(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記乳製品が、チーズ、乳、全脂乳、濃縮乳、全脂粉乳、クリーム、バターオイル、バターミルク、バターミルクパウダー、バターセーラム、脱脂乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、乳タンパク、パーミエイト、乳糖、及び乳清ミネラルから選ばれる1種以上の乳製品である、請求項1または2に記載の飲食品用乳化組成物。
MFFB%((水分量)/(全重量−乳脂肪分量)の百分率)が73重量%以上であり、FDB%((乳脂肪分量)/(全重量−水分量)の百分率)が93重量%以下である乳製品、及び、脂肪酸エステル類を含有する、乳飲料。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に特定はされない。
本明細書において“質量%”と“重量%”、及び“質量部”と“重量部”とは、それぞれ同義である。
【0012】
本発明の飲食品用乳化組成物は、全固形分が55重量%以上の乳製品と乳化剤とを含有する飲食品用乳化組成物であって、該乳化剤が脂肪酸エステル類であり、該乳製品はMFFB%((水分量)/(全重量−乳脂肪分量)の百分率)が73重量%以上であることを特徴とする。
【0013】
(乳製品)
本発明に用いられる乳製品は全固形分が55重量%以上、より好ましくは60重量%以上であり、好ましくは68重量%以下、より好ましくは66重量%以下、さらに好ましくは65重量%以下、特に好ましくは64重量%以下である。この範囲であることにより、全固形分あたりのコストを抑え、かつ容易に当該乳製品を乳化組成物として加工できる上、飲食品に良好な乳風味を付与することができる。
ここでいう全固形分量とは、乳製品の総重量から、水分量を差し引いた値を意味する。
【0014】
本発明で用いる乳製品とは、動物の乳、またはその加工品であり、例えば、フレッシュチーズ等のチーズ、乳、全脂乳、濃縮乳、全脂粉乳、クリーム(生クリーム、ダブルクリーム、クロテッドクリーム等)、バター、バターオイル、バターミルク、バターミルクパウダー、バターセーラム、脱脂乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、乳タンパク(カゼインまたはその塩(Na塩、K塩など)、ホエーまたはその濃縮物、精製物)、パーミエイト、乳糖、乳清ミネラルなどから選ばれる乳製品である。
好ましくは油脂を含む乳成分が風味の面で好適であり、特にフレッシュチーズ等のチーズ、乳、全脂乳、濃縮乳、全脂粉乳、クリーム(生クリーム、ダブルクリーム、クロテッドクリーム等)、バター、バターオイル、バターミルク、バターミルクパウダー、バターセーラムが好ましく、フレッシュチーズ、濃縮乳、全脂粉乳、クリーム(生クリーム、ダブルクリーム、クロテッドクリーム等)、バター、バターオイルがより好ましい。本発明においては、これら乳製品は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0015】
2種以上を組み合わせて用いる場合の全固形分等や以下MFFB%やFDB%の値は、用いた乳製品の全重量を100重量%とし、各々の水分量、乳脂肪分量の合計値を求めた上で算出される。
また、本発明では、特に、乳製品が、全固形分に含まれる無脂乳固形分よりも乳脂肪分量が多い乳製品であることが好ましい。乳脂肪分と無脂乳固形分との重量比は、乳脂肪分を1とした場合、無脂乳固形分が通常0.35以下、好ましくは0.25以下、さらに好ましくは0.24以下、最も好ましくは0.23以下であり、通常0.15であることが、飲食品における風味が良好であるため好適である。
全固形分に含まれる無脂乳固形分よりも乳脂肪分量が多い乳製品として具体的には、フレッシュチーズ、クリーム、バター、バターオイルなどが挙げられる。
なお、ここでいう乳脂肪分とは、乳製品中に含まれる動物の乳に由来する脂肪分を意味する。
【0016】
本発明では、乳成分として、MFFB%((水分量)/(全重量−乳脂肪分量)の百分率)が73重量%以上のものを使用する。
MFFB%(Percentage moisture on a fat−ferr basis)は、本来はFAO、WHOチーズ一般国際規格1978に定めるチーズの硬度を表す値である。乳製品のMFFB%は、73重量%以上であればよく、74重量%以上が好ましく、76重量%以上がより好ましく、また、97重量%以下が好ましく、95重量%以下がより好ましく、92重量%以下であることがさらに好ましい。この範囲であることにより、飲食品における風味が良好となる。
【0017】
また、FDB%(Percentage fat on the basis)は、乳製品の脂肪含量を表す値である。FDB%は、74重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、81重量%以上がさらに好ましく、82重量%以上が最も好ましく、また99重量%以下が好ましく、95重量%以下がより好ましく、93重量%以下がさらに好ましく、87重量%以下が最も好ましい。この範囲であることにより、飲食品における風味がより良好となる。
なお、FDB%は、(乳脂肪分量)/(全重量−水分量)(=乳脂肪分量/全固形分量)により求めた値の百分率であり、本来はFAO、WHOチーズ一般国際規格1978に定めるチーズの脂肪含量の分類ための値である。
【0018】
本発明の飲食品用乳化組成物中における、乳製品の含有量は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、最も好ましくは50重量%以上、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下、最も好ましくは60重量%以下である。この範囲であることにより、製造が容易で安定性が高く、コスト的に最適である乳化組成物を作ることが可能である。
また、本発明の飲食品用乳化組成物中における、脂肪分の含有量は、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは15重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上、最も好ましくは25重量%以上、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、最も好ましくは50重量%以下である。この範囲であることにより、製造が容易で安定性が高く、コスト的に最適である、良好な乳風味の乳化組成物を作ることが可能である。
【0019】
本発明に用いる乳製品のうち、フレッシュチーズについて以下詳しく説明する。
本発明におけるフレッシュチーズとは、ナチュラルチーズの1種であり、熟成工程をとらない非熟成型のチーズである。
フレッシュチーズには、発酵型と、非発酵型の分類があるが、本発明に用いるフレッシュチーズは、非発酵型であることが、マイルドで軽い風味を得ることができるという理由から好ましい。なお、非発酵型とは、乳、バターミルク、もしくは生クリームを、乳酸菌で発酵させることなく、凝固作用を含む製造技術を用いて製造したものであって、乳酸菌で発酵させたものと同様の化学的、物理的および官能的特性を有するものである。
【0020】
フレッシュチーズとして具体的には、クリームチーズ、モッツァレラチーズ、カッテージチーズ、リコッタ、マスカルポーネ、フロマージュ・ブラン、パニール、ルービンなどが挙げられ、中でも飲食品への風味の影響が少ないクリームチーズが好ましく、非発酵型のクリームチーズが特に好ましい。
【0021】
フレッシュチーズの全固形分量は68重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは66重量%以下、より好ましくは65重量%以下、最も好ましくは64重量%以下である。また、その下限は、通常50重量%以上、好ましくは55重量%以上、より好ましくは60重量%以上である。フレッシュチーズの全固形分量が上記下限を下回ると全固形分あたりのコストが高くなる傾向があり、上記上限を上回ると、チーズ特有の風香味が増し、飲食品の風味への影響が大きくなったり、フレッシュチーズ自体の製造が困難となる傾向がある。
全固形分量とは、フレッシュチーズの総重量から、水分量を差し引いた値を意味する。
【0022】
また、本発明で用いるフレッシュチーズの全固形分のうち、乳脂肪分の含有量は、フレッシュチーズ中に、通常30重量%以上、好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上であり、その上限は通常67重量%である。乳脂肪分の含有量が上記下限を下回ると、乳脂肪分あたりのコストが高くなる傾向があり、上記上限を上回ると、フレッシュチーズ自体の製造が困難であったり、コストが高くなる傾向にある。なお、ここでいう乳脂肪分とは、乳等省令に定めるプロセスチーズの分析法に基づき測定した値を意味する。
【0023】
また、本発明で用いるフレッシュチーズの全固形分に含まれる乳脂肪分と無脂乳固形分との重量比は、乳脂肪分を1とした場合、無脂乳固形分が通常0.35以下、好ましくは0.25以下、さらに好ましくは0.24以下、最も好ましくは0.23以下であることが、飲食品の風味への影響が少ないため好適である。また、その下限は通常0.15であり、この下限を下回ると、フレッシュチーズ自体の製造が困難であったり、コストが高くなる傾向にある。なお、ここでいう無脂乳固形分とは、前述の全固形分から乳脂肪分を差し引いた値を意味する。
【0024】
また、本発明で用いるフレッシュチーズのMFFB%は、通常70重量%以上が好ましく、73重量%以上がより好ましく、74重量%以上がさらに好ましく、76重量%以上が最も好ましい。MFFB%が上記下限以上であれば、飲食品の風味への影響が少ないため好適である。一方、MFFB%の上限は通常97重量%であり、この上限を上回ると、フレッシュチーズ自体の製造が困難であったり、コストが高くなる傾向にある。なお、MFFB%は、前述のとおり、(水分量)/(全重量−乳脂肪分量)により求めた値の百分率である。
【0025】
また、本発明で用いるフレッシュチーズのFDB%は、通常80重量%以上が好ましく、81重量%以上がさらに好ましく、82重量%以上が最も好ましい。FDB%が上記下限以上であれば、飲食品の風味への影響が少ないため好適である。一方、FDB%の上限は通常99重量%であり、この上限を上回ると、フレッシュチーズ自体の製造が困難であったり、コストが高くなる傾向にある。なお、FDB%は、前述のとおり(乳脂肪分量)/(全重量−水分量)(=乳脂肪分量/全固形分量)による求めた値の百分率である。
【0026】
フレッシュチーズの原料としては、乳、バターミルク、もしくはクリームのいずれを単独または組合せて用いてもよいが、より好ましくは、乳単独、または乳とバターミルク、もしくはクリームとの組合せがよく、特に好ましくは乳とクリームの組合せが、飲食品の風味への影響が少ないため好適である。
【0027】
本発明の飲食品用乳化組成物中における、フレッシュチーズの含有量は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。この範囲であることにより、製造が容易で安定性が高く、コスト的に最適である乳化組成物を作ることが可能である。
【0028】
(乳化剤)
次に、本発明に用いる乳化剤について説明する。
乳化剤としては、脂肪酸エステル類を用い、食品に使用可能なものであれば特に制限はなく使用することができる。
例示するならば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル)、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸塩(ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム)、酵素分解レシチン、レシチンなどの脂肪酸エステル類;サポニンなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸エステル類の中では、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステルが、乳化組成物およびそれを用いた乳飲料中の乳化安定性がよいため更に好ましい。特に飲食品用乳化組成物に、脂肪酸エステル類を2種以上含有させることが好ましい。
さらに良好な乳化安定性とより牛乳に近い乳風味が得られるため、有機酸モノグリセリドと他の乳化剤を組み合わせて用いることが好ましく、他の乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましく、他の乳化剤として、ショ糖脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルの両方を用いてもよい。また、該ショ糖脂肪酸エステルまたはポリグリセリン脂肪酸エステルはHLBが11以上であることが好ましく、12以上であることがより好ましく、HLB13以上であることが最も好ましい。
【0029】
また、上記乳化剤において、飲料における危害菌である耐熱性菌に対して効果を持つ食品用乳化剤を単独、または併用して用いることもできる。耐熱性菌に対して効果を持つ食品用乳化剤としては、その効果を有する食品用乳化剤であれば、特に制限なく使用することができるが、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリドが好ましく、特に構成する脂肪酸の炭素数が14〜22のショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリドがより好ましく、構成する脂肪酸の炭素数が16〜18のショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルがさらに好ましく、構成する脂肪酸の組成において50重量%以上が炭素鎖数16であるショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルが最も好ましくこれらは菌に対する有効性が高いため好適である。
使用するショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノエステル含量が通常50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上であることが、菌に対する有効性が高いため好適である。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンの平均重合度が2〜5であることが好ましく、さらに2〜3であることがより好ましく、3であることが、菌に対する有効性が高いため最も好ましい。
【0030】
本発明の飲食品用乳化組成物中における、乳化剤の含有量は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下、特に好ましくは3重量%以下である。この範囲であることにより乳化安定化性が良好で、乳化剤特有の味が悪影響を及ぼしたりすることが少なく、乳化組成物の粘度が上昇せず、取り扱いがしやすくなる。
【0031】
前述のとおり、乳化剤として有機酸モノグリセリドと他の乳化剤を組み合わせて用いる場合、有機酸モノグリセリドの含有量は、0.01重量%以上であることが好ましく、0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、0.4重量%以下であることが特に好ましい。他の乳化剤として、ショ糖脂肪酸エステル及び/またはポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する場合、他の乳化剤の含有量は0.01重量%以上であることが好ましく、0.05重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好ましく、3重量%以下がさらに好ましい。
【0032】
有機酸モノグリセリドとしては、酢酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリドが挙げられるが、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリドが好ましく、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリドがさらに好ましく、コハク酸モノグリセリドが、風味と乳化安定性の面で最も好ましい。
【0033】
(飲食品用乳化組成物その他)
飲食品用乳化組成物中の固形分の含有量は、通常10重量%以上、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上が好ましく、90重量%以下が好ましく、80重量%以下がより好ましく、75重量%以下がさらに好ましく、50重量%以下が特に好ましく、40重量%以下が最も好ましい。乳化組成物中の固形分の含有量が、上記下限を下回ると、乳風味が弱くなり乳固形分あたりのコストが高くなる傾向があり、上記上限を上回ると、水分が少なすぎて安定性が低下する結果、製造が困難になる傾向がある。
本発明の飲食品用乳化組成物中における、乳製品に対する乳化剤の含有比率(重量基準)は、乳製品を1としたときに、乳化剤は1以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましく、0.1以下が特に好ましい。
【0034】
飲食品用乳化組成物には通常水が含有される。飲食品用乳化組成物中における、水の含有量は、通常5重量%より多く、好ましくは10重量%より多く、より好ましくは20重量%より多く、特に好ましくは25重量%より多く、最も好ましくは50重量%より多く、さらには60重量%より多く、好ましくは90重量%未満、より好ましくは80重量%未満、特に好ましくは70重量%未満である。
【0035】
なお、この飲食品用乳化組成物には、植物性の脂肪分を添加することができる。植物性の脂肪分としては、植物由来の油脂であれば限定されないが、通常、豆乳、カカオバター、ココナッツ油、パーム油、パーム核油、やし油、大豆油、コーン油、ひまわり油、コメ油、菜種油などの植物性油脂、これらの植物性油脂を精製したり、水素添加やエステル交換等で加工した油脂などが挙げられる。特に、植物性の脂肪分中に含まれるトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める、炭素数が14以下の脂肪酸の割合が、20重量%以上が好ましく、25重量%以上がより好ましく、30重量%以上が最も好ましく、95重量%以下が好ましく、90重量%以下がより好ましく、85重量%以下が、良好な風味となるため最も好ましい。
【0036】
植物性の脂肪分は、この飲食品用乳化組成物中の乳製品の含有量の一部を置き換えることで配合することができる。そのため、飲食品用乳化組成物中のこれら成分と乳製品の合計量は、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上、通常80重量%以下、好ましくは70重量%以下、60重量%以下である。この範囲にすることにより、製造が容易で安定性が高く、コスト的に最適である乳化組成物を作ることが可能である。また、植物性の脂肪分を用いる場合の全固形分等やMFFB%やFDB%は、乳製品と植物性の脂肪分の全重量を100重量%とし、各々の水分量、乳脂肪分量の合計値を求めた上で算出される。
【0037】
また、この飲食品用乳化組成物には、動物性および/または植物性の蛋白質を添加することができる。動物性および/または植物性の蛋白質としては、食品に使用可能な動物性および/または植物性の蛋白質であれば特に制限はなく使用することができる。例示するならば、卵由来の蛋白質などが、植物性蛋白質としては、大豆、えんどう豆など豆類由来の蛋白質が挙げられる。
【0038】
これら動物性および/または植物性の蛋白質の飲食品用乳化組成物中の含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、さらに好ましくは0.3重量%以上、最も好ましくは0.4重量%以上、通常10重量%以下、好ましくは6.0重量%以下、さらに好ましくは3.0重量%以下、最も好ましくは1.5重量%以下である。
【0039】
飲食品用乳化組成物中には、他の添加剤等が含まれていてもよく、他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、カラギーナン、キサンタンガム、セルロース、ジェランガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、大豆多糖類、カシアガム、グアーガム、ローカストビーンガム、デンプン、加工デンプン、デキストリン、プルラン、タマリンドシードガムなどの増粘安定剤、重曹やリン酸塩などのpH調整剤、香料などが挙げられる。ここでいう香料としては、化学的に合成した成分以外に、乳成分を酵素処理等を行なって改質したもの、およびそれを蒸留等により精製したものを含む。
【0040】
特に、良好な風味を維持するために、水溶性酸化防止剤および/または油溶性酸化防止剤を添加することが好ましく、特に、水溶性酸化防止剤と油溶性酸化防止剤の両方を添加することがさらに好ましい。
【0041】
水溶性酸化防止剤としては、食品に使用可能な酸化防止剤であれば特に制限はなく使用することができ、ローズマリー抽出物、茶抽出物、生コーヒー豆抽出物、ブドウ種子抽出物、ヤマモモ抽出物などの植物抽出物、L−アスコルビン酸およびその塩、エリソルビン酸およびその塩、などが挙げられる。良好な風味を保つ効果が高いという点で、ローズマリー抽出物、茶抽出物、生コーヒー豆抽出物、ブドウ種子抽出物などの植物抽出物がより好ましく、ローズマリー抽出物が最も好ましい。水溶性酸化防止剤の添加量(乳化組成物中の含有量)は、通常0.001重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、通常2.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下である。
【0042】
油溶性酸化防止剤としては、食品に使用可能な酸化防止剤であれば特に制限はなく使用することができ、ローズマリー抽出物、茶抽出物、生コーヒー豆抽出物、ブドウ種子抽出物、ヤマモモ抽出物などの植物抽出物、トコフェロール、トコトリエノール、アスコルビン酸パルミチン酸エステル、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。良好な風味を保つ効果が高いという点で、ローズマリー抽出物、茶抽出物、生コーヒー豆抽出物、ブドウ種子抽出物、ヤマモモ抽出物などの植物抽出物、トコフェロール、アスコルビン酸パルミチン酸エステルがより好ましく、ローズマリー抽出物、トコフェロールが最も好ましい。油溶性酸化防止剤の添加量(乳化組成物中の含有量)は、通常0.0005重量%以上、好ましくは0.005重量%以上、通常1.0重量%以下、好ましくは0.5重量%以下である。
【0043】
また、本発明の飲食品用乳化組成物の粘度は、経時的な離水や層分離等がなく、かつ容易に取り扱うことができ、また安定した製造を行なうことができるためには、通常400mPa・s以下、好ましくは300mPa・s以下、より好ましくは250mPa・s以下、さらに好ましくは200mPa・s以下、特に好ましくは150mPa・s以下、最も好ましくは100mPa・s以下、通常5mPa・s以上、好ましくは10mPa・s以上、より好ましくは20mPa・s以上、最も好ましくは40mPa・s以上である。
【0044】
(飲食品用乳化組成物の製造方法)
本発明の飲食品用乳化組成物は上記特定の材料を含有すればよく、その製造方法は特定されるものではないが、好ましくは、前記脂肪酸エステル類と水とを混合して乳化剤含有分散液を作製し、前記乳製品としてMFFB%が73重量%以上の乳製品を用い、該乳化剤含有分散液と該乳製品とを混合し、さらに好ましくはこれを乳化させて製造する。
尚、本発明の飲食品用乳化組成物は乳化物の状態であってもよく、乳化される前の状態であってもよい。
具体的には、前記脂肪酸エステル類と水とを混合して、乳化剤含有分散液を製造する。この際、脂肪酸エステル類の濃度は、0.01重量%以上が好ましく、0.1重量%以上がより好ましく、40重量%以下が好ましく、30重量%以下がより好ましく、20重量%以下が最も好ましい。この分散液に乳製品を添加して、ホモミキサーやホモジナイザーを用いて撹拌することにより乳化させ、本発明の飲食品用乳化組成物を得る。使用する乳化剤含有分散液や乳製品の温度は通常40〜80℃程度である。
【0045】
また、前記脂肪酸エステル類と水との混合方法は、特に制限されるものではないが、その他の粉体とともに、パウブレンダー等の粉体分散装置により、水に分散後、加熱し、分散液を製造してもよいし、特定の脂肪酸エステルのみを、数10〜数100nmの大きさのベシクルを形成させるよう水に分散させてもよい。また、乳製品中に含まれる水に前記脂肪酸エステルを分散することもできる。
【0046】
乳化剤含有分散液への乳製品への添加方法も、特に制限されるものではないが、乳化工程の効率を向上するために、その添加速度を最適化することもできる。また、乳製品に対して、乳化剤含有分散液を添加することもできる。
【0047】
該乳化の際は、まずホモミキサーやパウブレンダー等で予備乳化した後、ホモジナイザーを使用して本乳化するなど、複数回の撹拌、乳化工程を経てもよい。ホモジナイザーによる乳化工程は、1回でもよいが、より好ましくは2回以上であることが、得られる飲食品用乳化組成物およびそれを用いた飲食品の安定性を良好とする上で好ましい。ホモジナイザーによる乳化工程は、殺菌工程の前後どちらでもよいが、製造工程の管理が容易であるため、殺菌工程の前に行なうことが好ましい。また、乳化工程は通常40〜80℃の加温条件下で行われ、ホモジナイザーを用いた乳化工程は、通常5MPa以上、好ましくは10MPa以上、通常200MPa以下、好ましくは100MPa以下の高圧条件で行なわれる。
【0048】
なお、得られた飲食品用乳化組成物は、低温保持殺菌、高温保持殺菌、高温短時間殺菌、超高温瞬間殺菌といった、通常食品で用いられる殺菌方法で殺菌処理を施してもよい。その殺菌方法は特に制限はないが、熱による風味の劣化が少ないという点で、超高温瞬間殺菌が好ましく、さらに超高温瞬間殺菌の方法としては、プレート式間接殺菌法、チューブ式間接殺菌法、インジェクション、インフュージョン式直接殺菌法、ジュール式殺菌法が好ましい。
【0049】
(飲食品)
本発明の飲食品用乳化組成物は、パンや麺などの小麦粉加工品、ファットスプレッドやフラワーペーストなどの油脂加工品、カレー、スープ、パスタソース、シチュー、デミグラスソース、ホワイトソース、トマトソース等の各種ソース・スープ類、中華食品の素、どんぶりの素等などのレトルト食品や複合調味料、加工乳、ヨーグルト類、乳酸菌飲料、チーズ、アイスクリーム類、調整粉乳、クリーム類、乳飲料等の乳加工品、キャラメル、キャンディ、チューインガム、チョコレート、クッキー・ビスケット、ケーキ、パイ、スナック、クラッカー、和菓子、米菓子、豆菓子、ゼリー、プリン等の菓子・デザート、ハンバーグ、ミートボール、味付け畜肉缶詰等の畜産加工品、冷凍食品、冷蔵食品、パック入りや店頭販売用惣菜等の調理済み・半調理済み食品の他、即席麺、カップ麺、即席スープ・シチュー類等の即席食品、栄養強化食品、流動食、高カロリー食などの飲食品に用いることができ、特に乳飲料用として用いられることが好ましい。
【0050】
本発明の飲食品用乳化組成物を含む、または飲食品用乳化組成物が添加された前述の飲食品は、本発明の飲食品用乳化組成物の他、砂糖などの糖類、甘味料、重曹などのpH調整剤、乳化剤、増粘安定剤、動物性および/または植物性の蛋白質、動物性および/または植物性の油脂、酸化防止剤、香料、酵素などの添加剤を含有していてもよい。
【0051】
本発明の本発明の飲食品用乳化組成物を含む、または飲食品用乳化組成物が添加された前述の飲食品は、飲食品のベースとなる材料と混合し製造される。ベースとなる材料とを混合するに際し、ベースとなる材料に、予め、前記の添加剤を混合しておいてもよい。また、これらの添加剤は、乳化組成物とベースとなる材料とを混合する際に、添加混合してもよい。
【0052】
(乳飲料)
以下、本発明の乳飲料について説明するが、本発明の乳飲料は、本発明の飲食品用乳化組成物を含む、または飲食品用乳化組成物が添加された乳飲料であり、MFFB%が73重量%以上である乳製品、及び、脂肪酸エステル類を含有する。
【0053】
本発明の乳飲料を製造する際、前記乳製品を、水、コーヒー抽出液、紅茶抽出液、乳成分、砂糖などの糖類、甘味料、pH調整剤、乳化剤、増粘安定剤、動物性および/または植物性の蛋白質、動物性および/または植物性の油脂、酸化防止剤などの飲料のベースとなる液体と混合してもよいが、好ましくは、乳製品は例えばこれを乳化させた上記飲食品用乳化組成物として混合することが、製造簡便性や、乳飲料の保存時の乳化安定性および風味を良好とする上で好ましい。
【0054】
本発明の乳飲料は、上記のような乳製品を用いて製造されるものであるが、乳飲料中の乳製品に由来する固形分含有量は、通常0.01重量%以上、好ましくは0.05重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、通常15.0重量%以下、好ましくは13.0%重量以下、より好ましくは10.0重量%以下、最も好ましくは9.0重量%以下である。乳飲料中の乳製品に由来する固形分含有量を、この範囲にすることにより、安定で良好な風味の乳飲料が得られるため好ましい。
【0055】
本発明の乳飲料は、水、コーヒー抽出液、紅茶抽出液、乳成分、植物性の油脂および/またはその乳化組成物、などの飲料のベースとなる液体と、本発明の飲食品用乳化組成物とを混合することにより製造することが好ましい。
【0056】
ここで、本発明の飲食品用乳化組成物と飲料のベースとなる液体とを混合するに際し、飲料のベースとなる液体に、予め、重曹などのpH調整剤、甘味料、乳化剤、増粘安定剤、動物性および/または植物性の蛋白質、酸化防止剤、香料、酵素などの添加剤を添加しておいてもよい。また、これらの添加剤は、乳化組成物と飲料のベースとなる液体とを混合する際に、添加混合してもよい。
また、乳飲料を製造するに際し、乳化組成物と飲料のベースとなる液体の他、水、砂糖などの糖類などを添加してもよい。
【0057】
ここで、乳化剤としては、食品に使用可能な乳化剤であれば特に制限はなく使用することができる。例示するならば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート(ポリオキシエチレンソルビタン酸エステル)、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル)、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、などの脂肪酸エステル類、ステアロイル乳酸ナトリウム、ステアロイル乳酸カルシウム、酵素分解レシチン、レシチン、サポニンなどが挙げられる。これらの中では、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステルが、乳飲料の乳化安定性がよいため更に好ましい。
【0058】
また、上記乳化剤において、飲料における危害菌である耐熱性菌に対して効果を持つ食品用乳化剤を単独、または併用して用いることもできる。耐熱性菌に対して効果を持つ食品用乳化剤としては、その効果を有する食品用乳化剤であれば、特に制限なく使用することができるが、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリドが好ましく、特に構成する脂肪酸の炭素数が14〜22のショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリドがより好ましく、構成する脂肪酸の炭素数が16〜18のショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルがさらに好ましく、これらは菌に対する有効性が高いため好適である。使用するショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノエステル含量が50重量%以上、好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上であることが、菌に対する有効性が高いため好適である。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンの平均重合度が2〜5であることが好ましく、さらに2〜3であることが、菌に対する有効性が高いため最も好ましい。該乳化剤の乳飲料における含有量は、通常0.0005重量%以上、好ましくは0.001重量%以上、通常1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下である。
なお、ここで、乳飲料中の乳化剤の含有量とは、前述の飲食品用乳化組成物中に含まれる乳化剤をも含む合計の乳化剤の含有量をいう。
【0059】
また、動物性および/または植物性の蛋白質とは、食品に使用可能な動物性および/または植物性の蛋白質であれば特に制限はなく使用することができる。例示するならば、動物性蛋白質としては、カゼインおよびそのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、ホエーおよびその濃縮物または精製物、乳蛋白質濃縮物または精製物などの乳由来の蛋白質、卵由来の蛋白質などが、植物性蛋白質としては、大豆、えんどう豆など豆類由来の蛋白質が挙げられる。
これらの中では、良好な乳風味である点と、乳飲料の乳化安定性および加熱時の沈殿生成を抑制するという点で、乳由来の蛋白質が好ましく、カゼインおよびそのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩がさらに好ましく、カゼインのナトリウム塩、カリウム塩がより好ましく、カゼインのカリウム塩が最も好ましい。乳飲料における動物性および/または植物性の蛋白質の含有量は、通常0.005重量%以上、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.02重量%以上、通常2.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。
なお、乳飲料の動物性および/または植物性の蛋白質の含有量とは、前述の飲食品用乳化組成物中に動物性および/または植物性の蛋白質を含む場合、その乳化組成物をも含む合計の動物性および/または植物性の蛋白質の含有量をいう。
【0060】
本発明の乳飲料中の乳固形分量は、特に制限はないが、より濃厚な乳の風味が必要な場合は、通常5.0重量%以上、好ましくは5.5%重量以上、より好ましくは6.0重量%以上、最も好ましくは6.5重量%以上であり、通常15.0重量%以下、好ましくは13.0%重量以下、より好ましくは10.0重量%以下、最も好ましくは9.0重量%以下である。乳飲料中の乳固形分量を、この範囲にすることにより、製品が安定で、かつ濃厚な乳風味が得られるため好ましい。
【0061】
乳飲料のpHは、重曹など上述の添加剤を添加することにより調整することが可能である。これら添加剤は、予め、飲料のベースとなる液体、水、コーヒー抽出液、紅茶抽出液、乳成分、植物性の油脂および/またはその乳化組成物などに添加していてもよいし、最終的に乳飲料の組成が決定した後に添加してもよい。
【0062】
本発明の乳飲料は、例えば、飲料のベースとなる液体、上記飲食品用乳化組成物および上記添加剤や水などを加えて混合した後に、ホモジナイザーなどを利用して均質化処理を行うことにより製造することができるが、製造効率の向上や設備投資の低減のため均質化処理を行わないで製造することもできる。
均質化処理をする場合は、通常40〜80℃の加温条件下で行われ、ホモジナイザーを用いた乳化工程は、通常5MPa以上、好ましくは10MPa以上、通常200MPa以下、好ましくは100MPa以下の高圧条件で行なわれる。
【0063】
この均質化処理後には、レトルト殺菌、超高温瞬間殺菌などの殺菌方法により殺菌処理を行うことが好ましい。なお、常温流通またはホットベンダーなどの高温流通、販売をする場合において、菌による変敗等の対策として、必要とされる殺菌強度F
0値は、通常5以上、好ましくは10以上である。
【0064】
このような本発明の乳飲料としては、コーヒー飲料、紅茶飲料、ココア飲料、フルーツミルク飲料などの低酸性飲料、酸性乳飲料などが挙げられる。
【実施例】
【0065】
本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
【0066】
<実施例1−1>
予め、カゼインナトリウム1.2重量%、ショ糖脂肪酸エステル(SE1、脂肪酸の炭素数=16および18、モノエステル含量=77重量%、リョートー(登録商標)シュガーエステルS−1670、三菱化学フーズ社製、HLB16)1.3重量%、ポリグリセリン脂肪酸エステル(PO1、リョートー(登録商標)ポリグリエステルS−10D、三菱化学フーズ社製)0.3重量%及びコハク酸モノグリセリド(MG、脂肪酸の炭素数=16および18)0.2重量%を分散させた水相300gを65℃に加熱した後、乳と生クリームを原料とする非発酵型のクリームチーズA(全固形分量:61重量%、乳脂肪分含有量:51重量%、MFFB%:80重量%、FDB%:84重量%)60重量%を投入し、ホモミキサーを用い、回転数8000rpmで5分間予備乳化した。更に水を加えて全量を100重量%に調整し、高圧ホモジナイザーで65℃、20MPaにて2回均質化後、容器に充填し、90℃で15分間殺菌処理して、飲食品用乳化組成物を得た。
【0067】
<実施例1−2〜1−19、比較例1−1〜1−5>
それぞれ、表1に示す組成とした他は、実施例1−1と同様にして飲食品用乳化組成物を得た。クリームチーズはいずれも非発酵型のクリームチーズであり、その他の各材料は以下のとおりである。
(脂肪酸エステル類)
SE1:ショ糖脂肪酸エステル(リョートー(登録商標)シュガーエステルS−1670、三菱化学フーズ社製、HLB16、脂肪酸の炭素数=16および18、モノエステル含量=77重量%)
SE2:ショ糖脂肪酸エステル(リョートー(登録商標)シュガーエステルP−1670、三菱化学フーズ社製、HLB16、脂肪酸の炭素数=16および18、モノエステル含量=79重量%)
SE3:ショ糖脂肪酸エステル(リョートー(登録商標)シュガーエステルS−1170、三菱化学フーズ社製、HLB11、脂肪酸の炭素数=16および18、モノエステル含量=55重量%)
SE4:ショ糖脂肪酸エステル(リョートー(登録商標)シュガーエステルS−570、三菱化学フーズ社製、HLB5、脂肪酸の炭素数=16および18、モノエステル含量=30重量%)
(クリームチーズ)
クリームチーズA:全固形分量:61重量%、乳脂肪分含有量:51重量%、MFFB%:80重量%、FDB%:84重量%
クリームチーズB:全固形分量:65.5重量%、乳脂肪分含有量:53重量%、MFFB%:73重量%、FDB%:81重量%
クリームチーズC:全固形分量:69重量%、乳脂肪分含有量:54重量%、MFFB%:67重量%、FDB%:78重量%
クリームチーズD:全固形分量:66重量%、乳脂肪分含有量:52重量%、MFFB%:71重量%、FDB%:79重量%
(調整食用油脂)
調整食用油脂A:全固形分:84.5%、乳脂肪分:57%、植物油脂:26%(脂肪分中に含まれるトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める、炭素数が14以下の脂肪酸の割合:78%)
調整食用油脂B:全固形分:100%、乳脂肪分:68%、植物油脂:32%(脂肪分中に含まれるトリグリセリド分子に結合している全脂肪酸に占める、炭素数が14以下の脂肪酸の割合:78%)
【0068】
【表1】
【0069】
(乳化組成物の安定性評価)
得られた飲食品用乳化組成物を5℃にて4週間保存後の層分離の状態および、流動性について、以下の基準で評価した。結果を表2に示す。
1.層分離の状態
容器底部からの容器中の乳化組成物の液面までの高さを1としたときの、下部の透明な離水層の高さの割合を100分率で示した際、
○: 層分離が5%未満である。
△: 層分離が5%以上、10%以下である。
×: 層分離が10%を超えている。
2.流動性
容器を転倒させた際の、乳化組成物の流動性が、
○: 粘性が低い、またはやや粘性があるが、速やかに流動する。
△: 粘性が高く、やや流動性が悪い。
×: 完全に固化しており、流動しない。
【0070】
【表2】
【0071】
<実施例2−1>
コーヒー抽出液(Brix2.9)60重量%に、予め熱水で溶解した重曹0.10重量%を加えてpH調整後、砂糖5.0重量%、実施例1−1で得られた飲食品用乳化組成物1.20重量%、ショ糖脂肪酸エステル(リョートー(登録商標)シュガーエステルP−1670、三菱化学フーズ社製)(脂肪酸の炭素数=16、モノエステル含量=79重量%)0.03重量%及び水を適量加えて混合溶解させ、さらに水を加え全量を100重量%とした。
本液を65℃に昇温し、高圧ホモジナイザーにて20MPaの圧力で均質化後、缶容器に充填し、121℃で30分間のレトルト殺菌を行い、乳飲料(缶入りミルクコーヒー)を調製した。殺菌後の飲料のpHは5.7〜5.8であった。
得られた缶入りミルクコーヒーを、それぞれ、5℃で1日、60℃で4週間保存、ならびに35℃で8週間保存した後に開缶し、乳化安定性と風香味(好ましい乳風味)、異味・異臭(乳製品や乳化剤などに起因する嫌な味や臭い)について、以下の評価基準で評価した。評価結果を表3に示す。
【0072】
<実施例2−2〜2−19、比較例2−1〜2−5>
実施例1−2〜1−19、比較例1−1〜1−5で得られた飲食品用乳化組成物を使用した以外は、実施例2−1と同様にして乳飲料を得た。評価結果を表3に示す。
【0073】
1.乳化安定性の評価
保存後の缶入りミルクコーヒーを開缶後、缶内の液面の状態、および、内容液をプラスチックカップに注ぎ、よく撹拌した後の液面の状態を、目視観察し、以下の基準で評価した。
◎: オイルオフ、クリーム分離がない。
○: オイルオフやクリーム分離がわずかに認められる。
△: オイルオフやクリーム分離がはっきりと認められる。
×: オイルオフやクリーム分離が多量に認められ、乳化が破壊されている。
【0074】
2.風香味(好ましい乳風味)
保存後の缶入りミルクコーヒーを室温にて試飲者3名で飲用し、以下の基準で風香味を判定した。
◎: 異味・異臭がなく、香料な乳風味である。
○: 乳風味としてややバランスが悪い、もしくは水っぽいが、違和感はない。
△: 乳風味として明らかに違和感を感じる、もしくは風味が弱く水っぽい。
×: 乳風味として強い違和感がある、もしくは乳風味を感じない。
3.異味・異臭(乳化剤・植物油脂のような味・臭いおよび劣化臭)
保存後の缶入りミルクコーヒーを室温にて試飲者3名で飲用し、以下の基準で異味・異臭を判定した。
◎: 違和感のある味・臭いを感じない。
○: 弱く乳化剤・植物油脂様の味・臭い、劣化臭を感じるが、違和感はない。
△: 明らかに乳化剤・植物油脂様の味・臭い、劣化臭を感じる。
×: 強く乳化剤・植物油脂様の味・臭い、劣化臭を感じ、違和感がある。
4.総合評価スコア
乳化安定性の指標として、表2に示した飲食品用乳化組成物の安定性評価結果および表3に示した乳飲料の乳化安定性の評価結果について、◎を5点、○を4点、△を2点、×を0点として点数に換算し、乳化安定性スコアとした。
また、風味の良好さの指標として、表3に示した乳飲料の風香味と異味・異臭の評価結果について、◎を5点、○を4点、△を2点、×を0点として点数に換算し、風味スコアとした。
乳化安定性スコアと風味スコアの合計を総合評価スコアとした。
【0075】
表3より、本発明の飲食品用乳化組成物を用いることにより、乳化安定性が良好で優れた風香味を有し、長期間保存してもこの効果の持続性に優れた乳飲料が得られることが分かる。
【0076】
【表3】
【0077】
<実施例2−20>
予めマンナン分解酵素で多糖類低分子化処理したコーヒー抽出液(Brix2.9)550gに、予め熱水で溶解した重曹1.4gを加えてpH調整後、砂糖50.0g、実施例1−1で得られた飲食品用乳化組成物を85g、脱脂粉乳(北海道乳業社製)45g、カゼインカリウム3.0g及び水を適量加えて混合溶解させ、さらに水を加え全量を1000gとした(乳固形分量:7.3重量%)。
本液を65℃に昇温し、高圧ホモジナイザーにて20MPaの圧力で均質化後、缶容器に充填し、121℃で30分間のレトルト殺菌を行い、乳飲料(缶入りミルクコーヒー)を調製した。殺菌後の飲料のpHは6.4であった。
得られた缶入りミルクコーヒーは、殺菌後も良好な乳化安定性を保っており、凝集物、沈殿物などもなく、また、チーズ様の臭いなどの異味異臭がない、濃厚で良好な乳風味を有していた。
【0078】
<実施例2−21>
高圧ホモジナイザーによる20MPaの圧力で均質化するのに代えて、65℃に昇温後、パドルミキサーでの撹拌、混合する以外は、実施例2−17と同様にして、乳飲料(缶入りミルクコーヒー)を調製した。殺菌後の飲料のpHは5.8であった。
得られた缶入りミルクコーヒーを、それぞれ、5℃で1日、60℃で4週間保存、ならびに35℃で8週間保存した後に開缶し、乳化安定性と風香味、異味・異臭について評価したが、実施例2−17と同等の良好な乳化安定性、風香味を有していた。
【0079】
<実施例2−22>
コーヒー抽出液(Brix2.9)430gに、予め熱水で溶解した重曹1.0gを加えてpH調整後、砂糖50.0g、実施例1−1で得られた飲食品用乳化組成物を12.0g、脱脂粉乳(北海道乳業社製)8.2g及び水を適量加えて混合溶解させ、さらに水を加え全量を1000gとした。
本液を65℃に昇温し、高圧ホモジナイザーにて20MPaの圧力で均質化後、缶容器に充填し、121℃で30分間のレトルト殺菌を行い、乳飲料(缶入りミルクコーヒー)を調製した。殺菌後の飲料のpHは6.3であった。
得られた缶入りミルクコーヒーを、それぞれ、5℃で1日、および60℃で4週間保存、ならびに35℃で8週間保存した後に開缶し乳化安定性と風香味、異味・異臭について評価したが、実施例2−1と同等の良好な乳化安定性、風香味を有していた。
【0080】
<実施例2−23>
実施例1−1に代えて、実施例1−18で得られた飲食品用乳化組成物としてを用いた以外は、実施例2−22と同様の操作を行って、乳飲料(缶入りミルクコーヒー)を調製した。殺菌後の飲料のpHは6.3であった。
得られた缶入りミルクコーヒーを、それぞれ、5℃で1日、および60℃で4週間保存、ならびに35℃で8週間保存した後に開缶し乳化安定性と風香味、異味・異臭について評価したが、実施例2−18と同等の良好な乳化安定性、風香味を有していた。
【0081】
<試験例1>
実施例2−22および実施例2−23を、無菌環境下で開缶し、それぞれTDTチューブに2mlずつ分注した後、これらに耐熱性芽胞菌であるMoorella thermoaceticaを10
4cfu/ml接種後、チューブを溶封した。TDTチューブは、各試験区につき5本ずつ調製し、菌無接種区をブランクとして各試験区につき2本ずつ準備した。これらを55℃の恒温器にて6週間保存し、変敗の有無を検査した。変敗の有無は保存後のミルクコーヒー液のpH低下および目視により確認した。その結果、実施例2−22は5本中5本全て変敗していたのに対し、実施例2−23は5本全て変敗を抑制していた。
【0082】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2013年3月21日出願の日本特許出願(特願2013−058393)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。