(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6563969
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 16/26 20090101AFI20190808BHJP
H04W 16/28 20090101ALI20190808BHJP
H04W 16/30 20090101ALI20190808BHJP
H04W 84/00 20090101ALI20190808BHJP
H04W 4/40 20180101ALI20190808BHJP
H04W 92/20 20090101ALI20190808BHJP
【FI】
H04W16/26
H04W16/28
H04W16/30
H04W84/00 110
H04W4/40
H04W92/20 110
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-38808(P2017-38808)
(22)【出願日】2017年3月1日
(65)【公開番号】特開2018-148285(P2018-148285A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2018年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(74)【代理人】
【識別番号】100128691
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 弘通
(72)【発明者】
【氏名】吉野 仁
(72)【発明者】
【氏名】山口 良
(72)【発明者】
【氏名】中島 潤一
(72)【発明者】
【氏名】宮下 真行
(72)【発明者】
【氏名】豊見本 和馬
(72)【発明者】
【氏名】三上 学
【審査官】
田部井 和彦
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/035827(WO,A1)
【文献】
特開2015−115725(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0219900(US,A1)
【文献】
特開2006−166307(JP,A)
【文献】
特開2003−244064(JP,A)
【文献】
特開2015−119349(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/133207(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
DB名 3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラー方式の移動通信の基地局を含む通信システムであって、
前記基地局は、その基地局と無線通信を行う無線通信機能を有する複数の移動体が所定の間隔で連続的に移動している移動経路における前記複数の移動体の一つの移動体をカバーする程度の領域に対してビームを絞るようにセルを形成し、
前記複数の移動体はそれぞれ、前記基地局との間の直接通信機能と、前記移動経路上で隣り合う先行及び後続の移動体との間で通信する移動体間通信機能と、前記基地局との間にバックホール回線を構築し前記移動体の内部に形成したムービングセル内に位置するユーザ装置と前記基地局との間の移動通信を中継する前記ムービングセルの基地局機能と、を有し、
前記基地局は、前記基地局のセルに在圏する一つの移動体との直接通信と各移動体の移動体間通信と各移動体の前記ムービングセルの基地局機能とを介して、前記移動経路における前記複数の移動体それぞれと通信し各移動体の内部に形成したムービングセル内に位置するユーザ装置と通信することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1の通信システムにおいて、
前記移動経路は、前記複数の移動体が連続的に移動する環状の移動経路であることを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1の通信システムにおいて、
前記移動経路は、前記複数の移動体が連続的に移動する直線状の移動経路であることを特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかの通信システムにおいて、
前記移動体は、乗用車、バス、トラック若しくは自動二輪車を含む自動車、線路上を走行する鉄道車両、リニアモーターカーを含む軌道上を走行する車両、航空機又は船舶であることを特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの通信システムにおいて、
前記基地局は、前記移動経路におけるトンネルの出入口近傍の領域に対してビームを絞って前記セルを形成することを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかの通信システムにおいて、
前記基地局は、前記移動経路の長手方向に延在する長い楕円形又は長円形状のセルを形成することを特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかの通信システムにおいて、
前記基地局は、ビームフォーミングにより前記移動経路に対してビームを絞ってセルを形成することを特徴とする通信システム。
【請求項8】
請求項7の通信システムにおいて、
前記基地局のアンテナは、Massive MIMOアンテナであることを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラー方式の移動通信の基地局及び通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のセルラー方式の移動通信では、移動局であるユーザ装置と無線通信するマクロセル基地局やスモールセル基地局(例えば特許文献1、2参照)などの固定基地局が地上に配置され、各基地局を中心として同心円状のセルが形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のセル内に、複数の電車等の移動体が所定の間隔で連続的に移動している線路等の移動経路が位置し、その移動経路上を移動している移動体から高い通信品質で基地局を介して通信網に接続したい場合がある。しかしながら、線路等の移動経路の一部と基地局の間の電波を遮るトンネルなどの障害物が存在する場合があり、その移動経路の障害物が存在している領域を移動している移動体では、基地局と通信できなかったり、基地局との通信品質が低下してしまったりするおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様に係る通信システムは、セルラー方式の移動通信の基地局を含む通信システムであって、前記基地局は、その基地局と無線通信を行う無線通信機能を有する複数の移動体が所定の間隔で連続的に移動している移動経路における前記複数の移動体の一つと該一つの移動体に隣り合う先行又は後続の移動体との間隔とをカバーする程度の領域に対してビームを絞るようにセルを形成し、前記複数の移動体はそれぞれ、前記移動経路上で隣り合う先行及び後続の移動体との間で通信する移動体間通信機能を有する。
また、前記通信システムにおいて、前記移動経路は、前記複数の移動体が連続的に移動する環状の移動経路であってもよい。
また、前記通信システムにおいて、前記移動経路は、前記複数の移動体が連続的に移動する直線状の移動経路であってもよい。
また、前記通信システムにおいて、前記複数の移動体はそれぞれ、該移動体の内部に位置する移動局の移動通信を中継する基地局機能を有し、前記基地局との間にバックホール回線を構築してもよい。
また、前記通信システムにおいて、前記移動体は、乗用車、バス、トラック若しくは自動二輪車を含む自動車、線路上を走行する鉄道車両、リニアモーターカーを含む軌道上を走行する車両、航空機又は船舶であってもよい。
また、前記通信システムにおいて、前記基地局は、前記移動経路におけるトンネルの出入口近傍の領域に対してビームを絞って前記セルを形成してもよい。
また、前記通信システムにおいて、前記基地局は、前記移動経路の長手方向に延在する長い楕円形又は長円形状のセルを形成してもよい。
また、前記通信システムにおいて、前記基地局は、ビームフォーミングにより前記移動経路に対してビームを絞ってセルを形成してもよい。
また、前記通信システムにおいて、前記基地局のアンテナは、Massive MIMOアンテナであってもよい。
【0005】
また、本発明の他の態様に係る基地局は、セルラー方式の移動通信の基地局であって、当該基地局と無線通信を行う無線通信機能を有する複数の移動体が所定の間隔で連続的に移動している移動経路における前記複数の移動体の一つと該一つの移動体に隣り合う先行又は後続の移動体との間隔とをカバーする程度の領域に対してビームを絞るようにセルを形成するアンテナを有する。
また、前記基地局において、当該基地局は、前記移動経路におけるトンネルの出入口近傍の領域に対してビームを絞って前記セルを形成してもよい。
また、前記基地局において、前記移動経路の長手方向に延在する長い楕円形又は長円形状のセルを形成してもよい。
また、前記基地局において、当該基地局は、ビームフォーミングによりビームを絞って前記セルを形成してもよい。
また、前記基地局において、当該基地局のアンテナは、Massive MIMOアンテナであってもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の移動体が所定の間隔で連続的に移動している移動経路の一部と基地局との間に電波を遮る障害物が存在する場合でも、その移動経路上を移動している各移動体から高い通信品質で基地局を介して通信網に接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る通信システムの一例を示す説明図。
【
図2】本実施形態に係る無線中継装置の一構成例を示すブロック図。
【
図3】本発明の実施形態に係る通信システムの他の一例を示す説明図。
【
図4】本発明の実施形態に係る通信システムの更に他の一例を示す説明図。
【
図5】本実施形態に係る無線中継装置の一構成例を示すブロック図。
【
図6】本実施形態に係る無線中継装置でトンネル内に形成されるムービングセルの一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る通信システムの一例を示す説明図である。本実施形態の通信システムは、セルラー方式の移動通信網10に接続された固定基地局20と、環状の移動経路としての線路70上を所定の間隔で移動している複数の移動体としての電車40(1)〜40(7)とを備える。
図1に示す例では、複数の電車40(1)〜40(7)は線路70上を走行し、時計回り方向に連続的に移動している。複数の電車40(1)〜40(7)はそれぞれ、線路70上で隣り合う先行及び後続の電車40との間で通信する移動体間通信機能を有する無線中継装置30を搭載している。また、固定基地局20は、Massive MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)アンテナ25を備えている。このMassive MIMOアンテナ25は、複数のアンテナエレメントを有し、アンテナビームの数及び方向を制御可能なビームフォーミング機能を有するアンテナである。そして、固定基地局20は、その固定基地局20と無線通信を行う無線通信機能を有する複数の電車40(1)〜40(7)が所定の間隔で連続的に移動している線路70における複数の電車40(1)〜40(7)の一つとその一つの電車40に隣り合う先行又は後続の電車40との間隔とをカバーする程度の領域に対してビームを絞るようにセル20Aを形成する。
【0009】
なお、
図1に示す例では、移動経路が環状である場合について説明するが、直線状であってもよい(
図3参照)。また、移動体が線路上を走行する鉄道車両である電車の場合について説明するが、本実施形態における移動体は、鉄道車両のほか、乗用車、バス、トラック若しくは自動二輪車を含む自動車、リニアモーターカーを含む軌道上を走行する車両、航空機又は船舶であってもよい。
【0010】
図2は、本実施形態に係る電車40に設けられた無線中継装置30の構成例を示すブロック図である。
図2において、無線中継装置30は、電車40に設置可能に構成され、第1アンテナ350を介して固定基地局20又は他の移動体に設置された他の無線中継装置との間で無線通信を行う第1無線通信部302と、第2アンテナ370を介して他の移動体に設置された他の無線中継装置との間で無線通信を行う第2無線通信部304と、中継制御部306と、記憶部308とを備える。中継制御部306は、固定基地局20又は他の移動体に設置された他の無線中継装置との間の通信を中継するように、第1無線通信部302及び第2無線通信部304を制御するものであり、無線中継装置30が無線中継局(リピーター)として機能するように制御するものである。無線中継装置30(1)〜30(7)は、複数の電車40(1)〜40(7)それぞれに設けられており、線路70上の互いに隣り合う先行及び後続の電車間で通信することができる(
図1参照)。
【0011】
無線中継装置30は、自装置内に電源(バッテリー)を備えてもよいが、電車40側から電力の供給を受けてもよい。
【0012】
図1において、固定基地局20は、固定基地局20と無線通信を行う無線通信機能を有する複数の電車40(1)〜40(7)が所定の間隔で連続的に移動している線路70における複数の電車40(1)〜40(7)の一つの電車40(1)と、この一つの電車40(1)に隣り合う先行の電車40(2)又は後続の電車40(7)との間隔とをカバーする程度に対してMassive MIMOアンテナ25のビームを絞るようにセル20Aを形成する。また、固定基地局20は、線路70の長手方向に延在する長い楕円形又は長円形のセル20Aを形成してもよい。楕円形又は長円形のセル20Aは、例えば、短径が10mであり、5m以上50m以下であってもよく、長径が100mであり、50m以上1Km以下であってもよい。また、固定基地局20は、ビームフォーミングにより線路70に対してMassive MIMOアンテナ25のビームを絞ってセル20Aを形成してもよい。
【0013】
図1の例では、セル20Aに電車40(1)が入っており、電車40(1)のみが固定基地局20との間で無線通信可能である。一方、他の電車40(2)〜40(7)はセル20Aに入っていないので、固定基地局20と直接無線通信することはできないが、電車40(1)の無線中継装置30(1)を中継して固定基地局20との間で無線通信が可能である。例えば、セル20Aに入っていない電車40(2)は、電車40(1)の無線中継装置30(1)を中継して固定基地局20との間で無線通信するが、電車40(3)〜40(7)の無線中継装置30(3)〜30(7)を順次中継して電車40(1)の無線中継装置30(1)と固定基地局20との間で無線通信してもよい。このように、セル20Aに入っていない電車40(2)〜40(7)それぞれと、セルに入っている電車40(1)との間の通信経路は、セル20Aに入っている電車40(1)との間の線路70上の距離が短い方を中継するようにしてもよいし、時計回り方向又は反時計回り方向のどちらか一方を中継するようにしてもよい。
【0014】
図1において、複数の電車40(1)〜40(7)はそれぞれ所定の間隔で図中時計回り方向に走行しており、電車40(1)は線路70上を走行してセル20Aから抜け出ると、それと同時かそれよりも早いタイミングで電車40(7)がセル20Aに入るようになっている。このとき、電車40(1)の無線中継装置30(1)と固定基地局20との間の無線通信は、電車40(7)の無線中継装置30(7)を中継して固定基地局20との間で無線通信するようにハンドオーバー処理がなされる。他の電車40(2)〜40(6)も同様に、電車40(7)の無線中継装置30(7)を中継して固定基地局20との間で引き続き無線通信が可能である。このようなハンドオーバー処理を繰り返すことにより、複数の電車40(1)〜40(7)はそれぞれ、いずれかの電車40の無線中継装置30を中継して常に固定基地局20との間で無線通信が可能である。
【0015】
図1に示すように、複数の電車40(1)〜40(7)が所定の間隔で連続的に移動している線路70の一部と固定基地局20との間に電波を遮る例えばトンネルなどの障害物が存在する場合でも、その線路70上を移動している各電車40(1)〜40(7)から高い通信品質で固定基地局20を介して移動通信網10に接続することが可能となる。
【0016】
図3は、本発明の実施形態に係る通信システムの他の一例を示す説明図である。
図3に示す例では、移動経路が直線状の軌道であり、移動体がリニアモーターカーであって、軌道上の一部にリニアモーターカーと固定基地局との間の電波を遮るトンネルの障害がある場合について説明する。
【0017】
図3の通信システムは、セルラー方式の移動通信網10に接続された固定基地局20と、直線状の軌道71上を所定の間隔で走行している複数の移動体としてのリニアモーターカー80(1)〜80(2)とを備える。
図3の例では、セル20Aにリニアモーターカー80(1)が入っており、リニアモーターカー80(1)のみが固定基地局20との間で無線通信可能である。一方、他のリニアモーターカー80(2)はトンネル72内を走行しておりセル20Aに入っていないので、固定基地局20と直接無線通信することはできない。
【0018】
ここで、固定基地局20は、トンネル72の出入口近傍の領域に対してMassive MIMOアンテナ25のビームを絞ってセル20Aを形成しており、セル20Aに在圏するリニアモーターカー80(1)から、トンネル72内を走行しているリニアモーターカー80(2)に無線通信を中継している。これにより、トンネル72内に従来の固定基地局が設置されていない場合でも、トンネル72内のリニアモーターカー80(2)は、リニアモーターカー80(1)の無線中継装置30(1)を中継して固定基地局20との間で無線通信が可能である。
【0019】
なお、
図3において、図示の都合上、無線中継装置30、第1アンテナ350及び第2アンテナ370はリニアモーターカー80の屋根の上に図示されているが、例えば、全て車両内に設置されていてもよい。
【0020】
また、無線中継装置30は、移動型の基地局機能を有していてもよい。
【0021】
図4は、移動型の基地局機能を有する無線中継装置30を搭載した電車40を用いた通信システムの一例を示す説明図である。
図4において、無線中継装置30は、少なくとも電車40の車内をカバーする移動型のセル(以下「ムービングセル」という。)30Aを形成し、そのムービングセル30A内に位置するユーザ装置50と、固定基地局20、固定基地局20がエリアカバーするセル20Aに在圏するユーザ装置又は他の移動体に設置された他の無線中継装置との間の通信を中継する。ムービングセル30Aは、電車40の外側の周辺エリアと、電車40の内側エリアとを含んでもよい。ムービングセル30Aのセル径は例えば100mであり、20m以下〜50m以下であってもよい。
【0022】
無線中継装置30は、前記第1アンテナ350及び第2アンテナ370の他に、無線中継装置30が形成するムービングセル30Aにおいて移動通信の一般ユーザが使用するユーザ装置50と無線通信を行う第3アンテナ380を備える。第3アンテナ380は、複数のアンテナエレメントを有し、アンテナビームの数及び方向を制御可能なビームフォーミング機能を有してもよい。
【0023】
また、
図4において、基地局機能を有する無線中継装置30は、固定基地局20の無線中継局として機能するリピーター機能を有するものであってもよい。また、無線中継装置30は、基地局機能を有する他の無線中継装置と識別可能な基地局識別情報(セルID)が割り当てられ、固定基地局20を介して移動通信網10のバックホール回線に接続することができる機能を有してもよい。
【0024】
図5は、移動型の基地局機能を有する無線中継装置の機能ブロック図である。
図5において、無線中継装置30は、
図2を用いて説明した第1アンテナ350、第1無線通信部302、第2アンテナ370、第2無線通信部304、中継制御部306、及び記憶部308の他に、第3アンテナ380を介してユーザ装置50との間で無線通信を行う第3無線通信部310を備える。中継制御部306は、電車40の少なくとも車内のエリアにムービングセル30Aを形成し、ムービングセル30A内に位置するユーザ装置50と固定基地局20又は他の移動体に設置された他の無線中継装置との間の通信を中継するように、第1無線通信部302、第2無線通信部304及び第3無線通信部310を制御する。
【0025】
無線中継装置30において、固定基地局20との間の無線通信に用いる周波数帯と、ユーザ装置50との間の無線通信に用いる周波数帯とは互いに異なってもよい。例えば、固定基地局20との間の無線通信に用いる周波数帯として、28GHz帯、5GHz帯又は4.2GHz帯などの5G(第5世代)の高周波の通信帯域(例えば、非特許文献1〜9参照)を用い、ユーザ装置50との間の無線通信に用いる周波数帯として2.6GHz帯、700MHz帯又は2GHz帯を用いてもよい。このように互いに異なる周波数帯を用いることにより、無線中継装置30は、固定基地局20との無線通信とユーザ装置50との無線通信との間の干渉を回避しながら各無線通信を確実に行うことができる。
【0026】
また、無線中継装置30は、第1無線通信部302の固定基地局20に対する送信電力及び受信感度がユーザ装置50の固定基地局20に対する送信電力及び受信感度よりも高くなるように構成してもよい。この場合、ユーザ装置50が通信可能な固定基地局20のセル20Aのセル境界のエリアやその近傍の圏外エリアにおいて、無線中継装置30は、固定基地局20との間でより高い通信品質で通信することができ、そのエリアにムービングセル30Aを形成することができる。従って、固定基地局20のセル20Aにおいて局所的なトラフィックのオフロードを確実に行うことができるとともに、固定基地局20の数を増やすことなく移動通信のエリアを実質的に拡張できる。また、無線中継装置30は、複数の固定基地局20と同時に接続し、複数の回線を設定し、無線中継装置30と固定基地局20の間の回線の容量を大きくしてもよい(複数固定基地局サイトによる回線アグリゲーションによる固定基地局群とムービングセル基地局との間の回線容量の増大)。
【0027】
中継制御部306は、基地局機能を有する無線中継装置30が無線中継局(リピーター)として機能するように制御するものであってもよい。また、中継制御部306は、他の無線中継装置と識別可能な基地局識別情報(セルID)が割り当てられ、固定基地局20を介して移動通信網10のバックホール回線に接続するように制御するものであってもよい。
【0028】
また、中継制御部306は、電車40(1)の移動に伴ってセル20Aから抜け出るときに、無線中継装置30(1)が、セル20Aに入った電車40(7)の無線中継装置30(7)を中継して、ユーザ装置50(1)による移動通信網10との接続を継続するハンドオーバー処理を行うように制御するものであってもよい。このハンドオーバー処理により、電車40の移動に伴って固定基地局20と無線中継装置30との間の通信が、他の電車40の無線中継装置30との間の通信に切り替わった場合でも、自装置である無線中継装置30のムービングセル30Aに在圏するユーザ装置50の移動通信網10への接続が切断されるのを回避できる。
【0029】
また、無線中継装置30の第3アンテナ380にビームフォーミング機能を持たせ、中継制御部306は、第3アンテナ380で形成されるビームの方向及び数の少なくとも一方を制御してもよい。このビームの方向などの制御は、例えば、電車40内のユーザ装置50の位置情報、ユーザ装置50の数量情報、固定基地局20で形成されるセル20Aの状況及び外部からの制御情報の少なくとも一つに基づいて行うことができる。
【0030】
図6は、本実施形態に係る基地局機能を有する無線中継装置でトンネル内に形成されるムービングセルの一例を示す説明図である。
図6において、無線中継装置30は、移動経路としての道路73上を移動している移動体としての自動車90の少なくとも外側の周辺エリアおよび自動車90の車内をカバーする移動型のセル(以下「ムービングセル」という。)30Aを形成し、そのムービングセル30A内に位置するユーザ装置50と、固定基地局20、固定基地局20がエリアカバーするセル20Aに在圏するユーザ装置又は他の移動体に設置された他の無線中継装置との間の通信を中継する。ムービングセル30Aは、自動車90の外側の周辺エリアと、自動車90の内側エリアとを含んでもよい。ムービングセル30Aのセル径は例えば100mであり、20m以下〜50m以下であってもよい。
【0031】
固定基地局20と無線通信可能なトンネル出入口近傍に位置する自動車(例えば乗用車、トラック、バスなど)90(1)のムービングセル基地局30(1)から、トンネル72内を走行している複数の自動車(例えば乗用車、トラック、バスなど)90(2)〜90(5)のムービングセル基地局30(2)〜30(5)に無線通信を順次中継している。これにより、トンネル72内に従来の固定基地局が設置されていない場合でも、トンネル72内のユーザ(例えばトンネル72内を走行している自動車に乗車しているユーザ)は、トンネル外と同様に、移動通信サービスを利用することができる。この場合、トンネル72内の複数の自動車90で移動通信を中継するごとに、その中継を行ったトンネル72内の自動車90の所有者、利用者又は製造者に一定の中継料(定額又は通信パケット量等に応じた料金)を移動通信事業者から支払うようにしてもよい。これにより、ムービングセル30Aを介したトンネルでの中継を伴う新規な通信サービスの利用促進を高めることができる。
【0032】
また、本明細書で説明された処理工程並びに通信システム、基地局、無線中継装置及びユーザ装置(移動局装置、ユーザ端末装置、移動機)の構成要素は、様々な手段によって実装することができる。例えば、これらの工程及び構成要素は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又は、それらの組み合わせで実装されてもよい。例えば、本実施形態の基地局及び無線中継装置における処理は、後述のハードウェアに所定のプログラムが読み込まれて実行されたり、後述のハードウェアに予め組み込まれた所定のプログラムが実行されたりすることにより、実現される。
【0033】
ハードウェア実装については、実体(例えば、各種無線通信装置、Node B、端末、ハードディスクドライブ装置、又は、光ディスクドライブ装置)において上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、1つ又は複数の、特定用途向けIC(ASIC)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、本明細書で説明された機能を実行するようにデザインされた他の電子ユニット、コンピュータ、又は、それらの組み合わせの中に実装されてもよい。
【0034】
また、ファームウェア及び/又はソフトウェア実装については、上記構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段は、本明細書で説明された機能を実行するプログラム(例えば、プロシージャ、関数、モジュール、インストラクション、などのコード)で実装されてもよい。一般に、ファームウェア及び/又はソフトウェアのコードを明確に具体化する任意のコンピュータ/プロセッサ読み取り可能な媒体が、本明細書で説明された上記工程及び構成要素を実現するために用いられる処理ユニット等の手段の実装に利用されてもよい。例えば、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば制御装置において、メモリに記憶され、コンピュータやプロセッサにより実行されてもよい。そのメモリは、コンピュータやプロセッサの内部に実装されてもよいし、又は、プロセッサの外部に実装されてもよい。また、ファームウェア及び/又はソフトウェアコードは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、プログラマブルリードオンリーメモリ(PROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、FLASHメモリ、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、磁気又は光データ記憶装置、などのような、コンピュータやプロセッサで読み取り可能な媒体に記憶されてもよい。そのコードは、1又は複数のコンピュータやプロセッサにより実行されてもよく、また、コンピュータやプロセッサに、本明細書で説明された機能性のある態様を実行させてもよい。
【0035】
また、本明細書で開示された実施形態の説明は、当業者が本開示を製造又は使用するのを可能にするために提供される。本開示に対するさまざまな修正は当業者には容易に明白になり、本明細書で定義される一般的原理は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、他のバリエーションに適用可能である。それゆえ、本開示は、本明細書で説明される例及びデザインに限定されるものではなく、本明細書で開示された原理及び新規な特徴に合致する最も広い範囲に認められるべきである。
【符号の説明】
【0036】
10 移動通信網
20 固定基地局(マクロセル基地局)
20A 固定基地局のセル(マクロセル)
25 Massive MIMOアンテナ
30 無線中継装置
30(1)〜30(7) ムービングセル基地局
30A ムービングセル
40 電車
50 ユーザ装置(移動局)
70 線路(移動経路)
71 軌道(移動経路)
72 トンネル
73 道路(移動経路)
80 リニアモーターカー
90 自動車
302 第1無線通信部
304 第2無線通信部
306 中継制御部
308 記憶部
310 第3無線通信部
350 第1アンテナ
370 第2アンテナ
380 第3アンテナ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開2006−093778号公報
【特許文献2】特開2007−259289号公報
【非特許文献】
【0038】
【非特許文献1】G. Romano,「3GPP RAN progress on "5G"」,[online]、[平成28年12月27日検索]、インターネット(URL:http://www.3gpp.org/ftp/Information/presentations/presentations_2016/3GPP%20RAN%20Progress%20on%205G%20-%20NetFutures.pdf).
【非特許文献2】3GPP TR 38.801 V1.0.0 (2016−12).
【非特許文献3】3GPP TR 38.802 V1.0.0 (2016−11).
【非特許文献4】3GPP TR 38.803 V1.0.0 (2016−12).
【非特許文献5】3GPP TR 38.804 V0.4.0 (2016−11).
【非特許文献6】3GPP TR 38.805 V0.0.2 (2016−12).
【非特許文献7】3GPP TR 38.900 V14.1.0 (2016−09).
【非特許文献8】3GPP TR 38.912 V0.0.2 (2016−09).
【非特許文献9】3GPP TR 38.913 V14.0.0 (2016−10).