(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564181
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】短絡ダイオードを検出するための方法、コントローラユニット、およびブリッジ整流器システム
(51)【国際特許分類】
H02H 7/125 20060101AFI20190808BHJP
H02M 7/06 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
H02H7/125
H02M7/06 H
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-239863(P2014-239863)
(22)【出願日】2014年11月27日
(65)【公開番号】特開2015-107049(P2015-107049A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2017年10月10日
(31)【優先権主張番号】13195304.4
(32)【優先日】2013年12月2日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】502236817
【氏名又は名称】アーベーベー・シュヴァイツ・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・レイスト
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル・フェターリ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・リューシャー
(72)【発明者】
【氏名】ユエルク・ラウヘンシュテイン
【審査官】
原 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】
特表平10−513034(JP,A)
【文献】
特開昭58−136230(JP,A)
【文献】
特開昭53−079235(JP,A)
【文献】
特開昭56−053573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 25/00−25/08
31/26
G05F 1/00−1/44
1/45−7/00
H02H 3/08−3/253
7/00
7/10−7/20
H02J 1/00−5/00
H02M 1/00−3/44
7/00−7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブリッジ整流器の各相につき2つの直列接続のダイオード(26)を含むブリッジ整流器(16)において短絡ダイオードを検出するための方法であって、
前記ブリッジ整流器(16)の2つの相の入力(20)同士の間の線間電圧(Vab,Vbc,Vca)を決定するステップを含み、それぞれの相の前記2つの直列接続のダイオード(26)同士の間に相の入力(20)が提供されており、さらに、
前記ブリッジ整流器(16)の転流時間(36)よりも長い間、前記線間電圧が0かどうかを決定することによって短絡ダイオードの障害を示すステップを含む、方法。
【請求項2】
前記線間電圧は、
前記ブリッジ整流器(16)の第1の相の入力(20)にて第1の相電圧(Va,Vb,Vc)を測定し、
前記ブリッジ整流器の第2の相の入力の第2の相電圧を測定し、
前記第1の相電圧と前記第2の相電圧との間の差として前記線間電圧を計算することにより、決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記線間電圧が、あらかじめ定められた電圧しきい値より小さい場合、前記線間電圧が0かどうか決定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記電圧しきい値は、前記ブリッジ整流器の相の入力での最大の相電圧の10%より小さい、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記線間電圧が0である時間があらかじめ定められた時間しきい値より長いということを決定することにより、前記ブリッジ整流器の転流時間(36)よりも長い間、前記線間電圧が0であるかどうかが決定される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記時間しきい値は、前記ブリッジ整流器の相の入力でのAC電圧の周期の20%より小さい、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ブリッジ整流器(16)は少なくとも3つの相の入力(20)を有しており、前記整流器の前記少なくとも3つの相の入力の間で、少なくとも3つの線間電圧が決定される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記相の入力(20)に接続される回路遮断器(24)が開いているかどうかを決定するステップと、
前記回路遮断器(24)が閉じている場合にのみ、短絡ダイオードを示すステップとをさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
3つの線間電圧があらかじめ定められたしきい電圧より小さいと決定することにより、前記回路遮断器(24)が開いていると決定される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ブリッジ整流器(16)のためのコントローラユニット(28)であって、前記コントローラユニットは、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法のステップを実行するために適合される、コントローラユニット。
【請求項11】
FPGAを含む、請求項10に記載のコントローラユニット(28)。
【請求項12】
各相につき2つの直列接続のダイオード(26)を有し、前記直列接続のダイオード同士の間に相の入力(20)を提供するブリッジ整流器(16)を含み、各相についての前記直列接続のダイオードは、前記ブリッジ整流器のDC出力(18)に並列に接続されており、さらに、
請求項10または11に記載のコントローラユニット(28)を含む、ブリッジ整流器システム(10)。
【請求項13】
前記ブリッジ整流器の前記相の入力(20)を電圧源に相互接続する変圧器(22)をさらに含み、
前記コントローラユニット(28)は、前記変圧器(22)と前記相の入力(20)との間で、前記ブリッジ整流器(16)の相の入力(20)にて、相電圧を測定するよう適合される、請求項12に記載のブリッジ整流器システム(10)。
【請求項14】
前記ブリッジ整流器(16)から電圧源(12)を切断するために適合される回路遮断器(24)をさらに含む、請求項12または13に記載のブリッジ整流器システム(10)。
【請求項15】
前記ダイオード(26)は中電圧ダイオードである、請求項12〜14のいずれか1項に記載のブリッジ整流器システム(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ブリッジ整流器において短絡ダイオードを検出するための方法およびコントローラユニットと、ブリッジ整流器システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
通常、三相ブリッジ整流器またはダイオードブリッジは、DC負荷に三相AC電圧源を相互接続している並列に接続されるダイオードの3つの直列接続の対を含む。
【0003】
正常に機能しているダイオードは通常、電流フローの一方向(導電方向)において非常に低い抵抗を有し、他の方向(ブロッキング方向)において非常に高い抵抗を有する。すべての電子部品のように、ダイオードは摩耗に晒され、時には障害が発生し得る。一般的な障害は、ブロッキング方向における非常に高い抵抗が低下してダイオードが両方向に導電するいわゆる短絡ダイオードである。
【0004】
短絡ダイオードの障害によって、ブリッジ整流器および接続された機器において電流が非常に高くなり得るので、検出された短絡ダイオードの障害の後、ブリッジ整流器の入力電流および/または出力電流は、非常に速く停止しなければならなくなり得る。そのため、このような障害の信頼性のある検出が非常に重要になる。
【0005】
たとえば、US2011/0216449 A1では、ダイオードの対の両端の電圧が測定されて、個々のダイオード電圧同士の間の比を決定している。その後、この比は分析されて、これらのダイオードのうちの1つに障害が存在するかどうかを決定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の説明
本発明の目的は、高速で、信頼性があり、かつ簡易な態様でダイオードの障害を検出することである。
【0007】
これらの目的は、独立項の主題によって達成される。さらなる例示的な実施形態は、従属項および以下の説明から明白である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面は、特に中電圧ブリッジ整流器であり得るブリッジ整流器またはダイオードブリッジにおいて短絡ダイオードを検出するための方法に関する。既に述べたように、短絡ダイオードは、両方向に導電しているダイオードであり得る。
【0009】
ブリッジ整流器は、ブリッジ整流器の各位相につき2つの直列接続のダイオードを含み得る。直列接続のダイオードの各対の間に位相入力が提供され得る。直列接続のダイオードの対同士は、ブリッジ整流器のDC出力を提供するよう並列に接続され得る。たとえばブリッジ整流器は、(3対のダイオードを有する)6パルスタイプであり得、その任意の組合せ(すなわち12パルスタイプ、24パルスタイプ、36パルスタイプなど)であり得る。
【0010】
本発明の実施形態に従うと、当該方法は、上記ブリッジ整流器の2つの位相入力同士の間の位相間電圧を決定するステップを含み、それぞれの位相の上記2つの直列接続のダイオード同士の間に位相入力が提供されており、さらに、上記ブリッジ整流器の整流時間よりも長い間、上記位相間電圧が0かどうかを決定することによって短絡ダイオードの障害を示すステップを含む。位相入力同士の間の位相間電圧がすべて決定されるということが可能であり得る。
【0011】
正常動作(障害なし)において、位相入力での位相間電圧は、対応するダイオードが整流を行っている場合、(たとえば、あるしきい値を下回る)0電圧に近いままである。たとえば、第1の位相電圧が第2の位相電圧より高くなっている場合、対応する第1のダイオードはまだ導電を行っているが、対応する第2のダイオードが導電を始める。この間に、整流器は位相を短絡している。(変圧器巻線のような)位相入力に接続される位相インダクタは、有限の整流時間の間、短絡電流を維持する。この整流時間は、所与の整流器システムに特有であり、通常、正常動作においてはある最悪の場合の値を超えない。
【0012】
ダイオード障害(短絡)の場合には、ブリッジ整流器はさらに、入力位相上に短絡を生成する。しかしながら、この状況では、この短絡は、整流時間より長く持続する。対応する位相間電圧は、所与の整流器システムについての最悪の場合の整流時間より長い時間の間、0に近い。当該方法は、ダイオード障害を検出するためにこの事実を利用する。詳細には、最悪の場合の整流時間より長い時間の間、0またはほぼ0の位相間電圧が検出または決定される場合、ダイオード障害が検出され得るか、および/またはダイオード障害出力信号が生成され得る。
【0013】
本発明の実施形態に従うと、上記位相間電圧は、上記ブリッジ整流器の第1の位相入力にて第1の位相電圧を測定するステップと、上記ブリッジ整流器の第2の位相入力の第2の位相電圧を測定するステップと、上記第1の位相電圧と上記第2の位相電圧との間の差として上記位相間電圧を計算するステップとによって決定される。たとえば、(たとえば3つの)位相電圧が、同じ基準に対して測定され得る。位相間電圧は、これらの位相電圧の差から計算され得る。
【0014】
本発明の実施形態に従うと、上記位相間電圧の絶対値が、あらかじめ定められた電圧しきい値より小さい場合、上記位相間電圧が0かどうか決定される。たとえば、中電圧システムにおいて、位相電圧の大きさは、0Vと1000Vより大きい間の範囲であり得る(したがって、位相間電圧は2000Vより大きくあり得る)。この場合、80Vのような100Vを下回る位相間電圧は、(ほとんど)0の電圧を示し得る。一般に、上記電圧しきい値は、上記ブリッジ整流器の位相入力での最大の位相電圧の約10%より小さくてもよい。
【0015】
本発明の実施形態に従うと、上記位相間電圧が0である時間があらかじめ定められた時間しきい値(すなわち最悪の場合の整流時間)より長い場合に、上記ブリッジ整流器の整流時間よりも長い間、上記位相間電圧が0であるかどうかが決定される。たとえば、位相電圧が50Hzまたは60Hzの周波数を有する場合、整流時間は約2msであり得る。この場合、時間しきい値は約3msであり得る。一般に、上記時間しきい値は、上記ブリッジ整流器の位相入力でのAC電圧の期間の20%より小さくてもよい。
【0016】
本発明の実施形態に従うと、上記ブリッジ整流器は少なくとも3つの位相入力を有しており、上記整流器の上記少なくとも3つの位相入力の間で、少なくとも3つの位相間電圧が決定される。既に述べたように、ブリッジ整流器は、12パルス整流器であり得る。
【0017】
本発明の実施形態に従うと、上記方法は、上記位相入力に接続される回路遮断器が開いているかどうかを決定するステップと、上記回路遮断器が閉じている(すなわち開いていない)場合にのみ、短絡ダイオードを示すステップとをさらに含む。さらに、回路遮断器が開いている場合に障害信号をマスキングするよう、回路遮断器の状態が検出され得る。そうでなければ、回路遮断器が開いている場合の消失している電圧が、ダイオード障害として解釈され得る。
【0018】
ダイオード障害に反応して、ブリッジ整流器の出力が短絡し、高いエネルギー損失および整流器システムの構成要素の強い摩耗が起こり得るので、正確に検出されなかったダイオード障害をマスキングすることによって、損失が小さくなるとともに、システムの寿命がより長くなり得る。
【0019】
本発明の実施形態に従うと、少なくとも2つまたはすべての位相間電圧の絶対値が0であるかまたはあらかじめ定められたしきい電圧より小さいと決定することにより、上記回路遮断器が開いていると決定される。(開または閉といった)回路遮断器の状態は、ダイオード障害の決定に使用されるのと同じ電圧測定に基づいて決定され得る。
【0020】
本発明のさらに別の局面は、ブリッジ整流器のためのコントローラユニットに関し、上記コントローラユニットは、上記および下記の方法のステップを実行するために適合される。コントローラユニットは、整流器システムのコントローラの一部またはサブモジュールであり得る。たとえば、上記の方法は、ハードウェア、またはコントローラユニットのプロセッサにおいて実行されるソフトウェアにおいて実現され得る。
【0021】
本発明の実施形態に従うと、上記コントローラユニットはFPGAを含む。上記の制御方法がFPGAにおいて実現されることも可能である。たとえば、コントロールユニットは、ブリッジ整流器の位相入力にて中電圧を測定することを可能にする電圧測定ボードを含み得、および/またはダイオード障害を検出するために測定値を処理し得るFPGAボードを含み得る。
【0022】
本発明のさらに別の局面は、ブリッジ整流器システムに関し、当該ブリッジ整流器システムは、各位相につき2つの直列接続のダイオードを有し、上記直列接続のダイオード同士の間に位相入力を提供するブリッジ整流器を含み、各位相についての上記直列接続のダイオードは、上記ブリッジ整流器のDC出力に並列に接続されており、さらに、上記および下記のコントローラユニットを含む。より高いパルスオーダ(12パルス、24パルスなど)のブリッジ整流器の場合には、当該方法は、完全なブリッジ整流器の各三相整流器ごとに個々に適用され得る。ダイオードは、中電圧ダイオードであり得る。
【0023】
本発明の実施形態に従うと、上記ブリッジ整流器システムは、上記ブリッジ整流器の上記位相入力を電圧源に相互接続する変圧器をさらに含む。上記コントローラユニットは、上記変圧器と上記位相入力との間で、上記ブリッジ整流器の位相入力にて、位相電圧を測定するよう適合され得る。一般に、当該方法は、変圧器を有していないがパワーグリッドに直接的に接続される整流器システムにも該当する。
【0024】
本発明の実施形態に従うと、上記ブリッジ整流器システムは、上記ブリッジ整流器から電圧源を切断するために適合される回路遮断器をさらに含む。回路遮断器は、電圧源としてのパワーグリッドを変圧器に接続し得、その後、ブリッジ整流器に給電する。
【0025】
上記および下記の方法の特徴は、上記および下記のコントローラユニットおよび/またはブリッジ整流器システムの特徴であってもよく、その逆であってもよいということが理解されなければならない。
【0026】
以下に記載される実施形態を参照して、本発明のこれらの局面およびその他の局面が明白および明確になるであろう。
【0027】
本発明の主題は、添付の図面において示される例示的な実施形態を参照して、以下の記載においてより詳細に説明される。
【0028】
図面において使用される参照符号およびそれらの意味は、参照符号のリストにおいて概要の形でリスト化されている。原則として、図において同一の部分には同じ参照符号が与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に従ったブリッジ整流器システムの回路図を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に従った、短絡ダイオードを検出するための方法についてのフロー図を示す図である。
【
図3】
図1のシステムの正常動作の間の位相間電圧の図を示す図である。
【
図4】
図1のシステムの障害動作の間の位相間電圧の図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
例示的な実施形態の詳細な説明
図1は、多相AC電圧を提供する電源(パワーグリッド)12をDC負荷14に接続する整流器システム10を示す。整流器システム10は、DC出力18と、回路遮断器24を介して電源12から給電される変圧器22に接続される3つの位相入力20とを有するブリッジ整流器16を含む。
【0031】
ブリッジ整流器16は、DC出力18に並列に接続される3対のダイオード26を含む。これらのダイオード26の各対における2つのダイオード26は、直列に接続されており、AC位相入力20のうち1つをそれらの間に提供する。示されたブリッジ整流器16は6パルス整流器である。対応する12、24または36パルス整流器が、6、12、...の位相入力およびダイオードの対を有する。
【0032】
整流器16の電圧強度を増加するために、各1つのダイオード26が2つ以上のダイオードの直列接続に置き換えられてもよい(たとえば、6パルス整流器は、位相区間(phase leg)につき4つのダイオードを有する、すなわち、合計で12個のダイオードを有する)。
【0033】
整流器システム10のコントローラユニット28は、位相入力20にて位相電圧V
a,V
b,V
cを測定するために適合される電圧測定ボード30と、ダイオードの障害が検出される場合に、測定された位相電圧を評価するとともに障害指示信号34を提供するために適合されるさらに別の障害検出ボード32とを含む。
【0034】
たとえば、障害検出ボード32は、デジタル化された測定された位相電圧値を受け取り、
図2に関して記載されるようにそれらを処理するFPGAに基づき得る。
【0035】
図2は、コントローラユニット28によって行なわれ得る、整流器16の短絡ダイオード26を検出するための方法についてのフロー図を示す。
【0036】
ステップS10において、位相電圧V
a,V
b,V
cは、電圧測定ボード30によって、(接地電位のような)共通の基準に対して測定され、デジタル化される。次いで、測定された位相電圧V
a,V
b,V
cは、障害検出ボード32へ入力され、障害検出ボード32は以下のステップS12〜S16を行なう。
【0037】
ステップS12において、位相入力20同士の間の位相間電圧V
ab,V
bc,V
caが、位相電圧V
a,V
b,V
c.同士の間の差として計算される。
【0038】
ステップS14において、回路遮断器22が開いているかどうか決定される。位相間電圧V
ab,V
bc,V
caが、電圧しきい値と比較される。3つの位相間電圧V
ab,V
bc,V
caのすべての絶対値が、電圧しきい値より小さい場合、回路遮断器が開いていると考えられる。
【0039】
ステップS14において、回路遮断器が開いていると決定された場合、障害検出ボード32は、ステップS16において、位相間電圧V
ab,V
bc,V
caが、ブリッジ整流器の最悪の場合の整流時間よりも長い間、0であるかどうかを決定する。
【0040】
まず、位相間電圧V
ab,V
bc,V
caは、(ステップS14において使用された電圧しきい値と同じまたは異なる値であってもよい)電圧しきい値と比較され、対応する電圧の絶対値が電圧しきい値より小さい場合、これらの電圧のうちの1つが0かどうか決定する。
【0041】
位相間電圧V
ab,V
bc,V
caのうちの1つが0であると考えられる場合、この電圧が0である時間が決定される。たとえば、この方法のステップは、すべての時間ステップについて規則的に繰り返され得、電圧が0である場合に、それぞれの位相間電圧V
ab,V
bc,V
caについてのカウンタがインクリメントされ得る。その後、時間ステップの期間×カウンタとして、対応する時間が計算され得る。
【0042】
位相間電圧V
ab,V
bc,V
caが0である時間が時間しきい値より長い場合(最悪の場合の整流時間より長い場合)、ダイオード26が短絡したと考えられ、対応する障害信号34が出力される。
【0043】
図3は、例として、ブリッジ整流器16の正常動作の間の3つの位相間電圧V
ab,V
bc,V
caの図を示す。ダイオード16の整流時間36は常に約2msである。
【0044】
図4は、ダイオードの短絡が0.1sで発生した対応する図を示す。位相間電圧V
caがほぼ0である時間38は、整流時間36よりはるかに長い。したがって、既に時点40で、当該方法は、ダイオード障害を示し得る。
【0045】
図面および上記の記載において詳細に本発明が説明および記載されたが、このような説明および記載は、説明的または例示的であって限定的でないと考えられるべきであり、本発明は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する他の変形例は、図面、開示および添付の特許請求の範囲の検討により、当業者によっておよび特許請求された発明を実施することによって、理解および達成され得る。特許請求の範囲において、「含む」という用語は、他の要素またはステップを除外せず、「ある(aまたはan)」という不定冠詞は、複数を除外しない。単一のプロセッサ、コントローラ、または他のユニットが、特許請求の範囲において記載されるいくつかの項目の機能を満たし得る。ある措置が相互に異なる従属項に記載されるという単なる事実は、都合よくこれらの措置の組合せが使用され得ないことを示さない。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、当該範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【符号の説明】
【0046】
参照符号のリスト
10 整流器システム
12 電源
14 負荷
16 ブリッジ整流器
18 DC出力
20 AC位相入力
22 変圧器
24 回路遮断器
26 ダイオード
28 コントローラユニット
V
a,V
b,V
c 位相電圧
30 電圧測定ボード
32 障害検出ボード
34 障害指示信号
V
ab,V
bc,V
ca 位相間電圧
36 整流時間
38 ダイオード短絡時間
40 障害指示時間