(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
本発明が関係する最新技術をもっと十分に説明するために、幾つかの特許、特許出願および文献が本明細書に引用されている。これら特許、特許出願および文献の各々の全開示内容は、参考として本明細書に援用される。
【0004】
イオノマーは、α−オレフィンとα,β−エチレン性不飽和カルボン酸との共重合残基を含む酸コポリマーである前駆体または親ポリマーのカルボン酸基を部分的にまたは完全に中和することにより、生成されるコポリマーである。射出成形プロセスによりイオノマーから作製される様々な物品は、我々の日常生活に用いられてきた。
【0005】
例えば、イオノマーを含有するカバーを有するゴルフボールは、射出成形により生産されている。米国特許第4,714,253号明細書;米国特許第5,439,227号明細書;米国特許第5,452,898号明細書;米国特許第5,553,852号明細書;米国特許第5,752,889号明細書;米国特許第5,782,703号明細書;米国特許第5,782,707号明細書;米国特許第5,803,833号明細書;米国特許第5,807,192号明細書;米国特許第6,179,732号明細書;米国特許第6,699,027号明細書;米国特許第7,005,098号明細書;米国特許第7,128,864号明細書;米国特許第7,201,672号明細書;並びに米国特許出願公開第2006/0043632号明細書;米国特許出願公開第2006/0273485号明細書;および米国特許出願公開第2007/0282069号明細書を参照されたい。
【0006】
イオノマーはまた、容器等の射出成形による中空品を生産するのに使用されてきた。米国特許第4,857,258号明細書;米国特許第4,937,035号明細書;米国特許第4,944,906号明細書;米国特許第5,094,921号明細書;米国特許第5,788,890号明細書;米国特許第6,207,761号明細書;および米国特許第6,866,158号明細書、米国特許公開第20020180083号明細書;米国特許公開第20020175136号明細書;および米国特許公開第20050129888号明細書、欧州特許第1816147号明細書および欧州特許第0855155号明細書、および国際公開第2004062881号パンフレット;国際公開第2008010597号パンフレット;および国際公開第2003045186号パンフレットを参照されたい。
【0007】
さらに、包装用フィルム、射出成形品、および他の最終用途へのイオノマーの使用は、当技術分野でよく知られている。通気性があり、酸素および/または水分を通過させ、弾性を呈し、またはフィルムが取り囲む材料を保護するように設計されているフィルムがある。例えば、米国特許第7,438,940号明細書および米国特許第7,635,509号明細書;並びに米国特許出願公開第2006/0094824号明細書および米国出願公開第2010/0272898号明細書を参照されたい。イオノマー系材料はまた、インフレーションや熱成形体を製作するにも使用され得る。例えば、米国特許出願公開第2011/0028622号明細書および米国特許出願公開第2009/0099313号明細書並びに米国特許第8,110,138号明細書を参照されたい。
【0008】
しかしながら、向上した光学特性を有するポリマーに対する必要性が依然として存在している。例えば、射出成形により生産される容器は、厚肉構造を有することが多い。イオノマーがこのような射出成形容器を形成するのに使用される場合、厚い壁によりその光学特性が損なわれることがある。殊に化粧品業界において、イオノマー組成物から作製され、向上した光学特性を有する容器およびフィルムを開発する必要性が存在する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の定義は、特定の事例において限定されない限り、本明細書を通して使用される用語に適用する。
【0012】
本明細書において使用される技術用語および科学用語は、当業者が通例理解する意味を有する。矛盾する場合、本明細書の定義を優先する。
【0013】
本明細書において使用される用語「有限量」は、零より大きい量を指す。
【0014】
本明細書で使用される用語「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」「含んでいる(including)」、「含有する」、「を特徴とする」「有する」、「有している」または任意の他のそれらの変形は、非排他的包含を指す。例えば、要素の一覧を含むプロセス、方法、物品、または器具は、必ずしもこれらの要素だけを限定するのではなく、明白に列挙されていない、或いはこのようなプロセス、方法、物品、または器具に固有な他の要素を含んでもよい。
【0015】
移行句「からなる」は、請求項において規定されていない要素、ステップ、または原料を除外し、それらに通常付随する不純物を除いて、列挙される以外の材料を請求項に含めない。句「からなる」が、前段の直後よりむしろ特許請求の範囲の本文に現れる場合、それは、その本文に示される要素だけを限定し、他の要素は、概して特許請求の範囲から除外されない。
【0016】
移行句「から本質的になる」は、特定の材料またはステップ、および特許請求される発明の基本的および新規の特徴を実質的に影響しないものに対して特許請求の範囲を限定する。請求項の「から本質的になっている」は、「からなる」形式で記載される閉鎖クレームと「含む(comprising)」形式で起草される完全開放クレームとの中立的立場をとる。本明細書に定義される任意の、このような添加剤に適切であるレベルでの任意選択の添加剤、および僅かな不純物は、用語「から本質的になっている」による組成物から除外されない。
【0017】
組成物、プロセス、構造体、または組成物、プロセス、または構造体の一部が、「含んでいる(comprising)」等の非制限用語を用いて本明細書に記載される場合、特に明記しない限り、その記載はまた、組成物、プロセス、構造体の要素、または組成物、プロセス、もしくは構造体の一部「から本質的になる」または「からなる」実施形態を含む。
【0018】
冠詞「a」および「an」並びに定冠詞「the」は、本明細書に記載される様々な組成物、プロセスまたは構造体の要素および成分と関連して採用される。これは、単に便宜上であり、組成物、プロセスまたは構造体の一般的な意味を付与するためである。このような記載は、要素または成分の「1つまたは少なくとも1つ」を包む。さらに、本明細書で使用される、単数の物品には、複数を除外することが特定の文脈から明らかでないならば、複数の要素または成分の記載も含まれる。
【0019】
用語「約」は、量、大きさ、配合、パラメーター、および他の分量および特徴が、厳密でなく、かつ厳密である必要はないが、近似および/またはより大きいもしくはより小さい、所望どおり、許容差、換算係数、端数処理、測定誤差等、および当業者に既知の他の因子であってよいことを意味する。一般に、量、大きさ、配合、パラメーターまたは他の分量もしくは特徴は、そのようであることを明確に述べているか否かを問わず、「約」または「近似」である。
【0020】
本明細書で使用する用語「または」は、包括的であり、つまり、句「AまたはB」は、「A、B、またはAとBの両方」を意味する。さらに具体的には、条件「AまたはB」は、以下のいずれか1つにより満たされる。Aが真であり(または存在する)かつBが偽である(または存在しない);Aが偽であり(または存在しない)かつBが真である(または存在する);或いはAとBの両方とも真である(または存在する)。排他的な「または」は、例えば「AかBのいずれか」および「AまたはBのうち一方」等の用語により、本明細において指定される。
【0021】
さらに、本明細書に記載される範囲は、特に明記されない限り、それらの終点を含む。さらに、量、濃度、または他の値もしくはパラメーターが、ある範囲、1つもしくは複数の好ましい範囲または好ましい上限値および好ましい下限値の一覧として示されている場合、これは、このような対が別々に開示されるかどうかにかかわらず、任意の上限範囲または好ましい値と、任意の下限範囲または好ましい値との対から形成される全ての範囲を具体的に開示するものとして理解されたい。本発明の範囲は、範囲を定義する際に列挙される特定の値に限定されない。
【0022】
材料、方法、または機械が、用語「当業者に既知」、「従来の」または同義語または同義の句を用いて本明細書に記載される場合、その用語は、本出願の出願時に従来型である材料、方法、および機械が、この記載に包含されることを意味する。目下のところ従来型ではないが、当技術業界において同様な目的上、好適であると認識されてくることになる材料、方法、および機械も包含される。
【0023】
特に明記しない限り、全ての百分率、部、比率、および量等は、重量により定められる。
【0024】
本明細書で使用する用語「コポリマー」は、2種以上のコモノマーの共重合から得られる共重合単位を含むポリマーを指す。これに関連して、コポリマーは、例えば「エチレンと15重量%のアクリル酸を含むコポリマー」または同様の記載等のように、その構成成分コモノマーまたはその構成成分コモノマーの量に関して本明細書において記載され得る。このような記載は、コモノマーを共重合単位と言及していない点;コポリマーに対する従来の命名法、例えばInternational Union of Pure and Applied Chemistry (IUPAC)命名法を含んでいない点;プロダクト・バイ・プロセス専門用語を使用していない点;または他の理由で非公式であるとみなされることもある。しかしながら、本明細書で使用する、その構成成分コモノマーに関するまたはその構成成分コモノマーの量に関するコポリマーの記載は、コポリマーが、特定のコモノマーの共重合単位を(特定される際は特定量で)含有することを意味する。このように限定された状況下で特に明記されない限り、コポリマーが、所与量で所与のコモノマーを含有する反応混合物ではないことが、結果して導かれる。
【0025】
用語「ジポリマー」は、2種のモノマーから本質的になるポリマーを指し、用語「ターポリマー」は、3種のモノマーから本質的になるポリマーを指す。
【0026】
本明細書で使用する用語「酸コポリマー」は、α−オレフィンと、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸と、任意選択でα,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル等の他の好適なコモノマーとの共重合単位を含むポリマーを指す。
【0027】
本明細書で使用する用語「(メタ)アクリル系」」は、単体または(メタ)アクリレート等の組み合わせの形態で、アクリル系またはメタクリル系、例えば、「アクリル酸もしくはメタクリル酸」または「アルキルアクリレートもしくはアルキルメタクリレート」を指す。
【0028】
本明細書で使用する用語「イオノマー」は、カルボン酸塩、例えば、カルボン酸アンモニウム、カルボン酸のアルカリ金属塩、カルボン酸のアルカリ土類金属塩、カルボン酸の遷移金属塩および/またはこのようなカルボン酸塩の組み合わせであるイオン基を含むポリマーを指す。このようなポリマーは、通例、本明細書に定義するように、例えば塩基との反応により、酸コポリマーである前駆体または親ポリマーのカルボン酸基を部分的にまたは完全に中和することにより生成される。本明細書で使用されるアルカリ金属イオノマーの一例は、亜鉛/ナトリウム混合イオノマー(または亜鉛/ナトリウムで中和した混合イオノマー)、例えば、共重合したメタクリル酸コポリマー単位のカルボン酸基の全てまたは一部が、カルボン酸亜鉛およびカルボン酸ナトリウムの形態であるエチレンとメタクリル酸とのコポリマーである。
【0029】
最終的に、本明細書に記載される方法および材料と同様または同等な方法および材料を本発明の実施または試験に使用できるが、好適な方法および材料が、本明細書に記載されている。さらに、本明細書における材料、方法、および例は、明記される場合を除いて、例証となるだけであり、限定されることを意図しない。
【0030】
エチレンの共重合単位と、3〜10個、好ましくは3〜8個の炭素原子を有する第一α,β−不飽和カルボン酸の共重合単位を約10〜約30wt%と、3〜10個、好ましくは3〜8個の炭素原子を有する第二α,β−不飽和カルボン酸の誘導体の共重合単位を約5〜約15wt%とを含むエチレン酸コポリマーが、本明細書において提供される。幾種かの好ましいエチレン酸コポリマーにおいて、共重合酸の量は、約15〜約25wt%、または約20〜24wt%、または約22wt%である。幾種かの好ましいエチレン酸コポリマーにおいて、共重合酸誘導体の量は、約8〜約12wt%、または約10wt%である。幾種かの好ましいエチレン酸コポリマーにおいて、共重合酸および酸誘導体の重量百分率の合計は、約20〜約45wt%である。共重合単位の重量百分率は、エチレン酸コポリマーの総重量を基準とし、共重合単位の重量百分率の合計は、100wt%である。任意選択的に、α,β−不飽和カルボン酸単位の共重合単位のカルボン酸基の少なくとも一部が中和されて、カルボン酸塩を形成する。
【0031】
好適な第一α,β−エチレン性不飽和酸コモノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、およびそれらの2種以上の混合物が挙げられるがこれらに限定されない。ある好ましいコポリマーにおいて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は、アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの2種以上の混合物から選択される。別の好ましいコポリマーにおいて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は、メタクリル酸である。
【0032】
エチレン酸コポリマーは、3〜10個、もしくは好ましくは3〜8個の炭素を有する第二α,β−エチレン性不飽和カルボン酸、またはそれらの誘導体等の1種もしくは複数種の追加のコモノマーの共重合単位をさらに含む。好適な酸誘導体として、酸無水物、アミド、およびエステルが挙げられる。エステルが好ましく、アルキルエステルがさらに好ましい。不飽和カルボン酸のさらに好ましいエステルの具体例として、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ウンデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸オクタデシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ベヘニルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール4−ノニルフェニルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコール)4−ノニルフェニルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコールフェニルエーテルアクリレート、ポリ(エチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジメチル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、およびそれらの2種以上の混合物が挙げられるがこれらに限定されない。ある好ましいコポリマーにおいて、好適な追加のコモノマーは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、およびそれらの2種以上の混合物から選択される。別の好ましいエチレンコンポリマー(compolymer)において、第一α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は、第二α,β−エチレン性不飽和カルボン酸と同一であり、しかしながら、別の好ましいさらにエチレンコポリマーにおいて、第一α,β−エチレン性不飽和カルボン酸と第二α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は異なる。
【0033】
好適なエチレン酸コポリマーは、190℃、2.16kgでASTM法D1238−89に準拠して求めた約1〜約4000g/10分、または約1〜1000g/10分、または約20〜約400g/10分のメルトフローレート(MFR)を有する。
【0034】
最終的に、好適なエチレン酸コポリマーは、例えば、米国特許第3,404,134号明細書;米国特許第5,028,674号明細書;米国特許第6,500,888号明細書;米国特許第6,518,365号明細書;米国特許第8,334,033号明細書、または米国特許第8,399,096号明細書に記載されるように合成されてもよい。一実施形態において、米国特許第8,399,096号明細書に記載される方法を使用し、第二α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の誘導体のかなり高いレベルの相補量が、反応混合物中に存在する。
【0035】
イオノマーを得るには、エチレン酸コポリマーが、1種または複数種の塩基との反応により部分的に中和される。エチレン酸コポリマーを中和する好適な手順の例は、米国特許第3,404,134号明細書および米国特許第6,518,365号明細書に記載されている。中和後、エチレン酸コポリマーに存在するカルボン酸基の水素原子の約1%〜約90%、または約10%〜約60%、または約20%〜約55%、または約20〜約30%は、他のカチオンと置換される。別の方法で述べると、エチレン酸コポリマーに存在するカルボン酸基の総含有量の約1%〜約90%、または約10%〜約60%、または約20%〜約55%、または約20〜約30%が中和される。もう一つの別の表現において、酸基は、未中和のエチレン酸コポリマーについて算出または測定すると、エチレン酸コポリマーに存在するカルボン酸基の総含有量を基準として、約1%〜約90%、または約10%〜約60%、または約20%〜約55%、または約20〜約30%のレベルまで中和される。中和レベルは、特定の最終用途に適応させることができる。
【0036】
イオノマーは、カルボン酸アニオンに対する対イオンとしてカチオンを含む。好適なカチオンとして、イオノマー組成物を合成して、処理して、使用する条件下で安定である正に帯電した任意の種が挙げられる。好適なカチオンは、2種以上の組み合わせで使用されてもよい。幾種かの好ましいイオノマーにおいて、カチオンは、金属カチオンであり、金属カチオンは、一価、二価、三価、または多価であってよい。有用な一価の金属カチオンとして、ナトリウム、カリウム、リチウム、銀、水銀、銅等のカチオンが挙げられるがこれらに限定されない。有用なニ価の金属カチオンとして、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、銅、カドミウム、水銀、スズ、鉛、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛等のカチオンが挙げられるがこれらに限定されない。有用な三価の金属カチオンとして、アルミニウム、スカンジウム、鉄、イットリウム等のカチオンが挙げられるがこれらに限定されない。有用な多価の金属カチオンとして、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、タンタル、タングステン、クロム、セリウム、鉄等のカチオンが挙げられるがこれらに限定されない。金属カチオンが多価である場合、米国特許第3,404,134号明細書に記載されるように、ステアリン、オレアート、サリチレート、およびフェノレートラジカル等の錯化剤が含まれてもよい。別の好ましい組成物において、使用される金属カチオンは、一価または二価の金属カチオンである。好ましい金属カチオンは、ナトリウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、カリウム、およびこれらの金属カチオンの2種以上の組み合わせである。さらに好ましい組成物において、カチオンは、ナトリウムカチオン、亜鉛カチオンおよびナトリウムカチオンと亜鉛カチオンの組み合わせである。
【0037】
得られる中和イオノマーは、190℃、2.16kgでASTM法D1238−89に準拠して求めた、対応するエチレン酸コポリマーのメルトインデックスよりも低いメルトインデックスを有する。イオノマーのメルトインデックスは、エチレン酸コポリマーのメルトインデックス、共重合酸の量、中和レベル、カチオンの同一性およびその原子価をはじめとする多くの要素に左右される。さらに、イオノマーのメルトインデックスの所望の値は、その意図される最終用途により決められてもよい。しかしながら、イオノマーが、190℃、2.16kgでASTM法D1238−89に準拠して求めた、約1000g/10分以下、約750g/10分以下、約500g/10分以下、約250g/10分以下、約100g/10分以下、約50g/10分以下、約25g/10分以下、または約20g/10分以下の、または約10g/10分以下、または約5g/10分以下、または約0.7〜約7.5g/10分のメルトインデックスを有するのが好ましい。
【0038】
本明細書に記載されるエチレン酸コポリマーおよびイオノマーは、当技術分野内で既知の添加剤をさらに含む組成物中に配合されてもよい。添加剤として、加工助剤、流動増強剤、潤滑剤、顔料、染料、難燃剤、耐衝撃性改良剤、造核剤、シリカ等の粘着防止剤、熱安定剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、界面活性剤、キレート剤、カップリング剤、ガラス繊維等の強化剤、フィラー等が挙げられるがこれらに限定されない。好適な添加剤、エチレン酸コポリマーおよびイオノマー中での添加剤の好適な濃度、並びにエチレン酸コポリマーおよびイオノマー中に添加剤を組み入れる方法に関する一般的な情報は、例えば、the Kirk Othmer Encyclopedia,the Modern Plastics Encyclopedia,McGraw−Hill(New York,1995)またはthe Wiley Encyclopedia of Packaging Technology,2d edition,A.L.Brody and K.S.Marsh,Eds.,Wiley−Interscience(Hoboken,1997)等の参照テキストに見出され得る。4種類の添加剤が、イオノマー性ポリマーで用いるのに注目すべき添加剤であり、具体的には熱安定剤、UV吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、およびシランカップリング剤である。好ましい例およびイオノマー性ポリマー中での好適なレベル等のこれらの4種類の添加剤に関するさらなる情報は、例えば、上述の参照テキストおよび米国特許第7,641,965号明細書に見出され得る。
【0039】
好ましい幾種かの組成物において、エチレン酸コポリマーまたはイオノマーは、架橋される。エチレン酸コポリマーおよびそれらのイオノマーのメルトフローを下げる幾つかの方法が、知られており、例えば、Cadwalladerらによる米国特許出願公開第2009/0126859号明細書に記載されている。有機過酸化物が、特に、エチレン酸コポリマーおよびそれらのイオノマーの架橋剤として使用されてきた。しかしながら、さらに好ましい組成物において、コポリマー組成物は、ヒドロキシル含有架橋剤および1種または複数種のシランアジュバントを含む。これらの架橋系は、Pesekらにより2012年12月19日に出願された米国仮特許出願第61/739,557号明細書;米国仮特許出願第61/739,562号明細書;および米国仮特許出願第61/739,572号明細書、並びに同様にPesekらにより出願された国際公開第2014/100301号パンフレット;国際公開第2014/100309号パンフレット;および国際公開第2014/100313号パンフレットに詳細に記載されている。しかしながら、簡潔に言えば、用語「ヒドロキシル含有架橋剤」は、エチレンコポリマーと相溶性のある、2種以上のヒドロキシル基を有する任意の分子である。好適なヒドロキシル含有架橋剤の好ましい例として、1,4−ブタンジオール、1,3−プロパンジオールおよび1,6−ヘキサンジオール等のジオールが挙げられるがこれらに限定されない。1,4−ブタンジオールが、特に好ましい。
【0040】
ヒドロキシル含有架橋剤は、酸コポリマー組成物中に、酸コポリマー組成物の総重量を基準として最大約5wt%まで、好ましくは約2wt%以下または約1.5wt%以下、さらに好ましくは約1wt%以下、0.5wt%以下、または0.25wt%以下、または0.1wt%の量で含まれる。
【0041】
当業者ならば、架橋組成物において所望される物理特性に基づく適切な架橋度を決定することができる。例えば、より高い架橋度は、より高い曲げ弾性率、より良好な高温接着性、より低いメルトインデックス、およびより良好な耐熱性と相関する。しかしながら、所望の最終用途の性能を得るように、架橋度を調整する必要がある。当業者はまた、所望の架橋度を得るのに必要な時間は、カルボン酸基およびヒドロキシル含有基の濃度に応じて直接決まることを承知している。加えて、所望の架橋度を得るのに必要な時間は、架橋反応が実施される温度と逆に相関し、同様にポリマーブレンドのメルトインデックスと逆に相関し得るまたは別表現では反比例し得る。さらにこれに関連して、架橋反応は、熱を必要とし得るが、その反応はまた、触媒作用を用いて実施されても、または熱と触媒作用の組み合わせを用いて実施されてもよい。例えば、エステル化反応は、酸触媒および塩基触媒により触媒作用を受けることが知られている。
【0042】
ヒドロキシル含有架橋剤は、任意の便利な方法でイオノマーに添加され得る。特に有用な一方法は、押出機の予混合チャンバ内でイオノマーフレーク、ペレットまたは顆粒に架橋剤を添加することである。この架橋剤を導入する別の方法は、注入ポートを介してである。これらの材料は、押出機内に入る前に、通例、混転またはドライオーガブレンドにより、混合されるので、架橋剤は、ポリマー組成物中に組み入れられ、押出される際にイオノマーで架橋が生じるように反応し得る。別の方法として、溶融混合または溶融物の押出中に、架橋反応が起こり得る。
【0043】
架橋性ポリマー組成物は、任意選択的に1種または複数種のアジュバントを含んでもよい。好適なアジュバントの例として、シランが挙げられる。シランを用いる場合、シランは、ポリマー組成物の総重量を基準として、0.025wt%〜0.1wt%、0.25wt%、0.5wt%、0.75wt%または1.0wt%の量で添加され得る。好ましいシランの非限定の例として、N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。アジュバントは、ヒドロキシル含有架橋剤と同時に同じ方法で、または他の既知の方法により、添加され得る。
【0044】
架橋反応に触媒作用を及ぼす酸性または塩基性条件のどちらかを作り出すような触媒もまた、含まれてもよい。別な方法として、酸化スズジブチルまたは同様な化合物等の特定の触媒を用いてもよい。
【0045】
本発明はまた、1種または複数種のエチレン酸コポリマー(またはイオノマー)分子のカルボン酸基の少なくとも一部が、ヒドロキシル含有架橋剤の少なくとも2つのヒドロキシル基と反応することにより、エチレン酸コポリマー(またはイオノマー)分子間または分子内に架橋を形成するように、エチレン酸コポリマーまたはイオノマー組成物を架橋した生成物を含む。一実施形態において、2つ以上のエチレン酸コポリマー(またはイオノマー)分子のカルボン酸基の少なくとも一部が、ヒドロキシル含有架橋剤の少なくとも2つのヒドロキシル基と反応して、それによりエチレン酸コポリマー(またはイオノマー)分子間に架橋を形成する。
【0046】
得られる架橋ポリマー組成物は、190℃、2.16kgでASTM法D1238−89に準拠して求めた25g/10分以下、または約20g/10分以下、または約10g/10分以下、または約5g/10分以下、または約0.7〜約5g/10分もしくは〜約7.5g/10分のMFRを有し得る。
【0047】
理論に拘束されることを望むものではないが、本明細書に記載されるエチレン酸コポリマーおよびイオノマーは、驚くべきことに、ポリヒドロキシル架橋剤およびシランアジュバントとの使用適性が良好であると考えられる。詳細には、本明細書に記載されるコポリマーおよびイオノマーの耐クリープ性は、同一系を用いて架橋される従来のエチレン酸コポリマーおよびイオノマーと比較した場合、架橋時に有利な効果を呈する。詳細には、本明細書に記載される架橋された酸コポリマーおよびイオノマーは、同一系を用いて架橋される従来既知の酸コポリマーおよびイオノマーのシートまたはフィルムと比較すると、無損の状態での伸びが大きい。本明細書で使用される用語「無損の状態での伸び」は、性能を損なういかなる欠陥を被ることなく、10%以上まで延伸するフィルムの能力を指す。このような欠陥の非限定の例として、破断、繊維様構造までの引張およびくびれ、並びにそれ自身の重量を支えることができない材料が挙げられる。
【0048】
本明細書に記載されるエチレン酸コポリマーおよびイオノマーを含む物品と、本明細書に記載されるエチレン酸コポリマーおよびイオノマーを架橋した生成物を含む物品とがさらに提供される。さらに具体的には、本明細書に記載されるポリマーおよび組成物は、包装用フィルムまたはシートおよび射出成形品または熱成形体をはじめとする様々な物体に使用するのに好適である。それゆえに、ポリマー組成物を含むシートおよびフィルム、またはポリマー組成物から作製されるシートおよびフィルムが、本明細書において提供される。ポリマー組成物を架橋した生成物を含むシートおよびフィルム、またはポリマー組成物を架橋した生成物から作製されるシートおよびフィルムが、さらに提供される。
【0049】
フィルムとシートとの違いは、厚さであるが、しかしながら、フィルムがシートになる際に関しての業界基準は、設定されていない。本明細書で使用される用語「フィルム」は、約20ミル(0.50mm)以下の厚さを有する構造体を指し、用語「シート」は、約20ミル(0.50mm)を超える厚さを有する構造体を指す。それにもかかわらず、ポリマー組成物がシートの形態である場合、ポリマー組成物は、有用ないかなる厚さでもあり得る。例えば、包装用フィルムとして使用される場合、これらのポリマー組成物は、約0.4ミル〜約20ミル(約10〜約500マイクロメーター)、好ましくは約0.9〜約6ミル(約25〜約150マイクロメーター)の厚さを有することができる。包装用フィルムは、複数枚の層を含むことができる。
【0050】
ポリマー組成物を含むシートは、浸漬塗布、溶液流延、圧縮成形、射出成形、ラミネーション、溶融押出製膜、インフレーション、押出塗布、タンデム押出塗布を含むがそれらに限定されない任意の好適な方法により、またはこれらの方法のうち2つ以上の組み合わせにより、形成されてよい。シートが、溶融押出製膜、溶融共押出製膜、溶融押出塗布、またはタンデム溶融押出塗布法等の押出法により形成されるのが好ましい。
【0051】
別の一実施形態において、物品は、フィルムまたはシートであり、それらは、浸漬塗布、溶液流延、ラミネーション、溶融押出、インフレーション、押出塗布、タンデム押出塗布等の任意の従来の方法により、または当業者に既知である任意の他の手順により、調製されてよい。特定の実施形態において、フィルムまたはシートは、溶融押出、溶融共押出、溶融押出塗布、インフレーション法、またはタンデム溶融押出塗布法により、形成される。
【0052】
別の方法として、本明細書に記載されるポリマー組成物を含む物品は、成形品であり、その成形品は、圧縮成形、射出成形、押出成形、ブロー成形、射出ブロー成形、射出延伸ブロー成形、押出ブロー成形等の任意の従来の成形法により調製されてもよい。物品はまた、例えば、圧縮成形により形成されたコアが、射出成形によりオーバーモールド成形される場合のように、これらの方法のうち2つ以上の組み合わせにより形成されてもよい。
【0053】
これらの製造方法に関する情報は、例えば、the Kirk Othmer Encyclopedia,the Modern Plastics Encyclopedia,McGraw−Hill(New York,1995)またはthe Wiley Encyclopedia of Packaging Technology,2d edition,A.L.Brody and K.S.Marsh,Eds.,Wiley−Interscience(Hoboken,1997)等の参照テキストに見出され得る。
【0054】
代替的一実施形態において、本明細書に開示されるポリマー組成物を含む物品は、少なくとも約1mmの最小厚を有する射出成形品(つまり、厚さが最も小さい寸法の物品)である。代替的に、射出成形品は、約1mm〜100mm、または2mm〜100mm、または3〜約100mm、または約3〜約50mm、または約5〜約35mmの厚さを有してもよい。
【0055】
さらに別の一代替的実施形態において、物品は、多層構造体の形態の射出成形品(オーバーモールド成形品等)であり、多層構造体の少なくとも1枚の層は、上に開示したイオノマー組成物を含むまたはから本質的なり、その層は、少なくとも約1mmの最小厚さを有する。多層物品の少なくとも1枚の層が、約1〜約100mm、または2mm〜100mm、または3〜約100mm、または約3〜約50mm、または約5〜約35mmの厚さを有するのが好ましい。
【0056】
さらに別の一代替的実施形態において、物品は、シート、容器(例えば、ボトルもしくはボール)、キャップもしくはストッパー(例えば、容器用の)、容器用の密封材(ボトルキャップ用ライナー)、トレイ、医療機器もしくは器械(例えば、自動もしくはポータブル除細動器ユニット)、ハンドル、ノブ、プッシュボタン、装飾品、パネル、コンソールボックス、または履物構成部材(例えば、ヒールカウンタ、先芯、または靴底)の形態での射出成形品である。
【0057】
さらに別の一代替的実施形態において、物品は、さらなる賦形プロセスで使用する中間射出成形品である。例えば、物品は、容器(例えば、化粧品用容器)を形成するブロー成形法での使用に好適な予備形成物またはパリソンであってよい。中間射出成形品は、上述のような多層構造体の形態であってよく、中間射出成形品は、従って、多層壁構造を有する容器を生産し得る。
【0058】
さらに別の一代替的実施形態において、物品は、ゴルフボールまたはゴルフボールの副部品、例えばゴルフボールのコアまたは被覆部の形態での射出成形品である。
【0059】
射出成形は、既知の成形法である。本明細書に開示される物品が、射出成形品の形態である場合、その物品は、任意の好適な射出成形法により、生産されてよい。好適な射出成形法として、例えば、共射出成形およびオーバーモールド成形(二個取り成形または多重射出成形法とも呼ぶ)が挙げられる。
【0060】
オーバーモールド成形法により射出成形品を生産する場合、基板材料、オーバーモールド成形材料またはその両方として、ポリマー組成物を使用してもよい。特定の物品において、オーバーモールド成形法を用いる場合、ガラスまたは金属容器上に本明細書に開示されるポリマー組成物をオーバーモールド成形してもよい。代替的に、任意の他の物品(住居用品、医療機器または器械、電子機器、自動車部品、建築構造体、スポーツ用品等)上に、ポリマー組成物をオーバーモールド成形して、柔らかな感触のおよび/または保護的なオーバーコーチングを形成してもよい。オーバーモールド成形材料が、本明細書に記載されるポリマー組成物を含む場合、190℃、2.16kgで、ASTMD1238に準拠して求めた、ポリマー組成物のメルトインデックスは、好ましくは0.75から約25g/10分まである。
【0061】
例えば、射出ブロー成形、射出延伸ブロー成形および押出ブロー成形等のブロー成形の形態を組み入れる製造プロセスにおいて、ポリマー組成物は、亜鉛カチオンを有するイオノマーを特に含んでもよい。同様に、前駆体酸コポリマーが、約10〜約100g/10分、または約10〜70g/10分の、190℃、2.16kgで、ASTMD1238に準拠して求めたメルトインデックスを有するのが好ましい。さらに、亜鉛イオノマーは、好ましくは約0.1〜約2.0g/10分の、190℃、2.16kgで、ASTMD1238に準拠して求めたメルトインデックスを有する。
【0062】
ポリマー組成物は、約120℃〜約250℃、または約130℃〜約210℃の溶融温度で成形されてもよい。一般的に、約30〜約210MPaまたは約69〜約110MPaの圧力で、低から中程度の充填速度を使用してよい。成形温度は、約5℃〜約50℃の範囲であってよい。当業者ならば、ポリマー組成物および使用するプロセスの種類に基づいて、特定のタイプの物品を生産するのに必要とされる適切な成形条件を決定できるであろう。
【0063】
好ましいひとつの射出成形品は、ゴルフボールである。例えば、射出成形条件として、表Aに示す温度、圧力およびサイクル時間が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本明細書に記載する組成物は、いかなるタイプのボール構造体とも併用してもよい。コア、カバー、または1または複数枚のゴルフボールの中間層にこの組成物を使用してよい。好適なゴルフボール構造体は、ワンピースゴルフボール、ツーピースゴルフボール、スリーピースゴルフボールおよびマルチピースゴルフボールを含み、それらは、両方ともGaravillaに付与される米国特許第8,044,136号明細書および米国特許第8,202,925号明細書、並びにそれらに引用された文献に記載されている。
【0066】
以下の実施例は、さらに詳細に本発明を説明するために提供される。これらの実施例は、本発明を実施するために現在企図される好ましい形式を示し、本発明を例証することを意図するものであり、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0067】
A.材料
酸コポリマー樹脂およびそれらのイオノマーを商標Nucrel(登録商標)、Surlyn(登録商標)またはSentryGlas(登録商標)でDuPontから取得した。代替的に、米国特許第8,399,096号明細書に記載される方法により、ポリマーを合成した。第一α,β−エチレン性不飽和カルボン酸は、アクリル酸またはメタクリル酸であった。上述のように、十分に高いレベルの相補量の第二α,β−エチレン性不飽和カルボン酸(ここでは、アクリル酸i−ブチルまたはアクリル酸n−ブチル)の誘導体が、反応混合物中に存在した。核磁気共鳴(NMR)分光法、滴定、または質量収支法により、表1に記載する合成ポリマーの組成を求めた。イオノマーの対イオンは、ナトリウムカチオンであった。
【0068】
B.方法
ASTM D3418に準拠し、米国特許第8,399,096号明細書に記載されるように示差走査熱量計分析を酸コポリマーおよびイオノマーに施した。結晶化エンタルピーを表1に報告する。本明細書に記載するイオノマー(実施例2および3)の各々の結晶化エンタルピーは、7j/g未満であるが、一方同じ中和レベルでの先行技術のイオノマー(比較例CE2)は、15j/gを超える結晶化エンタルピーを有することが、結果から実証される。
【0069】
酸コポリマーおよびイオノマーをシートに形成し、ガラスラミネート内の中間層としてシートを使用する。その方法は、米国特許第8,399,096号明細書にまた記載されている。
【0070】
比較例CE2に示すように、先行技術のイオノマー中間層シートを含むガラスラミネートのヘイズレベルは、ラミネートが得られる冷却速度下での冷却速度に強く左右される。一般的に、冷却速度が遅いほどラミネートのヘイズを増大させる。しかしながら、表1で例証されるように、本明細書に記載する酸コポリマーおよびイオノマーから作製した中間層シートを含むガラスラミネート(実施例1、2および3)は、先行技術の酸コポリマーおよびイオノマー中間層シートを含むラミネート(比較例CE1およびCE2)よりも低いヘイズを有する傾向がある。さらに、実施例2および3のラミネートのヘイズレベルはラミネートが得られる冷却速度下での冷却速度により、比較例CE2よりもかなり低い程度で影響を受ける。
【0071】
【表2】
【0072】
本発明の特定の好ましい実施形態が上述され、具体的に例示されているが、本発明は、このような実施形態に限定されることを意図しない。以下の特許請求の範囲に記載される、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、様々な修正が、なされてもよい。
以下、本明細書に記載の主な発明について列記する。
(1) エチレンの共重合単位と、3〜10個の炭素原子を有する第一α,β−不飽和カルボン酸の共重合単位を約10〜約30wt%と、3〜10個の炭素原子を有する第二α,β−不飽和カルボン酸の誘導体の共重合単位を約5〜約15wt%とを含むエチレン酸コポリマーであって、前記共重合単位の重量百分率は、前記エチレンコポリマーの総重量を基準とし、前記共重合単位の前記重量百分率の合計が、100wt%であるエチレン酸コポリマー。
(2) (1)に記載のエチレン酸コポリマーの中和生成物であるイオノマーであって、前記第一α,β−不飽和カルボン酸のカルボン酸基の少なくとも一部が、中和されて、対イオンを有するカルボキシレート基を形成し、好ましくは、前記エチレンコポリマーに存在する前記カルボン酸基の約5%〜約90%が中和されているイオノマー。
(3) 前記エチレンコポリマーが、前記第一α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の共重合単位を約20wt%〜約24wt%含む請求項1に記載のエチレン酸コポリマーまたは(2)に記載のイオノマー。
(3) 前記エチレンコポリマーが、前記第二α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の前記誘導体の共重合単位を約8wt%〜約12wt%含む(1)に記載のエチレン酸コポリマーまたは(2)もしくは(3)に記載のイオノマー。
(4) 前記共重合酸の前記重量百分率と前記共重合酸の誘導体の前記重量百分率の合計が、約20〜約45wt%である(1)に記載のエチレン酸コポリマーまたは(2)〜(4)のいずれか1項に記載のイオノマー。
(5) 前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸が、アクリル酸、メタクリル酸、またはアクリル酸とメタクリル酸の組み合わせである(1)に記載のエチレン酸コポリマーまたは(2)〜(5)のいずれか1項に記載のイオノマー。
(7) (1)に記載のエチレン酸コポリマーまたは(2)〜(6)のいずれか1項に記載のイオノマーと、ヒドロキシル含有架橋剤とを含むポリマー組成物。
(8) 前記ヒドロキシル含有架橋剤が、ジオールである(7)に記載のポリマー組成物。
(9) N−(2−アミノエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアジュバントを約0.025〜2.0wt%の量でさらに含む(7)または(8)に記載のポリマー組成物。
(10) (7)、(8)、および(9)のいずれか1項に記載のポリマー組成物を架橋した生成物。
(11) (1)に記載のエチレン酸コポリマー、(2)〜(6)のいずれか1項に記載のイオノマー、または(7)〜(10)のいずれか1項に記載のポリマー組成物を含むシートまたはフィルム。
(12) インフレーションフィルムである(11)に記載のフィルム。
(13) (1)に記載のエチレン酸コポリマー、(2)〜(6)のいずれか1項に記載のイオノマー、または(7)〜(10)のいずれか1項に記載のポリマー組成物を含む射出成形品。
(14) (1)に記載のエチレン酸コポリマー、(2)〜(6)のいずれか1項に記載のイオノマー、または(7)〜(10)のいずれか1項に記載のポリマー組成物を含むゴルフボール。
(15) (11)または(12)に記載のシートまたはフィルムを含む包装材料。