40質量%含有されることが更に好ましい。
【0107】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、2nm〜500nmであるのが好ましく、中でも、外部量子効率の観点で、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0108】
本発明の素子における発光層は、発光材料のみで構成されていてもよく、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でもよい。発光材料の種類は一種であっても二種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は一種であっても二種以上であってもよく、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。更に、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいてもよい。
また、発光層は一層であっても二層以上の多層であってもよく、それぞれの層に同じ発光材料やホスト材料を含んでもよいし、層毎に異なる材料を含んでもよい。発光層が複数の場合、それぞれの発光層が異なる発光色で発光してもよい。
【0109】
(ホスト材料)
ホスト材料とは、発光層において主に電荷の注入、輸送を担う化合物であり、また、それ自体は実質的に発光しない化合物のことである。ここで「実質的に発光しない」とは、該実質的に発光しない化合物からの発光量が好ましくは素子全体での全発光量の5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、更に好ましくは1%以下であることを言う。
【0110】
ホスト材料としては、例えば、以下の構造を部分構造に持つ化合物を挙げることができる。
芳香族炭化水素、ピロール、インドール、カルバゾール、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ジベンゾチオフェン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体及びそれらの誘導体(置換基や縮環を有していてもよい)等を挙げることができる。
【0111】
本発明の有機電界発光素子は、発光層に、前記一般式(1)で表される化合物と、更にシアノ基を有する化合物を含有することが好ましく、発光材料として前記一般式(1)で表される化合物を含有し、ホスト材料としてシアノ基を有する化合物を含有することがより好ましい。
【0112】
ホスト材料としては、カルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、トリフェニレン誘導体が好ましく挙げられる。
【0113】
ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体としては下記一般式(S−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0114】
【化25】
【0115】
一般式(S−1)中、Xは酸素原子又は硫黄原子を表す。R101〜R107はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、R108は置換基を表す。aは0〜4の整数を表す。nは1以上の整数を表す。Laはn価の芳香族炭化水素基を表し、置換基を有していてもよい。
【0116】
Xは酸素原子又は硫黄原子を表す。
101〜R108が表す置換基としては、それぞれ独立に前記置換基群Aを挙げることができる。該置換基は更に置換基を有してもよく、更なる置換基としては、前記置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
【0117】
101〜R107としては、水素原子、アルキル基、シアノ基又はアリール基が好ましい。
【0118】
nは1以上の整数を表し、1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。nが2以上の整数を表す場合、一般式(S−1)中に複数存在するX、R101〜R108、及びaはそれぞれ異なってもよい。
Laはn価の芳香族炭化水素基を表し、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、トリフェニレニル基などが挙げられるが、ベンゼン環が1〜3個連結した基であることが好ましく、前記一般式(A)におけるLの具体例として記載したL1〜L15を挙げることができる。
【0119】
Laは更に置換基を有していても良い。Laが更なる置換基を有する場合の置換基としては前記置換基群Aを挙げることができ、シアノ基、置換若しくは無置換のアリール基(フェニル基、又はビフェニル基)、ヘテロ環基(好ましくは含窒素芳香族ヘテロ環基であり、カルバゾリル基、アクリジニル基などがより好ましい)、又はジアリールアミノ基(アリール基としてはフェニル基が好ましい。該アリール基はアリール基とうし又はLaと互いに結合して環を形成してもよい)が好ましく、シアノ基又は置換若しくは無置換のアリール基(フェニル基、又はビフェニル基)がより好ましく、シアノ基、又はフェニル基が更に好ましく、シアノ基が特に好ましい。該アリール基が置換基を有する場合の置換基はシアノ基、フェニル基であることが好ましい。
【0120】
耐久性の観点から、一般式(S−1)中にシアノ基を少なくとも一つ有することが好ましい。また、電荷輸送性・分子の化学的安定性の観点から、シアノ基は前記R108又はLaの置換基のみであることが好ましく、同様の観点からLaの置換基のみであることがより好ましい。
【0121】
一般式(S−1)で表される化合物の具体例を以下に列挙するが、これらに限定されることはない。
【0122】
【化26】
【0123】
【化27】
【0124】
【化28】
【0125】
【化29】
【0126】
トリフェニレン誘導体としては、下記一般式(Tp−1)で表される化合物が挙げられる。
【0127】
【化30】
【0128】
一般式(Tp−1)において、R12〜R23はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよいフェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基を表す。ただし、R12〜R23が全て水素原子になることはない。
【0129】
12〜R23が表すアルキル基としては、置換基若しくは無置換の、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、シクロヘキシル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、又はtert−ブチル基である。
【0130】
12〜R23として好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基であることが更に好ましい。
フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基(これらは更にアルキル基、フェニル基、フルオレニル基、ナフチル基、若しくはトリフェニレニル基で置換されていてもよい)で置換されていてもよい、ベンゼン環であることが特に好ましい。
【0131】
一般式(Tp−1)におけるアリール環の総数は2〜8個であることが好ましく、3〜5個であることが好ましい。この範囲とすることで、良質なアモルファス薄膜が形成でき、溶媒への溶解性や昇華及び蒸着適正が良好になる。
【0132】
12〜R23は、それぞれ独立に、総炭素数が20〜50であることが好ましく、総炭素数が20〜36であることがより好ましい。この範囲とすることで、良質なアモルファス薄膜が形成でき、溶媒への溶解性や昇華及び蒸着適正が良好になる。
【0133】
以下に、一般式(Tp−1)で表される化合物の具体例を例示するが、これらに限定されるものではない。
【0134】
【化31】
【0135】
【化32】
【0136】
上記化合物は、国際公開第05/013388号、国際公開第06/130598号、国際公開第09/021107号、US2009/0009065号、国際公開第09/008311号及び国際公開第04/018587号に記載の方法で合成できる。
【0137】
(電荷輸送層)
電荷輸送層とは、有機電界発光素子に電圧を印加した際に電荷移動が起こる層をいう。具体的には正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層が挙げられる。塗布法により形成される電荷輸送層が正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、又は発光層であれば、低コストかつ高効率な有機電界発光素子の製造が可能となる。
【0138】
(正孔注入層、正孔輸送層)
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
正孔注入層、正孔輸送層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0165〕〜〔0167〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
また、下記化合物も正孔注入材料として好ましく用いることができる。
【0139】
【化33】
【0140】
正孔注入層には電子受容性ドーパントを含有することが好ましい。正孔注入層に電子受容性ドーパントを含有することにより、正孔注入性が向上し、駆動電圧が低下する、効率が向上するなどの効果がある。電子受容性ドーパントとは、ドープされる材料から電子を引き抜き、ラジカルカチオンを発生させることが可能な材料であれば有機材料、無機材料のうちいかなるものでもよいが、例えば、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラフルオロテトラシアノキノジメタン(F−TCNQ)、酸化モリブデンなどが挙げられる。
【0141】
正孔注入層中の電子受容性ドーパントは、正孔注入層を形成する全化合物質量に対して、0.01質量%〜50質量%含有されることが好ましく、0.1質量%〜40質量%含有されることがより好ましく、0.2質量%〜30質量%含有されることがより好ましい。
【0142】
(電荷発生層)
電荷発生層を形成する化合物としては前記正孔注入層に用いられる化合物と同様の化合物を用いることができる。
【0143】
(電子注入層、電子輸送層)
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。これらの層に用いる電子注入材料、電子輸送材料は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。
電子輸送材料としては、本発明の一般式(1)で表される化合物を用いることができる。その他の材料としては、ピリジン誘導体、キノリン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、フタラジン誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアジン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン、ペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、シロールに代表される有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
【0144】
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々500nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜200nmであるのが好ましく、0.2nm〜100nmであるのがより好ましく、0.5nm〜50nmであるのが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0145】
電子注入層には電子供与性ドーパントを含有することが好ましい。電子注入層に電子供与性ドーパントを含有させることにより、電子注入性が向上し、駆動電圧が低下する、効率が向上するなどの効果がある。電子供与性ドーパントとは、ドープされる材料に電子を与え、ラジカルアニオンを発生させることが可能な材料であれば有機材料、無機材料のうちいかなるものでもよいが、例えば、テトラチアフルバレン(TTF)、テトラチアナフタセン(TTT)、ビス−[1,3 ジエチル−2−メチル−1,2−ジヒドロベンズイミダゾリル]などのジヒドロイミダゾール化合物、リチウム、セシウムなどが挙げられる。
【0146】
電子注入層中の電子供与性ドーパントは、電子注入層を形成する全化合物質量に対して、0.01質量%〜50質量%含有されることが好ましく、0.1質量%〜40質量%含有されることがより好ましく、0.5質量%〜30質量%含有されることがより好ましい。
【0147】
(正孔ブロック層)
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の膜状態でのTエネルギーは、発光層で生成する励起子のエネルギー移動を防止し、発光効率を低下させないために、発光材料のTエネルギーよりも高いことが望ましい。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノレート(Aluminum (III)bis(2−methyl−8−quinolinato)4−phenylphenolate(Balqと略記する))等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9−Dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(BCPと略記する))等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0148】
(電子ブロック層)
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する有機化合物の膜状態でのTエネルギーは、発光層で生成する励起子のエネルギー移動を防止し、発光効率を低下させないために、発光材料のTエネルギーよりも高いことが望ましい。
電子ブロック層を構成する有機化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
電子ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0149】
〔一般式(HT−1)で表される化合物〕
本発明の有機電界発光素子は、前記一対の電極が陽極を含み、前記発光層と該陽極との間に少なくとも一層の有機層を含むことが好ましく、該有機層に少なくとも一種の下記一般式(HT−1)で表される化合物を含有することが好ましい。下記一般式(HT−1)
で表されるトリアリールアミン化合物は、正孔輸送材料として用いられることが好ましい。
【0150】
一般式(HT−1)
【0151】
【化34】
【0152】
一般式(HT−1)中、RH1〜RH15は各々独立に水素原子又は置換基を表す。
【0153】
H1〜RH15が置換基を表す場合、該置換基としては前記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、アルキル基、アリール基、アミノ基、ヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アリール基、アリールアミノ基がより好ましい。該置換基は更に置換されていてもよく、更なる置換基の具体例及び好ましい範囲はRH1〜RH15が置換基を表す場合と同様である。
H1〜RH15のうち隣り合う少なくとも2つは単結合又は連結基を介して結合し環を形成してもよい。該連結基としては酸素原子、硫黄原子、又はアルキレン基が好ましく挙げられる。
耐熱性及び耐久性の観点から、RH1〜RH5の少なくとも1つとRH6〜RH10の少なくとも1つがアリール基であることが好ましい。一般式(HT−1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。
【0154】
【化35】
【0155】
【化36】
【0156】
〔一般式(O−1)で表される化合物〕
本発明の発光素子は、発光層と陰極との間に少なくとも一層の有機層を含むことが好ましく、該有機層に少なくとも一種の下記一般式(O−1)で表される化合物を含有することが素子の効率や駆動電圧の観点から好ましい。以下に、一般式(O−1)について説明する。
【0157】
【化37】
【0158】
一般式(O−1)中、RO1は、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。AO1〜AO4はそれぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、複数のRは同じでも異なっていても良い。LO1は、アリール環又はヘテロアリール環からなる二価から六価の連結基を表す。nO1は2〜6の整数を表す。
【0159】
O1は、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。RO1として好ましくはアリール基、又はヘテロアリール基であり、より好ましくはアリール基である。RO1のアリール基が置換基を有する場合の好ましい置換基としては、アルキル基、アリール基又はシアノ基が挙げられ、アルキル基又はアリール基がより好ましく、アリール基が更に好ましい。RO1のアリール基が複数の置換基を有する場合、該複数の置換基は互いに結合して5又は6員環を形成していても良い。RO1のアリール基は、好ましくは置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良いフェニル基であり、より好ましくはアルキル基又はアリール基が置換していてもよいフェニル基であり、更に好ましくは無置換のフェニル基又は2−フェニルフェニル基である。
【0160】
O1〜AO4はそれぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。AO1〜AO4のうち、0〜2つが窒素原子であるのが好ましく、0又は1つが窒素原子であるのがより好ましい。AO1〜AO4の全てがC−Rであるか、又はAO1が窒素原子で、AO2〜AO4がC−Rであるのが好ましく、AO1が窒素原子で、AO2〜AO4がC−Rであるのがより好ましく、AO1が窒素原子で、AO2〜AO4がC−Rであり、Rが全て水素原子であるのが更に好ましい。
【0161】
は水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。また複数のRは同じでも異なっていても良い。Rとして好ましくは水素原子又はアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0162】
O1は、アリール環(好ましくは炭素数6〜30)又はヘテロアリール環(好ましくは炭素数4〜12)からなる二価〜六価の連結基を表す。LO1として好ましくは、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アリールトリイル基、又はヘテロアリールトリイル基であり、より好ましくはフェニレン基、ビフェニレン基、又はベンゼントリイル基であり、更に好ましくはビフェニレン基、又はベンゼントリイル基である。LO1は前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良く、置換基を有する場合の置換基としてはアルキル基、アリール基、又はシアノ基が好ましい。LO1の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0163】
【化38】
【0164】
O1は2〜6の整数を表し、好ましくは2〜4の整数であり、より好ましくは2又は3である。nO1は、素子効率の観点では最も好ましくは3であり、素子の耐久性の観点では最も好ましくは2である。
一般式(O−1)で表される化合物は、より好ましくは下記一般式(O−2)で表される化合物である。
【0165】
【化39】
【0166】
一般式(O−2)中、RO1はアルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。RO2〜RO4はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表す。AO1〜AO4はそれぞれ独立に、C−R又は窒素原子を表す。Rは水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロアリール基を表し、複数のRO1、AO1〜AO4、Rは同じでも異なっていても良い。
【0167】
O1及びAO1〜AO4は、前記一般式(O−1)中のRO1及びAO1〜AO4と同義であり、またそれらの好ましい範囲も同様である。
02〜R04はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜8)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30)、又はヘテロアリール基(好ましくは炭素数4〜12)を表し、これらは前述の置換基群Aから選ばれる置換基を有していても良い。R02〜R04として好ましくは水素原子、アルキル基、又はアリール基であり、より好ましくは水素原子、又はアリール基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0168】
前記一般式(O−1)で表される化合物は、高温保存時の安定性、高温駆動時、駆動時の発熱に対して安定して動作させる観点から、ガラス転移温度(Tg)は100℃〜300℃であることが好ましく、120℃〜300℃であることがより好ましく、120℃〜300℃であることが更に好ましく、140℃〜300℃であることが更により好ましい。
【0169】
一般式(O−1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。下記構造式においてPhはフェニル基を表す。
【0170】
【化40】
【0171】
【化41】
【0172】
前記一般式(O−1)で表される化合物は、特開2001−335776号に記載の方法で合成可能である。合成後、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿などによる精製を行った後、昇華精製により精製することが好ましい。昇華精製により有機不純物を分離できるだけではなく、無機塩や残留溶媒、水分等を効果的に取り除くことが可能である。
【0173】
本発明の発光素子において、一般式(O−1)で表される化合物は発光層と陰極との間の有機層に含有されることが好ましく、発光層に隣接する陰極側の層に含有されることがより好ましい。
一般式(O−1)で表される化合物は、添加する有機層の全質量に対して70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。
【0174】
(保護層)
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0169〕〜〔0170〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0175】
(封止容器)
本発明の素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
封止容器については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0171〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0176】
(駆動)
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書等に記載の駆動方法を適用することができる。
【0177】
本発明の有機電界発光素子の外部量子効率としては、7%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。外部量子効率の数値は20℃で素子を駆動したときの外部量子効率の最大値、若しくは、20℃で素子を駆動したときの300〜400cd/m付近での外部量子効率の値を用いることができる。
【0178】
本発明の有機電界発光素子の内部量子効率は、30%以上であることが好ましく、50%以上が更に好ましく、70%以上が更に好ましい。素子の内部量子効率は、外部量子効率を光取り出し効率で除して算出される。通常の有機EL素子では光取り出し効率は約20%であるが、基板の形状、電極の形状、有機層の膜厚、無機層の膜厚、有機層の屈折率、無機層の屈折率等を工夫することにより、光取り出し効率を20%以上にすることが可能である。
【0179】
(本発明の素子の用途)
本発明の素子は、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、又は光通信等に好適に利用できる。特に、照明装置、表示装置等の発光輝度が高い領域で駆動されるデバイスに好ましく用いられる。
【0180】
(発光装置)
次に、図2を参照して本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置は、前記有機電界発光素子を用いてなる。
図2は、本発明の発光装置の一例を概略的に示した断面図である。図2の発光装置20は、透明基板(支持基板)2、有機電界発光素子10、封止容器16等により構成されている。
【0181】
有機電界発光素子10は、基板2上に、陽極(第一電極)3、有機層11、陰極(第二電極)9が順次積層されて構成されている。また、陰極9上には、保護層12が積層されており、更に、保護層12上には接着層14を介して封止容器16が設けられている。なお、各電極3、9の一部、隔壁、絶縁層等は省略されている。
ここで、接着層14としては、エポキシ樹脂等の光硬化型接着剤や熱硬化型接着剤を用いることができ、例えば熱硬化性の接着シートを用いることもできる。
【0182】
本発明の発光装置の用途は特に制限されるものではなく、例えば、照明装置のほか、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電子ペーパ等の表示装置とすることができる。
【0183】
(照明装置)
次に、図3を参照して本発明の照明装置について説明する。
図3は、本発明の照明装置の一例を概略的に示した断面図である。本発明の照明装置40は、図3に示すように、前述した有機EL素子10と、光散乱部材30とを備えている。より具体的には、照明装置40は、有機EL素子10の基板2と光散乱部材30とが接触するように構成されている。
光散乱部材30は、光を散乱できるものであれば特に制限されないが、図3においては、透明基板31に微粒子32が分散した部材とされている。透明基板31としては、例えば、ガラス基板を好適に挙げることができる。微粒子32としては、透明樹脂微粒子を好適に挙げることができる。ガラス基板及び透明樹脂微粒子としては、いずれも、公知のものを使用できる。このような照明装置40は、有機電界発光素子10からの発光が散乱部材30の光入射面30Aに入射されると、入射光を光散乱部材30により散乱させ、散乱光を光出射面30Bから照明光として出射するものである。
【実施例】
【0184】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0185】
1.合成例(化合物(1−7))
【0186】
【化42】
【0187】
化合物(1−7A)の合成
m−ブロモベンゼンボロン酸−1,8−ジアミノナフタレン保護15g、三りん酸カリウム29.6g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−phos)3.8g、テトラヒドロフラン(THF)75ml、蒸留水75mlを500ml三つ口フラスコに入れ、撹拌しながら脱気を施した後に窒素置換した。窒素気流下、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(Pd(dba))2.1g、4−シアノフェニルボロン酸13.6gを加え、80℃のオイルバスにて5時間加熱還流させた。室温に戻しトルエン100mlを加え、THFを減圧留去した後水層を除去した。有機層をトルエン/ヘキサン溶離液カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(1−7A)9gを得た。
【0188】
化合物(1−7B)の合成
化合物(1−7A)9g、THF90ml、塩酸9mlを三つ口フラスコに入れ、室温にて5時間撹拌させた。得られた沈殿物を濾別し、濾液を塩酸水溶液で2回洗浄した。酢酸エチルで抽出し、減圧乾燥させることにより(1−7B)4.5gを得た。
【0189】
化合物(1−7C)の合成
2−ブロモピリジン3.2g、三りん酸カリウム12.8g、S−phos1.66g、THF30ml、蒸留水30mlを三つ口フラスコに入れ、撹拌しながら脱気を施した後に窒素置換した。窒素気流下、Pd(dba) 0.9g、化合物(1−7B)4.5gを加え、80℃のオイルバスにて5時間加熱還流させた。室温に戻しトルエン100mlを加え、THFを減圧留去した後水層を除去した。有機層をトルエン/ヘキサン溶離液カラムクロマトグラフィーにより精製し、化合物(1−7C)3gを得た。
【0190】
化合物(1−7)の合成
化合物(1−7D)1.5g、イソプロパノール30mlを100ml三つ口フラスコに入れ、窒素気流下化合物(1−7C)0.4gを加え95℃のオイルバスにて16時間加熱還流させた。室温に戻し、沈殿物をろ過し、イソプロパノールで洗浄した。濾物を12mlのクロロホルムに溶解させ、クロロホルム/ヘキサン溶離液シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。溶媒を留去し、ジクロロメタンに溶解させた後にエタノールを加え、ロータリーエバポレーターにてジクロロメタンを留去させた。得られた沈殿物を濾別し、エタノール洗浄、真空乾燥を施し、黄色固体0.45gを得た。得られた黄色固体は昇華精製により精製した。昇華精製は、アルバック理工株式会社製TRS−1を用いて行った。およそ9.85×10−3Paに減圧し、アルゴン気流下8.12×10−1Paとした後、300℃まで昇温することで昇華精製を行った。ガラスチューブに付着した結晶をスパチュラを用いて採取することにより、化合物(1−7)を0.33g得た。合成した化合物(1−7)のH−NMRデータを図4に示す。
【0191】
化合物(1−5)の合成スキーム
【0192】
【化43】
【0193】
化合物(2−12)の合成スキーム
【0194】
【化44】
【0195】
化合物(3−5)の合成スキーム
【0196】
【化45】
【0197】
化合物(6−8)の合成スキーム
【0198】
【化46】
【0199】
化合物(7−1)の合成スキーム
【0200】
【化47】
【0201】
他の化合物についても、化合物(1−7)と同様にして下記スキームに従い合成することができる。
【0202】
【化48】
【0203】
上記R、R’、R’’、R’’’はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。
【0204】
2.素子作製・評価
(実施例1−1)
厚み0.5mm、2.5cm角のITO膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□(Ω/sq.))を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機層を順次蒸着した。
第1層(電荷発生層):化合物(A):膜厚10nm
第2層(正孔輸送層):HTL−1:膜厚30nm
第3層(発光層):H−1(ホスト化合物)及び化合物(1−7)(発光材料)(ホスト化合物:発光材料の質量比85:15):膜厚40nm
第4層(電子輸送層):ETL−1:膜厚40nm
この上に、フッ化リチウム1nm及び金属アルミニウム100nmをこの順に蒸着し陰極とした。
この積層体を、大気に触れさせることなく、窒素ガスで置換したグローブボックス内に入れ、ガラス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、実施例1の素子を得た。
【0205】
(実施例1−2〜1−10、比較例1−1〜1−5)
実施例1−1の素子の作製において、第3層の化合物(1−7)を、下記表1に示す化合物に置き換える以外は実施例1−1と同様にして、実施例1−2〜1−10、及び比較例1−1〜1−5の素子を作製した。
【0206】
これらの素子を以下の方法で、効率、耐久性、駆動電圧の観点で評価した結果を下記表1に示す。
【0207】
(駆動電圧)
各素子を輝度が3500cd/mになるように直流電圧を印加して発光させる。この時の印加電圧を駆動電圧評価の指標とした。駆動電圧が5.5V未満である場合をA、5.5V以上7V未満である場合をB、7V以上である場合をCとして、下記表1に示した。
【0208】
(外部量子効率)
東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電圧を各素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社製輝度計BM−8を用いて測定した。発光スペクトルと発光ピーク波長は浜松ホトニクス製スペクトルアナライザーPMA−11を用いて測定した。これらを元に輝度が3500cd/m付近の外部量子効率を輝度換算法により算出した。
外部量子効率が15%以上である場合をA、10%以上15%未満である場合をB、10%未満である場合をCとして、下記表1に示した。
【0209】
(耐久性)
各素子を、室温(20℃)で輝度が3500cd/mになるように直流電圧を印加して発光させ続け、輝度が3395cd/mになるまでに要した時間を耐久性の指標とした。3395cd/mになるまでの耐久時間が、発光材料を比較化合物(E−1)に置き換えた素子(比較例1−1)の耐久時間に対して何倍になっているか算出し、下記表1に示した。Aは2倍以上を表し、Bは1.5倍以上2倍未満を表し、Cは1.1倍以上1.5倍未満を表し、Dは0.5倍以上1倍未満を表し、Eは0.5倍未満を表す。
【0210】
(発光材料の昇華精製可否)
昇華精製は、アルバック理工株式会社製TRS−1を用いて行った。およそ7.0×10−2Paに減圧し、昇華が起こるまで昇温することで行った。ガラスチューブに付着した結晶をスパチュラを用いて採取した。昇華前の重量に対して10%以上採取できた場合を「可」、10%未満であった場合を「不可」として、表1に結果を示した。
【0211】
(実施例2−1〜6−7、比較例2−1〜6−1)
正孔輸送層の材料、発光材料、及びホスト化合物を下記表2〜6に示すように変更した以外は実施例1−1の素子の作製と同様にして、実施例2−1〜6−7、比較例2−1〜6−1の素子を作製し、実施例1−1と同様に評価した。なお、耐久性については、表2においては比較例2−1を、表3においては比較例3−1を、表4においては比較例4−1を、表5においては比較例5−1を、表6においては比較例6−1をそれぞれ基準(1.0)とし、これらに対して耐久時間が何倍になっているかを表した。
【0212】
【表1】
【0213】
【表2】
【0214】
【表3】
【0215】
【表4】
【0216】
【表5】
【0217】
【表6】
【0218】
上記表1〜6より、本発明の一般式(1)で表される化合物を発光材料として用いることで、低駆動電圧で効率に優れ、かつ、耐久性に優れた有機電界発光素子が得られることが分かった。
また、一般式(1)で表される化合物を用いた有機電界発光素子は、シアノ基を有するホスト材料を用いた場合に更に耐久性が向上し、低電圧化も同時に可能であることがわかった。
なお、実施例1−1〜6−7で作製した有機電界発光素子の発光ピーク波長は500〜550nmであった。また、表1において、比較例1−5は発光材料の蒸着ができず素子が作製できなかった。
【0219】
発光装置、表示装置、照明装置の場合、各画素部で高い電流密度を通じて瞬間的に高輝度発光させる必要があり、本発明の発光素子はそのような場合に発光効率が高くなるように設計されているため、有利に利用することができる。
また、本発明の素子は耐久性にも優れ、発光装置、表示装置、照明装置に好適である。
【0220】
【化49】
【0221】
【化50】
【0222】
【化51】
【0223】
【化52】
【0224】
比較例で使用した発光材料
【0225】
【化53】
【産業上の利用可能性】
【0226】
本発明によれば、駆動電圧が低く、効率に優れ、かつ耐久性に優れた有機電界発光素子を提供することができる。更に、該有機電界発光素子を用いた発光装置、表示装置及び照明装置を提供することができる。
また、本発明によれば、上記駆動電圧が低く、効率に優れ、かつ耐久性に優れた有機電界発光素子の製造に用いられるイリジウム錯体を提供することができる。
【0227】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2011年9月30日出願の日本特許出願(特願2011−218507)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0228】
2・・・基板
3・・・陽極
4・・・正孔注入層
5・・・正孔輸送層
6・・・発光層
7・・・正孔ブロック層
8・・・電子輸送層
9・・・陰極
10・・・有機電界発光素子(有機EL素子)
11・・・有機層
12・・・保護層
14・・・接着層
16・・・封止容器
20・・・発光装置
30・・・光散乱部材
30A・・・光入射面
30B・・・光出射面
31・・・透明基板
32・・・微粒子
40・・・照明装置
図1
図2
図3
図4