(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、結晶性樹脂(A)が少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たし、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たし、樹脂(B)の酸価が30mgKOH/g以下であることを特徴とするトナーバインダー。
(S2/S1)×100≧35 (1)
但し、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とする。
|SPa1−SPB|≦1.9 (3)
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。
結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、結晶性樹脂(A)が少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たし、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たし、樹脂(B)の水酸基価が30mgKOH/g以下であることを特徴とするトナーバインダー。
(S2/S1)×100≧35 (1)
但し、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とする。
|SPa1−SPB|≦1.9 (3)
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。
結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、結晶性樹脂(A)が少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たし、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たし、樹脂(B)の分子量1,000以下の分子の含有量が、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより樹脂(B)の分子量を測定した場合のピーク面積で表した場合に、全ピーク面積の10%以下であることを特徴とするトナーバインダー。
(S2/S1)×100≧35 (1)
但し、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とする。
|SPa1−SPB|≦1.9 (3)
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。
結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、結晶性樹脂(A)が少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たし、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たし、樹脂(B)が、芳香族ジオール(x1)を80モル%以上含有するアルコール成分(X)と、カルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂(B11)であり、かつ下記関係式(5)を満たすことを特徴とするトナーバインダー。
(S2/S1)×100≧35 (1)
但し、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とする。
|SPa1−SPB|≦1.9 (3)
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。
|SPA−SPB|≧0.0050×(AVB+OHVB)+1.258 (5)
但し、SPAは結晶性樹脂(A)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値、AVBは樹脂(B)の酸価、OHVBは樹脂(B)の水酸基価を表す。
結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、結晶性樹脂(A)が少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たし、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たし、樹脂(B)が、炭素数2〜10の脂肪族アルコール(x2)を80モル%以上含有するアルコール成分(X)と、カルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂(B12)であり、かつ下記関係式(6)を満たすことを特徴とするトナーバインダー。
(S2/S1)×100≧35 (1)
但し、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とする。
|SPa1−SPB|≦1.9 (3)
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。
|SPA−SPB|≧1.9 (6)
[式(6)中、SPAは結晶性樹脂(A)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。]
結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、結晶性樹脂(A)が少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S1とS2が下記の関係式(1)を満たし、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たし、樹脂(B)が、芳香族ジオール(x1)と炭素数2〜10の脂肪族アルコール(x2)を含有し、そのモル比が20/80〜80/20であるアルコール成分(X)と、カルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂(B13)であり、かつ下記関係式(7)を満たすことを特徴とするトナーバインダー。
(S2/S1)×100≧35 (1)
但し、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS2とする。
|SPa1−SPB|≦1.9 (3)
|SPa2−SPB|≧1.9 (4)
但し、SPa1はセグメント(a1)のSP値、SPa2はセグメント(a2)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値を表す。
|SPA−SPB|≧0.0117×(AVB+OHVB)+1.287 (7)
[式(7)中、SPAは結晶性樹脂(A)のSP値、SPBは樹脂(B)のSP値、AVBは樹脂(B)の酸価、OHVBは樹脂(B)の水酸基価を表す。]
結晶性樹脂(A)中のセグメント(a1)とセグメント(a2)とが、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、及びエポキシ基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基で結合されている請求項1〜10いずれか記載のトナーバインダー。
ポリエステル樹脂の変性樹脂が、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基、及び、ビニル基からなる群から選ばれる1種類以上でポリエステル樹脂を変性したものである請求項1〜12いずれか記載のトナーバインダー。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳述する。
本発明のトナーバインダーは、結晶性樹脂(A)と、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)とを含有し、示差走査熱量計(DSC)により測定された結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲にあって、昇温時の吸熱ピーク面積S
1とS
2が下記の関係式(1)を満たすことを特徴とする。
(S
2/S
1)×100≧35 (1)
本発明においては、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS
1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS
2とする。結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積は、DSCにより測定される。本明細書中、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)を、樹脂(B)ともいう。
【0012】
本発明のトナーバインダーは、結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)を必須成分として含有する。そして、後で詳述するが、本発明のトナーバインダーを一定の条件で昇温、冷却、昇温した際に、示差走査熱量計(DSC)により測定すると2つ以上の吸熱ピークが示される。
そこで、DSCにより測定される、トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS
1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS
2とすると、まず、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)が40〜100℃の範囲に少なくとも1つ以上あって、昇温時の吸熱ピーク面積S
1とS
2が下記の関係式(1)を満たすことを特徴とするトナーバインダーである。
(S
2/S
1)×100≧35 (1)
【0013】
本発明において、DSCにより測定する際の昇温・冷却条件としては、30℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温する(第1回目の昇温過程)。次いで、180℃で10分間放置後、10℃/分の条件で0℃まで冷却する(第1回目の冷却過程)。次いで、0℃で10分間放置した後、10℃/分の条件で180℃まで昇温する(第2回目の昇温過程)。
本発明のトナーバインダーは、上記の条件で昇温、冷却、昇温した際の、DSCにより測定される第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS
1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS
2とすると、昇温時の吸熱ピーク面積S
1とS
2が上記の関係式(1)を満たすものである。
【0014】
結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、S
1、S
2共にそれらを合算した面積で計算する。
また結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが結晶性樹脂(A)由来ではない吸熱ピークと重なる場合は、各々のピークに分解して結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積を求める。なお、トナーバインダーにさらに配合する原料のうち、ワックス等の結晶性の原料は吸熱ピークを発現する場合がある。
吸熱ピーク面積は、ピークの谷の箇所にてベースラインに対して垂直に線を引いて分割し、その分割線によって分けられた面積を用いて計算する。
なお、ピークが特定できれば、トナーバインダーではなくトナーでDSCを測定しても差し支えない。
【0015】
本発明のトナー及びトナーバインダーにおいて、第1回目の昇温過程は熱定着工程に相当し、第2回目の昇温過程は得られた定着画像の熱安定性に相当するといえる。
すなわち関係式(1)を満足する場合、第1の昇温過程に相当する熱定着工程では結晶性樹脂(A)の一部が樹脂(B)に相溶し、トナーが可塑化されることにより、低温で定着することが可能になるが、冷却後は結晶性樹脂(A)が再度結晶化することで低Tg化及び低粘度化を解消し、定着画像の熱安定性を高めることができる。
また同様の現象から、溶融混練後の低Tg化が抑制でき、特許文献1〜6のような特別な工程を行うことなく、トナーを製造することができる。
【0016】
関係式(1)の左辺の値はトナーの低温定着性、流動性、耐熱保存性、粉砕性及び定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点から35以上、好ましくは40〜99、さらに好ましくは50〜98である。
【0017】
結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)の範囲は40〜100℃、好ましくは45〜95℃、さらに好ましくは50〜90℃である。
なお、吸熱ピークトップを示す温度とは、吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度のことを指す。
そして、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、少なくとも1つの吸熱ピークの吸熱ピークトップを示す温度がこの範囲にあればよい。
トナーの流動性、耐熱保存性、粉砕性及び定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点からTpは40℃以上であり、低温定着性及び光沢性の観点から100℃以下である。
【0018】
本発明における結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)は、トナーバインダーを前述した条件で昇温、冷却、昇温した際の、DSCにより測定される第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークから求められる。
本発明における結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)は、トナーバインダーの代わりに結晶性樹脂(A)を用いて、結晶性樹脂(A)を上述した条件で昇温、冷却、昇温した際の、DSCにより測定される第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)の吸熱ピークから求めることもできる。上記の方法でトナーバインダーを用いて測定される結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)は、結晶性樹脂(A)を用いて、上記の方法で結晶性樹脂(A)の吸熱ピークから求められる吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)と通常同じである。
【0019】
第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱熱量(J/g)は通常1〜30J/gが好ましく、より好ましくは2〜25J/g、さらに好ましくは3〜20J/gである。低温定着性及び光沢性の観点から、結晶性樹脂(A)由来の吸熱熱量は1J/g以上が好ましく、耐ホットメルト性の観点から30J/g以下が好ましい。昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱熱量は、DSCにより測定される。
【0020】
本発明に使用する結晶性樹脂(A)は、結晶性を示し、そのTpが前述の範囲にあり、かつ関係式(1)を満足させるものであれば特に限定されない。
なお、本発明における「結晶性」とは前述のDSC測定の第1回目の昇温過程において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂をいう。
【0021】
さらに結晶性樹脂(A)は、少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と、樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)とを有するものが好ましい。本明細書中、樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)を、単にセグメント(a1)又は結晶性セグメント(a1)ともいう。樹脂(B)に対して相溶しないセグメント(a2)を、単にセグメント(a2)ともいう。
本発明において樹脂(B)に対して相溶しないとは、樹脂(B)と各セグメントを構成する化合物を混合し、室温においてその混合物を目視で観察した際に、混合物全体又は一部分に濁りがあることをいう。
樹脂(B)とセグメントを構成する化合物を混合する方法は特に規定されず、例えば、樹脂(B)とセグメントを構成する化合物を溶融混練機で混合する方法、溶剤等で溶解させて混合しその後に溶剤を除去する方法、樹脂(B)の製造時にセグメントを構成する化合物を混合する方法等がある。混合する温度は樹脂粘度の観点から100〜200℃が好ましく、110〜190℃がさらに好ましい。
【0022】
このようなセグメント(a1)としては、結晶性を示し、樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定しないが、例えば以下の結晶性ポリエステル(a11)、結晶性ポリウレタン(a12)、結晶性ポリウレア(a13)、結晶性ポリアミド(a14)、結晶性ポリビニル(a15)等の化合物から構成される構造が挙げられる。セグメント(a1)としては、このような化合物から構成される構造が好ましい。
【0023】
結晶性ポリエステル(a11)
結晶性セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリエステル(a11)としては、樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
【0024】
好ましい結晶性ポリエステル(a11)は、ジオール成分(x)とジカルボン酸成分(y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂であり、必要に応じて原料に3価以上のアルコール成分や3価以上のポリカルボン酸成分を併用してもよい。
ジオール成分(x)のジオールとしては、脂肪族ジオール、炭素数4〜36のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数4〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下、「アルキレンオキサイド」をAOと略記する)〔エチレンオキサイド(以下、「エチレンオキサイド」をEOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、「プロピレンオキサイド」をPOと略記する)、ブチレンオキサイド(以下、「ブチレンオキサイド」をBOと略記する)等〕付加物(付加モル数1〜30);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30);ポリラクトンジオール(ポリε−カプロラクトンジオール等);ポリブタジエンジオール等が挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
【0025】
これらのジオールの中で、結晶性の観点から脂肪族ジオールが好ましい。炭素数は通常2〜36個の範囲であり、2〜20個の範囲が好ましい。さらに、同様の観点から直鎖型脂肪族ジオールが分岐型脂肪族ジオールより好ましい。
【0026】
直鎖型脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等の炭素数2〜20のアルキレングリコールが挙げられる。これらのうち、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましい。
【0027】
結晶性の観点から直鎖型脂肪族ジオールの含有率が使用するジオール成分(x)の80モル%以上であることが好ましく、更に好ましくは90モル%以上である。
【0028】
3価以上のアルコール成分として、3価以上のポリオール、具体的には、3〜8価又はそれ以上の価数のポリオールが挙げられる。
必要によりジオール成分(x)と併用される3〜8価又はそれ以上の価数のポリオールとしては、炭素数3〜36の3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール(アルカンポリオール及びその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、及びポリグリセリン;糖類及びその誘導体、例えばショ糖、及びメチルグルコシド);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のAO付加物(付加モル数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)のAO付加物(付加モル数2〜30);アクリルポリオール[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他のビニル系モノマーの共重合物等];等が挙げられる。
【0029】
これらのうち好ましいものは、3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のAO付加物であり、さらに好ましいものはノボラック樹脂のAO付加物である。
【0030】
結晶性ポリエステル(a11)は、前記ジオール成分(x)に加え、カルボン酸(塩)基、スルホン酸(塩)基、スルファミン酸(塩)基及びリン酸(塩)基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するジオール(x’)を構成単位としてもよい。
これらの官能基を有するジオール(x’)を構成単位とすることにより、トナーの帯電性、耐熱保存安定性が向上する。
なお、本発明における「酸(塩)」は、酸又は酸塩を意味する。
ジオール成分(x)と、官能基を有するジオール(x’)と、ジカルボン酸成分(y)とを原料として反応して得られるポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル(a11)として好ましい。官能基を有するジオール(x’)は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
カルボン酸(塩)基を有するジオール(x’)としては、酒石酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロパン酸(塩)、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)ブタン酸(塩)及び3−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]プロパン酸(塩)等が挙げられる。
【0032】
スルホン酸(塩)基を有するジオール(x’)としては、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)エタンスルホン酸(塩)、2−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタンスルホン酸(塩)及び5−スルホ−イソフタル酸−1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)エステル(塩)等が挙げられる。
【0033】
スルファミン酸(塩)基を有するジオール(x’)としては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)、N,N−ビス(4−ヒドロキシブチル)スルファミン酸(塩)及びN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)スルファミン酸(塩)等が挙げられる。
【0034】
リン酸(塩)基を有するジオール(x’)としては、ビス(2−ヒドロキシエチル)ホスフェート(塩)等が挙げられる。
酸塩を構成する塩としては、アンモニウム塩、アミン塩(メチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、プロピルアミン塩、ジプロピルアミン塩、トリプロピルアミン塩、ブチルアミン塩、ジブチルアミン塩、トリブチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、N−メチルエタノールアミン塩、N−エチルエタノールアミン塩、N,N−ジメチルエタノールアミン塩、N,N−ジエチルエタノールアミン塩、ヒドロキシルアミン塩、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン塩及びモルホリン塩等)、4級アンモニウム塩[テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩及びトリメチル(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム塩等]、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)が挙げられる。
【0035】
官能基を有するジオール(x’)のうち、トナーの帯電性及び耐熱保存安定性の観点から好ましいのは、カルボン酸(塩)基を有するジオール(x’)及びスルホン酸(塩)基を有するジオール(x’)である。
【0036】
結晶性ポリエステル(a11)を構成するジカルボン酸成分(y)のジカルボン酸としては、炭素数(カルボニル基の炭素を含める)2〜50のアルカンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸等のドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、デシルコハク酸等);炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸(ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔ダイマー酸(2量化リノール酸)等〕;炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸等)等が挙げられる。これらの2種以上を併用してもよい。
【0037】
これらジカルボン酸の中では、アルカンジカルボン酸とアルケンジカルボン酸の脂肪族ジカルボン酸を用いるのが結晶性の観点から好ましく、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸と炭素数4〜50アルケンジカルボン酸の脂肪族ジカルボン酸がより好ましく、直鎖型のジカルボン酸が特に好ましい。例えば、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が特に好ましい。
また、脂肪族ジカルボン酸と共に芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、及びこれらの低級アルキルエステル類)を共重合したものも同様に好ましい。芳香族ジカルボン酸の共重合量としては20モル%以下が好ましい。
【0038】
結晶性ポリエステル(a11)の製造において、必要により使用される3価以上のポリカルボン酸成分としては、3〜6価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸が挙げられる。3〜6価又はそれ以上の価数のポリカルボン酸として、例えば、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[数平均分子量(Mn):450〜10,000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、及びスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる。
【0039】
なお、ジカルボン酸又は3〜6価もしくはそれ以上の価数のポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物、又は炭素数1〜4の低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてもよい。
【0040】
結晶性ポリウレタン(a12)
結晶性セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリウレタン(a12)としては、樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
【0041】
結晶性ポリウレタン(a12)としては、前記の結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)を構成単位とするもの、及び前記の結晶性ポリエステル(a11)と前記ジオール成分(x)とジイソシアネート(v2)を構成単位とするもの等が挙げられる。
結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)を構成単位とする結晶性ポリウレタン(a12)は、結晶性ポリエステル(a11)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。結晶性ポリエステル(a11)とジオール成分(x)とジイソシアネート(v2)を構成単位とする結晶性ポリウレタン(a12)は、結晶性ポリエステル(a11)とジオール成分(x)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。
【0042】
また、前記ジオール成分(x)に加え、前記の官能基を有するジオール(x’)を構成単位とすることにより、トナーの帯電性、耐熱保存安定性が向上する。
【0043】
ジイソシアネート(v2)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下同様。)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0044】
炭素数6〜20の芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジアミノフェニルメタンジイソシアネート(粗製MDI)等が挙げられる。
【0045】
炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネート及び炭素数3〜18の環状脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0046】
炭素数3〜18の環状脂肪族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0047】
ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及び/又はオキサゾリドン基を含有する変性物等が用いられ、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI及びこれらの混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との混合物]等が挙げられる。
【0048】
これらのジイソシアネート(v2)のうちで好ましいのは、炭素数6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂肪族ジイソシアネートであり、更に好ましいのはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
【0049】
結晶性ポリウレア(a13)
結晶性セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリウレア(a13)としては、樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
【0050】
結晶性ポリウレア(a13)としては、前記結晶性ポリエステル(a11)とジアミン(z)とジイソシアネート(v2)を構成単位とするもの等が挙げられる。このような結晶性ポリウレア(a13)は、結晶性ポリエステル(a11)とジアミン(z)とジイソシアネート(v2)とを反応させることにより得ることができる。
【0051】
ジアミン(z)としては、炭素数2〜18の脂肪族ジアミン及び炭素数6〜20の芳香族ジアミン等が挙げられる。
炭素数2〜18の脂肪族ジアミンとしては、鎖状脂肪族ジアミン及び環状脂肪族ジアミン等が挙げられる。
【0052】
鎖状脂肪族ジアミンとしては、炭素数2〜12のアルキレンジアミン(エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン及びヘキサメチレンジアミン等)及びポリアルキレン(炭素数2〜6)ポリアミン[ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン等]等が挙げられる。
環状脂肪族ポリアミンとしては、炭素数4〜15の脂環式ジアミン{1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等}及び炭素数4〜15の複素環式ジアミン[ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジン、及び1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等]等が挙げられる。
【0053】
炭素数6〜20の芳香族ジアミンとしては、非置換芳香族ジアミン、アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0054】
非置換芳香族ジアミンとしては、1,2−、1,3−又は1,4−フェニレンジアミン、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、チオジアニリン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン、2,6−ジアミノピリジン、m−アミノベンジルアミン、ナフチレンジアミン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0055】
アルキル基(メチル基、エチル基、n−又はイソプロピル基及びブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基)を有する芳香族ジアミンとしては、2,4−又は2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0056】
ジイソシアネート(v2)としては、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下同様。)6〜20の芳香族ジイソシアネート、炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネート、これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及びオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0057】
炭素数6〜20の芳香族ジイソシアネートとしては、1,3−又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、m−又はp−キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジアミノフェニルメタンジイソシアネート(粗製MDI)等が挙げられる。
【0058】
炭素数2〜18の脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネート及び炭素数3〜18の環状脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。
炭素数2〜18の鎖状脂肪族ジイソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0059】
炭素数3〜18の環状脂肪族ジイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−又は2,6−ノルボルナンジイソシアネート及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0060】
ジイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基及び/又はオキサゾリドン基を含有する変性物等が用いられ、変性MDI(ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI及びトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI及びこれらの混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート含有プレポリマー)との混合物]等が挙げられる。
【0061】
これらのジイソシアネート(v2)のうちで好ましいのは、炭素数6〜15の芳香族ジイソシアネート、炭素数4〜15の脂肪族ジイソシアネートであり、更に好ましいのはTDI、MDI、HDI、水添MDI及びIPDIである。
【0062】
結晶性ポリアミド(a14)
結晶性セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリアミド(a14)としては、樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
【0063】
結晶性ポリアミド(a14)としては、前記結晶性ポリエステル(a11)と、前記ジアミン(z)と、ジカルボン酸成分(y)を構成単位とするもの等が挙げられる。このような結晶性ポリアミド(a14)は、結晶性ポリエステル(a11)と、上記ジアミン(z)と、ジカルボン酸成分(y)とを反応させることにより得ることができる。
【0064】
結晶性ポリビニル樹脂(a15)
結晶性セグメント(a1)として使用できる結晶性ポリビニル樹脂(a15)としては、樹脂(B)と相溶するものであれば特にその化学構造は限定されない。
【0065】
結晶性ポリビニル樹脂(a15)としては、重合性二重結合を有するエステルを単独重合又は共重合した重合体が挙げられる。
重合性二重結合を有するエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート、エチル−α−エトキシアクリレート、炭素数1〜50のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート及びエイコシル(メタ)アクリレート等]、ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数2〜8の直鎖、分枝鎖又は脂環式の基である)、ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタン及びテトラメタアリロキシエタン等)等、ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[ポリエチレングリコール(Mn=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレート及びラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等]、ポリ(メタ)アクリレート類[多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート:エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]等が挙げられる。
【0066】
結晶性ポリビニル樹脂(a15)は、重合性二重結合を有するエステルに加え、以下の単量体(w1)〜(w9)等の化合物を構成単量体とすることができる。
【0067】
単量体(w1)重合性二重結合を有する炭化水素:
例えば、以下の(w11)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素と(w12)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素が挙げられる。
(w11)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素:
例えば、以下の(w111)と(w112)が挙げられる。
(w111)重合性二重結合を有する鎖状炭化水素:炭素数2〜30のアルケン(例えばイソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン及び1,7−オクタジエン等)。
(w112)重合性二重結合を有する環状炭化水素:炭素数6〜30のモノ又はジシクロアルケン(例えばシクロヘキセン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等)及び炭素数5〜30のモノ又はジシクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン等]等。
【0068】
(w12)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素:スチレン;スチレンのハイドロカルビル(炭素数1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル及び/又はアルケニル)置換体(例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等);及びビニルナフタレン等。
【0069】
(w2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩:
炭素数3〜15の不飽和モノカルボン酸{例えば(メタ)アクリル酸[「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味する。]、クロトン酸、イソクロトン酸及び桂皮酸等};炭素数3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[例えば(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸及びメサコン酸等];及び炭素数3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜10)エステル(例えばマレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル及びシトラコン酸モノデシルエステル等)等。
【0070】
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩としては、例えばアルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩及び4級アンモニウム塩等が挙げられる。
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されないが、例えば1級アミン塩(エチルアミン塩、ブチルアミン塩及びオクチルアミン塩等)、2級アミン(ジエチルアミン塩及びジブチルアミン塩等)、3級アミン(トリエチルアミン塩及びトリブチルアミン塩等)が挙げられる。4級アンモニウム塩としては、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩及びトリブチルラウリルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0071】
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩としては、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウム及びアクリル酸アルミニウム等が挙げられる。
【0072】
(w3)スルホ基と重合性二重結合を有する単量体及びそれらの塩:
炭素数2〜14のアルケンスルホン酸(例えばビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸及びメチルビニルスルホン酸等);スチレンスルホン酸及びこのアルキル(炭素数2〜24)誘導体(例えばα−メチルスチレンスルホン酸等;炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート[例えばスルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及び3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];炭素数5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[例えば2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等];アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸(例えばプロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸、2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸等);ポリ[n(重合度。以下同様。)=2〜30]オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン及びオキシブチレン等。オキシアルキレンは単独又は併用でもよく、併用する場合、付加形式はランダム付加でもブロック付加でもよい。)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[例えばポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステル及びポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステル等];及びこれらの塩等が挙げられる。
【0073】
なお、塩としては、(w2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩を構成する塩として例示したものが挙げられる。
【0074】
(w4)ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体及びその塩:
(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート及びフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等)、(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数1〜24)(例えば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸等)。
なお、塩としては、(w2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体を構成する塩として例示したもの挙げられる。
【0075】
(w5)ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体:
ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル及び庶糖アリルエーテル等。
【0076】
(w6)重合性二重結合を有する含窒素単量体:
例えば、(w61)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体、(w62)アミド基と重合性二重結合を有する単量体、(w63)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体、(w64)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体等が挙げられる。
(w61)アミノ基と重合性二重結合を有する単量体:
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾール、アミノメルカプトチアゾール及びこれらの塩等。
【0077】
(w62)アミド基と重合性二重結合を有する単量体:
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド及びN−ビニルピロリドン等。
(w63)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数3〜10の単量体:
(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン及びシアノアクリレート等。
(w64)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数8〜12の単量体:
ニトロスチレン等。
【0078】
(w7)エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数6〜18の単量体:
グリシジル(メタ)アクリレート及びp−ビニルフェニルフェニルオキサイド等。
【0079】
(w8)ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数2〜16の単量体:
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレン及びクロロプレン等。
【0080】
(w9)重合性二重結合を有するエーテル、重合性二重結合を有するケトン及び重合性二重結合を有する含硫黄化合物:
例えば、(w91)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル、(w92)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン、(w93)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物等が挙げられる。
(w91)重合性二重結合を有する炭素数3〜16のエーテル:
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレン及びフェノキシスチレン等が挙げられる。
(w92)重合性二重結合を有する炭素数4〜12のケトン:
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン及びビニルフェニルケトン等が挙げられる。
(w93)重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物:
ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホン及びジビニルスルホキサイド等が挙げられる。
【0081】
樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)の中で低温定着性の観点から好ましいのは結晶性ポリエステル(a11)、結晶性ポリウレタン(a12)、結晶性ポリウレア(a13)であり、さらに好ましいのは結晶性ポリエステル(a11)及び結晶性ポリウレタン(a12)である。セグメント(a1)としては、このような化合物から構成される構造が好ましい。
【0082】
樹脂(B)に対して相溶する結晶性セグメント(a1)と共に結晶性樹脂(A)に含まれるセグメント(a2)としては、樹脂(B)に相溶しない化合物から構成される構造であれば特に限定しない。樹脂(B)に相溶しない化合物として、例えば、長鎖アルキルモノアルコール(好ましくは炭素数18〜42)、長鎖アルキルモノカルボン酸(好ましくは炭素数18〜42)、ブタジエンのアルコール変性体、ジメチルシロキサンのアルコール変性体等が挙げられ、好ましくは炭素数18〜42の長鎖アルキルモノアルコール、炭素数18〜42の長鎖アルキルモノカルボン酸等である。セグメント(a2)としては、このような化合物から構成される構造が好ましい。炭素数18〜42の長鎖アルキルモノアルコールとして、例えば、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール等が好ましい。
【0083】
好ましい本発明の結晶性樹脂(A)は、同一分子内に少なくともセグメント(a1)とセグメント(a2)が化学結合されていることが好ましい。また、結晶性樹脂(A)は、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基、及び、ビニル基からなる群から選ばれる1種類以上を有することが好ましい。
また、1種のセグメント(a1)と1種のセグメント(a2)の組み合わせ以外に、3種以上のセグメントを含む場合でもよく、セグメント(a1)とセグメント(a2)は直接化学結合してもよいし、セグメント(a1)とセグメント(a2)以外のセグメント(a3)を介して結合してもよい。
このセグメント(a3)としては、例えば、樹脂(B)に対して相溶する非結晶性のセグメントが挙げられる。
【0084】
従って、3種以上のセグメントを含む場合としては、例えば、1種のセグメント(a1)と1種のセグメント(a2)と1種のセグメント(a3)の組み合わせ、2種のセグメント(a1)と1種のセグメント(a2)の組み合わせ、1種のセグメント(a1)と2種のセグメント(a2)の組み合わせ等が挙げられる。ここで、2種以上のセグメントの一例として、化学構造の種類(例えば、ポリエステル)が同じであっても分子量やその他の物性が異なる場合が挙げられる。
【0085】
化学結合は、低温定着性の観点からエステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、及びエポキシ基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基であることが好ましく、同様の観点からエステル基及びウレタン基がさらに好ましい。
本発明においては、結晶性樹脂(A)中のセグメント(a1)とセグメント(a2)とが、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、及びエポキシ基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基で結合されていることが好ましい。このようにセグメント(a1)とセグメント(a2)とが、エステル基、ウレタン基、ウレア基、アミド基、及びエポキシ基からなる群から選ばれる1種類以上の官能基で結合されてなる結晶性樹脂(A)は、本発明における結晶性樹脂(A)として好ましい。
【0086】
結晶性樹脂(A)の重量平均分子量(以下、重量平均分子量をMwと略称することがある。)は、低温定着性及び光沢性の観点から、8,000〜150,000が好ましく、さらに好ましくは10,000〜110,000、特に好ましくは12,000〜100,000である。
なお、Mwと数平均分子量(本明細書中、Mnとも記載する)は結晶性樹脂(A)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それを試料溶液として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
【0087】
本発明のトナー及びトナーバインダーに使用する樹脂(B)は、アルコール成分(X)とカルボン酸成分(Y)とを原料として反応して得られるポリエステル樹脂又はその変性樹脂であればその樹脂の組成は特に限定されない。アルコール成分(X)は、好ましくはジオール等のポリオール成分である。
ポリエステル樹脂の変性樹脂として、ウレタン基、ウレア基、アミド基、エポキシ基、及び、ビニル基からなる群から選ばれる1種類以上でポリエステル樹脂を変性したものが好ましい。
ポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)として、例えば非晶性のポリエステル樹脂(B1)、非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)、非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)、非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)等が挙げられる。このうち、ポリエステル樹脂又はその変性樹脂である樹脂(B)として、好ましくは非晶性のポリエステル樹脂(B1)である。
例えば、非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)、非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)及び非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)はそれぞれ、ビニル基、エポキシ基及びウレタン基でポリエステル樹脂を変性した樹脂として好ましい。
なお、本発明における「非晶性」とは前述のDSC測定の第1回目の昇温過程において、階段状の吸熱量変化を示し、明確な吸熱ピークを有さない樹脂をいう。
【0088】
非晶性のポリエステル樹脂(B1)は、ポリオール成分とカルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂である。
非晶性のポリエステル樹脂(B1)を構成するポリオール成分としては結晶性ポリエステル(a11)で使用するジオール成分(x)と同様のものを使用できる。また必要に応じて、ジオール成分(x)と共に、3価以上のポリオールを使用することができる。3価以上のポリオールとして、結晶性ポリエステル(a11)で使用される3価以上のポリオールと同じものを使用することができる。
【0089】
そのうち、ポリオール成分として、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)[ビスフェノールAのAO付加物(付加モル数2〜30)]、3〜8価又はそれ以上の価数の多価脂肪族アルコール、及びノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)[ノボラック樹脂のAO付加物(付加モル数2〜30)]が好ましい。
【0090】
更に好ましいものは、炭素数2〜10のアルキレングリコール、ビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜5)、ノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)であり、特に好ましくは、炭素数2〜6のアルキレングリコール、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜5)であり、最も好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールAのポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜3)である。
非晶性樹脂とするために、直鎖型ジオールの含有率は使用するジオール成分(x)の70モル%以下が好ましく、更に好ましくは60モル%以下である。また、非晶性のポリエステル樹脂(B1)を構成するポリオール成分において、ジオール成分(x)が90〜100モル%であることが好ましい。
【0091】
非晶性のポリエステル樹脂(B1)を構成するカルボン酸成分(Y)としては結晶性ポリエステル(a11)で使用するジカルボン酸成分(y)と同様のものを使用できる。
また、3価以上の多価カルボン酸やモノカルボン酸も使用できる。
【0092】
3価以上の多価カルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族トリカルボン酸(ヘキサントリカルボン酸等)、不飽和カルボン酸のビニル重合体[Mn:450〜10,000](スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸共重合体、及びスチレン/フマル酸共重合体等)等が挙げられる。
【0093】
モノカルボン酸としては炭素数1〜30の脂肪族(脂環式を含む)モノカルボン酸、及び炭素数7〜36の芳香族モノカルボン酸(安息香酸等)が挙げられる。
【0094】
これらのカルボン酸成分のうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、安息香酸、炭素数2〜50のアルカンジカルボン酸、炭素数4〜50のアルケンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸及びピロメリット酸等)が好ましい。
更に好ましくは、安息香酸、アジピン酸、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、及びこれらの2種以上の併用であり、特に好ましくは、アジピン酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びこれらの2種以上の併用である。
また、これらのカルボン酸の無水物や低級アルキルエステルも、同様に好ましい。
【0095】
樹脂(B)のガラス転移点(Tg)は、低温定着性、光沢性及びトナーの流動性、耐熱保存性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点から、40〜75℃が好ましく、さらに好ましくは45〜72℃、特に好ましくは50〜70℃である。
なお、Tgは、DSCを用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
【0096】
非晶性のポリエステル樹脂(B1)のMwは、低温定着性、光沢性及びトナーの流動性、耐熱保存性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点から、2,000〜200,000が好ましく、さらに好ましくは2,500〜100,000、特に好ましくは3,000〜60,000である。
樹脂(B)のMw及びMnは、上述した結晶性樹脂(A)と同様の方法でGPCにより求められる。
【0097】
樹脂(B)の酸価は、低温定着性、光沢性及びトナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点から、30mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは20mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは15mgKOH/g以下である。特に好ましくは10mgKOH/g以下であり、最も好ましくは5mgKOH/g以下である。
本発明において、酸価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
【0098】
樹脂(B)の酸価を小さくする手法は特に限定されないが、例えば、分子量を上げる、ハーフエステル化するための無水トリメリット酸の仕込量を減らす、末端をモノアルコール等でキャップする、3官能以上の酸又はアルコール等で架橋反応を行う、ウレタン等の仕込みの酸及びアルコール比率を調整してアルコールを少し過剰量にして末端官能基をアルコールにする、等が挙げられる。
【0099】
樹脂(B)の水酸基価は、低温定着性、光沢性及びトナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点から、30mgKOH/g以下が好ましく、より好ましくは20mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは15mgKOH/g以下である。特に好ましくは10mgKOH/g以下であり、最も好ましくは5mgKOH/g以下である。
本発明において、水酸基価はJIS K0070に規定の方法で測定することができる。
【0100】
樹脂(B)の水酸基価を少なくする手法は特に限定されないが、例えば、分子量を上げる、末端をモノカルボン酸等でキャップする、3官能以上の酸又はアルコール等で架橋反応を行う、ウレタン等の仕込みの酸及びアルコール比率を調整して酸を少し過剰量にして末端官能基を酸にする、等が挙げられる。
【0101】
樹脂(B)の分子量1,000以下の分子の含有量は、トナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより樹脂(B)の分子量を測定した場合のピーク面積で表した場合に、全ピーク面積の10%以下が好ましく、より好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは6%以下である。特に好ましくは4%以下であり、最も好ましくは2%以下である。樹脂(B)に含まれる分子量1,000以下の分子の含有量が上記範囲であると、トナーの流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット性が良好となる。
【0102】
本発明における前記樹脂(B)の分子量1,000以下の分子の含有量は前述のGPCによる樹脂(B)の分子量測定結果を以下のようにデータ処理することにより求める。
(1)分子量と保持時間を軸とする検量線から分子量が1,000となる保持時間を求める。
(2)全ピーク面積(Σ1)を求める。
(3)(1)で求めた保持時間以降のピーク面積(分子量1,000以下のピーク面積)(Σ2)を求める。
(4)以下の式から分子量1,000以下の分子の含有量を求める。
分子量1,000以下の分子の含有量(%)=(Σ2)×100/(Σ1)
【0103】
樹脂(B)の分子量1,000以下の分子の含有量を小さくする手法は特に限定されないが、例えば、樹脂(B)の分子量を上げる、末端をモノカルボン酸等でキャップする、3官能以上の酸等で架橋反応を行う、等が挙げられる。
【0104】
非晶性のポリエステル樹脂(B1)が、芳香族ジオール(x1)を80モル%以上含有するアルコール成分(X)と、カルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂(B11)である場合、結晶性樹脂(A)の溶解性パラメーター(SP値)をSP
A、樹脂(B)の溶解性パラメーターをSP
B、樹脂(B)の酸価をAV
B、樹脂(B)の水酸基価をOHV
Bとすると、低温定着性と光沢性及び耐熱保存性を両立する点で、下記の関係式(5)を満たすことが好ましい。
|SP
A−SP
B|≧0.0050×(AV
B+OHV
B)+1.258 (5)
[式(5)中、SP
Aは結晶性樹脂(A)のSP値、SP
Bは樹脂(B)のSP値、AV
Bは樹脂(B)の酸価、OHV
Bは樹脂(B)の水酸基価を表す。]
【0105】
このように、樹脂(B)が、芳香族ジオール(x1)を80モル%以上含有するアルコール成分(X)と、カルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂(B11)であり、かつ上記関係式(5)を満たすトナーバインダーは、本発明の好ましい態様の1つである。
【0106】
なお、本発明におけるSP値は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算することができる。
【0107】
芳香族ジオール(x1)としては、例えば、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)のAO(EO、PO、BO等)付加物(付加モル数2〜30)等が挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。
アルコール成分(X)中に芳香族ジオール(x1)を80モル%以上含有すると、低温定着性と耐熱保存性、画像強度、耐折り曲げ性及びドキュメントオフセット性の点で好ましい。
【0108】
非晶性のポリエステル樹脂(B1)が、炭素数2〜10の脂肪族アルコール(x2)を80モル%以上含有するアルコール成分(X)と、カルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂(B12)である場合、低温定着性と光沢性及び耐熱保存性を両立する点で、下記の関係式(6)を満たすことが好ましい。
|SP
A−SP
B|≧1.9 (6)
[式(6)中、SP
Aは結晶性樹脂(A)のSP値、SP
Bは樹脂(B)のSP値を表す。]
【0109】
上記のように、樹脂(B)が、炭素数2〜10の脂肪族アルコール(x2)を80モル%以上含有するアルコール成分(X)と、カルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂(B12)であり、かつ上記関係式(6)を満たすトナーバインダーは、本発明の好ましい態様の1つである。関係式(6)の左辺(|SP
A−SP
B|)の値は、好ましくは5以下であり、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2.5以下である。
【0110】
炭素数2〜10の脂肪族アルコール(x2)としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール(1,2−プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2,3−ジメチルブタン−1,4−ジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の脂肪族ジオールが挙げられ、これらの2種以上を併用してもよい。
炭素数2〜10であると、低温定着性と耐ホットオフセット性、耐熱保存性の観点で好ましい。
アルコール成分(X)中で炭素数2〜10の脂肪族アルコール(x2)を80モル%以上含有すると、低温定着性と耐ホットオフセット性、帯電安定性、粉砕性の観点で好ましい。
【0111】
非晶性のポリエステル樹脂(B1)が、芳香族ジオール(x1)と炭素数2〜10の脂肪族アルコール(x2)を含有し、そのモル比が20/80〜80/20であるアルコール成分(X)と、カルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂(B13)である場合、低温定着性と光沢性及び耐熱保存性を両立する点で、下記の関係式(7)を満たすことが好ましい。
|SP
A−SP
B|≧0.0117×(AV
B+OHV
B)+1.287 (7)
[式(7)中、SP
Aは結晶性樹脂(A)のSP値、SP
Bは樹脂(B)のSP値、AV
Bは樹脂(B)の酸価、OHV
Bは樹脂(B)の水酸基価を表す。]
【0112】
上記のように、樹脂(B)が、芳香族ジオール(x1)と炭素数2〜10の脂肪族アルコール(x2)を含有し、そのモル比が20/80〜80/20であるアルコール成分(X)と、カルボン酸成分(Y)を原料として反応して得られるポリエステル樹脂(B13)であり、かつ上記関係式(7)を満たすトナーバインダーは、本発明の好ましい態様の1つである。
【0113】
樹脂(B)のフローテスターで測定した軟化点(Tm)は、80〜170℃が好ましく、さらに好ましくは85〜165℃、特に好ましくは90〜160℃である。
【0114】
軟化点(Tm)は以下の方法で測定される。
高化式フローテスター{例えば、(株)島津製作所製、CFT−500D}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点〔Tm〕とする。
【0115】
樹脂(B)はTmの異なるものを2種類以上併用してもよく、Tmが80〜110℃のものと110〜170℃のものとの組み合わせが好ましい。
【0116】
本発明における樹脂(B)として、非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)も使用できる。
この非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)は、スチレン系モノマー単独の重合体、又はスチレン系モノマーと(メタ)アクリル系モノマーの共重合体をポリエステルと反応したものである。
スチレン系モノマーとしてはスチレン、アルキル基の炭素数が1〜3のアルキルスチレン(例えばα−メチルスチレン、p−メチルスチレン)等が挙げられる。好ましくはスチレンである。
【0117】
併用できる(メタ)アクリル系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜18のアルキルエステル類;ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数1〜18のヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数1〜18のアミノ基含有(メタ)アクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリロニトリルのメチル基が炭素数2〜18のアルキル基に置き換えられたニトリル基含有(メタ)アクリル化合物及び(メタ)アクリル酸等を挙げることができる。
これらのうち好ましくはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸;及びこれらの2種以上の混合物である。
【0118】
非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)には、必要により他のビニルエステルモノマーや脂肪族炭化水素系ビニルモノマーを併用してもよい。
ビニルエステルモノマーとしては脂肪族ビニルエステル(炭素数4〜15、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、イソプロペニルアセテート等)、不飽和カルボン酸多価(2〜3価)アルコールエステル(炭素数8〜200、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等)、芳香族ビニルエステル(炭素数9〜15、例えばメチル−4−ビニルベンゾエート等)等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系ビニルモノマーとしてはオレフィン(炭素数2〜10、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、オクテン等)、ジエン(炭素数4〜10、例えばブタジエン、イソプレン、1,6−ヘキサジエン等)等が挙げられる。
【0119】
本発明に使用される非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)のMwは、定着温度幅の観点から、Mw100,000〜300,000であり、好ましくは130,000〜280,000であり、さらに好ましくは150,000〜250,000である。
【0120】
また、非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)のMwと数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnについては定着温度幅の観点から、例えば、通常10〜70であり、好ましくは15〜65であり、さらに好ましくは20〜60である。
【0121】
非晶性のスチレン(共)重合体のポリエステル変性樹脂(B2)は定着温度幅の観点から分子量が異なるものを2種類以上併用することが好ましい。
【0122】
本発明における樹脂(B)として、非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)も使用できる。
非晶性のエポキシ樹脂のポリエステル変性樹脂(B3)としては、ポリエポキシドの開環重合物、ポリエポキシドと活性水素含有化合物{水、ポリオール[ジオール及び3価以上のポリオール]、ジカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸、ポリアミン等}との重付加物等をポリエステルと反応したもの等が挙げられる。
【0123】
また、本発明における樹脂(B)として、非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)も使用できる。
非晶性のウレタン樹脂のポリエステル変性樹脂(B4)としては、前記のジイソシアネート(v2)、モノイソシアネート(v1)、3官能以上のポリイソシアネート(v3)と、ポリエステルとを反応したもの等が挙げられる。
【0124】
モノイソシアネート(v1)としては、フェニルイソシアネート、トリレンイソシアネート、キシリレンイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンイソシアネート、ナフチレンイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、デシルイソシアネート、ドデシルイソシアネート、テトラデシルイソシアネート、ヘキサデシルイソシアネート、オクタデシルイソシネート、シクロブチルイソシネート、シクロヘキシルイソシネート、シクロオクチルイソシアネート、シクロデシルイソシネート、シクロドデシルイソシアネート、シクロテトラデシルイソシネート、イソホロンイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4−イソシアネート、シクロヘキシレンイソシアネート、メチルシクロヘキシレンイソシアネート、ノルボルナンイソシアネート及びビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート等が挙げられる。
【0125】
また、3官能以上のポリイソシアネート(v3)としては、イソシアネート基を3個以上有する化合物であれば特に限定されないが、たとえばトリイソシアネート、テトライソシアネート、イソシアヌレート、ビウレットの化学構造を含む化合物等が挙げられる。
【0126】
本発明において、樹脂(B)のガラス転移点をTg
1(℃)、樹脂(B)に結晶性樹脂(A)を加えた混合物のうちの樹脂(B)由来のガラス転移点をTg
2(℃)とした際、樹脂(B)のガラス転移点Tg
1(℃)と、樹脂(B)に結晶性樹脂(A)を加えた混合物のうちの樹脂(B)由来のガラス転移点Tg
2(℃)が下記の関係式(2)を満たすことが好ましい。樹脂(B)に結晶性樹脂(A)を加えた混合物は、好ましくは本発明のトナーバインダーである。
【0128】
樹脂(B)と結晶性樹脂(A)を混合する方法は特に規定されず、例えば、樹脂(B)と結晶性樹脂(A)を溶融混練機で混合する方法、溶剤等で溶解させて混合しその後に溶剤を除去する方法、樹脂(B)の製造時に結晶性樹脂(A)を混合する方法等がある。混合する温度は樹脂粘度の観点から100〜200℃が好ましく、110〜190℃がさらに好ましい。
本発明のトナーバインダーは、例えば、上記のように結晶性樹脂(A)と樹脂(B)とを混合することにより得ることができる。
【0129】
関係式(2)の左辺の値はトナーの流動性、耐熱保存性、粉砕性、定着後の画像強度の観点から通常15以下、好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下、より好ましくは5以下、特に好ましくは3以下である。関係式(2)の左辺の値は低ければ低いほど良い。
左辺の値が小さいほど、結晶性樹脂(A)が再結晶化し、Tg低下が生じ難いことを意味する。
【0130】
樹脂(B)と結晶性樹脂(A)との重量比(B)/(A)はトナーの流動性、耐熱保存性、粉砕性、定着後の画像強度及び低温定着性、光沢性の観点から通常50/50〜95/5が好ましく、より好ましくは60/40〜92/8、さらに好ましくは70/30〜90/10である。樹脂(B)と結晶性樹脂(A)とを上記割合で含む混合物は、本発明のトナーバインダーとして好ましい。つまり本発明のトナーバインダーにおける樹脂(B)と結晶性樹脂(A)との重量比(B)/(A)は、上記範囲であることが好ましい。
【0131】
本発明においては、(樹脂(B)のガラス転移点Tg
1+30)(℃)が結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)より高い場合は(Tg
1+30)の温度において、(Tg
1+30)がTpより低い場合はTpの温度において、トナーバインダーの全体又は一部分に濁りがあることが好ましい。トナーバインダーの全体又は一部分に濁りがあることが好ましい。本発明においては、上記温度においてトナーバインダーの全体に濁りがあることがより好ましく、トナーバインダーの一部に濁りがあることが更に好ましい。
前述の方法で樹脂(B)と結晶性樹脂(A)を混合した混合物を、(Tg
1+30)の温度(℃)が結晶性樹脂(A)の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)より高い場合は(Tg
1+30)の温度において、また(Tg
1+30)がTpより低い場合はTpの温度において目視で観察した際に、混合物全体又は一部分に濁りがあることが好ましい。濁りがあると結晶性樹脂(A)が樹脂(B)に完全に相溶化していないことを意味し、冷却した際に結晶性樹脂(A)が再結晶し易くなることから好ましい。
なお、結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、それらの中で最も高い吸熱ピークトップを示す温度をこの場合のTpとする。
【0132】
結晶性樹脂(A)は、前述の通り、少なくとも2種以上のセグメントが化学結合された樹脂であって、樹脂(B)に相溶する結晶性セグメント(a1)と相溶しないセグメント(a2)とを有することが好ましい。
その際に、ポリエステル又はその変性樹脂である樹脂(B)の溶解性パラメーターをSP
B、セグメント(a1)の溶解性パラメーターをSP
a1、セグメント(a2)の溶解性パラメーターをSP
a2とすると、セグメント(a1)とセグメント(a2)が下記の関係式(3)と(4)の両方を満たすことが好ましい。
【0133】
|SP
a1−SP
B|≦1.9 (3)
|SP
a2−SP
B|≧1.9 (4)
上記式中、SP
a1はセグメント(a1)のSP値、SP
a2はセグメント(a2)のSP値、SP
Bは樹脂(B)のSP値を表す。
セグメント(a1)及びセグメント(a2)のSP値は、各セグメントを構成する化合物のSP値である。
【0134】
関係式(3)の左辺の値は、樹脂(B)とセグメント(a1)の相溶性の観点から通常1.9以下であり、好ましくは0.1〜1.8である。
同様に、関係式(4)の左辺の値は、樹脂(B)とセグメント(a2)の相溶性の観点から通常1.9以上であり、好ましくは2.0以上である。関係式(4)の左辺の上限は、4.0以下が好ましく、3.5以下がより好ましい。
関係式(3)及び(4)を両方満たすことにより、結晶性樹脂(A)による加熱時の過疎化と冷却時の再結晶が起こりやすくなり、低温定着性、光沢性、トナーの流動性、耐熱保存性、定着後の画像強度、耐折り曲げ性が向上する。
【0135】
本発明のトナーバインダーは、結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)からなるものであってもよく、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて他の成分を含んでもよい。好ましくは、結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)からなるトナーバインダーである。
【0136】
本発明のトナーバインダー及び着色剤を含有するトナーも、本発明の一つである。
本発明のトナーは、好ましくは、樹脂(B)と結晶性樹脂(A)からなるトナーバインダー及び着色剤を含有する組成物である。
【0137】
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。
具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG、オラゾールブラウンB及びオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
【0138】
着色剤の含有量は、樹脂(B)と結晶性樹脂(A)の合計を100重量部とした際に、好ましくは1〜40重量部、さらに好ましくは3〜10重量部である。
なお、磁性粉を用いる場合は、樹脂(B)と結晶性樹脂(A)の合計100重量部に対して、好ましくは20〜150重量部、さらに好ましくは40〜120重量部である。上記及び以下において、部は重量部を意味する。
【0139】
本発明のトナーは、結晶性樹脂(A)、樹脂(B)、着色剤以外に、必要により、離型剤、荷電制御剤、流動化剤等から選ばれる1種以上の添加剤を含有する。
離型剤としては、フローテスターによる軟化点〔Tm〕が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0140】
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン及びこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるもの及び熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素及び/又はオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸及びその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル及びマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸及び無水マレイン酸等]及び/又は不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル及びマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、及びサゾールワックス等が挙げられる。
【0141】
天然ワックスとしては、例えばカルナウバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス及びライスワックスが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
【0142】
荷電制御剤としては、ニグロシン染料、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
【0143】
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
【0144】
本発明のトナーの製造方法は特に限定されない。
本発明のトナーは、公知の混練粉砕法、乳化転相法、重合法等のいずれの方法により得られたものであってもよい。
例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が好ましくは5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、体積平均粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(コールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に溶解又は分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
【0145】
本発明のトナーは、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、及び樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリア粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリア粒子との重量比は、通常トナー/キャリア粒子が1/99〜100/0である。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
【0146】
本発明のトナーは、複写機、プリンター等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる。
【実施例】
【0147】
以下実施例、比較例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部、%は重量%を示す。
【0148】
結晶性セグメント(a1)及びセグメント(a2)のSP値(SP
a1、SP
a2)は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]に従って求めた。
【0149】
製造例1
〔結晶性セグメント(a1−1)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸696部と1,6−ヘキサンジオール424部及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、酸価が0.5以下になった時点で取り出した。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性ポリエステル(a1−1)を得た。結晶性ポリエステル(a1−1)のSP
a1は9.9であった。
【0150】
製造例2
〔結晶性セグメント(a1−2)の合成〕
製造例1において、使用する原料をセバシン酸774部、1,4−ブタンジオール360部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−2)を得た。結晶性ポリエステル(a1−2)のSP
a1は10.1であった。
【0151】
製造例3
〔結晶性セグメント(a1−3)の合成〕
製造例1において、使用する原料をドデカン二酸798部、1,4−ブタンジオール326部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−3)を得た。結晶性ポリエステル(a1−3)のSP
a1は9.9であった。
【0152】
製造例4
〔結晶性セグメント(a1−4)の合成〕
製造例1において、使用する原料をドデカン二酸723部、1,6−ヘキサンジオール390部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−4)を得た。結晶性ポリエステル(a1−4)のSP
a1は9.8であった。
【0153】
製造例5
〔結晶性セグメント(a1−5)の合成〕
製造例1において、使用する原料をセバシン酸604部、1,9−ノナンジオール503部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−5)を得た。結晶性ポリエステル(a1−5)のSP
a1は9.7であった。
【0154】
製造例6
〔結晶性セグメント(a1−6)の合成〕
製造例1において、使用する原料をドデカン二酸634部、1,9−ノナンジオール465部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−6)を得た。結晶性ポリエステル(a1−6)のSP
a1は9.6であった。
【0155】
製造例7
〔結晶性セグメント(a1−7)の合成〕
製造例1において、使用する原料をアジピン酸456部、1,12−ドデカンジオール656部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−7)を得た。結晶性ポリエステル(a1−7)のSP
a1は9.7であった。
【0156】
製造例8
〔結晶性セグメント(a1−8)の合成〕
製造例1において、使用する原料をセバシン酸531部、1,12−ドデカンジオール563部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a1−8)を得た。結晶性ポリエステル(a1−8)のSP
a1は9.6であった。
【0157】
製造例9
〔結晶性セグメント(a1−9)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸878部、エチレングリコール478部、縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、170℃で窒素気流下に、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下に、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下に反応させ、Mwが20000以上になった時点で取り出した。回収されたエチレングリコールは200部であった。取り出した樹脂を室温まで冷却後、粉砕して粒子化し、結晶性ポリエステル(a1−9)を得た。結晶性ポリエステル(a1−9)のSP
a1は10.3であった。
【0158】
製造例1〜9で得た結晶性ポリエステル(a1−1)〜(a1−9)を、それぞれ結晶性セグメント(a1−1)〜(a1−9)とした。
【0159】
製造例10
〔セグメント(a2−1)の合成〕
製造例1において、使用する原料をドデカン二酸561部、1,12−ドデカンジオール524部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a2−1)を得た。結晶性ポリエステル(a2−1)のSP
a2は9.5であった。結晶性ポリエステル(a2−1)をセグメント(a2−1)とした。
【0160】
製造例11
〔セグメント(a2−2)〕
セグメント(a2−2)としてはベヘニルアルコールを用いた。SP
a2は9.3である。
【0161】
製造例12
〔セグメント(a2−3)〕
セグメント(a2−3)としてはステアリルアルコールを用いた。SP
a2は9.5である。
【0162】
製造例13
〔セグメント(a2−4)〕
セグメント(a2−4)としてはPolybd45HT(登録商標)(出光興産社製、水酸基末端液状ポリブタジエン)を用いた。SP
a2は8.9であった。
【0163】
製造例14
〔セグメント(a2−5)〕
セグメント(a2−5)としてはサイラプレーンFM−0411(チッソ社製、水酸基末端ジメチルシリコーン)を用いた。SP
a2は7.8であった。
【0164】
製造例15
〔非晶性セグメント(a3−1)の合成〕
製造例1において、使用する原料をビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物738部、テレフタル酸332部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、非晶性ポリエステル(a3−1)を得た。非晶性ポリエステル(a3−1)のSP
a3は11.1であった。非晶性ポリエステル(a3−1)を、非晶性セグメント(a3−1)とした。
【0165】
以下の製造例16〜32では、結晶性樹脂(A)を製造した。製造例33〜38では、樹脂(B)を製造した。比較製造例1〜7では、比較のための結晶性セグメント(a’1)、セグメント(a’2)及び結晶性樹脂(A’)を製造した。比較製造例8では、樹脂(B)の比較のための樹脂として、スチレンアクリル樹脂(樹脂(B’))を製造した。
結晶性樹脂(A)の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)は、示差走査熱量計(DSC)により以下の方法で測定した。
装置:Q Series Version 2.8.0.394(TA Instruments社製)
測定温度の昇温、冷却、昇温のパターンは以下の通り:
(1)20℃から180℃まで昇温速度10℃/分で昇温
(2)180℃で10分間保持後、0℃まで降温速度10℃/分で冷却
(3)0℃で10分間保持後、180℃まで昇温速度10℃/分で再び昇温
樹脂約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、一回測定を行った。リファレンスとしてはアルミ製の空パンを用いた。そのときの、(3)の昇温過程(第2回目の昇温過程)の結晶性樹脂(A)の吸熱ピークの凹部の最も深い箇所の温度を、吸熱ピークトップを示す温度Tpとした。結晶性樹脂(A)の吸熱ピークが2つ以上ある場合は、それらの中で最も高い吸熱ピークトップを示す温度をTpとした。
【0166】
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、それを試料溶液として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定した。
装置 : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム: TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量 : 100μL
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
【0167】
樹脂(B)のTg(Tg
1)は、DSC(TA Instruments社製の型式Q Series Version 2.8.0.394)を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定した。
結晶性樹脂(A)のSP値(SP
A)及び樹脂(B)のSP値(SP
B)は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]に従って求めた。
樹脂(B)の酸価及び水酸基価は、JIS K0070に規定の方法で測定した。
【0168】
樹脂(B)の分子量1,000以下の分子の含有量は、上記のGPCによる各樹脂の測定結果を以下のようにデータ処理することにより求めた。
(1)分子量と保持時間を軸とする検量線から分子量が1,000となる保持時間を求めた。
(2)全ピーク面積(Σ1)を求めた。
(3)(1)で求めた保持時間以降のピーク面積(分子量1,000以下のピーク面積)(Σ2)を求めた。
(4)以下の式から分子量1,000以下の分子の含有量を求めた。
分子量1,000以下の分子の含有量(%)=(Σ2)×100/(Σ1)
上記により求めた分子量1,000以下の分子の含有量(%)を、「分子量1,000以下の分子の含有量」として記載した。
【0169】
製造例16
〔結晶性樹脂(A−1)の合成〕
撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、結晶性セグメント(a1−1)415部とセグメント(a2−1)415部を仕込み、100℃で均一に溶解した。さらにヘキサメチレンジイソシアネート170部を仕込み、100℃で3時間反応させ、結晶性樹脂(A−1)を得た。結晶性樹脂(A−1)のTpは70℃、Mwは70,000であった。
【0170】
製造例17
〔結晶性樹脂(A−2)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸12部と結晶性セグメント(a1−1)920部とセグメント(a2−2)80部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、220℃、0.5〜2.5kPaの減圧下で10時間反応させ、結晶性樹脂(A−2)を得た。結晶性樹脂(A−2)のTpは67℃、Mwは15,000であった。
【0171】
製造例18
〔結晶性樹脂(A−3)の合成〕
製造例16において、使用する原料を結晶性セグメント(a1−2)300部、セグメント(a2−1)300部、非晶性セグメント(a3−1)250部、ヘキサメチレンジイソシアネート150部とする以外は製造例16と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−3)を得た。結晶性樹脂(A−3)のTpは68℃、Mwは80,000であった。
【0172】
製造例19
〔結晶性樹脂(A−4)の合成〕
製造例17において、使用する原料をセバシン酸23部と結晶性セグメント(a1−1)920部とセグメント(a2−3)80部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−4)を得た。結晶性樹脂(A−4)のTpは67℃、Mwは19,000であった。
【0173】
製造例20
〔結晶性樹脂(A−5)の合成〕
撹拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、結晶性セグメント(a1−1)369部とセグメント(a2−4)35部とメチルエチルケトン400部を仕込み、75℃で均一に溶解した。さらにヘキサメチレンジイソシアネート10部を仕込み、90℃で12時間反応させた後、メチルエチルケトンを減圧留去することにより、結晶性樹脂(A−5)を得た。結晶性樹脂(A−5)のTpは66℃、Mwは66,000であった。
【0174】
製造例21
〔結晶性樹脂(A−6)の合成〕
製造例20において、使用する原料を結晶性セグメント(a1−1)230部とセグメント(a2−5)56部、メチルエチルケトン300部、ヘキサメチレンジイソシアネート14部とする以外は製造例20と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−6)を得た。結晶性樹脂(A−6)のTpは66℃、Mwは45,000であった。
【0175】
製造例22
〔結晶性樹脂(A−7)の合成〕
製造例20において、使用する原料を結晶性セグメント(a1−1)347部とセグメント(a2−2)32部、メチルエチルケトン400部、ヘキサメチレンジイソシアネート21部とする以外は製造例20と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−7)を得た。結晶性樹脂(A−7)のTpは67℃、Mwは41,000であった。
【0176】
製造例23
〔結晶性樹脂(A−8)の合成〕
製造例17において、使用する原料をドデカン二酸14部と結晶性セグメント(a1−3)950部とセグメント(a2−2)38部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−8)を得た。結晶性樹脂(A−8)のTpは65℃、Mwは23,000であった。
【0177】
製造例24
〔結晶性樹脂(A−9)の合成〕
製造例17において、使用する原料をドデカン二酸13部と結晶性セグメント(a1−4)950部とセグメント(a2−2)19部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−9)を得た。結晶性樹脂(A−9)のTpは72℃、Mwは28,000であった。
【0178】
製造例25
〔結晶性樹脂(A−10)の合成〕
製造例17において、使用する原料をセバシン酸26部と結晶性セグメント(a1−5)950部とセグメント(a2−2)50部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−10)を得た。結晶性樹脂(A−10)のTpは70℃、Mwは36,000であった。
【0179】
製造例26
〔結晶性樹脂(A−11)の合成〕
製造例17において、使用する原料をドデカン二酸11部と結晶性セグメント(a1−6)950部とセグメント(a2−2)19部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−11)を得た。結晶性樹脂(A−11)のTpは73℃、Mwは30,000であった。
【0180】
製造例27
〔結晶性樹脂(A−12)の合成〕
製造例17において、使用する原料をアジピン酸4部と結晶性セグメント(a1−7)950部とセグメント(a2−2)61部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−12)を得た。結晶性樹脂(A−12)のTpは77℃、Mwは17,000であった。
【0181】
製造例28
〔結晶性樹脂(A−13)の合成〕
製造例17において、使用する原料をセバシン酸14部と結晶性セグメント(a1−8)950部とセグメント(a2−2)30部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−13)を得た。結晶性樹脂(A−13)のTpは85℃、Mwは29,000であった。
【0182】
製造例29
〔結晶性樹脂(A−14)の合成〕
製造例17において、使用する原料をセバシン酸14部と結晶性セグメント(a1−9)950部とセグメント(a2−2)20部とする以外は製造例17と同様の反応を行い、結晶性樹脂(A−14)を得た。結晶性樹脂(A−14)のTpは75℃、Mwは30,000であった。
【0183】
製造例30
〔結晶性樹脂(A−15)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、セバシン酸21部と結晶性セグメント(a1−1)950部とセグメント(a2−2)19部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、220℃、0.5〜2.5kPaの減圧下で10時間反応させた。80℃に冷却後、ヘキサメチレンジイソシアネート2部を仕込み、100℃で5時間反応させ、結晶性樹脂(A−15)を得た。結晶性樹脂(A−15)のTpは68℃、Mwは40,000であった。
【0184】
製造例31
〔結晶性樹脂(A−16)の合成〕
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ドデカン二酸25部と結晶性セグメント(a1−4)950部とセグメント(a2−2)19部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート0.5部を入れ、220℃、0.5〜2.5kPaの減圧下で10時間反応させた。80℃に冷却後、ヘキサメチレンジイソシアネート2部を仕込み、100℃で5時間反応させ、結晶性樹脂(A−16)を得た。結晶性樹脂(A−16)のTpは73℃、Mwは38,000であった。
【0185】
製造例32
〔結晶性樹脂(A−17)の合成〕
撹拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、結晶性セグメント(a1−1)415部と結晶性セグメント(a1−4)415部を仕込み、100℃で均一に溶解した。さらにヘキサメチレンジイソシアネート170部を仕込み、100℃で3時間反応させ、結晶性樹脂(A−17)を得た。結晶性樹脂(A−17)のTpは68℃、Mwは79,000であった。
【0186】
製造例33
〔樹脂(B−1)の合成〕
反応槽中に、1,2−プロピレングリコール522部、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物1部、テレフタル酸468部、アジピン酸90部、安息香酸20部、無水トリメリット酸26部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら20時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。
Tmが130℃になったところでスチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−1)を取り出した。
【0187】
別の反応槽中に、1,2−プロピレングリコール458部、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物40部、テレフタル酸493部、アジピン酸6部、安息香酸70部、無水トリメリット酸46部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが105℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸14部(0.07モル)加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−2)を取り出した。
【0188】
得られた樹脂(b−1)と樹脂(b−2)の重量比(b−1)/(b−2)が50/50になるようヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]にて均一化し、樹脂(B−1)を得た。樹脂(B−1)のTgは63℃、Mwは30,000、酸価は20、水酸基価は19、分子量1,000以下の分子の含有量は9.5%、SP
Bは11.7であった。
【0189】
製造例34
〔樹脂(B−2)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物322部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物419部、テレフタル酸274部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが100℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸42部加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−3)を得た。
【0190】
別の反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物167部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物128部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド3モル付加物468部、テレフタル酸184部、無水トリメリット酸53部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが110℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸52部加え、210℃まで昇温し、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが145℃になったところでスチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−4)を得た。
【0191】
得られた樹脂(b−3)と樹脂(b−4)の重量比(b−3)/(b−4)が50/50になるようヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]にて均一化し、樹脂(B−2)を得た。樹脂(B−2)のTgは62℃、Mwは140,000、酸価は22、水酸基価は38、分子量1,000以下の分子の含有量は12.2%、SP
Bは11.3であった。
【0192】
製造例35
〔樹脂(B−3)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物688部、テレフタル酸295部、安息香酸72部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが95℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸17部加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−5)を得た。
【0193】
別の反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物122部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド3モル付加物620部、テレフタル酸242部、無水マレイン酸1部、無水トリメリット酸6部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが100℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸73部加え、210℃まで昇温し、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが145℃になったところでスチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−6)を得た。
【0194】
得られた樹脂(b−5)と樹脂(b−6)の重量比(b−5)/(b−6)が50/50になるようヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]にて均一化し、樹脂(B−3)を得た。樹脂(B−3)のTgは62℃、Mwは150,000、酸価は16、水酸基価は2、分子量1,000以下の分子の含有量は6.9%、SP
Bは11.1であった。
【0195】
製造例36
〔樹脂(B−4)の合成〕
反応槽中に、1,2−プロピレングリコール581部、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物49部、テレフタル酸625部、アジピン酸8部、安息香酸49部、無水トリメリット酸58部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら20時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが107℃になったところで常圧にもどし、180℃に冷却し、無水トリメリット酸17部加え、1時間反応させた。150℃に冷却し、スチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−7)を取り出した。
【0196】
別の反応槽中に、1,2−プロピレングリコール649部、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物1部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物1部、テレフタル酸673部、アジピン酸32部、安息香酸34部、無水トリメリット酸52部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが130℃になったところでスチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−8)を取り出した。
【0197】
得られた樹脂(b−7)と樹脂(b−8)の重量比(b−7)/(b−8)が50/50になるようヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]にて均一化し、樹脂(B−4)を得た。樹脂(B−4)のTgは63℃、Mwは69,000、酸価は6、水酸基価は24、分子量1,000以下の分子の含有量は9.0%、SP
Bは11.9であった。
【0198】
製造例37
〔樹脂(B−5)の合成〕
樹脂(b−3)と樹脂(b−8)の重量比(b−3)/(b−8)が50/50になるようヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]にて均一化し、樹脂(B−5)を得た。樹脂(B−5)のTgは64℃、Mwは31,000、酸価は12、水酸基価は33、分子量1,000以下の分子の含有量は10.9%、SP
Bは11.7であった。
【0199】
製造例38
〔樹脂(B−6)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキシド2モル付加物556部、ビスフェノールAのプロピレンオキシド2モル付加物197部、テレフタル酸267部、無水マレイン酸1部、及び縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3部を入れ、加圧下、220℃で反応させ、生成する水を留去しながら10時間反応させた。
次いで徐々に圧抜きをしながら常圧にもどし、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。酸価が1.5になったところで常圧にもどし、180℃に冷却した。無水トリメリット酸43部加え、210℃まで昇温し、さらに0.5〜2.5kPaの減圧下で反応を進めた。Tmが140℃になったところでスチールベルトクーラーを使用して樹脂(b−9)を取り出した。
【0200】
上記で得られた樹脂(b−3)と樹脂(b−9)の重量比(b−3)/(b−9)が50/50になるようヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]にて均一化し、樹脂(B−6)を得た。樹脂(B−6)のTgは64℃、Mwは76,000、酸価は11、水酸基価は39、分子量1,000以下の分子の含有量は8.1%、SP
Bは11.5であった。
【0201】
比較製造例1
〔比較のための結晶性セグメント(a’1−1)の合成〕
製造例1において、使用する原料をフマル酸575部、1,6−ヘキサンジオール600部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a’1−1)を得た。結晶性ポリエステル(a’1−1)のSP
a1は10.6であった。結晶性ポリエステル(a’1−1)を結晶性セグメント(a’1−1)とした。
【0202】
比較製造例2
〔比較のための結晶性セグメント(a’1−2)の合成〕
製造例1において、使用する原料をアゼライン酸875部、フマル酸41部、1,4−ブタンジオール451部とする以外は製造例1と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(a’1−2)を得た。(a’1−2)のSP
a1は10.2であった。結晶性ポリエステル(a’1−2)を結晶性セグメント(a’1−2)とした。
【0203】
比較製造例3
〔比較のためのセグメント(a’2−1)〕
セグメント(a’2−1)としては1−デカノールを用いた。SP
a2は10.0である。
【0204】
比較製造例4
〔比較のための結晶性樹脂(A’−1)〕
製造例17において、使用する原料をセバシン酸17部と結晶性セグメント(a1−1)940部、セグメント(a’2−1)を60部とする以外は製造例17と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(A’−1)を得た。結晶性ポリエステル(A’−1)のTpは67℃、Mwは13,000であった。結晶性ポリエステル(A’−1)を結晶性樹脂(A’−1)とした。
【0205】
比較製造例5
〔比較のための結晶性樹脂(A’−2)〕
結晶性樹脂(A’−2)として結晶性セグメント(a1−1)を単独で用いた。結晶性樹脂(A’−2)のTpは66℃、Mwは20,000であった。
【0206】
比較製造例6
〔比較のための結晶性樹脂(A’−3)〕
製造例17において、使用する原料を結晶性セグメント(a’1−1)940部、セグメント(a2−2)を60部とする以外は製造例17と同様に反応を行い、結晶性ポリエステル(A’−3)を得た。結晶性ポリエステル(A’−3)のTpは115℃、Mwは14,000であった。結晶性ポリエステル(A’−3)を結晶性樹脂(A’−3)とした。
【0207】
比較製造例7
〔比較のための結晶性樹脂(A’−4)〕
結晶性樹脂(A’−4)として結晶性セグメント(a’1−2)を単独で用いた。結晶性樹脂(A’−2)のTpは60℃、Mwは4,500であった。
【0208】
比較製造例8
〔比較のための樹脂(B’)の合成〕
オートクレーブにキシレン80重量部を仕込み、窒素で置換した後、185℃まで昇温した。次いで、同温度でスチレン54重量部、n−ブチルアククリレート28重量部、メタクリル酸4重量部、n−オクチルメルカプタン2質量部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.23重量部及びキシレン35重量部の混合溶液を、同温度で3時間かけて滴下し、更に同温度で1時間保持して、樹脂(B’)のキシレン溶液を得た。次いで、得られたキシレン溶液を、1kPa以下でキシレンを除去しながら170℃に昇温した。ガスクロマトグラフィーにより樹脂中のキシレンが1,000ppm、モノマーが1,000ppm以下であることを確認して、樹脂(B’)を得た。樹脂(B’)のTgは60℃、Mwは12,000、酸価は7、水酸基価は0、分子量1,000以下の分子の含有量は9.0%、SP
Bは10.3であった。樹脂(B’)は、スチレンアクリル樹脂である。
【0209】
実施例1〜18及び比較例1〜5
製造例及び比較製造例で得られた結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)を用いて、表1と表2の配合比(重量部)に従い、下記の方法でトナー化した。表1〜2中の「樹脂(A)のTp(℃)」は、トナーに使用した結晶性樹脂(A)の吸熱ピークトップを示す温度(Tp)である。
なお、着色剤(C−1)としてカーボンブラック[三菱化学(株)製のMA−100]、離型剤(D−1)としてポリオレフィンワックス[三洋化成工業(株)製のビスコール550P]、荷電制御剤(E−1)としてアイゼンスピロンブラック[保土谷化学(株)製のT−77]、流動化剤(F−1)としてコロイダルシリカ[日本アエロジル(株)製のアエロジルR972]を使用した。
【0210】
【表1】
【0211】
【表2】
【0212】
まず、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]を用いて流動化剤(F−1)以外のすべての原料を予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。
ついで、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、体積平均粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。
さらに、トナー粒子100部に流動化剤(F−1)0.5部をサンプルミルにて混合して、トナーを得た。
【0213】
トナーバインダーを昇温、冷却、昇温した際の、DSCにより測定される第1回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS
1、第2回目の昇温過程の結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピーク面積をS
2とし、S
1及びS
2(昇温時の吸熱ピーク面積)を以下のように測定した。
表1〜2に示す割合で配合した結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)の混合物約5mgを精秤し、アルミ製のパンの中に入れ、下記の昇温条件でDSCの測定を行った。
装置: Q Series Version 2.8.0.394(TA Instruments社製)
20℃から10℃/分の条件で180℃まで昇温し(第1回目の昇温過程)、次いで、180℃で10分間放置後、10℃/分の条件で0℃まで冷却し(第1回目の冷却過程)、次いで、0℃で10分間放置した後、10℃/分の条件で180℃まで昇温した(第2回目の昇温過程)。
第1回目の昇温過程の最初(20℃)から第2回目の昇温過程が終了するまで(180℃)、DSCを測定した。
(S
2/S
1)×100の値を表1〜2に示す。また、DSCにより測定した第2回目の昇温過程における結晶性樹脂(A)由来の吸熱熱量(J/g)を、「(A)由来の吸熱量(J)/g」として表1〜2に示す。
【0214】
表1〜2中、Tg
1は、トナーの製造に使用した樹脂(B)のガラス転移点(Tg)である。Tg
2は、表1〜2に示す割合で配合した結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)の混合物を用いて、該混合物のうちの樹脂(B)由来のガラス転移点Tg
2(℃)を、樹脂(B)のTg(Tg
1)と同様の方法で測定した。
上記で測定したTg
2及び(Tg
1−Tg
2)を表1〜2に示す。
【0215】
表1〜2に示す割合で配合した結晶性樹脂(A)及び樹脂(B)の混合物の相溶性を、以下のように評価した。その結果を、表1〜2に示す。
(樹脂(B)のガラス転移点Tg
1+30)(℃)が結晶性樹脂(A)由来の吸熱ピークトップを示す温度Tp(℃)より高い場合は(Tg
1+30)(℃)の温度において、(Tg
1+30)がTpより低い場合はTpの温度において、混合物の全体又は一部分に濁りがあるかを目視で観察した。
[相溶性の判定基準]
◎:一部濁りあり
○:全体に濁りあり
×:透明
【0216】
[評価方法]
以下に得られたトナーの低温定着性、光沢性、耐ホットオフセット性、流動性、耐熱保存性、帯電安定性、粉砕性、画像強度、耐折り曲げ性、ドキュメントオフセット試験の測定方法、評価方法、判定基準を説明する。
【0217】
<低温定着性>
トナーを紙面上に0.6mg/cm
2となるよう均一に載せた。このとき粉体を紙面に載せる方法は、熱定着機を外したプリンターを用いた。上記の重量密度で粉体を均一に載せることができるのであれば他の方法を用いてもよい。
この紙を加圧ローラーに定着速度(加熱ローラ周速)213mm/sec、定着圧力(加圧ローラ圧)10kg/cm
2の条件で通したときのコールドオフセットの発生温度である低温定着温度を測定した。
低温定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。トナーの低温定着温度(℃)を、表3及び表4に、低温定着性(℃)として示した。
【0218】
<光沢性>
低温定着性と同様に定着評価を行った。画像の下に白色の厚紙を敷き、光沢度計(株式会社堀場製作所製、「IG−330」)を用いて、入射角度60度にて、印字画像の光沢度を測定した。
【0219】
[判定基準]
◎:20以上
○:15以上20未満
△:10以上15未満
×:10未満
【0220】
<耐ホットオフセット性(ホットオフセット発生温度)>
低温定着性と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。
加圧ローラー通過後、ホットオフセットが発生した温度を耐ホットオフセット性(℃)とした。
【0221】
<流動性>
ホソカワミクロン社製パウダーテスターでトナーのかさ密度(g/100mL)を測定し、流動性を下記の判定基準で判定した。△以上(30g/100mL以上)が実用範囲である。
【0222】
[判定基準]
◎:36以上
○:33以上36未満
△:30以上33未満
▲:27以上30未満
×:27未満
【0223】
<耐熱保存性>
トナーを50℃の雰囲気で24時間静置し、ブロッキングの程度を目視で判断し、下記判定基準で耐熱保存性を評価した。
[判定基準]
○:ブロッキングが発生していない。
×:ブロッキングが発生している。
【0224】
<帯電安定性>
(1)トナー0.5gとフェライトキャリア(パウダーテック社製、F−150)20gとを50mLのガラス瓶に入れ、これを23℃、相対湿度50%で8時間以上調湿した。
(2)ターブラーシェーカーミキサーにて50rpm×10分間と60分間摩擦攪拌し、それぞれの時間での帯電量を測定した。
測定にはブローオフ帯電量測定装置[東芝ケミカル(株)製]を用いた。
「摩擦時間60分の帯電量/摩擦時間10分の帯電量」を計算し、これを帯電安定性の指標とした。
【0225】
[判定基準]
◎:0.8以上
○:0.7以上0.8未満
△:0.6以上0.7未満
×:0.6未満
【0226】
<粉砕性>
トナーを二軸混練機で混練、冷却した粗粉砕物(8.6メッシュパス〜30メッシュオンのもの)を、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]により下記の条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.5MPa
粉砕時間:10分
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
これを分級せずに、体積平均粒径(μm)をコールターカウンター−TAII(米国コールター・エレクトロニクス社製)により測定し、下記の判定基準で粉砕性を評価した。
【0227】
[判定基準]
◎:10未満
○:10以上11未満
△:11以上12未満
×:12以上
【0228】
<画像強度>
低温定着温度の測定に使用したテスト用紙(低温定着性の評価で得られた、画像が定着された紙)を、JISK5600に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけ引っ掻き試験を行い、傷のつかない鉛筆硬度から画像強度を評価した。
鉛筆硬度が高いほど画像強度に優れることを意味する。
【0229】
<耐折り曲げ性>
低温定着温度の測定に使用したテスト用紙を画像面が内側になるように紙を折り曲げ、30gの加重で5往復擦った。
紙を広げて、画像上の折り曲げたあとの白すじの有無を目視で判定した。
[判定基準]
○:白すじなし
△:わずかに白すじあり
×:白すじあり
【0230】
<ドキュメントオフセット性>
低温定着性の評価で得られた画像が定着されたA4の紙2枚を、定着面同士で重ね合わせ、420gの加重(0.68g/cm
2)をかけ、65℃で10分間静置した。
重ね合わせた紙同士を引き離したときの状態について、下記の判定基準でドキュメントオフセット性を評価した。
【0231】
[判定基準]
○:抵抗なし
△:パリパリと音がするが、紙面から画像は剥がれない
×:紙面から画像が剥がれる
【0232】
上記の評価結果を、表3及び表4に示す。
【0233】
【表3】
【0234】
【表4】
【0235】
表3及び4の評価結果から明らかなように、本発明の実施例1〜18のトナーはいずれもすべての性能評価が優れた結果が得られた。一方、関係式(1)を満足しない比較例1、2、4は耐熱保存性等いくつかの性能項目が不良であった。特に比較例2、4は、セグメント(a2)がないため、関係式(1)を満足することができない。
また、結晶性樹脂(A)のTpが高すぎる比較例3は低温定着性等の性能項目が不良であった。また、スチレンアクリル樹脂(樹脂(B’))を使用した比較例5は、特に低温定着性や光沢性等の性能項目が不良であった。