特許第6564144号(P6564144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564144
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】空気浄化剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/01 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   A61L9/01 B
   A61L9/01 H
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-537780(P2018-537780)
(86)(22)【出願日】2017年5月26日
(65)【公表番号】特表2019-509081(P2019-509081A)
(43)【公表日】2019年4月4日
(86)【国際出願番号】CN2017086140
(87)【国際公開番号】WO2018028274
(87)【国際公開日】20180215
【審査請求日】2018年9月11日
(31)【優先権主張番号】201610652424.5
(32)【優先日】2016年8月10日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518250818
【氏名又は名称】ワン,ジンニン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジンニン
【審査官】 佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101920029(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102698304(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00− 9/22
B01D 53/00−53/96
A61Q 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気浄化剤組成物の製造方法であって、該空気浄化剤組成物は、少なくとも、重量で、以下:
ワレモコウ(sanguisorba officinalis)及びセンダン(melia azadarach)の抽出物
10〜30部
クララ(sophora flavescens)の抽出物 10〜30部
ニセアカシア(robinia pseudoacacia)の抽出物 5〜10部
ユーカリ(eucalyptus)の葉の抽出物 1〜5部
キク(chrysanthemum)の抽出物 10〜15部
アロエベラ(aloe vera)の抽出物 10〜15部
ナノ銀 0.1〜1部
アルテミシニン 0.5〜2部
を含
前記クララ抽出物の抽出方法が、以下の通り:クララを洗浄し、細かく刻み、続いてクエン酸水溶液に添加し、3時間浸漬した後、マイクロ波で加熱して3回抽出し、濾過し、濾液を減圧乾燥して抽出物を得る、であり、前記クエン酸水溶液の質量濃度が4g/Lであり、前記クララとクエン酸水溶液の重量比が1:10であり、
前記ワレモコウ及びセンダンの抽出物の抽出方法が、以下の通り:ワレモコウ及びセンダンをそれぞれ洗浄し、細かく刻み、続いてワレモコウ及びセンダンを均一に混合し、エタノールで2〜3時間還流しながら抽出し、3〜4回抽出し、10〜15時間冷蔵し、濾過し、濾液をエタノールが存在しなくなるまで減圧濃縮して抽出物を得る、であり、ワレモコウとセンダンの重量比が1:(2.5〜3.5)である、方法
【請求項2】
前記空気浄化剤組成物が、少なくとも、重量で、以下:
ワレモコウ及びセンダンの抽出物 15〜25部
クララの抽出物 15〜25部
ニセアカシアの抽出物 7〜8部
ユーカリの葉の抽出物 2〜4部
キクの抽出物 12〜14部
アロエベラの抽出物 11〜13部
ナノ銀 0.4〜0.6部
アルテミシニン 0.8〜1.2部
を含む、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記空気浄化剤組成物が、少なくとも、重量で、以下:
ワレモコウ及びセンダンの抽出物 20部
クララの抽出物 20部
ニセアカシアの抽出物 8部
ユーカリの葉の抽出物 3部
キクの抽出物 13部
アロエベラの抽出物 12部
ナノ銀 0.5部
アルテミシニン 1部
を含む、請求項1に記載の方法
【請求項4】
前記ナノ銀の粒径が1〜20nmである、請求項1に記載の方法
【請求項5】
空気浄化剤組成物を含む空気浄化剤の製造方法であって、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気浄化剤組成物の製造方法を含む、方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境健康の分野に関し、より詳細には空気浄化剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
生活水準の漸進的な向上に伴い、反対に、空気環境の質は徐々に低下し、そのため、人々の空気清浄に対する要件がますます高くなっている。現在多くの空気浄化剤が市販されており、一般に、吸着型空気浄化剤、被覆型臭気除去製品及び分解型臭気除去製品のいくつかのタイプがある。吸着型空気浄化剤は、物理吸着、化学吸着、酸化、触媒酸化、活性炭に類似の物質の還元などの特性を利用して空気中の汚染物質を除去する。被覆型空気浄化剤は、香りを有する揮発性物質を用いて物質の臭いを覆い、人々に空気清浄の錯覚を生じさせる。分解型空気浄化剤は浄化剤中のTiO2に類似の物質であり、太陽光の下で酸素ガス又は水分子からヒドロキシルラジカル及びスーパーオキシドラジカルを生成することができ、ヒドロキシルラジカル及びスーパーオキシドラジカルは非常に強い酸化還元能力を有し、そのため空気中の有害物質の酸化分解を引き起こす。既存の空気浄化剤のほとんどは、芳香族化合物及びある種のモノテルペノイドなどの有機化合物を混合し、続いてある量のエッセンスを添加することによって製造されるが、これは一定の毒性及び副作用を有し、安全ではない。
【発明の概要】
【0003】
先行技術の課題を解決するために、本発明の第1の態様は、少なくとも、重量で、以下:
ワレモコウ(sanguisorba officinalis)及びセンダン(melia azadarach)の抽出物
10〜30部
クララ(sophora flavescens)の抽出物 10〜30部
ニセアカシア(robinia pseudoacacia)の抽出物 5〜10部
ユーカリ(eucalyptus)の葉の抽出物 1〜5部
キク(chrysanthemum)の抽出物 10〜15部
アロエベラ(aloe vera)の抽出物 10〜15部
ナノ銀 0.1〜1部
アルテミシニン 0.5〜2部
を含む空気浄化剤組成物を提供する。
【0004】
一部の実施形態において、上記空気浄化剤組成物は、少なくとも、重量で、以下:
ワレモコウ及びセンダンの抽出物 15〜25部
クララの抽出物 15〜25部
ニセアカシアの抽出物 7〜8部
ユーカリの葉の抽出物 2〜4部
キクの抽出物 12〜14部
アロエベラの抽出物 11〜13部
ナノ銀 0.4〜0.6部
アルテミシニン 0.8〜1.2部
を含む。
【0005】
一部の実施形態において、上記空気浄化剤組成物は、少なくとも、重量で、以下:
ワレモコウ及びセンダンの抽出物 20部
クララの抽出物 20部
ニセアカシアの抽出物 8部
ユーカリの葉の抽出物 3部
キクの抽出物 13部
アロエベラの抽出物 12部
ナノ銀 0.5部
アルテミシニン 1部
を含む。
【0006】
一部の実施形態において、前記ワレモコウ及びセンダンの抽出物の抽出方法は以下の通りである:ワレモコウ及びセンダンをそれぞれ洗浄し、細かく刻み、続いてワレモコウ及びセンダンを均一に混合し、エタノールで2〜3時間還流しながら抽出し、3〜4回抽出し、10〜15時間冷蔵し、濾過し、濾液をエタノールが存在しなくなるまで減圧濃縮して抽出物を得る。
【0007】
一部の実施形態において、ワレモコウとセンダンの重量比は1:(2.5〜3.5)である。
【0008】
一部の実施形態において、前記クララ抽出物の抽出方法は以下の通りである:クララを洗浄し、細かく刻み、続いてクエン酸水溶液に添加し、2〜3時間浸漬した後、マイクロ波で加熱して2〜3回抽出し、濾過し、濾液を減圧乾燥して抽出物を得る。
【0009】
一部の実施形態において、前記クエン酸水溶液の質量濃度は2〜5g/Lである。
【0010】
一部の実施形態において、前記クララとクエン酸水溶液の重量比は1:(9〜11)である。
【0011】
一部の実施形態において、前記ナノ銀の粒径は1〜20nmである。
【0012】
本発明の第2の態様は、上記空気浄化剤組成物を含む空気浄化剤を提供する。
【0013】
本発明により提供される空気浄化剤組成物は、植物原料を用いて調製され、安全で無害であり、良好な安定性及び長い有効期間を有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の内容は、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明及び含まれる実施例を参照することによって、より容易に理解することができる。他に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合、この説明の定義が優先するものとする。
【0015】
本明細書で使用する場合、用語「によって調製される」とは、「含む」という用語と同義である。本明細書で使用する場合、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」、「含有する」又はそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を含むことが意図される。例えば、列挙された要素を含む組成物、工程、方法、生成物又はデバイスは、必ずしもそれらの要素だけに限定されるものではないが、明示的に列挙されていない他の要素又はこのような組成物、工程、方法、生成物又はデバイスに固有の要素を含み得る。
【0016】
接続詞「からなる」は、特定されないいずれの要素、工程及び成分も排除する。請求項に使用する場合、この語句は、それに関連する通常の不純物を除いて、記載されているもの以外の材料を排除するように、請求項をクローズする。主題の直後ではなく、請求項の本体の条項に「からなる」という語句が現れた場合、それは条項に記述されている要素だけを定義し、他の要素は、全体として請求項から除外されない。
【0017】
量、濃度又は他の値若しくはパラメータが、範囲、好ましい範囲、又は上限及び下限の一連の好ましい値によって定義される範囲によって示される場合、その範囲が別々に開示されているかどうかに関わらず、任意の上限範囲又は好ましい値と任意の下限範囲又は好ましい値の任意の対によって形成されるすべての範囲を具体的に開示していることが理解されるべきである。例えば、「1〜5」の範囲が開示されている場合、記載されている範囲は、「1〜4」、「1〜3」、「1〜2」、「1〜2及び4〜5」、「1〜3及び5」の範囲などを含むものと解釈されるべきである。数値の範囲が本明細書に記載されている場合、他に特定されない限り、その範囲は、その範囲内の両端の値並びにすべての整数及び分数を含むことが意図される。
【0018】
文脈が明確に他に指示していない限り、単数形は複数の指示物を含む。「任意選択の」又は「いずれか1つ」とは、それに続いて記述された項目又は事象が生じてもよく又は生じなくてもよいことを意味し、その記述は、事象が生じた状況及び事象が生じなかった状況を含む。
【0019】
本明細書及び特許請求の範囲における近似言語は、数を修飾するために使用されるものであり、本発明はその特定の数に限定されないが、関連した基本の機能の変化をもたらさずに、許容され、その数に近接している修飾も含むことを意味する。したがって、数値を修飾するために「およそ」、「約」などを使用することは、本発明が正確な数値に限定されないことを意味する。いくつかの例では、近似用語は、値を測定した機器の精度に対応することがある。本明細書及び特許請求の範囲において、範囲の制限は、これらの範囲が、それによって包含されるすべての下位範囲を含むことを他に特定していない限り、組み合わせられ及び/又は交換されることができる。
【0020】
さらに、本発明の要素又は成分に先行する不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、必要とされる要素又は成分の数(すなわち、出現数)に制限を与えない。したがって、「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、1つ又は少なくとも1つを含むように読まれるべきであり、単数の要素又は構成要素はまた、特定の数が明らかに単数形を指していない限り、複数形を含む。
【0021】
本発明の第1の態様は、少なくとも、重量で、以下:
ワレモコウ(sanguisorba officinalis)及びセンダン(melia azadarach)の抽出物
10〜30部
クララ(sophora flavescens)の抽出物 10〜30部
ニセアカシア(robinia pseudoacacia)の抽出物 5〜10部
ユーカリ(eucalyptus)の葉の抽出物 1〜5部
キク(chrysanthemum)の抽出物 10〜15部
アロエベラ(aloe vera)の抽出物 10〜15部
ナノ銀 0.1〜1部
アルテミシニン 0.5〜2部
を含む空気浄化剤組成物を提供する。
【0022】
一部の実施形態において、上記空気浄化剤組成物は、少なくとも、重量で、以下:
ワレモコウ及びセンダンの抽出物 15〜25部
クララの抽出物 15〜25部
ニセアカシアの抽出物 7〜8部
ユーカリの葉の抽出物 2〜4部
キクの抽出物 12〜14部
アロエベラの抽出物 11〜13部
ナノ銀 0.4〜0.6部
アルテミシニン 0.8〜1.2部
を含む。
【0023】
一部の実施形態において、上記空気浄化剤組成物は、少なくとも、重量で、以下:
ワレモコウ及びセンダンの抽出物 20部
クララの抽出物 20部
ニセアカシアの抽出物 8部
ユーカリの葉の抽出物 3部
キクの抽出物 13部
アロエベラの抽出物 12部
ナノ銀 0.5部
アルテミシニン 1部
を含む。
【0024】
ワレモコウ(地楡;sanguisorba officinalis)及びセンダン(苦楝花;melia azadarach)の抽出物
ワレモコウ(地楡)は、バラ科植物のワレモコウ(sanguisorba officinalis又はsanguisorba officinalis var. longifolia)の乾燥根である。不規則な紡錘形又は円筒形の形状で、わずかに湾曲又はねじれており、長さは5〜25cmであり、直径は0.5〜2cmである。その表面は茶色がかった灰色、褐色又は濃紫色で、粗く、長手方向のしわ、横方向の亀裂及び分岐根の傷がある。ワレモコウは硬く、その横断面は平らであるか、又は皮質に黄色がかった白色〜黄色がかった褐色の絶え間のない繊維を多く有し、その木部は黄色又は黄色がかった褐色で、わずかに放射状の配列である。その切片は不規則な円形又は楕円形であり、厚さは0.2〜0.5cmである。切片の断面は赤紫色又は褐色である。切片は無臭で、わずかに苦い。
【0025】
ワレモコウの性質と味は、苦い、酸性、収斂性、わずかに冷性である。ワレモコウの効能は、止血、解毒及び閉創のための血液の冷却である。その化学成分は主に以下の通りである:
(サングイイン) H-1、H-2、H-3、H-4、H-5、H-6、H-7、H-8、H-9、H-10、H-11、1,2,6-トリガロイル-β-D-グルコース、1,2,3,6-テトラガロイル-β-D-グルコース、2,3,4,6-テトラガロイル-D-グルコース、1,2,3,4,6-ペンタガロイル-β-D-グルコース、メチル-6-O-ガロイル-β-D-グルコピラノシド、メチル-6-O-ジガロイル-β-D-グルコピラノシド、メチル-4,6-ジ-O-ガロイル-β-D-グルコピラノシド、メチル-2,3,6-トリ-O-ガロイル-β-D-グルコピラノシド、メチル-3,4,6-トリ-O-ガロイル-β-D-グルコピラノシド、メチル-2,3,4,6-テトラ-O-ガロイル-β-D-グルコピラノシド、没食子酸-3-O-β-D-(6’-O-ガロイル)-グルコピラノシド、3,4,3’-トリ-O-メチルエラグ酸、サングイソルビン酸ジラクトン;2種のガロイ(galloy)ハマメロース誘導体:5,2’-ジ-O-ガロイルハマメロース、2’,3,5-トリ-O-ガロイル-D-ハマメロフラノース。根はまた、複数のフラバノ-3-オール誘導体:d-カテキン、7-O-ガロイ-d-カテキン(7-O-ガロイル-(+)-カテキン)、3-O-ガロイルプロシアニジンB-3、3-O-ガロイル-プロシアニジンC-2、ガンビリインA-1、ガンビリインB-3;並びにジユ(zigu)-グルコシドI及びII、サングイソルビンA、B、C、D、E(ここで、B及びEの構造が同定されている)、ソビッシモシド(sauvissimoside)R1、ポモール酸-28-O-β-D-グルコピラノシド、2,4-ジヒドロキシ-6-メトキシアセトフェノン、3,3’,4-トリ-O-メチルエラグ酸、3,4,4’-トリ-O-メチルエラグ酸、サングイソルビゲニン、β-シトステロール(Sitostrol)-β-D-グルコシド、3-オキソ-19a-ヒドロキシウルサ-12-エン-28-酸(hydroxyurs-12-en-28-oic acid)、3,11-ジオキソ-19a-ヒドロキシウルサ-12-エン-28-酸、ポモール酸、2a-ヒドロキシポモール酸(すなわちトルメント酸)を含有する。
【0026】
センダン(苦楝花)は、センダン(Melia azedarach L.)及びトウセンダン(M.toosendan Sieb.Et Zucc.)の花であり、冷たい性質で味は苦い。熱及び湿気の除去、殺寄生虫及び痒み止めの効果を有する。センダンは多くの成分、例えば:オクタン、2,6-ジメチルヘプタン、2,5-ジメチルヘプタン、2-メチルプロピルシクロペンタン、2-メチルオクタン、ヘキサナール、3-メチルオクタン、2,2,4-トリメチルヘプタン、2,2,6-トリメチルヘプタン、3,3-ジメチルオクタン、2,3,6-トリメチルヘプタン、2,2,2,6-テトラメチルヘプタン、2,2,4,6,6-ペンタエチルヘプタン、2,5,6-トリメチルオクタン、2,2,7-トリメチルノナン、2,2,6-トリメチルオクタン、1,2,3-トリメチルベンゼン、2,6-ジメチルオクタン、2,2,11,11-テトラメチルドデカン、3,7-ジメチルノナン、2,6-ジメチルウンデカン、2,2,4-トリメチルデカン、3,6-ジメチルウンデカン、2,7-ジメチルウンデカン、2,9-ジメチルウンデカン、2,2,3-トリメチルノナン、2,8-ジメチルウンデカン、2,8,8-トリメチルウンデカン、ノニルアルデヒド、テトラデカン、2,2,8-トリメチルウンデカン、シクロウンデカン、1,4-ジメトキシベンゼン、デカナルアルデヒド(decanalaldehyde)、セタン、カリオフィレン、1S,2S,5R-1,4,4-トリメチルトロサイクル、ドデセン、ペンタデカン、3,7,11-トリメチル-1,6,10-ドデカトリエン-3-オール、ネロリドール、レドール、(3,7,11-トリメチル-1,6,10-)ドデカトリエン-オールアセテート、6,10,14-トリメチル-2-ペンタデカノン、2-メチルオクタデカン、ジイソブチルo-ジベンゾエート、ノナデカン、2,6,10-トリメチルテトラデカン、ヘキサデカン酸、2-メチルエイコサン、3,7,11,15-テトラメチル-2-ヘキサデカン-オール、エイコサン、ブチルヘキサデシルカルボネート、3,7,11,15-テトラメチル-2-ヘキサデセノール、スパツレノール、ヘンエイコサン、テトラコサン、ペンタコサン、パルミチン酸イソブチル、ヘキサデカン酸シクロヘキシル、2,21-ジメチルドコサン、ビス(2-エチルヘキシル)アジペート、9-ブチルドコサン、オクタコサンを有する。
【0027】
一部の実施形態において、ワレモコウ及びセンダンの抽出物の抽出方法は以下の通りである:ワレモコウ及びセンダンをそれぞれ洗浄し、細かく刻み、続いてワレモコウ及びセンダンを均一に混合し、エタノールで2〜3時間還流しながら抽出し、3〜4回抽出し、10〜15時間冷蔵し、濾過し、濾液をエタノールが存在しなくなるまで減圧濃縮して抽出物を得る。
【0028】
一部の実施形態において、ワレモコウとセンダンの重量比は1:(2.5〜3.5)である。
【0029】
本発明を完成する過程において、本発明者は、予想外にも、ワレモコウ及びセンダンの抽出物を混合した後のエタノールによる抽出が、組成物の空気清浄効果を有意に改善する一方、ワレモコウ及びセンダンのエタノール抽出物の混合又はワレモコウ及びセンダンの抽出物の混合後の水による抽出はこの効果がないということを見出した。本発明者は、この理由が、本発明の抽出方法が活性成分の溶解を促進するためであると推測している。
【0030】
クララ(クジン、苦汁;Sophora flavescens)の抽出物
クララは、マメ科植物であるクララ(sophora flavescens)の乾燥根である。これは冷たい性質であり、味は苦く、熱及び湿気を取り除き、殺虫及び利尿機能の効果がある。クララの主要な成分は、マトリン、オキシマトリン、N-オキシソホカルピン、ソホリジン、d-アロマトリン、d-イソマトリン、d-ソホラノール、(+)ソホラノールN-オキシド、l-ソホカルピン、l-ソホラミン、d-N-メチルシチシン、l-アナギリン及びバプチホリンである。根はまた、様々なフラボノイド:クシェノールA、B、C、D、E、F、G、H、I、J、K、L、M、N、O、クラリジン、クラリジノール、クラリノール、ネオクラリノール、ノルクラリノール、イソクラリノン、ホルモノネチン、クラリノン、ノルクラリノン、メチルクシェノールC、l-マアキアイン、トリホリリジン及びトリホリリジン(rtifolirhizin)-6''-O-マロネート、クシェニン、イソアンヒドロイカリチン、ノルアンヒドロイカリチン、キサントフモール、イソキサントフモール並びにルテオリン-7-グルコシドを含有する。さらに、根はまた、トリテルペノイドサポニン:ソホラフラボシドI、II、III、IV、ソヤサポニンI及びキノン化合物クシェキノンAを含有する。地上部は、アルカロイド:マトリン、オキシマトリン、d-アロマトリン、イソマトリン、ソホラノール、ソホラノールN-オキシド、アナギリン、バプチホリン、l-N-メチルシチシン、l-ソホカルピン、l-ソホラミン、d-N-オキシソホカルピン、l-△7-デヒドロソホラミン、イソソホカルピン、1-13,14-デヒドロソホリジン、d-9a-ヒドロキシマトリン、l-9a-ヒドロキシソホカルピン、l-9a-ヒドロキシソホカルピンN-オキシド、l-7,8-デヒドロソホラミン、l-9a-ヒドロキシソホラミン、N-メチルシチシン(methyleytisine)の二量体、ソホリジン及びd-12-デヒドロマトリン(レーマンニン)を含有する。また、2-アルキルクロモン誘導体を含有し、その中には2-n-ヘンエイコシル-5,7-ジヒドロキシ-6,8-ジメチルクロモン及び2-n-トリコシル-5,7-ジヒドロキシ-6,8-ジメチルクロモンが主であり、2-n-トリデシル-5,7-ジヒドロキシ-6,8-ジメチルクロモン、2-n-ペンタデシル-5,7-ジヒドロキシ-6,8-ジメチルクロモン、2-n-ヘプタデシル-5,7-ジヒドロキシ-6,8-ジメチルクロモン、2-n-ノナデシル-5,7-ジヒドロキシ-6,8-ジメチルクロモン及び2-n-ペンタコシル-5,7-ジヒドロキシ-6,8-ジメチルクロモンも存在する。
【0031】
一部の実施形態において、クララ抽出物の抽出方法は、以下の通りである:クララを洗浄し、細かく刻み、続いてクエン酸水溶液に添加し、2〜3時間浸漬した後、マイクロ波で加熱して2〜3回抽出し、濾過し、濾液を減圧乾燥して抽出物を得る。
【0032】
一部の実施形態において、クエン酸水溶液の質量濃度は2〜5g/Lである。
【0033】
一部の実施形態において、クララとクエン酸水溶液の重量比は1:(9〜11)である。
【0034】
実験の過程において、本発明者は、クララを水で抽出することにより得られるクララ抽出物が、長期にわたって保管された空気浄化剤組成物から沈殿し、効果が影響を受けるが、この問題を、クエン酸水溶液によりクララ抽出物を浸漬し、その後抽出時にマイクロ波で加熱することによって解決し得ることを見出した。本発明者は、この可能性ある理由として、クエン酸がクララからのマトリンの溶解を促進し、組成物のpH値を調整し、その安定性を高め得るためであると推測している。
【0035】
ニセアカシア(ハリエンジュ;Robinia pseudoacacia)の抽出物
ニセアカシア(ハリエンジュ)は、ニセアカシア(acacia false)又はクロニセアカシア(black locust)とも呼ばれる、マメ科植物ニセアカシア(robinia pseudoacacia)である。品種の分類によれば、ニセアカシアは、ニセアカシア「ベッソウイアナ(Bessouiana)」、ニセアカシア「フリシア(Frisia)」、ニセアカシア「トーテゥオサ(Tortuosa)」、ニセアカシア「ピラミダリス(Pyramidalis)」、ニセアカシア「ウンブラキュリフェラ(Umbraculifera)」、ニセアカシア「ストリクタ(Stricta)」、ニセアカシア「デカイスネアナ(Decaisneana)」、トゲナシニセアカシア(Robinia pseudoacacia var. inermis)、ニセアカシア変種ミクロフィラ(var. microphylla)、ニセアカシア「アップライト(upright)」、ニセアカシア「イエロー(yellow)」、ニセアカシアf.ウンブラキュリフェラ(f. umbraculifera)、ピンク色花ニセアカシア及びニセアカシアL.に分けられる。
【0036】
本発明において、ニセアカシア「フリシア」及びニセアカシア「デカイスネアナ」を1:50の重量比でブレンドし、抽出する。
【0037】
ニセアカシアの抽出物は、好ましくは、ニセアカシアの葉及び花から抽出される。
【0038】
一部の実施形態において、ニセアカシア抽出物の抽出方法は、以下の通りである:
(1)ニセアカシア「フリシア」の葉及びニセアカシア「デカイスネアナ」の葉を1:50の重量比でブレンドし、洗浄し、細かく刻み、次に、アンモニア水で湿らせ、エタノールを添加し、1〜3時間還流し、熱しながら濾過し、エタノールが存在しなくなるまで濃縮し、ニセアカシアの葉の抽出物を得る。
(2)ニセアカシア「フリシア」の花及びニセアカシア「デカイスネアナ」の花を0.5:1.2の重量比でブレンドし、洗浄し、細かく刻み、蜂蜜を添加し、1〜3時間還流し、熱しながら濾過し、エタノールが存在しなくなるまで濃縮し、ニセアカシアの花の抽出物を得る。
(3)工程1及び工程2で得られたニセアカシアの葉の抽出物とニセアカシアの花の抽出物を混合し、エタノールを添加し、超音波下で2.5時間撹拌し、エタノールが存在しなくなるまで濃縮して、ニセアカシア抽出物を得る。
【0039】
ユーカリの葉の抽出物
ユーカリ(Eucalyptus)は中国語でユジャリーシュ(Youjialishu)とも呼ばれ、インドネシアやオーストラリアなどの原産地を持つフトモモ(Myrtaceae angophora)、コリンビア(Corymbia)及びユーカリ(eucalyptus L' Her.)の植物の一般的な名称である。ユーカリは、乾燥地域の硬葉樹木型、湿潤地域の硬葉樹木型、サバンナ型、乾燥地域の樹木型、高山の牧草型などの多数の種類がある。挙げることができる「ユーカリ属(Eucalyptus)」の種は、ユーカリ(eucalyptus globulus)、メイデンガム(eucalyptus maidenii)、レモンユーカリ(eucalyptus citriodora)、オオバユーカリ(eucalyptus robusta Smith)、銀丸葉ユーカリ(leaf-type E. cinerea)、ウロフィラユーカリ(eucalyptus urophylla)、ローズガム(eucalyptus grandis)、クーパーユーカリ(eucalyptus tereticornis)、ユーカリ(eucalyptus globulus)、ユーカヘタツ・ダンニイ・メイデン(EuCahetus dunnii Maiden)、ユーカリプタス サリグナ Sm.(eucalyptus. saligna Sm.)、ウロフィラユーカリ(eucalyptus urophylla)×ローズガム(E.grandis)、ローズガム(eucalyptus grandis)×ウロフィラユーカリ(E.urophylla)、ウロフィラユーカリ(E.urophylla)×セキザイユーカリ(E.camaldulensis)、セキザイユーカリ(eucalyptus camaldulensis Dehnh.)、ユーカヘタツ・ダンニイ・メイデン(EuCahetus dunnii Maiden)などである。
【0040】
ユーカリの葉は、マクロカルパルA、B、C、D、E、n-トリトリアコンタン-16,18-ジオンを含有する。葉及び芽は、オイグローバルを含有する。葉はまた、フラボノイド:ケルセトール(すなわち、ケルセチン)、ケルシトリン(querictrin)、ルチン、ヒペロシド、ケルセトール-3-グルコシド、及び没食子酸、カフェイン酸、フェルラ酸、ゲンチシン酸及びプロトカテク酸を含有する。葉表面の蝋は、5,4-ジヒドロキシ-7-メトキシ-6-メチルフラボン、クリシン、ユーカリプチン、8-デメチル-ユーカリプチン及び4,5-ジヒドロキシ-7-メトキシ-6,8-ジメチルフラボン(シデロキシリン)を含有する。葉中の揮発性油は、主にシネオールを含有し、さらにカリオフィレンを含有する。トリトリアコンタン-16,18-ジオン、3-O-メチルエラグ酸-4-ラムノシド、エラグ酸及びエラジタンニンは、樹皮及び木部から単離される。
【0041】
一部の実施形態において、ユーカリの葉の抽出物の抽出方法は、以下の通りである:1:18の重量比でブレンドしたオオバユーカリの樹皮及びオオバユーカリの葉の粉末を計量し、質量濃度が80%であるエタノールを添加し、3時間浸漬した後、マイクロ波加熱して3回抽出し、濾過し、濾液をエタノールが存在しなくなるまで減圧下で濃縮して抽出物を得る。
【0042】
キク(キクカ、菊花;chrysanthemum)の抽出物
本発明において、「キク」は、植物分類学においてキク科(compositae)のキクの根を有する多年生ハーブ植物である。栽培形態によると、キクはスプレーギク、一茎ギク、ダリギク、スアンヤ(Xuanya)ギク、イ(Yi)ギク、アントウ(Antou)ギクなどに分けられる。キクは、本来は冷たく、味は苦くて辛く、肝臓や心臓に供給される。
【0043】
キクの化学成分は、揮発性油成分、フラボン成分、フェノール酸成分及び他の成分である。
【0044】
揮発性油の成分は、主にモノテルペン、セスキテルペン及びそれらの酸素含有誘導体並びに脂肪族化合物などであり、揮発性油はまたキクラクトン、キクアルコール、クリサンテトリオール、クリサンテノン、cis-スピロエノールエーテル、trans-スピロエノールエーテル、アンゲロイルクマムブリンB、アンゲロイルアジャジン、スコットランドアルテミシンA(アルテグラシンA)、アンブロシンA、ウルソル酸、β-シトステロールなどを含有する。
【0045】
フラボンの主成分は、ルテオリン-7-O-β-グルコピラノシド、ブッドレオシド、ルテオリン、セレレオイン(celereoin)、アカセチン-7-グルコラムノシド、ルテオリン-7-グルコシド、ケルシトリン、アピゲニン-7-O-β-D-グルコピラノシド、ジオスメチン-7-O-β-D-グルコピラノシド、ケルセチン-3,7-ジ-O-β-D-グルコピラノシド、エリオジクチオール-7-O-β-D-グルコピラノシド、1-フェニル-2,3-ブタンジオール-3-O-β-D-グルコピラノシド及びヘスペリジン-7-O-β-D-グルクロノピラノシドである。
【0046】
フェノール酸の成分には、3-O-カフェオイルキナ酸、4-O-カフェオイルキナ酸、5-O-カフェオイルキナ酸、3,5-ジカフェオイルキナ酸メチルエステル、3,5-ジカフェオイルキナ酸、3,5-ジ-cis-カフェオイルキナ酸、1,5-ジカフェオイルキナ酸、1,3-ジカフェオイルキナ酸、クロロゲン酸などが含まれる。
【0047】
他の成分は、揮発性油成分、フラボン成分及びフェノール酸成分に加えて、Ca、Mg、及びFeなどの種々の微量元素、並びにタンパク質、アミノ酸、コリン、スタキドリン、プリン、タンニン、ビタミン、クロロフィル、カロテン、ベヘン酸グリセリル、パルミチン酸などを含有する。
【0048】
キク抽出物には多数の抽出方法、例えば、還流抽出法、超音波抽出法、水蒸気蒸留v、マイクロ波抽出法、組織破壊抽出法、及び超臨界二酸化炭素抽出法などがある。
【0049】
好ましい実施形態において、キク抽出物の抽出方法は、以下の通りである:キク5gを計量して細かく刻み、エタノールを添加し、2〜3時間浸漬した後、マイクロ波で加熱して2〜3回抽出し、濾過し、濾液をエタノールが存在しなくなるまで減圧下で濃縮して抽出物を得る。
【0050】
アロエベラ(Aloe vera)の抽出物
本発明において、「アロエベラ」は、干ばつに強いユリ科(Liliaceae)のハーブ植物であり、科学名は「アロエベラ(aloe vera)」であり、主にアフリカ及び他の場所に分布する。アロエベラは抗菌効果、抗炎症効果及び下剤効果を有し、それゆえ肝臓熱、鼓腸、便秘、頭痛、湿疹及び結石などの治療に高頻度で使用される。多糖及びアントラキノンは、新鮮なアロエベラに豊富に存在し、主な活性部位である。アロエベラゲルは、多量の炭水化物成分を含有し、そのほとんどが異なるタイプのグルコマンナンであり、アセチル化されたマンナンがより高い生物学的活性を有する。含有される他の単糖は、一般的なアラビノース、ガラクトース、グルコース、マンノース、ラムノースなどである。アントラキノン物質は、アロインとアロエ-エモジンが支配的である皮下柵状組織に主に分布しており、それらのいくつかは多糖と結合して糖タンパク質を形成し、それらのいくつかはヒドロキシペプチダーゼ、ペルオキシダーゼ、セルラーゼ及びスーパーオキシドジスムターゼなどの酵素の形態で存在する。アロエベラはまた、乳酸、琥珀酸、リンゴ酸、p-クマル酸、コハク酸及びクエン酸などを含有する。
【0051】
好ましい実施形態において、アロエベラ抽出物の抽出方法は、以下の通りである:アロエベラ20gを洗浄し、次に細かく刻み、加工された蜂蜜と均一に混合し、その後60℃に加熱し、3時間インキュベートし、冷却後に溶媒として水を使用して3〜5時間超音波で抽出し、3回抽出し、抽出液を合わせ、濾過し、水が存在しなくなるまで濃縮して抽出物を得る。
【0052】
用語「加工された蜂蜜」とは、以下のプロセスにより処理される蜂蜜を指す:蜂蜜を鍋に入れ、それを加熱してゆっくりと沸騰させ、弱火(slow fire)に切り替え、わずかな沸騰を維持し、泡及び浮遊ワックスを除去し、次に、死んだ蜂及び不純物を篩又はガーゼで除去した後、鍋に注ぎ、それを100℃〜118℃に加熱し、鍋に魚眼状の泡が満ち、手にべたつき感があり、もはや指の間に長く白い繊維がなくなっているときに、速やかに蜂蜜を鍋から取り出す。
【0053】
ナノ銀
ナノ銀は非常に大きな比表面積を有し、銀イオンが水溶液中に解離することができるため、ナノ銀の殺菌メカニズムは銀イオンに類似しているが、ナノ銀の有効濃度は銀イオンとはまったく異なる。ナノ銀の粒径が小さいほど、より高い透過性と殺菌力が得られる。ナノ銀粒子のサイズが小さいと、病原体に侵入しやすく、細菌中の酵素タンパク質のメルカプト基と速やかに結合し、メルカプト基を必要とする一部の酵素が失活し、病原菌が代謝できなくなって死滅するため、滅菌、組織修復及び創傷治癒の促進の効果を達成し得る。ナノ銀は、病原性細菌のDNA塩基と結合して交差結合を形成し、プリンとピリミジンの隣接する窒素原子間の水素結合を置換し、細菌のDNA複製能力の喪失とタンパク質不活性化の原因となり、それゆえ病原性細菌の不活性化をもたらす。ナノ銀はまた、細菌のアミノ基及びカルボキシル基と反応し、細菌やカビを殺す効果を発揮する。ナノ銀は、黄色ブドウ球菌(staphylococcus aureus)、大腸菌(escherichia coli)、緑膿菌(pseudomonas aeruginosa)、カンジダ・アルビカンス(candida albicans)、化膿連鎖球菌(streptococcus pyogenes)、腸球菌(enterococcus)、クラミジア・トラコマチス(chlamydia trachomatis)、ナイセリア淋菌(neisseria gonorrhoeae)などを死滅させることができる。
【0054】
新しい広域スペクトルの殺菌剤であるナノ銀は、耐性を引き起こすことなく短期間で様々な有害な細菌を殺すことができる。それは、浸透性が強く、皮膚の細孔から皮下組織に深く入り込むことができ、一般的な細菌、頑固な細菌、耐性の細菌及び真菌が引き起こした感染に対する良好な殺菌効果を有する。ナノ銀はまた、創傷治癒を促進し、創傷周囲の組織の血液循環を改善し、細胞増殖を促進し、創傷治癒を加速し、瘢痕を軽減することができる。
【0055】
本発明の好ましい溶液として、ナノ銀の粒径は1〜20nmであり、好ましくは1〜10nmである。
【0056】
ナノ銀の調製のため、物理化学的方法及び化学還元法を採用することができる。物理化学的方法は、光量子還元法、レーザーストリッピング法、高電圧マグネトロンスパッタリング法及び超音波法に分類され、化学還元法は、銀アンモニア錯イオン還元法、電気化学還元法及び逆ミセル法を含む。
【0057】
光量子還元法は、ナノ銀粒子を調製するための重要な方法である。その基本的な原理は、光照射によって溶液中に水和電子及び還元ラジカル基を生成することである。水和電子又はラジカル基は、溶液中の銀イオンを還元して活性銀を形成することができ、これを連続的に大きな粒子に蓄積し、ポリマー又は他の媒体によって粒子を安定化させることができる。この方法は、ナノ銀を製造する際に良好な再現性を有し、おそらく導入された不純物によって妨害されることなく室温で実施される。光量子還元法の還元プロセスは均一反応である。また、紫外線照射により、水和電子又は還元ラジカル基を生成することができる。
【0058】
レーザーストリッピング法の調製プロセスは以下の通りである:銀箔をガラス容器の底に置き、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム又はドデシル硫酸ナトリウムなど)の溶液10mlを添加する。溶媒は水、ブタノール、ヘキサン等とすることができる。532nmの波長、10nsのパルス幅、及び10Hzの繰り返し周波数を有する第2高調波放射がレーザー集束レンズによって生成されて銀箔に照射される。レンズと銀箔の距離を調整することにより、レーザービームのスポットサイズを1〜3mmに調整する。レーザー照射後、プラズマを発生させて銀箔をナノ粒子に変換することができる。 次いで、ナノ粒子を遠心分離及びデカンテーションによって収集する。
【0059】
高電圧マグネトロンスパッタリング法は、不活性ガス(例えば、ヘリウム、アルゴン、クリプトン)雰囲気を必要とし、ガス圧力は3mtorrと1torrとの間に維持され、スパッタリング源は、軸長約200mm、平面直径約50mm、最大出力1kWのDC電源を使用し得る。スパッタリング電圧は約350Vであってもよい。安定したプラズマが形成されると、液体窒素で冷却された銅基板からスパッタリングによって得られたナノ銀粒子を収集することができる。基板と試料との間の距離は約5.5cmである。
【0060】
超音波法は、超音波発生器で発生させた超音波を使用して界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなど)を含むAg+溶液を処理し、Ag+の還元によってナノスケールの銀粒子が得られる。
【0061】
銀アンモニア錯イオン還元法は、硝酸銀水溶液に濃アンモニア水を加えた後、過酸化水素を滴下することにより、ナノスケールの銀粒子を製造する。反応は以下の通りである:
2Ag(NH3)2+ + H2O2 + 2OH = 2Ag + O2 + 4NH3 + 2H2O
【0062】
反応は低温で行われ、高温による粒子成長は起こらず、銀粒子のサイズは制御が容易であり、そのため生成物のサイズ分布が狭く均一である。また別の方法では、溶液中の銀アンモニア錯イオンに、ポリビニルピロリドン、アルキルメルカプタン、オレイン酸及びパルミチン酸などの安定剤を添加し、アスコルビン酸又は水和物ヒドラジン又は水素化ホウ素ナトリウムを用いて銀アンモニア錯イオンを還元して、ナノ銀粒子とする。最後に、得られたナノ銀粒子をパッシベーション剤、例えばオレイン酸に浸漬し、オレイン酸を濾過により除去し、次いで真空乾燥により、ナノ銀粒子を得る。このような製造方法により得られるナノ銀粒子は、安定性が良好であり、分散性も良好である。
【0063】
電気化学的還元法は、電極反応によりナノ金属を調製する方法であり、その方法は高収率であり、生成物を容易に分離でき、金属水素化物又はホウ素不純物は反応プロセスに存在しない。この方法は、電流密度を変えることによって粒子サイズを制御することができ、2〜7nmの銀粒子を生成することができる。金属アノードは非プロトン性溶媒に溶解するので、調製されたナノ銀粒子は純粋である。
【0064】
逆ミセル法は、コロイド化学によって銀イオンを還元することにより、ナノ銀を調製する方法である。逆ミセルとは、有機溶媒に溶解した界面活性剤の濃度が臨界ミセル濃度を超えたときに形成されるミセルのことであり、この中では親水基が内側を向き、疎水基が外側を向く。逆ミセルカーネルは、水分子を可溶化して水コアを形成することができ、銀イオンが水コア中で還元されてナノ粒子を形成する。例えば、逆ミセルでは、ペンタヒドロキシフラボンによって硝酸銀が還元され、1〜1.5nmの銀粒子を生成する。ナノ銀粒子をα- Al2O3に担持させることもでき、銀イオンをステンレススチール器具に注入して還元することにより、ナノ銀をナノ活性炭の表面に担持させることができ、ナノ銀粒子を様々な生地、例えばナイロン-11、ナイロン-66などに担持させることができ、またナノ銀粒子をポリプロピレン不織布及び綿織物に担持させることができる。
【0065】
アルテミシニン
アルテミシニンは、複合花序植物であるアルテミシア・アヌア(Artemisia annua)から抽出される無色針状結晶である。化学名は(3R,5aS,6R,8aS,9R,12S,12aR)-オクタヒドロ-3,6,9-トリメチル-3,12-架橋酸素-12H-ピラン[4,3-j]-1,2-ベンゾジチア-10(3H)-オンである。その分子式は、C15H22O5であり、セスキテルペンラクトンに属する。このアルテミシニンは、ペルオキシ結合及び6員ラクトン環を有し、天然には非常に稀である過酸化物を含む1,2,4-トリオキサン構造単位を有する。分子は、7つのキラル中心を含み、環A及び環Bはシス連結し、イソプロピル基及びブリッジヘッド水素はトランス関係にあることを特徴とする。このアルテミシニンは、クロロホルム、アセトン、酢酸エチル及びベンゼンに容易に溶解し、エタノール及びエーテルに可溶性であり、冷石油エーテルにはわずかに溶解し、水にはほとんど不溶性である。その特別なペルオキシ基に起因して、それは熱的に不安定であり、湿気、熱及び還元物質の作用の下で分解され易い。
【0066】
本発明において、アルテミシニンは、Shanxi Senlang Biological Chemical Co. Ltd.から購入される。
【0067】
本発明の第2の態様は、上記空気浄化剤組成物を含む空気浄化剤を提供する。
【0068】
上記空気浄化剤の具体的な形態は特に限定されず、例えば、ペースト剤、液剤、泡剤、噴霧剤などである。
【0069】
本発明により提供される空気浄化剤組成物は、ワレモコウ及びセンダンの抽出物を添加することにより空気の清浄化効果が有意に改善され、またクララ抽出物のために特異的な抽出方法を採用することにより空気浄化剤組成物の安定性が改善している。
【0070】
[実施例]
A1:ワレモコウ及びセンダンの抽出物
抽出方法:ワレモコウ及びセンダンをそれぞれ洗浄し、細かく刻み、続いてワレモコウ及びセンダンを均一に混合し、エタノールで3時間還流しながら抽出し、4回抽出し、12時間冷蔵し、濾過し、濾液をエタノールが存在しなくなるまで減圧濃縮して抽出物を得る。
ワレモコウとセンダンの重量比は1:3である。
【0071】
A2:ワレモコウ及びセンダンの抽出物
抽出方法:ワレモコウ及びセンダンをそれぞれ洗浄し、細かく刻み、続いてワレモコウ及びセンダンを均一に混合し、水で3時間還流しながら抽出し、4回抽出し、12時間冷蔵し、濾過し、濾液を減圧乾燥して抽出物を得る。
ワレモコウとセンダンの重量比は1:3である。
【0072】
A3:ワレモコウ及びセンダンの抽出物
抽出方法:ワレモコウを洗浄し、細かく刻み、続いてエタノールで3時間還流しながら抽出し、4回抽出し、12時間冷蔵し、濾過し、濾液をエタノールが存在しなくなるまで減圧濃縮してワレモコウの抽出物を得る。センダンを洗浄し、細かく刻み、続いてエタノールで3時間還流しながら抽出し、4回抽出し、12時間冷蔵し、濾過し、濾液をエタノールが存在しなくなるまで減圧濃縮してセンダンの抽出物を得る。ワレモコウの抽出物とセンダンの抽出物を均一に混合し、抽出物を得る。
ワレモコウとセンダンの重量比は1:3である。
【0073】
B1:クララの抽出物
抽出方法:クララを洗浄し、細かく刻み、続いてクエン酸水溶液に添加し、3時間浸漬した後、マイクロ波で加熱して3回抽出し、濾過し、濾液を減圧乾燥して抽出物を得る。
クエン酸水溶液の質量濃度は4g/Lである。
クララとクエン酸水溶液の重量比は1:10である。
【0074】
B2:クララの抽出物
抽出方法:クララを洗浄し、細かく刻み、続いて水溶液に添加し、3時間浸漬した後、マイクロ波で加熱して3回抽出し、濾過し、濾液を減圧乾燥して抽出物を得る。
クエン酸水溶液の質量濃度は4g/Lである。
クララとクエン酸水溶液の重量比は1:10である。
【0075】
C:ニセアカシアの抽出物
抽出方法:
(1)ニセアカシア「フリシア」の葉及びニセアカシア「デカイスネアナ」の葉を1:50の重量比でブレンドし、洗浄し、細かく刻み、次に、アンモニア水で湿らせ、エタノールを添加し、2時間還流し、熱しながら濾過し、エタノールが存在しなくなるまで濃縮し、ニセアカシアの葉の抽出物を得る。
(2)ニセアカシア「フリシア」の花及びニセアカシア「デカイスネアナ」の花を0.5:1.2の重量比でブレンドし、洗浄し、細かく刻み、蜂蜜を添加し、2時間還流し、熱しながら濾過し、エタノールが存在しなくなるまで濃縮し、ニセアカシアの花の抽出物を得る。
(3)工程1及び工程2で得られたニセアカシアの葉の抽出物とニセアカシアの花の抽出物を混合し、エタノールを添加し、超音波下で2.5時間撹拌し、エタノールが存在しなくなるまで濃縮して、ニセアカシア抽出物を得る。
【0076】
D:ユーカリの葉の抽出物
抽出方法:1:18の重量比でブレンドしたオオバユーカリの樹皮及びオオバユーカリの葉の粉末を計量し、質量濃度が80%であるエタノールを添加し、3時間浸漬した後、マイクロ波加熱して3回抽出し、濾過し、濾液をエタノールが存在しなくなるまで減圧下で濃縮して抽出物を得る。
【0077】
E:キクの抽出物
抽出方法:キク5gを計量して細かく刻み、エタノールを添加し、2時間浸漬した後、マイクロ波で加熱して3回抽出し、濾過し、濾液をエタノールが存在しなくなるまで減圧下で濃縮して抽出物を得る。
【0078】
F:アロエベラの抽出物
抽出方法:アロエベラ20gを洗浄し、次に細かく刻み、加工された蜂蜜と均一に混合し、その後60℃に加熱し、3時間インキュベートし、冷却後に溶媒として水を使用して3時間超音波で抽出し、3回抽出し、抽出液を合わせ、濾過し、続いて水が存在しなくなるまで濃縮して抽出物を得る。
【0079】
G:ナノ銀
粒径は5nmである(Jida Tech JDTKS-001)。
【0080】
H:アルテミシニン
Shaanxi Senlang Biological Chemical Co. Ltd.製。
【0081】
実施例1〜5及び比較例1〜5の原材料の重量部を表1に記載する。
【表1】
【0082】
試験方法
実施例1又は比較例1〜5における空気浄化剤含量は10重量%であり、1,2-プロパンジオールの含量は20重量%であり、パルミチン酸の含量は15重量%であり、ステアリン酸の含量は6重量%であり、水酸化ナトリウムの含量は3重量%であり、ビタミンEアセテートの含量は0.1重量%であり、残りは水である。
【0083】
空気浄化剤の調製:1,2-プロパンジオール、パルミチン酸、ステアリン酸、水酸化ナトリウム、ビタミンEアセテート、水、及び実施例1又は比較例1〜5の混合物を、上で記載した比率で45℃で混合し、4時間攪拌し、蒸発乾固させ、ペースト状の空気浄化剤を得る。
【0084】
上記方法で調製した空気浄化剤を試験した。
【0085】
1. 有効期間試験:
1.1. 新鮮な空気浄化剤
1m3の密閉された試験チャンバ内で、ある体積の化学的に純粋なホルムアルデヒド(又はベンゼン若しくはアンモニア)を注入し、チャンバ内のファンを作動させた。試験チャンバ内のガス濃度は、初期濃度として1時間の直後に試験した。1m3の密閉された試験チャンバ内で、新たに調製された空気浄化剤をチャンバに入れた。チャンバ内のガス濃度は、72時間の直後にサンプリングされ試験され、以下に従って除去率を計算した:除去率=(初期濃度-サンプル濃度)×100/初期濃度。試験結果を表2に示す。
【0086】
1.2. 2カ月間保存した空気浄化剤
具体的な実験工程は、空気浄化剤が2カ月間保存された後に同試験のために用いられたことを除いて、1.1と同じであった。試験結果を表2に示す。
【0087】
表において、TVOCは、揮発性有機化合物の総量、すなわちすべての室内有機ガス状物質である。
【0088】
1.3. 安定性試験
空気浄化剤を密閉した透明容器内に12ヶ月入れ、沈殿出現に必要な時間を記録した。沈殿なしはAで示され、9〜11ヶ月に沈殿するものはBで示され、3〜8ヶ月に沈殿するものはCで示され、1〜2ヶ月に沈殿するものはDとして記録され、1ヶ月以内に沈殿するものはEとして記録される。試験結果を表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】
表2に見られるように、本発明により提供される空気浄化剤組成物を使用することにより、またワレモコウ及びセンダンの抽出物を添加することにより、空気の清浄化効果が有意に改善される一方、クララ抽出物のために特異的な抽出方法を採用し、それゆえ空気浄化剤組成物の安定性が高くなった。