特許第6564041号(P6564041)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564041
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/08 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   B62D25/08 H
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-531888(P2017-531888)
(86)(22)【出願日】2014年12月17日
(65)【公表番号】特表2017-537844(P2017-537844A)
(43)【公表日】2017年12月21日
(86)【国際出願番号】EP2014078290
(87)【国際公開番号】WO2016095995
(87)【国際公開日】20160623
【審査請求日】2017年8月21日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511312997
【氏名又は名称】トヨタ モーター ヨーロッパ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】オズギュル タステキン
【審査官】 畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−245748(JP,A)
【文献】 特開2008−056106(JP,A)
【文献】 特開2012−061876(JP,A)
【文献】 特開2010−168036(JP,A)
【文献】 特開2007−137363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のカウル用のエアデフレクタを備える車両であって、
前記エアデフレクタは、
前記車両の長手方向軸線と平行に延びる第1側部と、
前記エアデフレクタを前記車両に取り付ける取付手段と、
前記第1側部の反対側にあって該第1側部と平行であり、前記車両の中心線に向かって内側に向いている第2側部と、
前記エアデフレクタの頂部に作用する力がヒンジ部に沿って実質的に前記車両の中心線に向かう方向に前記エアデフレクタの変形を引き起こすように、前記第1側部及び/又は前記第2側部に配置されたヒンジ部と、
を備え、
変形前において、前記エアデフレクタの頂部の少なくとも一部が前記車両の中心線に向かって傾斜しており
前記車両のカウルには、前記第1側部と相互作用して、前記エアデフレクタを、前記エアデフレクタが前記車両に取り付けられた取付状態に維持するように構成された1つ以上の突起が設けられ、前記突起は、前記エアデフレクタが前記取付状態に維持されているときに、前記エアデフレクタに対して前記車両の中心線に向かう方向への応力を加えるように構成される、
車両。
【請求項2】
前記ヒンジ部は、前記エアデフレクタの厚さを薄くした領域を備える、
請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記ヒンジ部は、リビングヒンジを備える、
請求項1又は請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記ヒンジ部は、前記エアデフレクタの長さに亘って、基部の近傍に延びている、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の車両。
【請求項5】
前記頂部の角度は、前記エアデフレクタが前記車両に取り付けられたときに水平から45度と80度との間の範囲にある、
請求項1に記載の車両。
【請求項6】
前記取付手段は、1つ以上のピン及び穴構造を備える、
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の車両。
【請求項7】
前記取付手段は、前記エアデフレクタの前記頂部に作用する力が、破損及び/又は強制的な解放によって少なくとも前記取付手段の部分的な分離を引き起こすように構成される、
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の車両。
【請求項8】
前記エアデフレクタの前記頂部は、変形を容易にするために衝撃の際に前記車両のフードと相互作用するように構成される、
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車/歩行者の衝突安全性を改善するための受動的(passive)な装置に関し、より具体的には、車両との衝突時における頭部傷害基準値(head injury criterion)を低減するように構成されたデフレクタ(deflector)に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の安全評価は、車両を設計する上で重要な要素であり、特に政府の承認や車両購入者の意思決定に重大な影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
車両の安全評価を確立するための1つの特定の要素は、頭部傷害基準値(HIC)に関する。HICは、車両の運転者及び乗員の両方に対して、並びに歩行者や自転車運転者、オートバイ運転者等の車両との衝突に関与し得る第三者に対して評価することができる。
【0004】
車両用のHICを試験するために、大人及び子供の「頭部模型」(すなわちインパクタ(impactor))が、所定速度で車両のフード上の様々な領域において様々な衝突角度で衝撃を受け、各衝撃が記録される。
【0005】
HICの値は、(1)式に従って、インパクタに設けられた加速度計に基づいて算出される。
【数1】
ここで、t1及びt2は、HICが最大値に到達する期間の最初と最後の時刻(秒)であり、加速度aはgs(標準重力加速度)で計測される。
【0006】
従来、自動車メーカは、歩行者保護用のエアバッグやアクティブフードシステムを設けて、歩行者保護機能を強化している。このような能動的(active)なシステムは、高価であり、設計/組立が困難である。
【0007】
能動的なシステムに加えて、受動的な設計も実現されている。しかしながら、受動的なシステムは安価な一方で、傷害の可能性を低減すべく、そのような受動的なシステムを絶えず改善することが望まれている。
【0008】
特開2007−331521号公報には、上部からの荷重によって変形して潰れる車両用の外気導入ダクトのダクト部が開示されている。
【発明の概要】
【0009】
現在においても、車両との衝突時における歩行者への傷害を軽減する目的で、HICを低減することのできる車両構造を提供することが依然として望まれている。
【0010】
従来のシステムは、エンジンによって加熱された空気がキャビン用の冷却空気取入口に流入するのを防止するように構成された比較的安定していて(すなわち永続的に静止するように設計されていて)強固なエアデフレクタ(air deflector)を含んでいる。このような安定していて強固なエアデフレクタは、衝突時に変形しないおそれがあり、そのためHIC値を増加させるおそれがある。
【0011】
したがって、本開示の実施形態によれば、車両のカウル用のエアデフレクタが提供される。エアデフレクタは、車両の長手方向軸線と平行に延びる第1側部と、エアデフレクタを車両に取り外し可能に取り付けるように構成されて、取付状態をもたらす取付手段と、第1側部の反対側にあって第1側部と平行であり、取付状態であるときに、車両の中心線に向かって内側に向いている第2側部と、取付状態においてエアデフレクタの頂部に作用する力がヒンジ部に沿ってエアデフレクタの変形を引き起こすように、第1側部及び/又は第2側部に配置されたヒンジ部と、を含む。
【0012】
このようなエアデフレクタを提供することで、デフレクタに(例えば車両のフードを介して)作用する衝突力を、ヒンジ部に沿ったエアデフレクタの歪み及び変形を介してより良好に吸収することができる。従来の堅いエアデフレクタと異なり、本デフレクタは、HICを大幅に低減することができる。
【0013】
ヒンジは、エアデフレクタの厚さを薄くした領域を含むことができる。例えば、ヒンジ部は、リビングヒンジを備える。
【0014】
ヒンジ部は、エアデフレクタの長さに亘って延びることができ、好ましくは基部の近傍に延びることができる。
【0015】
変形前において、前記エアデフレクタの頂部の少なくとも一部を、変形させる予定の方向に傾斜させておくことができる。例えば、頂部の角度は、取付状態にあるときに水平から30度から85度、より好ましくは45度から80度、さらにより好ましくは50度から75度の範囲にある。
【0016】
エアデフレクタは、実質的に車両の中心線に向かう方向に変形するように構成することができる。これに関連して、「実質的に」という用語は、衝突後、エアデフレクタの変形部分の大部分(すなわち50%よりも大きい)が、例えば車両の中心線に向かって変形方向に歪んだことを意味する。
【0017】
取付手段は、1つ以上のピン及び穴構造を含む。
【0018】
エアデフレクタは、エアデフレクタの頂部に作用する力が、少なくとも取付手段の部分的な分離を引き起こすように構成することができる。
【0019】
第1側部、及び第2側部の少なくとも1つは、車両のカウルの1つ以上の突起と相互作用して、特にエアデフレクタに衝突する前の取付状態を維持するように構成することができる。
【0020】
エアデフレクタの頂部は、変形を容易にするために衝撃の際に車両のフードと相互作用するように構成することができる。
【0021】
本開示の更なる実施形態によれば、前述の態様のいずれかによるエアデフレクタを1つ以上含む車両が提供される。
【0022】
その他の点で矛盾する場合を除いて、上述の要素と明細書内の要素との組み合わせがなされ得ることが意図される。
【0023】
前述の一般的な説明、及び以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲に記載の本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0024】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、本開示の実施形態を示し、説明と共に、その原理を明白にする役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A図1Aは、本開示の実施形態による例示的なエアデフレクタを示す図である。
図1B図1Bは、図1AのA−A線に沿った断面図である。
図2A図2Aは、本開示の実施形態による取り付けられた状態のエアデフレクタの第1斜視図である。
図2B図2Bは、取り付けられた状態のエアデフレクタの第2斜視図である。
図3A図3Aは、衝撃力が作用する前の時点における本開示のエアデフレクタの概略斜視時である。
図3B図3Bは、衝撃力が作用した後の図3Aのエアデフレクタの概略斜視時である。
図4図4は、車両で実施される例示的なHIC試験の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、本開示の例示的な実施形態について詳細に述べ、その例を添付図面に示す。可能な限り、同じ参照番号は、図面全体に亘って同一、又は同様の部分を指すために使用される。
【0027】
図1Aは、本開示の実施形態による例示的なエアデフレクタ10(例えばホットエアデフレクタ(hot air deflector))を示す図であり、図1Bは、図1AのA−A線に沿った断面図である。エアデフレクタ10は、カウル33の一部分30を通り越してくる空気を、車両1(図4参照)のカウル33に設けられたキャビン用の外気取入ダクト25に流入しないように偏向させるように構成される。例えば、車両1が前方に移動すると、車両1のエンジンルーム(図示せず)から来る加熱された空気がカウル30の両側を通過する。このような暖かい空気が外気取入口25の中に流れ、キャビンの中に取り込まれるのを制限、又は抑制することが一般に望ましい。
【0028】
エアデフレクタ10が車両1に設けられている(例えば取付手段35によってカウル33に付けられる)とき、これは「取付状態」を示し、取付状態は、本明細書に記載された特定の要素に関する議論のための基準座標系(frame of reference)を提供することを理解されたい。
【0029】
エアデフレクタ10は通常、車両の形状(例えばフードやカウル等)に実質的に一致するように形づくられ、第1側部3、第2側部5、1つ以上の取付手段35、頂部20及びヒンジ部15を備える。さらにエアデフレクタ10は、基部7、及び/又は、車両の一部分(例えば車両フード55)と相互に作用するように構成された1つ以上の縁9を備える。
【0030】
エアデフレクタ10は、例えば金属(例えばアルミニウムや鋼等)やプラスチック(例えばポリスチレンやポリプロピレン、ポリアミド等)といった任意の適切な材料を含んで成ることができ、任意の適切な工程(例えばプレス(stamping)や鍛造、切削、圧縮成形、射出成形)又は工程の組み合わせによって形成することができる。
【0031】
第1側部3は、車両1の長手方向の中心線に略平行に延びる長手軸線に沿って長さ方向に延在することができる。図1A図1Bにおいて、車両1はその全体が図示されていないが、当業者であれば、空気取入口25は、固有の長さ(すなわち、車両の前部から後部までの長さ)を持つ車両のカウル33の一部に存在することを意図していることを理解するであろう。第1側部3は、エンジンルームから車両1の外部に流れる加熱された空気の一部を偏向させて、例えば、そのような加熱された空気がキャビン用空気取入口25に流入するのを防止するように構成することができる。
【0032】
第2側部5は、第1側部3の反対側にあってかつ第1側部3と平行であり、図2A及び図2Bに示す取付状態(すなわち、車両1のカウル33に基部7によって取り付けられている)では、第2側部は車両の中心線に向かって内側に向いていても良い。
【0033】
1つ以上の取付手段35は、エアデフレクタ10を車両1のカウル33に取り外し可能に取り付けることができるように構成される。したがって取付手段は、様々な締結具(例えばねじやクリップ、リベット等)や、搭載位置において穴によって受け入れられるように構成されたピン、及び/又は、びょう(studs)を備えることができる。
【0034】
1つ以上の取付手段35は、取り外し可能な取付手段35の取り付けを容易にするために、カウル33内に存在する機構(例えば穴)と相互に作用するように構成することができる。例えば、ピンが1つ以上の取付手段35として設けられる場合、このようなピンは、カウル33に設けられた穴(図示せず)に挿入されるように構成されても良い。このような穴は、取付手段35によって締り嵌めが達成されるように構成することができ、それにより、エアデフレクタ10を、少なくともエアデフレクタ10への衝突の前に取付状態に維持するように構成することができる。エアデフレクタ10が取付手段35によって一旦取り付けられると、エアデフレクタ10に力(例えば引張力、及び/又は押圧力)を加えることによって、工具を使用せずにエアデフレクタを取り外すことができる。
【0035】
取付手段35は、とりわけ、基部7に沿って様々な位置に配置することができる。これに替えて、又は加えて、取付手段は、エアデフレクタ10の後部13に設けることができる。当業者であれば、より多くの、又はより少ない数の取付手段35を、個々のデザインに応じて(例えば車両のサイズに基づいて等)設けても良いことを認識するであろう。
【0036】
取付手段35は、エアデフレクタ10の一部として一体的に形成されても良く、エアデフレクタ10の製造後に取付手段35に(例えば溶接によって)接合される別個の要素として形成されても良く、またそれらの組み合わせで形成されても良い。例えば、取付手段35は、エアデフレクタ10が取り付けられる車両に存在する穴に一致するように、エアデフレクタ10にスポット溶接されていても良い。これは、車載に関してより柔軟性を持たせることができる。
【0037】
エアデフレクタ10の頂部20の少なくとも一部は、意図的な変形の方向に傾斜していても良い。例えば、頂部20は、(取付状態で測定された)水平から角度αで傾斜することができ、空気の偏流、及び衝撃の際の変形を助けるように構成することができる。車両1の中心線に向かって変形が望まれる実施形態では、例えば頂部20は、水平から角度αで車両1の中心線に向かって傾斜することができる。角度αは、取付状態で測定された水平から約30度から80度の範囲に及ぶことができる。
【0038】
頂部20は、エアデフレクタ10の上縁9の全長Lの約1%から50%の間の長さと、取付状態で測定されたエアデフレクタ10の全高Hの約5%から40%の間の高さと、を有する部分を備えることができる。すなわち、角度αの頂点Vから取付状態で測定すると、頂部20の高さ、及び頂部20の長さは、前述の基準を満たすことができる。
【0039】
ヒンジ部15は、取付状態においてエアデフレクタ10の頂部20に加えられる力が、ヒンジ部15に沿ってエアデフレクタ10を変形させるように構成することができる。ヒンジ部15は、例えばエアデフレクタ10を形成する材料の長さLに亘って薄くされた領域を備えることができる。いくつかの実施形態によれば、ヒンジ部15は、ヒンジの領域における薄肉化がヒンジ位置に沿って更なる柔軟性をもたらすリビングヒンジ(living hinge)(例えば撓み支持型ヒンジ)と同様であっても良い。本明細書では、ヒンジ部15はエアデフレクタ10の全長Lに亘るように説明されると共に図示されているが、これは例示に過ぎず、当業者であれば、デザインを考慮した上でヒンジ部15に対して様々な長さが選択しても良いことを認識するであろう。
【0040】
ヒンジ部15は、エアデフレクタ10の製造過程において、例えばプレスや鍛造、成形、鋳造、射出等によって形成することができる。あるいは、ヒンジ部は、エアデフレクタ10の製造後に、(例えばレーザによる)切削や転削(milling)のような材料除去工程によって形成することができる。例えば、CNC工作機械は、ヒンジ部15を所望の深さまで除去し、ヒンジ部15をエアデフレクタ10の周りの材料よりも堅くしないように構成することができる。
【0041】
ヒンジ部15は、例えば基部7の上方の位置で、第1側部3、及び/又は第2側部5に配置することができる。いくつかの実施形態によれば、ヒンジ部15は、基部7から測定してエアデフレクタ10の全高Hの約5%から40%の高さHhに配置することができる。
【0042】
図3A図3B、及び図4を参照して、インパクタ50を介してエアデフレクタ10に力を加えることによるHICの測定について説明する。図3Aに示すように、エアデフレクタ10は、取付状態で配置されている。すなわち、取付手段35は、カウル33、及びエアデフレクタ10に取り外し可能に取り付けられている。エアデフレクタ10を上記取付状態に維持するのを助けるために、及び/又は、エアデフレクタ10の所望の方向(たとえば車両1の中心線の向き)への歪みを促進するために、1つ以上の突起40(例えばリブ)を車両1のカウル33に設けることができる。例えば、そのような突起は、取付状態でエアデフレクタ10の締り嵌めを生じさせるように構成することができ、それにより、応力が常に(変形方向に向かって)エアデフレクタ10に加えられる。換言すれば、エアデフレクタ10は、好ましい方向への歪みをさらに促進するために、「予め応力が加えられた状態(pre-stressed)」とされていても良い。
【0043】
車両1のフード55(図4参照)は、明確化のために図3A図3Bにおいては省略されているが、エアデフレクタ10の上縁9の一部は、衝撃の際にフード55とエアデフレクタ10の上縁9との相互作用が可能なように、フード55と接触しているか、又はほぼ接触している。
【0044】
歩行者と車両1との衝突を模擬実験しようとするHICの試験中において、インパクタ50は車両1に向けて加速され、より詳細にはエアデフレクタ10の位置でフード55に向けて加速される。この加速は、フード55に衝撃力を発生させる方向(例えば水平から50度から70度の間)に、所望の運動量をインパクタ50に与えるように設計される。
【0045】
フード55に衝突すると、インパクタ50は、フード55を介して、エアデフレクタ10の例えば頂部20、又はその近傍に力を及ぼし、それにより、エアデフレクタ10をヒンジ部15に沿って変形方向Dに変形させる。
【0046】
図3Bに示すように、ヒンジ部15に沿った変形に加えて、1つ以上の取付手段35’は、破損、強制的な解放、及び/又はその他の手段によって衝突の際に取り外されるようにしても良く、それにより、エアデフレクタ10の変形、及び衝撃吸収機能をさらに高めることができる。
【0047】
従来技術の剛性が修正されていないエアデフレクタと比較して、本開示の実施形態の実行によって、HICの実質的な低減を図ることができる。例えば、従来技術のエアデフレクタのHIC値は規制閾値を上回るが、本開示のエアデフレクタは、HIC値を低下させることができ、規制閾値をはるかに下回らせることさえできる。
【0048】
明細書全体に亘って、特許請求の範囲を含め、「備える」という用語は、特に明記しない限り「少なくとも1つを備える」と同義であると理解されるべきである。さらに、明細書に記載されている範囲は、特許請求の範囲を含め、特に明記しない限りその終値(end value(s))を含むものとして理解されるべきである。記載された要素の特定の値は、当業者に知られている許容された製造公差、又は産業公差の範囲内にあると理解されるべきであり、「実質的に」、「およそ」、及び/又は「一般に」という用語は、そのような許容された公差内にあると理解されるべきである。
【0049】
国家標準、国際標準、又はその他の標準化団体の標準が参照されている場合(例えばISO等)そのような参照は、本明細書の優先日における国家的、又は国際的な標準化団体によって定義された標準を指すものとする。このような標準に対するその後の実質的な変更は、本開示及び/又は請求の範囲の範囲及び/又は定義を変更することを意図するものではない。
【0050】
本開示は、特定の実施形態を参照して記載されているが、これらの実施形態は、本開示の原理、及び適用の単なる例示であることを理解されたい。
【0051】
本明細書、及び実施例は、単なる例示であり、本開示の真の範囲は、添付の特許請求の範囲によって示されることが意図される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4