特許第6563925号(P6563925)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563925
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】医療用回収装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/221 20060101AFI20190808BHJP
   A61B 17/22 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   A61B17/221
   A61B17/22 528
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-542764(P2016-542764)
(86)(22)【出願日】2014年12月15日
(65)【公表番号】特表2017-500156(P2017-500156A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】US2014070313
(87)【国際公開番号】WO2015100045
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2017年12月1日
(31)【優先権主張番号】61/920,614
(32)【優先日】2013年12月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100123607
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 徹
(72)【発明者】
【氏名】ター リチャード シー
(72)【発明者】
【氏名】シウラ ロナルド
(72)【発明者】
【氏名】スランダ ジョゼフ
【審査官】 宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−500054(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0027456(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/018445(WO,A1)
【文献】 特開2004−049545(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/110864(WO,A2)
【文献】 米国特許第6245087(US,B1)
【文献】 特開平9−94239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/22 − 17/221
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収装置であって、
遠位端部を有するシースと、
前記遠位端部の遠位側に延びる複数の支持部材と、を有し、
前記支持部材の各々は、遠位ループを有し、
更に、前記遠位端部の遠位側に延びる中空部材と、
前記中空部材から遠位方向に延びる可動部材と、を有し、
前記可動部材は、前記支持部材の遠位ループの中を摺動可能に延び
更に、前記支持部材の間に延びる少なくとも1つの付勢部材を有し、
前記少なくとも1つの付勢部材は、複数の付勢コイルを含み、前記付勢コイルの各々は、前記可動部材に沿って配置される、回収装置。
【請求項2】
前記複数の支持部材の少なくとも1つは、半径方向外方に付勢される、請求項1に記載の回収装置。
【請求項3】
前記可動部材は、リング形状を形成し、前記リング形状は、前記回収装置が開放形態にあるとき、前記シースの軸線に対して垂直な平面内に全体的に位置する、請求項1に記載の回収装置。
【請求項4】
前記遠位ループは、前記支持部材の最遠位箇所に位置する、請求項1に記載の回収装置。
【請求項5】
更に、少なくとも2つの支持部材の間に延びるメッシュを有する、請求項1に記載の回収装置。
【請求項6】
前記支持部材及び前記可動部材は、前記回収装置が開放形態にあるとき、開放した遠位端部を有する全体的に円錐形状を構成する、請求項1に記載の回収装置。
【請求項7】
前記可動部材は、開放形態と閉鎖形態との間を移動するように前記中空部材内に摺動可能に配置される、請求項1に記載の回収装置。
【請求項8】
回収装置であって、
遠位端部及び長手方向軸線を有するシースと、
前記遠位端部の遠位側に延びる複数の支持部材と、を有し、
前記支持部材の各々は、遠位ループを有し、前記支持部材の遠位ループの少なくとも1つは、少なくとも1つの付勢コイルを形成し、
更に、前記遠位端部の遠位側に延びる中空部材と、
前記中空部材から遠位方向に延びる可動部材と、を有し、
前記可動部材は、前記支持部材の遠位ループの中を摺動可能に延び、
前記複数の支持部材の少なくとも1つは、半径方向外方に付勢され、
前記支持部材のうちの第1の複数の支持部材は、前記シースに対して長手方向に移動可能であり、前記支持部材のうちの第2の複数の支持部材は、前記シースに対して長手方向に固定される、回収装置。
【請求項9】
前記可動部材は、リング形状を形成し、前記リング形状は、前記回収装置が開放形態にあるとき、前記シースの長手方向軸線に対して垂直な平面内に全体的に位置する、請求項8に記載の回収装置。
【請求項10】
前記遠位ループは、前記支持部材の最遠位箇所に位置する、請求項8に記載の回収装置。
【請求項11】
更に、前記支持部材の間に延びる少なくとも1つの付勢部材を有する、請求項8に記載の回収装置。
【請求項12】
前記少なくとも1つの付勢部材は、複数の付勢コイルを含み、前記付勢コイルの各々は、前記可動部材に沿って配置される、請求項11に記載の回収装置。
【請求項13】
更に、少なくとも2つの支持部材の間に延びるメッシュを有する、請求項8に記載の回収装置。
【請求項14】
前記支持部材及び前記可動部材は、前記回収装置が開放形態にあるとき、開放した遠位端部を有する全体的に円錐形状を構成する、請求項8に記載の回収装置。
【請求項15】
前記可動部材は、開放形態と閉鎖形態との間を移動するように前記中空部材内に摺動可能に配置される、請求項8に記載の回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、2013年12月24日出願の米国仮特許出願第61/920,614号の利益を主張するものであり、その開示は、その全体が本明細書に引用によって組み込まれている。
【0002】
本発明は、医療デバイス及びそれと関連した方法に関し、特に、身体から生体物質及び/又は異物を除去するための医療用回収装置、並びにその使用及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医療回収バスケットは、身体から生体物質及び異物(結石など)を回収するのに使用される。これらのバスケットのいくつかは、内視鏡又は腹腔鏡を通して使用されることができる。回収すべき結石又は他の生体物質の周りにバスケットを移動し、結石又は他の生体物質を操作してバスケット脚の間に定められた空間を通してバスケッ石は、トの中に入れることによって、結石又は他の生体物質をバスケットに捕捉する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、捕捉した結石又は他の生体物質をかかる回収バスケットから放出するのは、そのような放出が要求される場合、又はそうでなければそのことが意図されたり関連したりする場合、困難である可能性がある。同じく、尿路結石との長年の臨床的問題を有するいくらかの患者では、その上皮への外傷の結果として管に瘢痕が形成される場合がある。瘢痕によって生じる狭窄は、バスケットが閉鎖位置にある間は回収バスケットの挿入に干渉するほど狭くないと考えられる。しかし、管の狭窄区域を超えて引掛かった石を捕捉するためにバスケットを拡張した後、捕捉した石を収容したバスケットの直径は、尿路の狭窄領域の直径を超える場合がある。これらの状況下では、回収装置を尿路から引出すためにバスケットから放出する必要がある。石を放出することができない場合、石をバスケットから除去するのにより侵襲的な外科的手法が要求される。
【0005】
同じく、石を捕捉するために、当業技術のバスケットは、石を超えて又は石の片側に対して緩める必要がある。この操作は、技術的に非常に困難である可能性がある。石の部位の管内の延伸抵抗性瘢痕組織の形成によって悪化した管内腔の狭い直径は、バスケットをその周りで操作することができる空間を制限するか、又は厳しく制限する可能性さえある。更に、管の上皮は、石の片側までバスケットを進めることで管の破裂の危険性があるほど石の部位で弱くなっている場合がある。
【0006】
本発明の開示は、上述の問題及び/又は当業技術の他の問題のうちの1又は2以上に対処するものである。
【0007】
幾つかの実施形態は、医療用デバイス構造体のいくつかの代替設計及びそれを使用及び製造するいくつかの代替方法に関し、特に、患者の身体から生体物質又は異物(石など)を除去するためのアセンブリに関する。
【0008】
従って、1つの例示の実施形態は、シースと、複数の支持部材と、中空部材と、可動部材とを有する回収装置を含む。支持部材は、シースの遠位端部の遠位に延び、各支持部材は、遠位ループを含む。可動部材は、支持部材の遠位ループを通って摺動可能に延びながら中空部材を通って遠位に延びる。
【0009】
これに加えて又はこれに代えて、別の例示の実施形態は、シースと、複数の捕捉部材と、ループ部材とを有する回収装置を含む。捕捉部材は、シースの遠位端部の遠位に延びる。各捕捉部材は、ループ部材が捕捉部材のループを通って延びるようなループを有する。
【0010】
これに加えて又はこれに代えて、更に別の例示の実施形態は、シースと、複数の支持部材と、ループ部材とを有する回収装置に関する。支持部材は、シースの遠位端部の遠位方向に延びる。各支持部材は、ループ部材が支持部材の遠位ループを通って延びるようなループを有する。
【0011】
開示する実施形態の追加の特性、特徴、及び利点は、一部は以下の説明に示し、一部は説明から明らかであり、又は本開示を実施することによって学ぶことができるであろう。開示する主題は、添付の特許請求の範囲に詳細に指摘する要素及び組合せによって実現かつ達成することができる。
【0012】
上述の概要及び以下の詳細説明の両方は、例示であり単に説明のためのものであり、特許請求する実施形態の説明を限定しないことを理解すべきであるものとする。
【0013】
本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の開示の例示の実施形態を示し、説明と共に本発明の開示の原理を説明するのを補助するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態による例示の回収装置の一部分の概略図である。
図2】部分的に閉鎖形態に構成され且つ配列された図1の回収装置の概略図である。
図3】付勢部材を含む図1の回収装置の概略図である。
図4】メッシュを有する図1の回収装置の概略図である。
図5】本発明の開示の別の実施形態による回収装置の概略図である。
図6】閉鎖形態に配列され且つ配置された図5の回収装置の概略図である。
図7】本発明の開示の更に別の実施形態による回収装置の概略図である。
図8】シースを取外して開放形態に配置された図7の回収装置の概略図である。
図9図7の回収装置の例示の捕捉部材の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで本発明の開示の実施形態を参照するが、これらの例は、添付の図面に示されている。可能な限り、同じ参照番号は、図面全体を通じて同じか又は類似の部分を指すように使用されている。
【0016】
以下の開示では、用語「遠位」は、患者にデバイスを導入する時に医療専門家から最も離れた端部を指す。用語「近位」は、デバイスを患者に置く時に医療専門家に最も近い端部を指す。しかし、これらの用語は、例示の目的に使用されるに過ぎず、様々な開示される概念に直接に関連しない問題に対して本発明の範囲を制限するように考えられているものではない。本発明の開示に使用するように、用語「一般的」及び「実質的」は、値又は特徴の小さな変動の可能性を表すのに使用される。より明確なそのような用語の範囲では、小さな変動は、10%までの偏差の範囲にある。
【0017】
図1は、患者の身体から生体物質及び/又は異物(例えば、石)を取出すように構成された例示の回収装置100の概略図である。回収装置100は、シース102、複数の支持部材又は捕捉部材104a、104b、104c(総称して以下では支持部材104と呼ぶ)、中空部材110、及び可動部材108を含むことができる。支持部材104、中空部材110、及び可動部材108は、シース102に向けて近位方向にテーパする全体的に円錐形の開放形態を有するバスケット115を互いに形成する。回収装置100の他の構成要素と共に、各構成要素をここで詳細に考察する。
【0018】
シース102は、円形断面を定める管状形状を有する。当業者は、シース102がこれに代えて長円形の任意その他の適切な断面を定めることができることを認識すべきである。シース102は、近位端部(図示せず)、遠位端部103、及びこれらの間を延びる内腔105を有する。シース102の近位端部は、任意の従来の仕方でハンドルに結合されることができる。内腔105は、シース102の全長にわたって延び、装置(図示せず)のハンドルに結合された起動部材に結合された1又は2以上の駆動ワイヤを摺動可能に受入れるように構成される。いくつかの実施形態では、シース102は、追加の医療デバイスを受入れる等ための様々な目的のために、任意適切な数の内腔及び/又は対応する開口部を含むことができる。
【0019】
シース102は、例えば、ポリマー、金属、合金等の任意適切な生体適合性及び/又は柔軟な材料を組合せて又は単独で形成される。使用する1つ又は複数の材料は、十分に剛性であって様々な内腔径に使用することができ、十分に可撓性であって蛇行及び/又は狭窄内腔を通して操作することができ、任意の不要な組織傷害を低減し、最小にし、又は更に回避する。シース102を製造するのに使用する材料は、例えば、ニチノール等の超弾性材料又は形状記憶材料を含むことができる。他の適切な材料は、ポリエーテルブロックアミド、ポリウレタン、その他を含むことができる。
【0020】
支持部材104は、シース102の遠位端部103に隣接して作動可能に取付けられ、それらから遠位方向及び半径方向外向きに延びる。例えば、各支持部材104は、シース102の遠位端部から延びるリング部材101に固定的に取付けられる。支持部材104は、接着、溶接、溶融、成形などの任意の従来の仕方で固定される。
【0021】
支持部材104は、限定するわけではないが、金属、ポリマー、又は材料の組合せを含む任意適切な材料で形成されることができる。1つの実施形態では、各支持部材104は、金属ワイヤを含むことができる。変形実施形態において、各支持部材104は、互いに共引出しされた2又は3以上の金属から形成されることができる。支持部材は、互いに捩られた2又は3以上のフィラメントを含むことができる。支持部材104は、例えば、円形又は長円形のような任意適切な断面輪郭を有することができる。いくつかの実施形態では、支持部材104の一部は、平坦にされ、機械加工され、押出され、引抜かれ、又はエッチングされて、支持部材104の残りの部分と異なる輪郭にすることができる。いくつかの実施形態では、支持部材104は、事前に曲げ及び/又はスロットを作り、偏向又は有向曲げを可能にすることができる。1つの実施形態では、支持部材104は、例えば、約0.003インチ(0.0762ミリメートル)の直径を有するニチノールワイヤ等の超弾性材料又は形状記憶材料で形成されることができるが、他の適切な直径をこれに代えて利用してもよい。
【0022】
各支持部材104a、104b、104cは、それぞれの支持部材104上の最遠位箇所に位置する遠位ループ又はアイレット106a、106b、106c(総称して以下では遠位ループ106と呼ぶ)をそれぞれ有する。遠位ループ106a、106b、106cは、可動部材108と摺動可能に係合するように構成される。図1の実施形態は、3つの支持部材104a、104b、104cを含むが、任意適切な数、例えば、4、5、6、又はそれよりも多くの支持部材104を使用することができる。
【0023】
中空部材110は、支持部材104の構造及び/又は形態と同様、遠位方向及び半径方向外向きに延びる管状本体を含むことができる。中空部材110は、支持部材104と同様、シース102に固定的に結合される。図1に示すように、1つの実施形態では、中空部材110は、シース102の内腔105内で、支持部材104よりも近位方向に延びることができる。中空部材110は、可動部材108を摺動可能に受入れる。
【0024】
可動部材108は、その2つの端部が中空部材110の近位端部よりも近位側に位置するように、中空部材110内に受入れられる。従って、中空部材は、可動部材108の2つの平行部分を摺動可能に受入れる。中空部材110は、2つの内腔を有し、その各々は、可動部材108の各平行部分のためのものである。可動部材108の各端部は、可動部材108を中空部材110内で近位方向及び遠位方向に摺動式に移動させるために、アクチュエータに結合された1又は2以上のプルワイヤ等を介して任意の従来の仕方でハンドルに結合されることができる。長手方向に延びる部材に固定されたリング部材等の2つの個別ではあるが接合された部材で形成されている可動部材108等の変形構成が可能であることを理解すべきである。
【0025】
可動部材108が、中空部材110から出て遠位方向に延びるとき、回収装置100は、図1に示すような開放形態に向かって移動する。開放形態では、可動部材108は、シース102の長手方向軸線に対してある角度の平面内にほぼ位置するリング状構成を形成することができ、ある角度は、例えば、長手方向軸線に対して垂直である。支持部材104の遠位端部の遠位ループ106は、支持部材104、中空部材110、及び可動部材108がシース105に向かって近位方向にテーパする全体的に円錐形の開放形態を有するバスケット115を互いに形成するように、可動部材108を摺動可能に受入れる。可動部材108は、図1に示すリング形状以外の任意の連続的な形態を形作ってもよいことを理解すべきである。例えば、長円形、正方形、菱形、又は他の形状を形成することができる。
【0026】
可動部材108は、限定するわけではないが、金属、ポリマー、又は材料の組合せを含む任意適切な材料で形成される。可動部材108の剛性は、図1に示す開いた円形の形態への移動を支持するように選択することができる。1つの実施形態では、可動部材108は金属ワイヤを含むことができる。変形実施形態において、可動部材108は、共引出しされる2又は3以上の金属から形成されることができる。可動部材108は、例えば、円形又は長円形のような任意適切な断面輪郭を有することができる。いくつかの実施形態では、可動部材108の一部は、平坦にされ、機械加工され、押出され、引抜かれ、又はエッチングされて、可動部材108の残りの部分と異なる輪郭にすることができる。いくつかの実施形態では、可動部材108は、事前に曲げ及び/又はスロットを作り、偏向又は有向曲げを可能にすることができる。例えば、可動部材108は、事前に曲げて、近位に延びる曲げ部114を有する図1に示すリング形状形態を形成することができる。1つの実施形態では、可動部材108は、例えば、約0.003インチ(0.0762ミリメートル)の直径を有するニチノールワイヤ等の超弾性材料又は形状記憶材料で形成されることができるが、他の適切な直径をこれに代えて利用してもよい。
【0027】
回収装置100は、ハンドル(図示せず)において、可動部材108をアクチュエータによって遠位方向に移動させることによって、図2に示す閉鎖形態から図1に示す開放形態に移行するように構成されることができる。可動部材108をアクチュエータによって近位方向に引くことによって、回収装置100を開放形態から閉鎖形態に移行させる。回収装置は、開放形態では、生体物質及び/又は異物(例えば、石)の把持及び捕捉を可能にする開放端部の円錐形の配列を形成するのに対して、閉鎖形態では、回収装置100の配送又は引出しのためのつぶれ輪郭、又はバスケット115において捕捉された物質を確実に保持する捕捉形態を形成する。回収装置100(例えば、支持部材104、中空部材110、及び可動部材108)のバスケット115を構成する要素の1又は2以上、又は全ては、開放形態に向けて事前に曲げられ又は付勢されることができる。バスケット形状は、外向き又は内向きに広がってもよいし、全く広がらなくてもよいし、任意の構成の組合せを含んでもよい。
【0028】
図2は、閉鎖形態の回収装置100の概略図である。ここで、可動部材108は、近位方向に引かれ、支持部材104及び特に遠位ループ106が、可動部材108に沿って摺動して半径方向に移動し、バスケット115の半径方向サイズが縮小されている。この移動はまた、可動部材108の実質的にリング形状の部分の全体直径を縮小させる。閉鎖形態では、回収装置100は、カテーテル等のデバイス(図示せず)の中に引かれ、患者の身体から回収装置100を取出すことができる。同様の仕方で、回収装置100は、カテーテル等のデバイスの中を通して患者の身体の望ましい箇所に展開することができる。
【0029】
図3は、回収装置100の別の実施形態を示している。回収装置100に対して上述した特徴に加えて、回収装置100は、1又は2以上のコイル302等の付勢部材を含むことができる。コイル302は、支持部材104の間及び可動部材108の周りに延びることができる。例えば、4つのコイル302が、支持部材104の遠位ループ106又は中空の支持部材110の遠位端部のいずれかによって形成された止め部の間に延び、コイル302は、可動部材108の周りに摺動可能に受入れられる。コイル302は、図3に示すピッチよりも広いピッチを有し、閉鎖形態のバスケットの輪郭を縮小させるのを助けてもよいことを理解すべきである。更に、1つ、2つ、又は3つのコイル302等のより少ないコイルを使用することができる。更に、支持部材104自体の遠位端部が、コイル302のうちの1又は2以上を形成することができる。1つのコイル302が、2つよりも多くの支持部材104間、例えば、可動部材108によって形成されたリング全体の周りの可動部材に沿って延びるように使用されてもよい。最後に、他のタイプの付勢部材(例えば、付勢リボン)をコイル302の代わりに使用することができることを理解すべきである。
【0030】
コイル302は、バネ等の任意適切な弾性部材を含むことができる。コイル302は、限定するわけではないが、金属、ポリマー、合金等の任意適切な生体適合性材料で形成されることができる。1又は2以上のコイル302は、開放形態と閉鎖形態の間を移動中にバスケット115に沿った支持部材104の適切な及び/又は均一な間隔を容易にすることができる。1又は2以上のコイル302はまた、付勢を提供して開放形態に向かってバスケット115を押圧する。
【0031】
図4は、回収装置100の別の実施形態を示している。回収装置100(図1〜3)に対して上述した特徴に加えて、回収装置100はまた、メッシュ402を含むことができる。メッシュ402は、支持部材104、中空部材110、及び可動部材108によって形成されたバスケット115の一部分のみ又は実質的に全てを含むことができる。例えば、メッシュ402は、任意適切なストランド又は繊維材料で形成されることができ、バスケット115が開放形態と閉鎖形態の間を移動することを可能にする仕方で支持部材104、中空部材110、及び可動部材108の各々に摺動可能に結合することができる。メッシュ402は、バスケット内に捕捉された石を保持することによって回収の強化を容易にすることができる。メッシュ402はまた、支持部材104の任意の不注意な集合を妨げ又は回避し、それによって捕捉された石が逃れる場合がある空間の形成を低減又は防止することができる。当業者は、本発明の開示の範囲及び精神から逸脱することなくメッシュ402を任意のセル形態に配列することができることを認識するであろう。メッシュ402は、1つのフィラメント又は任意の数の交差又は連結フィラメントを含むことができる。支持部材104上のメッシュ402の位置は、支持部材104の間の全ての開口部にわたってもよいし、開口部のごく一部分にわたってもよい。更に、メッシュ402を使用することにより、更に少ない数の支持部材104を使用することができる。
【0032】
図5は、本発明の開示の別の実施形態による回収装置500を示している。回収装置500は、遠位端部503を有するシース502を含むことができる。回収装置500の他の主な構成要素は、複数の支持部材504a、504b、504c、504d、504e、504f、504g、504h(総称して支持部材504と呼ぶ)と、ループ部材508を含むことができる。支持部材504及びループ部材508は、シース502に向かって近位方向にテーパする全体的に円錐形の開放形態を有する開放端部のバスケット515を互いに形成する。シース502、支持部材504、及びループ部材508はそれぞれ、図1〜4の回収装置のシース102、支持部材104、及び可動部材108と同様の構造、材料、及び/又は機能とすることができる。
【0033】
支持部材504は、支持部材504a〜504dの第1のアレイ及び支持部材504e〜504hの第2のアレイとして更に分類することができ、支持部材504a〜504dは各々、シース502の遠位端部503から遠位方向及び半径方向外向きに延びる。支持部材504の各々は、遠位ループ又はアイレット506を含むことができ、それらは支持部材504上の最遠位箇所に位置するのがよく、ループ部材508を支持部材504に永久的に取付けるのに使用される。1つの実施形態では、第1のアレイの支持部材504a〜504dは、シース502の遠位端部503に固定的に取付けられるのに対して、第2のアレイの支持部材504e〜504hは、開放形態と閉鎖形態の間で回収装置500を移動するように、シース502に沿って及び/又はその内部で長手方向に移動可能にすることができる。ループ部材508は、支持部材504への永久取付けの領域において容易に曲がるように予め形成される。例えば、ループ部材508は、可撓的に構成されて取付け領域において「ヒンジ式に動く」ことができる。第2のアレイの支持部材504e〜504hは、患者の身体の外側に配置されたハンドル及びアクチュエータ(図示せず)に取付けられ、ヒンジ箇所における(アイレット506における)ループ部材508を曲げたり真直ぐにしたりすることを達成し、バスケット515を閉鎖形態と開放形態の間で移行させることができる。第1のアレイの支持部材504a〜504dは、第2のアレイの支持部材504e〜504hとは異なる寸法を有するように図5及び図6に示されているが、第1のアレイ及び第2のアレイは同じサイズであってもよいことを理解すべきである。
【0034】
支持部材504a〜504hは、1つおきに支持部材504a〜504hが長手方向に固定され且つ1つおきに長手方向に移動可能であるように、周方向に配列されるのがよい。換言すると、固定された支持部材504a〜504dは各々、長手方向に移動可能な支持部材504e〜504hに隣接して配置される。しかし、当業者は、支持部材504a〜504hの2つのアレイが任意の特定の仕方で配置されて上に開示した又は他の機能を伴ってもよいことを認識すべきである。
【0035】
ループ部材508は、支持部材の遠位ループ506a〜506hの中を通って延びるリング状構造を含むことができる。ループ部材508は、シース502の長手方向軸線に垂直な平面内にほぼ位置することができる。遠位ループ506は、ループ部材508に取付けられて開放形態(図5に示すような)の円錐形の形態を形成することができる。特に、ループ部材508と共に支持部材504a〜504hは、回収装置が完全に開放形態にあるとき、円錐形状を形成することができる。
【0036】
回収装置500は、第2のアレイの支持部材504e〜504hの移動によって、閉鎖形態(図6)と開放形態(図5)の間を移行するように構成される。開放形態では、第1のアレイ及び第2のアレイの支持部材504a〜504hは、半径方向外向きに付勢されながら開放端部のバスケット形状配列を定めることができる。対照的に、閉鎖形態では、第2のアレイの支持部材504e〜504hは、近位方向に引かれて、支持部材504によって形成されたバスケットを閉じることができる。
【0037】
図6は、部分的に閉鎖形態である図5の回収装置500を示している。この実施形態において、第2のアレイの支持部材504e〜504hは、近位方向に引かれ、ループ部材508が近位側と遠位との間で実質的にジグザグパターンで折畳まれ又は圧縮形状を形成する。回収装置500は、任意の仕方で開放形態に向けて付勢され、かかる仕方は、例えば、支持部材504のうちの1又は2以上、又は全てにおける半径方向外向きの付勢又は曲げ、及び/又は、開放ループ形態(図5)に付勢されているループ部材508である。
【0038】
図7図9は、別の例示の回収装置700を示している。回収装置700は、複数の捕捉部材702a、702b、702c、702d(総称して702)を含むことができ、各捕捉部材は、1対の近位ループ又はアイレット704a、710a、704b、710b、704c、710c、704d、710d(総称して704、710)を有している。回収装置700は、捕捉部材702のアイレット704、710を通って延びるループ部材706を更に含むことができる。ループ部材706は、リング形状形態を有することができる。
【0039】
各捕捉部材702a〜702dは、長手方向部材708a〜708d(長手方向部材708と称する)を含むことができる。捕捉部材702は各々、長手方向に延びる花びら形又は円錐形の形態を有し、閉鎖形態(図7)と開放形態(図8)の間で近位ループ704、710を介してループ部材706を中心に枢動することができる。4つの捕捉部材702が図に示されているが、2つ、3つ、5つ、又はそれよりも多くの捕捉部材702を使用することができる。更に、捕捉部材702は、限定するわけではないが、金属、ポリマー、又は金属の組合せを含む任意適切な金属で形成することができる。捕捉部材702の剛性は、開放形態から閉鎖形態への移動を支持するように選択することができる。1つの実施形態では、捕捉部材702は、金属ワイヤを含むことができる。捕捉部材702は、例えば、円形又は長円形のような任意適切な断面輪郭を有することができる。いくつかの実施形態では、捕捉部材702の一部は、平坦にされ、機械加工され、押出され、引抜かれ、又はエッチングされて、捕捉部材702の残りの部分と異なる輪郭にすることができる。いくつかの実施形態では、捕捉部材702は、事前に曲げ及び/又はスロットを作り、偏向又は有向曲げを可能にすることができる。例えば、捕捉部材702は、半径方向内向きに事前に曲げられて図7図9に示す形態を形成することができる。これに代えて、捕捉部材702は、半径方向外向きに曲げられた遠位端部を含むことができる。捕捉部材702の最遠位端部は、図示のように丸く又はより鋭くすることができる。1つの実施形態では、可動部材108は、例えば、約0.003インチ(0.0762ミリメートル)の直径を有するニチノールワイヤのような超弾性材料又は形状記憶材料で形成されることができるが、他の適切な直径をこれに代えて利用することができる。捕捉部材702はまた、外向き又は内向きに広がるように曲げられることができる。捕捉部材702はまた、全ての遠位端部が整列しないように異なる長さを有することができる。
【0040】
回収装置700は、捕捉部材702からハンドル(図示せず)まで延びるシース712(図7)を含むことができる。シース712は、長手方向部材708を受入れるための内腔を含むことができる。シース712は、ループ部材706がシース712の遠位端部に永久的に取付けられるように構成されることができる。この取付けは、図7に示すように又は任意その他の従来の仕方でシース712の遠位端部に形成された半径方向内腔によって行うことができる。
【0041】
図7図9に示すように、捕捉部材702の近位ループ704、710は、ループ部材706に巻付けられることによって、ループ部材706に取付けられることができる。従って、捕捉部材702は各々、2つの異なる離間した周方向位置のところでループ部材706に連結される。捕捉部材702は、隣接した捕捉部材が、捕捉部材702の2つのループ704、710の間に位置するループ704又は710を有するように、交互式にループ部材706の周りに配列されるのがよい。長手方向部材708は、最初、回収装置700の中心に向かってループ部材706から半径方向内向きに延びるように、回収装置の長手方向軸線に対してほぼ垂直に延びることができる。長手方向部材708は、次に、曲げられ、こシース(図示せず)の中に軸線方向に延び、プルワイヤ又は起動機構において(ハンドルなどにおいて)終端する。長手方向部材708は、任意の従来の仕方でハンドルに結合され、近位ループ704への押す力又は引く力の移行を可能にする。
【0042】
図9は、回収装置700の単一の捕捉部材702を示している。図示のように、捕捉部材702は、2つの近位ループ704、710を含み、近位ループ704は、ループ部材706に巻付けられ且つ長手方向部材708に結合され、近位ループ710は、単にループ部材706に巻付けられる。捕捉部材702は、遠位方向に延びる花びら形部材を含み、花びら形部材は、丸い頂点を有する平面円錐形を有する。長手方向部材708は、ハンドルまで延び、ハンドルの操作により、捕捉部材702を引くことにより、回収装置700(図8に示すような)を開くことができる。捕捉部材702は、成形、サイジング、表面改質、ノッチ、バンプ、コーティング、把持構成要素などを有し、物体の捕捉及び物体上への保持を促進させることができる。
【0043】
開示した回収装置100、500、700は、とりわけ、配送及び取出しを補助する小さい輪郭、可変寸法材料及び展開箇所に順応する可変寸法バスケット、及び捕捉すべき材料に対する回収装置の位置決めを補助する材料の遠位開放端捕捉部を有することができる。
【0044】
本発明の開示の実施形態は、上に開示した手順を超えて様々な及び異なる医療又は非医療手順に適用可能にすることができる。更に、上述の実施形態のいずれか1つの態様は、本明細書に開示するいずれかの他の実施形態のいずれかの他の態様と組み合わせることができる。
【0045】
本発明の他の実施形態は、本明細書に開示した実施形態の明細及び実施を考慮すると当業者には明らかであろう。例えば、上に開示した実施形態のいずれにおいても、遠位に位置する部材(例えば、支持部材、中空部材、可動部材、ループ部材、及び/又は捕捉部材)は、把持を改善する特徴を含むことができる。そのような特徴は、突起、窪み、フック、湾曲部、及び/又はコーティングのような表面改質を含むことができる。更に、上に開示した実施形態のいずれにおいても、開示された様々なワイヤは、捩れたフィラメントを含んで把持を強化することができる。更に、様々な遠位ループ(例えば、106、506、704、710)は、一体的に形成することができ、又は支持又は捕捉部材から構成要素を分離することができる。明細及び実施例は、一例としてだけ考えることを意図し、開示の真の範囲及び精神は、特許請求の範囲によって示されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9