特許第6564072号(P6564072)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6564072パッケージ型チップのシールド構造を有する二次電気化学電池封口体及び電池
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564072
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】パッケージ型チップのシールド構造を有する二次電気化学電池封口体及び電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/04 20060101AFI20190808BHJP
   H01M 2/26 20060101ALI20190808BHJP
   H01M 2/02 20060101ALI20190808BHJP
   H01M 2/08 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
   H01M2/04 C
   H01M2/26 A
   H01M2/04 A
   H01M2/02 C
   H01M2/02 A
   H01M2/08 A
   H01M2/08 C
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-562344(P2017-562344)
(86)(22)【出願日】2015年12月8日
(65)【公表番号】特表2018-521460(P2018-521460A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】CN2015096611
(87)【国際公開番号】WO2016197566
(87)【国際公開日】20161215
【審査請求日】2018年1月25日
(31)【優先権主張番号】201510321435.0
(32)【優先日】2015年6月12日
(33)【優先権主張国】CN
(31)【優先権主張番号】201520404078.X
(32)【優先日】2015年6月12日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517413144
【氏名又は名称】福建南平南孚電池有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】張 清順
(72)【発明者】
【氏名】陳 進添
(72)【発明者】
【氏名】常 海涛
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0104538(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0111003(US,A1)
【文献】 特開2006−128120(JP,A)
【文献】 国際公開第2000/011737(WO,A1)
【文献】 特開2007−305323(JP,A)
【文献】 特表2016−537794(JP,A)
【文献】 特開2000−285969(JP,A)
【文献】 特表2018−518807(JP,A)
【文献】 特表2018−518808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02
H01M 2/04
H01M 2/08
H01M 2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージ型チップのシールド構造を有する二次電気化学電池封口体であって、前記封口体は、負極キャップと、回路基板モジュールと、絶縁ワッシャとを備え、二次電気化学電池の電池ケースの開口部を封止することに用いられ、
前記電池ケースは、前記負極キャップ寄りの一方の端部に窪んだターン構造を有し、
前記回路基板モジュールは、前記ターンと前記負極キャップの間に位置し、前記回路基板モジュールの上に動作時に電磁放射を生じる電子部品が複数設置され、前記回路基板モジュールの直径の大きさが、前記ターンの一方の側に引っ掛かり、前記電池ケースの開口部を封止するように、前記ターン構の凹部の内径と前記電池ケースの内径の間に設定され、前記回路基板モジュールと前記負極キャップは導電材によって連結され、前記負極キャップと前記回路基板モジュールにより第1の密閉された電磁シールド空間が構成され、前記電池ケースと前記回路基板モジュールにより第2の密閉された電磁シールド空間が構成され、前記電子部品は、前記第1の密閉された電磁シールド空間の内と前記第2の密閉された電磁シールド空間の内に設置され、
前記回路基板モジュールの前記負極キャップに対向する面に、係止溝が開設され、前記回路基板モジュールの上の前記負極キャップとの接触箇所に、金属リングが配置され、前記係止溝が前記金属リング内に設置され、前記金属リングと前記係止溝とが電気的に接続されることによって、前記負極キャップと共に、密閉された電磁シールド空間を構成し、
前記絶縁ワッシャは「
【数1】
」字状の断面を有し、前記電池ケースと、前記回路基板モジュールと前記負極キャップの隙間中に配置され、前記回路基板モジュールを前記ターンと前記電池ケースの間に押圧し固定すると共に、前記電池ケースと前記負極キャップとを引き離す、パッケージ型チップのシールド構造を有する二次電気化学電池封口体。
【請求項2】
前記負極キャップと前記電池ケースの、材料は金属である、請求項1に記載の二次電気化学電池封口体。
【請求項3】
前記負極キャップが、半田付けによって前記回路基板モジュールの上に固定される、請求項1に記載の二次電気化学電池封口体。
【請求項4】
前記回路基板モジュールの回路負極出力端は、負極出力と回路接地とが同一線に配置されるように、前記負極キャップと回路基板との半田付け箇所に設置される、請求項3に記載の二次電気化学電池封口体。
【請求項5】
前記負極キャップのエッジの前記係止溝に対応する位置に、前記負極キャップを前記回路基板モジュールの上に固定するように、係止ヘッドが設置される、請求項1に記載の二次電気化学電池封口体。
【請求項6】
前記負極キャップは導電材から構成される、請求項5に記載の二次電気化学電池封口体。
【請求項7】
前記絶縁ワッシャは可撓性及び弾性を持つ環状の絶縁ガスケットである、請求項1に記載の二次電気化学電池封口体。
【請求項8】
前記「
【数2】
」字状の絶縁ワッシャは、前記回路基板モジュールを前記ターンと前記電池ケースの間に押圧し固定する部分と、前記電池ケースと前記負極キャップとを引き離す部分とを含む、請求項1に記載の二次電気化学電池封口体。
【請求項9】
前記電池ケースの表面からの、前記ターンの凹部の深さは0.2〜1.2mmである、請求項1に記載の二次電気化学電池。
【請求項10】
請求項1に記載の電池封口体を含む二次電気化学電池であって、前記封口体は前記二次電気化学電池の電池ケースの開口部を封止し、前記二次電気化学電池はセルと正極キャップとをさらに含み、
前記正極キャップと前記電池ケースとが連結されて前記二次電気化学電池の正極を構成し、
前記セルが、前記正極キャップと前記ターン構造の間に位置するように、前記電池ケースの内に設置される、二次電気化学電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池に関し、具体的にはパッケージ型チップの放熱構造を有する二次電気化学電池封口体及び電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池(充電電池とも言う)は、様々な携帯式電気機器や電子機器、例えばおもちゃ、手持ち機器などに広く利用され、二次電池の蓄積エネルギー量に対する要望が益々高くなっている。リチウムイオン二次電池は、高エネルギー量を有し、放電性能が高効率であり、環境負荷が低いなどの利点を有するので、上記の分野において、広く利用されている。
【0003】
充電電池は、望ましい動作効果を得るために、他の機能を持つ集積回路チップと協働して動作することが多い。通常、充電電池は、充電電池と集積回路チップが、個別にパッケージされ回路基板やリード線を介して連結されて、一体にされてから使用される。このような構成は、周辺素子の数が多く、生産工程が煩雑で、コストが高く、かつ充電電池と集積回路チップの体積が大きく、性能が低下するので、小型化や微細化にとって不利である。
【0004】
リチウムイオン二次電池のパッケージを行う場合、リチウムイオン二次電池における各部分の占有空間は、ほぼ一定であり、ポリマーセルの内部に、正極板とセパレータと負極板を含み、かつ正極板のセパレータから離反する一端にパッケージ用の所定の高さのセルトップシールを有するので、ポリマーセルにおけるセルトップシールの高さの占有分、ポリマーセルの内部の有効空間が減少する。ポリマーセルの空間利用率は、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度及び容量と密接な関係にあるので、一般的に、ポリマーセルの空間利用率が大きいほど、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度及び容量も大きく、よって、従来のリチウムイオン二次電池には、ポリマーセルの空間利用率が低いことによる、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度及び容量が低いという問題がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、パッケージ型チップのシールド構造を有する二次電気化学電池封口体を提供し、前記封口体は、負極キャップと、回路基板モジュールと、絶縁ワッシャとを備え、二次電気化学電池の電池ケースの開口部を封止することに用いられ、前記電池ケースは、前記負極キャップ寄りの一方の端部に窪んだターン構造を有し、前記回路基板モジュールは、前記ターンと前記負極キャップの間に位置し、前記回路基板モジュールの上に動作時に電磁放射を生じる電子部品が複数設置され、前記回路基板モジュールの直径の大きさが、前記ターンの一方の側に引っ掛かり、前記電池ケースの開口部を封止するように、前記ターン構成の凹部の内径と前記電池ケースの内径の間に設定され、前記回路基板モジュールと前記負極キャップは導電材によって連結され、前記負極キャップと前記回路基板モジュールにより第1の密閉された電磁シールド空間が構成され、前記電池ケースと前記回路基板モジュールにより第2の密閉された電磁シールド空間が構成され、前記電子部品は、前記第1の密閉された電磁シールド空間の内と前記第2の密閉された電磁シールド空間の内に設置され、前記絶縁ワッシャは「
【数1】
」字状の断面を有し、前記電池ケースと、前記回路基板モジュールと前記負極キャップの隙間中に配置され、前記回路基板モジュールを前記ターンと前記電池ケースの間に押圧し固定すると共に、前記電池ケースと前記負極キャップとを引き離す。
【0006】
好ましくは、前記負極キャップと前記電池の筐体の、材料は金属である。
【0007】
好ましくは、前記負極キャップが、半田付けによって前記回路基板モジュールの上に固定される。
【0008】
好ましくは、前記回路基板モジュールの回路負極出力端は、負極出力と回路接地とが同一線に配置されるように、前記負極キャップと回路基板との半田付け箇所に設置される。
【0009】
好ましくは、前記負極キャップのエッジの前記係止溝に対応する位置に、前記負極キャップを前記回路基板モジュールの上に固定するように、係止ヘッドが設置される。
【0010】
好ましくは、前記負極キャップは導電材から構成される。
【0011】
好ましくは、前記回路基板部材の上の前記負極キャップとの接触箇所に、金属リングが配置され、前記係止溝が前記金属リング内に設置され、前記金属リングと前記係止溝は、電気的に接続されることによって、前記負極キャップと共に、密閉された電磁シールド空間を構成する。
【0012】
好ましくは、前記絶縁ワッシャは可撓性及び弾性を持つ環状の絶縁ガスケットである。
【0013】
好ましくは、前記「
【数2】
」字状の絶縁ワッシャは、前記回路基板モジュールを前記ターンと前記電池ケースの間に押圧し固定する部分と、前記電池ケースと前記負極キャップとを引き離す部分とを含む。
【0014】
好ましくは、前記電池ケースの表面からの、前記ターンの凹部の深さは0.2〜1.2mmである。
【0015】
好ましくは、前記封口体は前記二次電気化学電池の電池ケースの開口部を封止し、前記電池はセルと正極キャップとをさらに含み、前記正極キャップと前記電池ケースとが連結されて前記二次電池の正極を構成し、前記セルが、前記正極キャップと前記ターン構造の間に位置するように、前記電池ケースの内に設置される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電気化学電池用の封口体によれば、部品構造の設計が巧妙であり、合理的で、電気化学電池の電極封口に電極カバーを有し、その電極カバーは、回路基板と協力してシールド構造を形成して、内蔵された高周波数部品の外部に対する干渉を防止できると共に、回路基板の動作時の熱を外部へ伝導して回路基板及び部品を保護するように機能する。なお、電池ケース上にセルと回路基板の間に対応する位置に、ターン構造が、セルと回路基板との相対位置を位置決めするように配置され、かつ電極カバーと電池ケースの間の絶縁ワッシャと協力して、いずれの半田付けにも依らずに回路基板を固定する。
【0017】
以下、本発明の更なる目的、作用及び効果が、添付図面を参照した本発明の実施の形態の説明によって、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1a】本発明の電気化学電池の構造を模式的に示す模式図である。
図1b】本発明の電気化学電池の分解斜視図である。
図1c図1aのA−A方向に沿う断面図である。
図1d】本発明の回路基板モジュールの回路模式図である。
図2a】本発明の二次電気化学電池における第1の実施例の電気化学電池用の封口体部品200の分解斜視構造を、模式的に示す模式図である。
図2b】本発明の第1の実施例の電気化学電池用の封口体部品200の一部を、拡大して模式的に示す断面図である。
図3】本発明の第2の実施例の電気化学電池用の封口体部品300の分解斜視図である。
図4】本発明の第2の実施例における第2のプリント配線板の他の実施例の構造模式図である。
図5a】本発明の第3の実施例のシールド構造の構造模式図である。
図5b図5aの一部を拡大して示す構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施の形態を参照することによって、本発明の目的及び作用並びにこれらの目的及び作用を実現するための方法を説明する。しかしながら、本発明は、以下のような実施の形態で限定されるものではなく、他の形態で実現され得る。明細書は、当業者が本発明の具体内容を統合して理解することに寄与するものである。
【0020】
前記の概略説明及び以下の詳しい説明は、すべて例示的な説明及び解釈であり、特許請求の範囲の発明を制限するものではないことが、理解される。
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。図面では、同一または類似の部材、或は同一または類似の工程に、同一の符号を付している。
【0022】
本発明は二次電気化学電池を提供し、図1a、1bは、それぞれ、本発明の電気化学電池の構造模式図及び分解斜視図である。図1a、1bに示すように、電気化学電池100は、電池ケース101と、電池ケース101内に設置されるセル102と、負極キャップ103と、セル102と負極キャップ103の間の空間に設置される回路基板モジュール104と、正極キャップ105とを備える。本発明の負極キャップは、電磁シールド、静電シールドと回路放熱という機能を有する。セル102は電池ケース101によって外装され、電池ケース101は、円筒体または直方体構造の金属製の筐体であり、正極を出力し、回路基板モジュール104を固定する。本発明の一実施例によれば、正極キャップ105が右旋回して電池ケース101と共に一体的な構造になる。
【0023】
回路基板モジュール104は、少なくとも1層のプリント配線板(PCB)であって、電気化学電池100に対して負極キャップ103に対向する第1の面と、電気化学電池100に対してセル102に対向する第2の面とを有する。PCBは、その上に配線パターンが印刷された回路基板(図1dに示すように)であって、電池100のケースの内径と概ね対応する寸法を有する。複数のプリント配線及び部品が、回路基板モジュール104の第1の面または第2の面に配置されている。回路基板モジュール104は、電池100の負極キャップ103側に寄って、セル102と負極キャップ103との間に位置する。回路基板モジュール104上には、負極キャップ103を回路基板モジュール104上に固定するように、連結部が設けられ、例えば、負極キャップ103を半田付けによって回路基板モジュール104上に固定してもよく、係止などによって固定してもよい。回路基板モジュールは、リチウム電池の充電保護、充電指示、及び電池の放電保護、短絡保護、過放電保護並びに出力電圧制御という機能を有する。回路基板モジュール104とセル102の間に、電池の正極と負極をそれぞれ引き出すように、電極連結線108a、108bが設置され、ただし、108aは正極連結線であり、108bは負極連結線である。図1cは、図1aのA−A方向に沿う断面図である。回路基板モジュール104と電池ケース101の間、負極キャップ103と電池ケース101の間に、絶縁ワッシャ106が設置される。絶縁ワッシャ106は、可撓性及び弾性を持つ環状の絶縁ガスケットであって、電気化学電池101のA−A断面に沿う形状が「
【数3】
」字形になる。絶縁ワッシャ106は、第1の電極である電池ケース101と第2の電極である負極キャップ103を引き離すと共に、その弾性によって回路基板モジュール104を押圧して固定し、電池ケース101と負極キャップ103の間の隙間を封止する機能を有する。具体的には、絶縁ワッシャ106は、図1cに示すように、回路基板モジュール104をターン107と電池ケース101の間に押圧し固定する部分と、電池ケース101と負極キャップ103とを引き離す部分とを含む「
【数4】
」字形になる。
【0024】
電池ケース101の外表面上の、セル102とプリント配線板106の間に対応する位置に、内方へ窪み一周する環状凹部であるターン107が設けられる。セル102が、正極キャップ105とターン107の間に位置するように、電池ケース101内に設置される。絶縁ワッシャ106とターン107が設置されることによって、回路基板モジュール104が電池ケース101の環状凹部と電池ケース101の底部の間に固定され、これによって、電池ケース101と負極キャップ103の連結が、いずれの半田付けにも依らずに行われる。
【0025】
ターン107構造が回路基板モジュール104を位置決めするために設置され、具体的に、回路基板モジュール104の直径の大きさがターン107構成の環状凹部の内径と電池ケース101の内径の間に設定され、電池を組み立てる場合に、まずセル102を電池ケース101中に設置してから、回路基板モジュール104を電池ケース101中に組み立て、回路基板モジュール104が以上のような大きさを有するので、回路基板モジュール104がターン107構造に引っ掛り、セル102との接触を避け、そして、絶縁ワッシャ106によって、電池ケース101と負極キャップ103を引き離し、電池100の組み立てが完了する。上記の構造によれば、回路基板モジュール104が、ターン107構造により電池ケース101内部に1つの密閉空間を形成してセル102を収容することによって、セル102の体積を増加でき、二次電池の容量を高めることができる。なお、セル102は、密閉構造であり、その内部から正極と負極が引き出され、対応する電池の正極と負極に接続されて、動作することが好ましい。
【0026】
また、電池ケース101の表面からの、ターン107の凹部の深さは0.2〜1.2mmであることが好ましい。
【0027】
図2aは、本発明の二次電気化学電池における第1の実施例の電気化学電池用の封口体部品200の分解斜視構造を、模式的に示す模式図である。図2bは、本発明の第1の実施例の電気化学電池用の封口体部品200の一部を、拡大して模式的に示す断面図である。図2a、2bに示すように、封口体部品200は、第1のPCB201と、第2のPCB202と、負極キャップ203と、第2のPCB202の外部、負極キャップ203の外部と電池ケース206の間に設置される絶縁ワッシャ207とを備える。本発明の一実施例によれば、第1のPCB201と第2のPCB202は、面積が同一の2枚のプリント配線板である。第1のPCB201はセル204に近接し、第2のPCB202はセル204から離れている。第1のPCB201は、ターン205を介して、電池ケース206上に引っ掛けられる。第2のPCB202は、負極キャップ203に接触して電気的な接続を実現し、それと共に1つのシールド構造を形成する。第1のPCB201のセル204寄りの一方の面と第2のPCB202のセル204から離れている一方の面に複数のチップや回路部品が配置され、ただし、動作中に電磁放射を生じる部品が第2のPCB202と負極キャップ203からなるシールド構造中に配置されている。第2のPCB202の外部と負極キャップ203の外部と、電池ケース206との間に、絶縁ワッシャ207が設置されている。絶縁ワッシャ207は、第1のPCB201と第2のPCB202をターン205に押圧して固定し、電池ケース206と負極キャップ103の間の隙間を封止する、可撓性を有する環状の絶縁ガスケットである。電池ケース206と、第1のPCBと第2のPCBとの接触箇所に、回路基板と電池ケースの間の隙間を封止するように、接触補強用錫メッキ210が設けられている。第1のPCBと第2のPCBの間のビアホール209を介して、セル204を引き出す負極連結線208b(208aは正極連結線であり、図示しない)は、第1のPCB上と第2のPCB上のリード線に接続する。ビアホール209の内表面に導電材、例えば銅がメッキされることによって、複数の回路基板の配線同士が、ビアホール209を介して、連結されると共に、負極キャップと回路基板との接触箇所に接続され、それを負極キャップに導電できる。
【0028】
本発明による二次電気化学電池の回路基板モジュール上に、高集積化された電子部品が多くあり、電子部品が動作中に、インダクタンスのような電磁放射を生ずる可能性があるので、二次電気化学電池を使用する場合に、これらの電子部品からの電磁放射によって上記の電池を利用する電子機器に悪影響を与える虞がある。例えば、スピーカなどの電子機器に電池を用いる場合に、電池自身の電子部品からの電磁放射に対してシールド処理がなされていないと、スピーカ自身に干渉を与え、余分なハウリングノイズが発生し、電子機器の使用効果に悪影響を与える。本発明の上記の封口体部品200によれば、特別な構造を設けることによって、PCB上の電子部品の電磁放射を効果的にシールドできる。
【0029】
具体的には、本発明の一実施例によれば、PCB板上のターン205に対する他方の面、即ち、図2に示す第2のPCB202の負極キャップ203に対向する面に、負極キャップ203を係止し固定するための係止溝208が設置されている。良好な電磁放射シールド効果を実現するために、係止溝208の形状は負極キャップ203のエッジ形状に対応する。例えば、円筒形電池の場合、負極キャップ203が円形であると、係止溝208は負極キャップ203の円形に対応するように環状形状になる。負極キャップ203が矩形であると、係止溝208は負極キャップ203の矩形に対応するように矩形形状になる。係止溝208により囲まれている回路基板モジュールの一部の領域が、負極キャップ203と共に1つの密閉空間209を構成し、電磁放射(例えば、インダクタンス)を生ずる電子部品を回路基板モジュールの負極キャップ203に対向する側の密閉空間209内に設置することによって、効果的に電子部品からの電磁放射をシールドし、電池を利用する電子機器に対する電磁干渉の影響をなくすことができる。係止溝208の内壁上(即ち、負極キャップ203との接触面上)に導電材層、例えば金属メッキ層が設置され、負極キャップ203との導電性接触を行い、密閉された電磁放射の空間が形成される。
【0030】
負極キャップ203は、効果的に電子部品からの電磁放射のシールドを行うように、導電材から構成されることが好ましい。負極キャップ203は、例えば金属から形成されている。
【0031】
当業者にとっては、図2に示す2つのPCBを含む封口体部品200は、単に例示的なものであり、本発明の封口体部品は、1つのPCBまたは3つ以上のPCBの組み合わせにも適用できる。
【0032】
図3は、本発明の第2の実施例の電気化学電池用の封口体部品300の分解斜視図である。封口体部品300は、第1のPCB301と、第2のPCB302と、負極キャップ303とを備える。第1のPCB301上と第2のPCB302上に複数の回路部品が配置されている。第1のPCB301と第2のPCB302のエッジに、第1のPCB301と第2のPCB302を固定するように、複数の穴304が設置されている。本発明の一実施例によれば、第2のPCB302の、負極キャップ303が連結される面の負極キャップ303のエッジに対応する位置に、係止溝305(図面には破線で示す)を有し、負極キャップ303のエッジに、負極キャップ303を第2のPCB302上に固定すると共に、電気的に接続されて、密閉された電磁シールド空間を形成するように、係止溝305に対応する係止ヘッド306を有する。
【0033】
図4に、本発明の電磁シールド構造の他の実施例を示す。図4に示すように、第2のPCB302の負極キャップ303に対向する面に、係止溝402が開設され、図4には、2つの対向する係止溝402a、402bが例示されている。第2のPCB302の負極キャップ303との接触箇所に、金属リング401が配置され、係止溝402a、402bが金属リング401内に設置され、金属リング401と係止溝402a、402bとが導電的に接触され、係止溝402a、402bの内壁に金属層が設置されて金属リング401に電気的に接続される。負極キャップ303は、係止溝402を介して第2のPCB302上に係止され、負極キャップ303が、係止溝402を介して金属リング401に接触することによって、電磁シールドシェルとして機能する。負極キャップ303の材料は、金属である。
【0034】
図5aは、本発明の第3の実施例の電池封口体のシールド構造模式図である。図5aに示すように、負極キャップ501と電池ケース502が回路基板504の両側に配置され、両者は金属製の筐体となり、負極キャップ501と回路基板モジュール504が第1の密閉された電磁シールド空間を構成し、電池ケース502と回路基板モジュール504が第2の密閉された電磁シールド空間を構成する。これらの2つの密閉された電磁シールド空間によって、外部用電気機器に対する回路からの電磁放射の干渉を防止できると共に、外部の静電気による電池内部の回路上の電子部品503の破壊を避けることができる。図5bは電池封口体のシールド構造の拡大模式図である。図5bに示すように、負極キャップ501は半田付けによって回路基板504上に設置され、回路負極出力端が、回路基板504上の負極キャップ501と回路基板504との半田付け506の位置に位置するので、負極出力と回路接地とが同一線に配置され、高周波数電子部品503からの誘導電気が外部へ導電されずに接地される。また、半田付け506の形状は「C」字形の環状構造であることが好ましい。
【0035】
本発明の電気化学電池用の封口体によれば、部品構造の設計が巧妙であり、合理的で、電気化学電池の電極封口に電極カバーを有し、その電極カバーは、回路基板と協力してシールド構造を形成して、内蔵された高周波数部品の外部に対する干渉を防止できると共に、回路基板の動作時の熱を外部へ伝導して回路基板及び部品を保護するように機能する。なお、電池ケース上にセルと回路基板の間に対応する位置に、ターン構造が、セルと回路基板との相対位置を位置決めするように配置され、かつ電極カバーと電池ケースの間の絶縁ワッシャと協力して、いずれの半田付けにも依らずに回路基板を固定する。
【0036】
今回開示した本発明の説明及び実施例によれば、当業者が本発明の他の実施例を容易に想定又は理解できる。説明及び実施例は単に例示的なものであって、本発明の範囲及び趣旨は特許請求の範囲により限定される。
【0037】
(付記)
(付記1)
パッケージ型チップのシールド構造を有する二次電気化学電池封口体であって、前記封口体は、負極キャップと、回路基板モジュールと、絶縁ワッシャとを備え、二次電気化学電池の電池ケースの開口部を封止することに用いられ、
前記電池ケースは、前記負極キャップ寄りの一方の端部に窪んだターン構造を有し、
前記回路基板モジュールは、前記ターンと前記負極キャップの間に位置し、前記回路基板モジュールの上に動作時に電磁放射を生じる電子部品が複数設置され、前記回路基板モジュールの直径の大きさが、前記ターンの一方の側に引っ掛かり、前記電池ケースの開口部を封止するように、前記ターン構成の凹部の内径と前記電池ケースの内径の間に設定され、前記回路基板モジュールと前記負極キャップは導電材によって連結され、前記負極キャップと前記回路基板モジュールにより第1の密閉された電磁シールド空間が構成され、前記電池ケースと前記回路基板モジュールにより第2の密閉された電磁シールド空間が構成され、前記電子部品は、前記第1の密閉された電磁シールド空間の内と前記第2の密閉された電磁シールド空間の内に設置され、
前記回路基板モジュールの上の前記負極キャップとの接触箇所に、金属リングが配置され、係止溝が前記金属リング内に設置され、前記金属リングと前記係止溝は、電気的に接続されることによって、前記負極キャップと共に、密閉された電磁シールド空間を構成し、
前記絶縁ワッシャは「
【数5】
」字状の断面を有し、前記電池ケースと、前記回路基板モジュールと前記負極キャップの隙間中に配置され、前記回路基板モジュールを前記ターンと前記電池ケースの間に押圧し固定すると共に、前記電池ケースと前記負極キャップとを引き離す、パッケージ型チップのシールド構造を有する二次電気化学電池封口体。
【0038】
(付記2)
前記負極キャップと前記電池の筐体の、材料は金属である、付記1に記載の二次電気化学電池封口体。
【0039】
(付記3)
前記負極キャップが、半田付けによって前記回路基板モジュールの上に固定される、付記1に記載の二次電気化学電池封口体。
【0040】
(付記4)
前記回路基板モジュールの回路負極出力端は、負極出力と回路接地とが同一線に配置されるように、前記負極キャップと回路基板との半田付け箇所に設置される、付記3に記載の二次電気化学電池封口体。
【0041】
(付記5)
前記負極キャップのエッジの前記係止溝に対応する位置に、前記負極キャップを前記回路基板モジュールの上に固定するように、係止ヘッドが設置される、付記1に記載の二次電気化学電池封口体。
【0042】
(付記6)
前記負極キャップは導電材から構成される、付記5に記載の二次電気化学電池封口体。
【0043】
(付記7)
前記絶縁ワッシャは可撓性及び弾性を持つ環状の絶縁ガスケットである、付記1に記載の二次電気化学電池封口体。
【0044】
(付記8)
前記「
【数6】
」字状の絶縁ワッシャは、前記回路基板モジュールを前記ターンと前記電池ケースの間に押圧し固定する部分と、前記電池ケースと前記負極キャップとを引き離す部分とを含む、付記1に記載の二次電気化学電池封口体。
【0045】
(付記9)
前記電池ケースの表面からの、前記ターンの凹部の深さは0.2〜1.2mmである、付記1に記載の二次電気化学電池。
【0046】
(付記10)
付記1に記載の電池封口体を含む二次電気化学電池であって、前記封口体は前記二次電気化学電池の電池ケースの開口部を封止し、前記電池はセルと正極キャップとをさらに含み、
前記正極キャップと前記電池ケースとが連結されて前記二次電池の正極を構成し、
前記セルが、前記正極キャップと前記ターン構造の間に位置するように、前記電池ケースの内に設置される、二次電気化学電池。
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図3
図4
図5a
図5b