特許第6564010号(P6564010)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6564010パーソナルオーディオデバイスにおける適応雑音消去(ANC)の有効性推定および補正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564010
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】パーソナルオーディオデバイスにおける適応雑音消去(ANC)の有効性推定および補正
(51)【国際特許分類】
   G10K 11/178 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   G10K11/178 120
【請求項の数】21
【外国語出願】
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-251648(P2017-251648)
(22)【出願日】2017年12月27日
(62)【分割の表示】特願2016-500285(P2016-500285)の分割
【原出願日】2014年2月18日
(65)【公開番号】特開2018-84833(P2018-84833A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2017年12月27日
(31)【優先権主張番号】61/779,266
(32)【優先日】2013年3月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/029,159
(32)【優先日】2013年9月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504371240
【氏名又は名称】シラス ロジック、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ニン リ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ ジョン ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ディー. ヘンドリックス
(72)【発明者】
【氏名】ジー スー
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー アルダーソン
(72)【発明者】
【氏名】ミラーニ アリ アブドラーザデー
【審査官】 大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特許第6280199(JP,B2)
【文献】 国際公開第2012/166386(WO,A2)
【文献】 特開2007−093962(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0014685(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 11/178
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルオーディオデバイスであって、前記パーソナルオーディオデバイスは、
パーソナルオーディオデバイス筐体と、
前記筐体上に搭載された変換器であって、前記変換器は、聴取者への再生のためのソースオーディオと、前記変換器の音響出力内の周囲オーディオ音の影響を打ち消すための反雑音信号の両方を含むオーディオ信号を再現する、変換器と、
前記筐体上に搭載された基準マイクロホンであって、前記基準マイクロホンは、前記周囲オーディオ音を示す基準マイクロホン信号を提供する、基準マイクロホンと、
前記変換器に近接して前記筐体上に搭載されたエラーマイクロホンであって、前記エラーマイクロホンは、前記変換器の音響出力および前記変換器における前記周囲オーディオ音を示すエラーマイクロホン信号を提供する、エラーマイクロホンと、
エラー信号および前記基準マイクロホン信号と一致するように、前記聴取者によって聞き取られる前記周囲オーディオ音の存在を低減させるために、第1の適応フィルタを適応させることによって、前記反雑音信号を前記基準マイクロホン信号から適応的に生成する処理回路と
を備え、
前記処理回路は、前記ソースオーディオを成形する二次経路応答を有する二次経路適応フィルタと、前記エラー信号を提供するために前記ソースオーディオを前記エラーマイクロホン信号から除去する結合器とを実装し、前記処理回路は、適応雑音消去利得を判定するために、前記反雑音信号の影響を含む、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と、前記反雑音信号の影響を含まない、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との比率を算出し、前記処理回路は、前記適応雑音消去利得と閾利得値とを比較し、前記処理回路は、前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを判定することに応答して、前記反雑音信号に措置を講じ、前記処理回路は、第1の低域フィルタを用いて、前記エラー信号をフィルタ処理し、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標を生成し、前記処理回路は、第2の低域フィルタを用いて、前記基準マイクロホン信号をフィルタ処理し、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標を生成し、
前記処理回路は、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との第1の比率として前記比率を算出し、低周波数範囲のための第1の適応雑音消去利得として前記適応雑音消去利得を判定し、前記処理回路は、前記第1の低域フィルタおよび第2の低域フィルタの周波数範囲よりも高い周波数範囲のための第2の比率を算出し、前記処理回路は、前記第2の比率を、前記反雑音信号の影響を含む、前記より高い周波数範囲内における前記エラー信号の大きさの第3の指標から、前記反雑音信号の影響を含まない、前記より高い周波数範囲内における前記エラーマイクロホン信号の大きさの第4の指標までと算出し、前記処理回路は、前記第1の比率が第1の閾値よりも大きい場合、および/または、前記第2の比率が第2の閾値よりも大きい場合、前記反雑音信号に講じられる措置を選択するように、前記第1の比率と前記第1の閾値とを比較し、前記第2の比率と前記第2の閾値とを比較する、パーソナルオーディオデバイス。
【請求項2】
前記処理回路は、前記二次経路応答のコピーを前記反雑音信号に印加し、修正された反雑音信号を生成し、前記修正された反雑音信号を前記エラーマイクロホン信号と組み合わせ、前記基準マイクロホン信号の大きさの第2の指標を生成する、請求項1に記載のパーソナルオーディオデバイス。
【請求項3】
前記処理回路は、前記第1の比率および前記第2の比率の変化を検出し、前記処理回路は、前記第1の比率と前記第2の比率との両方における比較可能な変化を検出することに応答して、前記二次経路応答を補正する措置を講じ、前記処理回路は、前記第2の比率のみにおける実質的変化を検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの応答を補正する措置を講じる、請求項1に記載のパーソナルオーディオデバイス。
【請求項4】
前記処理回路は、前記処理回路が前記第2の比率のみにおける前記実質的変化を検出する場合、前記第1の適応フィルタの適応を有効にし、前記処理回路が前記第1の比率と前記第2の比率との両方における前記比較可能な変化を検出する場合、前記第1の適応フィルタの適応を無効にする、請求項3に記載のパーソナルオーディオデバイス。
【請求項5】
前記処理回路は、前記第1の適応フィルタの利得を低減させることによって、措置を講じる、請求項1に記載のパーソナルオーディオデバイス。
【請求項6】
前記処理回路は、前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの係数の値のセットを記憶することによって、措置を講じ、前記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの係数の記憶された値のセットを復元することによって、措置を講じる、請求項1に記載のパーソナルオーディオデバイス。
【請求項7】
前記処理回路はさらに、前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、前記二次経路適応フィルタの係数の別の値のセットを記憶し、さらに、前記適応雑音消去利得が前記下限閾値未満であることを検出することに応答して、前記二次経路適応フィルタの係数の他の記憶された値のセットを復元する、請求項に記載のパーソナルオーディオデバイス。
【請求項8】
パーソナルオーディオデバイスによる周囲オーディオ音の影響を打ち消す方法であって、前記方法は、
エラー信号および基準マイクロホン信号と一致するように、聴取者によって聞き取られる前記周囲オーディオ音の存在を低減させるために、第1の適応フィルタを適応させることによって、前記基準マイクロホン信号から反雑音信号を適応的に生成することと、
前記反雑音信号とソースオーディオを組み合わせることと、
前記組み合わせの結果を変換器に提供することと、
基準マイクロホンを用いて、前記周囲オーディオ音を測定することと、
エラーマイクロホンを用いて、前記変換器の音響出力および前記周囲オーディオ音を測定することであって、前記エラーマイクロホンは、前記変換器の音響出力および前記変換器における前記周囲オーディオ音を示すエラーマイクロホン信号を提供するように構成されている、ことと、
前記ソースオーディオを成形する二次経路応答を有する二次経路適応フィルタと、前記エラー信号を提供するために前記ソースオーディオを前記エラーマイクロホン信号から除去する結合器とを実装することと、
第1の低域フィルタを用いて、前記エラー信号をフィルタ処理し、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標を生成することと、
第2の低域フィルタを用いて、前記基準マイクロホン信号をフィルタ処理し、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標を生成することと、
適応雑音消去利得を判定するために、前記反雑音信号の影響を含む、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と、前記反雑音信号の影響を含まない、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との比率を算出することと、
前記適応雑音消去利得と閾利得値とを比較することと、
前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを判定することに応答して、前記反雑音信号に措置を講じることと
を含み、
前記算出することは、低周波数範囲のための第1の適応雑音消去利得として前記適応雑音消去利得を判定するために、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との第1の比率として前記比率を算出し、前記第1の低域フィルタおよび第2の低域フィルタの周波数範囲よりも高い周波数範囲のための第2の比率を算出し、前記算出することは、前記第2の比率を、前記反雑音信号の影響を含む、前記より高い周波数範囲内における前記エラー信号の大きさの第3の指標から、前記反雑音信号の影響を含まない、前記より高い周波数範囲内における前記エラーマイクロホン信号の大きさの第4の指標までと算出し、前記方法はさらに、前記第1の比率が第1の閾値よりも大きい場合、および/または、前記第2の比率が第2の閾値よりも大きい場合、前記反雑音信号に講じられる措置を選択するように、前記第1の比率と前記第1の閾値とを比較し、前記第2の比率と前記第2の閾値とを比較することを含む、方法。
【請求項9】
前記二次経路応答のコピーを前記反雑音信号に印加し、修正された反雑音信号を生成することと、
前記修正された反雑音信号を前記エラーマイクロホン信号と組み合わせ、前記基準マイクロホン信号の大きさの第2の指標を生成することと
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の比率および前記第2の比率の変化を検出することと、
前記第1の比率と前記第2の比率との両方における比較可能な変化を検出することに応答して、前記二次経路応答を補正する措置を講じることと、
前記第2の比率のみにおける実質的変化を検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの応答を補正する措置を講じることと
をさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記措置を講じることは、
前記検出することが、前記第2の比率のみにおける前記実質的変化を検出する場合、前記第1の適応フィルタの適応を有効にすることと、
前記検出することが、前記第1の比率と前記第2の比率との両方における前記比較可能な変化を検出する場合、前記第1の適応フィルタの適応を無効にすることと
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記措置を講じることは、前記第1の適応フィルタの利得を低減させることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記措置を講じることは、
前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの係数の値のセットを記憶することと、
前記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの係数の記憶された値のセットを復元することと
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、前記二次経路適応フィルタの係数の別の値のセットを記憶することと、
前記適応雑音消去利得が前記下限閾値未満であることを検出することに応答して、さらに、前記二次経路適応フィルタの係数の他の記憶された値のセットを復元することと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
パーソナルオーディオデバイスの少なくとも一部を実装するための集積回路であって、前記集積回路は、
出力信号を出力変換器に提供するための出力であって、前記出力信号は、聴取者への再生のためのソースオーディオおよび前記変換器の音響出力内の周囲オーディオ音の影響を打ち消すための反雑音信号の両方を含む、出力と、
前記周囲オーディオ音を示す基準マイクロホン信号を受信するための基準マイクロホン入力と、
前記変換器の音響出力および前記変換器における前記周囲オーディオ音を示すエラーマイクロホン信号を受信するためのエラーマイクロホン入力と、
エラー信号および前記基準マイクロホン信号と一致するように、前記聴取者によって聞き取られる前記周囲オーディオ音の存在を低減させるために、第1の適応フィルタを適応させることによって、反雑音信号を前記基準マイクロホン信号から適応的に生成する処理回路と
を備え、
前記処理回路は、前記ソースオーディオを成形する二次経路応答を有する二次経路適応フィルタと、前記エラー信号を提供するために前記ソースオーディオを前記エラーマイクロホン信号から除去する結合器とを実装し、前記処理回路は、適応雑音消去利得を判定するために、前記反雑音信号の影響を含む、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と、前記反雑音信号の影響を含まない、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との比率を算出し、前記処理回路は、前記適応雑音消去利得と閾利得値とを比較し、前記処理回路は、前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを判定することに応答して、前記反雑音信号に措置を講じ、前記処理回路は、第1の低域フィルタを用いて、前記エラー信号をフィルタ処理し、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標を生成し、前記処理回路は、第2の低域フィルタを用いて、前記基準マイクロホン信号をフィルタ処理し、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標を生成し、
前記処理回路は、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との第1の比率として前記比率を算出し、低周波数範囲のための第1の適応雑音消去利得として前記適応雑音消去利得を判定し、前記処理回路は、前記第1の低域フィルタおよび第2の低域フィルタの周波数範囲よりも高い周波数範囲のための第2の比率を算出し、前記処理回路は、前記第2の比率を、前記反雑音信号の影響を含む、前記より高い周波数範囲内における前記エラー信号の大きさの第3の指標から、前記反雑音信号の影響を含まない、前記より高い周波数範囲内における前記エラーマイクロホン信号の大きさの第4の指標までと算出し、前記処理回路は、前記第1の比率が第1の閾値よりも大きい場合、および/または、前記第2の比率が第2の閾値よりも大きい場合、前記反雑音信号に講じられる措置を選択するように、前記第1の比率と前記第1の閾値とを比較し、前記第2の比率と前記第2の閾値とを比較する、集積回路。
【請求項16】
前記処理回路は、前記二次経路応答のコピーを前記反雑音信号に印加し、修正された反雑音信号を生成し、前記修正された反雑音信号を前記エラーマイクロホン信号と組み合わせ、前記基準マイクロホン信号の大きさの第2の指標を生成する、請求項15に記載の集積回路。
【請求項17】
前記処理回路は、前記第1の比率および前記第2の比率の変化を検出し、前記処理回路は、前記第1の比率と前記第2の比率との両方における比較可能な変化を検出することに応答して、前記二次経路応答を補正する措置を講じ、前記処理回路は、前記第2の比率のみにおける実質的変化を検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの応答を補正する措置を講じる、請求項15に記載の集積回路。
【請求項18】
前記処理回路は、前記処理回路が前記第2の比率のみにおける前記実質的変化を検出する場合、前記第1の適応フィルタの適応を有効にし、前記処理回路が前記第1の比率と前記第2の比率との両方における前記比較可能な変化を検出する場合、前記第1の適応フィルタの適応を無効にする、請求項17に記載の集積回路。
【請求項19】
前記処理回路は、前記第1の適応フィルタの利得を低減させることによって、措置を講じる、請求項15に記載の集積回路。
【請求項20】
前記処理回路は、前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの係数の値のセットを記憶することによって、措置を講じ、前記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの係数の記憶された値のセットを復元することによって、措置を講じる、請求項15に記載の集積回路。
【請求項21】
前記処理回路はさらに、前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、前記二次経路適応フィルタの係数の別の値のセットを記憶し、さらに、前記適応雑音消去利得が前記下限閾値未満であることを検出することに応答して、前記二次経路適応フィルタの係数の他の記憶された値のセットを復元する、請求項20に記載の集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して、適応雑音消去(ANC)を含む、ヘッドフォン等のパーソナルオーディオデバイスに関し、より具体的には、ANCシステムの性能が測定され、動作を調節するために使用される、ANCシステムのアーキテクチャ特徴に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
モバイル/携帯電話、コードレス電話等の無線電話、およびMP3プレーヤ等の他の消費者オーディオデバイスが、広く使用されている。明瞭度に関するそのようなデバイスの性能は、周囲音響事象を測定する基準マイクロホンを使用して、適応雑音消去(ANC)を提供し、次いで、信号処理を使用して、反雑音信号をデバイスの出力に挿入し、周囲音響事象を消去することによって、改良されることができる。
【0003】
しかしながら、そのようなデバイスにおけるANCシステムの性能は、監視することが困難である。ANCシステムが、常に、適応し得ないため、ユーザの耳に対するデバイスの位置が変化する場合、ANCシステムは、実際に、ユーザによって聞き取られる周囲雑音を増加させ得る。
【0004】
したがって、適応雑音消去を実装し、周囲音の消去を改善するために性能を監視することができる無線電話を含む、パーソナルオーディオデバイスを提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の開示)
適応雑音消去を有し、さらに、周囲音の消去を改善するために性能を監視することができるパーソナルオーディオデバイスを提供する上記に述べられた目的は、パーソナルオーディオシステム、動作方法、および集積回路において達成される。
【0006】
パーソナルオーディオデバイスは、聴取者への再生のためのソースオーディオと、変換器の音響出力内の周囲オーディオ音の影響を打ち消すための反雑音信号の両方を含む、オーディオ信号を再現するための出力変換器を含む。パーソナルオーディオデバイスはまた、適応雑音消去(ANC)機能性を提供する集積回路を含む。本方法は、パーソナルオーディオシステムおよび集積回路の動作方法である。基準マイクロホンが、デバイス筐体上に搭載され、周囲オーディオ音を示す基準マイクロホン信号を提供する。パーソナルオーディオシステムはさらに、反雑音信号が、周囲オーディオ音の実質的消去を生じさせるように、適応フィルタを使用して、反雑音信号を基準マイクロホン信号から適応的に発生させるためのANC処理回路を含む。エラー信号が、二次経路適応フィルタを用いて、変換器およびエラーマイクロホンを通した電気音響経路をモデル化することによって、変換器の付近に位置するエラーマイクロホンから発生される。推定された二次経路応答は、ソースオーディオ成分を判定し、エラーマイクロホン信号から除去するために使用される。ANC処理回路は、反雑音信号の影響を含むエラー信号の大きさの第1の指標と、反雑音信号の影響を伴わないエラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との比率を算出することによって、ANC性能を監視する。比率は、ANC利得の指標として使用され、これは、閾値と比較される、または別様にANC性能を評価し、さらに、措置を講じるために使用されることができる。
【0007】
本発明の前述ならびに他の目的、特徴、および利点は、付随の図面に図示されるように、本発明の好ましい実施形態の以下のより具体的説明から明白となるであろう。
本明細書は、例えば、以下を提供する。
(項1)
パーソナルオーディオデバイスであって、上記パーソナルオーディオデバイスは、
パーソナルオーディオデバイス筐体と、
上記筐体上に搭載された変換器であって、上記変換器は、聴取者への再生のためのソースオーディオと、上記変換器の音響出力内の周囲オーディオ音の影響を打ち消すための反雑音信号の両方を含むオーディオ信号を再現する、変換器と、
上記筐体上に搭載された基準マイクロホンであって、上記基準マイクロホンは、上記周囲オーディオ音を示す基準マイクロホン信号を提供する、基準マイクロホンと、
上記変換器に近接して上記筐体上に搭載されたエラーマイクロホンであって、上記エラーマイクロホンは、上記変換器の音響出力および上記変換器における上記周囲オーディオ音を示すエラーマイクロホン信号を提供する、エラーマイクロホンと、
エラー信号および上記基準マイクロホン信号と一致するように、上記聴取者によって聞き取られる上記周囲オーディオ音の存在を低減させるために、第1の適応フィルタを適応させることによって、上記反雑音信号を上記基準信号から適応的に発生させる処理回路と
を備え、
上記処理回路は、上記ソースオーディオを成形する二次経路応答を有する二次経路適応フィルタと、上記エラー信号を提供するために上記ソースオーディオを上記エラーマイクロホン信号から除去する結合器とを実装し、上記処理回路は、適応雑音消去利得を判定するために、上記反雑音信号の影響を含む、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と、上記反雑音信号の影響を含まない、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との比率を算出し、上記処理回路は、上記適応雑音消去利得を閾利得値と比較し、上記処理回路は、上記適応雑音消去利得が上記閾利得値よりも大きいことを判定することに応答して、上記反雑音信号に措置を講じ、上記処理回路は、第1の低域フィルタを用いて、上記エラー信号をフィルタ処理し、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標を発生させ、上記処理回路は、第2の低域フィルタを用いて、上記基準マイクロホン信号をフィルタ処理し、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標を発生させる、パーソナルオーディオデバイス。
(項2)
上記処理回路は、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標として上記基準マイクロホン信号の大きさを使用する、項1に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項3)
上記処理回路は、上記二次経路応答のコピーを上記反雑音信号に印加し、修正された反雑音信号を発生させ、上記修正された反雑音信号を上記エラーマイクロホン信号と組み合わせ、上記基準マイクロホン信号の大きさの第2の指標を発生させる、項1に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項6)
上記処理回路は、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と上記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との第1の比率として上記比率を算出し、低周波数範囲のための第1の適応雑音消去利得として上記適応雑音消去利得を判定し、上記処理回路は、上記第1の低域フィルタおよび第2の低域フィルタの周波数範囲よりも高い周波数範囲のための第2の比率を算出し、上記処理回路は、上記第2の比率を、上記反雑音信号の影響を含む、上記より高い周波数範囲内における上記エラー信号の大きさの第3の指標から、上記反雑音信号の影響を含まない、上記より高い周波数範囲内における上記エラーマイクロホン信号の大きさの第4の指標までと算出し、上記処理回路は、上記第1の比率または上記第2の比率のうちの少なくとも1つが上記閾利得値よりも大きい場合、上記反雑音信号に講じられる措置を選択するために、上記第1の比率を上記第2の比率と比較する、項1に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項7)
上記処理回路は、上記第1の比率および上記第2の比率の変化を検出し、上記処理回路は、上記第1の比率と上記第2の比率との両方における比較可能な変化を検出することに応答して、上記二次経路応答を補正する措置を講じ、上記処理回路は、上記第2の比率のみにおける実質的変化を検出することに応答して、上記第1の適応フィルタの応答を補正する措置を講じる、項6に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項8)
上記処理回路は、上記処理回路が上記第2の比率のみにおける上記実質的変化を検出する場合、上記第1の適応フィルタの適応を有効にし、上記処理回路が上記第1の比率と上記第2の比率との両方における上記比較可能な変化を検出する場合、上記第1の適応フィルタの適応を無効にする、項7に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項9)
上記処理回路は、上記第1の適応フィルタの利得を低減させることによって、措置を講じる、項1に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項10)
上記処理回路は、上記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、上記第1の適応フィルタの利得を増加させ、上記適応雑音消去利得を再測定することによって、措置を講じ、上記第1の適応フィルタの利得を増加させることは、上記適応雑音消去利得が上記下限閾値未満である間、繰り返される、項1に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項11)
上記処理回路は、上記適応雑音消去利得が上記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、上記第1の適応フィルタの係数の値のセットを記憶することによって、措置を講じ、上記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、上記第1の適応フィルタの係数の記憶された値のセットを復元することによって、措置を講じる、項1に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項12)
上記処理回路はさらに、上記適応雑音消去利得が上記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、上記二次経路適応フィルタの係数の別の値のセットを記憶し、さらに、上記適応雑音消去利得が上記下限閾値未満であることを検出することに応答して、上記二次経路適応フィルタの係数の他の記憶された値のセットを復元する、項11に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項13)
パーソナルオーディオデバイスによる周囲オーディオ音の影響を打ち消す方法であって、上記方法は、
エラー信号および基準マイクロホン信号と一致するように、聴取者によって聞き取られる上記周囲オーディオ音の存在を低減させるために、第1の適応フィルタを適応させることによって、上記基準マイクロホン信号から反雑音信号を適応的に発生させることと、
上記反雑音信号とソースオーディオを組み合わせることと、
上記組み合わせの結果を変換器に提供することと、
基準マイクロホンを用いて、上記周囲オーディオ音を測定することと、
エラーマイクロホンを用いて、上記変換器の音響出力および上記周囲オーディオ音を測定することと、
上記ソースオーディオを成形する二次経路応答を有する二次経路適応フィルタと、上記エラー信号を提供するために上記ソースオーディオを上記エラーマイクロホン信号から除去する結合器とを実装することと、
第1の低域フィルタを用いて、上記エラー信号をフィルタ処理し、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標を発生させることと、
第2の低域フィルタを用いて、上記基準マイクロホン信号をフィルタ処理し、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標を発生させることと
適応雑音消去利得を判定するために、上記反雑音信号の影響を含む、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と、上記反雑音信号の影響を含まない、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との比率を算出することと、
上記適応雑音消去利得を閾利得値と比較することと、
上記適応雑音消去利得が上記閾利得値よりも大きいことを判定することに応答して、上記反雑音信号に措置を講じることと、
を含む、方法。
(項14)
上記比率を算出することは、上記基準マイクロホン信号の大きさを使用して、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標として上記比率を算出する、項13に記載の方法。
(項15)
上記二次経路応答のコピーを上記反雑音信号に印加し、修正された反雑音信号を発生させることと、
上記修正された反雑音信号を上記エラーマイクロホン信号と組み合わせ、上記基準マイクロホン信号の大きさの第2の指標を発生させることと
をさらに含む、項13に記載の方法。
(項18)
上記算出することは、低周波数範囲のための第1の適応雑音消去利得として上記適応雑音消去利得を判定するために、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との第1の比率として上記比率を算出し、上記第1の低域フィルタおよび第2の低域フィルタの周波数範囲よりも高い周波数範囲のための第2の比率を算出し、上記算出することは、上記第2の比率を、上記反雑音信号の影響を含む、上記より高い周波数範囲内における上記エラー信号の大きさの第3の指標から、上記反雑音信号の影響を含まない、上記より高い周波数範囲内における上記エラーマイクロホン信号の大きさの第4の指標までと算出し、上記方法はさらに、上記第1の比率または上記第2の比率のうちの少なくとも1つが上記閾利得値よりも大きい場合、上記反雑音信号に講じられる措置を選択するために、上記第1の比率を上記第2の比率と比較することを含む、項13に記載の方法。
(項19)
上記第1の比率および上記第2の比率の変化を検出することと、
上記第1の比率と上記第2の比率との両方における比較可能な変化を検出することに応答して、上記二次経路応答を補正する措置を講じることと、
上記第2の比率のみにおける実質的変化を検出することに応答して、上記第1の適応フィルタの応答を補正する措置を講じることと
をさらに含む、項18に記載の方法。
(項20)
上記措置を講じることは、
上記検出することが、上記第2の比率のみにおける上記実質的変化を検出する場合、上記第1の適応フィルタの適応を有効にすることと、
上記処理回路が、上記第1の比率と上記第2の比率との両方における上記比較可能な変化を検出する場合、上記第1の適応フィルタの適応を無効にすることと
を含む、項19に記載の方法。
(項21)
上記措置を講じることは、上記第1の適応フィルタの利得を低減させることを含む、項13に記載の方法。
(項22)
上記措置を講じることは、
上記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、上記第1の適応フィルタの利得を増加させ、上記適応雑音消去利得を再測定することと、
上記適応雑音消去利得が上記下限閾値未満である間、上記第1の適応の利得を繰り返して増加させることと
を含む、項13に記載の方法。
(項23)
上記措置を講じることは、
上記適応雑音消去利得が上記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、上記第1の適応フィルタの係数の値のセットを記憶することと、
上記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、上記第1の適応フィルタの係数の記憶された値のセットを復元することと
を含む、項13に記載の方法。
(項24)
上記適応雑音消去利得が上記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、上記二次経路適応フィルタの係数の別の値のセットを記憶することと、
上記適応雑音消去利得が上記下限閾値未満であることを検出することに応答して、さらに、上記二次経路適応フィルタの係数の他の記憶された値のセットを復元することと
をさらに含む、項23に記載の方法。
(項25)
パーソナルオーディオデバイスの少なくとも一部を実装するための集積回路であって、上記集積回路は、
出力信号を出力変換器に提供するための出力であって、上記出力信号は、聴取者への再生のためのソースオーディオおよび上記変換器の音響出力内の周囲オーディオ音の影響を打ち消すための反雑音信号の両方を含む、出力と、
上記周囲オーディオ音を示す基準マイクロホン信号を受信するための基準マイクロホン入力と、
上記変換器の音響出力および上記変換器における上記周囲オーディオ音を示すエラーマイクロホン信号を受信するためのエラーマイクロホン入力と、
エラー信号および上記基準マイクロホン信号と一致するように、上記聴取者によって聞き取られる上記周囲オーディオ音の存在を低減させるために、第1の適応フィルタを適応させることによって、反雑音信号を上記基準信号から適応的に発生させる処理回路と
を備え、
上記処理回路は、上記ソースオーディオを成形する二次経路応答を有する二次経路適応フィルタと、上記エラー信号を提供するために上記ソースオーディオを上記エラーマイクロホン信号から除去する結合器とを実装し、上記処理回路は、適応雑音消去利得を判定するために、上記反雑音信号の影響を含む、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と、上記反雑音信号の影響を含まない、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との比率を算出し、上記処理回路は、上記適応雑音消去利得を閾利得値と比較し、上記処理回路は、上記適応雑音消去利得が上記閾利得値よりも大きいことを判定することに応答して、上記反雑音信号に措置を講じ、上記処理回路は、第1の低域フィルタを用いて、上記エラー信号をフィルタ処理し、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標を発生させ、上記処理回路は、第2の低域フィルタを用いて、上記基準マイクロホン信号をフィルタ処理し、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標を発生させる、集積回路。
(項26)
上記処理回路は、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標として上記基準マイクロホン信号の大きさを使用する、項25に記載の集積回路。
(項27)
上記処理回路は、上記二次経路応答のコピーを上記反雑音信号に印加し、修正された反雑音信号を発生させ、上記修正された反雑音信号を上記エラーマイクロホン信号と組み合わせ、上記基準マイクロホン信号の大きさの第2の指標を発生させる、項25に記載の集積回路。
(項30)
上記処理回路は、上記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と上記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との第1の比率として上記比率を算出し、低周波数範囲のための第1の適応雑音消去利得として上記適応雑音消去利得を判定し、上記処理回路は、上記第1の低域フィルタおよび第2の低域フィルタの周波数範囲よりも高い周波数範囲のための第2の比率を算出し、上記処理回路は、上記第2の比率を、上記反雑音信号の影響を含む、上記より高い周波数範囲内における上記エラー信号の大きさの第3の指標から、上記反雑音信号の影響を含まない、上記より高い周波数範囲内における上記エラーマイクロホン信号の大きさの第4の指標までと算出し、上記処理回路は、上記第1の比率または上記第2の比率のうちの少なくとも1つが上記閾利得値よりも大きい場合、上記反雑音信号に講じられる措置を選択するために、上記第1の比率を上記第2の比率と比較する、項25に記載の集積回路。
(項31)
上記処理回路は、上記第1の比率および上記第2の比率の変化を検出し、上記処理回路は、上記第1の比率と上記第2の比率との両方における比較可能な変化を検出することに応答して、上記二次経路応答を補正する措置を講じ、上記処理回路は、上記第2の比率のみにおける実質的変化を検出することに応答して、上記第1の適応フィルタの応答を補正する措置を講じる、項30に記載の集積回路。
(項32)
上記処理回路は、上記処理回路が上記第2の比率のみにおける上記実質的変化を検出する場合、上記第1の適応フィルタの適応を有効にし、上記処理回路が上記第1の比率と上記第2の比率との両方における上記比較可能な変化を検出する場合、上記第1の適応フィルタの適応を無効にする、項31に記載の集積回路。
(項33)
上記処理回路は、上記第1の適応フィルタの利得を低減させることによって、措置を講じる、項25に記載の集積回路。
(項34)
上記処理回路は、上記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、上記第1の適応フィルタの利得を増加させ、上記適応雑音消去利得を再測定することによって、措置を講じ、上記第1の適応フィルタの利得を増加させることは、上記適応雑音消去利得が上記下限閾値未満である間、繰り返される、項25に記載の集積回路。
(項35)
上記処理回路は、上記適応雑音消去利得が上記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、上記第1の適応フィルタの係数の値のセットを記憶することによって、措置を講じ、上記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、上記第1の適応フィルタの係数の記憶された値のセットを復元することによって、措置を講じる、項25に記載の集積回路。
(項36)
上記処理回路はさらに、上記適応雑音消去利得が上記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、上記二次経路適応フィルタの係数の別の値のセットを記憶し、さらに、上記適応雑音消去利得が上記下限閾値未満であることを検出することに応答して、上記二次経路適応フィルタの係数の他の記憶された値のセットを復元する、項35に記載の集積回路。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、例示的無線電話10の例証である。
図2図2は、無線電話10内の回路のブロック図である。
図3A図3A−3Bは、図2のCODEC集積回路20のANC回路30を実装するために使用され得る、種々の例示的ANC回路の信号処理回路および機能ブロックを描写する、ブロック図である。
図3B図3A−3Bは、図2のCODEC集積回路20のANC回路30を実装するために使用され得る、種々の例示的ANC回路の信号処理回路および機能ブロックを描写する、ブロック図である。
図4図4は、CODEC集積回路20内の信号処理回路および機能ブロックを描写する、ブロック図である。
図5図5は、無線電話10の種々の条件に関する、ANC利得対周波数のグラフである。
図6図6−9は、無線電話10の種々の条件および環境に関するANC利得に基づいて、ANC利得および決定を例証する波形図である。
図7図6−9は、無線電話10の種々の条件および環境に関するANC利得に基づいて、ANC利得および決定を例証する波形図である。
図8図6−9は、無線電話10の種々の条件および環境に関するANC利得に基づいて、ANC利得および決定を例証する波形図である。
図9図6−9は、無線電話10の種々の条件および環境に関するANC利得に基づいて、ANC利得および決定を例証する波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(発明を実施するための最良モード)
本開示は、無線電話等のパーソナルオーディオシステム内に実装され得る、雑音消去技法および回路を対象とする。パーソナルオーディオシステムは、周囲音響環境を測定し、スピーカ、または他の変換器出力に投入される信号を発生させ、周囲音響事象を消去する、適応雑音消去(ANC)回路を含む。基準マイクロホンが、周囲音響環境を測定するために提供され、これは、周囲オーディオ音を消去するために、スピーカに提供される反雑音信号を発生させるために使用される。エラーマイクロホンが、変換器の出力における周囲環境を測定し、適応フィルタを使用して、聴取者によって聞き取られる周囲音を最小限にする。別の二次経路適応フィルタは、ソースオーディオが、エラー信号を発生させるために、エラーマイクロホン出力から除去されることができるように、変換器およびエラーマイクロホンを通して、電気音響経路を推定するために使用され、これは、次いで、ANC回路によって最小限にされる。監視回路が、ANC利得の測定を提供するために、エラー信号と基準マイクロホン出力信号または基準マイクロホン信号の大きさの他の指標との比率を算出する。ANC利得測定は、ANC性能の指標であり、これは、閾値と比較される、または別様にANCシステム効果的に動作しているかどうかを判定するために評価され、さらに、必要がある場合、措置を講じる。
【0010】
ここで、図1を参照すると、無線電話10は、ヒトの耳5に近接して例証される。図示される無線電話10は、本明細書で開示される技法が採用され得るデバイスの実施例であるが、図示される無線電話10内または後続例証に描写される回路内で具現化される要素または構成が全て、請求項を実践するために、要求されるわけではないことを理解されたい。無線電話10は、呼出音、記憶されたオーディオプログラム材料、均衡のとれた会話認識を提供する近端発話の投入(すなわち、無線電話10のユーザの発話)、および無線電話10によって受信されるウェブページまたは他のネットワーク通信からのソース、ならびに低バッテリ量および他のシステム事象通知等のオーディオ指標等の無線電話10によって再現を要求する他のオーディオ等の他のローカルオーディオ事象とともに、無線電話10によって受信される遠隔発話を再現する、スピーカSPKR等の変換器を含む。近接発話マイクロホンNSは、無線電話10から他の会話参加者に伝送される、近端発話を捕捉するために提供される。
【0011】
無線電話10は、反雑音信号をスピーカSPKRに投入し、スピーカSPKRによって再現される遠隔発話および他のオーディオの明瞭度を改善する、適応雑音消去(ANC)回路および特徴を含む。基準マイクロホンRは、周囲音響環境を測定するために提供され、近端発話が、基準マイクロホンRによって生成される信号内で最小限にされるように、ユーザの口の典型的位置から離れて位置付けられる。第3のマイクロホンである、エラーマイクロホンEは、無線電話10が、耳5に近接近するとき、エラーマイクロホン基準位置ERPにおいて、耳5に近接するスピーカSPKRによって再現されるオーディオ信号と組み合わせて周囲オーディオの測定値を提供することによって、ANC動作をさらに改善するために提供される。無線電話10内の例示的回路14は、信号を基準マイクロホンR、近接発話マイクロホンNS、およびエラーマイクロホンEから受信し、無線電話送受信機を含有するRF集積回路12等の他の集積回路とインターフェースをとる、オーディオCODEC集積回路20を含む。代替実装では、本明細書に開示される回路および技法は、MP3プレーヤオンチップ集積回路等のパーソナルオーディオデバイスの全体を実装するための制御回路および他の機能性を含有する、単一集積回路内に組み込まれてもよい。
【0012】
一般に、本明細書に開示されるANC技法は、基準マイクロホンRに衝突する周囲音響事象(スピーカSPKRの出力および/または近端発話とは対照的に)を測定し、また、エラーマイクロホンEに衝突する同一の周囲音響事象を測定することによって、測定する。図示される無線電話10のANC処理回路は、基準マイクロホンRの出力から発生される反雑音信号を適応し、すなわち、エラーマイクロホン基準位置ERPにおいて、エラーマイクロホンEに存在する周囲音響事象の振幅を最小限にする特性を有する。音響経路P(z)は、基準マイクロホンRからエラーマイクロホンEに延在するため、ANC回路は、本質的に、電気音響経路S(z)の影響を除去した状態で組み合わせられた推定音響経路P(z)である。電気音響経路S(z)は、CODEC IC 20のオーディオ出力回路の応答と、特定の音響環境内におけるスピーカSPKRとエラーマイクロホンEとの間の結合を含む、スピーカSPKRの音響/電気伝達関数とを表す。スピーカSPKRとエラーマイクロホンEとの間の結合部は、耳5の近接性および構造と、無線電話10が耳5にしっかりと圧接されていないとき、無線電話10に近接し得る他の物理的物体およびヒト頭部構造とによって影響される。無線電話10のユーザが、実際には、鼓膜基準位置DRPにおいてスピーカSPKRの出力を聞き取るため、エラーマイクロホンEによって生成される信号と、実際に、ユーザによって聞き取られるものとの間の差異は、外耳道の応答ならびにエラーマイクロホン基準位置ERPと鼓膜基準位置DRPとの間の空間距離によって成形される。図示される無線電話10は、第3の近接発話マイクロホンNSを伴う、2つのマイクロホンANCシステムを含むが、本明細書に開示される本技法のいくつかの側面は、基準マイクロホンRの機能を果たすために、別個のエラーおよび基準マイクロホン、または近接発話マイクロホンNSを使用した無線電話を含まない、システムにおいて実践され得る。また、オーディオ再生のためだけに設計されたパーソナルオーディオデバイスでは、近接発話マイクロホンNSは、概して、含まれず、以下にさらに詳細に説明される、回路内の近接発話信号経路は、省略されることができる。
【0013】
次に、図2を参照すると、無線電話10内の回路が、ブロック図に示される。図2に示される回路はさらに、CODEC集積回路20と無線電話10内の他のユニットとの間の信号が、CODEC集積回路20が無線電話10の外側に位置するとき、ケーブルまたはワイヤレス接続によって提供されることを除いて、上記に言及される他の構成に適用される。CODEC集積回路20とエラーマイクロホンEとの間で信号を送信すると、基準マイクロホンRおよびスピーカSPKRは、CODEC集積回路20が無線電話10内に位置するとき、有線接続によって提供される。CODEC集積回路20は、基準マイクロホン信号を受信し、基準マイクロホン信号のデジタル表現refを生成するためのアナログ/デジタルコンバータ(ADC)21Aを含む。CODEC集積回路20はまた、エラーマイクロホン信号を受信し、エラーマイクロホン信号のデジタル表現errを生成するためのADC21Bと、近接発話マイクロホン信号を受信し、近接発話マイクロホン信号のデジタル表現nsを生成するためのADC21Cとを含む。CODEC IC 20は、結合器26の出力を受信する、デジタル/アナログコンバータ(DAC)23の出力を増幅させる、増幅器A1からスピーカSPKRを駆動させるための出力を発生させる。結合器26は、内部オーディオソース24およびダウンリンクオーディオソースからのオーディオ信号、例えば、ダウンリンクオーディオdsおよび内部オーディオiaの組み合わされたオーディオ(ソースオーディオ(ds+ia))と、ANC回路30によって発生される反雑音信号anti−noiseとを組み合わせる。反雑音信号anti−noiseは、通例、基準マイクロホン信号ref内の雑音と同一の極性を有し、したがって、結合器26によって減算される。結合器26はまた、無線電話10のユーザが、無線周波数(RF)集積回路22から受信される、ダウンリンク発話dsに適切に関連して、その自身の音声を聞き取れるように、近接発話信号ns、すなわち、側音情報stの減衰された部分を組み合わせる。近接発話信号nsはまた、RF集積回路22に提供され、アンテナANTを介して、アップリンク発話としてサービスプロバイダに伝送される。
【0014】
ここで、図3Aを参照すると、図2のANC回路30を実装するために使用されることができるANC回路30Aの詳細が、示される。適応フィルタ32は、基準マイクロホン信号refを受信し、理想的状況下、その伝達関数W(z)をP(z)/S(z)となるように適応させ、反雑音信号を発生させる。適応フィルタ32の係数は、概して、最小二乗平均的意味において、エラーマイクロホン信号err内に存在する基準マイクロホン信号refのそれらの成分間のエラーを最小限にする、2つの信号の相関を使用して、適応フィルタ32の応答を判定する、W係数制御ブロック31によって制御される。W係数制御ブロック31への入力として提供される信号は、エラーマイクロホン信号errと、フィルタ応答SE(z)(応答SECOPY(z)は、そのコピーである)によって処理されたダウンリンクオーディオ信号dsの逆数量とを含む、結合器36の出力から提供される、フィルタ34Bおよび別の信号によって提供される経路S(z)の応答の推定値のコピーによって成形されるような基準マイクロホン信号refである。経路S(z)の応答の推定を用いて、ダウンリンクオーディオ信号dsの逆数コピーを変換することによって、比較の前に、エラーマイクロホン信号errから除去されるダウンリンクオーディオは、電気的および音響経路S(z)が、エラーマイクロホンEに到達するために、ダウンリンクオーディオ信号dsによって辿られる経路であるため、エラーマイクロホン信号errにおいて再現されたダウンリンクオーディオ信号dsの予期されるバージョンに合致するはずである。結合器36は、エラーマイクロホン信号errおよび逆数ダウンリンクオーディオ信号dsを組み合わせ、エラー信号eを生成する。経路S(z)の応答の推定のコピー(すなわち、SECOPY(z))を用いて、基準マイクロホン信号refを変換し、基準マイクロホン信号refの成分と相関するエラー信号の部分を最小限にすることによって、適応フィルタ32は、P(z)/S(z)の所望の応答に適応する。エラー信号eからダウンリンクオーディオ信号dsを除去することによって、適応フィルタ32は、エラーマイクロホン信号err内に存在する比較的に大量のダウンリンクオーディオに適応しないように防止される。
【0015】
前述を実装するために、適応フィルタ34Aは、SE係数制御ブロック33によって制御される係数を有し、これは、ダウンリンクオーディオ信号dsおよびエラー値の相関される成分に基づいて更新する。SE係数制御ブロック33は、実際のダウンリンク発話信号dsをエラーマイクロホン信号err内に存在するダウンリンクオーディオ信号dsの成分と相関させる。適応フィルタ34Aは、それによって、そのエラーマイクロホン信号errから減算されると、エラー信号e内のダウンリンクオーディオ信号dsに起因しないエラーマイクロホン信号errのコンテンツを含有する、信号をダウンリンクオーディオ信号dsから発生させるように適応される。
【0016】
ANC回路30Aでは、ANC回路30Aの動作を順序付けるいくつかの監視制御が存在する。したがって、ANC回路30Aの全ての部分が、連続的に動作しない。例えば、SE係数制御ブロック33は、概して、ソースオーディオdが存在する、または信号を訓練するいくつかの他の形態が利用可能であるとき、二次経路適応フィルタ34Aに提供される係数のみを更新することができる。W係数制御ブロック31は、概して、応答SE(z)が適切に訓練されるとき、適応フィルタ32に提供される係数のみを更新することができる。耳5の無線電話10の移動は、20dB以上まで応答SE(z)を変化することができるため、耳位置の変化は、ANC動作の劇的な効果をもたらす可能性がある。例えば、無線電話10は、耳5により強く押圧される場合、反雑音信号は、振幅があまりに高くなり得、応答SE(z)が更新される可能性がある前に雑音ブーストを生成し、これは、ダウンリンクオーディオが存在するまで、生じないであろう。応答W(z)が、SE(z)が更新されるまで、適切に訓練されないであろうがため、問題は、持続する可能性がある。したがって、ANC回路30Aが適切に動作しているかどうか、すなわち、反雑音信号anti−noiseが、周囲音を効果的に消去していることを判定することが望ましいであろう。
【0017】
ANC回路30Aは、1対の低域フィルタ38A−38Bを含み、これらは、それぞれ、エラーマイクロホン信号errおよび基準マイクロホン信号refの低周波数成分を示す信号を提供するために、エラー信号eおよび基準マイクロホン信号refをフィルタ処理する。ANC回路30Aはまた、1対のバンドパス(または、高域)フィルタ39A−39Bを含んでもよく、これらは、それぞれ、マイクロホン信号errおよび基準マイクロホン信号refの高周波数成分を示す信号を提供するために、エラー信号eおよび基準マイクロホン信号refをフィルタ処理する。バンドパスフィルタ39A−39Bのパスバンドは、概して、低域フィルタ38A−38Bの停止帯域周波数において開始するが、重複が、提供され得る。反雑音信号がアクティブであるときのエラーマイクロホン信号errの大きさEが、以下によって与えられる。
ANC_ON=R*P(z)−R*W(z)*S(z)
式中、Rは、基準マイクロホン信号refの大きさである。反雑音信号がミュートされるとき、エラーマイクロホン信号errの大きさは、以下となる。
ANC_OFF=R*P(z)
比率EANC_ON/EANC_OFFとして「ANC利得(G)」を定義すると、ANCシステムの有効性の直接指標が、提供されることができる。反雑音信号がミュートされる可能性がある場合、EANC_ON、およびEANC_OFFの測定が行われることができ、Gが、算出されることができる。しかしながら、動作中、反雑音信号のミュートは、反雑音信号の任意のミュートが、聴取者に可聴となる可能性が高いであろうため、実用的ではなくあり得る。音響経路応答P(z)が、約800Hzを下回る周波数に関して、耳位置または耳圧に伴って実質的に変動せず、一定、例えば、1であると仮定されることができるため、EANC_ONおよびEANC_OFFの大きさの値は、以下のように推定され得る。
ANC_ON=R*1−R*W(z)*S(z)、およびEANC_OFF=R*1、したがって
G=EANC_ON/EANC_OFF=[R−R*W(z)*S(z)]/R=EANC_ON/R
比率EANC_ON/Rとして「ANC利得(G)」を定義すると、ANCシステムの有効性の直接指標は、ANC回路がアクティブである間のエラーマイクロホン信号errの大きさEの指標を基準マイクロホン信号refの大きさRの指標によって除算することによって、計算されることができる。Gは、ANCシステムが効果的に動作しているかどうかの測定値を提供するために、低域フィルタ38A−38Bの出力から算出されることができる。
【0018】
音響経路応答P(z)と対照的に、音響経路応答S(z)は、耳圧および位置に伴って実質的に変化するが、既定周波数、例えば、500Hzを下回る基準マイクロホン信号refおよびエラーマイクロホン信号errの大きさ(E、R)を判定することによって、「ANC利得(G=E/R)」の値は、音響経路応答S(z)が不変である時間の間、測定されることができる。制御ブロック39が、制御信号muteをアサートすることによって、適応フィルタ32の反雑音信号出力をミュートし、これは、ミュート段階35を制御する。ANC利得測定ブロック37が、エラー信号eの大きさEを測定し、これは、エラーマイクロホン信号err内に存在するソースオーディオdを除去し、大きさEの指標として測定された大きさを使用するために補正されたエラーマイクロホン信号である。代替として、エラーマイクロホン信号errは、ソースオーディオdが不在である、または閾値振幅を下回るとき、大きさEの指標を判定するために、使用され得る。図5は、条件、すなわち、ANCオン(ミュートが解除された)54を伴うオンイヤ動作、オフイヤ動作52、およびANCオフ(ミュートされた)条件50を伴うオンイヤ動作に関する、P(z)−W(z)*S(z)の値を例証する。ANC利得Gの寄与は、ミュート/ミュート解除反雑音信号、すなわち、成分R*W(z)*S(z)またはR*Gに起因する、曲線54と他の曲線50および52のうちの適切な1つとの間における変化としてグラフ内で可視である。
【0019】
ANCシステムが、大きさE=R*P(z)−R*W(z)*S(z)を最小限にするように作用するため、ANCシステムが雑音を効果的に消去する場合、E/Rは、小さいであろう。漏れ補正が存在する場合、上記の関係は、モデル内において漏れを含むとき、Rが上記の関係においてR+E*L(z)(式中、L(z)は、漏れである)と置換されるため、不変のままであり、したがって、以下となり、
E/R=(R+E*L(z))*(P(z)−W(z)*S(z))/(R+E*L(z))、
これはまた、以下と等しくなり、
P(z)−W(z)*S(z)
したがって、また、G=E/Rによって近似されることができる。ANC回路30Aによって実装され得る一例示的アルゴリズムは、エラーマイクロホン信号errおよび基準マイクロホン信号refをフィルタ処理し、SE(z)およびW(z)が訓練された後に、フィルタ処理された信号の大きさからE/Rを計算する。E/Rの最初の値は、Gとして保存されるE/R=Gの値は、続いて、監視され、G−G>閾値の場合、オフモデル条件が、検出される。下記に説明される措置が、オフモデル条件を検出することに応答して、講じられることができる。別のアルゴリズムでは、図5−6に対して上記に説明される周波数範囲の差異は、有用となるように使用されることができる。約600Hzを下回る経路P(z)が不変であるが、600Hzを上回る経路P(z)が変化するため、変化が600Hzを上回ってのみ生じる場合、変化は、経路P(z)の変化に起因して、仮定されることができるが、変化が600Hzを下回ってかつ上回っての両方で生じる場合、S(z)は、変化される。600Hzの周波数が、例示にすぎず、他のシステムおよび実装のために、意思決定のための好適なカットオフ周波数が、経路P(z)の変化対経路S(z)の変化との間において区別するために選択されてもよい。具体的なアルゴリズムは、下記に議論される。上記のアルゴリズムの利点は、経路P(z)のみが変化されたときを判定することが、応答SE(z)がそのような条件下において良好なモデルであると分かっているため、応答W(z)のみが更新されるように、適応の制御を可能にする。風/スクラッチ雑音によってもたらされるもの等の混沌状態もまた、迅速に判定されることができる。更新率もまた、ANC利得がerrおよびref振幅を測定する各時間フレームにおいて算出されることができるため、非常に高速である。
【0020】
応答SE(z)が正確に音響経路S(z)をモデル化しているかどうか、かつ応答W(z)もまた、適切に適応されているかどうかについての付加的情報を提供することができる、別のアルゴリズムが、有用となるように経路P(z)の周波数依存挙動を使用する。第1の比率が、GL=EL/RL(式中、ELは、低域フィルタ38Aによって生成されたエラー信号errの低域フィルタされたバージョンの大きさであり、RLは、低域フィルタ38Bによって生成された基準マイクロホン信号refの低域フィルタされたバージョンの大きさである)を求めるために、エラー信号eおよび基準マイクロホン信号refの低域フィルタされたバージョンの大きさから算出される。第2の比率が、GH=EH/RH(式中、EHは、バンドパスフィルタ39Aによって生成されたエラー信号eのバンドパスフィルタ処理されたバージョンの大きさであり、RHは、バンドパスフィルタ39Bによって生成された基準マイクロホン信号refのバンドパスフィルタ処理されたバージョンの大きさである)を求めるために、エラー信号eおよび基準マイクロホン信号refのバンドパスフィルタ処理されたバージョンの大きさから算出される。適応フィルタ34Aの応答SE(z)と、適応フィルタ32の応答W(z)とが良好に適応されていることが分かっているとき、GHおよびGLの値は、それぞれ、GHおよびGLとして記憶されることができる。続いて、GHおよびGLのいずれかまたは両方が変化するとき、変化は、表1に示されるようなANCシステムの条件を明らかにするために、それぞれ、対応する閾値THRおよびTHRと比較されることができる。
【表1】

高周波数ANC利得が、閾値変化量を超えている場合のみ、それは、適応フィルタ34Aの応答SE(z)のみが、更新される必要がある指標であり、これは、ANCシステムを適応させるために要求される時間を短縮させ、また、適応フィルタ34Aが、概して、ソースオーディオdの十分な大きさが利用可能であるとき、または別様に、訓練信号が聴取者への可聴である途絶を引き起こさずに、投入されることができるときのみ、適合されることができるため、適応フィルタ34Aの応答SE(z)を訓練するための訓練信号の必要性を回避する。
【0021】
図6−9は、種々の動作条件下、上記に説明されるような監視アルゴリズムを使用したANCシステムの動作を例証する。図6−7は、背景雑音のソースが変化するとき、すなわち、経路P(z)の応答が変化し、応答W(z)が、変化に対応するために、再適応することが要求されるときの本システムの応答を例証する。図6は、GL62の値と、表1に例証される対応するバイナリ決定60の値(変化なし)とを示す。図7は、GH72の値と、表1に例証される対応するバイナリ決定70の値(変化は、適応フィルタ32の更新をトリガするために使用されるであろう)とを示す。図6−7のグラフ上の区間値(例えば、2、1、3、4、および拡散)は、雑音ソースの異なる対応する試験場所を示し、最後の区画は、拡散音響雑音である。最初に、場所2における雑音ソースでは、ANCシステムは、オンモデルであり、音響経路P(z)を通して提供される周囲雑音を消去するために適合される適応フィルタ32と、音響経路S(z)を正確にモデル化する適応フィルタ34Aとを伴う。いったん雑音ソースの場所が変化すると、音響経路P(z)が変化するが、図6の曲線62に見られるように、低周波数反雑音利得GLの変化が存在しない。図7の曲線72に見られるように、高周波数反雑音利得GHは、変化され、これは、必要に応じて、適応フィルタ32の適応を改変するために使用されることができる。図8は、15Nと12Nとの間で状態が変化する適応フィルタ34Aの更新をトリガするために使用される決定を用いたグラフ上の区間値(例えば、18N、15N…5N、およびオフイヤ)によって示されるようなニュートン(N)の耳圧の連続低減のための、GL82の値と、表1に例証される対応するバイナリ決定80の値とを示す。図9は、GH92の値と、対応するバイナリ決定90の値とを示す。図8−9に見られるように、音響経路S(z)が(耳圧の変化に起因して)変化するとき、GLとGHは両方とも、変化し、ANCシステムが、適応フィルタ34Aの二次経路応答SE(z)が適応されることが必要であることを判定することを可能にする。
【0022】
上記のオフモデル条件/不良ANC利得条件を検出することに応答して、いくつかの是正措置が、図3Aの制御ブロック39によって講じられることができる。ANC利得は、図5に示されるような500Hzを下回る周波数のために存在するはずである。ANC利得が低い場合、応答W(z)の利得は、W係数制御31に供給される制御値利得を調節する制御ブロック39によって低減されることができる。制御値利得は、ANC利得値が0dB(1)に近づくまで、反復的に調節されることができる。ANC利得値が、良好な場合、応答W(z)の係数は、応答W(z)の一部のみが適応する、並列フィルタ構成の固定部分の応答W(z)を提供するための値として保存されることができる、または係数は、応答W(z)がリセットされることが必要であるとき、開始点として保存されることができる。ANC利得(ANC利得約0)が存在しない場合、応答W(z)の利得(係数w)は、増加されることができ、ANC利得は、再測定されることができる。ブーストを生じる場合、応答W(z)の利得(係数w)は、減少されることができ、ANC利得は、再測定されることができる。ANC利得が不良である場合、応答W(z)は、応答W(z)の係数の現在の値を保存した後の短い期間、再適応するように命令されることができる。ANC利得が改善する場合、プロセスは、継続されることができ、そうでなければ、事前に記憶された応答W(z)の値または応答WFIXEDのための既知の良好な値が、ANC利得が再評価されることができるまでの時間周期の間、係数のために適用され、プロセスは、繰り返されることができる。
【0023】
ここで、図3Bを参照すると、ANC回路30Bが、図3AのANC回路30Aに類似し、したがって、それらの間の差異のみが、下記に説明されるであろう。ANC回路30Bは、二次経路推定コピーSECOPY(z)に等しい応答を有する別のフィルタ34Cを含み、これは、反雑音信号anti−noiseをエラーマイクロホン信号err内の予期される反雑音を表す信号に変換するために使用され、結合器36Aが、フィルタ34Cの出力を減算し、修正されたエラー信号e’を取得し、これは、反雑音信号anti−noiseがミュートされる場合のエラー信号eがとるであろうものの推定(すなわち、R(z)*P(z))である。ANC利得測定ブロック37は、次いで、相互相関または振幅を比較することによって比較され得る、e/e’(ANC回路30Bの動作周波数帯域にわたる、エラー信号eへの反雑音信号の寄与のリアルタイム指標である)の大きさからANC利得を取得するために、エラー信号eおよび修正されたエラー信号e’を比較することができる。
【0024】
ここで、図4を参照すると、図3に描写されるようなANC技法を実装し、図2のCODEC集積回路20内に実装され得るような処理回路40を有するためのANCシステムのブロック図が、示される。処理回路40は、前述のANC技法の一部または全部ならびに他の信号処理を実装し得る、コンピュータプログラム製品を含む、プログラム命令が記憶されたメモリ44に結合される、プロセッサコア42を含む。随意に、専用デジタル信号処理(DSP)論理46が、処理回路40によって提供されるANC信号処理の一部、または代替として、全部を実装するために提供されてもよい。処理回路40はまた、それぞれ、基準マイクロホンR、エラーマイクロホンE、および近接発話マイクロホンNSから入力を受信するために、ADC21A−21Cを含む。1つ以上の基準マイクロホンR、エラーマイクロホンE、および近接発話マイクロホンNSがデジタル出力を有する、代替実施形態では、ADC21A−21Cのうちの対応するものは、省略され、デジタルマイクロホン信号は、処理回路40と直接インターフェースをとる。DAC23および増幅器A1もまた、前述のような反雑音を含む、スピーカ出力信号を提供するために、処理回路40によって提供される。スピーカ出力信号は、デジタル出力信号を音響的に再現するモジュールへの準備のためのデジタル出力信号であってもよい。
【0025】
本発明は、特に、その好ましい実施形態を参照して図示および説明されたが、形態および詳細における前述ならびに他の変形例も本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書において行なわれてもよいことが、当業者によって理解されるであろう。
【0026】
(項目1)
パーソナルオーディオデバイスであって、前記パーソナルオーディオデバイスは、
パーソナルオーディオデバイス筐体と、
前記筐体上に搭載された変換器であって、前記変換器は、聴取者への再生のためのソースオーディオと、前記変換器の音響出力内の周囲オーディオ音の影響を打ち消すための反雑音信号の両方を含むオーディオ信号を再現する、変換器と、
前記筐体上に搭載された基準マイクロホンであって、前記基準マイクロホンは、前記周囲オーディオ音を示す基準マイクロホン信号を提供する、基準マイクロホンと、
前記変換器に近接して前記筐体上に搭載されたエラーマイクロホンであって、前記エラーマイクロホンは、前記変換器の音響出力および前記変換器における前記周囲オーディオ音を示すエラーマイクロホン信号を提供する、エラーマイクロホンと、
エラー信号および前記基準マイクロホン信号と一致するように、前記聴取者によって聞き取られる前記周囲オーディオ音の存在を低減させるために、第1の適応フィルタを適応させることによって、前記反雑音信号を前記基準信号から適応的に発生させる処理回路と
を備え、
前記処理回路は、前記ソースオーディオを成形する二次経路応答を有する二次経路適応フィルタと、前記エラー信号を提供するために前記ソースオーディオを前記エラーマイクロホン信号から除去する結合器とを実装し、前記処理回路は、適応雑音消去利得を判定するために、前記反雑音信号の影響を含む、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と、前記反雑音信号の影響を含まない、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との比率を算出する、パーソナルオーディオデバイス。
(項目2)
前記処理回路は、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標として前記基準マイクロホン信号の大きさを使用する、項目1に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項目3)
前記処理回路は、前記二次経路応答のコピーを前記反雑音信号に印加し、修正された反雑音信号を発生させ、前記修正された反雑音信号を前記エラーマイクロホン信号と組み合わせ、前記基準マイクロホン信号の大きさの第2の指標を発生させる、項目1に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項目4)
前記処理回路は、前記適応雑音消去利得を閾利得値と比較し、前記処理回路は、前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを判定することに応答して、前記反雑音信号に措置を講じる、項目1に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項目5)
前記処理回路は、第1の低域フィルタを用いて、前記エラー信号をフィルタ処理し、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標を発生させ、前記処理回路は、第2の低域フィルタを用いて、前記基準マイクロホン信号をフィルタ処理し、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標を発生させる、項目4に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項目6)
前記処理回路は、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との第1の比率として前記比率を算出し、低周波数範囲のための第1の適応雑音消去利得として前記適応雑音消去利得を判定し、前記処理回路は、前記第1の低域フィルタおよび第2の低域フィルタの周波数範囲よりも高い周波数範囲のための第2の比率を算出し、前記処理回路は、前記第2の比率を、前記反雑音信号の影響を含む、前記より高い周波数範囲内における前記エラー信号の大きさの第3の指標から、前記反雑音信号の影響を含まない、前記より高い周波数範囲内における前記エラーマイクロホン信号の大きさの第4の指標までと算出し、前記処理回路は、前記第1の比率または前記第2の比率のうちの少なくとも1つが前記閾利得値よりも大きい場合、前記反雑音信号に講じられる措置を選択するために、前記第1の比率を前記第2の比率と比較する、項目5に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項目7)
前記処理回路は、前記第1の比率および前記第2の比率の変化を検出し、前記処理回路は、前記第1の比率と前記第2の比率との両方における比較可能な変化を検出することに応答して、前記二次経路応答を補正する措置を講じ、前記処理回路は、前記第2の比率のみにおける実質的変化を検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの応答を補正する措置を講じる、項目6に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項目8)
前記処理回路は、前記処理回路が前記第2の比率のみにおける前記実質的変化を検出する場合、前記第1の適応フィルタの適応を有効にし、前記処理回路が前記第1の比率と前記第2の比率との両方における前記比較可能な変化を検出する場合、前記第1の適応フィルタの適応を無効にする、項目7に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項目9)
前記処理回路は、前記第1の適応フィルタの利得を低減させることによって、措置を講じる、項目4に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項目10)
前記処理回路は、前記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの利得を増加させ、前記適応雑音消去利得を再測定することによって、措置を講じ、前記第1の適応フィルタの利得を増加させることは、前記適応雑音消去利得が前記下限閾値未満である間、繰り返される、項目4に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項目11)
前記処理回路は、前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの係数の値のセットを記憶することによって、措置を講じ、前記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの係数の記憶された値のセットを復元することによって、措置を講じる、項目4に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項目12)
前記処理回路はさらに、前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、前記二次経路適応フィルタの係数の別の値のセットを記憶し、さらに、前記適応雑音消去利得が前記下限閾値未満であることを検出することに応答して、前記二次経路適応フィルタの係数の他の記憶された値のセットを復元する、項目11に記載のパーソナルオーディオデバイス。
(項目13)
パーソナルオーディオデバイスによる周囲オーディオ音の影響を打ち消す方法であって、前記方法は、
エラー信号および基準マイクロホン信号と一致するように、聴取者によって聞き取られる前記周囲オーディオ音の存在を低減させるために、第1の適応フィルタを適応させることによって、前記基準マイクロホン信号から反雑音信号を適応的に発生させることと、
前記反雑音信号とソースオーディオを組み合わせることと、
前記組み合わせの結果を変換器に提供することと、
基準マイクロホンを用いて、前記周囲オーディオ音を測定することと、
エラーマイクロホンを用いて、前記変換器の音響出力および前記周囲オーディオ音を測定することと、
前記ソースオーディオを成形する二次経路応答を有する二次経路適応フィルタと、前記エラー信号を提供するために前記ソースオーディオを前記エラーマイクロホン信号から除去する結合器とを実装することと、
適応雑音消去利得を判定するために、前記反雑音信号の影響を含む、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と、前記反雑音信号の影響を含まない、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との比率を算出することと
を含む、方法。
(項目14)
前記比率を算出することは、前記基準マイクロホン信号の大きさを使用して、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標として前記比率を算出する、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記二次経路応答のコピーを前記反雑音信号に印加し、修正された反雑音信号を発生させることと、
前記修正された反雑音信号を前記エラーマイクロホン信号と組み合わせ、前記基準マイクロホン信号の大きさの第2の指標を発生させることと
をさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記適応雑音消去利得を閾利得値と比較することと、
前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを判定することに応答して、前記反雑音信号に措置を講じることと
をさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目17)
第1の低域フィルタを用いて、前記エラー信号をフィルタ処理し、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標を発生させることと、
第2の低域フィルタを用いて、前記基準マイクロホン信号をフィルタ処理し、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標を発生させることと
をさらに含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記算出することは、低周波数範囲のための第1の適応雑音消去利得として前記適応雑音消去利得を判定するために、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との第1の比率として前記比率を算出し、前記第1の低域フィルタおよび第2の低域フィルタの周波数範囲よりも高い周波数範囲のための第2の比率を算出し、前記算出することは、前記第2の比率を、前記反雑音信号の影響を含む、前記より高い周波数範囲内における前記エラー信号の大きさの第3の指標から、前記反雑音信号の影響を含まない、前記より高い周波数範囲内における前記エラーマイクロホン信号の大きさの第4の指標までと算出し、前記方法はさらに、前記第1の比率または前記第2の比率のうちの少なくとも1つが前記閾利得値よりも大きい場合、前記反雑音信号に講じられる措置を選択するために、前記第1の比率を前記第2の比率と比較することを含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記第1の比率および前記第2の比率の変化を検出することと、
前記第1の比率と前記第2の比率との両方における比較可能な変化を検出することに応答して、前記二次経路応答を補正する措置を講じることと、
前記第2の比率のみにおける実質的変化を検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの応答を補正する措置を講じることと
をさらに含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記措置を講じることは、
前記検出することが、前記第2の比率のみにおける前記実質的変化を検出する場合、前記第1の適応フィルタの適応を有効にすることと、
前記処理回路が、前記第1の比率と前記第2の比率との両方における前記比較可能な変化を検出する場合、前記第1の適応フィルタの適応を無効にすることと
を含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記措置を講じることは、前記第1の適応フィルタの利得を低減させることを含む、項目16に記載の方法。
(項目22)
前記措置を講じることは、
前記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの利得を増加させ、前記適応雑音消去利得を再測定することと、
前記適応雑音消去利得が前記下限閾値未満である間、前記第1の適応の利得を繰り返して増加させることと
を含む、項目16に記載の方法。
(項目23)
前記措置を講じることは、
前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの係数の値のセットを記憶することと、
前記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの係数の記憶された値のセットを復元することと
を含む、項目16に記載の方法。
(項目24)
前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、前記二次経路適応フィルタの係数の別の値のセットを記憶することと、
前記適応雑音消去利得が前記下限閾値未満であることを検出することに応答して、さらに、前記二次経路適応フィルタの係数の他の記憶された値のセットを復元することと
をさらに含む、項目23に記載の方法。
(項目25)
パーソナルオーディオデバイスの少なくとも一部を実装するための集積回路であって、前記集積回路は、
出力信号を出力変換器に提供するための出力であって、前記出力信号は、聴取者への再生のためのソースオーディオおよび前記変換器の音響出力内の周囲オーディオ音の影響を打ち消すための反雑音信号の両方を含む、出力と、
前記周囲オーディオ音を示す基準マイクロホン信号を受信するための基準マイクロホン入力と、
前記変換器の音響出力および前記変換器における前記周囲オーディオ音を示すエラーマイクロホン信号を受信するためのエラーマイクロホン入力と、
エラー信号および前記基準マイクロホン信号と一致するように、前記聴取者によって聞き取られる前記周囲オーディオ音の存在を低減させるために、第1の適応フィルタを適応させることによって、反雑音信号を前記基準信号から適応的に発生させる処理回路と
を備え、
前記処理回路は、前記ソースオーディオを成形する二次経路応答を有する二次経路適応フィルタと、前記エラー信号を提供するために前記ソースオーディオを前記エラーマイクロホン信号から除去する結合器とを実装し、前記処理回路は、適応雑音消去利得を判定するために、前記反雑音信号の影響を含む、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と、前記反雑音信号の影響を含まない、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との比率を算出する、集積回路。
(項目26)
前記処理回路は、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標として前記基準マイクロホン信号の大きさを使用する、項目25に記載の集積回路。
(項目27)
前記処理回路は、前記二次経路応答のコピーを前記反雑音信号に印加し、修正された反雑音信号を発生させ、前記修正された反雑音信号を前記エラーマイクロホン信号と組み合わせ、前記基準マイクロホン信号の大きさの第2の指標を発生させる、項目25に記載の集積回路。
(項目28)
前記処理回路は、前記適応雑音消去利得を閾利得値と比較し、前記処理回路は、前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを判定することに応答して、前記反雑音信号に措置を講じる、項目25に記載の集積回路。
(項目29)
前記処理回路は、第1の低域フィルタを用いて、前記エラー信号をフィルタ処理し、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標を発生させ、前記処理回路は、第2の低域フィルタを用いて、前記基準マイクロホン信号をフィルタ処理し、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標を発生させる、項目28に記載の集積回路。
(項目30)
前記処理回路は、前記エラーマイクロホン信号の大きさの第1の指標と前記エラーマイクロホン信号の大きさの第2の指標との第1の比率として前記比率を算出し、低周波数範囲のための第1の適応雑音消去利得として前記適応雑音消去利得を判定し、前記処理回路は、前記第1の低域フィルタおよび第2の低域フィルタの周波数範囲よりも高い周波数範囲のための第2の比率を算出し、前記処理回路は、前記第2の比率を、前記反雑音信号の影響を含む、前記より高い周波数範囲内における前記エラー信号の大きさの第3の指標から、前記反雑音信号の影響を含まない、前記より高い周波数範囲内における前記エラーマイクロホン信号の大きさの第4の指標までと算出し、前記処理回路は、前記第1の比率または前記第2の比率のうちの少なくとも1つが前記閾利得値よりも大きい場合、前記反雑音信号に講じられる措置を選択するために、前記第1の比率を前記第2の比率と比較する、項目29に記載の集積回路。
(項目31)
前記処理回路は、前記第1の比率および前記第2の比率の変化を検出し、前記処理回路は、前記第1の比率と前記第2の比率との両方における比較可能な変化を検出することに応答して、前記二次経路応答を補正する措置を講じ、前記処理回路は、前記第2の比率のみにおける実質的変化を検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの応答を補正する措置を講じる、項目30に記載の集積回路。
(項目32)
前記処理回路は、前記処理回路が前記第2の比率のみにおける前記実質的変化を検出する場合、前記第1の適応フィルタの適応を有効にし、前記処理回路が前記第1の比率と前記第2の比率との両方における前記比較可能な変化を検出する場合、前記第1の適応フィルタの適応を無効にする、項目31に記載の集積回路。
(項目33)
前記処理回路は、前記第1の適応フィルタの利得を低減させることによって、措置を講じる、項目28に記載の集積回路。
(項目34)
前記処理回路は、前記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの利得を増加させ、前記適応雑音消去利得を再測定することによって、措置を講じ、前記第1の適応フィルタの利得を増加させることは、前記適応雑音消去利得が前記下限閾値未満である間、繰り返される、項目28に記載の集積回路。
(項目35)
前記処理回路は、前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの係数の値のセットを記憶することによって、措置を講じ、前記適応雑音消去利得が下限閾値未満であることを検出することに応答して、前記第1の適応フィルタの係数の記憶された値のセットを復元することによって、措置を講じる、項目28に記載の集積回路。
(項目36)
前記処理回路はさらに、前記適応雑音消去利得が前記閾利得値よりも大きいことを検出することに応答して、前記二次経路適応フィルタの係数の別の値のセットを記憶し、さらに、前記適応雑音消去利得が前記下限閾値未満であることを検出することに応答して、前記二次経路適応フィルタの係数の他の記憶された値のセットを復元する、項目35に記載の集積回路。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9