(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
凍結乾燥室(21)内に位置し、少なくとも前記凍結乾燥室(21)内において自律的に可動であるスライダ(18)と、前記スライダ(18)内に存在するかまたは前記スライダ(18)に関連付けられた他の内部構成要素と、に電気エネルギーを供給可能な供給手段(14、114、214)、が設けられた供給システムであって、
前記供給手段(14、114、214、30)が、前記スライダ(18)の移動行程に沿って位置決めされるとともに、前記スライダ(18)に関連付けられたエネルギー受け取り手段(20、120、220、31)と協働し、少なくとも載置平面(13)の少なくとも導入および送出ステップ時に静止状態であり、
前記供給システムが前記スライダ(18)とのデータまたは情報の双方向送受信ができるように構成され、前記供給手段(14、114、214、30)により少なくとも部分的に動力供給される通信システム(50)を備え、
前記供給手段が、前記凍結乾燥室(21)内に存在する少なくとも通路(14)であり、
前記供給手段(14、114、214、30)が、少なくとも前記凍結乾燥室(21)のドア(11)を閉鎖するステップ時にエネルギーのない状態となるように構成されることを特徴とする、供給システム。
前記供給手段(114、214)の少なくとも1つが、前記凍結乾燥室(21)内の少なくとも前記通路(14)に関連付けられることを特徴とする、請求項1に記載の供給システム。
前記供給手段(114、214)の少なくとも1つが、前記凍結乾燥室(21)内に存在する前記通路(14)に平行に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の供給システム。
前記供給手段が、給電され得るとともに前記凍結乾燥室(21)内に存在する少なくとも1つの前記通路(14)に関連付けられた1次コイル(30)を備えることと、エネルギー受け取り手段が、前記スライダ(18)に取り付けられかつ前記1次コイル(30)の磁気誘導によりエネルギーを発生させるように構成された2次コイル(31)を備えることとを特徴とする、請求項1に記載の供給システム。
前記受け取り手段(20、120、220)が、前記供給手段(14、114、214)から前記スライダ(18)に搭載された構成要素に電気エネルギーを伝送するように構成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の供給システム。
前記受け取り手段が、車輪(20)、歯車、線路、機械的摺動ブロックまたは電気摺動ブロック(120、220)を含む群から選択されることを特徴とする、請求項6に記載の供給システム。
前記供給手段(14、114、214、30)が、前記スライダ(18)内に存在しかつ少なくとも前記凍結乾燥室(21)に関連して動作する管理および制御システムに、前記通信システム(50)によって、指令を伝えるように構成されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の供給システム。
前記スライダ(18)に搭載された前記管理および制御システムが、前記供給手段(14、114、214、30)の少なくとも1つを通して外部の命令および制御ユニットと共にフィードバックの形で作用するように構成されることを特徴とする、請求項11に記載の供給システム。
移動構成要素を備え、凍結乾燥室(21)内で移動自在であるように構成され、供給手段(14、14、214)を備えた供給システムによって内部移動構成要素と共に動力供給されるように構成されたスライダ(18)であって、
前記供給手段(14、114、214)が前記スライダ(18)の移動行程間に静止状態であり、
前記スライダ(18)が、前記供給手段(14、114、214)と協働するエネルギー受け取り手段(20、120、220、31)を備え、
前記スライダ(18)が、前記スライダ(18)とのデータまたは情報の双方向送受信ができるように構成され、前記供給手段(14、114、214、30)により少なくとも部分的に動力供給される、通信システム(50)に関連付けられ、
前記供給手段(14、114、214、30)が、少なくとも前記凍結乾燥室(21)のドア(11)を閉鎖するステップ時にエネルギーのない状態となるように構成されることを特徴とする、スライダ。
スライダが、前記供給手段(14、114、214)により伝送される信号によって外部の命令および制御ユニットの指令で駆動されおよび/または調整されるように構成されることを特徴とする、請求項14に記載のスライダ。
【背景技術】
【0003】
医薬品分野および同様の分野(食料品および準医薬製品など)では、製品の保存性および寿命を向上させるために製品の凍結乾燥がしばしば行われることが知られている。
【0004】
凍結乾燥室内では、埃が生成されてはならず、磁力を発する源が存在してはならず、かつ蒸気の放出または許可されない物質なしに全てが簡単化されなければならないことも知られている。これは全て、清掃を容易にし、同時に、凍結乾燥されるまたは既に凍結乾燥された製品に汚染物質が接触するのを防止するためである。
【0005】
凍結乾燥サイクルが終了したときに取り出される、凍結乾燥される製品の容器がそれぞれの機会に載置される、通常は凍結乾燥室内に複数の平面が存在することも知られている。
【0006】
この場合、種々のタイプ、形状および組成のスライダを使用して載置しおよび/または取り出す、種々のシステムによって、載置および取り出し作業が行われることも知られている。
【0007】
スライダは、スライダを移動させる手段と、場合により、移動手段に動力供給する手段と、更に、自律的であるかまたは遠隔操作される、可能な命令および制御手段とを、搭載して有することができる。
【0008】
スライダの移動手段と存在する場合には載置/取り出しアームとに動力供給するために必要とされる力は、機械的ケーブルもしくは電気ケーブルにより、または搭載されたエネルギー蓄積手段により現に供給される。蓄積手段は、電気、流体または機械的エネルギーを蓄積することができる。これらの動力供給手段は全て、埃もしくは煙もしくは有毒ガス、または磁力、強磁力さえも発生させ、これらの全てがその後凍結乾燥に付される種々の医薬製剤において禁忌である。更に、動力供給手段は、嵩張り、高価であり、かつ清掃および保守の問題、ならびに更にある機会には、爆発の危険性をもたらす。
【0009】
エネルギー蓄積手段が搭載される場合には、電気、流体または機械的アキュムレータであれ、アキュムレータを充電する問題があり、このことは、システムを複雑にし、生産および管理コストを増加させ、予備部品用の倉庫を必要とし、システム全体を生産する際に問題を生じさせる。
【0010】
命令および制御システムに関しては、ケーブルによってまたはケーブルなしで、例えば、Wi−Fi、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、電波一般または他のシステムによって、これを中央ユニットまたは他の特定のユニットにインターフェースすることができる。これらの対話手段は、ある特定の物質、これだけではないが、特に医薬物質がサポートすべきではない妨害を生じさせる。
【0011】
文献である特許文献1では、凍結乾燥機の乾燥室の可動式載置平面を上下方向に載置し/取り出すための装置を説明している。装置は、載置/取り出し作業時に可動であるスライダを提供し、このスライダは、処理される容器のための可動ガイド縁部と、載置平面の各々に設けられ、したがって、載置平面と共に可動である、処理される容器のための横方向の固定ガイドを画定する長手ガイドとを形成する。スライダは、それぞれの1次部品が設けられた2つのリニアモータにより駆動され、これらリニアモータは、可動スライダの両側に接続固定され、したがって、可動スライダと共に可動であり、かつリニアモータの2次部品を受け入れる長手ガイドにより支持される。2つのリニアモータの電力の供給は、スライダと共に可動である2つの1次部品に接続された給電線または給電線群によって行われる。それゆえ、特許文献1で説明した供給システムは、供給手段、すなわち、スライダを駆動する、リニアモータの1次部品が、スライダと共に可動であり、かつその結果同じく可動である給電線に接続されるので、嵩張りかつ複雑である可能性がある。特に載置/取り出しステップ時では、スライダと共に可動であるエネルギー供給部品の存在は、ここで検討中の凍結乾燥機には望ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の1つの目的は、凍結乾燥室内でのスライダの移動を簡単化し、保守および清掃作業を容易にし、同時にコスト(生産コストと保守管理コストの両方)を低く抑えるエネルギー供給システムを得ることである。
【0014】
別の目的は、凍結乾燥室内において、少なくともスライダを一定の時間機能させるのに必要なエネルギーを少なくとも供給することである。
【0015】
本発明の別の目的は、凍結乾燥に付される物質への干渉および妨害を低減する、凍結乾燥室の外部の命令および/または制御システムとインターフェースをとることである。
【0016】
本出願人は、現行技術の欠点を克服するとともに、これらおよび他の目的および利点を得るために、本発明を発明し、試験し、かつ具体化した。
【0017】
本発明は、独立請求項に明記され特徴付けられるが、従属請求項は、本発明の他の特徴または主要な本発明の概念の変形例を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の目的に従って、エネルギー供給システム、特に電気エネルギー供給システムは、本発明によれば、凍結乾燥機内において、現行技術の限界を克服しかつ現行技術における欠陥を排除する。エネルギー供給システムは、エネルギー、有利には電気エネルギーを少なくともスライダに供給する手段(供給手段ともいう)がスライダの移動行程に沿って固定されて位置決めされるとともにスライダに関連付けられるエネルギー受け取り手段と協働することを実現する。
【0019】
実施形態の一形態によれば、スライダとのデータまたは情報の双方向送受信用に構成されかつ供給手段により少なくとも部分的に動力供給される、通信システムを設けることができる。
【0020】
本発明の第1の構成形態によれば、供給手段は、スライダが沿って移動する通路の少なくとも1つである。
【0021】
第1の変形例によれば、供給手段の少なくとも1つは、少なくとも1つの通路に関連付けられるが、この通路から絶縁される。
【0022】
別の変形例によれば、供給手段の少なくとも1つは、少なくとも1つの通路に平行配置される。
【0023】
別の変形例では、スライダに関連付けられた誘導コイルに所望の電気エネルギーを誘導するのに適した、固定磁気誘導コイルを少なくとも備える磁気源を供給手段として使用する。
【0024】
本発明は、少なくとも凍結乾燥室のドアが閉鎖されたときに、電気エネルギーをスライダに供給する供給手段が遮断され、それゆえ、エネルギーのない状態となることを実現する。
【0025】
第1の構成形態によれば、エネルギー供給手段は連続しており、つまり、エネルギー供給手段は連続性の中断なしに展開している。
【0026】
変形例によれば、エネルギー供給手段は、互いに連続して配置された複数の要素からなる。
【0027】
別の変形例によれば、供給手段は、埃が生じるかまたは堆積されるのを防止するために、平坦な水平面が少ない。
【0028】
電気エネルギーを供給する供給手段の少なくとも1つを通して、スライダに搭載された管理および制御システムへの指令を伝えることは、本発明の趣旨の範囲内である。
【0029】
この解決策の変形例は、スライダに搭載された管理および制御システムが、供給手段自体を通して、または電気エネルギーの供給元でもあり得る別の手段を通して、外部システムまたは命令および管理ユニットと共にフィードバックの形で作用することである。
【0030】
スライダの移動を可能にするのに適した車輪または線路が関連付けられる、スライダに搭載された少なくとも1つのモータが存在することを実現することは、本発明の趣旨の範囲内である。
【0031】
変形例では、凍結乾燥室に挿入されかつ凍結乾燥室から引き出されるボトル/バイアルを移動させるバーを駆動するモータ手段をスライダに搭載して提供する。モータ手段は、回転モータ、磁気吸着装置、電動スクリュージャッキとすることができる。
【0032】
また、変形例では、ボトル/バイアルを取り出されなければならないときに凍結乾燥室内における低温(−50℃または更には−60℃以上)により影響を受ける可能性があるスライダの加熱部品用および/または非常用の、スライダに搭載されたバッテリが存在することを実現する。
【0033】
スライダに搭載された1つまたは複数のバッテリが、スライダ自体を機能させる役割を果たす1つまたは複数のモータを駆動することもできることを実現することは、本発明の趣旨の範囲内である。
【0034】
スライダに供給されるエネルギーは、スライダがその時直接使用するエネルギー、すなわち、より大きいまたはより小さい張力を有するエネルギーとすることができる。後者の場合では、管理および制御システムに動力供給する変換に加えて、モータ手段に動力供給する変換も行われる可能性がある。
【0035】
本発明のこれらおよび他の特徴は、添付図面を参照して非限定的な例として与えられる、実施形態のいくつかの形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0037】
理解を容易にするために、可能である場合には、図面中の同一の共通要素を特定するために同じ参照番号が使用されている。実施形態の一形態の要素および特徴を更なる説明なしに実施形態の他の形態に簡便に組み込むことができることが理解される。
【0038】
ここで、1つまたは複数の例が添付図面に示されている、本発明の実施形態の種々の形態について詳細に言及する。各例は、本発明の例示として与えられ、本発明を限定するものとして理解されるべきではない。例えば、実施形態の一形態の部分である限りにおいて示されまたは説明される特徴は、実施形態の別の形態を生み出すために、実施形態の他の形態に適合させるかまたは他の形態に関連して適合させることができる。本発明がそのような全ての変更および変形例を含むべきであることが理解される。
【0039】
添付図面を参照するに、電気供給システム、すなわち、本発明による供給手段14、114、214が説明されている。既知の方式で、但し凍結乾燥機10内において自律的に可動である、スライダ18と、エネルギーを必要とするとともにスライダ18内に存在するかまたはスライダ18と関連付けられる全ての内部構成要素とに電気エネルギーを供給するために、電気供給手段または電気供給システムを使用することができる。
【0040】
供給手段に含まれるかまたは供給手段を構成する、通路14または他の手段114、214が電気エネルギーのみを伝えることができるか、またはスライダ18の機能に結び付けられた情報を管理および制御システム、例えば、制御ユニット32(例えば、
図10および
図11を参照)にまたは制御ユニット32から伝えるために、通路14または他の手段114、214を使用することもできることを実現することは、本発明の趣旨の範囲内に入る。
【0041】
本発明によれば、供給手段14、114、214は、少なくとも載置平面13の少なくとも載置および取り出しステップ時に、スライダ18の経路に沿って
静止状態で位置決めされる。供給手段14、114、214は、例えば、凍結乾燥機10の凍結乾燥室21が実質的に閉鎖されているときに移動可能であるものとすることができる。
【0042】
図1および
図2で説明した変形例によれば、供給手段は、スライダ18が沿って可動である、凍結乾燥機10の少なくとも1つの通路14である。
【0043】
管理および制御システムをスライダ18に搭載することもできる。
【0044】
実施形態のいくつかの形態はまた、スライダ18に搭載された管理および制御システムが、供給手段14、114、214を通して、または同じく電気エネルギーを供給する別の手段を通して、外部システムと共にフィードバックの形で作用できることを実現する。
【0045】
図1は、凍結乾燥室21内に通じる入口区画12を有する凍結乾燥機10を概略的に示している。
【0046】
入口区画12は、ドア11により閉鎖することができる。凍結乾燥室21内に通路14が存在する。
【0047】
図1に示す実施形態の形態では、通路14は連続しており、つまり、通路14は、長手方向の展開の全体に対して単体で作られる。
【0048】
図5の実施形態の形態を参照するに、通路14は、スライダ18の摺動用のガイドを画定するために、共通の展開軸線に沿って互いに連続して配置された複数のガイド要素27を備える。
【0049】
ガイド要素27は、全て同じ長さとするか、または特定の要件に応じた異なる長さとすることができる。
【0050】
ガイド要素27の少なくともいくつかは、例えば、通路14を妨げる可能性のある部品の移送を決定するために、回転軸線X(
図5)を中心に選択的に回転可能とすることができる。
【0051】
通路14は種々のタイプおよび形状を有することができ、かつ通路14を種々の方式で支持し位置決めすることができるが、これらの態様は、本発明の概念の目的とは無関係である。
【0052】
例えば、
図1に示す、実施形態のいくつかの形態は、通路14が、絶縁材料17上に位置し、かつ凍結乾燥室21の内壁15にしっかりと固定できる支持体22または他の適切な手段により適所に支持され保持されることを実現することができる。支持体22は、固定されるかまたは可動とするかのいずれかとすることができる。
【0053】
容器が載置平面13に載置され/載置平面13から取り出されるときに、通路14に接続するために、凍結乾燥室21の外部から入口区画12を通って内部に向かって延びる可動通路16が設けられる。
【0054】
可動通路16は、例えば、ドア11と可動通路16との間に干渉状態が存在しないとき、すなわち、凍結乾燥室21が開放および/または閉鎖されているときに作動させることができる。
【0055】
通路14は、スライダ18が摺動することを可能にするように構成される。この目的で、実施形態のいくつかの形態は、複数の車輪20がスライダ18と関連付けられ、車輪20の少なくとも1つが電動式であることを実現することができる。
【0056】
2つ以上存在し得る車輪20を線路または機械的摺動ブロックまたは歯車で置き換えることができる。これらの場合、通路14は、車輪20とまたは設けることができる他のタイプの移動部材と嵌合する適切な対向要素(contrast elements)を有する。
【0057】
例えば、変形例によれば、スライダ18には、スライダ18のそれぞれの側にいくつかの車輪20が設けられるか、または、実施形態の他の形態では、歯付きベルトまたは同様もしくは同等のタイプの部材が設けられることを実現してもよい。
【0058】
通路14のいかなる状態においても、例えば、凍結乾燥室21内でのスライダ18の所望の位置決めを可能にするために、車輪20または歯付きベルトがスライダ18に対して水平に旋回するように取り付けられることを実現することも、本発明の趣旨の範囲内に入る。
【0059】
例として、車輪20には、1つまたは複数のモータ23により、または適切な軸と変速機とリターン(returns)とを有する単一のモータ23により、動力供給することができる。
【0060】
クラッチ、ブレーキ、歯車、ベルト、チェーンなどの、動作を低減しおよび/または伝達する手段が存在することもできる。
【0061】
ここに示す場合では、載置/取り出しバー19は、1つまたは複数の位置をとるように構成され、かつ既知の方式で駆動部材123により駆動される。
【0062】
図1の供給システムは、第1の構成形態によれば、供給手段が通路14であることと、供給手段が車輪20(エネルギー受け取り手段として機能する)を通してスライダ18にエネルギーを送信することとを実現することができる。
【0063】
単に例として、通路14は、エネルギーを供給するための1つまたは複数の導体線路を備えた状態で、車輪20との接触表面に設けることができる。
【0064】
エネルギーを受信するのが車輪20である場合、例えば、電磁タイプの干渉を生じさせることなく、スライダ18に搭載された分配部材にエネルギーを分配するように、車輪20を絶縁することができる。
【0065】
実施形態の他の形態において、
図2〜
図4に例として示すように、車輪20、線路、機械的摺動ブロックまたは歯車の代替案として、受信手段として機能する、電気摺動ブロック120および/または220を通してエネルギーを伝えることができる。
【0066】
電気摺動ブロック120および/または220は、有利には、スパークの発生を防止するかまたはスパークの発生を少なくとも最小限に抑えるもしくは抑制するように協働する。
【0067】
電気摺動ブロック120および/または220を通して伝えられたエネルギーを伝送するのが通路14自体である場合に、電気摺動ブロック120および/または220は、
図2に例として示すように、通路14を摺動することができる。
【0068】
図5の実施形態の形態を参照するに、スライダ18に電気エネルギーを伝送するために、かつ例えばスライダ18があるガイド要素27から次のガイド要素27に移行するときに一定の供給を保証するために、2つ以上の摺動ブロック120および/または220を設けることもできる。また、2つ以上のブロック120の存在は、凍結乾燥室21内においてスパークを引き起こす可能性がある、伝送される電気負荷を低減する。
【0069】
実施形態の他の形態によれば、通路14以外に、他の供給手段が存在してもよい。
【0070】
供給手段は、典型的には少なくとも1つの通路14の側部に設けられ、かつ電気摺動ブロック120および/または220を通してエネルギーを供給するように構成された、例えば、導体バー114、214とすることができる。
【0071】
供給手段は、例として、
図3および
図4に示す導体バー114、214などの、少なくとも1つの通路14に平行に延在することができる。
【0072】
実施形態の他の形態によれば、導体バー114、214は、別の位置にまたは別の構成で設けることができる。
【0073】
導体バー114、214は、通路14からの物理的離間または電磁絶縁を含む絶縁手段によって絶縁することができる。
【0074】
図3の例では、2つの導体バー114および214が通路14に平行にかつスライダ18を移動させる車輪20の外側に位置する実施形態が示されている。
【0075】
例えば、通路14と導体バー114、214との間に絶縁材料を介在させて、導体バー114、214を通路14から電気的に絶縁することができる。
【0076】
実施形態の他の形態によれば、導体バー114、214は、例えば、スライダ18の両側に置くことができ、および/または2以外の数で存在することができる。
【0077】
実施形態の他の形態によれば、供給手段は、例として
図4で分かるように、通路14の少なくとも片側に適用することができる。
【0078】
実施形態の更に他の形態は、特に非接触の、無線エネルギー伝送を提供することができる。特に、動力源と動力源を備えていない電気負荷と(この場合、移動および駆動システムとスライダ18に搭載された関連部材と)の間で接続ケーブルを使用せずに電気エネルギーを伝送することを実現してもよい。
【0079】
例えば、無線エネルギー伝送システムは、電力光線/レーザ、無線またはマイクロ波での伝送の使用を伴う「ファーフィールド」法、または誘導を使用する「ニアフィールド」法を使用して提供してもよい。これらの両方の可能性は、電磁気および磁界を使用する。例えば、電気コイルにより形成された第1の部分と、他の電気コイルによりまたは永久磁石もしくは通電された磁石によりまたは導体により形成された第2の部分との相互作用のために電磁気および磁界を使用するモータを設けてもよい。
【0080】
特定の例示的な実施形態において、供給手段は、リニアモータ、例えば、リニア誘導モータ、同期リニアモータ、ブラシレス同期リニアモータ、単極リニアモータ、ボイスコイルリニアモータ、円筒形リニアモータ、または更には圧電リニアモータとして構成することができる。例えば、片側のリニアモータおよび両側のリニアモータを使用することが可能である。
【0081】
一般的に、特に非接触の、無線エネルギー伝送システムの利点は、摩耗がないこと、ケーブルまたは導体が嵩張ることがなく、埃または塵が発生せず、潜在的に危険な静荷重がないことであり得る。
【0082】
例えば、
図6に示す実施形態のいくつかの形態では、供給手段が、給電されるとともに通路14にまたは通路14に隣接して位置する補助経路に関連付けられた1次コイル30、すなわち励磁コイルを備え、その一方で、受け取り手段が、スライダ18に搭載された2次コイル31、すなわち誘導コイルを備えることを実現することができる。無線エネルギー伝送システムは、それゆえ、変流器の機能原理に基づくものとすることができる。
【0083】
正常に機能する間に、1次コイル30は、磁気誘導により2次コイル31を励磁するのに適した磁界を発生させ、次に、2次コイル31が、スライダ18に搭載された部材に所望の電気エネルギーを提供する。
【0084】
可能な実施態様において、2次コイル31は、例えば、通路14の上方または側部に位置決めされ、スライダ18に接続するかまたは取り付けることができる、収容シェル36内に配置することができる。
【0085】
他の可能な実施態様では、2次コイル31をスライダ18の車輪20と一体化させるかまたは車輪20に組み込むことができる。
【0086】
可能な実施態様において、1次コイル30および/または2次コイル31は、円形状または楕円形または細長い形または多角形とすることができる。例えば、適切に構成されかつ形状決めされた、2次コイル31をスライダ18の車輪20に一体化させることができる。
【0087】
図7、
図8および
図9は、供給手段が1次コイル30と2次コイル31とを備える無線エネルギー伝送システムの、ここで説明する実施形態の全ての形態と組み合わせることができる、実施形態の他の可能な形態を説明するために使用される。例えば、通路14から離間してまたは距離を置いて配置できる、つまり、収容シェル36は特に1.5mm〜12mmの距離「D」(
図9)を置いて非接触とすることができる、適切な収容シェル36内に後者を収納することができる。特に、
図7を参照するに、2次コイル31は、通路14の上方に設ける、例えば、収容シェル36内に収納することができ、この収容シェル36は、通路14に沿ってその上部を摺動するように設けることができる。対照的に、
図8を参照するに、2次コイル31は、通路14の側部に設ける、例えば、この場合に通路14に沿って外側を摺動するように設けられた収容シェル36内に収納することができる。
【0088】
図9は、2次コイル31が例えば強磁性コア39と関連付けられ内部に収納される収容室38を画定する箱37を備え得る、収容シェル36の、ここで説明する実施形態の全ての形態と組み合わせることができる、実施形態の可能な形態を説明するために使用することができる。箱37は、壁41により閉鎖することができ、この壁41は通路14側に面することができる。壁41は、鋼、特にステンレス鋼で作ることができる。更に、壁41は、非磁性とすることができる。このことは、埃または塵が堆積するのを防止するのに有利であり得る。例えば、非磁性鋼、例えばAISI 300系の鋼を使用することができる。壁41は、0.5mm〜3.0mm、特に0.6mm〜2.5mm、より詳細には0.7mm〜2.0mmの厚さを有することもできる。例えば、壁41は、箔、特に非磁性鋼の箔とすることができる。実施形態のいくつかの形態によれば、凍結乾燥機10のドア11が閉鎖されたときに供給手段14により供給されるエネルギーが遮断されることが実現される。
【0089】
この構成は、上で説明したように可動通路16を解放し、これにより、エネルギーを伝送するのが通路14である場合には、可動通路16と通路14との電気的導通を遮断することにより得ることができる。
【0090】
他の変形例によれば、エネルギー伝送の遮断は、ドア11の閉鎖と同時に、例えばドア11自体により駆動できる電気スイッチまたはセパレータを使用して、様々な方式で達成することができる。
【0091】
実施形態のいくつかの形態によれば、供給手段14、114、214は、埃が生じるかまたは堆積するのを防止するために平坦な水平面24(
図1、
図3および
図4の例を参照)が少ないいかなる立体構造をも有することができる。
【0092】
これまで説明した医薬品分野用の凍結乾燥機における供給システムに対して、本発明の分野および範囲から逸脱することなく、部品の変更および/または追加を行うことができるのは明らかである。
【0093】
図10および
図11は、スライダ18とのデータまたは情報の双方向受送信用に構成された通信システム50が設けられる、ここで説明する実施形態の全ての形態と組み合わせることができる、実施形態の形態を説明するために使用される。
【0094】
供給手段14、114、214、30により、通信システム50に、特にスライダ18に搭載されるかまたはスライダ18と関連付けられる通信システム50の構成要素または装置に対して、少なくとも部分的に動力供給することができる。例えば、供給手段が無線エネルギー伝送システムにより形成される上で説明した可能な実施態様において、システムは、通信システム50の機能のために、特に制御ユニット32とスライダ18との双方向対話の目的でスライダにエネルギーを供給することができる。
【0095】
特に、データ(例えば、スライダ18の機能を制御し調節するために使用されるデータ)を送信する目的で、外側に位置し得る制御ユニット32とスライダ18との有利な双方向対話用に通信システム50を設けることができる。
【0096】
可能な実施態様によれば、通信システム50は、無線通信システムとすることができる。「無線通信」という表現は、電気導体で互いに接続されていない2つ以上の地点間でのデータまたは情報の伝送を意味する。通常、無線通信は、約9kHz〜300GHZに及ぶ電磁スペクトルにおいて実行される。無線通信の一例は無線通信であり、あるいは、磁界、電界、誘導電磁界(例えば、短距離RFIDタグの場合のように)または光(自由空間光通信(Free−space optical:FSO)、例えば、可視光もしくは赤外光)の使用などの、他の電磁無線技術が可能であり、あるいは音を使用することも可能である。
【0097】
可能な実施態様によれば、通信システム50は、例えば、無線送受信、短波、中波または長波により、例えば、Wi−FiプロトコルもしくはBluetooth(登録商標)プロトコル、またはZigbee(登録商標)、またはNFCプロトコル(近距離無線通信)、または赤外線通信(例えば、赤外線通信協会(Infrared Data Association:IrDA))により、無線で構成することができる。
【0098】
図1〜
図9を用いて説明した実施形態の全ての形態と組み合わせることができる、特に、例として
図10を用いて説明した実施形態の形態において、通信システム50は、外部制御ユニット32と関連付けられて、例えば、外部制御ユニット32に一体化され、組み込まれまたは外部接続されて設けられ得る、第1の無線送受信装置33、例えば、アンテナを備えることができる。更に、通信システム50は、スライダ18と関連付けられ、例えば、スライダ18に一体化され、組み込まれまたは外部接続されて設けられ得る、第2の無線送受信装置34、例えば、アンテナを備えることができる。1つの可能な例示的な実施形態では、第1の無線送受信装置33および第2の無線送受信装置34がWi−Fiアンテナであることを実現してもよい。供給手段14、114、214、30により、第2の無線送受信装置34に動力供給することができる。
【0099】
例えば
図1〜
図5を用いて説明した実施形態の全ての形態と組み合わせることができる、実施形態の他の可能な形態において、通信システム50は、データの伝送のために、供給手段14、114、214により供給される電気接続を利用することができる。特に、通信システム50は、例えば、搬送波技術、または電力線通信(PLC)による、特に、例えば、LonWorks技術で実行される、電気信号でのデータの伝送を利用することができる。特に、PLC技術の使用は、電力を分配するために使用される高圧供給信号またはネットワーク信号に高周波数および低振幅で電気通信信号を重畳することを実現することができる。PLC技術はまた、供給信号をフィルタリングしかつ電気通信信号を処理することにより送信された情報を再構築するように構成された送受信機の使用を提供することができる。
【0100】
他の可能な実施形態によれば、通信システム50は、誘導磁界による送受信用に無線で構成することができる。特に、通信システム50は、スライダ18の機能に結び付けられたデータまたは情報を制御ユニット34から伝えるように構成することができる。
【0101】
実施形態のいくつかの形態によれば、
図6を用いて説明した1次コイル30と2次コイル31とを備える供給手段と通信システム50を一体化させることができる。特に、
図11を用いて説明した実施形態の形態において、通信システム50は、外部制御ユニット32が通路14または通路14に隣接して位置する補助経路に接続され、この通路14には1次コイル30が関連付けられることを実現することができる。
【0102】
特に、外部制御ユニット32は、1次コイル30から/に情報またはデータを搬送する電気信号を送受信するように構成することができる。励磁された1次コイル30により/に誘導された磁界は、述べたように有利には双方向である通信の方向に応じて、2次コイル31からまたは制御ユニット32から情報またはデータを伝えることができる。励磁された1次コイル30により/に誘導された磁界は、2次コイル31にまたは制御ユニット32に向けてそれぞれ誘導される電流を発生させ、この制御ユニット32は、それゆえ、有利には双方向モードで、スライダ18の制御および機能の情報またはデータを搬送する。
【0103】
可能な実施態様によれば、通信システム50は、2次コイル31と協働しかつスライダ18からの/への電気信号を管理するように構成された、変復調装置またはエンコーダ35を備えることができる。
【0104】
変復調装置またはエンコーダ35は、2次コイル31と関連付けられた電磁界の変化、例えば、振幅、周波数または力の変化を認識し解釈することができ、かつ場合により、同じ電磁界の振幅、周波数または力の変化を符号化して、それらを送受信される情報またはデータに関連付けることもできる。供給手段14、114、214、30により、変復調装置またはエンコーダ35に動力供給することができる。
【0105】
実施形態のいくつかの形態によれば、スライダ18には、スライダ自体のエネルギー蓄積手段、例えば、アキュムレータまたはバッテリ、有利には充電式のものを搭載することができる。例えば、スライダ18に取り付けられるかまたはスライダ18と関連付けられた通信システム50の通信構成要素に動力供給し、かつ更にスライダ18の可能な移動構成要素にエネルギーを供給するために、エネルギー蓄積手段を使用することができる。
【0106】
なお、いくつかの特定の例を参照して本発明を説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲に明記されるような特徴を有し、したがって、全て特許請求の範囲により定義された保護範囲内に入る、医薬品分野用の凍結乾燥における供給システムの多くの他の均等の形態を確実に達成できることも明らかである。