特許第6564134号(P6564134)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニュートゥリー カンパニー リミテッドの特許一覧

特許6564134モルシン、クワノンジ又は桑白皮を含有する筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物
<>
  • 特許6564134-モルシン、クワノンジ又は桑白皮を含有する筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物 図000038
  • 特許6564134-モルシン、クワノンジ又は桑白皮を含有する筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物 図000039
  • 特許6564134-モルシン、クワノンジ又は桑白皮を含有する筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物 図000040
  • 特許6564134-モルシン、クワノンジ又は桑白皮を含有する筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物 図000041
  • 特許6564134-モルシン、クワノンジ又は桑白皮を含有する筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物 図000042
  • 特許6564134-モルシン、クワノンジ又は桑白皮を含有する筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物 図000043
  • 特許6564134-モルシン、クワノンジ又は桑白皮を含有する筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物 図000044
  • 特許6564134-モルシン、クワノンジ又は桑白皮を含有する筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物 図000045
  • 特許6564134-モルシン、クワノンジ又は桑白皮を含有する筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物 図000046
  • 特許6564134-モルシン、クワノンジ又は桑白皮を含有する筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物 図000047
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564134
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】モルシン、クワノンジ又は桑白皮を含有する筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/352 20060101AFI20190808BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 36/605 20060101ALI20190808BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20190808BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20190808BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20190808BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20190808BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190808BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20190808BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20190808BHJP
【FI】
   A61K31/352
   A61P21/00
   A61K36/605
   A61P21/02
   A61P21/04
   A61K8/9789
   A61Q19/00
   A61P25/02
   A61P43/00 111
   A61K8/49
   A23L33/105
【請求項の数】10
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2018-514757(P2018-514757)
(86)(22)【出願日】2016年5月26日
(65)【公表番号】特表2018-521118(P2018-521118A)
(43)【公表日】2018年8月2日
(86)【国際出願番号】KR2016005585
(87)【国際公開番号】WO2016190682
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2018年3月26日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0072738
(32)【優先日】2015年5月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517411025
【氏名又は名称】ニュートゥリー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】特許業務法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジェガン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミボ
(72)【発明者】
【氏名】キム、チャンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドウン
(72)【発明者】
【氏名】チュン、ヒチョル
【審査官】 石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−256270(JP,A)
【文献】 Planta Med.,2000年,Vol.66,P.303−313
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A61P 1/00−43/00
A61K 36/00−36/9068
A61K 8/00−8/99
A61Q 19/00−19/10
A23L 33/00−33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1の化合物、下記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を有効成分として含む筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物であって、
前記筋肉疾患は、緊張減退症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋異栄養症(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋硬直症、筋ジストロフィー、筋萎縮性軸索硬化症、筋無力症、悪液質(cachexia)及び筋肉減少症(sarcopenia)からなる群より選ばれる一つ以上である薬学組成物
【化1】

【化2】
【請求項2】
前記化学式1又は前記化学式2で表示される化合物は、桑白皮抽出物から分離されたことを特徴とする請求項1記載の薬学組成物。
【請求項3】
前記桑白皮は桑科(Moraceae)の桑属(Morus spp)に属する植物の根皮を乾燥したものであることを特徴とする請求項1又は2記載の薬学組成物。
【請求項4】
薬学組成物を製造するための方法であって、
前記薬学組成物が、請求項1〜3のいずれかに記載の薬学組成物であって、前記桑白皮の抽出物を有効成分として含み、
前記抽出物を、水、炭素数1乃至6の有機溶媒、亜臨界流体、超臨界流体及びこれの混合物から成る群より選ばれた一つ以上の溶媒によって桑白皮を抽出して得ることを特徴とする方法
【請求項5】
前記炭素数1乃至6の有機溶媒は、炭素数1乃至6のアルコール(alcohol)、アセトン(acetone)、エーテル(ether)、ベンゼン(benzene)、クロロホルム(chloroform)、酢酸エチル(ethyl acetate)、塩化メチレン(methylene chloride)、ヘキサン(hexane)、シクロヘキサン(cyclohexane)及び石油エーテル(petroleum ether)からなる群より選ばれたことを特徴とする請求項4記載の方法
【請求項6】
薬学組成物を製造するための方法であって、
前記薬学組成物が、請求項1〜3のいずれかに記載の薬学組成物であって、前記桑白皮の抽出物を有効成分として含み、
前記抽出物を、100MPa乃至1000MPaの超高圧条件下で桑白皮を抽出して得ことを特徴とする方法
【請求項7】
下記化学式1の化合物、下記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を有効成分として含む筋肉疾患の予防又は筋機能改善用食品組成物であって、
前記筋肉疾患は、緊張減退症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋異栄養症(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋硬直症、筋ジストロフィー、筋萎縮性軸索硬化症、筋無力症、悪液質(cachexia)及び筋肉減少症(sarcopenia)からなる群より選ばれる一つ以上である食品組成物
【化3】

【化4】
【請求項8】
下記化学式1の化合物、下記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を有効成分として含む筋機能改善用化粧料組成物。
【化5】

【化6】
【請求項9】
下記化学式1の化合物、下記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上の筋肉疾患予防又は治療剤製造のための使用であって、
前記筋肉疾患は、緊張減退症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋異栄養症(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋硬直症、筋ジストロフィー、筋萎縮性軸索硬化症、筋無力症、悪液質(cachexia)及び筋肉減少症(sarcopenia)からなる群より選ばれる一つ以上である使用
【化7】

【化8】
【請求項10】
下記化学式1の化合物、下記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を、これを必要とする動物(ヒトを除く)に有効量で投与することを特徴とする筋肉疾患の予防又は治療方法であって、
前記筋肉疾患は、緊張減退症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋異栄養症(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋硬直症、筋ジストロフィー、筋萎縮性軸索硬化症、筋無力症、悪液質(cachexia)及び筋肉減少症(sarcopenia)からなる群より選ばれる一つ以上である方法
【化9】

【化10】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年05月26日に出願された大韓民国特許出願第10-2015-0072738号を優先権主張し、前記明細書全体は参照により本出願に援用する。
【0002】
本発明は、モルシン、クワノンジ又は桑白皮を含有する筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物に関するもので、より詳細には筋タンパク質合成に関与するp-mTORのタンパク質発現の増加、筋タンパク質分解に関与するMuRF-1とatrogin-1のmRNA発現抑制、筋肉分化に関与するMyoDとmyogeninのmRNA発現を増加させて筋肉疾患予防及び治療又は筋機能改善に優れた効果を示すモルシン、グワノンジ又は桑白皮抽出物を有効成分として含む筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
筋萎縮(Muscle atrophy)とは、筋肉量の漸進的減少により発生することで、筋肉の弱化及び退行を意味する(Cell、119(7):907-910、2004)。筋萎縮は非活動、酸化的ストレス、慢性炎症により促進され、筋肉機能と運動能力を弱化させる(Clinical Nutrition、26(5):524-534、2007)。筋機能を決定する最も重要な要素は筋肉量であって、これはタンパク質合成と分解のバランスによって維持される。筋萎縮症はタンパク質分解が合成より多く起こる時発生する(The International Journal of Biochemistry and Cell Biology、37(10):1985-1996、2005)。
【0004】
筋肉サイズは筋肉内で起こる同化作用(anabolism)や異化作用(catabolism)を誘導する細胞内の信号伝達過程(signaling pathways)により調節され、筋タンパク質の分解より合成を誘導する信号伝達反応が多く起こる場合、筋タンパク質合成が増加するが、これは筋タンパク質増加による筋肉サイズ増加(hypertrophy、筋肥大)や筋繊維数増加(hyperplasia)で表れる(The Korea Journal of Sports Science、20(3):1551-1561、2011)。
【0005】
筋タンパク質合成に関与する因子は、筋細胞内でphosphatidylinositol-3 kinase(PI3K)/Akt pathwayの刺激を起点にダウンストリームタンパク質(downstream proteins)をリン酸化させることにより、タンパク質合成を誘導する。PI3K/Akt信号伝達によるmammalian target of rapamycin(mTOR)の活性は、細胞内で多様な成長信号を統合する中心成長信号伝達因子として認められている。mTORは、mRNA translationを開始する二つの因子、4E-binding protein(4EBP1)とphosphorylated 70-kDa ribosomal S6 kinase(p70S6K)を活性化させることにより、筋タンパク質合成を誘導して筋肉量増加に寄与する(The Korea Journal of Sports Science、20(3):1551-1561、2011; The International Journal of Biochemistry and Cell Biology、43(9):1267-1276、2011)。逆に転写因子(transcription factor)であるforhead box(FoxO)が細胞質から核内に移動すると、タンパク質分解に関与するE3 ubiquitin ligase因子atrogin-1とMuRF-1の発現を増加させる(Disease Models and Mechanisms、6:25-39、2013)。これらの発現量が増加すると、筋肉内のタンパク質分解が促進されて筋肉量が減少される。従って、mTORの活性促進とatrogin-1とMuRF-1発現抑制は、筋タンパク質の量を増加させて筋肉量を増加させることになる。
【0006】
筋肉細胞の分化と筋肉形成は多様な筋肉調節因子(muscle regulatory factors)により調節される。その中でMyoDは、筋肉特異遺伝子の発現を開始するようにして、筋肉衛星細胞(muscle satellite cells)の筋原細胞(myoblast)への分化を誘導する。MyoDの活性によるmyogenin発現の誘導は、筋原細胞の結合(fusion)に最も重要な要素で、筋管細胞(myotube)の形成に関与する。このような過程を通じて形成された筋繊維は束をなして、最終的に筋肉を形成するようになる(Cellular and Molecular Life Sciences、70:4117-4130、2013)。
【0007】
桑白皮(Mori Cortex Radicis)は桑科(Moraceae)の桑属植物(Morus spp)に属するモラスアルバ(Morus alba)又はその他の植物の根皮を乾燥したものである。桑と称されるモラスアルバは抗肥満(Nutrition Research and Practice、8(6):613-617、2014)、抗光老化(Journal of Korea Society of Food Science and Nutrition、42(11):1744-1752、2013)、抗糖尿(Journal of Ethnopharmacology、100(3):333-338、2005)、抗酸化と美白(Food and Chemical Toxicology、49(4):785-790、2011)などの活性が報告されている。
【0008】
モルシン(Morusin)とクワノンジ(kuwanon G)は、主に桑白皮から発見されるフラボン(flavone)である(Microchemical Journal、110:731-738、2013)。モルシンは抗菌(Journal of China Pharmaceutical University、45(2):221-226、2014)、抗肥満(Molecule、16(7):6010-6022、2011)、抗がん(Toxicology Letters 232(2):490-498、2015)の活性を有するものと報告されている。クワノンジは抗菌(Journal of Ethnopharmacology、84(2-3):181-5、2003; Phytomedicine、11(7-8):666-672、2004)の活性を有するものと報告されている。
【0009】
しかし、本発明の以前には桑白皮、モルシン又はクワノンジの筋肉疾患予防及び治療又は筋機能改善にについては知られていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは優れた筋機能調節活性を有して安全に適用できる天然物質を探索した結果、モルシン(morusin)、クワノンジ(kuwanon G)又は桑白皮抽出物(Mori Cortex Radicis extract)が筋肉疾患予防及び治療又は筋機能改善活性があることを確認して本発明を完成した。
【0011】
従って、本発明の目的は、下記化学式1の化合物、下記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を有効成分として含む筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物を提供することである:
【化1】
【化2】
【0012】
本発明の他の目的は、前記化学式1の化合物、前記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を有効成分として含む筋肉疾患予防又は筋機能改善用食品組成物を提供することである。
【0013】
本発明の他の目的は、前記化学式1の化合物、前記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を有効成分として含む筋機能改善用化粧料組成物を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、前記化学式1の化合物、前記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上の筋肉疾患予防又は治療剤製造のための使用を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、前記化学式1の化合物、前記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を、これを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする筋肉疾患予防又は治療方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記本発明の目的を達成するために、本発明は下記化学式1の化合物、下記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を有効成分として含む筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物を提供する:
【化3】
【化4】
【0017】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は前記化学式1の化合物、前記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を有効成分として含む筋肉疾患予防又は筋機能改善用食品組成物を提供する。
【0018】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は前記化学式1の化合物、前記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を有効成分として含む筋機能改善用化粧料組成物を提供する。
【0019】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は前記化学式1の化合物、前記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上の筋肉疾患の予防又は治療剤製造のための使用を提供する。
【0020】
本発明の他の目的を達成するために、本発明は前記化学式1の化合物、前記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を、これを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする筋肉疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0021】
以下、本発明に対して詳細に説明する。
【0022】
本発明は下記化学式1の化合物、下記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を有効成分として含む筋肉疾患予防又は治療用薬学組成物を提供する:
【化5】
【化6】
【0023】
本発明で前記桑白皮(Mori Cortex Radicis)は桑科(Moraceae)の桑属植物(Morus spp)に属するモラスアルバ(Morus alba)又はその他の植物等の根皮を乾燥したものある。
【0024】
本発明の一実施例によれば、本発明者らは桑白皮から前記化学式1で表示される化合物のモルシン及び前記化学式2で表示される化合物のクワノンジを分離し、前記モルシン、クワノンジ及び桑白皮抽出物が筋タンパク質合成に関与するp-mTORのタンパク質発現増加、筋タンパク質分解に関与するMuRF-1とatrogin-1のmRNA発現抑制、筋肉分化に関与するMyoDとmyogeninのmRNA発現を増加させることにより筋肉量の増大に優れた効果があることを確認した。
【0025】
前記化学式1の化合物又は前記化学式2の化合物は、植物抽出物から分離又は合成して利用するか、又は市販されている化合物を利用することもできる。
【0026】
本発明で前記化学式1で表示される化合物又は式2で表示される化合物は、桑白皮抽出物から分離されたものでもある。前記化学式1で表示される化合物又は化学式2で表示される化合物は桑白皮から分離されたものでもある。
【0027】
本発明の桑白皮抽出物は、公知の天然物抽出方法により抽出することもできる。好ましくは水、炭素数1乃至6の有機溶媒及び亜臨界又は超臨界流体からなる群より選ぱれた一つ以上の溶媒として抽出することもできる。前記炭素数1乃至6の有機溶媒は、炭素数1乃至6のアルコール(alcohol)、アセトン(acetone)、エーテル(ether)、ベンゼン(benzene)、クロロホルム(chloroform)、酢酸エチル(ethylacetate)、塩化メチレン(methylene chloride)、ヘキサン(hexane)、シクロヘキサン(cyclohexane)及び石油エーテル(petroleum ether)からなる群より選ばれたものでもあるが、これに制限されるものではない。
【0028】
また、本発明の桑白皮抽出物は、乾燥した桑白皮を食品加工に適切な精製水、エタノール及び亜臨界水又は超臨界二酸化炭素を利用して抽出、精製して得られるか又は、超高圧抽出装置を利用して抽出、精製して得ることができ、又は桑白皮植物を直接圧搾して得たオイルから分離精製して得ることができる。例えば、100MPa以上の超高圧条件下で桑白皮を抽出して抽出物を得られる。好ましくは100MPa乃至1000MPaの超高圧条件でもあるが、これに制限されるものではない。
【0029】
本明細書で、“筋”とは、すじ、筋肉、腱を包括的に指称し、“筋機能”とは筋肉の収縮により力を発揮する能力を意味し、筋肉が抵抗に打ち勝つために最大限に収縮力を発揮できる能力の筋力、筋肉が与えられた重量にどれほど長時間又はどれほど複数回収縮と弛緩を繰り返せるかを示す能力の筋持久力、短時間内に強い力を発揮する能力の瞬発力を含む。これらの筋機能は肝臓が主管し、筋肉量に比例する。用語“筋機能改善”とは、筋機能をより良く向上させることを意味する。
【0030】
本発明の筋肉疾患予防及び治療用薬学組成物は、筋肉消耗又は退化による筋肉疾患の予防又は治療に使用できる。筋肉の消耗及び退化は遺伝的要因、後天的要因は、老化などを原因として発生し、筋肉消耗は筋肉量の漸進的損失、筋肉、特に骨格筋又は随意筋及び心臓筋肉の弱化及び退行を特徴とする。これと関連した疾患の例には、緊張減退症(atony)、筋萎縮症(muscular atrophy)、筋異栄養症(muscular dystrophy)、筋肉退化、筋硬直症、筋ジストロフィー、筋萎縮性軸索硬化症、筋無力症、悪液質(cachexia)、筋肉減少症(sarcopenia)などを挙げられるが、これに制限されるものではない。本発明の組成物は筋肉量増大効果があって、筋肉はその種類を制限しない。
【0031】
本発明の筋肉疾患予防及び治療用又は筋機能改善用組成物は、桑白皮抽出物を単独で含有するか又は桑白皮抽出物とそれと類似した機能を示す有効成分を1種以上含有することができる。追加的な成分を含むと、本発明の組成物の筋機能改善効果がさらに促進されるであろう。前記成分追加の際には複合使用による皮膚安全性、製剤化の容易性、有効成分らの安定性を考慮することができる。
【0032】
本発明による組成物は、経口投与剤、経皮投与剤、吸込投与剤など薬学的組成物の形態、機能性食品、栄養補助剤、健康食品及び食品添加剤などの食品組成物の形態又は化粧料組成物の形態で製造されて体内に投与することができる。
【0033】
本発明の前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物は、筋肉疾患の予防及び治療効果又は筋機能改善効果が優れている。
【0034】
本発明の組成物は、筋肉量増加促進効果を有し、筋肉はその種類を制限しない。筋肉増加は身体成分の中でも特に筋肉の性能を向上させるもので、肉体的運動及び持久力向上を通じて筋肉量を増加させることができ、筋肉増加効果を有する物質を体内に投与する方法で筋肉量を増加できる。
【0035】
本発明の前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物は、筋肉量増加活性が優れているので、薬学的組成物の有効な成分として利用できる。
【0036】
また、本発明の前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物は、筋肉量増加活性が優れているので、食品組成物の有効な成分として利用できる。
【0037】
また、本発明の前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物は、筋肉量増加活性が優れているので、化粧料組成物の有効な成分として利用できる。
【0038】
本発明の薬学組成物は、前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物の薬学的に許容可能な塩を含むことができる。本明細書で用語“薬学的に許容可能な”とは、生理学的に許容され、ヒトに投与されるとき、通常アレルギー反応又はこれと類似した反応を起こさないことを意味し、前記塩には薬学的に許容可能な遊離酸(free acid)により形成された酸付加塩が好ましい。
【0039】
前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物の薬学的に許容可能な塩は、有機酸又は無機酸を利用して形成された酸付加塩でもあり、前記有機酸は、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、イソ酪酸、トリフルオロ酢酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、コハク酸、コハク酸モノアミド、グルタミン酸、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、安息香酸、フタル酸、サリチル酸、アントラキノン酸、ジクロロ酢酸、アミノオキシ酢酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸又はメタンスルホン酸を含む。無機酸は、例えば塩酸、臭素酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸又はホウ酸を含む。酸付加塩は、好ましくは塩酸塩又は酢酸塩形態でもあって、より好ましくは塩酸塩形態でもある。
【0040】
前記言及の酸付加塩は、a)前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物と酸を直接混合するか、b)これらの中で一つを溶媒又は鹹水溶媒の中で溶解させて混合するか、又はc)前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物を溶媒又は垂下溶媒中の酸に位置させてこれらを混合する一般的な塩製造方法で製造される。
【0041】
前記とは別に追加的に塩が可能な形態はガバ塩、ガバペンチン塩、プレガバリン塩、ニコチン酸塩、アジピン酸塩、ヘミマロン酸塩、システイン塩、アセチルシステイン塩、メチオニン塩、アルギニン塩、ライシン塩、オルニチン塩又はアスパラギン酸塩などがある。
【0042】
また、本発明の筋肉疾患予防及び治療用薬学組成物は、薬学的に許容可能な担体をさらに含むことができる。
【0043】
薬学的に許容される担体には、例えば、経口投与用担体又は非経口投与用担体をさらに含め得る。経口投与用担体は、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などを含む。また、非経口投与用担体は、水、適切なオイル、生理食塩水、水性グルコース及びグリコールなども含む。また、安定化剤及び保存剤をさらに含むことができる。適切な安定化剤には、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム又はアスコルビン酸のような抗酸化剤がある。適切な保存剤には、塩化ベンザルコニウム、メチル-又はプロピルパラベン及びクロロブタノールがある。その他の薬学的に許容される担体には、次の文献に記載されているものを参考にできる(Remington's Pharmaceutical Sciences、19th ed., Mack Publishing Company、Easton、PA、1995)。
【0044】
本発明の薬学組成物は、ヒトをはじめとする哺乳動物にいかなる方法でも投与することができる。例えば、経口又は非経口で投与することができ、非経口的投与方法としては、これ制限されるものではないが、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、境膜内、心臓内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸管、局所、舌下又は直腸内投与でもある。
【0045】
本発明の薬学組成物は、上述した通り投与経路によって経口投与用又は非経口投与用製剤に剤形化することができる。剤形化の場合には、一つ以上の緩衝剤(例えば、生理食塩水又はPBS)、抗酸化剤、静菌剤、キレート剤(例えば、EDTA又はグルタチオン)、充填剤、増量剤、結合剤、アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム)、懸濁剤、濃厚剤、湿潤剤、崩壊剤又は界面活性剤、希釈剤又は賦形剤を使用して調製することができる。
【0046】
経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液又はカプセル剤などが含まれて、これらの固形製剤は、本発明の薬学組成物に少なくとも一つ以上の賦形剤の例を挙げれば、澱粉(トウモロコシ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、ジャガイモ澱粉などを含む)、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)、ラクトース(lactose)、デキストロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチル-セルロース又はゼラチンなどを混合して調剤できる。例えば、活性成分を固体賦形剤と配合してこれを粉砕して適切な補助剤を添加して顆粒混合物に加工することにより、錠剤又は糖衣錠剤を得ることができる。
【0047】
単純な賦形剤意外に、ステアリン酸マグネシウムタルクのような潤滑剤等も使用される。経口のための液状製剤には懸濁剤、内用液剤、乳剤又はシロップ剤などが該当するが、広く使用される単純希釈剤の水又はリキッドパラフィン以外に複数の賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤又は保存剤などが含まれる。
【0048】
また、場合によっては架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸又はアルギン酸ナトリウムなどを崩壊剤として添加することができ、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤などを追加して含み得る。
【0049】
非経口的に投与する場合、本発明の薬学組成物は適切な非経口用担体と共に注射剤、経皮投与剤及び鼻腔吸込剤の形態で当業界に公知された方法により剤形化することができる。前記注射剤の場合には、必ず滅菌すべきであり、バクテリア及び真菌のような微生物の汚染から保護されるべきである。注射剤の場合適切な担体の例には、これ限定はされないが、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)、これらの混合物及び/又は植物油を含む溶媒又は分散媒質でもある。より好ましくは、適切な担体には、ハンクス溶液、リンゲル溶液、トリエタノールアミンが含有されたPBS(phosphate buffered saline)又は注射用滅菌水、10%エタノール、40%プロピレングリコール及び 5%デキストロースのような等張溶液などを使用できる。前記注射剤を微生物汚染から保護するためには、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等のような多様な抗菌剤及び抗真菌剤を追加して含むことができる。また、前記注射剤は殆どの場合糖又は塩化ナトリウムのような等張化剤を追加して含むことができる。
【0050】
経皮投与剤の場合、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、外用液剤、パスタ剤、リニメント剤、エアロ剤などの形態が含まれる。前記で“経皮投与”とは薬学組成物を局所的に肌に投与して薬学組成物に含有された有効な量の活性成分が皮膚内に伝達されること意味する。
【0051】
吸込み投与剤の場合、本発明により使用される化合物は、適切な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又は他の適切な気体を使用して、加圧パック又は煙霧器からエアロゾルスプレー形態で便利に伝達することができる。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は計量された量を伝達するバルブを提供して決定できる。例えば、吸込器又は取込器に使用されるゼラチンカプセル及びカートリッジは化合物、及びラクトース又は澱粉のような適切な粉末基剤の粉末混合物を含有するように剤形化できる。非経口投与用剤形は、すべての製薬化学に一般的に公知の処方箋文献(Remington's Pharmaceutical Science、15th Edition、1975、 Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvania18042、Chapter 87:Blaug、Seymour)に記載されている。
【0052】
本発明の筋肉疾患の予防及び治療用薬学組成物は、前記化学式1の化合物、化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を有効量で含む時、好ましい筋肉疾患予防及び治療効果を提供できる。本明細書で“有効量”とは、陰性対照群に比べてそれ以上の反応を示す量を意味し、好ましくは筋機能を向上させるのに十分な量を意味する。本発明の薬学組成物に前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物が、0.01乃至99.99%含まれて、残量は薬学的に許容可能な担体が占める。本発明の薬学組成物に含まれる前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物の有効量は、組成物が製品化される形態等により異なり得る。
【0053】
本発明の薬学組成物の総有効量は、単一投与(single dose)で患者に投与することができ、多重投与(multiple dose)で長期間投与される分割治療方法(fractionated treatment protocol)により投与することもできる。本発明の薬学組成物は、疾患の程度により有効成分の含量を異にすることができる。非経口投与時には前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物を目安に、一日に体重1kg当たり好ましくは、0.01乃至50mg、より好ましくは0.1乃至30mgの量で投与できるように、さらに、経口投与時には前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物を目安に、一日に体重1kg当たり好ましくは0.01乃至100mg、より好ましくは0.01乃至10mgの量で投与できるように1乃至数回に分けて投与できる。しかし前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物の容量は薬学組成物の投与経路及び治療回数だけでなく、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食餌及び排泄率など多様な要因を考慮して患者に対する有効投与量が決定されるので、このような点を考慮した時、当分野の通常の知識を有する者であれば前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物を筋肉疾患予防及び治療のための特定した用途による適切な有効投与量を決定できる。本発明による薬学組成物は本発明の効果を示す限り、その剤形及び投与経路及び投与方法に特別な制限はされない。
【0054】
本発明の筋肉疾患予防及び治療用薬学組成物は、単独で又は手術、放射線治療、ホルモン治療、化学治療又は生物学的反応調節剤を使用する方法と併用して使用できる。
【0055】
本発明の筋肉疾患予防及び治療用薬学組成物は、また、前記化学式1の化合物、化学式式2の化合物又は桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を有効成分として含む外用剤の剤形で提供することができる。
【0056】
本発明の筋肉疾患予防及び治療用薬学組成物を皮膚外用剤に使用する場合、追加して脂肪物質、有機溶媒、溶解剤、濃縮剤及びゲル化剤、軟化剤、抗酸化剤、懸濁化剤、安定化剤、発泡剤(foaming agent)、芳香剤、界面活性剤、水、イオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、キレート剤、保存剤、ビタミン、遮断剤、湿潤化剤、エッセンシャルオイル、染料、顔料、親水性活性剤、親油性活性剤又は脂質小胞など皮膚外用剤に通常使用される任意の他の成分のような皮膚科学分野で通常使用されている補助剤を含むことができる。また前記成分らは皮膚科学分野で一般的に使用される量で導入できる。
【0057】
本発明の筋肉疾患予防及び治療用薬学組成物が皮膚外用剤として提供される場合、これに制限はされないが、軟膏、パッチ、ゲル、クリーム又はスプレーなどの剤形でもある。
【0058】
本発明は、また、下記化学式1の化合物、下記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を有効成分として含む筋肉疾患予防又は筋機能改善用食品組成物を提供する:
【化7】

【化8】
【0059】
本発明の食品組成物は、機能性食品(functional food)、栄養補助剤(nutritional supplement)、健康食品(health food)、食品添加剤(food additives)及び飼料などのすべて形態を含み、ヒト又は家畜をはじめ動物を取食対象にする。前記類型の食品組成物は当業界に公知された通常の方法により多様な形態で製造できる。
【0060】
前記類型の食品組成物は、当業界に広く知られた通常の方法により多様な形態で製造することができる。一般食品としてはこれに限定はされないが、飲料(アルコール性飲料を含む)、果物及びその加工食品(例:果物缶詰、瓶詰、ジャム、ママレード等)、魚類、肉類及びその加工食品(例:ハム、ソーセージ、コーンビーフ等)、パン類及び麺類(例:うどん、そば、ラーメン、スパゲッテイ、マカロニ等)、果汁、各種ドリンク、クッキ、飴、乳製品(例:バター、チーズ等)、食用植物油脂、マーガリン、植物性蛋白質、レトルト食品、冷凍食品、各種調味料(例:味噌、醤油、ソース等)等に前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物を添加して製造することができる。さらに、栄養補助剤にはこれに限定はされないが、カプセル、タブレット、丸剤等に桑白皮抽出物を添加して製造することができる。さらに、健康食品にはこれに限定はされないが例えば、前記桑白皮抽出物自体をお茶、ジュース及びドリンクの形態で製造して飲用(健康飲料)できるように液状化、顆粒化、カプセル化及び粉末化して摂取できる。さらに、前記桑白皮抽出物を食品添加剤の形態で使用するには、粉末又は濃縮液の形態で製造して使用できる。さらに、桑白皮抽出物と筋肉疾患の予防及び筋機能改善効果があるとして知られている公知の活性成分と共に混合して組成物の形態で製造できる。
【0061】
本発明の筋肉疾患の予防及び筋機能改善用組成物が健康飲料組成物に利用される場合、前記健康飲料組成物は通常の飲料と同じく多様な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含有できる。上述した天然炭水化物はブドウ糖、果糖のような単糖類;マルトース、スクロースとのような二糖類;デキストリン、シクロデキストリンのような多糖類;キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコールでもある。甘味剤は、タウマーティン、ステビア抽出物のような天然甘味剤;サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを使用できる。前記天然炭水化物の比率は本発明の組成物100mL当たり一般的に約0.01〜0.04g、好ましくは約0.02〜0.03gである。
【0062】
前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物は、筋肉疾患予防及び筋機能改善用食品組成物の有効成分として含有できるが、その量は筋肉疾患予防及び筋機能改善用作用を達成するに有効な量であって、特に限定されるものではないものの、全体の組成物の総重量に対して0.01乃至100重量%であることが好ましい。本発明の食品組成物は、前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物と共に筋肉疾患予防及び筋機能改善用組成物に効果があると知られている他の活性成分と共に混合して製造できる。
【0063】
前記の他に本発明の健康食品は、多様な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクト酸、ペクト酸の塩、アルギン酸、アルギン酸の塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール又は炭酸化剤などを含有できる。その他に、本発明の健康食品は、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料又は野菜飲料の製造のための果肉を含有できる。これらの成分は独立的に又は混合して使用できる。これらの添加剤の比率はそれほど重要ではないが本発明の組成物100重量部当り0.01〜0.1重量部の範囲で選択されるのが一般的である。
【0064】
本発明は、さらに化学式1の化合物、下記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を有効成分として含む筋機能改善用化粧料組成物を提供する:
【化9】
【化10】
【0065】
本発明の化粧料組成物は、前記化学式1の化合物、化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれたいずれか一つ以上を有効成分として含有して皮膚学的に許容可能な賦形剤と共に基礎化粧品組成物(化粧水、クリーム、エッセンス、クレンジングフォーム及びクレンジングウォーターのような洗顔剤、パック、ボディオイル)、色調化粧品組成物(ファンデーション、口紅、マスカラ、メイキャップベース)、頭髪製品組成物(シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、ヘアジェル)及び石鹸などの形態で製造できる。
【0066】
前記賦形剤には、これに限定はされないが例えば、皮膚軟化剤、皮膚浸透増強剤、着色剤、芳香剤、乳化剤、濃化剤及び溶媒を含め得る。さらに、香料、色素、殺菌剤、酸化防止剤、防腐剤及び保湿剤などを追加して含むことができ、物性の改善を目的に漸増剤、無機塩類、合成高分子物質などを含む。例えば、本発明の化粧料組成物で洗顔剤及び石鹸を製造する場合には、通常の洗顔剤及び石鹸ベースに前記桑白皮抽出物を添加して容易に製造することができる。クリームを製造する場合には、一般的な水中油滴型(O/W)のクリームベースに桑白皮抽出物又はこれの塩を添加して製造することができる。ここで香料、キレート剤、色素、酸化防止剤、防腐剤などと、物性改善を目的にしたタンパク質、ミネラル、ビタミンなどの合成又は天然素材を追加して添加することができる。
【0067】
本発明の化粧料組成物に含有される前記化学式1の化合物、化学式2の化合物又は桑白皮抽出物の含量は、これに限定はされないが、全体の組成物総重量に対して0.001乃至10重量%であることが好ましく、0.01乃至5重量%であることがさらに好ましい。前記含量が0.001重量%未満では、目的とする筋機能改善効果を期待できず、10重量%を超えると安全性又は剤形上の製造に困難があり得る。
【0068】
本発明は、下記化学式1の化合物、下記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上の筋肉疾患予防又は治療薬製造のための使用を提供する:
【化11】
【化12】
【0069】
本発明はさらに、下記化学式1の化合物、下記化学式2の化合物及び桑白皮抽出物からなる群より選ばれた一つ以上を、これを必要とする個体に有効量で投与することを特徴とする筋肉疾患予防又は治療方法を提供する:
【化13】
【化14】
【0070】
本発明の前記“有効量”とは、個体に投与したとき、筋肉疾患及び筋機能の改善、治療及び予防効果を示す量を意味し、前記“個体”とは動物、好ましくは哺乳動物、特にヒト及び家畜を含む動物でもあって、動物から由来した細胞、組織、器官等でもある。前記個体は治療が必要な患者(patient)又は家畜でもある。
【発明の効果】
【0071】
本発明によるモルシン(morusin)、クワノンジ(kuwanon G)、又は桑白皮抽出物(mori cortex radicis extract)は、筋タンパク質合成に関与するp-mTORのタンパク質発現増加、筋タンパク質分解に関与するMuRF-1とatrogin-1のmRNA発現抑制、筋肉分化に関与するMyoDとmyogeninのmRNA発現を増加させることにより、筋肉量増大に優れた効果がある。また、本発明は天然物であるため副作用なく安全に使用することができて、医薬品、食品又は化粧品に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1図1は、L6筋肉細胞において、モルシン、クワノンジ、桑白皮熱水抽出物、又は桑白皮エタノール抽出物の処理に伴うp-mTORのタンパク質発現を測定した結果を示す。
図2図2は、L6筋肉細胞において、モルシン処理によるp-4EBP1とp-p70S6Kのタンパク質発現を測定した結果を示す。
図3図3は、L6筋肉細胞において、クワノンジ処理に伴うp-4EBP1とp-p70S6Kのタンパク質発現を測定した結果を示す。
図4図4は、L6筋肉細胞において、桑白皮ヘキサン抽出物、酢酸エチル抽出物、エタノール抽出物、熱水抽出物の処理によるp-p70S6Kのタンパク質発現を測定した結果を示す。
図5図5は、L6筋肉細胞において、モルシン処理に伴うMyoDとmyogninのmRNA発現を測定した結果を示す。
図6図6は、L6筋肉細胞において、クワノンジ処理に伴うMyoDとmyogninのmRNA発現を測定した結果を示す。
図7図7は、L6筋肉細胞において、桑白皮ヘキサン抽出物、酢酸エチル抽出物、エタノール抽出物、熱水抽出物処理に伴うMyoDとmyogninのmRNA発現を測定した結果を示す。
図8図8は、L6筋肉細胞において、モルシン処理に伴うatrogin-1とMuRF-1のmRNA発現を測定した結果を示す。
図9図9は、L6筋肉細胞において、クワノンジ処理に伴うatrogin-1とMuRF-1のmRNA発現を測定した結果を示す。
図10図10はL6筋肉細胞において、桑白皮ヘキサン抽出物、酢酸エチル抽出物、エタノール抽出物、熱水抽出物の処理に伴うatrogin-1とMuRF-1のmRNA発現を測定した結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0073】
以下、本発明を実施例を通じてより詳細に説明する。
【0074】
ただし、下記実施例は、本発明を例示するのみ、本発明の内容が下記実施例に限定されるものではない。
【0075】
参照例1:モルシン(morusin)の物質情報
【化15】
【0076】
参照例2:クワノンジ(kuwanon G)の物質情報
【化16】
【0077】
<実施例1>
桑白皮抽出物の製造
【0078】
<1−1>桑白皮メタノール抽出物の製造
乾燥した桑白皮をミキサーで粉砕して粉砕した桑白皮試料100gを100%メタノール1Lに入れて24時間常温で3回繰り返して抽出した。抽出した試料はワットマン(Whatman)2番濾紙で減圧濾過して、濾過された抽出液を真空回転濃縮機で濃縮して溶媒成分を除去した後、桑白皮メタノール抽出物を得た。
【0079】
<1−2>桑白皮エタノール抽出物の製造
乾燥した桑白皮をミキサーで粉砕して粉砕した桑白皮試料100gを100%エタノール1Lに入れて24時間常温で3回繰り返して抽出した。抽出した試料はワットマン(Whatman)2番濾紙で減圧濾過して、濾過された抽出液を真空回転濃縮機で濃縮して溶媒成分を除去した後、桑白皮エタノール抽出物を得た。
【0080】
<1−3>桑白皮酢酸エチル抽出物の製造
乾燥した桑白皮をミキサーで粉砕して粉砕した桑白皮試料100gを100%酢酸エチル1Lに入れて24時間常温で3回繰り返して抽出した。抽出した試料は、ワットマン(Whatman)2番濾紙で減圧濾過して、濾過された抽出液を真空回転濃縮機で濃縮して溶媒成分を除去した後、桑白皮酢酸エチル抽出物を得た。
【0081】
<1−4>桑白皮ヘキサン抽出物の製造
乾燥した桑白皮をミキサーで粉砕して粉砕した桑白皮試料100gを100%ヘキサン1Lに入れて24時間常温で3回繰り返して抽出した。抽出された試料は、ワットマン(Whatman)2番濾紙で減圧濾過して、濾過された抽出液を真空回転濃縮機で濃縮して溶媒成分を除去した後、桑白皮ヘキサン抽出物を得た。
【0082】
<1−5>桑白皮熱水抽出物の製造
乾燥した桑白皮をミキサーで粉砕して、粉砕した桑白皮試料100gを水1Lに入れて80℃で2時間攪拌しながら抽出した。抽出された試料は、ワットマン(Whatman)2番濾紙で減圧濾過して濾過された抽出液を真空回転濃縮機で濃縮して溶媒成分を除去した後、桑白皮熱水抽出物を得た。
【0083】
<1−6>桑白皮超高圧抽出物の製造
乾燥した桑白皮をミキサーで粉砕して、粉砕した桑白皮試料1gと18%エタノール76mLをポリエチレン(polyethylene)パックに入れて密封した後、超高圧抽出装置(Frescal MFP-7000; Mitsubishi Heavy Industries、Tokyo、Japan)を利用して抽出した。超高圧抽出条件は、抽出圧力が320MPa、抽出時間は5minであった。抽出された試料は、ワットマン(Whatman)2番濾紙で濾過して、濾過された抽出液を真空回転濃縮機で濃縮して溶媒成分を除去して桑白皮超高圧抽出物を得た。
【0084】
<1−7>桑白皮超臨界流体抽出物の製造
乾燥した桑白皮をミキサーで粉砕して、粉砕した桑白皮試料1gを試料カートリッジに充填して超臨界流体抽出装置(SFX 3560、Isco Inc., Lincoln、NE、USA)を利用して抽出した。超臨界流体抽出条件は、抽出圧力が40MPa、抽出温度は50℃、超臨界二酸化炭素の流速は60mL/min、抽出時間は60minであった。超臨界流体抽出が完了すると、抽出装置の圧力を下げて超臨界流体状態を解除して桑白皮超臨界流体抽出物を得た。
【0085】
<1−8>桑白皮亜臨界流体抽出物の製造
乾燥した桑白皮をミキサーで粉砕して粉砕した桑白皮試料1gを蒸留水10mLに入れて亜臨界流体抽出装置(DIONEX Accelerated Solvent Extractor 100、DIONEX co., USA)を利用して抽出した。亜臨界流体抽出条件は2.5MPa、抽出温度150℃、抽出時間15分の条件下で亜臨界抽出を行った。抽出された試料は、ワットマン2番濾紙で濾過して濾過された抽出液を-40℃で凍結乾燥して桑白皮亜臨界流体抽出物を得た。
【0086】
<実施例2>
モルシン、クワノンジの分離
【0087】
<2−1>モルシンの分離
乾燥した桑白皮をミキサーで粉砕して粉砕した桑白皮試料100gを100%エタノール1Lに入れて24時間常温で3回繰り返して抽出した。抽出された試料は、ワットマン(Whatman)2番濾紙で減圧濾過して、濾過された抽出液を真空回転濃縮機で濃縮して桑白皮エタノール抽出物を得た。エタノール抽出物をシリカゲル(silica gel; 70-230mesh、Merck&Co., White house Station、NJ、USA)で充填させたカラムに積載した後、ヘキサン、酢酸エチル、メタノールで混合した溶媒システムを利用して分取した。前記分取順序により8個の下部分画物に分けた。二番目の分画物を再び真空回転濃縮機で濃縮して溶媒成分を除去した。RP-18で充填されたカラムに濃縮液を積載した後、水、メタノール、アセトニトリルで混合した溶媒システムを利用して分取した。前記分取順に従って、5個の下部分画物に分けた。その中で5番目の分画物から下記化学式1の化合物であるモルシンを分離及び精製した:
【化17】
【0088】
<2−2>クワノンジの分離
乾燥した桑白皮をミキサーで粉砕して粉砕した桑白皮試料100gを100%エタノール1Lに入れて24時間常温で3回繰り返して抽出した。抽出された試料は、ワットマン(Whatman)2番濾紙で減圧濾過して、濾過された抽出液を真空回転濃縮機で濃縮して桑白皮エタノール抽出物を得た。エタノール抽出物をシリカゲル(silica gel; 70-230mesh、Merck&Co., White house Station、NJ、USA)で充填させたカラムに積載した後、ヘキサン、酢酸エチル、メタノールで混合した溶媒システムを利用して分取した。前記分取順により8個の下部分画物に分けた。六番目の分画物を再び真空回転濃縮機で濃縮して溶媒成分を除去した。RP-18で充填されたカラムに濃縮液を積載した後、水、メタノール、アセトニトリルで混合した溶媒システムを利用して分取した。前記分取順に従って、6個の下部分画物に分けた。その中で3番目の分画物から下記化学式2の化合物であるクワノンジを分離及び精製した:
【化18】
【0089】
<実施例3>
モルシン、クワノンジ又は桑白皮による筋肉生成活性
【0090】
筋肉細胞であるL6 myoblast(ATCC、Manassas、VA、USA)を10%fetal bovine serum(FBS; Hyclone、Logan、UT、USA)が含有されたDulbecco's modified Eagle's Media(DMEM; Hyclone)と共に6ウェルプレートに2X105cell/mLになるように入れた。細胞密度が約80〜85%になった時、ウェルにある培地を除去して2%horse serum(HS; Hyclone)が含有されたDMEM(Hyclone)に前記実施例1-2で製造した桑白皮エタノール抽出物(20μg/mL)、1-5で製造した桑白皮熱水抽出物(20μg/mL)と、前記実施例2で分離及び精製したモルシン(5μM)、クワノンジ(5μM)を溶解した後、細胞に処理してmyotube分化を誘導した。このとき、試料の代わりに0.01%DMSOを処理した群を対照群とした。この過程を2日ずつ6日間進行して分化させた後、proteinase inhibitor cocktailが含まれたNP-40緩衝溶液(ELPIS-Biotech、Daejeon、Korea)で溶解させた。緩衝溶液に溶解された細胞を1.5mLチューブ(tube)に移して13,000rpmで10分間遠心分離して上澄み液だけを取った。上澄み液をブラッドフォード(Bradford、Bio-Rad Laboratories Inc., Hercules、CA、USA)法を利用して定量した。定量されたタンパク質を5分間煮た後、10%SDS-PAGEで電気泳動して分離し、分離されたタンパク質をニトロセルロース膜にトランスファーした。p-mTOR 1次抗体(Cell signaling technology、Beverly、MA、USA)を2.5%bovine serum albumin(BSA)に1:1000の割合で希釈して、ニトロセルロース膜にトランスファーされたタンパク質と20時間常温で反応させた。1次抗体を反応させた後Tris-buffer Saline Tween20(TBST)を用いてニトロセルロース膜を10分間3回洗浄した。洗浄後、1次抗体を認知するhorseradish peroxidaseが接合されたanti-rabbit 2次抗体(Bethyl Laboratories、Inc.,Montgomery、TA、USA)を2.5% BSAに1:5000になるように希釈してニトロセルロース膜と2時間常温で反応させ、TBSTを用いて10分ずつ3回にわたって洗浄した。Protein bandはECL western blotting detection reagents(Amersham、Tokyo、Japan)を使用して発色させ、G; BOX EF imaging system(Syngene、Cambridge、UK)を利用して発色したProtein bandを確認した。その結果を図1に示した。
【0091】
その結果、図1に示した通り、桑白皮エタノール抽出物、桑白皮熱水抽出物、モルシン、クワノンジの処理によりL6筋肉細胞からp-mTORの発現量が増加したことを確認できた。これは、本発明の桑白皮エタノール抽出物、桑白皮熱水抽出物、モルシン、クワノンジが筋肉細胞内で筋肉の生成を増加させる能力が優れていることを意味する。
【0092】
<実施例4>
L6筋肉細胞においてモルシンのmRNA translation促進活性
【0093】
前記実施例2−1で製造したモルシンを0.1と1μMの濃度で、前記実施例3と同じ方法で実験を行った。p-mTOR 1次抗体の代わりにmRNA translation過程に関与するp-p70S6K及びp-4EBP1 1次抗体(Santa Cruz Biotechnology、Santa Cruz、CA、USA)を処理してprotein bandを確認した。
【0094】
その結果、図2に示した通り、モルシンを処理することにより、L6筋肉細胞においてmRNA translation過程に関与するp-p70S6K及びp-4EBP1のタンパク質発現量が増加したことを確認できた。これは本発明のモルシンが筋肉細胞内で筋肉を生成するためのmRNA translation過程を促進させることを意味する。
【0095】
<実施例5>
L6筋肉細胞においてクワノンジのmRNA translation促進活性
【0096】
前記実施例2−2で製造したクワノンジを1及び5μMの濃度で前記実施例3と同じ方法で実験を行った。p-mTOR 1次抗体の代わりにmRNA translation過程に関与するp-p70S6K及びp-4EBP1 1次抗体(Santa Cruz Biotechnology)を処理してprotein bandを確認した。
【0097】
その結果、図3に示した通り、クワノンジを処理することにより、L6筋肉細胞においてmRNA translation過程に関与するp-p70S6K及びp-4EBP1のタンパク質発現量が増加したことを確認できる。これは本発明のクワノンジが筋肉細胞内で筋肉を生成するためのmRNA translation過程を促進させることを意味する。
【0098】
<実施例6>
L6筋肉細胞において桑白皮抽出物のmRNA translation促進活性
【0099】
前記実施例1-2乃至1-5で製造した桑白皮ヘキサン抽出物、酢酸エチル抽出物、エタノール抽出物、熱水抽出物を15μg/mLの濃度で前記実施例3と同じ方法で実験を行った。p-mTOR 1次抗体の代りにmRNA translation過程に関与するp-p70S6 1次抗体(Santa Cruz Biotechnology)を処理してprotein bandを確認した。
【0100】
その結果、図4に示した通り、桑白皮ヘキサン抽出物、酢酸エチル抽出物、エタノール抽出物、熱水抽出物を処理するに従い、L6筋肉細胞でmRNA translation過程に関与するp-p70S6Kの蛋白質発現量が増加したことを確認できる。これは本発明の桑白皮ヘキサン抽出物、酢酸エチル抽出物、エタノール抽出物、熱水抽出物が筋肉細胞内で筋肉生成のためのmRNA translation過程を促進させることを意味する。
【0101】
<実施例7>
モルシンの筋肉分化活性
【0102】
筋肉細胞であるL6 myoblast(ATCC)を、10%FBS(Hyclone)が含有されたDMEM(Hyclone)と共に6-ウェルプレートに2X105cell/mLになるように入れた。細胞密度が約80〜85%になったとき、ウェルにある培地を除去して2%HS(Hyclone)が含有されたDMEM(Hyclone)に前記実施例2-1で製造したモルシン0.1と1μMの濃度に溶解した後、細胞に処理してmyotube分化を誘導した。このとき、試料の代わりに0.01%DMSOを処理した群を対照群とした。この過程を2日ずつ6日間進行して分化させた後、TRIzol試薬(Invitrogen、Carlsbad、CA、USA)を使用して総RNAを分離した。分離した総RNAは、ナノドロップ(NanoDrop 1000; Thermo Fisher Scientific Inc.,MA、USA)を利用して定量した。定量された16μLのRNAをReverse Transcriptase Premix(ELPIS-Biotech)とPCR機械(Gene Amp PCR System 2700; Applied Biosystems、MA、USA)を用いて、42℃で55分、70℃で15分の条件でcDNAに合成した。16μLの生成されたcDNAのうち4μLのcDNA、下記の特定プライマー(Bioneer、Daejeon、Korea)さらに、PCR premix(ELPIS-Biotech)で、95℃で30秒、60℃で1分、72℃で1分を30回繰り返してPCRを行った。
【0103】
MyoD
Forward primer:5'-TTTCGACTCACCAGACCTGC-3'(配列番号1)
Reverse primer:5'-CAGAGCCTGCAGACCTTCAA-3'(配列番号2)
Myogenin
Forward primer:5'-TTTCGCACCTGATGGACCTG-3'(配列番号3)
Reverse primer:5'-CTTTCTTGAGCCTGCGCTTC-3'(配列番号4)
β-Actin
Forward primer:5'-AGCCATGTACGTAGCCATCC-3' (配列番号5)
Reverse primer:5'-CTCTCAGCTGTGGTGCTGAA-3' (配列番号6)
【0104】
PCRの結果、増幅されたcDNAを1.5% agarose gelで電気泳動して分離し、G; BOX EF imaging system(Syngene)を利用してcDNA bandを確認した。その結果を図5に示した。
【0105】
その結果、図5に示した通り、モルシンを処理することにより、L6筋肉細胞においてMyoD及びmyogeninのmRNA発現が増加することを分かった。これは、本発明のモルシンが筋肉細胞内で筋肉分化を促進する能力が優れていることを意味する。
【0106】
<実施例8>
クワノンジの筋肉分化活性
【0107】
前記実施例7の場合と同じ方法で筋肉細胞であるL6 myoblast(ATCC)を培養した後、2%HS(Hyclone)が含有されたDMEM(Hyclone)に前記実施例2-2で分離及び精製したクワノンジを1及び5μMの濃度で溶解した後、細胞に処理してmyotube分化を誘導した。この時、試料の代わりに0.01%DMSOを処理した群を対照群とした。この過程を2日ずつ6日間進行して分化させた後、実施例7と同じ方法でRT-PCRを行った。
【0108】
その結果、図6に示した通り、クワノンジを処理することにより、L6筋肉細胞のMyoDとmyogeninのmRNA発現が増加することが分かった。これは、本発明のクワノンジが筋肉細胞内で筋肉分化を促進する能力が優れていることを意味する。
【0109】
<実施例9>
桑白皮抽出物の筋肉分化活性
【0110】
前記実施例7の場合と同じ方法で筋肉細胞であるL6 myoblast(ATCC)を培養した後、2%HS(Hyclone)が含有されたDMEM(Hyclone)に前記実施例1-2乃至1-5で製造した桑白皮ヘキサン抽出物、酢酸エチル抽出物、エタノール抽出物、熱水抽出物を15μg/mLの濃度で溶解した後、細胞に処理してmyotube分化を誘導した。このとき、試料の代りに0.01%DMSOを処理した群を対照群とした。この過程を2日ずつ6日間進行して分化させた後、実施例7と同じ方法でRT-PCRを行った。
【0111】
その結果、図7に示した通り、桑白皮ヘキサン抽出物、酢酸エチル抽出物、エタノール抽出物、熱水抽出物を処理することにより、L6筋肉細胞においてMyoD及びmyogeninのmRNA発現が増加することが分かった。これは、本発明の桑白皮抽出物が筋肉細胞内で筋肉分化を促進する能力が優れていることを意味する。
【0112】
<実施例10>
モルシン筋タンパク質分解抑制活性
【0113】
筋肉細胞であるL6 myoblast(ATCC)を、10%FBS(Hyclone)が含有されたDMEM(Hyclone)と共に6ウェルプレートに2X105cell/mLになるように入れた。細胞密度が約80〜85%になった時、ウェルにあるバッジを除去して、2%HS(Hyclone)が含有されたDMEM(Hyclone)を細胞に処理してmyotube分化を誘導した。2日に一度ずつ新しい培地で交換して、合計6日間分化を行った。分化後、50ng/mL tumor necrosis factor alph(TNF-α; PeproTech、Rocky Hills、NJ、USA)が含有されたDMEM(Hyclone)に前記実施例2-1で製造したモルシン0.1と1μMの濃度で溶解した後細胞に処理した。6時間後、TRIzol試薬(Invitrogen)を使用して総RNAを分離した。分離した総RNAは、ナノドロップ(NanoDrop 1000; Thermo Fisher Scientific Inc)を利用して定量した。定量された16μLのRNAをReverse Transcriptase Premix(ELPIS-Biotech)とPCR機械(Gene Amp PCR System 2700; Applied Biosystems)を利用して、42℃で55分、70℃で15分の条件で、cDNAを合成した。16μLの生成されたcDNAのうち4μLのcDNA、下記の特定プライマー(Bioneer)、premix(ELPIS-Biotech)で95℃において30秒、60℃で1分、72℃で1分を30回繰り返してPCRを行った。
【0114】
Atrogin-1
Forward primer:5'-CCCTGAGTGGCATCGCCCAA-3'(配列番号7)
Reverse primer:5'-AGGTCCCGCCCATCGCTCA-3'(配列番号8)
MuRF-1
Forward primer:5'-GAAATGCTATGCAGAACCTG-3'(配列番号9)
Reverse primer:5'-ATTCCTGCTTGTAGATGTCG-3'(配列番号10)
β-Actin
Forward primer:5'-AGCCATGTACGTAGCCATCC-3'(配列番号11)
Reverse primer:5'-CTCTCAGCTGTGGTGCTGAA-3'(配列番号12)
【0115】
PCRの結果、増幅されたcDNAを1.5% agarose gelで電気泳動して分離し、G;BOXEF imaging system(Syngene)を利用して、cDNA bandを確認した。その結果を図8に示した。
【0116】
その結果、図8に示した通り、モルシンを処理することにより、L6筋肉細胞でatrogin-1及びMuRF-1のmRNA発現が減少することが分かった。これは、本発明のモルシンが筋肉細胞内で筋タンパク質分解を抑制する能力が優れていることを意味する。
【0117】
<実施例11>
クワノンジの筋タンパク質分解抑制活性
【0118】
前記実施例10の場合と同じ方法で筋肉細胞を2%HS(Hyclone)が含有されたDMEM(Hyclone)を処理してmyotube分化後、50ng/mLTNF-α(PeproTech)が含有されたDMEM(Hyclone)に前記実施例2-2で分離及び精製したクワノンジを1と5μMの濃度で溶解した後、実施例10と同じ方法でRT-PCRを行った。
【0119】
その結果、図9に示した通り、クワノンジを処理することにより、L6筋肉細胞でatrogin-1とMuRF-1のmRNA発現が減少することが分かった。これは、本発明のクワノンジが筋肉細胞内で筋タンパク質分解を抑制する能力が優れていることを意味する。
【0120】
<実施例12>
桑白皮抽出物の筋タンパク質分解抑制活性
【0121】
前記実施例10の場合と同じ方法で、筋肉細胞を2%HS(Hyclone)が含有されたDMEM(Hyclone)を処理してmyotube分化後、50ng/mL TNF-α(PeproTech)が含有されたDMEM(Hyclone)に前記実施例1-2乃至1-5で製造した桑白皮ヘキサン抽出物、酢酸エチル抽出物、エタノール抽出物、熱水抽出物を10μg/mLの濃度で溶解した後、実施例10と同じ方法でRT-PCRを行った。
【0122】
その結果、図10に示した通り、桑白皮ヘキサン抽出物、酢酸エチル抽出物、エタノール抽出物、熱水抽出物を処理することにより、L6筋肉細胞でatrogin-1及びMuRF-1のmRNA発現が減少することが分かった。これは、本発明の桑白皮が筋肉細胞内で筋タンパク質分解を抑制する能力が優れていることを意味する。
【0123】
<実施例13>
桑白皮高圧抽出物による筋肉生成活性
【0124】
前記実施例1-6で製造した桑白皮超高圧抽出物、実施例1-7で製造した桑白皮超臨界流体抽出物、実施例1-8で製造した桑白皮亜臨界流体抽出物を20ppmの濃度で前記実施例3と同じ方法で筋肉細胞に処理した。ECLウェスタンブロット検出試薬(western blotting detection reagents; Amersham、Tokyo、Japan)を使用してp-mTORタンパク質バンドを発色し、G; BOX EF imaging system(Syngene、Cambridge、UK)を利用して発色したタンパク質バンドのdensityを測定した。この時対照群タンパク質バンドのdensityを100%にして、試料を処理した実験群の相対的タンパク質バンドのdensityをパーセント(%)で示した。
【0125】
その結果を下記表1に示した。
【0126】
【表1】
【0127】
前記表1に示した通り桑白皮超高圧抽出物、超臨界流体抽出物、亜臨界流体抽出物は、筋機能改善に関与する主要遺伝子p-mTORのタンパク質発現量を増加させることが分った。
【0128】
<実施例14>
動物モデルから筋肉量増加効果確認
【0129】
5週齢のWistar ratを1週間適応させてTNF-α100ng/gを2週間供給して筋萎縮を誘導して、体重を基に無作為的に群を配置して、それぞれ8匹ずつ合計5群に分けて実験に利用した。実験群には実施例1-2で製造した桑白皮エタノール抽出物500mg/kg体重、実施例1-5で製造した桑白皮熱水抽出物500mg/kg体重、実施例2-1で製造したモルシン300mg/kg体重、実施例2-2で製造したクワノンジ300mg/kg体重の濃度で0.25%カルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)に懸濁して1日に1回ずつ8週間一定の時間に投与した。この時、対照群としては実験群が摂取する同じ量の0.25%カルボキシメチルセルロースにTNF-αを投与した群を使用した。
【0130】
8週間試料を投与した後、右側のふくらはぎの下方筋肉を切除してmicrobalance(Mettler PE160、USA)で重量を測定した。その結果、表2に示した通り、桑白皮エタノール抽出物、桑白皮熱水抽出物、モルシン、クワノンジを投与した群で筋肉の重さが対照群に比べてそれぞれ有意的(p<0.01)に20.78%、17.35%、23.97%、22.60%増加した。このような結果は本発明の桑白皮抽出物と、これより分離されたモルシン、クワノンジが筋肉量増大に効率的に作用していることを意味する。
【0131】
【表2】
【0132】
以下、本発明による前記実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物を有効成分として含有する医薬品、食品又は化粧品の製造例を説明するが、本発明はこれ限定するためではなく、ただ具体的な説明のためでである。前記筋肉疾患の予防及び治療又は筋機能の改善効果が優れたモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物を有して、下記のような組成成分及び組成比により製造例1乃至3の医薬品、食品又は化粧料組成物を通常的な方法により製造した。
【0133】
<製造例1>医薬品
【0134】
<1−1>散剤
前記実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物50mg結晶セルロース2gを混合した後、通常の散剤製造方法により機密包に充填して散剤を製造した。
【0135】
<1−2>錠剤
前記実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物50mg、結晶セルロース400mg、ステアリン酸マグネシウム5mgを混合した後、通常の錠剤製造方法により打錠して錠剤を製造した。
【0136】
<1−3>カプセル剤
前記実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物30mg、乳清タンパク質100mg、結晶セルロース400mg、ステアリン酸マグネシウム6mgを混合した後、通常のカプセル剤の製造方法によりゼラチンカプセルに充填してカプセル剤を製造した。
【0137】
<1−4>注射剤
通常の注射剤の製造方法により活性成分を注射用蒸留水に溶解してpHを約7.5に調節して前記実施例2のモルシン、クワノンジ100mg、注射用蒸留水、pH調節剤を混合して2mL容量のアンプルに充填して滅菌させて注射剤を製造した。
【0138】
<製造例2>食品
【0139】
<2−1>健康食品の製造
前記実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物1000mg、ビタミンA アセテート70μg、ビタミンE 1.0mg、ビタミンB1 0.13mg、ビタミンB2 0.15mg、ビタミンB6 0.5mg、ビタミンB12 0.2μg、ビタミンC 10mg、ビオチン 10μg、ナイアシンアミド 1.7mg、葉酸 50μg、パントテン酸カルシウム 0.5mg、硫酸第1鉄 1.75mg、酸化亜鉛 0.82mg、炭酸マグネシウム 25.3mg、第1リン酸カリウム 15mg、第2リン酸カルシウム 55mg、クエン酸カリウム 90mg、炭酸カルシウム 100mg、塩化マグネシウム 24.8mgを混合して製造することができ、その配合比を任意に変更しても構わず、通常の健康食品の製造方法により前記の成分を混合して顆粒を製造し、通常の方法により健康食品組成物の製造に使用した。
【0140】
<2−2>健康飲料の製造
前記実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物 1000mg、クエン酸 1000mg、オリゴ糖 100g、梅濃縮液 2g、タウリン 1gに精製水を加えて全体900mL通常の健康飲料の製造方法により前記の成分を混合して約1時間の間85℃で撹拌加熱した後、作製された溶液を濾過して滅菌された2Lの容器に取得して密封滅菌した後、冷蔵保管して健康飲料組成物の製造に使用できる。
【0141】
<2−3>チューインガム
ガムベース 20重量%、砂糖 76.9重量%、香料 1重量%及び水 2重量%と前記実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物 0.1重量%を配合して通常の方法でチューインガムを製造した。
【0142】
<2−4>キャンデ−
砂糖 60重量%、水飴 39.8重量%及び香料0.1 重量%と、前記実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物 0.1重量%を配合して通常の方法でキャンデ−を製造した。
【0143】
<2−5>ビスケット
薄力(小麦粉)1級 25.59重量%、中力(小麦粉)1級 22.22重量%、精白糖 4.80重量%、食塩 0.73重量%、グルコース 0.78重量%、パームショートニング 11.78重量%、アンモニウム 1.54重量%、重曹 0.17重量%、亜硫酸水素ナトリウム 0.16重量%、米粉 1.45重量%、ビタミン B 0.0001重量%、ミルクの香料 0.04重量%、水 20.6998重量%、全脂粉乳 1.16重量%、代用ミルク 0.29重量%、第1リン酸カルシウム 0.03重量%、スプレー塩 0.29重量%及び噴霧油 7.27重量%と、前記実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物重量%を配合して通常の方法でビスケットを製造した。
【0144】
<製造例3>化粧品
【0145】
<3−1>栄養化粧水(ミルクローション)
前記実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物を下記表3の栄養化粧水剤形比率の通りに通常の方法により栄養化粧水を製造した。
【0146】
【表3】
【0147】
<3−2>柔軟化粧水(スキンローション)
実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物を下記表4の柔軟化粧水剤形化比率の通り通常の方法により柔軟化粧水製造した。
【0148】
【表4】
【0149】
<3−3>栄養クリーム
前記実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物を下記表5の栄養クリーム剤形比率の通り通常の方法により栄養クリームを製造した。
【0150】
【表5】
【0151】
<3−4>マッサージクリーム
前記実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物を下記表6のマッサージクリーム剤形比率の通り通常の方法によりマッサージクリームを製造した。
【0152】
【表6】
【0153】
<3−5>パック
上前記実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物を下記表7のパック剤形比率の通り通常の方法によりパックを製造した。
【0154】
【表7】
【0155】
<3−6>ジェル
前記実施例1乃至2のモルシン、クワノンジ又は桑白皮抽出物を下記表8のゲル剤形比率の通り通常の方法によりジェルを製造した。
【0156】
【表8】
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]