【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の目的は、2成分ポリメチルメタクリレート骨セメント用の収納混合装置であって、前記収納混合装置は、
a)筒状内部を有するカートリッジであって、筒状内部は、閉止される送出開口部を有するカートリッジヘッドによって前方側で境界を定められる、カートリッジと、
b)カートリッジの筒状内部で軸方向に移動可能になるように配置され、カートリッジヘッドから離間する、プランジャであって、プランジャは周囲に沿って内部の内壁に接して着座し、そうすることで、カートリッジの内部を2つのセクションに分割する、プランジャと、
c)内部においてプランジャとカートリッジヘッドとの間に収容される、骨セメントの粉末状の第1の親成分と、
d)カートリッジヘッドにおいて、またはカートリッジのシリンダバレルにおいてプランジャとカートリッジヘッドとの間に配置される、供給孔であって、供給孔は流体ラインに連結される、供給孔と、
e)モノマー液用の受容部であって、流体ラインは、液体を透過するように供給孔を受容部に連結し、モノマー液は、骨セメントの第2の親成分として、受容部に収容されるかまたは受容部に充填可能もしくは導入可能である、受容部と、
f)モノマー液が受容部から流体ライン中に押し出し可能になるように、受容部中に押すことが可能な、押出し装置と、
を有し、
g)プランジャを後方側の方向に移動させることによって、押出し装置を受容部中に押すことが可能になり、カートリッジの内部においてプランジャとカートリッジヘッドとの間に減圧を生み出すことが可能になるように、プランジャは前方側の反対側に位置する筒状内部の後方側から離間する、
装置によって達成される。
【0021】
プランジャの前記移動によってカートリッジの内部においてプランジャとカートリッジヘッドとの間に減圧が生み出されたときは、この減圧は供給孔を通って流体ラインに至る。
【0022】
好ましくは、押出し装置としてポンププランジャが用いられる。押出し装置として弾性の膜を使用することもでき、弾性の膜は前記受容部中に拡張して(したがって、本発明による受容部中に移動するか、または受容部の中に押されて)、その結果、モノマー液を受容部から流体ライン中に押し出す。
【0023】
好ましくは、プランジャと粉末状の第1の親成分との間に構造要素はこれ以外に設けられない。
【0024】
好ましくは、第1の親成分はセメント粉末であることを提供することができる。
【0025】
さらに、好ましくは、プランジャはカートリッジの内部を気密になるように2つのセクションに分割することを提供することができる。このことは、プランジャが後方側の方向に移動することで、カートリッジの内部に減圧を生み出し、少なくとも混合プロセスの終わりまで維持できることを保証することができる。
【0026】
カートリッジの内部は筒状の形状を有する。筒状の形状は最も単純であり、その筒状の形状を用いてカートリッジの内部を実現することができる。幾何学的な用語では、筒状の形状とは、任意のベース領域を有する一般的なシリンダの形状であり、すなわち、円形のベースを有するシリンダだけではない。したがって、内部の境界を定める内壁は、任意のベースを有するシリンダとすることができ、カートリッジのシリンダバレルが存在する場合にそのバレルは、任意のベースを有する、すなわち、やはり円形でないかまたは丸形でないベースを有するシリンダとすることもできる。しかし、本発明によれば、第1のカートリッジの内部には、回転対称を有する筒状の形状、具体的には、円形のベースが好ましい。というのは、円形のベースは生産が最も簡単であり、プランジャが内部で軸方向に移動されるときに内部で詰まることがより簡単ではなくなるからである。さらに、プランジャが移動する間に内部の内壁とプランジャとの間の予期される漏出の可能性が低い。
【0027】
プランジャがカートリッジの筒状内部で軸方向に移動可能であるとは、プランジャが筒状内部のシリンダの軸に沿って軸方向に移動可能であるという意味である。
【0028】
本発明によれば、プランジャは送出プランジャであり、その送出プランジャによって、混合された骨セメントペーストは、送出プランジャをカートリッジヘッドの方向に前進させることによって、カートリッジから、送出開口部を通して、または送出パイプもしくは中空の混合ロッドを通して押し出し可能であることを提供することができる。
【0029】
内部の後方側はカートリッジの後方側でもある。
【0030】
本発明による収納混合装置では、カートリッジの内部のプランジャは、ロッドまたは別の動力伝達手段によって、内部の後方側の方向に手動で押すことが可能または引っ張ることが可能であり、好ましくは、ロッドまたは動力伝達手段を操作するための作動手段またはハンドルが、ロッドまたは動力伝達手段に取り付けられることを提供することができる。
【0031】
このように、手動で単純かつ直接的に減圧を生み出すことができ、手動で単純に押出し装置を、したがって、モノマー液を作動することができ、このことは、一方で、起こり得る不具合のリスクを低減し、他方で、モータ、エネルギー蓄積部、または制御装置など複雑かつ高価な構造要素を避ける。さらに、このことは、収納混合装置の単純かつ安全な操作性を保証することができる。
【0032】
フィルタが、具体的には、有孔フィルタが、カートリッジヘッド、供給孔、および/または流体ラインに配置され、フィルタは、モノマー液は透過し粉末状の第1の親成分は透過しないことをさらに提供することができる。
【0033】
これは、セメント粉末または粉末状の第1の親成分が流体ラインにモノマー液の位置まで入り込んで、そこでモノマー液と早まって反応し、凝固またはゲル化し、その結果流体ラインを遮断することを防止する。そのために、フィルタは、好ましくは、カートリッジヘッド、供給孔、または流体ラインにおいて供給孔の領域に配置される。
【0034】
好ましくは、プランジャは、減圧がモノマー液を流体ラインからカートリッジの内部に吸引できる程度に、前方側の反対側に位置する筒状内部の後方側から離間することも提供することができる。
【0035】
このように、プランジャのストロークは、受容部中への押出し装置の移動によって起こる輸送に加えて、カートリッジの内部に生み出される減圧を用いて、流体ラインを通してカートリッジの内部にモノマー液を吸引するのにも十分である。
【0036】
そのために、プランジャは、後方側に達するまでプランジャが変位するための空間が、吸入されることになるモノマー液の体積に少なくとも等しく、好ましくは、流体ラインおよび受容部の体積に少なくとも等しくなるように(または等しくなる程度に)筒状内部の後方側から離間することをさらに提供することができる。
【0037】
本発明のさらなる発展形態が、収納混合装置は、カートリッジとも受容部とも別個でありモノマー液が収容される、容器を有し、その容器は、具体的には開口部を介して、受容部に連結され、好ましくは、モノマー液を収容する閉止されたガラスアンプルまたはフォイルバッグが、容器に配置されるかまたは配置可能であり、ガラスアンプルは、容器内で壊して開口することが可能であるか、またはフォイルバッグは、容器内で刺して開口できるかもしくは裂いて開口できることを提案する。
【0038】
このように、全ての親成分、すなわち、2つの親成分(第1の粉末状の親成分としてのセメント粉末および第2の親成分としてのモノマー液)が、既に収納混合装置に収容され、より長い期間にわたってそこに収納することもでき、収納混合装置内で混合可能である、いわゆるフルプリパック式混合システムが、提供される。
【0039】
こうした収納混合装置では、カートリッジ、受容部、別個の容器、および流体ラインは、共通のスタンドに連結され、受容部、容器、および流体ラインはスタンドに恒久的に連結され、カートリッジはスタンドに解放可能なように連結され、カートリッジは、好ましくは、ねじ山によってスタンドに螺合されるかまたは係止機構によってスタンドに連結されることを提供することができる。
【0040】
このことは収納混合装置の使用を単純化する。手術室では、ほとんどの場合にテーブルなどの平坦な面が存在し、したがって、収納混合装置を手で保つ必要なく、スタンドを用いて収納混合装置を設置し使用することができる。このことは、収納混合装置の使用をさらに単純化する。
【0041】
モノマー液容器が、具体的には、フォイルバッグまたはガラスアンプルが、別個の容器に収容され、モノマー液が開口されるモノマー液容器から受容部中に流出するように別個の容器内で開口可能であり、好ましくは、外側から操作可能なモノマー液容器を開口する開口装置が、容器に配置されることをさらに提供することができる。
【0042】
このように、全ての親成分、すなわち、2つの親成分(第1の粉末状の親成分としてのセメント粉末および第2の親成分としてのモノマー液)が、既に収納混合装置に収容され、内部に収納可能であり、収納混合装置内で混合可能である、いわゆるフルプリパック式混合システムが提供される。ガラスアンプル、または好ましくはアルミニウムで被覆されたフォイルバッグが、PMMA骨セメントペーストを生み出すための第2の親成分としてモノマー液を長期にわたって収納するのに特に適切である。このことは、収納混合装置の使用を単純化し容易にする。
【0043】
最初に追加の力の影響なしにモノマー液が受容部に流入できるようにするために、重力が所望の流動方向を生み出すように、収納混合装置は適正に設置しなければならない。それゆえ、本発明の文脈で用いられる用語「上部で(at the top)」および「底部で(at the bottom)」、ならびに「上方(above)」および「下方(below)」は常に、収納混合装置の適正な設置に関連付けられる。
【0044】
モノマー液を収納するためのチャンバをいくつか有するモノマー液容器を使用することもできる。したがって、モノマー液容器は、本発明の文脈では、別個の容器に導入可能であり開口装置によって開口可能である、別々の複数の個別の部分的なモノマー液容器としても理解される。
【0045】
受容部につながるライン内に、またはカートリッジへの流体ライン内もしくは流体ライン上にも、スクリーンまたはフィルタが配置され、そのスクリーンまたはフィルタを用いて、開口されたモノマー液容器の断片または切れ端を保持できることを提供することができる。スクリーンまたはフィルタは、好ましくは、容器において、モノマー液容器のすぐ下に位置する。
【0046】
モノマー液を流体ラインに流すための作動手段として重力を用いることに関する本発明のさらなる発展形態が、モノマー液容器用の別個の容器が受容部の上方に配置されることを提案する。その結果、モノマー液は、モノマー液容器が開口された後に重力によって、モノマー液容器から下向きに流出して受容部に達することができる。
【0047】
本発明の好ましいさらなる発展形態によれば、カートリッジの内部においてプランジャとカートリッジヘッドとの間に混合装置が配置され、その混合装置によって、第1の親成分は、カートリッジの内部においてモノマー液と混合可能であることを提供することができる。
【0048】
このように、第1の親成分は、可能な限り均質な骨セメントペーストを生み出すために、カートリッジの内部でモノマー液と十分に混合することができる。混合装置は、好ましくは、外側から手動で操作することができる。
【0049】
本明細書では、混合装置は、混合ロッドによってカートリッジを外側から操作可能であり、混合ロッドは、気密になるようにカートリッジヘッドを貫通し、回転可能であり軸方向に移動可能であり、混合ロッドは、好ましくは、送出開口部を貫通することを提供することができる。
【0050】
このように、混合装置は、収納混合装置の外側から手動で単純かつ強力に操作することができる。さらに、ユーザは、混合装置の移動に対する抵抗に基づいて、骨セメントペーストの粘度を、したがって、骨セメントペーストの扱い易さを良好に推定することができる。
【0051】
本発明によれば、カートリッジの外側でカートリッジヘッドの領域に締結手段、具体的には、雄ねじを設けることを提供することができる。それに別個の送出パイプを取り付け可能である。しかし、好ましくは、中空の管状の混合ロッドが使用され、そのロッドによって、混合装置は操作可能であり、内部に減圧を生み出すために内部のプランジャは内部の後方側の方向に押すことが可能であり、管状の混合ロッドは、閉鎖具が管状の混合ロッドから取り外された後に、送出パイプとして使用することができる。その場合、もはや雄ねじは必要ないが、レディミクスト骨セメントペーストを押し出して施用するために、雄ねじはカートリッジヘッドの方向にプランジャを前進させるための送出装置または押出し装置にカートリッジを取り付けるために使用することもできる。送出開口部を閉止するために、管状の混合ロッドを外側に対して閉止する、抜き取り可能なコアが中空の混合ロッド内に配置される。
【0052】
プランジャは、混合ロッドによって、カートリッジの内部の後方側の方向に押すことが可能であることをさらに提供することができる。
【0053】
このように、プランジャは、押出し装置を受容部中に押しカートリッジの内部に減圧を生み出すために混合装置を、すなわち、混合ロッドを作動させるために使用されるのと同じ装置によって作動することができる。その結果、両機能または3つ全ての機能のために共通の装置が1つだけ必要であり、収納混合装置は、両目的または3つ全ての目的に役立つようにシールしなければならない供給孔を1つだけ必要とする。
【0054】
混合ロッドは、手動で取り外し可能なコアが配置される送出パイプであり、したがって、混合された骨セメントペーストはカートリッジの内部から、コアのない送出パイプを通して排出可能になることをさらに提供することができる。
【0055】
そのために、送出パイプは、好ましくは前もって、カートリッジの内部から停止具の位置まで引っ張られる。混合ロッドが送出パイプとして使用される場合は、収納混合装置に取り付けなければならなくなる追加のまたは別個の送出パイプは必要とされない。そのために、混合ロッドは、送出開口部内を案内されるかまたは送出開口部を貫通し、カートリッジヘッドに対してシールされ、軸方向に移動可能であり、回転可能である。
【0056】
あるいは、収納混合装置は、カートリッジに、好ましくは、カートリッジの締結手段に取り付け可能なスタティックミキサを有する別個の送出パイプを有し、特に好ましくは、カートリッジ上の雄ねじに合う雌ねじが送出パイプに設けられ、かつ/またはバヨネットマウントの要素および/もしくは係止機構の係止要素が設けられることを提供することができる。
【0057】
本発明は、カートリッジの内部の内側では、後方側の方向のプランジャの移動を制限する停止具が後方側に設けられることも提案する。
【0058】
これは、プランジャが内部の後方側を越えて変位できること、および骨セメントペーストが意図せずに外側に到達することを防止する。
【0059】
プランジャは、内部の後方側の領域においてカートリッジの内面上の相補的な係止要素と解放可能なように係合可能な係止要素を少なくとも1つ有することも提供することができる。
【0060】
このように、プランジャは、後方側の位置まで移動されたときに、適位置に保たれる。このことは、内部の内容物を混合する間のプランジャの意図しない移動、および係止位置を越えるプランジャの移動を防止する。レディミクスト骨セメントペーストを送出するために、係止機構は簡単に解放することができる。
【0061】
本発明による収納混合装置では、カートリッジ、受容部、カートリッジヘッド、およびプランジャは、好ましくは、押出し装置としてのポンププランジャは、プラスチックから作製され、好ましいプラスチックは、ポリエチレン‐co‐ビニルアルコール(EVOH)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリメタクリル酸メチルエステルco‐アクリロニトリルであることを提供することができる。
【0062】
好ましい収納混合装置は、気体透過性の開口部が、具体的には、閉止可能な気体透過性の開口部が、カートリッジヘッドに配置され、気体は透過し固体粒子は透過しない有孔ディスクが、第1の親成分と開口部との間に配置され、有孔ディスクは、好ましくは、カートリッジヘッドに配置されることを特徴とすることもできる。
【0063】
このように、エチレンオキシドなどの殺菌ガスを用いて、カートリッジの内部で収納混合装置の殺菌を行うこともできる。開口部は、好ましくは、送出開口部の隣に配置され、閉鎖具によって閉止可能である。
【0064】
カートリッジヘッドにおいて有孔ディスクの上方に開口部が配置され、その開口部は、気密になるように閉止可能であり、少なくとも20mm
2の面積を有し、周囲の大気につながることを提供することができる。
【0065】
本発明によれば、プランジャは送出プランジャであり、その送出プランジャによって、混合された骨セメントペーストは、送出プランジャをカートリッジヘッドの方向に前進させることによって、カートリッジから、送出開口部を通して、または送出パイプもしくは中空の混合ロッドを通して押し出し可能であることを提供することができる。
【0066】
好ましくは、収納混合装置が適正に設置されると、カートリッジヘッドは上部に配置され、カートリッジの後方側は底部に配置される。さらに、受容部は、好ましくは、供給孔の下方に配置されるか、または供給孔よりも低い高さに配置される。このように、モノマー液は、意図せずに、すなわち、カートリッジの後方側の方向にプランジャを作動することなく、カートリッジに流入できることが防止される。
【0067】
好ましくは、モノマー液を受容部中に導入するための開口部が、押出し装置の領域に配置され、その開口部は、押出し装置が受容部中に移動を開始したときに押出し装置を押し込むことによって閉止されることを提供することもできる。
【0068】
このことは、押出し装置が、受容部に収容されたモノマー液を、開口部を通すのではなく、流体ラインに押し込むことを保証する。
【0069】
本発明による第1の好ましい実施形態によれば、受容部は、カートリッジの後方側に配置され、プランジャは、カートリッジの後方側の方向に移動する間に押出し装置を受容部中に押し、押出し装置とプランジャとの間の領域は、好ましくは、外側に向かって開かれることを提供することができる。
【0070】
このように、押出し装置はプランジャによって機械的に作動でき、そうすることによって、特に高い力が押出し装置に作用でき、高い圧力を用いてモノマー液が受容部から押し出され流体ラインを通ってカートリッジの内部に至ることを可能にする。プランジャと押出し装置との間の領域が開口することで、捕捉された空気が逃げることができ、したがって、押出し装置への圧力が小さいかまたはないときに、その領域がガススプリングとして働いて意図せずにプランジャを後方にカートリッジヘッドの方向に移動させることを防止することを保証する。
【0071】
本実施形態では、プランジャが第1のセクションにおいてカートリッジの後方側の方向に移動されるときに、押出し装置が移動されることなく、まずカートリッジの内部に減圧が増強され、さらに、プランジャが第2のセクションにおいて移動されるときに、押出し装置が受容部の中に押されるように、プランジャは押出し装置から離間することも提供することができる。
【0072】
このことは、モノマー液がカートリッジの内部に流入するかまたはカートリッジの内部に押し込まれる前に、カートリッジの内部の気体がまず消費され、第1の親成分の粉末粒子間を逃げることができることを保証する。
【0073】
押出し装置はポンププランジャであり、受容部は、ポンププランジャが軸方向に移動可能な中空シリンダであり、具体的には筒状本体の形態の、延長部分が、ポンププランジャの上側に配置され、延長部分はカートリッジの内部の内径以下の外径を有し、延長部分を有するポンププランジャは、延長部分がカートリッジの内部に突出するように中空シリンダに配置されることをさらに提供することができる。
【0074】
このように、ポンププランジャは、カートリッジの内部を移動するプランジャがポンププランジャの延長部分に圧力をかけて、中空シリンダ内でポンププランジャを前進させるという単純な手法で、プランジャによって作動することができる。その結果、モノマー液は、中空シリンダから押し出されて流体ラインを通ってカートリッジに至る。したがって、プランジャは、アタッチメントがプランジャ上に位置しないがポンププランジャに装着されるので、混合された骨セメントペーストを押し出すための送出プランジャとして後で使用することができる。
【0075】
本発明による第2の好ましい代替の実施形態によれば、受容部は、閉止された中空シリンダによって境界を定められ、中空シリンダはカートリッジとは別個であり、中空シリンダでは、押出し装置としてのポンププランジャが軸方向に移動可能になるように支持され、ポンププランジャは、中空シリンダの内壁と周囲において密に接触する状態にあり、中空シリンダは、第1の、好ましくは、下側のベースで、流体ラインに連結され、第2の、好ましくは、上側のベースで、カートリッジの後方側の圧縮気体ラインまたは液圧ラインを介してカートリッジの内部に連結され、カートリッジの後方側は、圧縮気体ラインまたは液圧ラインにつながるマウス部を除いて閉止され、そうすることで、プランジャが内部の後方側の方向に移動する間に、プランジャと後方側との間に過剰圧力または圧力が生み出され、その過剰圧力または圧力は、圧縮気体ラインまたは液圧ラインを通って中空シリンダに至ることを提供することができる。
【0076】
このように、中空シリンダのポンププランジャは、ピストンの移動によって生み出されプランジャとカートリッジの後方側との間の空間の作動流体にかけられる、過剰圧力または圧力を用いて作動することができる。そのために、ポンププランジャは、好ましくは、中空シリンダの第1の(上側の)ベースに接して着座し、かつ/または中空シリンダの第2の(下側の)ベースから離間する。中空シリンダは、好ましくは、足元部分に恒久的に連結される。
【0077】
本発明が取り組む目的は、本発明による収納混合装置を用いて、骨セメントの、具体的には、2成分ポリメチルメタクリレート骨セメントの親成分を混合する方法であって、
a)プランジャがカートリッジの筒状内部の後方側の方向に移動されるステップであって、プランジャの前記移動によって、カートリッジの内部においてプランジャとカートリッジヘッドとの間に減圧が生み出される、ステップと、
b)プランジャの前記移動によって、押出し装置が受容部の中に押され、そうすることによって、押出し装置の前記移動によって、受容部に収容されるモノマー液が流体ラインを通してカートリッジの内部に押し込まれる、ステップと、
c)モノマー液と第1の親成分とが混合されて、カートリッジの内部に骨セメントペーストを形成する、ステップと、
d)骨セメントペーストは、プランジャをカートリッジヘッドの方向に前進させることによって、カートリッジの内部から排出される、ステップと、
を特徴とする方法によっても達成される。
【0078】
ステップa)とb)とは、少なくとも場合によっては同時に行うことができ、ステップc)とd)とは、時間の経過順に互いの後に行われ、ステップa)およびb)の後にも時間の経過順に行われる。ステップa)とb)とは、押出し装置が場合によってはまたはプランジャの移動の間はずっと受容部中で作動するので、少なくとも場合によっては同時に行うことができる。
【0079】
本明細書では、モノマー液は、カートリッジの内部の減圧によって、流体ラインからカートリッジの内部に吸引されることを提供することができる。
【0080】
このように、カートリッジで生み出された減圧は、押出し装置によってかけられる圧力に加えて、モノマー液を受容部の外に移動させるためにも使用される。カートリッジの内部の減圧は、プランジャの移動の間に既に増強され、この減圧によって既に、モノマー液をカートリッジの内部に吸引させることができる。
【0081】
モノマー液は、ステップa)の前に、具体的には、モノマー液容器が収納混合装置の容器内で開口された後で、受容部に導入されることをさらに提供することができる。
【0082】
このように、本方法は、モノマー液が収納混合装置においてガラスアンプルまたは金属被覆したフォイルバッグなど専用のモノマー液容器に長期間にわたって収納することもできるので、フルプリパック式システムにとって使用可能になる。
【0083】
ステップa)では、プランジャは、混合ロッドによって、カートリッジの後方側の方向に押され、混合ロッドは、カートリッジヘッドにおいて、気密性の供給孔に、具体的には、送出開口部に、移動可能なように支持され、ステップc)では、モノマー液は、カートリッジの内部においてプランジャとカートリッジヘッドとの間で混合ロッドに連結される混合装置を移動させることによって、混合ロッドを、したがって、混合装置を移動させることによって、第1の親成分と混合されることをさらに提供することができる。
【0084】
このように、カートリッジの内部で混合装置を移動させるために存在する混合ロッドは、プランジャを移動させるためにも、したがって、押出し装置を移動させてカートリッジの内部に減圧を生み出すためにも使用される。特に好ましくは、この混合ロッドはチューブとして設計することもでき、したがって、混合された骨セメントペーストを施用するための送出パイプとしても使用される。
【0085】
本明細書では、混合装置は、混合ロッドによってカートリッジヘッドに向かって引っ張られ、ステップc)とd)との間に、コアが混合ロッドから取り外され、そうすることで、コアなしの混合ロッドが送出パイプを形成し、ステップd)では、混合された骨セメントペーストは、送出パイプを通してカートリッジの内部から押し出されることをやはり提供することができる。
【0086】
このように、混合ロッドは送出パイプとしても使用可能になり、送出開口部は、混合ロッドが送出開口部を貫通するために使用可能である。
【0087】
本発明による方法のさらなる発展形態が、ステップd)の前に、カートリッジは、収納混合装置から切り離され、押出し装置に挿入され、ステップd)では、押出し装置によって、プランジャは、骨セメントペーストをカートリッジの内部から排出するために、タペットまたは前進可能なロッドを用いてカートリッジヘッドの方向に押されることを提供することができる。
【0088】
このように、カートリッジは、レディミクスト骨セメントペーストを施用するために、収納混合装置とは別個に使用することができる。このことは、施用中の取り扱いを容易にする。
【0089】
受容部は中空シリンダであり、押出し装置は、中空シリンダにおいて縦方向に移動可能になるように配置されるポンププランジャであり、ポンププランジャは、プランジャを用いて圧力をかけることによって中空シリンダにおいて移動されるか、または内部においてカートリッジの後方側とプランジャとの間に生み出される過剰圧力もしくは圧力による気圧もしくは液圧によって移動され、好ましくは、過剰圧力は、圧縮気体ラインを通って中空シリンダに至るか、または圧力は、液圧ラインを通って中空シリンダに至ることをさらに提供することができる。
【0090】
このように、ポンププランジャを移動させるために必要な力は、単純にカートリッジにおいてプランジャを移動させることから得られる。このことは、収納混合装置において異なる複数のプロセスを行うためにプランジャを作動させることが十分であることを意味する。
【0091】
モノマー液容器は、具体的には、ガラスアンプルまたはフォイルバッグは、ステップa)およびb)の前に収納混合装置において開口され、モノマー液は、モノマー液容器から流出し、受容部に流入し、好ましくは、スクリーンおよび/またはフィルタを通して受容部に流入することも提供することができる。
【0092】
本発明によれば、ステップa)の前にカートリッジヘッドが気密性になるように閉止されることも提供することができる。このことは、カートリッジの内部に減圧を生み出すことが可能であり、減圧下で親成分を混合でき、必要な場合は、減圧を用いてモノマー液を吸入することもできることを保証する。しかし、同時に、カートリッジの内部はまず、開口されたカートリッジヘッドを通してエチレンオキシドなどの殺菌ガスを用いて殺菌することができる。
【0093】
本発明による収納混合装置および本発明による方法は、理論上は、移動可能なプランジャがそれぞれに配置される複数のカートリッジを用いて実現することもできる。こうした解決策は、本明細書でも本発明によればカートリッジが1つだけ動作するかまたは個別に動作可能であるときは、本発明の範囲内にあると理解される。
【0094】
本発明は、混合された骨セメントペーストをカートリッジから送出するためにも使用されるプランジャはまず、押出し装置を作動させるために使用でき、その押出し装置によって、骨セメントと混合されることになるモノマー液を受容部からカートリッジの内部に押し出すことができるという驚くべき認識に基づく。さらに、驚くべきことに、同じプランジャを使用して、減圧を生み出し、したがって、モノマー液を吸入できることが分かった。減圧を生み出すためにプランジャを動作または移動させるように混合ロッドも使用する場合は、本明細書では追加の構造要素を避けることができる。さらに、混合ロッドは、必要な構造要素の数を最小限に抑えるために、送出パイプとして使用することもできる。本明細書では、その考えは、最初にプランジャはカートリッジの内部の後方側に接して着座せず、そこから離間するということである。そのとき、カートリッジの内部の後方側に到達するまでのプランジャのストロークは、押出し装置を作動させるために使用でき、押出し装置によって、モノマー液をカートリッジの内部に押し込み、カートリッジの内部に減圧を生み出すことができ、減圧は気泡がないかまたは少ない骨セメントを混合するために使用でき、減圧によって、モノマー液をカートリッジの内部に吸引することができる。したがって、減圧の残りを用いて、減圧下で一緒に親成分を混合することができ、そうすることで、生み出される骨セメントペーストに形成される気体または空気の混入は可能な限り少なくなる。
【0095】
本発明によるポリメチルメタクリレート骨セメント用の第1の収納混合装置は、例えば、
a)筒状カートリッジと、
b)筒状カートリッジで軸方向に移動可能なプランジャと、
c)混合ロッド用の供給孔を有するカートリッジヘッドと、
d)カートリッジヘッドの供給孔を通して軸方向に変位可能な混合ロッドと、
e)カートリッジの内部に配置される、混合ロッドの端部に連結される混合装置と、
f)混合ロッドの外側の端部に配置される作動手段と、
g)カートリッジの外側に配置される少なくとも1つのモノマー液容器と、
h)モノマー液容器のための開口装置と、
から構成され、
i)少なくとも1つのモノマー液容器は、開口部によって液体を透過するように中空シリンダに連結され、モノマー液容器は開口部の上方に配置され、
本装置はさらに、
j)中空シリンダの閉止されたベースにおいて、カートリッジ、カートリッジヘッド、およびプランジャから形成された空所と中空シリンダを、液体を透過するように連結する、流体ラインと、
k)カートリッジ、カートリッジヘッド、およびプランジャによって形成された空所に配置される、セメント粉末と、
からも構成され、
l)中空シリンダは、上側で蓋によって閉止され、その蓋は、圧縮気体ラインによってカートリッジの後方側に気体を透過するように連結され、
m)軸方向に移動可能なポンププランジャが、中空シリンダにおいて中空シリンダの開口部の上方に配置され、カートリッジは、解放可能なようにかつ気密になるようにカートリッジホルダに連結される。
【0096】
本発明によるポリメチルメタクリレート骨セメント用の別の代替の収納混合装置は、例えば、
a)筒状カートリッジと、
b)筒状カートリッジで軸方向に移動可能なプランジャと、
c)混合ロッド用の供給孔を有するカートリッジヘッドと、
d)カートリッジヘッドの供給孔を通して軸方向に変位可能な混合ロッドと、
e)カートリッジの内部に配置される、混合ロッドの端部に連結される混合装置と、
f)混合ロッドの外側の端部に配置される作動手段と、
g)カートリッジの外側に配置される少なくとも1つのモノマー液容器と、
h)モノマー液容器のための開口装置と、
i)カートリッジ、カートリッジヘッド、およびプランジャによって形成された空所に配置される、セメント粉末と、
から構成され、
j)環状のカートリッジホルダが、足元部分でカートリッジの下方に配置され、カートリッジは、カートリッジホルダに解放可能なように連結され、
本装置はさらに、
k)カートリッジホルダの下方に配置される中空シリンダであって、少なくとも1つのモノマー液容器が、開口部によって、液体を透過するように中空シリンダに連結され、モノマー液容器は開口部の上方に配置される、中空シリンダと、
からも構成され、
l)中空シリンダは下側でベースによって閉止され、その底部は、液体を透過するように流体ラインに連結され、
m)軸方向に移動可能なポンププランジャが、中空シリンダにおいて中空シリンダの開口部の上方に配置され、
n)ポンププランジャの上側には筒状本体が配置され、その本体は、カートリッジの内径以下の外径を有し、筒状本体を有するポンププランジャは、筒状本体の上側端部がカートリッジの内部に突出するように中空シリンダに配置される。
【0097】
本明細書では、好ましくは、プランジャは、カートリッジ、カートリッジベース、およびプランジャによって形成される変位のための空間が、流体ラインおよび少なくとも1つのモノマー液容器の全体積以上の体積を有するように、カートリッジに軸方向に配置されることを提供することができる。
【0098】
混合ロッド用の供給孔は、送出開口部によって実現されるか、または混合ロッドが送出パイプとして使用されるときは本明細書ではそのように呼ばれる。作動手段は例えばハンドルとすることができ、ハンドルによって混合ロッドは手動で操作可能である。
【0099】
本発明によれば、本明細書では足元部分を設けることができ、カートリッジは足元部分に解放可能なように連結され、足元部分は少なくとも1つのモノマー液容器に恒久的に連結される。
【0100】
カートリッジヘッドには有孔ディスクが配置され、そのディスクは、気体および液体を透過し、気体透過性の供給孔に連結され、空所を閉止して、気体および液体が通ることは可能にし、固体粒子が通ることは可能にしないことをさらに提供することができる。
【0101】
カートリッジヘッドにおいて有孔ディスクの上方に開口部が配置され、その開口部は気密になるように閉止可能であり、少なくとも20mm
2の面積を有し、周囲の大気につなげられる。
【0102】
本発明によれば、プランジャは少なくとも1つの係止要素を有し、その係止要素はカートリッジベースの上方のカートリッジの内面上の相補的な係止要素と解放可能なように係合することができることをさらに提供することができる。
【0103】
本発明は、例えば、ポリメチルメタクリレート骨セメントを混合および送出する方法を含む。前記方法は、以下の連続するステップ、
a)気密になるようにカートリッジヘッドを閉止するステップと、
b)少なくとも1つのモノマー液容器を開口するステップと、
c)モノマー液容器から開口部を通して中空シリンダ中にモノマー液を流すステップと、
d)カートリッジベース(カートリッジの内部の後方側)の方向に混合ロッドの作動手段を押すステップと、
e)混合ロッドによってカートリッジベースの方向にプランジャを変位させるステップと、
f)カートリッジ、カートリッジヘッド、およびプランジャによって形成された(カートリッジの内部の)空所に減圧を生み出すステップと、
g)カートリッジ、カートリッジの閉止された後方側、およびプランジャによって形成された(カートリッジの内部の)空所に過剰圧力を生み出すステップと、
h)過剰圧力を中空シリンダに、圧力ラインを通して軸方向に変位可能なポンププランジャの上方に送るステップと、
i)中空シリンダのベースの方向にポンププランジャを移動させるステップと、
j)生み出された減圧によって、さらに、ポンププランジャがベースの方向に移動されることによって、モノマー液を中空シリンダから押し出すことによって、モノマー液を中空シリンダから流体ラインを通してカートリッジの内部に移送するステップと、
k)混合装置の軸方向の移動および回転移動によって、混合ロッドの作動要素を手動で作動させることによって、セメント粉末をモノマー液と混合するステップと、
l)混合ロッドをカートリッジヘッドに向かって引っ張るステップと、
m)コアを中空の混合ロッドから取り外すステップと、
n)カートリッジを押出し装置に挿入するステップと、
o)押出し装置を作動させるステップであって、プランジャがカートリッジヘッドの方向に移動される、ステップと、
p)混合された骨セメントペーストをカートリッジから中空の混合ロッドを通して押し出すステップと、
を特徴とする。
【0104】
本方法は、本発明による前述の第1の収納混合装置を利用するように設計され、その動作手法を反映する。
【0105】
本発明は、例えば、ポリメチルメタクリレート骨セメントを混合および送出する代替の方法も含む。前記代替の方法は、以下の連続するステップ、
a)気密になるようにカートリッジヘッドを閉止するステップと、
b)少なくとも1つのモノマー液容器を開口するステップと、
c)モノマー液容器から開口部を通して中空シリンダ中にモノマー液を流すステップと、
d)カートリッジベース(カートリッジの内部の後方側)の方向に混合ロッドの作動手段を押すステップと、
e)混合ロッドによってカートリッジベースの方向にプランジャを変位させるステップと、
f)カートリッジ、カートリッジヘッド、およびプランジャによって形成された(カートリッジの内部の)空所に減圧を生み出すステップと、
g)カートリッジの後方側の方向にプランジャを軸方向に変位させることによって、ポンププランジャの筒状本体を変位させるステップと、
h)生み出された減圧によって、さらに、ポンププランジャがベースの方向に移動されることによって、モノマー液を中空シリンダから押し出すことによって、モノマー液を中空シリンダから流体ラインを通してカートリッジの内部に移送するステップと、
i)混合装置の軸方向の移動および回転移動によって、混合ロッドの作動要素を手動で作動させることによって、セメント粉末をモノマー液と混合するステップと、
j)混合ロッドをカートリッジヘッドに向かって引っ張るステップと、
k)コアを中空の混合ロッドから取り外すステップと、
l)カートリッジを押出し装置に挿入するステップと、
m)押出し装置を作動させるステップであって、プランジャがカートリッジヘッドの方向に移動される、ステップと、
n)混合された骨セメントペーストをカートリッジから中空の混合ロッドを通して押し出すステップと、
を特徴とする。
【0106】
代替の方法は、本発明による前述のさらなる代替の収納混合装置を利用するように設計され、その動作手法を反映する。
【0107】
本発明を決して限定することなく、13の概略図を参照しながら以下で本発明のさらなる実施形態を説明する。