(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1駆動デバイス(32)が、前記第1及び第2回転軸(28、44)を同期駆動させるために、動作接続によって前記第2回転軸(44)に連結されていることを特徴とする請求項2に記載の殺菌装置。
当該殺菌装置(10)が、前記第1カルーセル(20)と前記第2カルーセル(40)との回転移動を同期させるための同期手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の殺菌装置。
前記第1回転軸(28)が、前記殺菌デバイス(50)のための少なくとも1つのユーティリティを受けるための内部チャネル(30)を有する中空軸として構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の殺菌装置。
前記第1回転軸(28)のうち前記第2回転軸(44)を向く端部分に近接して配設された分配チャンバ(34)をさらに備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の殺菌装置。
少なくとも1つのユーティリティを前記殺菌デバイス(50)に分配するための分配デバイス(36)であって、前記分配チャンバ(34)内に配設されている、分配デバイスをさらに備えることを特徴とする請求項8または9に記載の殺菌装置。
少なくとも1つの第2殺菌デバイス(70)が、前記パッケージ容器(2)の外面を殺菌するために、前記第1カルーセル(20)と前記第2カルーセル(40)との間に配設されていることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の殺菌装置。
前記第2殺菌デバイス(70)が、前記第1回転軸(28)と前記第2回転軸(44)との間で少なくとも部分的に延在していることを特徴とする請求項14に記載の殺菌装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
同一のまたは対応する構成要素には、全ての図面において、同じ参照符号が付されている。技術的に可能である限り、さまざまな実施形態に関連して説明した特徴を組み合わせ得る。いくつかの横断面には、一点鎖線が設けられている。これは、横断面が機構を通って形成されているが機構内部を詳細には示していないことを示すためである。
【0012】
パッケージ容器を殺菌するための本発明にかかる殺菌装置は、複数の殺菌デバイスを支持するための第1カルーセルであって、殺菌デバイスが電子ビーム照射によってパッケージ容器内部を殺菌するように構成された、第1カルーセルと、パッケージ容器を移送するための移送システムであって、第1カルーセルと同軸の第2カルーセルを備える、移送システムと、を備える。第1カルーセルは、第1回転軸を備え、第2カルーセルは、第1回転軸から離間した第2回転軸を備える。一実施形態において、両軸は、共通回転軸を共有し得る。
【0013】
用語「カルーセル」は、例えばコンベアチェーンまたはプレート、ベルト、ホイールなど、任意のタイプの可動デバイスを含む。カルーセルの軌道に沿う移動は、純粋な回転移動であり得るが、これに限定されない。この移動は、同様に、並進移動または回転及び並進移動の組み合わせであり得る。
【0014】
用語「パッケージ容器」は、液体または固体の食品のための容器に限定されないが、利便性の目的のみで使用される。一般的に、殺菌させる必要がある容器は、この目的に適し、この用語の分類に入っており、限定されないが、医薬のための、医療デバイスのための、液体、半液体または固体の食品のための、生物由来物質または有機物を保管するための、容器を含む。
【0015】
用語「殺菌」は、本明細書において、殺菌される対象物の表面を殺菌すること、かつ/または、−対象物が内部部品を収容する場合には−上記内部部品を殺菌すること、を意味する。
【0016】
対象物の表面は、対象物の内面、内部及び対象物の外面または部品であり得る。パッケージ容器の内面は、食品、または一般的に容器内に充填される材料と接触する表面である。本発明によれば、複数の殺菌デバイスは、内面及び容器の内部を殺菌するように構成されている。さらなる実施形態において、殺菌デバイスは、同様に、容器の外面の一部を殺菌するように構成されている。
【0017】
本発明の基礎的な考えは、殺菌デバイス及びパッケージ容器それぞれのための別個のかつ/または分離したカルーセルを設けることである。第1カルーセルは、殺菌デバイスを支持することを意図しており、第2カルーセルは、好ましくは円状経路に沿ってパッケージ容器を移送するための移送システムの一部である。容器の内部殺菌は、円状経路に沿った容器の移送中に行う。第2カルーセルは、例えば、容器を直接保持する、または、好ましくは円状経路に沿って、チェーンまたはベルトコンベアのような容器コンベアを案内する。
【0018】
カルーセルそれぞれは、固定した態様で軸に接続された回転ホイールまたはプレートを備え得、それにより、ホイールまたはプレートと軸とは、共に回転する。第1回転軸は、第1カルーセルのホイールまたはプレートを回転させるための駆動軸であり得、第2回転軸は、好ましくは、第2カルーセルのホイールまたはプレートを回転させるための駆動軸である。
【0019】
別個の駆動軸を有する別個のカルーセルは、公知の単一の駆動軸を有する複合カルーセルと比較して、動作のより大きな柔軟性及び殺菌機械内で入手可能な空間のより良好な利用を可能とする。カルーセルが単一の共通駆動軸によって相互接続されていないので、カルーセルを互いに独立して動作させることが一般的に可能である。このような配置により、他方のプレートに対して一方のプレートを調整することが可能となる。さらに、カルーセル間に、特に第1及び第2回転軸間に、追加の自由空間が生じ、この自由空間は、機械の小型化を改善し得るかつ/または機械内の構成部材の配置を改善し得る。
【0020】
殺菌デバイスは、好ましくは、パッケージ容器の開口した頂部または底部を通して、殺菌されるパッケージ容器それぞれ内に少なくとも部分的に挿入されるように構成されている。一実施形態において、殺菌デバイスは、第1及び第2回転軸によって画成された共通回転軸回りで殺菌デバイス及びパッケージ容器を回転させている間に、ほぼ垂直移動に沿って容器内に挿入される。本発明によれば、好ましくは、第1カルーセルは、上側カルーセルであり、第2カルーセルは、下側カルーセルである。
【0021】
本発明の一実施形態において、殺菌装置は、第1カルーセルを回転させるための第1駆動デバイスを備える。第1駆動デバイスは、第1駆動軸(第1回転軸)を回転させるように構成されており、回転駆動体、より好ましくは電気モータであり得る。第1駆動デバイスは、特に殺菌デバイスのうち第2回転軸とは反対側において、不動フレーム素子に配設され得る。より好ましくは、駆動デバイスは、殺菌デバイスの上方にある平面に配設されている。
【0022】
一実施形態によれば、第1駆動デバイスは、第1及び第2カルーセルを駆動して回転させるように構成されている。このために、第1駆動デバイスは、第1及び第2回転軸と動作可能に接続されている。例えば、第1駆動デバイスは、第1及び第2軸とほぼ平行であるがこれら軸から離間して配設された第3軸を備え得る。上記軸は、連結手段によって、すなわちコンベアベルト、バンド、Vベルト、チェーン、歯車駆動体、曲がり歯傘歯車、スリーブまたはトーションクラッチなどによって、第1及び/または第2軸に連結され得る。
【0023】
いずれかの軸への動作接続は、同様に、第1カルーセルの回転または移動を第1カルーセルとまたはその逆で同期させるための同期デバイスを備え得る。
【0024】
本発明の別の形態において、殺菌機械は、第2カルーセルを回転させるための第2駆動デバイスを備える。第2駆動デバイスは、第2駆動軸(第2回転軸)を回転させるように構成されており、特に、回転駆動体、より好ましくは電気モータであり得る。第2駆動デバイスは、特にパッケージ容器のうち第1回転軸とは反対側において、不動フレーム素子に配設され得る。より好ましくは、モータは、パッケージ容器の搬送経路の下方にある平面に配設されている。本発明のこのような概念において、殺菌機械は、第1カルーセル及び第2カルーセルを駆動させるための別個の駆動デバイスを備え、第1駆動デバイスは、第1回転軸を回転させるように構成されており、第2駆動デバイスは、第2回転軸を回転させるように構成されている。
【0025】
一実施形態において、第2駆動デバイスは、第2カルーセルを独立して駆動させるように構成されている。すなわち、第2駆動デバイスは、第1駆動デバイスとは独立して動作され得、それにより、例えば、第1カルーセルが静止している一方で(殺菌デバイスを有する)第2カルーセルを回転させることが可能である。この実施形態の利点は、容器の移動に中断が生じた場合に、殺菌デバイスによるパッケージ容器の過熱を効果的に防止できることである。特に、一般的にかつ好ましくは連続的に動作されている殺菌デバイスの動作を停止させる必要がない。
【0026】
殺菌する目的で、すなわち、殺菌装置の通常動作中に、殺菌装置は、第1カルーセル及び第2カルーセルの回転移動を同期させるための同期デバイスを備え得る。同期デバイスは、第1及び第2カルーセルの速度を同期させ、相対的な固定位置を維持するように構成されており、それにより、パッケージ容器及び殺菌デバイスの長手方向軸を位置合わせする。すなわち、パッケージ容器それぞれの長手方向軸は、殺菌デバイスのうちの1つの長手方向軸と位置合わせされている。パッケージ容器及び殺菌デバイスは、好ましくは、これらそれぞれの長手方向軸を互いに位置合わせした状態で、殺菌経路に沿って移送される。殺菌経路は、少なくとも部分的に円状である。
【0027】
同期デバイスは、好ましくは、好ましくは制御ユニットを介してかつ/または操作者によって、スイッチを入り切りする、すなわち運転及び運転停止させるように構成されている。通常動作において、同期デバイスは、パッケージ容器の位置を殺菌デバイスの位置と位置合わせして維持するために使用され、制御ユニットによって制御され得、この制御ユニットは、位置を測定するためのセンサと、フィードバックループを用いてこのような位置合わせを達成する計算ユニットと、を備える。パッケージ容器を移送する移送システムに意図しない中断が生じた場合に同期を停止し得、それにより、同期デバイスは、移送システムの休止時間中、すなわちパッケージ容器の停止中であっても回転し続け得る。同期デバイスを制御するための制御ユニットは、好ましくは、殺菌デバイスが動作中に殺菌デバイスが停止されることを防止するように構成されている、すなわち、殺菌デバイスは、停止するか、回転し続ける。
【0028】
カルーセルの同期を中断する可能性を提供するために、好ましくは、−カルーセル−第1及び第2カルーセルの同期した移動ために、非恒久的なかつ/または強制的な同期、特に非恒久的なかつ/または固定した機械的接続がある。
【0029】
殺菌デバイスを独立して回転させることにより、同様に、殺菌機械を始動させる前に及び/または中断中に、殺菌デバイスを試験することが可能となる。このような試験は、例えば、パッケージ容器が移動していない間に殺菌デバイスに配列された不動センサデバイスに沿って殺菌デバイスを進めることによって、なされ得る。
【0030】
本発明の別の実施形態において、第1回転軸は、殺菌デバイスのための少なくとも1つのユーティリティ線を受けるための内部チャネルを有する中空軸として構成されており、分配チャンバは、第2回転軸を向く端部に配設されている。
【0031】
分配チャンバは、筐体と、ユーティリティ線のための少なくとも1つの出口開口部と、を備え得る。この実施形態によれば、殺菌デバイスを例えば電気システム及び/または冷却システム及び/またはデータ通信システムなどのユーティリティシステムに容易に接続することが可能になる。ユーティリティ線または供給線は、第1カルーセルの中央回転軸を通して、特に分配チャンバを介して、殺菌デバイスからユーティリティシステムまで経路付けられる。
【0032】
ユーティリティ線は、電流のための1以上のワイヤのような電気接続部または冷媒のための接続、すなわちパイプを備え得る。1以上のユーティリティ線は、軸の一端部にあるユーティリティシステムに、及び、殺菌デバイスに、連結されている。軸を通して経路付けられた複数の別個のユーティリティ線があり得、これら線それぞれは、複数の殺菌デバイスのうちの1つに割り当てられている。あるいは、共通ユーティリティ線、すなわち軸を通して経路付けられた冷媒のためのものがあり得る。このような共通ユーティリティ線は、分配チャンバで分かれ得、別個の殺菌デバイスに供給する。
【0033】
別の実施形態において、少なくとも1つのユーティリティを殺菌デバイスに分配するための分配デバイスは、分配チャンバ内に配設されている。分配デバイスは、軸からのユーティリティ線に接続され得る。分配チャンバは、好ましくは、分配チャンバを取り囲んでおり、それにより、分配チャンバは、殺菌チャンバから、または、電子が殺菌デバイスから出るかつ殺菌を行う領域から、分けられる。
【0034】
一実施形態において、分配チャンバは、殺菌領域に向けて、第1回転軸の内部チャネルを閉鎖して覆い、それにより、チャネルから殺菌領域に非殺菌要素(ゴミなど)が導入されることを基本的に防止する。分配デバイスは、特に、電気/電力及び/または冷却流体のようなユーティリティを殺菌デバイスそれぞれに分配するように構成され得る。同様に、データ通信は、殺菌デバイスと制御ユニットとの間でデータを伝送するために分配デバイスを利用し得る。
【0035】
特有の実施形態において、分配チャンバの筐体は、担持プレートの第1側において分配チャンバに取り囲まれている。それにより、第1回転軸のチャネル及び/または分配チャンバの内部は、担持プレートの第1側において殺菌領域に直接接続されていない。
【0036】
本発明のさらに別の実施形態において、分配デバイスは、自在軸受を有する。自在軸受は、分配デバイスの2つの構成要素間にある回転接続部を備えており、ユーティリティシステムからのユーティリティ線のための少なくとも1つの入力接続部と、殺菌デバイスそれぞれへのユーティリティ線のための1以上の出力接続部と、を有する。自在軸受は、出力接続部に対する入力接続部の回転移動を可能とする。したがって、第1回転軸のチャネルを通して経路付けられた少なくとも1つのユーティリティ線は、不動であり得る一方で、殺菌デバイスへのユーティリティ線は、回転し得る。
【0037】
本発明の別の実施形態において、第1カルーセルは、回転担持プレートを備え、この回転担持プレートは、殺菌デバイスを担持する。一実施形態において、殺菌デバイスは、第2カルーセルを向く第1側において担持プレートに取り付けられ得る。
【0038】
あるいは、分配チャンバは、第2カルーセルを向く担持プレートの第1側に配設されており、殺菌デバイスは、担持プレートの第2側に少なくとも部分的に配設されている。例えば、殺菌デバイスそれぞれの第1部分は、第1側に配設され得、第2部分は、第1側とは反対側の担持プレートの第2側に配設される。この配置により、担持プレートは、分配チャンバを殺菌デバイスの一部から分離し、そうでなければ分配チャンバによって占められるデバイスのための追加の空間を使用することが可能となる。
【0039】
したがって、担持プレートのうち非殺菌領域とみなされる第2側は、殺菌デバイスのためのユーティリティ線を受ける。上述した特有の実施形態において、殺菌デバイスは、好ましくは、担持プレートに取り付けられており、それにより、殺菌デバイスは、担持プレートを通って延在し、電子出口窓は、担持プレートの第1側に配設され、殺菌デバイスの給電デバイス、特に高圧給電デバイスは、第2側に配設される。ユーティリティ線に接続するための接続インタフェースは、好ましくは、担持プレートの第2側に配設されている。殺菌デバイスの接続インタフェースは、例えば、電気インタフェース及び/または冷却流体のためのインタフェースを有し得る。
【0040】
別の実施形態において、分配チャンバは、カップ状であるかつ/または円錐状を有する。分配チャンバの小径部分は、好ましくは、第2カルーセルを向き、分配チャンバの大径部分は、好ましくは、第1カルーセル、特に担持プレートを向く。分配チャンバの大径部分は、好ましくは、第1回転軸の外径よりも大きい直径を有する。
【0041】
担持プレートには、好ましくは、分配チャンバの内部と担持プレートの第2側との間の接続を形成する1以上の貫通孔が設けられている。少なくとも1つの貫通孔は、好ましくは、第1回転軸の外周と担持プレートに接触する分配チャンバ筐体の内周との間にある担持プレートの直径部分に位置する。あるいは、分配チャンバは、担持プレートの位置に位置合わせした位置において開口部または貫通孔を備え得る。この配置により、ユーティリティ線は、第1回転軸を通って担持プレートの第1側へ、そしてユーティリティ線を殺菌デバイスに接続し得る第2側に戻るように、容易に経路付けられ得る。
【0042】
分配チャンバには、特にX線に対する、放射線遮蔽体が設けられ得る。以下において、用語「X線」は、装置の動作中に発生した全ての種類の電磁波及び電磁放射線を含み、限定されないが電子衝突放射線を含む。分配チャンバの筐体は、例えば、鉛、タングステン、鋼鉄またはこれらの合金のような遮蔽材料から構成され得る。遮蔽体は、殺菌デバイスの動作中において、放射線からの分配素子のような分配チャンバ内に配設された構成要素の保護を提供する。また、放射線遮蔽体は、同様に、特に放射線遮蔽体が円錐状を有している場合に、給電デバイスの効果的な放射線保護を提供し得る。
【0043】
別の実施形態において、少なくとも1つの固定した第2殺菌デバイスは、特にパッケージ容器の外面を殺菌するために、第1カルーセルと第2カルーセルとの間に配設されている。第2殺菌デバイスは、特に、パッケージ容器の搬送経路に沿って配設されており、パッケージ容器の入口点または出口点に沿って、第2カルーセルにまたは第2カルーセルから延在する。1以上の実施形態において、2つの第2殺菌デバイスは、それらの電子出口窓が互いを向く状態で配設されている。それら電子出口窓は、互いから距離をあけて配設されており、それにより、パッケージ容器のための間隙は、電子出口窓間に形成される。それらの電子雲は、間隙を満たす均一な電子雲を形成する。パッケージ容器は、間隙内に移送され、それにより、容器の外面を殺菌する。1以上の実施形態において、1つのみの第2殺菌デバイスを設け、パッケージ容器は、外面全体の殺菌を得るために、電子出口窓を通過するときに容器自身の軸回りに回転される。第2殺菌デバイスは、不動であり得る。
【0044】
一実施形態において、少なくとも1つの第2殺菌デバイスは、内部殺菌と少なくとも部分的に重なって、パッケージ容器の外部殺菌を実行するように構成されている。これは、少なくとも1つの第2殺菌デバイスの領域であって対象物を殺菌する領域が、対象物を複数の第1殺菌デバイスによって殺菌する領域と少なくとも部分的に重なっていること、を意味する。したがって、第2殺菌デバイスは、第1カルーセルと第2カルーセルとの間で少なくとも部分的に延在し、同様に、第1回転軸と第2回転軸との間で少なくとも部分的に延在し得る。このような実施形態において、少なくとも1つの第2殺菌デバイスは、第1及び第2軸間の空間に少なくとも部分的に配設されている。
【0045】
内部及び外部を同時に殺菌することは、第2殺菌デバイスが第1殺菌デバイスの殺菌雲と少なくとも部分的に重なる殺菌電子雲を形成するように構成されているという点で、実現され得る。
【0046】
第2殺菌デバイスは、好ましくは、第1及び/または第2回転軸の回転軸に対して、例えば45°から90°の間、より詳しくは60°から80°の間など、傾斜した長手方向軸を有する。一実施形態では、回転軸をほぼ横切る。
【0047】
本発明の別の態様は、複数のパッケージ容器を殺菌するための方法に関し、この方法は、電子ビーム照射によってパッケージ容器の内部を殺菌するように構成された複数の殺菌デバイスを支持する第1カルーセルを回転させるステップと、第1カルーセルと同軸の第2カルーセルを備える移送システムを用いて、パッケージ容器を移送するステップと、を備え、第1カルーセルは、第1回転軸を備え、第2カルーセルは、第1回転軸と同軸である別個の第2回転軸を備え、第1カルーセルは、第1回転軸を回転させるために第1回転軸に接続された第1駆動デバイスを用いて、回転される。方法は、特に、本発明の殺菌機械において行われ得、それに関して述べた効果及び利点をもたらす。
【0048】
図2は、本発明の第1実施形態を示す。殺菌装置10は、上側支持素子16及び下側支持素子18を有するフレーム(図示略)を備える。第1カルーセル20は、図示した実施形態において上側カルーセルであり、上側支持素子16によって支持されている。第2カルーセル40は、下側カルーセルであり、下側支持素子18によって支持されている。上側カルーセル20及び下側カルーセル40は、垂直軸である共通回転軸4回りに回転可能である。
【0049】
第1カルーセル20は、回転担持プレート22を備えており、この回転担持プレートは、複数の第1殺菌デバイス50を支持しており、これら第1殺菌デバイスは、電子線照射によってパッケージ容器2の内部を殺菌するように構成されている。第1殺菌デバイス50は、好ましくは円形プレートである担持プレート22の外周部に配設されている。第1カルーセル20は、第1回転軸28をさらに備える。軸28は、固定した態様で、第1側において担持プレート22に接続されており、他側において軸の筐体を用いて支持素子16に連結されている。このため、第1回転軸28は、回転可能な態様で、上側支持素子16によって支持されている。
【0050】
第1回転軸28は、駆動シャフトとも称され得、回転する態様で、第1駆動デバイス32によって駆動される。第1駆動デバイス32は、歯を有する搬送バンド14によって軸28に連結されており、この搬送バンドは、軸28に取り付けられた歯付ホイールを掴む。したがって、担持プレート22は、第1駆動デバイス32の動作を介して回転され得る。第1駆動デバイス32は、フレームの上側支持素子16に備え付けられている。
【0051】
第2カルーセル40は、円状移送経路に沿ってパッケージ容器2を案内する及び/または移送するための回転ホイールまたはプレート42を備えており、それにより、容器それぞれは、容器を移送経路に沿って移送している間に殺菌デバイス50のうちの1つと位置合わせされ得る。ホイール42は、回転担持体または案内ホイール42であり得る。ホイールは、例えば、パッケージ容器2を直接保持し得る、または、この実施形態におけるように、パッケージ容器2を搬送する及び/または保持するコンベア12と係合し得る。
【0052】
第2回転軸44は、固定した態様で、ホイール42に接続されている。第2回転軸44は、第2駆動軸と称され得、回転する態様で、第2駆動デバイス46によって駆動される。第2駆動デバイスは、第1駆動デバイスと同様の態様で第2軸44に接続されている。したがって、第2駆動デバイスを駆動することによって、案内ホイール42を回転させ得る。第2駆動デバイス46は、フレームの下側支持素子18に備え付けられている。第2回転軸44は、下側支持素子18によって回転可能な態様で支持されている。
図2からわかり得るように、両駆動デバイスは、外側を向くようにプレートに各別に備え付けられている。
【0053】
この実施形態において、第1回転軸28及び第2回転軸44は、互いに同軸であり、共通回転軸4回りに回転する。担持プレート22は、第1回転軸28の下端部分に接続されており、ホイール42は、第2回転軸44の上端部分に接続されている。軸28、44は、間隙によって離間されている。軸28、44間の距離は、少なくともパッケージ容器2の高さ、好ましくはパッケージ容器2の高さの少なくとも2倍に相当する。第1カルーセル20及び第2カルーセル40は、駆動デバイス32及び46それぞれによって互いに独立して駆動され得る。
【0054】
殺菌装置10は、第1カルーセル20の回転移動を第2カルーセル40の回転移動にまたはその逆に同期させるための同期デバイス(図示略)をさらに備える。このような同期デバイスは、例えば、機械的同期デバイスであり得る。しかしながら、同期デバイスは、好ましくは、制御ユニットを備えており、この制御ユニットは、位置合わせにおける偏差を測定する。この測定は、例えば、殺菌素子及び容器の位置を直接的にまたは間接的に用いて、第1及び第2カルーセル間の位置を測定することによって、なされ得る。一例において、センサは、ホイール42及びプレート22にある連続的に測定する位置マーカであり、これら位置を規定位置と比較する。上記測定の結果として生じた偏差は、処理するために制御ユニットに送られる。あるいはまたはさらに、回転速度を測定し得る。
【0055】
制御ユニットは、1以上のフィードバックループを備え、偏差を比較して第1及び第2駆動デバイス32、46の動作を同期させる。動作中に、一のデバイスは、加速し得または減速し得、それにより、殺菌デバイス及び容器の位置が再び揃うまで、測定される偏差を減少させる。
【0056】
さらに、同期デバイスは、動作停止されるように構成されており、それにより、第1カルーセル20及び第2カルーセル40を互いに独立して駆動させることを可能とする。したがって、第1カルーセル20及び第2カルーセル40は、同期した態様で、または同期していない態様で、選択的に駆動され得る。特に、同様に、一方のカルーセルのみ、すなわち第1カルーセル20のみ及び/または第2カルーセル40のみ駆動させることができる。
【0057】
以下において、
図3を参照して第1殺菌デバイス50のうちの1つを説明する。第1殺菌デバイス50は、同じ態様でほぼ構成されており、それにより、以下の説明は、他の第1殺菌デバイス50にも適用される。第1殺菌デバイス50は、電子ビームを放出するための電子ビーム放射器52と、電子ビーム放射器52に高圧電力を供給するように構成された給電デバイス66と、を備える。電子ビーム放射器52は、密封真空チャンバ54と、電子ビームを発生させるために真空チャンバ54内に配設された電子ビーム発生器56と、真空チャンバ54の長手方向端部にある電子出口窓58と、を備える。
【0058】
真空チャンバ54は、細長い、特にほぼ筒状の形状を有する筐体60を有する。筐体60は、小横断面を有する第1筐体部分62と、大横断面を有する第2筐体部分64と、を備える。電子ビーム発生器56は、加熱可能フィラメント及び/またはカソードを備えており、第2筐体部分64内に配設されている。筒状の第1筐体部分62は、棒状として説明され得、電子ビーム発生器56と電子出口窓58との間に電子加速領域を形成するように構成されている。電子出口窓58は、第1筐体部分62の端面に位置する。第2筐体部分64は、給電デバイス66に接続するためのインタフェースを有する。電子ビーム放射器52の第2筐体部分64と給電デバイス66とは、互いに直接接続されており、第1回転軸28の周囲に分布されている。
【0059】
使用中において、フィラメントを加熱することによって電子ビームを発生させる。フィラメントを通して電流を供給すると、フィラメントの電気抵抗は、2000℃のオーダーの温度までフィラメントを加熱させる。この加熱により、フィラメントが電子を放出させられる。カソードとアノードを構成する電子出口窓58との間の電位差を用いて電子を電子出口窓に向けて加速させる。その後、電子は、電子出口窓58を通過し、ターゲット領域、すなわちこの場合においてパッケージ容器2の内側に向かい続ける。特に、電子は、エネルギー損失散乱効果に起因して出口窓58の周りに電子雲を発生させる。
【0060】
カソードと電子出口窓58との間の電位は、例えば、カソード及びフィラメントを給電デバイス66に接続することによって、及び、電子出口窓58を有する筐体60を接地することによって、形成される。フィラメントは、同様に、フィラメントを通して電流を供給するために給電デバイス66に接続される。カソードと電子出口窓58との間の電圧は、75kVから150kVのオーダーであり得る。
【0061】
担持プレート22は、回転軸4の周囲に等間隔で配列された複数の備付穴部を有する。電子ビーム放射器52は、備付穴部を通過し、それにより、出口窓58を有する第1筐体部分62は、担持プレート22の第1側23である下側に突出する。第2筐体部分64は、給電デバイス66と同様に、担持プレート22の第2側24である上側に配設されている。別の実施形態において、担持プレート22は、同様に、第2筐体部分64を受けるのに適した備付穴部を有し得、それにより、上側にある給電デバイス66をビーム放射器52から分離する。このような実施形態において、担持プレート22は、同様に、遮蔽材料を有しており、放射線が上側の上方の領域に放射されることを防止する。担持プレート22は、鋼鉄または別の適切な安定材料であり、動作中に発生する機械的力に耐える。
【0062】
殺菌サイクル中において、殺菌デバイス50の第1筐体部分62は、パッケージ容器2の内部を殺菌するために、パッケージ容器の開口部を通してパッケージ容器2内に挿入される。
【0063】
図1に示すように、昇降デバイス48(部分的にのみ示す)は、垂直方向に沿って第1殺菌デバイス50に向けて及び第1殺菌デバイスから離間するようにパッケージ容器2を移動させるように設けられている。殺菌デバイス50は、パッケージ容器2が案内ホイール42と共に移動している間、パッケージ容器2内に挿入される。案内ホイール42は、担持ホイール22と同期して回転する。パッケージ容器2それぞれは、第1殺菌デバイス50と共に同期して移動され、それにより、第1殺菌デバイス50の長手方向軸をパッケージ容器2の長手方向軸と位置合わせしたままとする。
【0064】
容器2が垂直移動している間、容器2の内面は、容器2の遠端へ下までして殺菌される。放射電子は、エネルギー損失散乱効果に起因して電子雲を出口窓58の周りに発生させる。上記雲を通過してある期間にわたってそこにいる容器2の表面部分ごとに、殺菌する。したがって、電子ビーム放射器52は、容器2の内部の内面だけではなく外面の一部、特に容器2の開口部近傍も殺菌し得る。
【0065】
容器の表面の一部が電子ビーム放射器52によって発生した電子雲内にあるままとしなければならない期間(殺菌時間)は、微生物物質すべてを排除するのに十分に高くなければならない。すなわち、容器のうち殺菌される部分それぞれは、十分に高い放射線量まで曝されなければならない。このような放射線量(及び対応する殺菌時間)は、とりわけ、電子ビーム放射器52とパッケージ容器2との間の移動速度、電子電圧、電子電流、ガス組成、容器内及び容器周囲での密度、ビーム放射器と容器との間の直径または距離、容器の形状、並びに、電子窓を通る電子の分布、に依存し得る。
【0066】
第1回転軸28は、軸に沿って長手方向に延在するチャネル30を有する中空軸として構成されている。第1回転軸28は、担持プレート22の第2側24、すなわちこの場合において上側に配置されている。給電デバイス66は、同様に、担持プレート22の第2側24、すなわち第1回転軸28と同じ側に配設されている。チャネル30は、担持プレート22の第1側23、すなわち下側と連通する。担持プレート22は、第1回転軸28と同軸の中央貫通孔を有する。
【0067】
分配チャンバ34は、第1回転軸28の長手方向端部において、特に第1回転軸28の下で、担持プレート22の第1側23に配設されている。分配チャンバ34は、ほぼカップ状の筐体を備えており、この筐体は、好ましくは、担持プレート22の第1側23においてチャネル30を完全に閉鎖する。すなわち、チャネル30と担持プレート22の第1側23に延在する殺菌領域との間には、接続がない。分配チャンバ34は、チャネル30に向かう第1開口部と、特に第1回転軸28の径方向外側の領域において担持プレート22の第2側24に向かう少なくとも1つの第2開口部と、を有する。担持プレート22は、第1回転軸28を囲む領域において複数の貫通孔26を有しており、それにより、分配チャンバ34の内部と担持プレート22の第2側24との間に経路を設ける。分配チャンバ34は、チャネル30から第1側23を通して担持プレート22の第2側24まで経路を設け、第1側23に沿う経路は、好ましくは、分配チャンバ34の筐体によって完全に閉鎖されている。
【0068】
分配チャンバ34は、第1殺菌デバイス50への電気及び/または冷却流体のような少なくとも1つのユーティリティを分配するための分配デバイス36を収容する。分配デバイス36は、少なくとも1つのユーティリティを非回転ユーティリティ線から回転している殺菌デバイス50に分配するために、自在軸受を備える。ユーティリティ、特に電気を分配することは、同様に、少なくとも1つのスリップリングを用いて実現され得る。特に、分配デバイス36を保護するために、分配チャンバ34の筐体には、電子ビーム放射器52によって発生したX線に対する、放射線遮蔽体35が設けられ得る。放射線遮蔽体35は、例えば鉛、タングステンまたはこれらの合金のような材料を用いるなど、一般的に公知の態様でなされる。
【0069】
第1殺菌デバイス50は、連続的に動作される、すなわち、電子放射は、殺菌サイクル間で停止されない、すなわち、電子放射は、同じ殺菌デバイス50によって殺菌されている2つのパッケージ容器2間でも、動作し続ける。本発明の好ましい実施形態において、殺菌機械は、安全ユニットを備えており、この安全ユニットは、第1殺菌デバイス50を動作させ続けているならば、第2カルーセル49が静止状態にあっても、第1殺菌デバイス50と共に第1カルーセル20を回転させ続ける。すなわち、安全デバイスは、第1殺菌デバイスが動作している間に第1カルーセル20が静止することを防止し、それにより、パッケージ容器2の過熱を防止する。
【0070】
図1に示すように、殺菌装置10は、複数の回転する第1殺菌デバイス50に加えて、少なくとも1つの第2の不動殺菌デバイス70を備える。第1殺菌デバイス50は、主として、内部殺菌のために使用され、少なくとも1つの第2殺菌デバイス70は、パッケージ容器2の部分的外部殺菌のために使用される。第2殺菌デバイス70は、好ましくは、パッケージ容器2の外部及び内部の殺菌を同時に行う場合に重なっている殺菌領域が設けられるように配設されている。殺菌デバイス70は、それぞれが矩形状出口窓を有する2つのビーム放射器を備える。第2殺菌デバイス70は、パッケージ容器2の搬送経路に沿って配設されている。両放射器の出口窓は、互いに向き合っており、パッケージ容器は、出口窓間の領域を通過している。不動殺菌デバイス70の両放射器は、平坦面に対して若干傾けられており、または、傾斜されており、これは、これら出口窓が互いに平行ではなく垂直面から傾けられていることを意味する。さらに、第2殺菌デバイスの長手方向軸は、容器2の長手方向軸を横切らない。その結果、第2殺菌デバイス70の放射器の長手方向軸は、回転軸4または容器2の長手方向軸に向けて約45°から約90°、好ましくは60°から80°の間の角度を有し得る。その結果、容器が殺菌デバイス70の放射器によって対象とされた領域に入ると、容器2の開口部に近接する外面をまず殺菌する。外面のうち容器2の遠端に近接する部分は、両放射器の領域を通過するときに殺菌される。
【0071】
この配置によって、容器2の内部及び内面をまず殺菌する。容器が第2殺菌デバイス70に入る領域において、第1殺菌デバイス及び第2殺菌デバイスのうちの一方によって、共通の電子雲及び無菌または殺菌領域を発生させる。
【0072】
本発明の殺菌装置10は、好ましくは、液体または部分液体食品をパッケージ容器2内に充填するための充填機械の上流側に配設されている。パッケージ容器2は、例えばベルトまたはチェーンを備えるコンベア12を用いて搬送される。殺菌機械10の出口において、パッケージ容器は、殺菌されており、充填する準備が整う。
【0073】
本発明にかかるデバイスは、充填機械の照射チャンバ内に配設され得る。充填機械は、内容物をパッケージ容器内に充填するための少なくとも1つの充填ステーションと、充填後に開口部を封止するための少なくとも1つのステーションと、を備える。本発明は、例えば本出願人によって出願された特許文献2で説明されているような殺菌デバイスに適用され得る。パッケージ容器の内部殺菌中に、パッケージ容器と放射器との間で相対移動を形成する。複数の放射器は、回転するように構成されたカルーセルなどに設けられている。パッケージ容器は、例えばコンベアを介して搬送されており、カルーセルに到達し、(回転している)放射器のうちの1つに取り付けられる。カルーセルが1回転のうちの少なくとも一部分をしている間、パッケージ容器の内部表面の殺菌を行う。そして、パッケージ容器を適切な放射器からまたはカルーセルからそれぞれ取り外し、充填して封止するために無菌チャンバ内に移送される。無菌チャンバの入口は、パッケージ容器の外面殺菌をするための放射器を有し得る。