(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対のローラ電極は、前記ワーク保持台の上方に縦方向に並列して配置されており、下側のローラ電極が固定され、上側のローラ電極が上下方向に移動可能に構成され、
前記ワーク保持台は、ワークの上下位置を調整するために上下方向に移動可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載されたシーム溶接装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る太陽熱集熱システムの概略構成図である。
図1に示すように、太陽熱集熱システム1は、太陽熱集熱器10と、貯湯槽20と、これらを接続する配管(熱媒流通経路の1つ)30とを備えている。この太陽熱集熱システム1は、太陽熱集熱器10が太陽熱により熱媒を加熱し、加熱された熱媒を行き配管31を通じて貯湯槽20に供給して貯湯槽20内の湯水を加熱する。湯水の加熱により冷却した熱媒は戻り配管32を通じて太陽熱集熱器10に至り、再度太陽熱により加熱されることとなる。なお、本実施形態では太陽熱集熱器10がマンション等のベランダに傾斜を有した状態で設置され、貯湯槽20がベランダに設置されるものを想定しているが、太陽熱集熱器10及び貯湯槽20の設置個所は上記に限られるものではない。
【0015】
図2は、
図1に示した太陽熱集熱器の詳細を示す断面図であり、
図3は、
図1に示した太陽熱集熱器の熱媒流通経路を示す平面図である。
図2に示すように、太陽熱集熱器10は、四角形状に形成された2枚のプレート11のうち、一方又は両方を波型に形成し、2枚のプレート11を貼り合わせることで熱媒が通る複数の流路12(熱媒流通経路の1つ)を形成した集熱板13を有するプレート式集熱器である。この集熱板13において、複数の流路12は、互いに平行に配置される。
【0016】
この集熱板13では、複数の流路12の上端及び下端に入口管14及び出口管15がオリフィス16を介して接続されている。
【0017】
入口管14は、太陽熱集熱器10の傾斜下方側の一端側から冷却された熱媒を導入する。入口管14は、平行に配置される複数の流路12のそれぞれに対して直交接続されており、熱媒を複数の流路12のそれぞれに供給する。
【0018】
出口管15は、太陽熱集熱器10の傾斜上方側の他端側から、貯湯槽20に対して熱媒を供給する。出口管15は、平行に配置される複数の流路12のそれぞれに対して直交接続されており、複数の流路12からの熱媒を導入する。
【0019】
また、太陽熱集熱器10は、集熱板13の上層に、空気層を介して透明板17が設けられている。透明板17は、ガラス又は透明樹脂材により構成されている。さらに、太陽熱集熱器10は、集熱板13の下層に空気層を介して、断熱材18及び底板19を備えている。断熱材18は、例えばグラスウール、又は発泡スチロール等により構成されている。底板19は、図外の側壁と共に太陽熱集熱器10の各要素を収納する収納ケースを構成するものである。
【0020】
なお、太陽熱集熱器10の入口管14及び出口管15には、図外の継手管(行き配管31及び戻り配管32の一要素)を介して接続ホース31a,32a(行き配管31及び戻り配管32の一要素)が接続される。
【0021】
図4及び
図5は、
図1に示した貯湯槽等を示す透視斜視図であり、
図6は、
図4及び
図5に示した貯湯槽等を示す断面図である。
図4及び
図5に示すように、貯湯槽20は、これを覆うケース50内に収納されている。ケース50は、背面を平板51とし、側面及び前面をU字板52とする湾曲構造の筒体53と、筒体53の下方を閉塞するトレイ形状の下板54と、後述のシスターン40と共に筒体53の上方を閉塞する上板55とから構成され、例えばステンレスにより構成されている。また、ケース50と貯湯槽20との間には、図示しない断熱材(例えばウレタンや発泡スチロール)が介装されている。
【0022】
このようなケース50に収納される貯湯槽20は、概略的に略円筒形状の胴部21と、第1鏡板22と、第2鏡板23とを有し、例えばステンレスにより構成されている。
【0023】
胴部21は、略円筒形状の内側胴部21aと、所定の空隙を伴って内側胴部21aの周囲に配設される略円筒形状の外側胴部21bとから構成されている。
【0024】
図7は、
図5に示した貯湯槽等の一部を示す断面図であり、(a)は上方側の突条付近を拡大して示しており、(b)は下方側の突条付近を拡大して示している。
図7(a)及び(b)に示すように、内側胴部21aの両端部の近傍には、外側に膨出する突条21a1,21a2が円周方向に沿ってそれぞれ形成されている。
【0025】
図5に示すように貯湯槽20がいわゆる縦置きされる場合、すなわち、胴部21の軸方向が鉛直方向となって貯湯槽20が設置される場合、一方の突条(以下「第1突条」という)21a1は筒の上端側に位置付けられ、他方の突条(以下「第2突条」という)21a2は筒の下端側に位置付けられる。
【0026】
第1突条21a1の高さh1は、第1突条21a1の外径が外側胴部21bの内径と対応するように設定されている。第2突条21a2の高さh2は、第1突条21a1の高さh1よりも低く設定されている。
【0027】
各突条21a1,21a2の頂部は、外側胴部21bとの溶接作業を容易なものとするため平坦化されている。特に本実施形態では、内側胴部21aと外側胴部21bとをシーム溶接にて接合する観点から、突条21a1,21a2の平面幅は、シーム溶接におけるローラ電極の当接幅と同じ或いはそれよりも大きく設定されている。
【0028】
一方、外側胴部21bの片方の端部には、筒径が段違いに縮小した縮径部21b1を有している。貯湯槽20がいわゆる縦置きされる場合において、縮径部21b1は筒の下端に位置付けられる。この縮径部21b1において、その内径は、第2突条21a2の外径と対応するように設定されている。
【0029】
また、外側胴部21bの軸方向の全長は、内側胴部21aにおける第1突条21a1から第2突条21a2までの軸方向の長さよりも大きく設定されている。このため、
図7に示すように、内側胴部21aの周囲に配設される外側胴部21bは、その両端部が、内側胴部21aの第1突条21a1及び第2突条21a2よりも軸方向の外側に位置付けられている。
【0030】
このような構成の胴部21において、その組み立て工程は次の通り行われる。まず、内側胴部21aと外側胴部21bとを同軸となるように一列に配置し、内側胴部21aの下端側から外側胴部21bの上端が入り込むように、外側胴部21bを内側胴部21aへと被せる。そして、外側胴部21bの上端が内側胴部21aの第1突条21a1まで到達すると、外側胴部21bの縮径部21b1も同様に内側胴部21aの第2突条21a2まで到達する。外側胴部21bの上端が内側胴部21aの第1突条21a1と、外側胴部21bの下端が内側胴部21aの第2突条21a2とそれぞれ嵌り合う。この際、外側胴部21bは、その両端部が内側胴部21aの第1突条21a1及び第2突条21a2よりも軸方向外側に位置するように組み付けられる。これにより、外側胴部21bと内側胴部21aとの組み付け作業が完了する。
【0031】
組み付け作業が完了すると、第1突条21a1と外側胴部21bの上端とが溶接接続され、また、第2突条21a2と縮径部21b1とが溶接接続される。両端部の溶接は、シーム溶接により行われる。なお、シーム溶接の詳細については後述する。
【0032】
以下、内側胴部21aと外側胴部21bとからなる筒状のワークに対して円周状にシーム溶接を行うシーム溶接装置70について説明する。
図13は、本実施形態に係るシーム溶接装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図14は、
図13に示すシーム溶接装置の構成を模式的に示す側面図であり、
図15は、
図13に示すシーム溶接装置の構成を模式的に示す正面図である。このシーム溶接装置70は、シーム溶接機本体71と、ワーク保持台80とを備えている。
【0033】
シーム溶接機本体71は、一対のローラ電極72,73と、本体部74と、エンコーダユニット75とを主体に構成されている。
【0034】
一対のローラ電極72,73は、本体部74に配設されており、ワーク保持台80の上方に縦方向に並列して配置されている。個々のローラ電極72,73は、所要の板厚を備える円板から構成されており、例えば銅系合金により形成されている。上方に位置付けられる一方のローラ電極(以下「上側ローラ電極」という)72は上下方向に移動可能に構成されている。一方、下方に位置付けられる他方のローラ電極(以下「下側ローラ電極」という)73は固定され、上下方向への移動が制限されている。
【0035】
本体部74は、上側ローラ電極72を上下方向に移動させる駆動手段(図示せず)や、各ローラ電極72,73を回転駆動する駆動手段72a,73aや、各ローラ電極72,73に電流を供給する電源手段(図示せず)や、これらを制御する制御手段77、操作手段(図示せず)などを含んで構成されている。駆動手段72a,73aは、例えばインバータ付き電動機であり、制御手段77を通じてその出力である回転数が可変的に制御される。ローラ電極72,73の駆動方式は、直接駆動方式とナール駆動方式とに大別されるが、本実施形態では、直接駆動方式が用いられている。ここで、直接駆動方式は、駆動手段72a,73aがローラ電極72,73を直接的に回転駆動する方式である。一方、ナール駆動方式は、ナールと呼ばれる回転部材をローラ電極72,73の外周面に接触させ、駆動手段が当該ナールを回転駆動することでローラ電極72,73を間接的に回転駆動する方式である。
【0036】
エンコーダユニット75は、エンコーダ76と、図示しない検出回路とを主体に構成されている。エンコーダ76は、自身の回転量(回転角)に応じたパルスを出力するセンサであり、光学式や磁気式といった種々の方式を利用することができる。このエンコーダ76は、上側ローラ電極72と外接するように配置されており、上側ローラ電極72の回転に応じて従動回転する。検出回路は、エンコーダ76から出力される検出信号(パルス信号)に基づいてエンコーダ76の回転量を検出する。エンコーダ76の回転量は、上側ローラ電極72が回転した際の当該上側ローラ電極72の円周部の移動距離に相当する。
【0037】
ワーク保持台80は、一対のローラ電極72,73による溶接位置にワークを保持するためのものである。このワーク保持台80は、下側プレート81と、中間フレーム82と、上側フレーム83とを主体に構成されている。
【0038】
下側プレート81は4つの脚部を備え、作業場所に設置される。この下側プレート81には4つの脚部を備える中間フレーム82が固定配置されており、この中間フレーム82の上方に上側フレーム83が配置されている。上側フレーム83は、下側プレート81及び中間フレーム82の双方によって保持されており、その上に筒状のワークを横置き状態で保持する。
【0039】
上側フレーム83と下側プレート81との間には、送りねじ機構(図示せず)が設けられており、当該送りねじ機構にはハンドル84が連結されている。このハンドル84を回転させることで送りねじ機構が動作し、上側フレーム83が上方又は下方に移動する。上側フレーム83の上下移動により、溶接位置と対応するようにワークの上下方向の位置合わせを行うことができる。
【0040】
上側フレーム83には、4つの保持ローラ85が設けられている。筒状のワークは、上側フレーム83に載置されると、これらの保持ローラ85がワーク外周面に当接し、当該ワークを4箇所で保持する。各保持ローラ85は、上側フレームに83に対して回転可能に取り付けられており、溶接動作に伴いワークがその場で回転することを許容している。
【0041】
また、上側フレーム83におけるシーム溶接機本体71側の端部には、2つの位置決めローラ86が配置されている。具体的には、上側フレーム83の端部には当該上側フレーム83に固定的に組み付けられた固定プレート88aが設けられており、2つの位置決めローラ86は固定プレート88aに配設されている。
【0042】
位置決めローラ86は、上側フレーム83に保持されるワークの端部が当接することで、溶接位置に対するワークの軸方向の位置合わせを行うとともに、溶接動作に伴いワークが軸方向に位置ずれを起こすことを規制する。位置決めローラ86は、溶接動作に伴うワークの回転を妨げることがないように、回転可能に構成されている。
【0043】
さらに、上側フレーム83における位置決めローラ86と反対側の端部には、2つの固定ローラ87が配置されている。2つの固定ローラ87は可動プレート88bに配設されている。
【0044】
上側フレーム83の端部にはレール部83aが形成されており、当該レール部83aに対して可動プレート88bがスライド可能に配設されている。この可動プレート88bには送りねじ機構(図示せず)が連結されており、当該送りねじ機構にはハンドル89が連結されている。ハンドル89を回転させることで送りねじ機構が動作し、可動プレート88bがワークの軸方向に移動する。
【0045】
可動プレート88bを移動させることにより、ワークの軸方向長さのばらつきに拘わらず、固定ローラ87をワークの端部に確実に当接させることができる。この固定ローラ87は、上述の位置決めローラ86と協働することで、溶接動作に伴いワークの軸方向に位置ずれを規制することができる。固定ローラ87は、溶接動作に伴うワークの回転を妨げることがないように、回転可能に構成されている。
【0046】
このような構成のシーム溶接装置70により、ワークである内側胴部21aと外側胴部21bとがその全周においてシーム溶接される。本説明では、内側胴部21a及び外側胴部21bの下端側の溶接方法を説明するが、内側胴部21a及び外側胴部21bの上端側の溶接方法についても同様である。
【0047】
具体的には、
図16に示すように、内側胴部21aの周囲に外側胴部21bを組み付けてなるワークを、ワーク保持台80にセットする。この際、作業者は、内側胴部21aの下端を位置決めローラ86に当接させるとともに、ハンドル89を操作して固定ローラ87を内側胴部21aの上端に当接させる。これにより、ワークがその軸方向において固定されるとともに、内側胴部21aの第2突条21a2の位置と下側ローラ電極73の位置とがワークの軸方向において対応するように位置決めされる。同様に、作業者は、ハンドル84を操作してワークを下降させ、内側胴部21aにおける第2突条21a2の頂部が下側ローラ電極73の頂部に内接するまでワークを下降させる。これにより、ワークが溶接位置に位置決めされる。
【0048】
ワークが所要の位置にセットされると、作業者は、シーム溶接機本体71の本体部74の操作手段を操作して、シーム溶接を開始する。これにより、上側ローラ電極72が下方へと移動し、上側電極ローラ72と下側ローラ電極73とによりワークが両側から挟持される。具体的には、
図17に示すように、第2突条21a2の平面部と、縮径部21b1の平面部とが一対のローラ電極72,73により両側から挟持される。
【0049】
つぎに、ローラ電極72,73に所定の電圧が印加され、これにより、ローラ電極72,73を通じてその当接箇所に電流が流れ、抵抗熱によって加熱されることにより、第2突条21a2の外側の平面部と、縮径部21b1の内側の平面部とが接合される。
【0050】
また、シーム溶接開始後は、各ローラ電極72,73が同期して回転することで、ローラ電極72,73により挟持されたワークもその場で回転し、ワークにおける溶接部位が円周方向へと推移する。その結果、筒状のワークに対して、その円周方向に線状、かつ連続的な溶接を行うことができる。
【0051】
一方、シーム溶接機本体71の制御手段77では、シーム溶接の開始以後、エンコーダユニット75により検出されるエンコーダ76の回転量に基づいて、一対のローラ電極72,73を回転駆動する駆動手段72a,73aについての回転数制御を行う。具体的には、制御手段77は、エンコーダ76の回転速度(単位時間あたりの回転量)に基づいて、上側ローラ電極72の円周部の周速度、すなわち、溶接速度が一定となるように回転数制御を行う。また、制御手段77は、エンコーダ76の回転量に基づいて、上側ローラ電極72の円周部の移動距離を計測する。一対のローラ電極72,73とワークとの間にすべりがない場合、上側ローラ電極72の円周部の移動距離は溶接距離に相当する。そこで、制御手段77は、上側ローラ電極72の円周部の移動距離に基づいて溶接対象の一回転分の長さに到達したことを判断すると、駆動手段72a,73aの回転を停止させ、シーム溶接を停止する。なお、一対のローラ電極72,73とワークとの間にすべりがある場合には、上側ローラ電極72の円周部の移動距離に所定の係数を乗じることで、溶接距離を換算することができる。
【0052】
このような一連の工程により、内側胴部21aの第2突条21a2と縮径部21b1とがその全周に亘りシーム溶接される。同様に、内側胴部21a及び外側胴部21bの上端側に上述の工程を適用することで、内側胴部21aの第1突条21a1と外側胴部21bの上端とがその全周に亘りシーム溶接される。これより、内側胴部21aと外側胴部21bとが一体化され、内側胴部21aと外側胴部21bとの間の空隙に熱媒の流路となる空間S1が構成される。
【0053】
図4及び
図5に示すように、外側胴部21bの筒側壁には、3つの継手管24が取り付けられている。第1継手管24aは、外側胴部21bの下端付近に取り付けられており、第2継手管24bは、外側胴部21bの上下方向中間付近に取り付けられており、第3継手管24cは、外側胴部21bの上端付近に取り付けられている。
【0054】
このうち、第1継手管24aは蛇腹状の接続ホース32aを介して太陽熱集熱器10の入口管14に接続されている。また、第2継手管24bは接続ホース31aを介して太陽熱集熱器10の出口管15に接続されている。なお、第3継手管24cは接続ホース25を介して後述のシスターン40に接続されている。
【0055】
図8は、継手管近傍における外側胴部の側面構造を模式的に示す説明図であり、同図では継手管の記載は省略されている。外側胴部21bの所定位置、すなわち、継手管24との接続箇所には、円筒形状の筒側壁の一部領域を平坦化した平面部21b2が形成されている。例えば、平面部21b2は、正面視して正方形状の平面領域として形成される。
【0056】
平面部21b2の中央部には、バーリング部21b3が形成されている。バーリング部21b3は、円形状の開口の周囲を、筒の外方へと立ち上げ加工して形成されるものである。このバーリング部21b3の開口径は第1継手管24aの管径と対応しており、バーリング部21b3には継手管24が溶接接続される。
【0057】
図4及び
図5に示すように、第1鏡板22と第2鏡板23とは、胴部21、具体的には内側胴部21aの両端開放部を閉塞する略お碗形状(略ドーム形状)の部材であって、その開放側と内側胴部21aの端部とそれぞれが合致する構成となっている。貯湯槽20が縦置きされた場合、第1鏡板22が内側胴部21aの下端に位置付けられ、第2鏡板23が内側胴部21aの上端に位置付けられる。
【0058】
ここで、
図9は、第1鏡板の開放側に設定される絞り部を模式的に示す説明図である。なお、以下の説明では、
図9に示す第1鏡板22について説明するが、絞り部の形態については第2鏡板23についても同様に構成されている。具体的には、第1鏡板22の開放側の端部には、径をテーパー状に絞った絞り部22aが設定されている。この絞り部22aには、内側胴部21aの下端が嵌め合うようにして突き合わされる。絞り部22aと内側胴部21aの下端とが溶接接続され、第1鏡板22と胴部21とが一体化される。
【0059】
絞り部22aは、この絞り部22aと内側胴部21aとの隙間である角度θが所望の状態となるように設定されている。例えば、この角度θが小さい場合には、絞り部22aと内側胴部21aとの間に入り込んだ湯水が滞留し易く、これが接合部分における腐食の原因となる。一方、角度θが大きい場合には、絞り部22aと内側胴部21aとの間に空気が入り込み易く、これが接合部分における腐食の原因となる。そのため、角度θは、腐食防止の観点から、小さすぎずかつ大きすぎることのない適切な範囲の中から選択された任意の値が設定されている。このような値は実験やシミュレーションを通じて予め知得することができる。
【0060】
再び
図6を参照するに、貯湯槽20の内部には、給水管20aと、給湯管20bと、センサ保護管20cと、加熱ヒータ20dとが設けられている。給水管20a及び給湯管20bは第1鏡板22を貫通しており、給水管20aはその先端が貯湯槽20の第1鏡板22の設置領域までしか伸びておらず、給湯管20bはその先端が貯湯槽20の第2鏡板23の設置領域まで伸びている。
【0061】
センサ保護管20cは、貯湯槽20内の湯水の温度を検出するセンサを内部に有する保護管であり、その先端は貯湯槽20の胴部21中央付近に位置している。
【0062】
加熱ヒータ20dは、貯湯槽20の湯水を加熱する補助熱源である。この加熱ヒータ20dは、後述するヒータフランジ26に取り付けられて、貯湯槽20の胴部21下部及び第1鏡板22に位置している。
【0063】
図10は、ヒータフランジの構成を示す説明図であり、(a)はヒータフランジの構成を模式的に示す斜視図であり、(b)は第1鏡板に取り付けられたヒータフランジを模式的に示す断面図である。貯湯槽20の下部に相当する第1鏡板22には、その頂部に開口が形成されており、この開口の周縁部には、内方に向けて立ち上げられた環状の鏡板周壁部22bが形成されている。この鏡板周壁部22bは、ヒータフランジ26との接続箇所をなすものであり、また、その開口領域は、加熱ヒータ20dを貯湯槽20の内部に挿入するための開口として機能する。
【0064】
ヒータフランジ26は、加熱ヒータ20dを固定するものであり、平板部26aと、第1周壁部26bと、第2周壁部26cとを有している。
【0065】
平板部26aは、中央に略円形状の開口を備えるリング状の平板である。平板部26aには、円周方向に沿って所定のピッチでボルト穴26a1が穿孔されている。このボルト穴26a1は、加熱ヒータ20dを締結するためのボルト36を挿通するための貫通孔であり、その開口形状は多角形状(例えば四角形状)に設定されている。
【0066】
第1周壁部26bは、平板部26aの内側の周縁部に位置しており、その周縁部から立ち上げられた環状の周壁部を構成している。第1周壁部26bは、その形状が鏡板周壁部22bの形状と対応しており、その外周面が鏡板周壁部22bの内周面に対して内接する関係を有している。
【0067】
第2周壁部26cは、平板部26aの外側の周縁部に位置しており、その周縁部から立ち上げられた環状の周壁部を構成している。第2周壁部26cは、後述する位置合わせの観点から所要の高さで立ち上げられている。
【0068】
第1鏡板22に対するヒータフランジ26の取り付けは以下のようにして行われる。まず、第1周壁部26b及び第2周壁部26cの立ち上がり方向が内方(第1鏡板22の方向)に向くようにして、ヒータフランジ26が第1鏡板22の頂部に対して外側から取り付けられる。すなわち、第1周壁部26bを鏡板周壁部22bの開口に嵌め込むようにしてヒータフランジ26を第1鏡板22に近づける。そして、第2周壁部26cの先端が第1鏡板22に突き当たることで、第1鏡板22に対するヒータフランジ26の1次的な取り付けが完了する。
【0069】
ここで、第2周壁部26cの高さは、第2周壁部26cの先端が第1鏡板22に突き当たった場合に、鏡板周壁部22bと第1周壁部26bとの先端位置が互いに揃うように設定されている。すなわち、第2周壁部26cを所要の高さに設定することで、鏡板周壁部22bと第1周壁部26bとの位置合わせを行うことが可能となっている。
【0070】
第1周壁部26bと鏡板周壁部22bとは、その先端部分において周方向に沿って溶接され、これにより、ヒータフランジ26と第1鏡板22とが一体化される。
【0071】
また、ヒータフランジ26を第1鏡板22に取り付ける場合、ヒータフランジ26の各ボルト穴26a1にはボルト36を予め挿通した上で行う。そのため、ボルト36は、その頭部36aがヒータフランジ26と第1鏡板22との間に位置付けられる。そして、ヒータフランジ26が第1鏡板22に取り付けられた際には、ボルト36の頭部36aが第1鏡板22と突き当たるような設計が施されている。このような設計は、ボルト36の頭部36aの高さ、第1周壁部26b及び第2周壁部26cの高さ、第1鏡板22のドーム形状等を調整することで実現することができる。
【0072】
次に、このヒータフランジ26に対して加熱ヒータ20dを取り付ける。具体的には、鏡板周壁部22bの開口を通じて、胴部21の内部へと加熱ヒータ20dを挿入し、加熱ヒータ20dの基端に位置する台座板20d1をヒータフランジ26に重ね合わせる。この際、台座板20d1とヒータフランジ26との間には、貯湯槽20の気密性を保つためのパッキン37を配設する。そして、台座板20d1とヒータフランジ26とを、ボルト36とナット38とにより締結すると、ヒータフランジ26への加熱ヒータ20dの取り付けが完了する。
【0073】
なお、ボルト36の軸部36bには、その先端から基端(頭部36aに接続する端部)にかけてネジ山が形成されているが、基端側の所定領域にはネジ山が切られていない。また、このネジ山が切られていない領域では、その断面が、ボルト穴26a1の形状と対応するような多角形状(例えば四角形状)に設定されている。
【0074】
ボルト36がボルト穴26a1へと挿入された場合、軸部36bの基端がボルト穴26a1と嵌合する。この基端部は、ボルト穴26a1と同様に多角形状に設定されているため、両者の係合作用を通じて、ボルト36の軸回りの回転が規制されることとなる。上述のように、ボルト36の頭部36aはヒータフランジ26と第1鏡板22との間に位置して外部から閉塞された状態となるが、このような回転規制が存することで、ナット38を嵌め合わせる際であってもボルト36の固定作業を不要とすることができる。
【0075】
再び
図4を参照するに、第1鏡板22の外側面には、給水管20a及び給湯管20bの端部に接続する継手管33がそれぞれ設けられており、個々の継手管33には、所要の設備へと通じる接続パイプ34が接続されている。継手管33の接続構造は種々のものが用いられ、例えば螺子切り構造のものやワンタッチ接続構造のものが用いられる。
【0076】
図11は、継手管と接続パイプとの接続構造として利用されるワンタッチ接続構造を模式的に示す斜視図である。継手管33と接続パイプ34との接続には、ファスナー継手と称されるワンタッチ接続構造が用いられている。この接続構造は、継手管33側の第1継手33aと、接続パイプ34側の第2継手34aと、クリップ35とを主体に構成されている。
【0077】
第1継手33aは、継手管33の先端に位置付けられており、継手管33に周方向に沿って切り欠きを形成したフランジ形状を備えている。なお、継手管33の中心部には、給水管20aと連通する嵌合口33bが形成されている。
【0078】
第2継手34aは、接続パイプ34の先端に位置付けられており、接続パイプ34よりも外径が拡幅したフランジ形状を備えている。第2継手34aの先端近傍には周方向に沿って切り欠き成形した溝部が形成されており、この溝部にはOリング34bが外嵌されている。第2継手34aの外径は、継手管33の嵌合口33bの内径と対応している。
【0079】
クリップ35は、所定幅のバネ板材を折曲することによって形成されている。クリップ35は、円弧状の部材を互い対面して設けられた一対の挟持部35aと、この挟持部35aの一側端同士を接続するように設けられた略コの字形状の連結部35bと、各挟持部35aの他端から外側に延出するようにそれぞれ設けられた一対の突出部35cとを備えている。
【0080】
また、クリップ35は、2つの係合孔35dを備えている。個々の係合孔35dは、連結部35bと突出部35cとに跨がるように設けられており、所要の幅を備えている。
【0081】
継手管33と接続パイプ34との接続構造は、以下に示すように、第1継手33aと第2継手34aとを接続することにより行われる。まず、継手管33の嵌合口33bへと、第2継手34aを先端側から所要の位置まで挿入する。これにより、嵌合口33bの内周面と第2継手34aの外周面との間でOリング34bが圧縮されて第1継手33aと第2継手34aとが水密に接続された状態となる。
【0082】
つぎに、管軸と直交する方向から突出部35cを先頭にして第1継手33a及び第2継手34aに跨るようにクリップ35をスライドさせながら挿入する。クリップ35が完全に挿入されることで、第1継手33aと第2継手との接続体がクリップ35の係合孔35dの嵌り込み、また、第1継手33a及び第2継手34aが一対の挟持部35aにより挟み込まれる。
【0083】
これにより、第1継手33aと第2継手34aとが水密嵌合され、かつ、抜け止めされた状態で接続されることとなる。すなわち、第1継手a及び第2継手34aの接続体がクリップ35の係合孔35dに嵌り込むことで、第1継手33a及び第2継手34aの軸方向への移動が規制される。その結果、第1継手33a及び第2継手34aを簡単な作業にて強固に固定することができる。
【0084】
なお、このような接続構造は、給水管20a及び給湯管20bに関する接続構造のみならず、太陽熱集熱システム1に係る他の継手管についても適用することができる。
【0085】
再び
図5及び
図6を参照するに、貯湯槽20は、外側胴部21bの外壁にコントロールパネル27と固定部材28とを備えている。コントロールパネル27は、加熱ヒータ20dの制御温度設定等を可能とするものである。固定部材28は、断面凹形状の金属部材であって、凹字先端部が外側胴部21bに接続され、凹字下辺部がボルト締め等によりケース50の平板51に固定可能となっている。
【0086】
また、
図4を参照するに、本実施形態に係る太陽熱集熱システム1は、熱媒を導入及び排出可能に構成されたシスターン40を備えており、貯湯槽20とシスターン40にて貯湯システムを構成している。シスターン40は、熱媒流通経路の内圧上昇を抑制、熱媒の体積膨張を吸収するものであって、本実施形態では第2鏡板23の上方に設けられている。
【0087】
より詳細にシスターン40は、平面視して円形状であって、幅方向よりも上下方向に薄い平型構造となっている(
図5及び
図6参照)。このシスターン40は、内部が空間S2となっている。また、シスターン40は、円形状の外周付近には継手管40aが設けられており、これが接続ホース25に接続されている。
【0088】
なお、第2鏡板23とシスターン40との間に、発泡スチロール製の位置決め部材60が配設されている。この位置決め部材60は、第2鏡板23の上方に載置するシスターン40の位置決めを行うために設けられている。
【0089】
このような太陽熱集熱システム1では、太陽熱集熱器10において流路12内の熱媒が加熱される。加熱された熱媒は上昇するため、オリフィス16を介して出口管15に至る。そして、熱媒は出口管15から太陽熱集熱器10側の継手管、接続ホース31a及び第2継手管24bからなる行き配管31を通じて、内側胴部21aと外側胴部21bと間の空間S1に至る。
【0090】
この空間S1には太陽熱集熱器10において加熱された熱媒が流入するため、内側胴部21a内に貯湯される湯水は加熱された熱媒と熱交換されることとなる。すなわち、内側胴部21aの外壁を介して湯水と熱媒とが熱交換される。よって、内側胴部21aの外壁(外側胴部21bで覆われる部分のみ)が熱交換器として機能することとなる(所謂ジャケット式熱交換器)。
【0091】
そして、熱交換により冷却した熱媒は空間S1内において下側に溜まることとなる。溜まった熱媒は第1継手管24a、接続ホース32a及び太陽熱集熱器10側の継手管からなる戻り配管32を介して入口管14に流入する。入口管14に流入した熱媒は、オリフィス16を介して再度複数の流路12に至り太陽熱により加熱されることとなる。
【0092】
なお、熱媒の循環は、上述した接続関係等であることから、自然循環により行われるため、熱媒循環用のポンプが不要となる構成となっているが、これに限らず、熱媒循環用のポンプを備えていてもよい。
【0093】
また、ユーザが湯水を使用すべく蛇口等を捻ったとすると、給湯管20b、継手管33、接続パイプ34を通じて家庭等に湯水が供給される。ここで、貯湯槽20内では比較的温かい湯が第2鏡板23付近に溜まり、且つ、給湯管20bの先端が第2鏡板23の設置領域まで伸びていることから、貯湯槽20内における比較的温かい湯が家庭等に供給されることとなる。このとき給水管20aから冷水が貯湯槽20内に供給される。
【0094】
また、センサ保護管20cにより検出される湯水の温度が給湯に不十分である場合には、コントロールパネル27内の制御部からの指令によって加熱ヒータ20dが作動し、加熱ヒータ20dにより湯水が加熱されて給湯に適切な温度となる。
【0095】
このように本実施形態に係る太陽熱集熱システム1及び貯湯システムによれば、貯湯槽20の胴部21を構成する内側胴部21aは、その上端側に第1突条21a1を、また、その下端側に第2突条21a2を備えている。これらの突条21a1,21a2は、外側胴部21bの上端及び下端とそれぞれ嵌り合うことで、フランジなどを別途の部材を用いることなく内側胴部21aと外側胴部21bとを接続することができる。これにより、上端及び下端の2箇所での溶接作業を行えば足り、製造時の作業効率を高めることができる。その結果、製造性に優れる太陽熱集熱システム及び貯湯システムを提供することができる。
【0096】
また、内側胴部21aにおいて、上端側の第1突条21a1は、下端側の第2突条21a2よりも高くされている(h1>h2)。これにより、胴部21を組み立てる工程として、内側胴部21aの周囲に外側胴部21bを被せる作業を容易に行うことができる。すなわち、内側胴部21aの下端側に、外側胴部21bをその上端側から被せれば、外側胴部21bの上端側の開口は内側胴部21aの第2突条21a2よりも間口が広いため、第2突条21a2と干渉することなく外側胴部21bをスムーズに被せることができる。これにより、製造時の作業効率を高めることができる。
【0097】
なお、下端側の第2突条21a2が低く設定されているものの、外側胴部21bの下端には縮径部21b1が設けられている。このため、スムーズな挿入性を確保しつつも、内側胴部21aの第2突条21a2と外側胴部21bの下端部とを適切に嵌め合わせることができる。
【0098】
また、本実施形態において、ヒータフランジ26の外側には、所要高さの第2周壁部26cが設けられている。この第2周壁部26cの高さに応じて、第1鏡板22の鏡板周壁部22bとヒータフランジ26の第1周壁部26bとの先端位置を整合させることができる。これにより、鏡板周壁部22bと第1周壁部26bとの位置合わせを簡単に行うことができる。また、位置合わせの精度についても向上させることができるので、溶接作業を自動化して行うことも可能であり、溶接時の作業性の向上を図ることができる。
【0099】
また、本実施形態においては、加熱ヒータ20dを締結するためのボルト36の頭部36aが、ヒータフランジ26と第1鏡板22との間に挟まれて、第1鏡板22に突き当てられている。このため、締結用のボルト36の脱落といった事態を抑制することができる。なお、ボルト36及びボルト穴26a1の形状は上記の態様に限らず、ボルト穴26a1を円形状として、軸部36bの全部が円柱形状に形成されたボルト36を用いてもよい。
【0100】
さらに、本実施形態においては、外側胴部21bの筒側壁には所定の位置に平面部21b2が形成されており、当該平面部21b2に継手管が接続されるバーリング部21b3が形成されている。湾曲した筒側壁にそのままバーリング部を形成した場合、その先端部(継手管との接続部)の形状が三次元的に作成される。そのため、継手管を溶接接続する場合には、三次元的な複雑な溶接作業が必要となり、溶接時の作業性が低下することとなる。この点、筒側壁に平面部21b2を形成し、これにバーリング部21b3を形成すれば、その先端部を二次元的な形状として作成することができる。これにより、複雑な溶接作業が不要となり、溶接時の作業性の向上を図ることができる。
【0101】
また、本実施形態において、貯湯槽20の製造方法は、内側胴部21aの周囲に外側胴部21bを組み付ける第1のステップと、内側胴部21aの第1突条21a1と外側胴部21bの端部側とを一対のローラ電極72,73で両側から挟持して全周をシーム溶接する第2のステップと、内側胴部21aの第2突条21a2と外側胴部21bの縮径部21b1とを一対のローラ電極72,73で両側から挟持して全周をシーム溶接する第3のステップと、を有している。
【0102】
内側胴部21aと外側胴部21bとの溶接には、TIG溶接等の手法を用いることができる。しかしながら、TIG溶接では、各胴部21a,21bの製造精度、トーチ角度やトーチのあたり位置により、仕上がりの精度が大きく影響されるという問題がある。また、溶接速度が遅いため生産性が低いばかりか、不活性ガスを用いるためコストが高くなるという問題がある。さらに、溶接温度等の条件管理が難しく、穴あきといった製造物の品質低下が懸念される。
【0103】
この点、本実施形態に示す方法によれば、内側胴部21aと外側胴部21bとの溶接がシーム溶接にて行われる。これにより、溶接速度をアップさせることができるので、高い生産性を実現することができる。また、不活性ガスを使用する必要がないので、コストアップを抑制することができる。さらに、シーム溶接では、溶接温度等の条件管理が容易であるため、高品質な製造物を得ることができる。これにより、製造性に優れる貯湯槽の製造方法を提供することができる。
【0104】
また、本実施形態の製造方法は、一対のローラ電極72,73のうち上側ローラ電極72の円周部に当接して従動回転するエンコーダ76の回転量を検出する第4のステップと、をさらに有している。そして、第2のステップ又は前記第3のステップは、シーム溶接の開始以後、第4のステップにより検出されるエンコーダ76の回転量に基づいて、一対のローラ電極72,73を直接駆動方式にて回転駆動する駆動手段72a,73aについての回転数制御を行うステップを含んでいる。
【0105】
シーム溶接では、溶接作業を繰り返すことでローラ電極72,73が摩耗し、その電極径が変化する。ナール駆動方式の場合であれば、駆動手段を一定の回転数で駆動すれば、ナールの円周上の周速度は変化しない(ナールに摩耗はないため)。したがって、ナールにより従動されるローラ電極は、その電極径が変化したとしてもナールの回転に追従して回転するので、溶接速度の変化は生じない。しかしながら、直接駆動方式の場合には、駆動手段72a,73aを一定の回転数で駆動したままだと、一対のローラ電極72,73の電極径が変化することで、その円周部の周速度が変化する。そのため、溶接速度を一定に維持するためには、電極の消耗に応じて駆動手段72a,73aの回転数の調整を行う必要がある。
【0106】
この点本実施形態によれば、エンコーダ76の回転量に基づいて駆動手段72a,73aの回転数制御を行うこととなるので、摩耗により電極径が変化するような場合であっても溶接速度を一定に維持することができる。また、エンコーダ76の回転量(パルス)を読み込むことで駆動手段72a,73aの回転数制御を自在に行うことができるので、溶接速度の変更を簡単に行うことができる。また、エンコーダ76によるフィードバック系を備えることで、溶接速度を直接的に検出することとなるので、溶接品質を安定させることができる。さらには、一対のローラ電極72,73の駆動に直接駆動方式を採用することができるので、ナールなどの機械部品の保守作業が不要となり、設備のメンテナンスが容易となる。このように、溶接速度、溶接長さ、溶接品質といった管理を信頼性よく行うことができるとともに、シーム溶接の開始・停止、溶接速度調整を自動的に行うことができる。
【0107】
また、本実施形態の製造方法において、外側胴部21bの軸方向の全長は、内側胴部21aにおける第1突条21a1から第2突条21a2までの軸方向の長さよりも大きく設定されている。ここで、第1のステップは、外側胴部21bの両端部を内側胴部21aの第1突条21a1及び第2突条21a2よりも軸方向外側に位置するように組み付けている。
【0108】
ワークのドリフトや位置ずれに起因して、上側ローラ電極72の当接面が外側胴部21bの端部エッジを通過すると、当該電極がつぶれて損傷するという問題がある。この点、本実施形態の方法によれば、外側胴部21bの端部が溶接部位よりも外側に拡張されているので、上側ローラ電極72の当接面が外側胴部21bの端部エッジを通過することを抑制することができる。これにより、電極の損傷を抑制することができる。
【0109】
また、本実施形態において、第1突条21a1及び第2突条21a2は頂部が平坦化されている。そして、第1突条21a1及び第2突条21a2の平面幅は、ローラ電極72,73の当接幅以上の大きさに設定されている。
【0110】
この製造方法によれば、一対のローラ電極72,73でワークの平面箇所を両側から挟み込むことなる。これにより、シーム溶接を安定した品質で実現することができる。また、ワークのドリフトや位置ずれが生じてもローラ電極72,73が突条21a1,21a2の平面部から脱線し難くなる。これにより、シーム溶接を安定した品質で実現することができる。
【0111】
また、本実施形態のシーム溶接装置70は、内側胴部21a及び外側胴部21bからなるワークを保持するワーク保持台80と、内側胴部21aの端部に円周方向に沿って外側に膨出する突条21a1,21a2と外側胴部21bの端部とを両側から挟持して全周をシーム溶接する一対のローラ電極72,73と、を有している。ここで、突条21a1,21a2は頂部が平坦化されており、一対のローラ電極72,73は、ワークとの当接幅が突条21a1,21a2の平面幅以下となる関係を有している。
【0112】
この構成によれば、一対のローラ電極72,73でワークの平面箇所を両側から挟み込むことなる。これにより、シーム溶接を安定した品質で実現することができる。また、ワークのドリフトや位置ずれが生じてもローラ電極72,73が突条21a1,21a2の平面部から脱線し難くなる。これにより、シーム溶接を安定した品質で実現することができる。これにより、貯湯槽の製造性に優れるシーム溶接装置70を提供することができる。
【0113】
また、本実施形態において、一対のローラ電極72,73は、ワーク保持台80の上方に縦方向に並列して配置されており、下側ローラ電極73が固定され、上側ローラ電極72が上下方向に移動可能に構成されている。この場合、ワーク保持台80は、ワークの上下位置を調整するために上下方向に移動可能に構成されている。
【0114】
シーム溶接では、溶接作業を繰り返すことで電極が摩耗し、その溶接位置が変化するという問題がある。本実施形態によれば、下側ローラ電極73の摩耗に追従するように、ワークの位置を調整することができるとともに、下側ローラ電極73及び自己の電極の摩耗に追従するように、上側ローラ72の位置を調整することができる。これにより、シーム溶接を安定した品質で実現することができる。
【0115】
また、本実施形態のシーム溶接装置70は、一対のローラ電極72,73のうち上側ローラ電極72の円周部に当接して従動回転するエンコーダ76と、一対のローラ電極72,73を直接駆動方式にて回転駆動する駆動手段72a,73aと、エンコーダ76の回転量に基づいて、駆動手段72a,73aについての回転数制御を行う制御手段77と、をさらに備えている。
【0116】
この構成によれば、溶接速度、溶接長さ、溶接品質といった管理を信頼性よく行うことができるとともに、シーム溶接の開始・停止、溶接速度調整を自動的に行うことができる。
【0117】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態を組み合わせてもよい。
【0118】
シスターン40の側部外周及び上部は断熱材で覆わないことが好ましい。シスターン40には、蒸散した熱媒が導入されることがある。蒸散状態の熱媒はそのままオーバーフロー管40bを通じて外部に排出されることがあり、シスターン40にて貯留可能であるにも拘わらず、熱媒が外部に排出される結果となる。そこで、シスターン40の側部外周及び上部は断熱材で覆わず、シスターン40自体に冷却効果を持たせることで、蒸散した熱媒を液化してシスターン40にて貯留することができるからである。
【0119】
加えて、シスターン40に冷却効果を持たせるためには、
図4及び
図5に示すように、シスターン40の天板をケース50の上板55と兼用とすることが好ましいが、特にこれに限らず、シスターン40の天板がケース50内に収納されていてもよい。
【0120】
また、太陽熱集熱システムのみならず、太陽熱により熱媒を加熱する太陽熱集熱器により加熱された熱媒と湯水との熱交換を行う熱交換器と、熱交換器による熱交換にて加熱された湯水を貯湯する貯湯槽とを備えた貯湯システムも本発明の一部として機能する。
【0121】
次に、参考例に係る太陽熱集熱システム2を説明する。
図12は、参考例に係る太陽熱集熱システムを示す斜視図である。なお、
図12においては一部構成を透視して示すものとする。
【0122】
図12に示す太陽熱集熱システム2は、屋根上等に設置する太陽熱集熱器110と貯湯槽120とが一体となった一体型タイプのものである。この太陽熱集熱システム2は、太陽熱集熱器110が太陽熱により熱媒を加熱し、加熱された熱媒を行き配管131を通じて貯湯槽120に供給して貯湯槽120内の湯水を加熱する。湯水の加熱により冷却した熱媒は戻り配管132を通じて太陽熱集熱器110に至り、再度太陽熱により加熱されることとなる。
【0123】
この一体型タイプの太陽熱集熱器2においては、略円筒形状の貯湯槽120は、いわゆる横置き、すなわち、貯湯槽120の軸方向が水平方向となって設置される。この貯湯槽120の内部には、螺旋状に周回されたパイプからなる熱交換器121が配置されている。熱交換器121の一方の端部は、行き配管131の出口側端部と接続される。また、熱交換器121の他方の端部は、熱媒を、貯湯槽102の軸方向に隣り合って配置されているシスターン140に導入する導入管141に接続されている。
【0124】
このような横置きタイプの貯湯槽120において、上述した縦置きタイプと同様な構成を採用することができる。すなわち、
図12に示す参考例では、熱交換器121を貯湯槽120の内部に収納するタイプであるが、貯湯槽120を内側胴部と外側胴部とからなる二重構造とすることで、両者の空隙を熱媒の流路とするジャケット式の熱交換器を適用してもよい。この場合、内側胴部の両端部に高さが異なる突条を円周方向に設け、外側胴部の一方の端部に縮径部を設けることで、貯湯槽120の製造作業の効率化を進めることができる。
【0125】
また、円筒形状の貯湯槽120の筒側壁に、継手管を接続するバーリング部を形成する場合には、筒側壁の一部領域を平坦化した平面部を成形した上でこれを行うことが好ましい。
【0126】
また、この貯湯槽120の左右両側を鏡板で構成してもよく、この場合、鏡板の開放側の端部に絞り部を形成することが望ましい。
【0127】
さらに、貯湯槽120に加熱ヒータを取り付ける場合には、上述の如くヒータフランジを適用することができる。
【0128】
また、上述したシーム溶接装置は、内側胴部の突条と外側胴部との間の溶接に限らず、筒状のワークに対してシーム溶接を行う装置として広く活用することができる。例えば、貯湯槽をなす胴部と鏡板との間の溶接に利用することもできるし、上述の貯湯槽以外の被溶接物に利用することもできる。