【実施例】
【0141】
実施例1
100グラムの“2%Cap−HA形態2”局所配合物の調製
構成成分:
・2グラムのトランス−カプサイシン粉末、Aversion Technologies,Bowie,メリーランド州,USP 30
・0.15グラムのヒアルロン酸ナトリウム粉末、Making Cosmetics Inc.,Snoqualmie,ワシントン州
・0.35グラムのヒアルロン酸ナトリウム(SLMW)粉末、Making Cosmetics Inc.,Snoqualmie,ワシントン州
・20グラムのエチルアルコール、Graves Grain Alcohol,190 Proof
・10グラムのDGME(エトキシジグリコール)、Lotioncrafter Inc.,Eastsound,ワシントン州
・10グラムのプロピレングリコール、Lotioncrafter Inc.,Eastsound,ワシントン州
・2グラムの超精製ポリソルベート80、Croda Inc.Florham Park,ニュージャージー州
・5グラムのCremophor RH 20、BASF Corp,Florham Park,ニュージャージー州
・適量の蒸留水
【0142】
段階I−ヒアルロン酸溶液の調製
1.“風袋重量”の200ccのパイレックス(登録商標)ビーカーを調達し、0.15グラムのヒアルロン酸ナトリウム粉末および0.35グラムのヒアルロン酸ナトリウム(SLMW)粉末を加える。
2.段階1からの混合物に50グラムの冷却(約40°F)蒸留水を激しく撹拌しつつ徐々に加え、この混合物を、すべての粉末が溶解し、均一で光学的に明澄な混合物が得られるまで、時々撹拌しつつ約2時間にわたり放置する。
【0143】
段階II−カプサイシン溶液の調製
1.2グラムのトランス−カプサイシン粉末を140ccのパイレックスビーカーに加える。
2.20グラムのエチルアルコールを段階1のカプサイシン粉末に加え、ゆっくり撹拌する。
3.10グラムのDGME(エトキシジグリコール)を段階2の混合物に加え、ゆっくり撹拌する。
4.10グラムのプロピレングリコールを段階3の混合物に加え、ゆっくり撹拌する。
5.すべてのトランス−カプサイシン粉末が完全に溶解するまで、段階4からの溶液混合物を撹拌し、ホットプレート上で約40℃の温度に加熱する。
6.段階5からの溶液を放置して周囲温度まで冷却する。
【0144】
段階III−段階IおよびIIからの混合物をブレンドして、“2%Cap−HA形態2”配合物を生産する。
1.段階IIからの液体内容物を段階IのHA混合物に加え、十分に撹拌する。
2.5グラムのCremophor RH20を段階1からの混合物に加え、十分に撹拌する。
3.5グラムの超精製ポリソルベート80を段階2からの混合物に加え、十分に撹拌する。
4.段階4からの混合物を、撹拌しつつホットプレート上で約50℃に加熱する。
5.段階4からの混合物を周囲温度まで冷却する。
6.ここで、段階8からの混合物は、続いて包装できる状態になっている。
【0145】
100グラムの“2%Cap−HA”局所配合物の追加的な調製方法
構成成分
・トランス−カプサイシン粉末、CAS#404−86−4、Formosa Labs,Taoyuan,台湾
・ヒアルロン酸ナトリウム粉末(約1000kDa)、Making Cosmetics Inc.,Snoqualmie,ワシントン州
・ヒアルロン酸ナトリウム(SLMW)粉末、Making Cosmetics Inc.,Snoqualmie,ワシントン州
・エチルアルコール、Graves Grain Alcohol,190 Proof
・DGME(エトキシジグリコール)、Lotioncrafter Inc.,Eastsound,ワシントン州
・プロピレングリコール、Lotioncrafter Inc.,Eastsound,ワシントン州
・ポリソルベート80、Croda Inc.Florham Park,ニュージャージー州
・Cremophor RH20、BASF Corp,Florham Park,ニュージャージー州
・蒸留水
【0146】
段階I−ヒアルロン酸溶液の調製
1.“風袋重量”の500ccのパイレックスビーカーに1.95グラムのヒアルロン酸ナトリウム粉末(約1000kDa)および1.05グラムのヒアルロン酸ナトリウム(SLMW、約20kDa)粉末を加える。
2.段階1からのビーカーに、297グラムの約40°Fの蒸留水を、公称500rpmで公称5分間にわたり撹拌しつつ徐々に加える。この混合物を、すべての粉末が溶解し、均一で光学的に明澄な溶液が得られるまで、時々撹拌しつつ約2時間にわたり放置する。
【0147】
段階II−カプサイシン溶液の調製
1.“風袋重量”の140ccのパイレックスビーカーに2グラムのトランス−カプサイシン粉末を加える。
2.20グラムのエチルアルコールを段階1のカプサイシン粉末に加え、スパチュラを用いて約50rpmでゆっくり撹拌する。
3.10グラムのDGME(エトキシジグリコール)を段階2の混合物に加え、スパチュラを用いて約50rpmでゆっくり撹拌する。
4.10グラムのプロピレングリコールを段階3の混合物に加え、スパチュラを用いて約50rpmでゆっくり撹拌する。
5.7グラムの界面活性剤(ポリソルベート−80またはCremophor RH20など)を段階4の混合物に加え、スパチュラを用いて約50rpmでゆっくり撹拌する。
6.均一溶液が得られるまで、段階5からの溶液混合物を、ホットプレート上で約50℃の温度に加熱しつつ、スパチュラを用いて約50rpmで撹拌する。
7.段階6からの溶液を放置して周囲温度まで冷却する。
【0148】
段階III−段階IおよびIIからの混合物をブレンドして、“2%Cap−HA”配合物を生産する。
1.51グラムの段階IのHA混合物を、スパチュラを用いて約50rpmで撹拌しつつ、段階IIのカプサイシン溶液に徐々に加える。
2.均一溶液が得られるまで、段階1からの溶液混合物を、ホットプレート上で約50℃の温度に加熱しつつ、スパチュラを用いて約50rpmで撹拌する。
3.段階6からの溶液を放置して周囲温度まで冷却する。
4.ここで、段階3からの溶液は、続いて包装および使用できる状態になっている。
【0149】
実施例2
0.25%カプサイシン−HA配合物の局所施用
この試験では、59才の健常男性の右および左大腿部での灼熱感および皮膚刺激を記録することにより、4つの局所カプサイシン配合物の忍容性を評価した。配合物はローラーボールアプリケーターで施用した。
【0150】
【表6】
【0151】
配合物の施用
各配合物を、大腿部背面に位置する皮膚の25平方センチメートル(5×5cm)の範囲に施用した。各配合物を、右または左大腿部のいずれかに無作為に割り当てた。配合物の施用は、皮膚範囲上でローラーボールまたはアプリケーターを重複しないように蛇行して通過させ、これにより皮膚を湿らせ、溶液の薄膜を生じさせることを包含する。
【0152】
被験者は、投与前、投与の1分後、投与後20分および40分、ならびに2時間後に温水シャワーをかけた後に、忍容性を評価した。灼熱感は、Wong−Bakerフェイスを指針として用いて0〜10の数値評定尺度で定量化した。皮膚刺激は、標準的な0〜7の評定尺度の熱傷評定尺度(Burn Rating Scale)を用いて定量化した。
【0153】
被験者は、Wong−Bakerフェイススケールを指針として以下の0〜10の数値評定尺度を用いて、配合物を施用した各部位について灼熱痛を評定した:
【0154】
【化2】
【0155】
被験者は、以下の定義を用いて皮膚刺激を定量化した:
0=刺激の証拠なし
1=ほとんど知覚できない最小限の紅斑
2=容易に分かる明確な紅斑;最小限の浮腫または最小限の丘疹反応
3=紅斑および丘疹
4=明確な浮腫
5=紅斑、浮腫および丘疹
6=小胞性発疹
7=試験結果を超えて広がる強い反応
結果
配合物の施用前に、皮膚の試験部位に灼熱感または皮膚刺激の徴候はなかった。
【0156】
【表7】
【0157】
結論
0.15%M/A配合物はCapZaicinに匹敵する忍容性を示した。灼熱感の評点は、施用後1分および40分で同一であった;しかしながら、施用後20分では、0.15%M/A配合物は、評点した灼熱感が1単位高かった。皮膚刺激の評点は、施用後1分、20分および40分で同一であった;しかしながら、CapZaicinは施用後2時間での温水シャワー後に皮膚発赤を引き起こしたが、0.15%M/A配合物は皮膚刺激を引き起こさなかった。
【0158】
1%ヒアルロン酸を添加すると、エトキシジグリコールおよびプロピレングリコールを浸透増進剤として含有する0.25%カプサイシン水性配合物によって引き起こされる灼熱感および皮膚刺激は劇的に低減した。
実施例3
0.25%カプサイシン−HA配合物の局所施用
年齢が35〜55才で健常な成人男性2人および成人女性2人の群が、3.7mLのローラーボールアプリケーターから表6に示す4つの配合物の多重局所施用を行った。被験者らは、0.25重量%HA/カプサイシン配合物が灼熱感および紅斑の評定に関しもっとも忍容性が高いと述べた。被験者4人の灼熱感および紅斑の平均評定を表6にまとめる。
【0159】
【表8】
【0160】
実施例4
2%カプサイシン−HA配合物の局所施用
40才の健常女性が、前腕に、3.7mLのローラーボールアプリケーターを用いて、表3に示す2%トランス−カプサイシン配合物の多重局所施用を行った。灼熱感を0〜10の尺度で評定した。紅斑(発赤)を0〜10の尺度で評定した(0は紅斑なし)。紅斑(発赤)を0〜10の尺度で評定した。被験者は、2%Cap−HA形態2および2%Cap−HA形態3配合物の両方に関し、灼熱感も紅斑も経験しなかった。2%M/A配合物については、灼熱感および刺痛感の<3という記録を施用後60分の時間枠で経験した。3つの配合物の局所施用に関する被験者の意見の詳細を、以下の表にまとめる。
A)
2%Cap−HA形態2(表3の配合物3)−最初に、この施用部位は顕著な感受性を示さなかった。試験の全体にわたり刺激/紅斑なし。60分の時点より前に灼熱感または発赤はなかった。温水中での製品の洗浄に際し、わずかな痒み感および紅斑が生じ、読み取り時は両方とも1であった。これは、30分の洗い流し時間内にすぐにゼロに達した。
B)
2%Cap−HA形態3(表3の配合物3)−最初に、この施用部位は顕著な感受性を示さなかった。時間枠の全体にわたり刺激/紅斑なし。18時間後にシャワーをかけた際、該当範囲の心地よい温度上昇として記載することができるものがあったことに、留意することが重要である。この温度上昇はシャワー後30分以内に消散した。
C)
(1)2%MA−最初に、この施用部位は、ほとんど目立たない、痒み感として記載される感受性を示した。最初の施用に際し軽度の刺激/紅斑がみられた。灼熱感は、10分の点で2.5まで上昇した。灼熱感は、軽度の痒みまで漸進的に消散していった。灼熱感は、温水に暴露するとすぐに3まで上昇し、その後10分間はこのレベルのままであった。その後、洗い流した後40分の間に痛みは漸進的に0まで低下した。翌日シャワーをかけるまで、顕著な紅斑または痛みはなかった。このとき、薄い紅斑および3と特徴付けられる軽度の灼熱感がみられた。この痛みは30分以内に消散した。
注釈:
(1)組成:カプサイシン、2重量%;サリチル酸メチル、50重量%;メントール、15重量%;ショウノウ、11重量%;エチルアルコール、19.5重量%;フェノール 1.35重量%;水、1.15重量%。
【0161】
【表9】
【0162】
【表10】
【0163】
実施例5
2%カプサイシン−HA配合物の局所施用
50才の健常男性が、ローラーボールアプリケーターにより3つの2重量%トランス−カプサイシン配合物の単回局所施用を行った。灼熱感および紅斑の評定を表9にまとめる。HAを含有する配合物は両方とも、表9に示すように施用後60分の期間中に同様の灼熱感および紅斑の評定を有していた。被験者は、2重量%M/A配合物を、HA配合物よりわずかに灼熱感が強く刺激が強いと評定した。灼熱感および紅斑のレベルはすべて、被験者の意見では、局所使用に十分“忍容しうる”レベル内にあるとみなされた。
【0164】
【表11】
【0165】
実施例6
5%および10%カプサイシン配合物の局所施用
79才男性が5重量%および10重量%カプサイシン−HAの両方の評価に参加して、カプサイシンの灼熱および紅斑作用を評価した。灼熱作用を(0〜10)の尺度で評定し、同時に紅斑発赤も目測により(1〜5)の尺度で決定した。
【0166】
被験者の左腕裏側、肘関節の下20cmに位置する左腕の25cm
2(5cm×5cm)の皮膚範囲に最初の投与を達成するために、3.7mLのローラーボールボトルを用いて5重量%カプサイシン−HA配合物の施用を行った。25cm
2の施用範囲全体にローラーボールを数回通過させた。
【0167】
同様に、右腕表側、肘関節の上20cmに位置する、被験者の左腕の25cm
2(5cm×5cm)の皮膚範囲に最初の投与を達成するために、3.7mLのローラーボールボトルを用いて10重量%カプサイシン−HA配合物の施用を行った。25cm
2の施用範囲にローラーボールを数回通過させた。
【0168】
観察された灼熱感および紅斑の結果を、表10および11にまとめる。被験者は、灼熱感が20分の点で5重量%カプサイシンでレベル3、10重量%カプサイシン配合物でレベル2.5まで漸進的に上昇した後、60分後にゼロまで漸進的に低下すると述べた。被験者は、流体施用後に約5〜15分続くわずかな痒みについて述べた。
【0169】
どちらの場合も、5重量%および10重量%カプサイシン/HA配合物の灼熱感のレベルはともに、十分に忍容されるものであった。
【0170】
【表12】
【0171】
【表13】
【0172】
実施例7
5%および10%カプサイシン−HA配合物の局所施用
71才の健常女性が、実施例6に記載した方法と同様の方法で、5重量%カプサイシン−HA配合物を左前腕、10重量%カプサイシン−HA配合物を右前腕に、単回局所施用した。観察された灼熱感および紅斑の結果を、表12および13にまとめる。5重量%および10重量%カプサイシン/HA配合物の灼熱感のレベルはともに、十分に忍容されるものであった。
【0173】
【表14】
【0174】
【表15】
【0175】
実施例8
PS80を含む2%、5%および10%カプサイシン−HA配合物のラットへの局所施用
以下のカプサイシン−HA配合物を利用して、ラットでの小規模試験を行った:
【0176】
【表16】
【0177】
2%および5%カプサイシン配合物の30分間の単回投与は、ラットにおいて忍容された。10%カプサイシン配合物の30分間の単回投与は、ラットにおいて十分に忍容されなかった。
【0178】
実施例9
PS80を含む10%カプサイシン−HA配合物のヒトへの局所施用
53才の健常男性が、10%トランス−カプサイシンヒアルロン酸(HA)PS80溶液を120分間にわたり単回局所施用した後、洗い流した。この配合物は、PS80を界面活性剤として用いて配合した。配合物の組成を以下の表に示す。
【0179】
【表17】
【0180】
膝蓋骨の半分および膝蓋骨の真上の箇所の範囲にわたる右膝の15in
2(5インチ×3インチ)の皮膚範囲上に“テカテカするような(glistening)”大量の投与が達成されるように、10mgのローラーボールボトルを用いて配合物の施用を行った。施用範囲全体にローラーボールを数回通過させて、この配合物の大量投与を達成した。
【0181】
刺痛/灼熱感(S&B)および発赤(紅斑)の評定を、局所施用後の時間の関数として以下の表に示す。
【0182】
【表18】
【0183】
上の表において、0〜10のS&Bの尺度は“刺痛感および灼熱感”の表示であり、ゼロはS&Bがないことを表し、1はわずかなS&Bであり、5は忍容できない量のS&Bであり、10は想像しうる最悪の痛みである。同様に、0〜5の紅斑の尺度は視覚的に観察される発赤の量を表し、ゼロは発赤がなく、1は皮膚のわずかな発赤を示し、3は暗赤色を示し、5は紫色である。
【0184】
全般的に、被験者は、施用後最初の40分の間にわずかではあるが非常に忍容性が高い灼熱および刺痛感が漸進的に開始した後、120分の点までポイントは漸進的に低下し、この時点で非常にわずかなS&B感覚が依然として残っていることを観察した。より詳細には、1と評定されるわずかなS&B感覚がほんの2分後に感じられ、10分後には2の評定に上昇した。2.5(0〜10の尺度で)と評定された最大S&Bは、40分後に観察された。S&B感覚は、40分の点の前に緩慢かつ漸進的に上昇した。この2.5と評定された最大S&B感覚はピークにおいて完全に忍容可能であり、その後、40分の点を超えると漸次的に消散することが観察された。40分の点から、被験者は100分の点までS&B感覚の漸進的低下を観察し、100分にS&Bレベルは非常にわずかな0.5の評点(0〜10の尺度で)と観察された。この非常にわずかな0.5の評点は、記録した120分間の最後まで続いた。刺激のレベルはすべて、被験者の意見では、局所使用に十分“忍容しうる”レベル内にあるとみなされた。
【0185】
これに加えて、50cm
2の施用範囲全体の発赤(紅斑)および発赤の減少が、施用後の最初の120分間にわたり観察された。被験者は、5分後の0.5(1〜5の尺度で)の評定から、10分後の1.0の評定、20分後の1.5の評定の発赤を観察した。この1.5の発赤の評定が、観察された最大レベルであり、20分の点から40分の点まで継続した。発赤は40分の点の後に漸進的に減少し、100分後に0.5のS&Bの評定まで低下した。この評定0.5のわずかな発赤は、記録した120分間の最後でもなお観察された。発赤は均一で、斑点または矛盾する作用の他の形態は観察されなかった。発赤範囲は、施用範囲を超えて広がらなかった:配合物で直接処置した皮膚範囲だけが、それに関連する紅斑を有していた。配合物を施用した120分の間、皮膚の感受性がさらに高くなることはなかった。
実施例10
PS80を含む10%カプサイシン−HA配合物のヒトへの局所施用
41才の健常女性が、10%トランス−カプサイシンヒアルロン酸(HA)PS80溶液を120分間単回局所施用した後、洗い流した。この配合物の組成を以下の表に示す。
【0186】
【表19】
【0187】
右前腕内側の8in
2(4インチ×2インチ)の皮膚範囲の上に“テカテカするような”大量の初期投与が達成されるように、10mgのローラーボールボトルを用いて配合物の施用を行った。施用範囲全体にローラーボールを数回通過させて、この配合物の大量投与を達成した。
【0188】
刺痛/灼熱感(S&B)および発赤(紅斑)の評定を、局所施用後の時間の関数として以下の表に示す。
【0189】
【表20】
【0190】
上の表において、0〜10のS&Bの尺度は“灼熱感および刺痛感”の表示であり、ゼロはS&Bがないことを表し、1はわずかなS&Bであり、5は忍容できない量のS&Bであり、10は想像しうる最悪の痛みである。同様に、0〜5の紅斑の尺度は視覚的に観察される発赤の量を表し、ゼロは発赤がなく、1は皮膚のわずかな発赤を示し、3は暗赤色を示し、5は紫色である。
【0191】
1と評定されるわずかな刺痛感が5分後に感じられ、100分の点まで変わらずその状態が継続し、100分に刺痛感は漸進的に低下した。1(0〜10の尺度で)と評定された最大S&Bは、90分まで観察された。この1と評定されたS&Bは完全に忍容可能であることが観察された。100分の点から、被験者はS&B感覚の漸進的低下を観察した。非常にわずかな0.5のS&Bは、記録した120分間の最後まで続いた。刺激のレベルはすべて、被験者の意見では、局所使用に十分“忍容しうる”レベル内にあった。
【0192】
これに加えて、施用範囲全体の発赤(紅斑)および発赤の減少が、施用後の最初の120分間にわたり観察された。被験者は、5分後の1(1〜5の尺度で)の評定から、10分後の1.5の評定の発赤を観察し、この評定は90分の点を超えて継続した。発赤は100分の点の後に漸進的に減少し、継続期間中に0.5まで低下した。この評定0.5のわずかな発赤は、記録した120分間の最後でもなお観察された。発赤は均一で、斑点または矛盾する作用の他の形態は観察されなかった。発赤範囲は、施用範囲を超えて広がらなかった:配合物で直接処置した皮膚範囲だけが、それに関連する紅斑を有していた。
配合物を施用した120分の間、皮膚の感受性がさらに高くなることはなかった。
【0193】
実施例11
10%カプサイシン−HA配合物を用いた変形性関節症の4回分の1日用量での処置
重度の進行した変形性関節症を患う59才男性が、変形性関節症痛を緩和するために、10%カプサイシンヒアルロン酸配合物を、1日1回、4日間連続して用いた。用いた配合物は、10%w/wカプサイシンをヒアルロン酸(HA)と一緒に含有し、Cremaphore RH40を安定剤として利用するものであった(以下の表参照)。この男性は白人、肥満体で、退行性関節疾患(変形性関節症)を特に両側の膝に有し、内・外側半月板および関節軟骨の重度の退行変性が両側にあり、左側より右側の方が重度であった。当時、痛みは1日3回の50〜100mgのトラマドールで最低限に制御されており、部分的な緩和がもたらされ、痛みのレベルは痛みの尺度で約4まで低下しており、最大8〜9まで上昇する鋭い電撃痛を伴っていた。
【0194】
効力
被験者は、“私の悪化した膝(右)を10%配合物で1日1時間、4日間処置した後、痛みの緩和は痛みのレベル2まで改善し、より問題のある膝はより良くなり、ほとんど痛みのない膝になった。鋭い電撃痛も改善し、頻度はかなり少なくなり、瞬間的な重度の痛みのレベルは5にしか達しなかった。この改善は数週間続いた”と述べた。
【0195】
忍容性
被験者は、“処置施用中の刺痛/灼熱感はほんのわずかであり、大ざっぱに見積もって1未満であった。シャワー中に刺痛感/灼熱感は少しだけ上昇し、痛みの尺度で1以下であった。シャワー中、処置範囲をすすいだ際に軽度の管理しうる咳があったが、配合物は容易に、迅速に、そして完全に洗い流されるので、幸いにもこれは瞬間的に過ぎなかった。”と述べた。
【0196】
全体的評価
被験者は結果に非常に満足していた。
【0197】
【表21】
【0198】
実施例12
10%カプサイシン−HA配合物での変形性関節症の単回投与パルス治療
多数の関節に中程度〜重度の変形性関節症歴を有する(2008年に股関節置換手術に成功している)79才男性が、股関節および肩関節の両方の関節炎痛を緩和するために、10%カプサイシンHA配合物を数回用いた。用いた配合物は、10%w/wカプサイシンをヒアルロン酸(HA)と一緒に含有し、Cremaphore RH40を安定剤として利用するものであった(以下の表参照)。
【0199】
効力:
被験者は、変形性関節症の痛みを制御するために、上記配合物を左股関節部および右肩の両方に数回施用した。10%カプサイシンHA配合物を、“必要に”応じて、平均して2週間に1回と概算される基準で施用した。配合物を施用したときに、概して少なくとも1時間放置してから洗い流した。投与を連日繰り返すことはせず、その代わりに、単回投与を施用した後、次の投与の施用を痛みが再発するまで待った。このヒアルロン酸を含む10%カプサイシン配合物の単回投与を施用すると、肩関節の関節炎痛は約2週間にわたり完全に排除された。同様に、関節炎を患う股関節に施用すると痛みは約80%減少し、単回投与から約2週間の間、股関節に著しい痛みは戻ってこなかった。両方の関節における痛みの再発の平均時間は、約2週間であった。被験者は、各単回投与後にカプサイシンによって痛みが1〜2週間緩和する利便性に、非常に満足していた。
【0200】
忍容性:
被験者は、この配合物の施用は非常に忍容性が高いものであった(刺激がなかった)と述べた。被験者は、肩への施用のすべてに関し、肩関節への施用に際し灼熱および刺痛(S&B)刺激を観察しなかった。配合物を股関節に(鼠径部および臀部範囲を避けて)施用したときに、最大S&B感覚は0〜10の尺度で2の評定を超えることはなかった(ゼロはS&B感覚がないことを意味し、5は忍容できない痛みを示し、10は想像しうる最悪の痛みを表すと定義される)。紅斑(発赤)は、施用に際し肩関節には存在せず、配合物を股関節に施用したときに1.5の評定(0〜5の尺度で)が見積もられた(ゼロと定義される評定は発赤がないことを表し、3は暗赤色、5は紫色を表す)。S&B感覚および紅斑の両方に関し、被験者は配合物が非常に忍容性が高いことを見いだした。
【0201】
【表22】
【0202】
実施例13
カプサイシン−HA配合物含有鎮痛薬
分子量20Kダルトンのヒアルロン酸を70%および分子量100Kダルトンのヒアルロン酸を30%含有する混合物で構成される1重量%ヒアルロン酸水溶液を、20%エチルアルコールおよび10%プロピレングリコールに溶解した0.25重量%および2.0重量%のカプサイシンならびに15重量%および17重量%のCremophor
TM RH40をそれぞれ含有するアルコール混合物溶液に加えた。光学的に無色明澄で適度に粘性の溶液が形成した。ヒアルロン酸の分子量の相対的百分率を調整すると、混合物の粘性を変動させることができた。
【0203】
上記段落に記載した0.25重量%および2.0重量%のカプサイシン配合物(以下の表参照)の両方を、5mLのローラーボールバイアルを用いて80才の男性被験者の右前腕に施用した。施用した液体皮膜は数分で乾燥した。灼熱感および刺痛感による最小限の不快感がみられた。10重量%のサリチル酸メチルを含有する配合物は比較的無臭であることが顕著であった。
【0204】
【表23】
【0205】
実施例14
2つの(2%)カプサイシンHA配合物の局所施用後の忍容性および紅斑の比較:鎮痛薬の包含効果
この試験の目的は、カプサイシンヒアルロン酸(HA)配合物に局所鎮痛薬を包含させることによって局所施用後にもたらされる忍容性および紅斑を評価することであった。53才の男性が、2%カプサイシンHAの2つの別個の配合物(一方の配合物は局所鎮痛薬を含み、他方は含まない)を、単一の膝に近接して施用した。忍容性および紅斑の特性を単独および2つの配合物の比較で評価するために、局所施用後の灼熱感および刺痛感(S&B)を皮膚発赤と一緒に定量化した。2つの配合物の組成を、以下に配合物1(カプサイシンHA)および配合物2(カプサイシンHA+鎮痛薬)として示す。
【0206】
【表24】
【0207】
以下の配合物1は2%カプサイシンHA配合物である。以下の配合物2は、2%カプサイシンHA
のほかにいくつかの周知の天然鎮痛性化合物からなる。忍容性(S&B)は0〜10の尺度を用いて評価し、ゼロはS&Bがないことを表し、1はわずかなS&Bであり、5は忍容できない量のS&Bであり、10は想像しうる最悪の痛みである。同様に、同様に、0〜5の紅斑の尺度は皮膚上で視覚的に観察される発赤の量を表し、ゼロの評定は発赤がなく、1は皮膚のわずかな発赤を示し、3の評定は暗赤色を示し、5は紫色である。
【0208】
53才男性が、両配合物を同時に施用した。2つの配合物を近接して施用した後、120分間にわたり各配合物の施用に関する忍容性(S&B)および紅斑(発赤)の評定を行った。評定を以下のS&Bの表および発赤の表に示す。配合物2(2%カプサイシンHA+鎮痛薬)の忍容性は、どちらの測定でも忍容性の尺度の極度に低い限界にあるだけでなく、直接的な比較で配合物1(2%カプサイシンHA)よりさらに低かった。配合物1の場合、2.0の最大S&B評定および1.5の最大紅斑評定が、20分の時点までに観察された。評定は両方とも、90分の時点までにゼロに漸進的に低下した。配合物2の場合、1.5の最大S&B評定が30分の時点で観察された後、90分の時点までにゼロに漸進的に低下した。配合物2の紅斑の最大値は20分の時点までに0.5の評定で観察され、この評定は60分の時点までにゼロに低下した。
【0209】
【表25】
【0210】
【表26】
【0211】
2%カプサイシンを含有しているにもかかわらず、配合物は両方とも、刺痛および灼熱感(S&B)ならびに視覚的な発赤(紅斑)の両方に関し、非常に忍容性が高いことが観察された。さらに、2%カプサイシンHAに鎮痛薬を加えると(配合物2、カプサイシンHA+鎮痛薬)、2%カプサイシンHA(配合物1、カプサイシンHA)に比べ、S&B感覚および紅斑の両方の評定が低下した。
【0212】
実施例15
10%カプサイシン−HA配合物での背筋の単回投与処置
79才男性が、背筋が痙攣で動かなくなり強い痛みが生じたため、背部の痛みを緩和するために10%カプサイシンHA配合物を用いた。用いた配合物は、10%w/wカプサイシンをヒアルロン酸(HA)と一緒に含有し、Cremaphore RH40を安定剤として利用するものであった(以下の表参照)。
【0213】
効能:
今なお活動的な生活様式(および腰痛歴)を有する79才男性は、テニスボールを拾い上げる間に背部が“機能しなくなった”とき、テニスをしていた。彼はコート上で倒れ、動こうとすると、彼が0〜10の尺度(ゼロは痛みがなく、10は想像しうる最悪の痛みである)で8と評定する強い痛みが生じた。被験者は実質的に動かなくなり、テニスコート上に仰向けで横たわり、起き上がってベッドに移動するのに助けが必要であった。彼は、背部の中央および下部の筋肉が、背部の神経の異常により動かなくなったと報告した(医師は予め彼に説明していた)。以前にこの問題が起こったとき、回復までに数日間の床上安静が必要であった。ベッドに入るとすぐに、彼は妻に頼んで、10%カプサイシンおよびヒアルロン酸(Cremaphore RH40を含む)の配合物を、痙攣で筋肉が動かなくなった背部の12’’×12’’の範囲に施用してもらった。処置範囲の約90%は、中央に脊椎がある筋肉からなっていた。このヒアルロン酸を含む10%カプサイシン配合物の単回投与を施用すると、背部の痛みは施用後20分以内に排除された。彼の背筋は弛緩した。筋痙攣は消失し、彼は1時間にわたって痛むことなく正常な動きで動き回り始めた。2時間の終わりに、彼は正常だと感じ、外出してテニスゲームを再開した。HAを含むカプサイシン配合物は、これまでは数日間の床上安静および制限された活動によってのみ達成された緩和をもたらした。
【0214】
忍容性:
被験者は、この配合物の局所施用が非常に忍容性が高い(刺激がない)ことを観察した。彼は、背部への施用に際しほんのわずかな刺痛および灼熱(S&B)刺激を観察した。配合物を背部の比較的広い範囲に施用すると、彼は、施用後の最初の2〜3分にわたり温度上昇感覚が大きくなることを漸進的に感じた。被験者は、これは心地よい感覚であると述べた。彼は、刺痛および灼熱感(S&B)は、最大において、0〜10の尺度(ゼロはS&B感覚がないことを意味し、5は忍容できない痛みを示し、10は想像しうる最悪の痛みを表すと定義される)で2.5以下の評定であると観察した。紅斑(発赤)は、非常に均一に施用範囲全体にわたって存在し、最悪の状態において軽度の日焼けのように見えた。最悪の状態において、この紅斑は0〜5の尺度で1.5の評定と見積もられた:ゼロは紅斑が完全にないことを表し、1はわずかな発赤であり、3は暗赤色、5は紫色である。S&B感覚および紅斑の両方に関し、被験者は配合物が非常に忍容性が高いことを見いだした。
【0215】
【表27】
【0216】
実施例16
変形性関節症を患っている膝に対するポリソルベート80を含有する5%カプサイシン−HA配合物の忍容性
【0217】
【表28】
【0218】
70才男性が、ポリソルベート80を含有する5%カプサイシンHA配合物(組成を上記表に示す)を、変形性関節症を患っている両膝に施用した。その男性は、局所施用後32分間(試験期間)にわたり灼熱感および刺痛感または掻痒を感じなかった。
【0219】
本発明を代表的態様に関連して記載してきたが、当業者なら、本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更を加えることができ、その要素を同等物で置き換えることができることを理解するであろう。これに加えて、本発明の本質的範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本発明の教示に適合させるために、多くの修正を行うことができる。したがって、本発明は、本発明を実行することを企図した最善の方法として開示された特定の態様に限定されるわけではなく、本発明は、添付する特許請求の範囲内にあるすべての態様を包含するであろうことを意図している。
【0220】
本明細書中で引用するすべての文書および他の情報源は、その全体を本明細書で参考として援用する。