(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書で使用する場合に、単数形「1つの(a, an)」及び「その(the)」は、文脈が他に明確に指示しない限り、複数の参照を含む。本明細書で使用する場合に、2つ以上の部品又は構成要素が「結合される」という記述は、複数の部品が、直接的に又は間接的に(すなわち、リンクが生じる限り、1つ又は複数の中間部品又は構成要素を介して)のいずれかで一緒に接合する又は動作することを意味する。本明細書で使用する場合に、「直接的に結合される」は、2つの要素が互いに直接的に接触していることを意味する。本明細書で使用する場合に、「固定して結合される」又は「固定される」は、2つの構成要素が、互いに一定の向きを維持しながら、一体物として移動するように結合されることを意味する。
【0009】
本明細書で使用する場合に、単語「一体的に(unitary)」は、構成要素が単一の部品やユニットとして形成されることを意味する。つまり、個別に形成され、その後ユニットとして一緒に結合される部品を含む構成要素は、「一体的な」構成要素又は本体ではない。本明細書で使用する場合に、2つ以上の部品又は構成要素が互いに「係合する」という記述は、部品が、直接的に、又は1つ又は複数の中間部品又は構成要素を介して互いに対して力を及ぼすことを意味する。本明細書で使用する場合に、用語「数」は、1、又は1よりも大きい整数(すなわち、複数)を意味する。本明細書で使用する場合に、括弧内の記述は、必要に応じて含まれるものとして解釈され、或いは文脈がそのような解釈を認めない場合に、例示又は説明として解釈され得る。
【0010】
本明細書中で使用される、例えば上部、底部、左、右、上、下、正面、背面(これらに限定するものではない)及びそれらの派生語等の方向を示す語句は、図面に示される要素の向きに関連し、明示的に記載されない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0011】
図1は、被験者106と人工呼吸器140との間の非同期及び/又は人工呼吸の障害を(非侵襲的に)予測及び/又は検出するように構成されたシステム10を示す。人工呼吸器140は、呼吸治療を被験者106に提供するように構成される。人工呼吸器は、必ずしも必要ではないが、非侵襲的な呼吸治療を提供するように構成してもよい。非侵襲的換気(non-invasive ventilation)は、NIVと呼称され得る。被験者106は、患者106と置換可能に呼称され得る。システム10は、呼吸治療を提供するために使用され得る人工呼吸器、気道陽圧装置(PAP/CPAP/BiPAP(登録商標)等)、圧力発生器、及び/又は他のシステム又はデバイスの1つ又は複数を含むがこれらに限定されない呼吸治療システム及び/又は呼吸器治療装置に統合され、埋め込まれ、組み込まれ、組み合わされ、及び/又は他に呼吸治療システム及び/又は呼吸器治療装置と連動して動作することができる。
【0012】
システム10は、人工呼吸器140、1つ又は複数のセンサ142、1つ又は複数のプロセッサ110、及び/又は他の構成要素のうちの1つ又は複数を含むことができる。本明細書で使用する場合に、「非同期」とは、呼吸器系の臨床医によって特定されるような患者の呼吸需要に人工呼吸器が十分に応答、反応、及び/又は予測し損なう障害の種類として解釈することができる。代替的に、及び/又は同時に、非同期についての他の規定を本明細書で使用し得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、臨床医は、異なるレベル及び/又はスコアの同期/非同期のセットを区別することができる。非限定的な例として、4つのレベルのセットが、重度の非同期から、中程度の非同期、低度の非同期、同期の範囲に及び得る。異なるレベルは、もしあれば、患者のために行われる異なる推奨動作に対応させることができる。いくつかの実施形態では、決定された特定レベルの非同期(例えば、「重度の非同期」)の発生及び/又は検出は、「非同期の検出」と呼称され得る。いくつかの実施形態では、決定された特定レベルの非同期の発生及び/又は検出は、「NIV障害の予測」と呼称され得る。特定の呼吸パラメータ(及び/又はその呼吸に基づいたパラメータ)と呼吸器系の臨床医による評価との間に統計的に有意な相関が、実験的に確立されている。
【0014】
人工呼吸器140は、例えばチューブ180を介して被験者106の気道に送達するような呼吸可能ガスの加圧流を供給するように構成することができる。チューブ180は、送達回路180及び/又は被験者インターフェイス180と呼称され得る。人工呼吸器140は、呼吸ガスの加圧流の圧力レベル、流量、湿度、速度、加速度、及び/又は他のパラメータを被験者106の呼吸サイクルと実質的に同期させて調整するように構成することができる。被験者106は、呼吸の1つ又は複数の相(phase)を開始しても、しなくてもよい。呼吸療法は、非限定的な例として、圧力制御、圧力サポート、ボリューム制御、フロー制御、及び/又はこれらの1つ又は複数の組合せとして実施することができる。例えば、吸気を支援するために、呼吸可能ガスの加圧流の圧力を、吸気圧に調節してもよい。例えば、呼気を支援するために、呼吸可能ガスの加圧流の圧力を、呼気圧に調整してもよい。呼吸可能ガスの加圧流を送達によって呼吸療法を提供するための他のスキームが、本開示の範囲内で企図される。
【0015】
呼吸可能ガスの加圧流を、人工呼吸器140からチューブ180を介して被験者106の気道に送達することができる。チューブ180は、導管182(例えば、所定長さの可撓性ホース)及び/又は被験者インターフェイス器具184を含むことができる。チューブ180は、人工呼吸器140と流体連通する被験者インターフェイス器具184に配置することができる。呼吸可能ガスの加圧流が、被験者インターフェイス器具184、人工呼吸器140、及び/又はシステム10の間で連通される1つ又は複数の流路をチューブ180によって形成することができる。
【0016】
被験者インターフェイス器具184は、呼吸可能ガスの加圧流を被験者106の気道に送達するように構成することができる。そのため、被験者インターフェイス器具184は、この機能に適した任意の器具を含むことができる。一実施形態では、人工呼吸器140は、専用の人工呼吸器であり、被験者インターフェイス器具184は、呼吸療法を被験者106に送達するために使用される別のインターフェイス器具と取り外し可能に結合するように構成される。いくつかの実施形態では、被験者インターフェイス器具184の使用は、非侵襲的であってもよい。代替的に、及び/又は同時に、いくつかの実施形態では、被験者インターフェイス器具184の使用は、侵襲的であってもよい。例えば、被験者インターフェイス器具184は、気管内チューブ、気管切開ポータル、及び/又は他のインターフェイス器具と係合する及び/又はこれらに挿入されるように構成することができる。一実施形態では、被験者インターフェイス器具184は、介入器具を用いずに被験者106の気道と係合するように構成される。この実施形態では、被験者インターフェイス器具184は、気管内チューブ、鼻カニューレ、気管切開チューブ、鼻マスク、鼻/口マスク、フルフェイスマスク、トータルフェースマスク、及び/又はガスの流れを被験者の気道に連通させる他のインターフェイス器具のうちの1つ又は複数を含んでもよい。本開示は、これらの例に限定されるものではなく、あらゆる被験者インターフェイスを使用して呼吸可能ガスの加圧流を被験者106に送達することを企図する。
【0017】
被験者106と人工呼吸器140との間の非同期は、非限定的な例として、被験者106の呼吸需要が十分に満たされていない及び/又は理解されていない場合の、トリガミス、無関係なトリガ、遅延トリガ、プレサイクル、遅延サイクル、及び/又は他の呼吸事象の発生を含み得る。いくつかの実施形態では、本開示に記載されるように、非同期は、他の発生を含み得る。いくつかの実施形態では、非同期は、(例えば、人工呼吸器140と被験者106との間の)呼吸支援回路のリークによって引き起こされ得る。非同期は、人工呼吸の障害(又はNIV障害)について、浅速呼吸指数(RSBI)、pH、及び吸気酸素分画の分圧(PaFiO2)を含むがこれらに限定されない特性の中で予測因子とすることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、システム10は、呼吸、呼吸気流、気道力学、被験者106の生理機能のパラメータ、医学的パラメータ、環境パラメータ、及び/又は他のパラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成するように構成された1つ又は複数のセンサを含むことができる。生成された出力信号は、1つ又は複数の呼吸サイクルに対応することができる。
図1は、情報を伝達する出力信号を生成するように構成されたセンサ142を含むシステム10を示している。非限定的な例として、パラメータは、流量、(気道)圧力、湿度、速度、加速度、及び/又は他のパラメータの1つ又は複数を含んでもよい。センサ142は、人工呼吸器140、システム10、及び/又は被験者インターフェイス器具184と流体連通することができる。センサの数やセンサの配置は、
図1の描画に限定されるものではない。
図1のセンサ142を1つ含むイラストは、限定することを意図したものではない。
【0019】
センサ142は、1つ又は複数の呼吸パラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成するように構成される。いくつかの実施形態では、センサ142は、被験者106に関する生理学的パラメータに関連する情報を伝達する出力信号を生成するように構成することができる。いくつかの実施形態では、センサ142は、圧力センサ、流量計、CO
2センサ、照度センサ、光センサ、光学センサ、温度センサ、湿度センサ、マイクロフォン、光束センサ、及び/又は他のセンサと同じ又は同様である1つ又は複数の機能又は特徴を含んでもよい。
【0020】
生成された出力信号は、被験者106の気道、被験者106の呼吸、被験者106によって呼吸されたガス、被験者106によって呼吸されたガスの組成、被験者106によって呼吸されたガスの1つ又は複数のCO
2パラメータ、被験者106の気道へのガスの送達、及び/又は被験者による呼吸努力の状態及び/又は条件に関するパラメータに関連する情報を伝達することができる。例えば、パラメータは、バルブ駆動電流、回転速度、モータ速度、ブロア速度、ファン速度等の人工呼吸器140(又は、人工呼吸器140が一体化され、組み合わされ、又は接続された装置)の構成要素の測定値、或いは予め既知の及び/又は較正された数学的関係によって予め列挙されているパラメータのいずれかについて代用品として機能し得る関連する測定値として機構ユニットに関連付けてもよい。得られた信号やセンサからの情報は、
図1に示される人工呼吸器140、プロセッサ110、ユーザインターフェイス120、記憶装置130、及び/又は他の構成要素に送信することができる。この送信は、有線及び/又は無線であってもよい。
【0021】
出力信号は、固定及び/又は変動レートで生成してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、センサ142は、1ミリ秒、10ミリ秒、100ミリ秒、1秒、及び/又は他の適切な間隔毎に出力信号を生成するように構成してもよい。
【0022】
図1のシステム10のユーザインターフェイス120は、ユーザがシステム10との間で情報をやり取りすることができるような被験者106(又は他のユーザ108)用のインターフェイスを提供するように構成される。これによって、「情報」と総称されるデータ、結果、及び/又は命令、及び他の通信可能な項目を、ユーザとシステム10との間で通信するのが可能にする。被験者106に伝達することができる情報の一例は、システム10及び/又は人工呼吸器140の動作又は動作設定の現在のモードである。ユーザインターフェイス120に含めるのに適当なインターフェイス装置の例は、キーパッド、ボタン、スイッチ、キーボード、ノブ、レバー、表示画面、タッチスクリーン、スピーカー、マイクロフォン、インジケータライト、可聴警報、及びプリンタが挙げられる。情報は、ユーザインターフェイス120によって、聴覚信号、視覚信号、触覚信号、及び/又は他の感覚信号、或いはそれらの任意の組合せの形態で提供してもよい。
【0023】
非限定的な例として、ユーザインターフェイス120は、発光可能な放射源を含むことができる。放射源は、例えば、少なくとも1つのLED、少なくとも1つの電球、表示画面、及び/又は他の放射源の1つ又は複数を含む。ユーザインターフェイス120は、放射源を制御して光を放射し、情報を被験者106に伝達することができる。
【0024】
ハードワイヤド又は無線の他の通信技術も、ユーザインターフェイス120として本明細書で企図されることを理解すべきである。例えば、一実施形態では、ユーザインターフェイス120は、(物理的な)記憶装置130により提供されるリムーバブル記憶装置のインターフェイスと一体化される。この例では、情報は、ユーザがシステム10の実装形態をカスタマイズするのを可能にするリムーバブル記憶装置(例えば、スマートカード、フラッシュドライブ、リムーバブルディスク等)からシステム10にロードされる。ユーザインターフェイス120としてシステム10との使用に適合された他の例示的な入力装置及び技術は、RS−232ポート、RFリンク、IRリンク、モデム(電話、ケーブル、イーサネット(登録商標)、インターネット又は他のモデム)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。要するに、システム10と情報を通信するためのあらゆる技術が、ユーザインターフェイス120として企図されている。
【0025】
図1のシステム10の記憶装置130は、情報を電子的に記憶するデジタル及び/又は電子記憶媒体を含む。記憶装置130の記憶媒体は、システム10と一体的に設けられた(すなわち、実質的に非リムーバブルな)システム記憶装置、及び/又は例えばポート(例えば、USBポート、FireWireポート等)又はドライブ(例えば、ディスクドライブ等)を介してシステム10に取り外し可能に接続可能であるリムーバブル記憶装置の一方又は両方を含んでもよい。記憶装置130は、光学的に読み取り可能な記憶媒体(例えば、光ディスク等)、磁気的に読み取り可能な記憶媒体(例えば、磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピードライブ等)、電荷ベースの記憶媒体(例えば、EPROM、EEPROM、RAM等)、固体状態記憶媒体(例えば、フラッシュドライブ等)、及び/又は他の電子的に読み取り可能な記憶媒体の1つ又は複数を含んでもよい。記憶装置130は、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサ110によって決定された情報、ユーザインターフェイス120を介して受信した情報、及び/又はシステム10を適切に機能させる他の情報を記憶することができる。例えば、記憶装置130は、提供された呼吸療法に関連する情報、及び/又は他の情報を記録又は記憶してもよい。記憶装置130は、システム10内の別個の構成要素であってもよく、又はシステム10の1つ又は複数の他の構成要素(例えば、プロセッサ110)と一体的に設けられる。
【0026】
図1のシステム10のプロセッサ110は、情報処理及び制御機能をシステム10に提供するように構成される。このために、プロセッサ110は、デジタルプロセッサ、マイクロコントローラ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、状態マシン、及び/又は情報を電気的に処理するための他の機構の1つ又は複数を含む。プロセッサ110が、
図1に単一のエンティティとして示されているが、これは、単に例示目的のためである。いくつかの実装態様では、プロセッサ110は、複数の処理装置を含む。
【0027】
図1に示されるように、プロセッサ110は、1つ又は複数のコンピュータプログラム・コンポーネントを実行するように構成される。1つ又は複数のコンピュータプログラム・コンポーネントは、治療コンポーネント111、呼吸パラメータ・コンポーネント112、統計コンポーネント113、非同期コンポーネント114、制御コンポーネント115、及び/又は他の構成要素の1つ又は複数を含む。プロセッサ110は、ソフトウェア;ハードウェア;ファームウェア;ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアの何らかの組合せ;及び/又はプロセッサ110上で処理能力を構成するための他の機構によってコンポーネント111、112、113、114、及び/又は115を実行するように構成される。
【0028】
コンポーネント111〜115が、単一の処理装置内の同じ場所に配置されているように
図1に示されているが、プロセッサ110が複数の処理装置を含む実装形態では、コンポーネント111〜115の1つ又は複数は、他のコンポーネントから離れて配置してもよいことを理解すべきである。以下に説明する様々なコンポーネント111〜115によって提供される機能の説明は、例示の目的のためであり、限定することを意図しておらずコンポーネント111〜115のいずれかは、説明されるよりも多くの又は少ない機能を提供してもよい。例えば、コンポーネント111〜115の1つ又は複数を除去してもよく、その機能の一部又は全ては、コンポーネント111〜115の他のものによって提供してもよい。プロセッサ110は、コンポーネント111〜115のいずれかに帰属する以下の機能の一部又は全てを行い得る1つ又は複数の追加のコンポーネントを実行するように構成してもよいことに注意されたい。いくつかの実施形態では、コンポーネント111〜115の動作は、連続的に、変動する間隔で、及び/又は一定の間隔で行ってもよい。例えば、新たな出力信号がセンサ142によって生成される場合に、システム10は、生成された出力信号に依存する、パラメータ、変動、相関の対応する値、及び/又は他の値を再評価、及び/又は再決定することができる。
【0029】
治療コンポーネント111は、被験者106の治療レジメンを取得及び/又は決定するように構成される。例えば、治療レジメンは、介護者及び/又は医療専門家から取得することができる。いくつかの実施形態では、治療レジメンは、被験者106の病歴、医学的症状、及び/又は医学的状態に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、治療レジメンは、システム10、及び/又は人工呼吸器140の1つ又は複数の設定に対応する。
【0030】
図1のシステム10の呼吸パラメータ・コンポーネント112は、1つ又は複数のセンサ142によって生成された出力信号から1つ又は複数のガスパラメータ、呼吸パラメータ、医学的パラメータ、環境パラメータ、及び/又は他のパラメータを決定するように構成される。呼吸パラメータ・コンポーネント112による決定は、1つ又は複数の以前の呼吸との類似性、及び/又は他の方法に基づいて、呼吸相、呼吸サイクル毎に、2つ以上の呼吸の間に行うことができる。
【0031】
呼吸パラメータは、(ピーク)流量、流速、リーク流れ、リーク補正量、呼気中の(推定)流量制限、残留量、呼吸毎の最大吸気流量、(一回)換気量、1分当たりの(一回)換気量、吸入及び/又は呼気圧力、吸気の最初の0.1秒の間の圧力変化、呼気の最後の0.1秒の間の流量変化、(推定)気道抵抗、(推定)気道コンプライアンス、ガス温度、ガス湿度、ガス速度、ガス加速度、ガス組成(例えば、CO
2等の1つ又は複数の成分濃度(複数可))、放散熱エネルギー、(意図的な)ガスリーク、及び/又は呼吸可能ガスの(加圧)流に関連する他の測定値の1つ又は複数を含む、及び/又はこれらに関連付けることができる。
【0032】
1つ又は複数の呼吸パラメータは、呼吸可能ガスの加圧流の測定値を伝達するガスパラメータ及び/又は他の出力信号から導出することができる。1つ又は複数の呼吸パラメータは、呼吸数、呼吸長さ又は期間、吸入時間又は期間、呼気時間又は期間、呼吸流曲線形状、吸気から呼気への及び/又はその逆の移行時間、ピーク吸気流量からピーク呼気流量への及び/又はその逆の移行時間、呼吸圧力曲線形状、(呼吸サイクル及び/又は呼吸相当たりの)最大近位圧力降下、及び/又は複数の呼吸パラメータの比率及び/又は他の組合せを含む他の呼吸パラメータのうちの1つ又は複数を含んでもよい。例えば、呼吸パラメータは、呼吸長さで割った呼吸の吸気時間を含んでもよい。この機能の一部又は全部は、プロセッサ110の他のコンピュータプログラム・コンポーネントに組み込む、共有する、及び/又は統合することができる。
【0033】
呼吸パラメータは、吸入と呼気との間の呼吸における移行等の、被験者106の呼吸に関連するタイミングパラメータを含むことができる。タイミングパラメータは、呼気相から吸入相及び/又はその逆を分離する過渡的な時期、呼吸期間、呼吸数、吸入時間又は期間、呼気時間又は期間、吸入相の開始及び/又は終了、呼気相の開始及び/又は終了、及び/又は他の呼吸のタイミングパラメータを含むことができる。
【0034】
環境パラメータは、システム10の近く又は被験者106の近くの環境条件に関連する、電磁放射、各種温度、湿度レベルのパラメータ、及び/又は他の環境パラメータの1つ又は複数に関連してもよい。1つ又は複数の医学的パラメータは、被験者106の監視されるバイタルサイン、被験者106の生理学的パラメータ、及び/又は被験者106他の医学的パラメータに関連してもよい。この機能の一部又は全部は、プロセッサ110の他のコンピュータプログラム・コンポーネントに組み込まれる、又は統合することができる。
【0035】
統計コンポーネント113は、1つ又は複数の呼吸パラメータの変動、相関、及び/又は類似性を決定するように構成される。統計コンポーネント113は、数値のセットに関して統計的演算をサポートするように構成することができる。いくつかの実施形態では、統計コンポーネント113は、呼吸長さのばらつき(変動)、呼気時間のばらつき、吸気時間のばらつき、一回換気量のばらつき、ピーク流量のばらつき、リーク流量のばらつき、及び/又は他のタイプのばらつきの1つ又は複数を決定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、ばらつきは、呼吸サイクルの数、所定の持続期間(例えば、30、45、60、90秒及び/又は別の適切な持続期間)の標準偏差、及び/又はその変形形態及び/又はそれらの組合せに基づいてもよい。例えば、ばらつきは、45秒のウィンドウに基づいて決定してもよく、ばらつきを決定するときに、そのウィンドウで測定された最大値及び最小値を除外してもよい。
【0036】
いくつかの実施形態では、統計コンポーネント113は、現在の呼吸パラメータ(非限定的な例として、呼吸持続期間、吸気持続期間、呼気持続期間、一回換気量、ピーク流量、リーク流等)と、特定の呼吸数、特定の持続期間、及び/又はこれらの1つ又は複数の組合せに及ぶ1つ又は複数の以前に決定されたパラメータとの類似性を決定するように構成することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、統計コンポーネント113は、特定の呼吸数、特定の持続時間、及び/又はこれらの1つ又は複数の組合せに及ぶ呼吸パラメータの集計値(例えば平均値)を決定するように構成することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、統計コンポーネント113は、呼吸プロファイルの相関を決定するように構成することができる。呼吸プロファイルの相関関係は、流量相関と圧力相関との組合せ(例えば、数値的な組合せ)に基づいてもよい。例えば、流量の相関を決定するために、(個々の呼吸サイクルの間の)現在の流量を、以前の10個の流量、又はそれ(例えば、10個の対応する呼吸サイクル)に基づく平均値と比較してもよい。例えば、圧力相関を決定するために、現在の吸気圧を、以前の10個の呼吸サイクルの平均吸気圧と比較してもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、統計コンポーネント113は、呼吸プロファイルの一貫性を決定するように構成することができる。呼吸プロファイルの一貫性は、流れの一貫性と圧力の一貫性との組合せ(例えば、数値的な組合せ)に基づいてもよい。例えば、流れの一貫性を決定するために、(個々の呼吸サイクルの間の)現在の流量を、以前の10個の流量と、又はそれに基づいた(例えば、10個の対応する呼吸サイクルについて、平均値と現在値との間の平均絶対誤差に基づいて)平均値と比較してもよい。
【0040】
非同期コンポーネント114は、被験者106と人工呼吸器140との間の非同期を決定するように構成される。非同期コンポーネント114による決定は、他のコンピュータプログラム・コンポーネントによる決定、及び/又は呼吸パラメータ、呼吸プロファイルの相関、呼吸プロファイルの一貫性、及び/又は他の測定値、決定、及び/又は推定の1つ又は複数の変動を含むがこれらに限定されない、1つ又は複数のセンサ142によって生成された出力信号に基づいてもよい。本明細書で使用する場合に、用語「推定」は、近似を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、非同期コンポーネント114による決定は、「r値」(及び/又は、r
2を含むがこれに限定されない値)についての1つ又は複数のしきい値に基づいてもよい。いくつかの実施形態では、非同期は、例えば同期レベル及び/又はパーセンテージ等の数値として表すことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、非同期は、非限定的な例として、気道抵抗、呼気時間の変動、リーク量、呼吸プロファイルの相関、及び/又は他のパラメータの1つ又は複数を含み得る非同期モデルを使用してモデル化することができる。
【0043】
制御コンポーネント115は、例えば治療レジメンに従ってシステム10の動作、システム10、及び/又は人工呼吸器140(又は、その構成要素)を制御するように構成される。制御コンポーネント115による制御は、他のコンピュータプログラムのコンポーネントによる決定、及び/又は非同期コンポーネント114による決定を含むがこれらに限定されない、1つ又は複数のセンサ142によって生成された出力信号に基づいてもよい。
【0044】
制御コンポーネント115は、呼吸可能ガスの加圧流の1つ又は複数のガスパラメータが、呼吸療法のレジメンに従って経時的に変化するように人工呼吸器140を制御するように構成することができる。制御コンポーネント115は、呼吸可能ガスの加圧流を、吸入相の間の吸入圧力レベルで及び呼気相の間の呼気圧力レベルで提供するように人工呼吸器140を制御するように構成することができる。本明細書に記載された1つ又は複数のコンポーネントにより決定される及び/又はセンサ142を介して受信されるパラメータは、制御コンポーネント115によって、例えばフィードバック方式で使用され、システム10及び/又は人工呼吸器140の1つ又は複数の治療モード/設定/動作を調整する。
【0045】
代替的に、及び/又は同時に、ユーザインターフェイス120を介して受信された信号及び/又は情報は、制御コンポーネント115によって、例えばフィードバック方式で使用され、システム10の1つ又は複数の治療モード/設定/動作を調整する。制御コンポーネント115は、複数の呼吸サイクルに亘った被験者の呼吸サイクル、及び/又は検出された出来事やタイミング・コンポーネント112による決定に対する他の関係の過渡的な時期に対するその動作の時間を計るように構成してもよい。
【0046】
図2は、被験者と人工呼吸器との間の非同期を非侵襲的に検出するための方法200を示す。以下に示す方法200の動作は、例示することを意図している。いくつかの実施形態では、方法200は、記載されていない1つ又は複数の追加の動作を用いて、及び/又は議論された動作の1つ又は複数を用いないで、達成される。さらに、
図2に示され且つ以下に説明する方法200の動作の順序は、限定することを意図するものではない。
【0047】
いくつかの実施形態では、方法200は、1つ又は複数の処理装置(例えば、デジタルプロセッサ、マイクロコントローラ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路、情報を処理するように設計されたアナログ回路、状態マシン、及び/又は情報を電子的に処理するための他の機構)で実施される。1つ又は複数の処理装置は、電子記憶媒体に電子的に記憶された命令に応答して、方法200の動作の一部又は全部を実行させる1つ又は複数の装置を含むことができる。1つ又は複数の処理装置は、方法200の1つ又は複数の動作を実行するように特に設計されたハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって構成された1つ又は複数の装置を含むことができる。
【0048】
動作202では、複数の呼吸サイクルの間の被験者の1つ又は複数の呼吸パラメータに関連する情報を伝達する出力信号が、生成される。いくつかの実施形態では、動作202は、(
図1に示され、及び本明細書に記載される)センサ142と同じ又は同様の1つ又は複数のセンサによって行われる。
【0049】
動作204では、1つ又は複数の呼吸パラメータは、生成された出力信号に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、動作204は、(
図1に示され、及び本明細書に記載される)呼吸パラメータ・コンポーネント112と同じ又は同様の呼吸パラメータ・コンポーネントによって行われる。
【0050】
動作206では、1つ又は複数の決定された呼吸パラメータの複数の呼吸サイクルに亘った変動が決定される。いくつかの実施形態では、動作206は、(
図1に示され、及び本明細書に記載される)統計コンポーネント113と同じ又は同様の統計コンポーネントによって行われる。
【0051】
動作208では、被験者と人工呼吸器との間の非同期は、決定された変動に基づいて決定される。いくつかの実施形態では、動作208は、(
図1に示され、及び本明細書に記載される)非同期コンポーネント114と同じ又は同様の非同期コンポーネントによって行われる。
【0052】
請求項において、括弧内に配置された如何なる参照符号も特許請求の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。用語「備える、有する、含む(comprising)」、又は「含む、有する(including)」は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を排除するものではない。いくつかの手段を列挙する装置クレームにおいて、これらの手段のいくつかは、ハードウェアの同一のアイテムによって具現化することができる。ある要素に先行する単語「1つの(a, an)」は、複数のそのような要素の存在を除外するものではない。いくつかの手段を列挙した装置クレームにおいて、これらの手段のいくつかは、ハードウェアの同一のアイテムによって具現化することができる。特定の要素が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの要素を組み合わせて使用することができないことを示すものではない。
【0053】
本発明について、現在最も実用的且つ好ましい実施形態であると考えられるものに基づいて、例示する目的のために詳細に説明したが、そのような詳細は、その例示目的のためだけであり、本発明を開示された実施形態に限定するものではないことを理解すべきであり、逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲の精神及び範囲内にある修正及び等価な構成を網羅することを意図している。例えば、本発明は、可能な限り、任意の実施形態の1つ又は複数の特徴を他の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせることができることを企図していると理解すべきである。