特許第6563902号(P6563902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6563902光画像診断装置及びそれに用いるカテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563902
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】光画像診断装置及びそれに用いるカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20190808BHJP
   G02B 6/38 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   A61B1/00 526
   A61B1/00 712
   A61B1/00 717
   G02B6/38
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-508486(P2016-508486)
(86)(22)【出願日】2015年2月23日
(86)【国際出願番号】JP2015000845
(87)【国際公開番号】WO2015141134
(87)【国際公開日】20150924
【審査請求日】2017年12月12日
(31)【優先権主張番号】特願2014-57097(P2014-57097)
(32)【優先日】2014年3月19日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】坂口 雄紀
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 健治
【審査官】 原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/154103(WO,A1)
【文献】 特開2009−123508(JP,A)
【文献】 特開2009−184351(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0223798(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
G02B 6/36−6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光画像診断装置に利用されるカテーテルであって、
前記光画像診断装置が有する駆動部と接続するためのコネクタを有し、
当該コネクタは、
前記駆動部と光学的に接続するため、光ファイバを、その端面を露出させて保持するファイバ端保持部と、
前記駆動部への前記コネクタの押し込みに起因して前記ファイバ端保持部が後退した際に当接し、前記駆動部との接続時の負荷を緩衝するための弾性体と、
当該弾性体と前記ファイバ端保持部との間に設けられ、前記ファイバ端保持部が後退した際に当接するリング部材であって、前記ファイバ端保持部の回転に対して予め設定した摩擦係数以下の特性を有するリング部材とを有し、
前記リング部材は、前記弾性体に固定されており、
前記予め設定した摩擦係数は、前記リング部材と前記ファイバ端保持部間の摩擦力が、前記駆動部が非駆動時における、前記駆動部の回転抑制力よりも小さい、という条件を満たし、
前記リング部材は、前記ファイバ端保持部側の面の最内径近傍のみにおいて前記ファイバ端保持部と当接した際の力を受けるように構成されている
ことを特徴とするカテーテル。
【請求項2】
前記ファイバ端保持部には、前記駆動部に設けられた案内溝に案内される突起部が設けられ、
前記光ファイバは、前記突起部が設けられる周方向に規定される方向に傾斜した端面を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記ファイバ端保持部における前記リング部材と接する面は、前記リング部材に対して傾斜する傾斜面であって、当該傾斜面は、前記突起部が設けられる方向に対応する位置と前記リング部材間の距離が最短となる傾斜面であることを特徴とする請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記リング部材は、前記弾性体に嵌入するための円筒部分と、前記ファイバ端保持部と接した際の力を面で受けるためのフランジ部分と、当該フランジ部分の前記ファイバ端保持部側に向かう面に設けられ、最も内側の円形状の、前記ファイバ端保持部と接するための突起部とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載のカテーテル。
【請求項5】
前記リング部材は、POM(ポリオキシメチレン)で構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のカテーテル。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のカテーテルを有する光画像診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光干渉を用いた画像診断装置とそれに用いるカテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
血管内腔の画像を取得する装置として光干渉断層診断装置(OCT:Optical Coherence Tomography)等がある。また、OCTの改良型として、波長掃引を利用した光干渉断層診断装置(SS−OCT:Swept-Source OCT)も開発されている(特許文献1)。以下、これらを総称して画像診断装置という。
【0003】
画像診断装置においては、光の送受信を行うイメージングコアを、先端部に回転自在に且つ軸方向に移動自在に収容したカテーテルを用いる。イメージングコアは、カテーテルの全長とほぼ同じ長さを有する駆動シャフトに接続される。そして、その駆動シャフトは、その内部に光ファイバを収容する。そして、カテーテルの後端には、画像診断装置が有するMDU(モータドライブユニット)部と接続するためのコネクタが設けられている。MDU部は、駆動部であって、駆動シャフトの回転と軸方向への移動の動力源として機能するものであり、カテーテルと接続するためのコネクタを有する。
【0004】
ここで、MDU部とカテーテルとの接続について更に詳しく考察する。
【0005】
図2の参照符号2Aは、カテーテルのコネクタ部(以下、カテーテルコネクタという)150を矢印210の方向に移動させて、MDU部102のコネクタ部(以下、MDUコネクタという)204に接続する様子を示す。同図の参照符号2Bは、MDUコネクタ204の正面図である。そして、図2の参照符号2Cは、MDUコネクタ204の中心に位置する、カテーテルのツマミを嵌入させ、支持するツマミ係合部206の一部透過斜視図である。そして、図2の参照符号2Dは、同2Cに示したツマミ係合部206をA−A’ラインで切った際の内面を示す平面展開図である。また、図3は、一般的なカテーテルコネクタ150の断面構造を示している。
【0006】
MDU部102は、大別すると、基部201と、基部201に対して図示矢印209に沿って摺動自在なスライダ部202で構成される。基部201には、カテーテルシース153を把持する把持部203をはじめ、各種操作スイッチが設けられている。また、基部201の内部には回路基板やスライダ部202を矢印209に沿って摺動させるためのモータを有する。スライダ部202には、カテーテルコネクタ150を収容し接続するためのMDUコネクタ204が設けられ、その内部には、カテーテル内の駆動シャフトを回転させるためのモータ、その駆動シャフトの光ファイバとケーブル104内の光ファイバを光学的に接続する構造を有する。MDUコネクタ204は、カテーテルのコネクタ150を接続した際に、接続状態を保護するカバーとして機能する。
【0007】
MDUコネクタ204内には、図2の参照符号2Bに示すように、カテーテルコネクタ150が有する突起部151、152を案内するガイド溝205a、205bを有するコネクタ係合部205を有する。そしてカテーテルコネクタ150の突起部151.152が、このガイド溝205a,205bに沿って嵌入した際には、カテーテルとMDU部102とが機構的に一体となる。なお、コネクタ係合部205は回転せず、固定である。
【0008】
また、ツマミ係合部206は、カテーテルコネクタ150の中心位置に位置する光ファイバを保持するツマミ301(図3参照)を嵌入させた際に、カテーテル内の光ファイバと光学的に接続すると共に、ツマミ301と一体となって回転するものである。ツマミ係合部206の内側には、ツマミ301の先端に設けられた突起部302を案内するためのガイド壁207が設けられている。このガイド壁207は、図2の参照符号2Cに示すように、ツマミ係合部206内で「山」の稜線に相当する。このガイド壁207で規定さる「山」の頂点を通る垂直方向のA−A’ラインで切った際の内面を示す平面展開したのが図2の参照符号2Dである。図2の2Dからもわかるように、ガイド壁207で挟まれる空間がガイド溝208を形成する。そして、ツマミ係合部206の開口側でのガイド溝208の幅W0は、ツマミ係合部206の内周に実質的に等しく、奥行き方向に沿ってその幅はW1となり、ある程度の嵌入が進んだ段階での幅は、突起部302の幅と同じとなって、ツマミ301を直線上に案内するようになっている。また、ガイド壁207の傾斜角度は特に限定されないが、15度〜60度が好ましく、さらに20度〜45度が好ましい。この傾斜角度は、大きければ大きいほど、位相ずれ補正が可能となる。一方、傾斜角度は、大きければ大きいほどカテーテルコネクタ150を装着するのに必要なストローク(奥行き方向の長さ)が長くなるので、設計との兼ね合いで好適な角度を決定することとなる。なお本発明では、30度を採用している。
【0009】
カテーテルコネクタ150は図3のように、カテーテルシース153を支持し、MDU部102と接続するための開口部300を有する。カテーテルコネクタ150内には、カテーテルシース153内に収容された駆動シャフト303と一体となって、回転自在なツマミ301を有する。このツマミ301は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)で構成され、駆動シャフト内に収容された光ファイバ304を案内し、その先端部を露出させる構造を成す。なお、支持部310は、ツマミ310の外部への飛び出を防止すると共に、カテーテルコネクタ150をMDU部102から抜去する際にツマミ310に対して光コネクタの嵌合を外す方向に力を与えるものである。
【0010】
光ファイバ304の端部の面は図示のごとく、その軸方向に対して直交する面ではなく、その直交する面に対して角度θだけ傾いた傾斜面となっている。一方、MDU部102内のツマミ係合部206の奥に位置する光ファイバの端面(不図示)も同じ角度の傾斜角を有する光ファイバが露出しており、両光ファイバの端面が面接続されるようになっている。ファイバ端面が傾斜角θを有する理由は、その接続面での反射光の影響を少なくするためである。
【0011】
上記の通りなので、カテーテルコネクタ150をMDU部102に装着する際、それぞれのファイバ端面どうしが面で接続する。より厳密には、回転方向に対する位相ずれが発生しないように接続する必要がある。この理由で、カテーテルコネクタ150内の、ツマミ301には、ツマミの回転方向の角度を規定するための突起部(キー)302を有する。一方、MDU部102側のツマミ係合部206には、先に説明したガイド壁207で規定されるガイド溝208を設け、ツマミ301とツマミ係合部206が、決まった角度で固定されるようになっている。つまり、ユーザがカテーテルコネクタ150を持って、カテーテルコネクタの突起部151,152を、MDUコネクタ204側のコネクタ係合部205のガイド溝205a,205bに合わせて差し込めば、ツマミ301の突起部302がツマミ係合部206のガイド壁207に衝突し、そのまま押し込めば、ツマミ係合部206が回動して、最終的にツマミ301の突起部302がツマミ係合部206のガイド溝208に沿って案内され、両者の光ファイバの端面どうしが面接続されるようになっている。
【0012】
上記のように、ユーザはカテーテルコネクタ150を手に持って、それをMDU部102のコネクタ部204に押し込む操作を行うことになる。このとき、カテーテルコネクタ150の突起部151,152の位置は、MDU部102側で規定される。一方、カテーテルの挿入方向に対しては、弾性体311を介してツマミ301はカテーテルコネクタ150をMDU部102に接続する力を受け、ツマミ係合部206に接続される。このとき、接続に関連する部材が多いため、公差ばらつき次第では、ツマミ301がツマミ係合部206に衝突し、接続を完了させられないことが想定される。その際、比較的変形しやすい弾性体311をツマミ301端部に設けることで、接続時の寸法上の不整合を緩和させることができる。なお、弾性体311の変形時の反力が、ツマミ301とツマミ係合部206の接続を完了させるのに必要な荷重を超える必要があるため、弾性体311は一定以上のバネ定数を備える。支持部312は、その弾性体311を固定支持するためのものである。
【0013】
上記の構造を成すことで、カテーテルをMDU部102に接続する際に適切に光ファイバが接続される。なお、この弾性体311は一般にはシリコンゴムが利用される。また、カテーテルコネクタ150とMDUコネクタ304が機構的にも光学的にも接続が完了した場合、ツマミ301がツマミ係合部206と一体となる。そして、突起部151,152も、MDU部102で固定支持される。この結果、ツマミ301の後端面301aと、弾性体311の面311aとの間には十分な空間が生まれるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2007−267867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
さて、上述したように、カテーテルをMDU部102に接続する操作を行うと、ツマミ301の突起部302が、MDU部102側のツマミ係合部206におけるガイド壁に当接する。そしてそのまま押し込む操作を行うと、ツマミ301の後端面301aが弾性体311の面311aに当接し、その間に摩擦力が発生する。つまり、ツマミ301の回転が抑制される。
【0016】
MDU部102におけるツマミ係合部206には、MDU部102内の回転駆動に係る構成が接続されていることもあって、ツマミ係合部206は、回転自在といえども非駆動状態でも回転が抑制される力(以下、ツマミ係合部206の回転抑制力という)が働いている。従って、ツマミ301の後端面301aが弾性体311の面311aに当接した状態で、カテーテルコネクタ150の差し込み操作を続けると、ツマミ301の突起部302と、ツマミ係合部206のガイド壁207の接触位置に相当の負荷がかかることになり、場合によってはツマミ301の突起部302が破損する。一方、MDU部102のツマミ係合部206が複数回使用することを前提にしていることもあって、十分に高い硬度の樹脂を使用されるので、破損する可能性は低いが、それでも衝突位置に傷が付く可能性はゼロではない。一旦、傷が付くとその位置での引っかかりが大きくなり、円滑な案内機能が失われることになり、場合によってはMDU部102のコネクタが破損してしまうということになりかねない。
【0017】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、簡単な構造でもって、カテーテルに係る負担はもちろんのこと、MDU部に係る負担も軽減し、MDU部に至ってはその長期利用を可能ならしめる技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、例えば本発明のカテーテルは以下の構成を有する。すなわち、
光画像診断装置に利用されるカテーテルであって、
前記光画像診断装置が有する駆動部と接続するためのコネクタを有し、
当該コネクタは、
前記駆動部と光学的に接続するため、光ファイバを、その端面を露出させて保持するファイバ端保持部と、
前記駆動部への前記コネクタの押し込みに起因して前記ファイバ端保持部が後退した際に当接し、前記駆動部との接続時の負荷を緩衝するための弾性体と、
当該弾性体と前記ファイバ端保持部との間に設けられ、前記ファイバ端保持部が後退した際に当接する部材であって、前記ファイバ端保持部の回転に対して予め設定した摩擦係数以下の特性を有する部材とを有し、
前記部材は、前記弾性体に固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡単な構造でもって、カテーテルに係る負担はもちろんのこと、MDU部に係る負担も軽減し、MDU部に至ってはその長期利用を可能にする。
【0020】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施の形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】実施形態における画像診断装置の外観図である。
図2】従来のカテーテルのコネクタの断面構造を示す図である。
図3】MDU部とカテーテルとの接続の様子と、MDU部のコネクタの先端の構造を示す図である。
図4A】第1の実施形態におけるカテーテルのコネクタの断面構造図である。
図4B】第1の実施形態におけるカテーテルのコネクタにおけるリング部材の斜視図である。
図4C】第1の実施形態におけるカテーテルのコネクタにおけるリング部材の斜視図である。
図5A】第2の実施形態における課題と、カテーテルのコネクタの断面構造を示す図である。
図5B】第2の実施形態における課題と、カテーテルのコネクタの断面構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の一実施の形態に係わる光断層像診断装置(以下、単に画像診断装置)100の全体構成の一例を示す図である。なお、実施形態では波長掃引光源を利用する装置を例にするが、単一波長光源を用いる装置に適用できるので、波長掃引光源を利用するのはあくまで一例であると認識されたい。
【0024】
画像診断装置100は、カテーテル101と、MDU部102と、操作制御装置103で構成され、MDU部102と操作制御装置103は、コネクタ105を介してケーブル104で接続されている。このケーブル104には、光ファイバ、並びに各種信号線が収容されている。
【0025】
カテーテル101は、光ファイバを保護し、回転力を伝達するための駆動シャフトを収容する。この光ファイバの先端には、操作制御装置100からMDU部102を介在して伝送された光(測定光)を、光ファイバの中心軸に対してほぼ直行する方向に送信するとともに、送信した光の外部からの反射光を受信するための光送受信部を有するイメージングコアが設けられている。
【0026】
MDU部102は、先に説明した図2の構造を有するものである。簡単に説明すると、カテーテル101の後端に設けられたコネクタを介して、カテーテルを保持する。そして、MDU部102に内蔵されたモータを駆動させることでカテーテル内の駆動シャフトを回転させ、その先端に設けられたイメージングコアを回転可能になっている。また、MDU部102は、内蔵の直線駆動部に設けられたモータを駆動して、カテーテル内の駆動シャフトを所定速度で引っ張る(後退させる)処理も行う。
【0027】
上記構成により、カテーテル101を患者の血管内に案内し、MDU部102に内蔵したラジアル走査モータを駆動して、カテーテル101内の駆動シャフトを回転させることで、血管内の内腔面を360度に渡ってスキャンすることが可能になる。さらに、MDU部102がカテーテル101内の駆動シャフトを所定速度で引っ張ることで、血管軸に沿ったスキャンが行われる。これによって、血管の内側から見た、血管軸に沿った断層像を複数枚得ることができ、それらを接続して3次元の血管像を再構成することも可能となる。
【0028】
操作制御装置103は、画像診断装置100の動作を統括制御する機能を有する。操作制御装置103は、例えば、ユーザ(医師)指示に基づく各種設定値を装置内に入力する機能や、測定により得られたデータを処理し、体腔内の断層画像として表示する機能を備える。
【0029】
操作制御装置103には、本体制御部111、プリンタ/DVDレコーダ111−1、操作パネル112及びLCDモニタ113、等が設けられている。本体制御部111は、光断層画像を生成する。光断層画像は、測定により得られた反射光と光源からの光を分離することで得られた参照光とを干渉させることで干渉光データを生成するとともに、当該干渉光データに基づいて生成されたラインデータを処理することにより生成される。
【0030】
プリンタ/DVDレコーダ111−1は、本体制御部111における処理結果を印刷したり、データとして記憶したりする。操作パネル112は、ユーザが各種設定値及び指示の入力を行うユーザーインターフェースである。LCDモニタ113は、表示装置として機能し、例えば、本体制御部111において生成された断層画像を表示する。114は、ポインティングデバイス(座標入力装置)としてのマウスである。
【0031】
以上が、画像診断装置100の大まかな構成とその動作であるが、本実施形態の特徴とする点は、カテーテル101における、MDU部102と接続するためのコネクタの構造にある。MDU部102の構造は、図2と同じであるものとし、以下、図4A乃至4Cを参照して、実施形態におけるカテーテルコネクタ150の構造を説明する。なお、図3に示した従来のカテーテルコネクタと同様の部分については、同じ符号を付し、その符号の説明は省略する。
【0032】
図4Aは実施形態におけるカテーテルコネクタ150の断面構造図を示している。図3との相違点は、弾性体311(シリコンゴムで構成される)と、ツマミ301との間に硬質のリング部材401を介在させた点であり、これ以外は同じである。このリング部材401は、弾性体311の内径に嵌入する円筒部分と、ツマミ301の後端面301aと接触した際にその力を分散させるためのフランジ部(図4B参照)とを有する。そして、そのフランジ部におけるツマミ301側には、図4Cに示すごとく、円周に沿った突起部401aを設けた。この突起部401aの直径Rは、フランジ部の最内径かそれに近いものとした。なお、リング部材411の円筒部分の奥行L0は、弾性体311の奥行方向の厚みLに対して十分に小さいものとしている。この構造を持つことで、カテーテルをMDU部102に接続する際に、ツマミ301が後退してツマミの後端面301aがリング部材401の突起部401aに圧接したとしても、弾性体311による緩衝性が維持できる。
【0033】
更に、実施形態における、このリング部材401の材質として、POM(Polyoxymethylene;ポリオキシメチレン)を用いた。この結果、リング部材401の材質として、ツマミ301間の摩擦力を小さくできる。更に、リング部材401の最内径に沿って突起部401aを配置したことより、弾性体311とツマミ301間の摩擦トルクを更に小さくできる。この結果、リング部材401とツマミ301間の摩擦トルクは、MDU部102が非駆動時における、ツマミ係合部206の回転抑制力よりも十分に小さくできた。つまり、カテーテルコネクタ150を、MDUコネクタ240に差し込んだ際、回転するのは、ツマミ301側となり、ツマミ301の突起部302、及び、ツマミ係合部206のガイド壁207の接触点に係る負担をこれまでよりも遥かに小さくできる。
【0034】
なお、実施形態におけるリング部材401の材質としてPOMを用いる例を示したが、結論的には、リング部材401とツマミ301間の摩擦力が、MDU部102が非駆動時における、ツマミ係合部206の回転抑制力よりも小さい、という条件を満たせば構わず、リング部材の材質はPOMにこだわらない。ただし、ツマミ301は一般にPBT(Poly Butylene Terephthalate;ポリブチレンテレフタレート樹脂)を用いられており、それに対して摩擦抵抗が十分に小さく、しかも、安価にできるという点でPOMが望ましい。
【0035】
以上説明したように本実施形態におけるカテーテルによれば、画像診断装置が有するMDU部に接続する際に、その光結合が正しく行われるための回転動作する側が、回転時の抵抗の低いカテーテル内のツマミ側になるようにすることができる。従って、接続時にMDU部102に係る負担を従来構造より少なくでき、その稼働率を上げることも可能となる。
【0036】
[第2の実施形態]
更に本発明者は、カテーテルとMDU部とを接続する際、ツマミ301の突起部302がツマミ係合部206のガイド壁207に当接した際に、その接触点において発生する力の力線と、ツマミ301がリング部材401から受ける力の合力の力線のズレから、接触点を中心に図5Aの矢印500に示す回転トルクが発生することに着目した。なお、図5Aでは、ツマミ係合部206が、ツマミ301が傾いた状態での侵入を許可するかのように示しているが、これは説明をわかりやするために誇張して示したに過ぎず、ツマミ係合部206にかかる間隙があることを示すものではない。
【0037】
図示のようなトルク500が発生するということは、ツマミ301がツマミ係合部206に対し、僅かに傾いた状態で侵入することとなる。カテーテル101をMDU部102に装着する際に、その装着力はツマミ301とツマミ係合部206との接触部において受けることとなり、ツマミ301の突起部302には剪断力が発生する。ツマミ301が傾いた状態である場合、この剪断力を受ける断面積が、傾いていない状態のカテーテル装着時と比較して小さくなることとなる。これにより、ツマミ301の突起部302には大きな剪断応力が発生し、ツマミ301の突起部302が破損や変形をする可能性がある。
【0038】
本発明者は、前述の剪断力を受ける断面積をより大きくし、剪断応力を低下させるために、トルク500を無くす、もしくは逆回転のトルクを発生させる構造を有することが望ましいと考えた。幸い、トルク500の回転中心は、ツマミ301の円周上の突起部302が設けられた位置で規定されるのは図5Aから明らかである。そのため、ツマミ301のリング部材401に当接する面が、ツマミ301のフランジ部の厚さが突起部302と同じ方向で最も厚く、突起部302に対して反対側の方向を最も薄くなるような面にした。この構造を有すると、カテーテルをMDU部102に押し込んでツマミ301が後退した際には、図示では面301bの上端が最初にリング部材401又は突起部401aと接することになり、先に示すトルク500が全くない状態もしくは、反対方向のトルクをツマミ301に与えることができることとなる。その結果、ツマミ301の突起部302と、ツマミ係合部206のガイド壁207との接触部において前記の剪断力を受ける断面積を大きく確保することができるため、結果的に剪断応力を低下させることができ、ツマミ301の突起部302に掛かる負担をさらに軽減させることができるようになる。
【0039】
以上本発明に係る実施の形態を説明した。本実施形態では、OCT又はOFDIを用いた光干渉を利用した画像診断装置に適用する例を説明した。最近では、イメージングコアに光送受信部だけでなく、超音波送受信部も有し、一度のスキャンで光干渉を利用した断面画像と、超音波を利用した断面画像を生成する装置もあり、係る装置に適用しても構わない。
【0040】
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【0041】
本願は、2014年3月19日提出の日本国特許出願特願2014−057097を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てを、ここに援用する。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B