(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
カバーが、自己回復材料を含み、該材料が、搬出デバイスによって貫通され得ひいては該搬出デバイスを受け入れるための穴を形成し得るが、自己回復し、およびそれによって、該搬出デバイスが該材料から除去されるとき該穴を閉鎖する、請求項28に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0054】
例示態様の詳細な記載
本明細書は、本発明の例示態様および適用を記載する。しかしながら、本発明は、これらの例示態様および適用に、あるいは、例示態様および適用が動作するかまたは本明細書に記載されるやり方に限定されない。また、図は、簡略化されたかまたは部分的な図を示してもよく、図中の要素の寸法は、明確化のため、大きく見せてもよいし、またはそうでなければ、釣り合いが取れていなくてもよい。加えて、用語「の上にある(on)」、「に付着されている(attached to)」または「とカップリングされている(coupled to)」が本明細書に使用されるとき、1つの要素(例えば材料、層、基板など)は、1つの要素が直接、他の要素の上に、それに付着されているか、または、それとカップリングされているか否かにかかわらず、あるいは、1以上の介在要素が一方の要素と他方の要素との間にあるか否かにかかわらず、別の要素「の上にある」か、それ「に付着されている」か、または、それ「とカップリングされてい」てもよい。提供される場合、方向(例えば、上へ(above)、下へ(below)、上端(top)、下端(bottom)、横へ(side)、上方へ(up)、下方へ(down)、下へ(under)、上へ(over)、上方へ(upper)、下方へ(lower)、水平の(horizontal)、垂直の(vertical)、「x」、「y」、「z」など)もまた相対的なものであって、説明および検討を容易にするため例を用いて単に提供されるものであり、限定する目的はない。加えて、要素の一覧(例えば要素a、b、c)を参照する場合、かかる参照は、載せられた要素のいずれか1つそれ自体、載せられた要素の全部より少ないものからなるいずれかの組み合わせ、および/または、載せられた要素の全部からなる組み合わせを含むことを意図する。
【0055】
本明細書に使用される「実質的に」は、本来の目的どおりに働くのに充分であることを意味する。よって、用語「実質的に」は、完全なまたは完璧な状態、寸法、大きさ、結果からの有意でない小さな変動量、あるいは、例えば当該技術分野における当業者に予期されるであろうが、全体的な性能に感知できるほどに影響を及ぼさない同種のものを許容する。用語「1つ(複数)(ones)」は1つより多いことを意味する。
【0056】
微小物体について使用される用語「吸引する」は、圧力差を利用して微小物体を移動させることを意味し、「吸引器」は圧力差を発生させるデバイスである。
【0057】
本明細書に使用される用語「微小物体」は、以下の1以上を包含し得る:微小粒子、マイクロビーズ(例としてポリスチレンビーズ、Luminex(商標)ビーズまたは同種のもの)、磁性ビーズ、マイクロロッド(microrod)、マイクロワイヤ(microwire)、量子ドットなどの無生物の微小物体;細胞(例として胚、卵母細胞、精子、組織から解離された細胞、血液細胞、ハイブリドーマ、培養細胞、細胞株からの細胞、がん細胞、感染した細胞、形質移入および/または形質転換された細胞、レポーター細胞など)等の生物学的な微小物体、リポソーム(例として合成のまたは膜調製物由来の)、脂質ナノラフト(lipid nanoraft)など;または、無生物の微小物体と生物学的な微小物体との組み合わせ(例として細胞に付着されているマイクロビーズ、リポソームで被覆されたマイクロビーズ、リポソームで被覆された磁性ビーズまたは同種のもの)。脂質ナノラフトは、例としてRitchie et al. (2009) "Reconstitution of Membrane Proteins in Phospholipid Bilayer Nanodiscs," Methods Enzymol., 464:211-231に記載されている。
【0058】
液体に準拠して本明細書に使用される用語「流れ(flow)」は、主として、拡散以外いずれのメカニズムにも起因する、液体のバルク移動を指す。例えば媒体の流れは、地点間の圧力差に起因する、ある地点から別の地点への流体媒体の移動を伴い得る。かかる流れは、液体の、一続きの、パルス状の、周期的な、ランダムの、断続的な、または、往復の流れ、あるいは、それらの組み合わせを含み得る。ある流体媒体が他の流体媒体に流入するとき、媒体の乱流および混合が起こり得る。
【0059】
語句「実質的に流れがない」は、液体の中へのまたは液体内での材料の成分(例として対象とするアナライト)の拡散の速度より小さい液体の流れの速度を指す。かかる材料の成分の拡散の速度は、例えば温度、成分の大きさ、および、成分と流体媒体との間の相互作用の強さに依存し得る。
【0060】
流体媒体に準拠して本明細書に使用される「拡散する」および「拡散」は、濃度勾配を下回る、流体媒体の成分の熱力学的な移動を指す。
【0061】
微少流体デバイス内の異なる領域に準拠して本明細書に使用される語句「流体的に接続されている」は、異なる領域が実質的に流体媒体などの流体で満たされているとき、領域の各々における流体が、流体の単体(single body)を形成するように接続されていることを意味する。これは、異なる領域中の流体(または流体媒体)の組成が必ずしも同一であることを意味しない。むしろ、微少流体デバイスの、流体的に接続されている異なる領域中の流体は、溶質がそれら夫々の濃度勾配を下る(move down)ようにおよび/または流体がデバイスを経て流れるように流動的である異なる組成物(例として異なる濃度の、タンパク質、炭水化物、イオンまたは他の分子などの溶質)を有し得る。
【0062】
本発明の微少流体デバイスまたは装置は、「一掃される」領域および「一掃されない」領域を含み得る。流体接続が、拡散を可能にするが、一掃される領域と一掃されない領域との間に実質的に媒体の流れがないように構築されるという条件で、一掃されない領域は一掃される領域と流体的に接続され得る。よって、微少流体装置は、一掃される領域中の媒体の流れから、一掃されない領域を実質的に単離するが、実質的に唯一、一掃される領域と一掃されない領域との間の拡散性の流体連絡(fluidic communication)を可能にするように構築され得る。
【0063】
生体細胞を「滅菌すること(sterilizing)」は、細胞を、複製(reproduce)不能にさせることを意味する。
【0064】
本明細書に使用される微小物体の「群」は、単一の微小物体または複数の微小物体であり得る。微小物体の群は、生体細胞(例として1つの細胞、複数の細胞またはクローンコロニーからの全ての細胞)のクローン群であり得る。生体細胞のコロニーは、複製が可能であるコロニー中の生細胞の全てが、単一の親細胞に由来する娘細胞である場合、「クローン(clonal)」である。「クローン細胞」は、同じクローンコロニーの細胞である。
【0065】
本発明のいくつかの態様において、微小物体の群は、微少流体デバイス中の選択された保持用囲いから捕捉され得、および、保持用囲いからステージングエリアへ移動させられ得、そこで微小物体の群は、微少流体デバイスから搬出され得る。微小物体は生体細胞であり得る。各保持用囲いは、保持用囲い中の生体細胞を、他の保持用囲い中の生体細胞から(例として保持用囲いの単離領域中に生体細胞を置かせることによって)単離し得る。選択された保持用囲いから捕捉された微小物体はクローン細胞であってもよく、本発明の態様は、微少流体デバイス中のクローン細胞の特定の群を選択し得、ステージングエリアへクローン細胞を移動し得、および、群のクローン性を維持しながら、クローン細胞を微少流体デバイスから搬出し得る。
【0066】
図1A〜1Dは、保持用囲い156、セレクタ122および搬出インタフェース162を含む微少流体デバイス100の例を説明する。理解されるであろうが、セレクタ122は、微小物体(示されず)を選択し、それらを囲い156のいずれかから、デバイス100の包囲体102の内側にあるステージングエリア172へ移動させ得、搬出インタフェース162は、微小物体(示されず)をステージングエリア172から搬出し得る外付けの搬出デバイス182のために、包囲体102の中に接点(an interface)を提供する。
【0067】
図1A〜1Dに示されるとおり、微少流体デバイス100は、包囲体102、セレクタ122、流れコントローラ(flow controller)124および外付けの搬出デバイス182のための搬出インタフェース162を含み得る。同様に示されるとおり、微少流体デバイス100は、制御モジュール130、電磁放射線の供給源136(以下、EM源136)、ディテクタ138および/または同種のものなどの補助要素を含み得る。
【0068】
包囲体102は流れ領域140を定義し得、液体媒体144を保持し得る。包囲体102は例えば、基部(例として基板)106上に配置されている微小流体構造物104を含み得る。微少流体構造物104は、ガス透過可能である、ゴム、プラスチック、エラストマー、シリコーン(例としてパターン化可能なシリコーン)、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)または同種のものなどの可撓性がある材料を含み得る。微少流体構造物104を構成し得る材料の他の例は、鋳込ガラス、ケイ素などのエッチング可能な材料、フォトレジスト(例としてSU8)または同種のものを含む。いくつかの態様において、かかる材料−ひいては微少流体構造物104−は、硬質(rigid)であっても、および/または、実質的にガスに不透過性であってもよい。何であれ、微少流体構造物104は基部106上に配置され得る。基部106は1以上の基板を含み得る。単一の構造物として説明されているが、基部106は、多数の基板などの多数の相互接続された構造物を含み得る。微少流体構造物104は同様にして、相互接続され得る多数の構造物を含み得る。例えば微少流体構造物104は加えて、構造物中の他の材料と同じかまたは異なる材料から作られているカバー(示されず)を含む。
【0069】
微少流体構造物104および基部106は、微少流体の流れ領域140を定義し得る。1つの流れ領域140が
図1A〜1Cに示されているが、微少流体構造物104および基部106は、媒体144のための多数の流れ領域を定義し得る。流れ領域140は、微少流体回路を形成するように相互接続され得るチャネル(
図1B中の152、153)およびチャンバーを含み得る。
図1Bおよび1Cは、媒体144が配置され得る流れ領域140の内表面142を、平ら(例として平面)であって特色のないものとして説明する。しかしながら、内表面142は代わりに、平らでないもの(例として非平面)であってもよく、電気端子などの特長(示されず)を含んでいてもよい。
【0070】
示されるとおり、包囲体102は1以上の入口108を含み得、それを経て媒体144が流れ領域140の中へ投入され得る。入口108は、例えば投入口、開口、バルブ、別のチャネル、流体コネクタ、管、流体ポンプ(例として容量型シリンジポンプ)または同種のものであり得る。包囲体102はまた、1以上の出口110をも含み得、それを経て媒体144は、流れ領域140から除去され得る。出口110は、例えば排出口、開口、バルブ、チャネル、流体コネクタ、管、ポンプまたは同種のものであり得る。別の例として、出口110は、2013年4月4日に出願されたU.S.特許出願第13/856,781号(attorney docket no. BL1-US)に開示されているいずれの排出メカニズムなどの液滴排出メカニズムを含み得る。包囲体102の全部または一部は、ガス(例として周囲空気)が流れ領域140に出入りするのを許容するようにガス透過性であり得る。1つより多い流れ領域140を含む包囲体において、各流れ領域140は、媒体144を投入することとそれを流れ領域140から除去することとの夫々のために、1以上の入口108および1以上の出口110と関連し得る。
【0071】
図1Bおよび1Cに示されるとおり、保持用囲い156は、流れ領域140に配置され得る。例えば、各保持用囲い156は、包囲体102の内表面142上に配置されている障壁154を含み得る。多くのかかる保持用囲い156が、いずれのパターンでも配置される流れ領域140中にあり得、保持用囲い156は、多くの異なる大きさおよび形状のうちいずれでもよい。例えば、保持用囲い156は、2014年10月1日に出願されたU.S.仮出願62/058,658号に記載される構造物を含み得る。よって、例えば、保持用囲い156は、接続領域(示されず)および単離領域(示されず)を含み得る。
図1Bに示されるとおり、保持用囲い156の開口は、チャネル152、153に近接して配置され得、それらは、1つより多い囲い156の開口を通り過ぎて流れる媒体144のための導管であり得る。各保持用囲い156の開口は、チャネル152、153中に流れる液体媒体144の自然な交換を可能にし得るが、そうでなければ、各保持用囲い156は、いずれか1つの囲い156中の生体細胞などの微小物体(示されず)が、いずれか他の囲い156中の微小物体と混合するのを防止するために充分に閉鎖され得る。8つの囲い156および2つのチャネル152、153が示されているが、より多くても少なくてもよい。例えば、100、250、500、1000、2500、5000、10000、25000、50000、100000またはそれより多い保持用囲いと流体的に接続されている単一のチャネルがあってもよい。
【0072】
媒体144は、保持用囲い156中の開口を通り過ぎて、チャネル152、153に流され得る。チャネル152、153中の媒体144の流れは、例えば、保持用囲い156中の生物学的な微小物体(示されず)に栄養物を提供し得る。チャネル152、153中の媒体144の流れはまた、保持用囲い156からの廃棄物の除去をも提供し得る。単離領域を含む保持用囲い156において、単離領域とチャネル152、153との間の栄養物と廃棄物との交換が、実質的に唯一、拡散によって生じ得る。
【0073】
同様に示されるとおり、流れ領域140中に、ひいては包囲体102の内側に、ステージングエリア172があり得る。ステージングエリア172は単に、包囲体102の内表面142上のエリアであり得、それはマークが付けられていても、付けられていなくてもよい。代わりに、ステージングエリア172は、表面142の中へのくぼみ(
図1B〜1Dに示されるとおり)、表面142から伸びている台(示されず)、障壁(示されず)(例として障壁154に類似する)、チャンバーまたは同種のものなどの構造物を流れ領域140中に含み得る。何であれ、
図1Dに示されるとおり、ステージングエリア172は、包囲体102を経る通路174に近接して(例として流れ領域140を隔てて通路174の向かい側に)および流れ領域140の中へ、配置され得る。通路174は、包囲体102の外側から、包囲体102の内側へ、あり得る。通路174は、例えば、包囲体102中の穴であり得る。
【0074】
搬出インタフェース162は、包囲体102への外付けのデバイスであり得る外付けの搬出デバイス182のために、包囲体102の中へ、通路174に対する接点を提供し得る。
図1Cに示されるとおり、搬出インタフェース162は、通路174に近接して(例として通路174の上に、および/または、その内に)、包囲体102上に配置され得る。搬出インタフェース162は、通路174への開口164を含み得る。搬出インタフェース162は、開口164の上にカバー166をさらに含み得る。カバー166は、取り外し可能であり得るか、またはそうでなければ、搬出デバイス182によって破ることが可能(breachable)であり得、該搬出デバイス182は、包囲体102の中へ通路174を引き込むように、搬出インタフェース162中の開口164の中へ挿入され得る。別個の実体として示されているが、搬出インタフェース162および微少流体構造物104は、同じ材料から一体的に形成され得、ひいては1つの物理的実体の一部であり得る。
【0075】
搬出インタフェース162は、例えば、ポリスチレンなどの可撓性がある材料または微少流体構造物104に関し上述した材料のいずれかを含み得る。代わりに、搬出インタフェース162は、硬い(hard)または堅い(stiff)材料あるいは可撓性がある材料と硬いまたは堅い材料との組み合わせを含み得る。カバー166の例は、包囲体102への取り付けおよび該包囲体102からの取り外しが可能なカバー、開口164の中へ挿入され得るが通路174より小さいコルク様構造物または同種のものを含む。
図12A〜13Bに見られるとおり、カバー166の他の例は、搬出デバイス182によって押されて開口し得る自動閉鎖カバー1206および貫通可能な自己回復構造物の形態の搬出インタフェース1302を含む。
【0076】
図1Dに示されるとおり、搬出デバイス182は、中空の管様構造物であり得る。例えば、搬出デバイス182は、第1端188から逆側にある第2端192への内部通路186を定義する管状ハウジング(housing)184を含み得る。搬出インタフェース162のカバー166が除去されると、搬出デバイス182は、第1端188が包囲体通路174の近くへまたはそれと接触されるように、インタフェース162中の開口164の中へ挿入され得る。よって、搬出デバイス182の第1端188での開口190は、包囲体102の中へ、通路174に近接して、設置され得る。
【0077】
いくつかの態様において、搬出デバイス182は、圧力差を発生させるデバイス(例として吸引器、容量型シリンジポンプ、排気ポンプ、蠕動ポンプまたは同種のもの)であり得る。例えば、搬出デバイス182は、圧力差を発生させることが可能な供給源(示されず)に接続可能であり得、それは、搬出デバイス182の第1端188から第2端192への圧力差を発生させ得る。よって、搬出デバイス182は、微小物体(示されず)を、ステージングエリア172から、通路174を経て、第1端188中の開口190の中へ、内部通路186を経て、第2端192へ引き出すよう構成され得、ここで微小物体(示されず)は、回収され得るか、またはそうでなければ廃棄され得る。搬出デバイス182の例は、ピペット、管、皮下注射針などの中空の針、それらの組み合わせまたは同種のものを含む。搬出デバイスの内部通路186は、約5μm〜300μmの直径(例として約25〜300μm、約50〜300μm、約75〜300μm、約100〜300μm、約100〜250μm、約100〜200μm、約100〜150μm、約150〜200μmまたは他のいずれかの直径あるいは前述のエンドポイントの1以上によって定義される範囲)を有し得る。
【0078】
搬出デバイス182は、搬出デバイスを通過する微小物体を検出することが可能なセンサ(示されず)をさらに含み得る。センサは、搬出インタフェース162の近位に置かれ得る。代わりに、センサは、搬出インタフェース162の遠位に(例として搬出デバイス182の遠位端に)置かれ得る。センサは例えば、カメラ(例としてデジタルカメラ)または光センサ(例として電荷結合素子または相補型金属酸化膜半導体撮像装置)などのイメージングデバイスであり得る。代わりに、センサは、微小物体が通り掛かるときの複素インピーダンスの変化を検出するデバイスなどの電気的デバイスであり得る。
【0079】
セレクタ122は、媒体144中の微小物体(示されず)上に動電学的な力(electrokinetic force)を選択的に生じさせるように構成され得る。例えば、セレクタ122は、流れ領域140の内表面142での電極を選択的に起動する(例としてオンにする)および起動停止する(例としてオフにする)ように構成され得る。電極は、媒体144中の微小物体(示されず)を引き寄せるかまたは遠ざける力を媒体144中に生じさせ得、よってセレクタ122は、媒体144中の1以上の微小物体を選択し得、移動させ得る。電極は、例えば誘電泳動(DEP)電極であり得る。
【0080】
例えば、セレクタ122は、1以上の誘電泳動電極デバイス、光(例としてレーザー)ピンセットデバイス、および/または、1以上の光電ピンセット(OET)デバイス(例としてU.S.特許第7,612,355号(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)またはU.S.特許出願第14/051,004号(attorney docket no. BL9-US)(これもまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるとおり)を含み得る。さらに別の例として、セレクタ122は、微少物体の1以上が懸濁されている媒体144の液滴を移動させるための1以上のデバイス(示されず)を含み得る。かかるデバイス(示されず)は、光電ウェッティング(OEW)デバイス(例えばU.S.特許第6,958,132号に開示されるとおり)などのエレクトロウェッティングデバイスまたは他のエレクトロウェッティングデバイスを含み得る。よってセレクタ122は、いくつかの態様において、DEPデバイスとして特徴付けられ得る。
【0081】
図2Aおよび2Bは、セレクタ122がDEPデバイス200を含む例を説明する。示されるとおり、DEPデバイス200は、第1電極204、第2電極210、電極起動基板208、電源212(例として交流電流(AC)電源)および光源220(それは、EM源136と同じであっても異なっていてもよい)を含み得る。流れ領域140中の媒体144および電極起動基板208は、電極204、210を分離し得る。光源220からの光のパターン222を変化させることは、流れ領域140の内表面142の領域214でのDEP電極の変化するパターンを、選択的に起動および起動停止し得る。(以下、領域214は、「電極領域」ともいう。)
【0082】
図2Bに説明される例において、内表面142上へ向けられる光パターン222’は、示される四角いパターン中の斜交平行の電極領域214aに光を当てる。他の電極領域214には光が当てられず、それを以下「暗」電極領域214というときもある。電極起動基板208を越えて各暗電極領域214から第2電極210への相対電気インピーダンスは、第1電極204から、流れ領域140中の媒体144を越えて、暗電極領域214への相対インピーダンスより大きい。しかしながら、電極領域214aに光を当てることは、電極起動基板208を越えて、光が当てられた電極領域214aから第2電極210への相対インピーダンスを、第1電極204から、流れ領域140中の媒体144を越えて、光が当てられた電極領域214aへの相対インピーダンス未満まで、低減させる。
【0083】
電源212が起動されると、前述のものは、光が当てられた電極領域214aと、近接した暗電極領域214との間の媒体144に、電場勾配を引き起こし、これが順に、媒体144中の近くの微小物体(示されず)を引き寄せるかまたは遠ざける局所的なDEP力を生じさせる。よって、媒体144中の微小物体を引き寄せるかまたは遠ざけるDEP電極は、光源220(例としてレーザー源または他のタイプの光源)から微少流体デバイス200の中へ投影される光パターン222を変化させることによって、流れ領域140の内表面142での多くの異なるかかる電極領域214で、選択的に起動および起動停止され得る。DEP力が近くの微小物体を引き寄せるかまたは遠ざけるかは、電源212の周波数ならびに媒体144および/または微小物体(示されず)の誘電特性といったパラメータに依存し得る。
【0084】
図2Bに説明される、光が当てられた電極領域214aの四角いパターン222’は、例でしかない。電極領域214のいずれのパターンも、デバイス100の中へ投影される光のパターン222によって、光が当てられ得、光が当てられる電極領域222’のパターンは、光パターン222を変化させることによって繰り返し変化され得る。
【0085】
いくつかの態様において、電極起動基板208は光伝導材料であってもよく、内表面142は特色がないものであってもよい。かかる態様において、DEP電極214は、光パターン222に従い(
図2Aを参照)、流れ領域140の内表面142上、どこにでも、いずれのパターンにおいても、生じさせられ得る。よって、電極領域214の数およびパターンは、確定されるものではないが、光パターン222に対応する。例は、上記U.S.特許第7,612,355号中に説明される。ここで、前述した特許の図面中に示されている非ドープの非晶質ケイ素材料24が、電極起動基板208を構成し得る光伝導材料の例であり得る。
【0086】
他の態様において、電極起動基板208は、半導体分野において知られているような半導体集積回路を形成する複数のドープ層、電気絶縁層および導電層を含む半導体材料などの回路基板を含み得る。かかる態様において、電気回路要素は、流れ領域140の内表面142での電極領域214と、光パターン222によって選択的に起動および起動停止され得る第2電極210との間の電気的接続を形成し得る。起動されないとき、対応する電極領域214から第2電極210への相対インピーダンスが、第1電極204から媒体144を経て対応する電極領域214への相対インピーダンスより大きくなるように、各電気的接続は高インピーダンスを有し得る。しかしながら、光パターン222中の光によって起動されるとき、対応する電極領域214から第2電極210への相対インピーダンスが、第1電極204から媒体144を経て対応する電極領域214への相対インピーダンスより小さくなるように、各電気的接続は低インピーダンスを有し得、これは、上述のとおり、対応する電極領域214でのDEP電極を起動する。よって、媒体144中の微小物体(示されず)を引き寄せるかまたは遠ざけるDEP電極は、流れ領域140の内表面142での多くの異なる電極領域214にて、光パターン222によって選択的に起動または起動停止され得る。電極起動基板208のかかる構成の非限定例は、U.S.特許第7,956,339号の
図21および22中に説明される光トランジスタをベースとしたデバイスならびに2013年10月10日に出願された上記U.S.特許出願第14/051,004号中の図面全体にわたって説明されるデバイス200、400、500および600を含む。
【0087】
いくつかの態様において、一般に
図2Aに説明されるとおり、第1電極204は、包囲体102の第1壁202(またはカバー)の一部であり得、電極起動基板208および第2電極210は、包囲体102の第2壁206(または基部)の一部であり得る。示されるとおり、流れ領域140は、第1壁202と第2壁206との間にあり得る。しかしながら、前述のものは、例に他ならない。他の態様において、第1電極204は、第2壁206の一部であり得、電極起動基板208および/または第2電極210の一方または両方は、第1壁202の一部であり得る。別の例として、第1電極204は、電極起動基板208および第2電極210と同じ壁202または206の一部であり得る。例えば、電極起動基板208は、第1電極204および/または第2電極210を含み得る。また、光源220は代わりに、包囲体102の下に置かれ得る。
【0088】
よって、
図2Aおよび2BのDEPデバイス200として構成されると、流れ領域140の内表面142の電極領域214での1以上のDEP電極を起動するため、光パターン222を、微小物体を囲み捕捉するパターンでデバイス200の中へ投影することによって、セレクタ122は、流れ領域140中の媒体144中の微小物体(示されず)を選択し得る。その後、セレクタ122は、デバイス200に対して相対的に光パターン222を移動させることによって、捕捉された微小物体を移動し得る。代わりに、デバイス200は、光パターン222に対して相対的に、移動させられ得る。
【0089】
保持用囲い156を定義する障壁154が
図1Bおよび1Cに説明され、物理的障壁として上述されているが、障壁154は代わりに、光パターン222によって起動されるDEP力を含む仮想の障壁であり得る。
【0090】
流れコントローラ124は、流れ領域140中の媒体144の流れを制御するように構成され得る。例えば、流れコントローラ124は、流れの方向および/または速さを制御し得る。流れコントローラ124の非限定例は、1以上のポンプまたは流体アクチュエータ(actuator)を含む。いくつかの態様において、流れコントローラ124は、例えば流れ領域140中の媒体144の流れの速さを感知するための1以上のセンサ(示されず)などの追加の要素を含み得る。
【0091】
制御モジュール130は、セレクタ122、EM源136、ディテクタ138および/または流れコントローラ124からの信号を受け入れ、ならびに、それらを制御するように構成され得る。示されるとおり、制御モジュール130は、コントローラ132およびメモリ134を含み得る。いくつかの態様において、コントローラ132は、例えばデジタル電子的な、光学的なまたは磁気的なメモリデバイスであり得るメモリ134に非一過性の信号として保存された機械読取り可能な命令(例としてソフトウェア、ファームウェア、マイクロコードまたは同種のもの)に従って動作するように構成されたデジタル電子コントローラ(例としてマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、コンピュータまたは同種のもの)であり得る。代わりに、コントローラ132は、実配線のデジタル回路網および/またはアナログ回路網あるいは機械読取り可能な命令に従って動作するデジタル電子コントローラと、実配線のデジタル回路網および/またはアナログ回路網との組み合わせを含み得る。制御モジュール130は、本明細書中に開示されるいずれの処理、機能、ステップまたは同種のものの全部またはいずれか一部を実施するように構成され得る。
【0092】
EM源136は、包囲体102の中へ電磁放射線を選択的に向け得る。電磁放射線は、発色団(例としてフルオロフォア)などの標識によって吸収され、および/または、それを励起させる波長を含み得る。電磁放射線は、電磁スペクトルの可視または紫外領域における波長を含み得る。EM源136は、例えば、レーザー光源、発光ダイオード(LED)、高輝度放電ランプまたは同種のものであり得、それは、流れ領域140の内側にある特異的な標的エリアに光線を向けるように制御モジュール130によって制御され得る。ディテクタ138は、例えば媒体144中の囲い156、微小物体(示されず)およびステージングエリア172を含む流れ領域140の画像(例としてデジタル画像)を捕捉するためのメカニズムであり得る。ディテクタ138はまた、搬出インタフェース162の画像をも捕捉し得る。ディテクタ138が含み得る好適なイメージングデバイスの例は、デジタルカメラ、または、電荷結合素子および相補型金属酸化膜半導体撮像装置などの光センサを含む。画像は、(例として制御モジュール130および/またはヒトのオペレータによって)かかるデバイスにより捕捉され得、分析され得る。
【0093】
いくつかの態様において、囲い156は、照明から(例としてセレクタ122、EM源および/またはディテクタ138により)遮蔽され得るか、または、短期間しか選択的に光を当てられ得ない。よって、生物学的な微小物体402(
図4を参照)は、照明から保護され得るか、または、生物学的な微小物体402の照明は、生物学的な微小物体502(
図5および6を参照)が搬出される前に、最小化され得る。
【0094】
図3は、いくつかの態様に従い、微少流体デバイスから微小物体の群を搬出するための処理300の例を説明する。処理300は、
図1A〜1Dの微少流体デバイス100により実施され得る。セレクタ122は、
図2Aおよび2Bに示されるとおりのDEPデバイスとして構成され得る。しかしながら、処理300は、そのようには限定されないが、他の微少流体デバイスにより実施され得る。
【0095】
ステップ302にて、処理300は、微小物体の群を、微少流体デバイス中の保持用囲いからステージングエリアへ移動させ得る。群は、保持用囲い中の微小物体の具体的な1以上からなる。
図4〜7は、例を説明する。
【0096】
図4に示されるとおり、複数の保持用囲い156中に微小物体の群402があり得る。例えば、微小物体は、生体細胞であり得、保持用囲い156の1つにおける各群402は、細胞のクローンコロニーであり得る。同様に示されるとおり、媒体144の流れ404は、例えば、入口108から出口110へと提供され得る。
【0097】
図5に説明されるとおり、保持用囲い156の1つにおける群402の1つは、選択され得る。特定の群402および/または保持用囲い156は、例えば、ディテクタ138によって捕捉された流れ領域140の画像から同定され得る(
図1Aを参照)。選択は、保持用囲い156中の微小物体の物理的な特徴またはそれと関連する活性に基づき得る。かかる物理的な特徴は、例として微小物体の数、それらの大きさ、それらのモルホロジー(morphology)または同種のものを含み得る。微小物体に関連する活性は、例として対象とする抗原の産生または提示(抗体、サイトカイン、成長因子、代謝産物、がん細胞マーカーまたは同種のものなど)、成長の速度またはそれらの組み合わせのいずれも含み得る。
図5中、選択された群402は、標識された502である。選択された群502が、囲い156中の微小物体の全てを含むように説明されているが、その代わりとして、選択された群502は、囲い156中の群402中の微小物体のうち全てより少ないもの(例えば1つ、2つ、3つ、4つ、5つほど)を含み得る。
【0098】
図5に示されている例において、微小物体の選択された群502は、
図2Aおよび2BのDEPデバイス200として構成されているセレクタ122によって発生され得る光トラップ504により捕まえられている。例えば、光トラップ504は、選択された群502を包囲する起動されたDEP電極214の一続きのパターンを含み得る。上述のとおり、DEP電極214は、電極起動基板208上へ向けられる光のパターン222によって選択的に起動され得る(
図2Aおよび2Bを参照)。
【0099】
図6に示されるとおり、光トラップ504は、保持用囲い156から、ステージングエリア172の方へ移動させられ得、それはまた、微小物体の選択された群502をも移動させる。その後、光トラップ504は、ステージングエリア172の中へ移動させられ得る。上述のとおり、光トラップ504は、電極起動基板208の上へ向けられる光パターン222を変化させることによって、移動させられ得る。ディテクタ138によって捕捉された流れ領域140の画像は、群502を選択すること、捕まえること、および、ステージングエリア172へ移動させることを容易にし得る。
【0100】
光トラップ504は、例えば媒体144中の微小物体を遠ざけるように構成され得る。よって、光トラップ504は、トラップ504の内側に、選択された群502の微小物体を持ち続け得、および、トラップ504の外側に、他のどの群402からの他の全ての微小物体を持ち続け得る。よって、光トラップ504は、
図3のステップ302の間中、選択された群502中の微小物体を、デバイス100中の微小物体のいずれの他の群402との混合から防止し得るとともに、選択された群502にはないいずれの微小物体を、群502との混合から防止し得る。
【0101】
図7に示されるとおり、ひとたび選択された群502がステージングエリア172にくると、光トラップ504はオフにされ得る。
図7に示されるとおり、媒体144の流れ404(
図4を参照)は、選択された群502の微小物体がステージングエリア172からフラッシュされないように、オフにされ得る。代わりに、光トラップ504は、流れ領域140中の媒体144の流れに対してステージングエリア172の適所に群502を保持するよう、ステージングエリア172中に持たれ続けられ得る。さらなる別の代わりとして、ステージングエリア172は、流れ領域140中の媒体144の流れに対して群502を適所に保持し得る物理的な障壁(示されず)を含み得る。
【0102】
図3のステップ304にて、処理300は、微小物体の群502を、ステージングエリア172から搬出し得る。
図8および9は、例を説明する。
【0103】
図8に示されるとおり、搬出インタフェース162のカバー166は除去され得、搬出デバイス182は、搬出デバイス182の第1端188中の開口190が包囲体102の中へ通路174の近位にあるかまたはそれと接触するように、インタフェース162の中へ挿入され得る。よって、
図8に示されるとおり、搬出デバイス182の第1端188中の開口190は、ステージングエリア172中の微小物体の群502と近接し得る。
【0104】
図9に示されるとおり、圧力差は、搬出デバイス182中に生じさせられ得る。よって、ステージングエリア172中に配置されている群502中の微小物体は、通路174を経て、包囲体102の中へおよび搬出デバイス182の内部186の中へ引き出され得る。その後、群502の微小物体は、搬出デバイス182の第2端192にて回収され得るか、またはそうでなければ廃棄され得る。代わりに、搬出デバイス182が圧力差を発生させるデバイスではないかまたは圧力差が生じさせられないとき、別のメカニズムが、搬出デバイス182の中へ群502中の微小物体を引き出す。例えば、群502中の微小物体をステージングエリア172から搬出デバイス182の中へ押し流す媒体140の流れ(示されず)が発生させられ得る。微小物体を搬出するのに用いられ得る他の力は、重力および磁力を含み得る。さらなる別の代わりとして、媒体140の流れおよび搬出デバイス182によって発生される圧力差などの力の組み合わせは、群502中の微小物体を搬出デバイス182の中へ引き出すために使用され得る。
【0105】
図10は、
図3のステップ304が実施され得る処理1000の例である。理解されるであろうが、流体の流れは、群502の微小物体を、ステージングエリア172から搬出デバイス182の中へ移動させ得る。かかる流体の流れは、デバイス100中の媒体144の流れ、搬出デバイス182による圧力差、搬出デバイス182による毛細管力などを含み得る。
【0106】
ステップ1002にて、流れ領域140中の媒体144の流れ404(
図4を参照)は、実質的に止められ得る。例えば、制御モジュール130は、流れコントローラ124に、流れ404を実質的に止めさせ得る。代わりに、流れ404は、ステップ1002にて、遅くさせられ得る。ステップ1004にて、搬出デバイス182は、例えば
図8に示されるとおり、搬出インタフェース162の中へ挿入され得る。ステップ1006にて、微少流体デバイス100の出口110(
図1A〜1Cを参照)は閉鎖され得る。搬出インタフェース162以外の包囲体102からのいずれの他の流出口もまた閉鎖され得る。
【0107】
ステップ1008にて、流れ領域140中の媒体144の流れ404は、再開させられ得る。搬出インタフェース162が包囲体102から開口する唯一の流出口であるから、流れ404の方向は、搬出インタフェース162の方へおよびその中へ向かうものであろう。したがって流れ404は、ステージングエリア172から搬出デバイス182の方へ、群502の微小物体を一掃し得る。
【0108】
ステップ1010にて、搬出デバイス182中に圧力差が生じさせられ得、それは、群502の微小物体を、搬出デバイス182の第2端192の内部186の中へおよびその方へ、引き出し得る。代わりに、圧力差がステップ1010にて生じさせられないとき、ステップ1008にて発生された流れが単独で(任意に、重力または磁力などの他の力とカップリングされている)群502の微小物体を、ステージングエリア172から搬出デバイス182の中へ引き出す。よって、搬出デバイス182のいくつかの態様は、圧力差能(pressure differential capability)を有さない。
【0109】
ひとたび微小物体の群502が搬出デバイス182の中へ引き出されたら、媒体144の流れ404は再び、ステップ1012にて、実質的に止められ得るかまたは遅くされ得る。搬出デバイス182は任意に、ステップ1014にて、搬出インタフェース162から除去され得る。搬出デバイス182による圧力差はまた、ステップ1012または1014にて、オフにもされ得る。ステップ1016にて、微少流体デバイス100の出口110は開口され得、流れ領域140中の媒体144の流れ404は再び、ステップ1018にて、再開され得る。
【0110】
処理100は一例に過ぎず、変動はあり得る。例えば、ステップ1002〜1018の順序は、場合によっては、示されたものと異なり得る。加えて、全てのステップが実施される必要はない。例えば、搬出デバイス182は、搬出インタフェース162と実質的に永久に接続され得、それによって、ステップ1004および1014がスキップされ得る。同様に、異なる保持用囲い156からの微小物体の一連の搬出において、出口110は、最初の搬出のために閉鎖され得るが、その後も、続く搬出ステップのために閉鎖されたままであってもよい。したがって、処理1000のステップ1016はスキップされ得、処理1000のステップ1006および1016はスキップされ得、処理1000のステップ1014および1016はスキップされ得、処理1000のステップ1004、1006、1014および1006はスキップされ得、または、処理1000のステップ1004、1006および1014はスキップされ得る。
【0111】
再び
図3を参照すると、ステップ306にて、処理300は、ステージングエリアおよび搬出インタフェースにて搬出されなかった微小物体を除外し得る。様々な理由から、群502の微小物体のうち1以上は、ステップ304の一部として、搬出されなくてもよい。例えば、微小物体は、意図せず、ステージングエリア172中に残存することがある。別の例として、微小物体は、搬出インタフェース162中に詰まることがある。
【0112】
様々な理由から、ステージングエリア172および搬出インタフェース162にて搬出されなかったかかる微小物体は、除外される必要があることもある。例えば、いくつかの適用において、群402の1つにおける微小物体を、他の群402中の微小物体との混合から防ぐことが重要であり得る(
図4を参照)。例えば、言及したとおり、囲い156中の微小物体の各群402は生体細胞のクローンコロニーであり得、このケースにおいて、ある群402中の複製することができる生細胞を他の群との混合から防止することは重要であり得る。なぜなら、細胞が混合されたコロニーはもはやクローンではないからである。群502からの微小物体がステージングエリア172または搬出インタフェース162中に残された場合、搬出されなかった微小物体は、微小物体の次の群402と混合し得ることで、保持用囲い156から除去され、ステージングエリア172の中へ移動され、搬出インタフェース162を経て搬出される。
【0113】
ステップ306は、様々なやり方のいずれにおいても実施され得る。例えば、ディテクタ138は、ステージングエリア172および搬出インタフェース162の画像を捕捉し得、それらの画像は、群502からの搬出されなかった微小物体について調べられ得る。画像は、ヒトのオペレータによるか、および/または、制御モジュール130によって実行される画像処理アルゴリズムを利用することによって調べられ得る。検出された微小物体のいずれも、様々な可能なやり方のいずれにおいても、除外され得る。
【0114】
例えば、ステージングエリア172および/または搬出インタフェース162にて搬出されなかった微小物体は、(例として
図2Aおよび2BのDEPデバイス200として構成された)セレクタ122を利用し、ステージングエリア172および/または搬出インタフェース162または同種のものから搬出されなかった微小物体をフラッシュすることによって、除去され得る。別の例として、ステップ306は、最初にステップ302にて新しい微小物体の群をステージングエリア172の中へ移動させることをせずに、ステップ304を1回または2回以上繰り返すことによって実施され得る。
【0115】
別の例として、搬出されなかった微小物体が生体細胞である場合、搬出されなかった生体細胞は、搬出されなかった細胞を滅菌または死滅させることによって除外され得る。
図11は、微小物体が細胞などの生物学的な微小物体であるとき、
図3のステップ306を実施するための処理1100の例である。ステップ1102にて、処置は、ステージングエリア172および搬出インタフェース162に適用され得る。処置は、生物学的な微小物体を死滅または滅菌し得る。例えば、処置は、生物学的な微小物体にとって致命的であるかまたはそれを滅菌する化学剤を、ステージングエリア172および搬出インタフェース162を経てフラッシュすることを含み得る。別の例として、処置は、生物学的な微小物体にとって致命的であるかまたはそれを滅菌する電磁放射線を、ステージングエリア172および搬出インタフェース162の上へ向けることを含み得る。例えば、EM源136は、レーザー光線を、ステージングエリア172および搬出インタフェース162の上へ向け得る。いくつかの態様において、ディテクタ138は、ステージングエリア172および/または搬出インタフェース162の画像を捕捉し得、かかるレーザー光線は、画像から検出されたいずれの生物学的な微小物体に特異的に向けられ得る。ステージングエリア172または搬出インタフェース162にて搬出されなかった細胞を死滅または滅菌する他の例は、電気、高温または低温、溶解(例として機械的切断微小機器による)、超音波振動または同種のものの使用を含む。
【0116】
ステップ1104にて、処理300は、ステージングエリア172または搬出インタフェース162中のいずれの生物学的な微小物体をも洗い流すために、ステージングエリア172および搬出インタフェース162をフラッシュし得る。例えば、ステージングエリア172および搬出インタフェース162は、媒体144によりフラッシュされ得る。別の例として、ステージングエリア172および搬出インタフェース162は、脱イオン水によりフラッシュされ得る。
【0117】
ステップ1106にて、ステージングエリア172および搬出インタフェース162は、搬出されなかった生物学的な微小物体について調べられ得る。例えば、ディテクタ138は、ステージングエリア172および搬出インタフェース162の画像を捕捉し得るが、それらは、上述のとおり、搬出されなかった生物学的な微小物体について調べられ得る。搬出されなかった生物学的な微小物体が検出された場合、処置を適用するステップ1102およびフラッシュするステップ1104は、ステップ1106にて搬出されなかった微小物体が検出されなくなるまで、繰り返され得る。
【0118】
図11の処理1100は一例に過ぎず、変動が考慮される。例えば、調べるステップ1106は、処置ステップ1102およびフラッシュステップ1104に先行し得る。よって、いくつかの態様において、それらは、搬出されなかった微小物体が検出された場合にのみ、実施される。別の例として、処理1100は、フラッシュするステップ1104または調べるステップ1106の一方または両方をせずに、実施され得る。さらなる別の例として、処理1100は、搬出されなかった生物学的な微小物体を廃棄用容器の中へフラッシュすることによってなど、ステップ1102をせずに実施され得る。
【0119】
実際、
図1A〜11に説明されているデバイスおよび処理は例であって、変動が考慮される。
図12A〜16は、かかる変動の例を説明する。
【0120】
図12A〜12Cは、搬出インタフェース1202の別の例を説明する。それは、本明細書中の図または検討のいずれにおいても、このようにして搬出インタフェース162と置き換え可能である。示されるとおり、搬出インタフェース1202は、通路174の上、包囲体102上に配置され得る。搬出インタフェース1202は、通路174への開口1204、割れ目1208(例として切り込み(slit))および弁1210を含むカバー1206、ならびに、流入開口1222を含み得る。
【0121】
図12Bに示されるとおり、割れ目1208は、弁1210を定義し得、ひいては分離し得る。例えば、割れ目1208は、カバー1206中に1以上の切り込みを含み得る。カバー1206は、1つの割れ目1208および2つの弁1210を含むように説明されているが、カバー1206は、より多くの割れ目1208および弁1210を含み得る。何であれ、カバー1206は、可撓性がある弾力的な材料を含み得、カバー1206は、弾力的な内力が、弁1210を、カバー1206が包囲体102を経る通路174の全体または実質的に全体を覆うように、近位にまたは接触して(into proximity or contact)偏らせるようにして、構築され得る。しかしながら、弁1210の可撓性は、弁1210が、割れ目1208近くのカバー1206に対して押し付けられている搬出デバイス182の第1端188の力に応答して離れていくことを許容し得る。
図12Cに説明されるとおり、弁1210は離れていき、搬出デバイス172の第1端188が、包囲体102の中へ、通路174に近位にまたは接触して移動させられることを許容し得る。示されていないが、弁1210の弾力は、搬出デバイス182が搬出インタフェース1202から除去される際、カバー1206が、
図12Bに示される通路174を全体的にまたは実質的に全体的に覆うように、接触しながら(into contact)弁1210を逆方向に移動させ得る。
【0122】
よって、カバー1206は、搬出デバイス182の端188が、カバー1206に対して、それを経て押し付けられているとき(このケースにおいて、カバー1206は、搬出デバイス182を受け入れるように開口している)を除いて、閉鎖され得る。搬出デバイス182がカバー1206から除去される際、カバー1206は自己閉鎖する。
【0123】
搬出インタフェース1202の流入1222部は、搬出デバイス182の、搬出インタフェース1202の中への挿入を容易にするガイドとして機能し得る。説明されるとおり、流入1222は、傾斜側壁1224を含み得る。
【0124】
図13A〜13Cは搬出インタフェース1302の別の例を説明するが、それは、本明細書中の図または検討のいずれにおいても搬出インタフェース162と置き換え可能である。示されるとおり、搬出インタフェース1302は、通路174上、包囲体102上に配置され得る。搬出インタフェース1302は、
図13Aに示される通路174を全体的に覆う(ひいてはカバー166である)一塊の材料を含み得る。しかしながら、材料は、
図13Bに示される搬出デバイス1304によって容易に貫通されるのに充分にしなやかであり得る。
図13Bにおいて、搬出インタフェース1302は、例えば皮下注射針または同種のものであり得る搬出デバイス1304の第1端1388を押し付けることによって搬出インタフェース1302を経て貫通される。これによって、搬出インタフェース1302中に穴1306が形成される。搬出デバイス1304は、とりわけ細いものであり得るが、そうでなければ一般に搬出デバイス182のようなものであり得る。よって、
図13Bに示される搬出インタフェース1302を経て挿入されている間、搬出デバイス1304の第1端1388は、包囲体102の中へ、通路174に近位にまたは接触し得、微小物体(
図13Bに示されず)は、搬出デバイス182に関して一般に上述した搬出デバイス1304の第1端1388における開口の中へ引き出され得る。よって、搬出デバイス1304は搬出デバイス182の一例であって、本明細書中の図または検討のいずれにおいても搬出デバイス182と置き換え可能である。搬出インタフェース1302は、搬出デバイス182によってなされた穴1306が、搬出デバイス1304が搬出インタフェース1302から除去される際に閉鎖するように、自己回復し得る。搬出インタフェース1302のための自己回復材料の例はシリコーンを含む。
図13Cに説明されるとおり、搬出インタフェース1302は、搬出デバイス1304によって、多数の適所において多数回貫通され得る。微少流体構造物104から分離されている構造物であるよりむしろ、搬出インタフェース1302は、その代わりとして、ステージングエリア172のすぐ近隣の微少流体構造物104の一部であり得る。かかるケースにおいて、構造物104は通路174を含む必要がない。
【0125】
図14は、本明細書中の図または検討のいずれにおいても搬出インタフェース162と置き換え可能な搬出インタフェース1406のさらなる別の例を示す。
図14において、搬出インタフェース1406は、管1402の第1端1488が、包囲体102の中へ、通路174に近位にまたは接触するように、アクセス管1402を包囲体102へ永久に固定する固定式付着メカニズムであり得る。微小物体(
図14に示されず)は、搬出デバイス182に関して一般に上述したとおり、アクセス管1402の第1端1488中の開口の中へ引き出され得る。よって、アクセス管1402は、搬出デバイス182の例であり、本明細書中の図または検討のいずれにおいても搬出デバイス182と置き換え可能である。示されるとおり、アクセス管1402は、管1402中の第1端1488から第2端1492への内部通路を開口および閉鎖し得るバルブ1408を含み得る。バルブ1408は、例えば、ステージングエリア172から微小物体を搬出する間を除いて、閉鎖され得る。しかしながら、毛細管力と流れ領域140を経る流体流れの速度を調整することとがバルブ1408の代わりになるので、アクセス管1402は、バルブ1408を含む必要がない。
【0126】
図15Aは、
図1A〜1Dのデバイス100の変動の例であり得る微少流体デバイス1500の部分的な斜視図を示す。いくつかの例外はあるが、微少流体デバイス1500は、デバイス100と同種のものであり得、
図15A〜15Cにおいて同様の番号を付された要素は、
図1A〜1Dと同じものであり得る。
【0127】
図15A〜15Cに示されるとおり、搬出インタフェース162は、微少流体デバイス1500の第1搬出インタフェースであり得、それはまた、包囲体102を経て流れ領域140の中へ第2通路1574の上に配置されている第2搬出インタフェース1562をも含み得る。そうでなければ、第2搬出インタフェース1562は、第1搬出インタフェース162と類似し得る。例えば、第2搬出インタフェース1562は、通路1574への開口1564およびカバー1566を含み得るが、上述した第1搬出インタフェース162の開口164およびカバー166と類似し得る。同様に示されるとおり、包囲体102の中への通路174、1574、ひいては搬出インタフェース162、1562は、包囲体102の逆側にあり得、互いに一直線に並べられる必要はない。
【0128】
微少流体デバイス1500はまた、デバイス100のステージングエリア172とは異なるステージングエリア1512をも有し得る。例えば、
図15Bおよび15Cに示されるとおり、ステージングエリア1512は、通路174ひいては第1搬出インタフェース162と一般に一直線に並べられ得る第1端1518;通路1574ひいては第2搬出インタフェース1562と一般に一直線に並べられ得る第2端1514;および、端1514、1518の間の中間部分1516を含み得る。そうでなければ、ステージングエリア1512は、上述したデバイス100のステージングエリア172と同種のものであり得る。代わりに、デバイス100は、1512と同種のステージングエリアを有し得、よって、それは、
図1A〜11および上の検討においてステージングエリア172と置き換え可能である。
【0129】
図3の処理300は、以下のように、微少流体デバイス1500により実施され得る。ステップ302は、一般に上述のとおり実施され得る。例えば、
図15A〜15Cに示される図中に可視化されていないが、デバイス1500は保持用囲い156を含み得、それらの各々は、例えば
図5に示されるとおり、微小物体の群402を保持し得る。保持用囲い156は、微小物体の群402が置かれている単離スペースを含み得る。微小物体の群は、
図4〜7中に一般に説明されるとおり、保持用囲い156からステージングエリアまたはその一部(例として中間部分1516)へ移動させられ得る。
【0130】
ステップ304は、
図16中に説明されるとおりに実施され得る。搬出インタフェース162、1562のカバー166、1566は除去され得、第1端188中の開口190が包囲体102を経て第1通路174に近位にまたは接触するように、第1搬出デバイス182は第1インタフェース162の中へ挿入され得る。第1搬出デバイス182は、上述した搬出デバイス182と同じものであり得、前述したものは、上述したものと同じであり得る。
【0131】
第2搬出デバイス1682は、第2インタフェース1562の中へ、類似して挿入され得る。第2搬出デバイス1682は、第1搬出デバイス182と同じものであっても、類似したものであってもよい。よって、第2搬出デバイス1682は、第1端1688から逆側にある第2端1692への内部通路1686を定義する管状ハウジング1684を含む、中空の管様構造物を含む。第2搬出インタフェース1682のカバー1566が除去されると、第2搬出デバイス1682は、第1端1688が包囲体102の中へ第2通路1574に近位にまたは接触させられるように、第2搬出インタフェース1562中の開口1564の中へ挿入され得る。
【0132】
図16中に説明されているとおり、搬出デバイス182、1682が、搬出インタフェース162、1562の中へ挿入されると、液体(例として媒体144)の流れは、ステージングエリア1512に近接した流れ領域140の一部を通過する液体の流れにより、第1搬出デバイス182の開口190〜第2搬出デバイス1582の開口1690の間で、発生させられ得る。かかる液体の流れを容易にするために、圧力差が、第1搬出デバイス182の開口190と第2搬出デバイス1682の開口1690との間に、発生させられ得る。
【0133】
例えば、
図16に示されるとおり、液体(例として媒体144)の流れは、第1搬出デバイス182の第2端192から第1端188へ、発生させられ得る。これは、ステージングエリア1512の第1端1518から第2端1514へ、包囲体102中に流れ1604を生じさせ得る。流れ1604は、ステージングエリア1512の中間部分1516から、第2端1514ひいては第2搬出デバイス1682の第1端1688における開口1690の方へ、微小物体の選択された群502を一掃させ得る。同時に、圧力差が、第2搬出デバイス1682の第1端1688から第2端1692へ、発生させられ得る。かかる圧力差は、包囲体102中の第2通路1574を経て、第2搬出デバイス1682の中へ、微小物体の選択された群502を引き出し得る。よって、選択された群502の微小物体は、第2搬出デバイス1682の第2端1692にて、回収され得る。
【0134】
図3のステップ302にてステージングエリア1512へ移動させられた微少物体の選択された群502は、このようにしてステップ304にて搬出され得る。一般に上述したとおり、それ以後、ステップ306にて、ステージングエリア1512、第1搬出インタフェース162および/または第2搬出インタフェース1562は、フラッシュされ得るか、および/または、搬出されなかった微小物体がそれらから除外され得る。
【0135】
図17は、
図1A〜1Dのデバイス100の別の変動を説明する。示されるとおり、
図17のデバイス1700は、複数のステージングエリア1772を含み得、それらの各々は、上述したとおりのステージングエリア172と同種のものであり得、デバイス1700は、複数の出口110a、110bを含み得る(それらは、出口110が上に記載されているとおりであり得る)。いくつかの態様において、各ステージングエリア1772は、単一の保持用囲い156に関連し得る。そうでなければ、デバイス1700は
図1A〜1Dのデバイス100と同種のものであり得、同様の番号を付された要素は同じものであり得る。
【0136】
図17中に説明されているとおり、媒体の流れ1704は、ステージングエリア1772へ向けられ得る。例えば、出口110aを除く全ての出口110は閉鎖され得、チャネル152から流体流れを迂回させ得、一般に入口108からステージングエリア1772へおよび唯一開口している出口110aへの単一の流路1752を生じさせ得る。微小物体(
図17に示されず)は、囲い156の1つから流れ1704(微小物体をステージングエリア1772へ運び得る)の中へ微小物体を単に移動させることによって、ステージングエリア1772へ移動させられ得、そこで、微小物体(示されず)は、上述したとおり、近接した搬出インタフェース(示されず)を経て除去され得る。代わりに、いくつかの態様において、微小物体(
図17に示されず)は、囲い156の1つからステージングエリア1772へ移動させられ得、流れ1704は、出口110aへ、およびそこから、微小物体を運び得る。よって、出口110aは、搬出インタフェースとして機能し得る。出口110aは、包囲体102を経る単なる穴を含め、上述した出口110の例のいずれかと同種のものであり得る。
【0137】
図18は、
図17のデバイス1700の変動を説明する。示されるとおり、
図18のデバイス1800は一般に、デバイス1800が、保持用囲い156を定義し流路1752からチャネル152を分ける単一の障壁1854を含むということを除いて、デバイス1700と同じものであり得る(および同様の番号を付された要素は同じものであり得る)。加えて、デバイス1800は、流路1752に置かれている単一のステージングエリア1772を含む(または全くない)。
図17について上述したとおり、媒体144の流れ1704は、出口110aを除いた全ての出口110を閉鎖することによって、流路1752中に生じさせられ得る。微小物体(
図18には示されず)は、微小物体を、囲い156の1つからステージングエリア1772(そこで、微小物体(示されず)は、上述したとおり、近接の搬出インタフェース(示されず)を経て除去され得る)へ移動させることによって、デバイス1800から搬出され得る。代わりに、微小物体(
図18には示されず)は、微小物体を、囲い156の1つからステージングエリア1772へまたは(ステージングエリアが存在しない場合)流れ1704の中へ、移動させることによって、デバイス1800から搬出され得る。よって流れ1704は、出口110aへ、およびそこから、微小物体を運び得る。出口110aは、包囲体102を経る単なる穴を含め、上述の出口110の例のいずれの同種なものでもあり得る。
【0138】
図19A〜19Bは、
図17のデバイス1700の別の変動を説明する。示されるとおり、
図19A〜19Bのデバイス1900は一般に、デバイス1900が、流路1752としてもまた機能するチャネル152を含むことを除いて、デバイス1700と同じものであり得る(および同様の番号を付された要素は同じものであり得る)。示される態様において、各ステージングエリア1772は、保持用囲い156への開口に近接して、チャネル152中に置かれている。しかしながら、デバイス1900におけるステージングエリアの数は、保持用囲い156の数未満であり得るか、および/または、ステージングエリアは、チャネル152中に明確な場所を有する必要がない(すなわち、チャネル152中のいずれの場所も、ステージングエリア1772と考えられ得る)。
図19B(デバイス1900の横断面)に示されるとおり、流れ領域140への入口108および/またはそこからの出口110は、流れ領域140の上に置かれ得る。出口は、通路174を有する搬出インタフェースとして機能し得る。出口110は、一般に上述したやり方で、搬出デバイス(示されず)に接続され得る。しかも、保持用囲い156は、単離領域1960および接続領域1958を有し得、単離領域1960は、接続領域1958を介してチャネル152と流体的に接続されている。微小物体(
図19A〜19Bには示されず)は、微小物体を、囲い156の1つからチャネル152中のステージングエリア1772へ移動させることによって、デバイス1900から搬出され得る。その後、流れ1904は、微小物体を出口110へ、および搬出デバイスの外へ、運び得る。
【0139】
図20は、微小物体を
図19A〜19Bのデバイス1900から搬出するための処理2000の例を説明する。示されるとおり、ステップ2002にて、処理2000は、デバイス1900の包囲体102中の媒体144の、直接的に出口110への流れ1904を生じさせ得る。例えば、流れ1904は、媒体144を、チャネル152を経て、出口110の外へ、フラッシュし得る。ステップ2002でのフラッシュは、チャネル152中の出口110の周辺(すなわち搬出インタフェース)におよび/または搬出デバイス(示されず)中に存在することがある微小物体をデバイス1900から取り除き得る。ある態様において、ステップ2002にてデバイス1900を経てフラッシュされる媒体144の量は、デバイス1900および搬出デバイスが保持することが可能な流体の合わせた体積の少なくとも2倍(例として少なくとも3、4、5、10、15、20、25倍またはそれより多い)である。フラッシュする媒体は、約0.05〜5.0μL/秒(例として約0.1〜2.0、0.2〜1.5、0.5〜1.0μL/秒または約1.0〜2.0μL/秒)の速度でチャネルの中へ流され得る。ステップ2002にて媒体の流れ1904は、液体の、一続きの、パルス状の、周期的な、ランダムの、断続的な、または、往復の流れ、あるいは、それらの組み合わせであり得る。
【0140】
ステップ2004にて、処理2000は、チャネル152中の媒体144の流れ1904を遅くさせること、または、実質的に止めることを含み得る。例えば、チャネル152中の媒体144の流れ1904は、約0.05μL/秒またはそれより小さい速度まで遅くされ得る。
【0141】
ステップ2006にて、処理2000は、保持用囲い156の1つにおける微小物体の群を選択し得、ステップ2008にて、チャネル152の中へ(例として、囲い156の開口に近接して置かれているステージングエリア1772またはチャネル152のいくつか他の領域へ)選択された群を移動させ得る。
図19A〜19Bには示されていないが、保持用囲い156は、
図5中に説明されている微小物体402の群を含有し得る。ステップ2006および2008は、選択された群502が
図5〜7中のステージングエリア172よりむしろ
図19A〜19Bのチャネル152の中へ移動させられることを除いて、例えば
図5〜7中に説明されるとおりに実施され得る。光トラップ(例として
図5〜7中の光トラップ504等の)が微小物体の群502を移動させるのに使用される場合、光トラップは、ひとたび微小物体502がチャネル152中に位置すると、オフされ得る。
【0142】
ステップ2010にて、チャネル152中の媒体144の流れ1904は再開され得、選択された微小物体の群502は、流れ1904により運ばれ得、出口110を経ておよび搬出デバイスの遠位端を経て、搬出デバイス(示されず)の外へ、搬出され得る。ステップ2010の間中、チャネル152中の媒体144の流れ1904は、例えば約0.05〜0.25μL/秒(例として約0.1〜0.2μL/秒または約0.14〜0.15μL/秒)の速度で、再開され得る。媒体の流れ1904は、液体の、一続きの、パルス状の、周期的な、ランダムの、断続的な、または、往復の流れ、あるいは、それらの組み合わせであり得る。
【0143】
処理2000(処理300および1000も同様)において、搬出デバイスは、媒体144(または他の溶液)を、試験管、マイクロタイタープレート中のウェルまたは同種のものなどの容器の中へ搬出するよう構成され得る。搬出デバイスの遠位端(例として
図1D中の第2端192または
図16中の第2端1692)は、容器中に含有されている液体の表面に接触し得、それによって、搬出された媒体144の体積が、容器中の液体と直接接触するようになる。代わりに、搬出デバイスの遠位端は、容器の底壁または側壁に接触し得る。容器または容器中に含有されている液体のいずれかとのかかる直接接触は、表面張力を低減する助けとなり得、該表面張力は、そうでなければ、搬出デバイスと関連して搬出された媒体144(またはそのいくらかの画分)の体積を一定に保つ傾向があり得る。
【0144】
処理2000のステップ2010は、選択された微小物体の群502を搬出する前に、不要な媒体144を処分することを含み得る。ひとたび微小物体の群502がステージングエリア1772(例として、選択された微小物体の群502が除去された保持用囲い156の開口に近接して置かれているチャネル140の領域)へ移動させられると(
図19Aを参照)、液体媒体144の「先導する体積」は、(i)ステージングエリア1772と出口110との間に置かれているチャネル140の一部、ならびに、(ii)近位端(例として搬出デバイス182の第1端188)と遠位端(例として搬出デバイス182の第2端192)との間の搬出デバイスの内部通路(示されず)、を占有するであろう。液体媒体144のこの先導する体積は、いずれの微小物体も含有するはずがないので、それを、例えば搬出デバイスの第2端に接近しやすい廃棄用容器へ処分することが望ましいことがある。したがって、ステップ2010は、先導する体積が処分されるように、先導する体積と同等の液体媒体144の体積を、デバイス1900を経て流すこと、その後、選択された微小物体の群502の搬出を完了することを含み得る。液体媒体144の先導する体積を処分することの後であるが、微小物体の群502の搬出を完了することの前に、チャネル140中の液体媒体144の流れ1904は、搬出デバイスの遠位端を容器(その中へ微小物体の群502が搬出され得る)へ移動させるのに充分な期間、遅くさせられ得るか、または、実質的に止められ得る。
【0145】
ひとたび選択された微小物体の群502が搬出されると、ステップ2010は、チャネル140、出口110および/または搬出デバイス中に詰まり得る搬出されなかったいずれの微小物体も除外することをさらに含む。上述の除外する技術のいずれも利用され得る。例えば、除外する技術は、搬出デバイスを含むデバイス1900をフラッシュすることを含み得るか、または、それからなり得る。かかるフラッシュすることは、搬出の新しいラウンドのステップ2002の構成要素となり得る。
【0146】
処理2000に対する1つの変動において、チャネル140、出口110および/または搬出デバイス(示されず)をフラッシュするためのステップ2002にて、および、選択された微小物体の群502を搬出するためのステップ2010にて、使用される液体媒体144は、代わりの溶液と置き換え可能である。代わりの溶液は、微小物体の群502が搬出された後、それらの処理に好適であり得る。溶液は、例えば、細胞成長をサポートしない溶液、細胞が長期間良好には耐えられない溶液、または、生物学的な活性をアッセイするのに適合したまたは有用な溶液であり得る。例えば、溶液は、HEPES緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、浸透圧的にバランスのとれた砂糖水(sugar water)または同種のものであり得る。処理2000に対するこの変動において、ステップ2010は、代わりの溶液がデバイス1900から洗い落とされるように、液体媒体144によりフラッシュするステップを含み得る。ステップ2002から2010が迅速に実施されるという条件で、保持用囲い156の単離領域中に置かれている微小物体402(示されず)の群の代わりの溶液への曝露は限定され得、それによって、そうでなければ代わりの溶液が有する可能性のある微小物体402の群に対する損傷効果のいずれも、実質的に軽くなる。
【0147】
液体媒体144の先導する体積を処分すること、または、フラッシュすることおよび液体媒体144とは異なる液体中に搬出することなどの処理2000の前述のステップのいずれも、ならびに、流速などの具体的な条件などのいずれも、必要に応じて、処理300または1000と同様に適用され得る。
【0148】
処理300、1000または2000のいずれにおいても、搬出される選択された微小物体の群502は、媒体144(または他の溶液)の所定の体積中に搬出され得る。媒体144の体積は、群中の微小物体の数に、および、搬出後微小物体の群502がどのようにして処理されることになっているかに依存し得る。よって、例えば、微小物体の群502は、5μL未満(例として4μL、3μL、2μL、1μL、750nL、500nL、250nL、200nL、150nL、100nL、75nL、50nLまたはそれより少ない)である媒体144の体積中に搬出され得る。代わりに、微小物体の群502は、約1〜10μL、5〜15μL、10〜20μL、15〜25μL、20〜30μL、25〜35μL、30〜40μL、35〜45μL、40〜50μLまたは前述の2つのエンドポイントによって定義されるいずれの範囲である体積中に搬出され得る。単一の細胞のゲノミクスの適用または同種のものにおいて、微小物体の群502は、単一の細胞からなり得、単一の細胞を含有する搬出された媒体144の体積は相対的に少量(例として5μL未満)であり得る。細胞株の開発または細胞のクローン性増殖において、微小物体の群は複数の細胞を含み得、複数の細胞を含有する搬出された媒体144の体積は相対的に多量(例として5μL、10μL、25μL、50μLまたはそれより多い)であり得る。微小物体に関連する活性をアッセイすることにおいて、微小物体の群502は、1つまたは複数の微小物体を含み得、微小物体の群502を含有する搬出された媒体144の体積は、特定のアッセイの必要に応じて、相対的に少量または相対的に多量であり得る。
【0149】
媒体144の搬出された体積の希釈および/または蒸発を防止するために、特に搬出された媒体144の体積が少量(例として1μL以下)であるとき、搬出された媒体144の体積(微小物体の群を含有する)は、油(例として鉱油)などの非水性液体の中へ搬出され得る。代わりに、搬出された媒体144の体積は、培地(例として新鮮な細胞成長媒体)、アッセイ媒体(例として適切なアッセイ成分を含有する)、または、搬出された媒体144の体積内に含有されている微小物体の後続の処理に好適ないくらかの他の溶液(例としてPBS、細胞溶解緩衝液など)の中へ搬出され得る。
【0150】
処理300、1000または2000のいずれかにおいて、選択された微小物体の群502は、個々に搬出され得るか、または、選択された微小物体の他の群とともに連続して搬出され得る(すなわち、処理300、1000および2000は繰り返され得る)。いくつかの態様において、微小物体の群を連続して搬出することは、処理の特定のステップを繰り返すことを含むが、処理における他のステップは繰り返されない。例えば処理2000において、ステップ206および208は、ステップ2002、2004および2010は繰り返さずに、複数回繰り返され得、その結果、微小物体502の複数の選択された群がチャネル140中に存在するようになる。ステップ2010にて搬出の間中、液体媒体144の所定の体積は、異なる容器の中へ連続的に搬出され得る。液体媒体144の所定の体積が選択された微小物体の単一の群しか含有しないように、その体積を調整することによって、微小物体の複数の選択された群の間での混合が回避され得る。
【0151】
図21A〜21Cは、本明細書中に開示されるデバイスの追加の変動を説明する(例として
図1A〜1Dのデバイス100または
図19A〜19Bのデバイス1900)。示されるとおり、
図21Aのデバイス2100は、皮下注射針1304または他のかかる搬出デバイスがインタフェース1302を貫通し得および囲い156から微小物体(
図21Aには示されず)を直接移動させ得るように、保持用囲い156の各々に近接した貫通可能なカバーの形態で、微少流体構造物104および搬出インタフェース1302を経る通路174を含み得る。各通路174、各搬出インタフェース1302および皮下注射針1304は、そうでなければ、
図13A〜13C中と同様の番号を付された要素と同じものであり得る。また、デバイス2100は、そうでなければ、
図1A〜1Dのデバイス100または
図19A〜19Bのデバイス1900と同様であり得、同様の番号を付された要素は同じものであり得る。
図21Bおよび21Cは、搬出インタフェース1302が保持用囲い156に近接し得る異なるやり方を示す。
図21Bにおいて、保持用囲い156は、単離領域1960を含み、その一部が、ステージングエリア2172を形成し、その上に、搬出インタフェース1302が置かれ得る。よって、保持用囲い156のステージングエリア2172部分に置かれている微小物体204(示されず)は、保持用囲い156からの直接的な搬出に便利である。
図21Cにおいて、保持用囲い156は、ステージングエリア2172(その上に搬出インタフェース1302が置かれ得る)へ接続されている(このケースでは通路によって)単離領域1960を含む。細胞の集団などの微小物体の群402(示されず)が
図21Cの保持用囲いの単離領域1960中で増えるため、細胞は、ステージングエリアの中へ移動し始めるであろう。かかる移動は、例えば重力を含む力によって、達成され得る。再び、ひとたび微小物体がステージングエリア2172に存在すると、それらは、保持用囲い156からの直接的な搬出に便利である。
【0152】
図21Aに示されるとおり、貫通可能なカバー1302の形態の搬出インタフェース1302および皮下注射針1304の形態の搬出デバイスよりむしろ、デバイス2100は、本明細書中に説明され記載される搬出インタフェースおよび搬出デバイスのいずれも利用し得る。例えば、
図1A〜1Dの搬出インタフェース162は、
図21A中の搬出インタフェース1302のいずれかまたは全てと置き換え可能であり、搬出デバイス182は、皮下注射針1304と置き換え可能である。デバイス2100の変動の別の例として、微少流体構造物104から分離されている構造物であるよりむしろ、搬出インタフェース1302は、その代わりとして、囲いのすぐ近隣の微少流体構造物104の一部であり得る。かかるケースにおいて、構造物104は通路174を含む必要がない。
【0153】
保持用囲い156からの直接搬出を含む搬出の方法は、流体媒体144(または他の溶液)の極めて少量の体積中の選択された微小物体の群502を搬出ために使用され得る。例えば、搬出デバイス(皮下注射針1304など)は、搬出インタフェース1302を経て挿入される前の近位端(すなわち搬出インタフェース1302の中へ/を経て挿入される第1端1388)内に置かれている空気の少量の体積を有し得る。挿入の際、搬出デバイスは、選択された微小物体の群502を含む液体媒体144の所定の体積を吸い上げ(例として上方へ吸収し)得る。その後、搬出デバイスは、搬出インタフェース1302から除去され得、適切な容器へ移動させられ得るとすぐに、搬出デバイスによって吸い上げられた液体媒体144の体積(微小物体の群502と併せて)は、容器の中へ放出される。よって、搬出デバイスの近位端内に置かれている空気は、液体媒体144の搬出された体積が、そうでなければ搬出デバイス中に存在するであったろう流体と混合しないように防止し得る。加えて、チャネル152、搬出インタフェース162および/または搬出デバイス182の内部通路長を経由する搬出路を回避することによって、選択された微小物体の群502が巡回して散らばることに起因する搬出された体積の増加および/または搬出路の途中での微小物体の損失が回避され得る。また、この態様における搬出デバイス(例として皮下注射針1304)は容易に取り除かれ得、および/または、搬出されなかった微小物体は、洗浄用または除外用の溶液(a cleaning or neutralizing solution)などの溶液により搬出デバイスをフラッシュすることによるさらなる使用のために準備され得る。搬出デバイスを経て、外付けの廃棄用容器の中へ溶液をフラッシュすることによって、微少流体デバイス(例としてデバイス100、1700、1800、1900または同種のもの)の中への有害な恐れのある化学物質の導入が回避され得る。
【0154】
図3、10、11および20の処理300、1000、1100、2000のステップのいずれも、
図12A〜12C、13Aおよび13B中の搬出インタフェース1202、1302、1406、および、搬出インタフェース162の適所にある
図17または18の1406または出口110a、および/または、
図1A〜11および15A〜16中の搬出インタフェース1562により実施され得る。同様にして、
図3、10、11および20の処理300、1000、1100、2000のステップのいずれも、
図1A〜11および16中の搬出デバイス182、1682の適所にある
図13A〜14の搬出デバイス1304、1402により実施され得る。同様に、
図3、10、11および20の処理300、1000、1100、2000は、デバイス100よりむしろ、
図15A〜19Bおよび21A〜Cの微少流体デバイス1500、1700、1800、1900、2100により実施され得る。
【0155】
本発明の具体的な態様および適用が本明細書中に記載されているが、これらの態様および適用は、例示する目的しかなく、多くの変動があり得る。例えば、通路174が包囲体102の上端を通過するように図面中に説明されているが、代わりに通路174は、包囲体102の側面または下端を経ることができ、したがって搬出インタフェース162、1202、1302、1406(または出口110、110a)は、包囲体102の側面または下端上にあり得る。