(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564204
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】圧縮機におけるアフタクーラドレンの回収部
(51)【国際特許分類】
F04B 39/16 20060101AFI20190808BHJP
F04B 41/02 20060101ALI20190808BHJP
【FI】
F04B39/16 F
F04B41/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-41505(P2015-41505)
(22)【出願日】2015年3月3日
(65)【公開番号】特開2016-160859(P2016-160859A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241795
【氏名又は名称】北越工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】特許業務法人小倉特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100081695
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 正明
(74)【代理人】
【識別番号】100103414
【弁理士】
【氏名又は名称】戸村 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】荒木 和也
【審査官】
田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭58−022479(JP,U)
【文献】
実開昭52−117855(JP,U)
【文献】
特開2002−168478(JP,A)
【文献】
特開2003−035260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/16
F04B 41/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被圧縮気体を圧縮して圧縮気体を生成する圧縮機本体と,前記圧縮機本体が生成した圧縮気体を冷却するアフタクーラと,前記アフタクーラで冷却した後の圧縮気体からドレンを分離して捕集するドレンセパレータを構成機器に含み,前記構成機器を防音箱内に収容した圧縮機において,
前記防音箱を,前記防音箱の底部を成す有底の箱型に形成されたフレームと,前記フレーム上を覆うボンネットにより形成すると共に,
少なくとも前記フレーム部分を含む前記防音箱の側壁に,前記ドレンセパレータで捕集されたドレンを回収するドレンタンクを出し入れするための出入口と,該出入口を開閉する開閉扉を設け,前記フレームの底板より立設された中間壁により画定される前記フレーム内の空間を,ドレンタンク収容部と,前記構成機器から漏出したオイル及び/又は燃料を溜めて機外への漏出を防止する防油堰として一体に構成して,前記出入口から前記中間壁に至る前記フレーム内の空間を前記ドレンタンクの少なくとも底部を収容する空間である前記ドレンタンク収容部とすると共に,前記開閉扉を閉位置に係止する扉係止機構を設けたことを特徴とする圧縮機におけるアフタクーラドレン回収部。
【請求項2】
前記ドレンタンクを,閉位置にある前記開閉扉と前記中間壁間で固定可能な幅に形成したことを特徴とする請求項1記載の圧縮機におけるアフタクーラドレン回収部。
【請求項3】
前記開閉扉の内面に,前記開閉扉を閉じた際,前記ドレンタンクに圧接する弾性部材を取り付けたことを特徴とする請求項1又は2記載の圧縮機におけるアフタクーラドレン回収部。
【請求項4】
前記ドレンタンク収容部の床面に,前記ドレンタンクの底面と摺接する,摩擦係数の低い材質で形成した摺動材を設けたことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の圧縮機におけるアフタクーラドレン回収部。
【請求項5】
前記ドレンセパレータのドレン排出口と前記ドレンタンクの入口間を連通するドレン配管の一部を雄雌一対の継手の組み合わせからなるホースジョイントにより形成したことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の圧縮機におけるアフタクーラドレン回収部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧縮機におけるアフタクーラドレンの回収部に関し,より詳細には,圧縮機本体が生成した圧縮気体を乾燥させて消費側に供給するために,圧縮気体を冷却するアフタクーラと,前記アフタクーラによる冷却で凝集した水蒸気をドレンとして捕集するドレンセパレータを備えた圧縮機において,前記ドレンセパレータが捕集したドレンを回収する回収部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
空気などの被圧縮気体を圧縮して圧縮気体を生成する圧縮機は,空気作業機等に対する圧縮気体の供給源として種々の場面で使用されている。
【0003】
このような圧縮機の一例として,油冷式のスクリュ圧縮機を例に挙げて説明すると,この油冷式のスクリュ圧縮機では,圧縮機本体の圧縮作用空間を潤滑,密封及び冷却するための冷却油を圧縮作用空間内に導入する構成を採用しており,圧縮機本体は,冷却油との気液混合流体として圧縮気体を吐出する。
【0004】
そのため,圧縮機本体が冷却油と共に吐出した圧縮気体は,セパレータレシーバタンクに導入され,このセパレータレシーバタンク内で冷却油の一次分離が行われた後,更にオイルセパレータによって圧縮気体中に含まれる油分が二次分離され,その後,消費側に供給される。
【0005】
このような圧縮機において,消費側に乾燥した圧縮気体を供給することが要求される場合,オイルセパレータを通過した後の圧縮気体を,更にアフタクーラに導入して冷却することで,圧縮気体中に含まれる水蒸気を凝集させ,凝集させた水蒸気をドレンセパレータでドレンとして分離し捕集することにより,水分が除去されて乾燥した圧縮気体を消費側に供給することができるようにしている。
【0006】
このドレンセパレータの下部には,ホース等によって構成されたドレン配管が接続されており,このドレン配管を機外に延長することで,ドレンセパレータで捕集したドレンを,圧縮気体の圧力によって機外に排出する構成が一般的に採用されている。
【0007】
しかし,ドレンセパレータで捕集されたドレンには,オイルセパレータで取り切れなかった冷却油等も混入するため,ドレン配管を介してドレンを直接,機外に排出して地面等に吸収させると,ドレンに含まれる冷却油等によって圧縮機の設置場所周辺が汚染されるという問題がある。
【0008】
このようなアフタクーラドレンの排出に伴う汚染を防止するために,ドレン配管を介して機外に排出されたドレンを貯溜タンク内に回収することで,アフタクーラドレンの排出に伴う汚染を防止できるようにした圧縮機も提案されている(特許文献1の
図1,[0020]欄他参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−19443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前掲の特許文献1として紹介した圧縮機では,ドレン配管によって機外に排出したアフタクーラドレンを貯溜タンク内に回収する構成を採用しているため,貯溜タンク内に回収されたドレンが適切に廃棄されることで圧縮機の周辺環境が汚染されることを防止できる。
【0011】
しかし,前掲の特許文献1に記載の構成では,貯溜タンクを機外に配置する構成を採用しているために,圧縮機の設置には,圧縮機自体の設置スペースを確保する他,貯溜タンクの設置スペースについても確保する必要があり,また,保管,運搬に際しても貯溜タンク分のスペースが必要となる。
【0012】
このように,ドレンを回収するための貯溜タンクを機外に配置することに伴い生じる問題を解消するために,貯溜タンクを防音箱内に収容することも考えられるが,貯溜タンクを防音箱内に収容しようとした場合,防音箱内に貯溜タンクを収容するための空間を新たに確保する必要があり,防音箱が大型化する結果,圧縮機全体も大型化する。
【0013】
なお,特許文献1に記載されている圧縮機のように,貯溜タンクを防音箱外に配置した構成では,貯溜タンク内に溜まったドレンの廃棄は,貯溜タンクをドレンの廃棄場所迄搬送し,溜まったドレンを排出し,その後,空になった貯溜タンクを,再度,ドレンホースの下端位置に配置する等して行えば良い。
【0014】
しかし,防音箱内に貯溜タンクを収容する構成を採用する場合,圧縮機の移動時や運搬時に貯溜タンクが防音箱内で移動,転倒等することがないよう,貯溜タンクを防音箱内に固定することが必要で,この固定を,ボルト留め等の方法で行う場合,溜まったドレンを貯溜タンクごと防音箱内より取り出してドレンの廃棄場所まで搬送しようとすれば,ドレンの廃棄を行う度に貯溜タンクを固定しているボルト等の着脱作業が必要となり煩雑である。
【0015】
このような着脱の煩雑さを回避するために,貯溜タンクを防音箱内に固定したまま取り出すことなく,貯溜タンク内に溜まったドレンのみを機外に排出できるようにする構造を採用することも考えられ,例えば貯溜タンクの底部にドレン排出口を設け,このドレン排出口を開閉する開閉弁を防音箱外より操作可能な位置に取り付けると共に,ドレン排出口と連通するドレンホースを防音箱外に延設する構成を採用することも考えられる。
【0016】
しかし,この構成では,ドレンホースを介して防音箱外に排出されたドレンを,一旦,運搬用の容器に移し替え,この運搬用の容器をドレンの廃棄場所迄搬送し,ドレンを廃棄する作業を,貯溜タンク内に回収されたドレンが無くなるまで繰り返し行う必要があり,依然としてドレンの廃棄作業が煩雑であるだけでなく,貯溜タンクとは別に運搬用の容器を準備する必要があり,また,ドレンの移し替え時にドレンをこぼす等すれば,圧縮機の周辺を汚染することにもなる。
【0017】
そこで本発明は,ドレンを回収して貯溜するタンク(ドレンタンク)を防音箱内に配置した場合に生じ得る上記問題を解消するためになされたもので,ドレンタンクを防音箱内に配置した構造を採用するものでありながら,圧縮機全体の大型化を防止することができるアフタクーラドレンの回収部を提供することを目的とする。
【0018】
また,本発明は,上記目的に加え,防音箱に対するドレンタンクの着脱を容易に行うことができるようにすることで,ドレンタンク内に回収されたドレンを比較的簡単に廃棄等することのできる,作業性に優れたアフタクーラドレンの回収部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本願発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0020】
上記目的を達成するために,本発明の圧縮機におけるアフタクーラドレン回収部は,
被圧縮気体を圧縮して圧縮気体を生成する圧縮機本体5と,前記圧縮機本体5が生成した圧縮気体を冷却するアフタクーラ40と,前記アフタクーラ40で冷却した後の圧縮気体からドレンを分離して捕集するドレンセパレータ41を構成機器に含み,前記構成機器を防音箱10内に収容した圧縮機において,
前記防音箱10を,前記防音箱10の底部を成す
有底の箱型に形成されたフレーム20と,前記フレーム20上を覆うボンネット30により形成すると共に,
少なくとも前記フレーム20部分を含む前記防音箱10の側壁に,前記ドレンセパレータ41で捕集されたドレンを回収するドレンタンク50を出し入れするための出入口60と,該出入口60を開閉する開閉扉28を設け,
前記フレーム20の底板より立設された中間壁(防油壁215)により画定される前記フレーム20内
の空間を,ドレンタンク収容部27と,前記構成機器から漏出したオイル及び/又は燃料を溜めて機外への漏出を防止する防油堰として一体に構成して,前記出入口60
から前記中間壁(防油壁215)に至る前記フレーム20内の空間を前記ドレンタンク50の少なくとも底部を収容する空間である
前記ドレンタンク収容部27
とすると共に,前記開閉扉28を閉位置に係止する扉係止機構70を設けたことを特徴とする(請求項1)。
【0021】
上記構成のアフタクーラドレン回収部において
,前記ドレンタンク50を,閉位置にある前記開閉扉28と前記中間壁215間で固定可能な幅に形成するものとしても良い(請求項2)。
【0022】
前記開閉扉28の内面に,前記開閉扉28を閉じた際,前記ドレンタンク50に圧接する弾性部材(弾性ゴム)29(
図3参照)を取り付けるものとしても良い(請求項3)。
【0023】
また,前記ドレンタンク収容部27の床面に,前記ドレンタンク50の底面と摺接する,摩擦係数の低い材質で形成した摺動材55を設けるものとしても良い(請求項4)。
【0024】
更に,前記ドレンセパレータ41のドレン排出口41aと前記ドレンタンク50の入口51間を連通するドレン配管42の一部を雄雌一対の継手の組み合わせからなるホースジョイント421により形成するものとしても良い(請求項5)。
【発明の効果】
【0025】
以上で説明した本発明の構成により,本発明のアフタクーラドレン回収部を備えた圧縮機1では,以下の顕著な効果を得ることができた。
【0026】
ドレンセパレータ41で捕集したドレンを回収するドレンタンク50を防音箱10内に配置したことで,設置時において圧縮機1の他にドレンタンク50の設置スペースを確保する必要がなく,また,保管や移動に際しても圧縮機1の他にドレンタンク50を別途保管,移動等することが不要となった。
【0027】
しかも,防音箱10内に対するドレンタンク50の収容を,従来,構成機器の収容に使用されていなかったフレーム20内の空間を使用して行ったことで,防音箱10を大型化することなしに,防音箱10内にドレンタンク50を収容する空間を確保することができた。
【0028】
少なくとも前記フレーム20部分を含む前記防音箱10の側壁に,前記ドレンタンク50の出入口60と,該出入口60を開閉する開閉扉28を設け,前記フレーム内に,前記出入口と連通し,且つ,前記ドレンタンク50の少なくとも底部を収容する空間であるドレンタンク収容部27を形成すると共に,前記開閉扉28を閉位置に係止する扉係止機構を設けた構成では,開閉扉28の開放によってドレンタンク50の着脱等の作業を容易に行うことができた。
【0029】
前記フレーム20内に中間壁(防油壁215)を立設し,前記出入口60から前記中間壁215に至る前記フレーム20内の空間を前記ドレンタンク収容部27と成すと共に,前記ドレンタンク50を,閉位置にある前記開閉扉28と前記中間壁215間で固定可能な幅に形成した構成では,ドレンタンク収容部27内にドレンタンク50を収容した状態で開閉扉28を閉じると共に,この開閉扉28を扉係止機構70によって閉位置に係止するだけで,ボルト留め等の煩雑な作業を行うことなしにドレンタンク50をフレーム20内の所定の位置に固定することができた。
【0030】
前記開閉扉28の内面に,前記開閉扉28を閉じた際,前記ドレンタンク50に圧接する弾性部材(弾性ゴム)29を取り付けた構成にあっては,ドレンタンク50と開閉扉28の接触時における衝撃を緩衝することができると共に,弾性部材が,ドレンタンク50と開閉扉28間の隙間を埋めることで,ドレンタンク50のがたつきを防止することができた。
【0031】
特に,前述した中間壁(防油壁215)を設けた構成にあっては,開閉扉28の内面に設けた弾性部材29がドレンタンク50の側面を押圧して中間壁215との間でドレンタンク50を挟持することで,ドレンタンク50を遊び無く確実に固定することができた。
【0032】
前記ドレンタンク50の底面と接触する前記ドレンタンク収容部27の床面に,ナイロン板等の摩擦係数の低い材質で形成した摺動材55を設けた構成にあっては,ドレンを回収して重くなったドレンタンク50を容易に摺動させてドレンタンク収容部27より引き出すことが可能であり,ドレンタンク50の着脱作業をより一層容易に行うことができた。
【0033】
更に,ドレン配管42の一部を雄雌一対の継手の組み合わせからなるホースジョイント421により形成した構成にあっては,ドレンタンク50の着脱に伴う配管作業を,ホースジョイント421を構成する雄の継手と雌の継手の分離,接合を行うことで極めて容易に行うことができ,作業性の良いアフタクーラドレン回収部を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明のアフタクーラドレン回収部を備えた圧縮機の正面透視図。
【
図2】本発明のアフタクーラドレン回収部を備えた圧縮機の平面透視図。
【
図4】
図3の矢示B方向より見たアフタクーラドレン回収部(開閉扉を除去した状態)。
【
図5】
図3の矢示B方向より見たアフタクーラドレン回収部(開閉扉を閉じた状態)。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に,添付図面を参照しながら本発明のアフタクーラドレン回収部を備えた圧縮機の構成について説明する。
【0036】
図1は,本発明のアフタクーラドレン回収部を備えた圧縮機の正面透視図であり,
図1に示した圧縮機1は,フレーム20とボンネット30によって構成された防音箱10内に必要な機器を収容した,防音型のエンジン駆動型圧縮機1として構成されている。
【0037】
本実施形態において,防音箱10を構成する前述のフレーム20は,圧縮機1の構成機器を搭載するための基台としての機能と,構成機器より漏出したオイルや燃料が機外に漏出することを防止する防油堰(一般には,オイルフェンスあるいはオイルパンと呼ばれる場合もある)としての機能を備えた,防油堰一体型の構造として形成したもので,図示の実施形態にあっては,有底の箱型に形成された下フレーム21上に,平面視略矩形の枠状に組み合わせたチャネル材によって構成された上フレーム25を載置固定してフレーム20を形成している。
【0038】
前述の下フレーム21は,フレーム20に主として防油堰としての機能を付与するもので,一例として
図6に示すように,平面視矩形状の底板211と,前記底板211上より立ち上げた4枚の防油壁212〜215によって形成されており,底板211と4枚の防油壁212〜215によって囲まれた空間S内に漏出したオイルや燃料を貯めることができる防油堰として構成されている。
【0039】
図示の例では,防油壁212,213,214を,底板211長手方向の2辺と幅方向の1辺より立ち上げると共に,底板211の残りの幅方向の1辺211aに対し所定の長さ内側に入った位置より中間壁である防油壁215を立ち上げて,底板211と防油壁212〜215によって囲まれた空間Sを,漏出したオイルや燃料を貯める防油堰として構成すると共に,中間壁である防油壁215と底板211の前記一辺211a間に後述するドレンタンク50を収容するドレンタンク収容部27を形成している。
【0040】
前述の上フレーム25は,フレーム20に主として構成機器を搭載する基台としての機能を付与するもので,本実施形態にあっては,断面コ字状の4本のチャネル材を,前記コ字が内向きに開口するように略枠状に組み立てて上フレーム25を形成し,この上フレーム25を,下フレーム21の防油壁212〜215上に載置すると共にボルト等で着脱可能に固定して,下フレーム21の防油壁212〜215を上方に延長し,この上フレーム25上に床板251を設けて,圧縮機の構成機器中,エンジン3,圧縮機本体5,レシーバタンク7,オイルセパレータ9,ラジエータ6,マフラ8aやテールパイプ8b等のエンジンの排気系統8,アフタクーラ40,ドレンセパレータ41等の構成機器を搭載可能としている。
【0041】
一方,エンジン3の搭載位置の下部における床板251には開口252が形成され,この開口252の下方においてフレーム20内に形成された空間Sに,燃料タンク4を収容すると共に(
図1参照),長手方向一端側におけるフレーム20の内部には,中間壁である防油壁215と上フレームの側壁255によって奥行きが画定され,底板211と床板251間で高さが画定されたドレンタンク収容部27が形成されており,このドレンタンク収容部27内にドレンタンク50を収容することができるように構成されている(
図1,
図3参照)。
【0042】
このようにフレーム20を,防油堰としての機能を備えた防油堰一体型の構成としたことで,圧縮機1の設置に際し別途,防油堰を設ける必要がないだけでなく,フレーム20の高さが増すことでフレーム20内に燃料タンク4やドレンタンク50を収容するための空間を確保し易く,比較的大型の燃料タンク4やドレンタンク50であっても搭載することが可能となる。
【0043】
フレーム20に設けたドレンタンク収容部27に収容されるドレンタンク50は,前述のドレンセパレータ41で捕集されたドレンを回収して貯溜するもので,本実施形態にあっては,このドレンタンク50を,
図3に示すように前記ドレンセパレータ41に連通される入口51と,前記防油堰内の空間Sに連通される出口52を備えた構成と成すと共に,圧縮機1に対する搭載時,この入口51と出口52の二カ所を除き密閉された構造に形成している。
【0044】
このドレンタンク50やドレンタンク収容部27は,ドレンタンク収容部27にドレンタンク50を収容した際,ドレンタンク50の入口51がドレンセパレータ41の下端部に設けたドレン排出口41aよりも低位置に配置されるよう構成することが好ましい。
【0045】
図3に示す実施形態にあっては,ドレンタンク50の全高を,フレーム20の高さよりも低く形成し,ドレンタンク収容部27にドレンタンク50を収容した際,下フレーム21の底板211と,上フレーム25に設けた床板251間にドレンタンク50の全体が収まるように構成しているが,この構成に代え,ドレンタンク収容部27にはドレンタンクの底部のみを収容するように形成し,ドレンタンク50の上端を,床板251を貫通してボンネット30内の空間迄突設するように構成しても良い。
【0046】
このように,ドレンタンク50の上端を床板251よりも上方に突設させる構成とした場合であっても,ドレンタンク50の全体を床板251上に搭載する場合に比較して高さを減じることができ,ドレンセパレータ41の下端部に設けたドレン排出口41aに対し,ドレンタンク50の入口51を低位置に設けることが容易となる。
【0047】
なお,ドレンタンク収容部27の形成位置における防音箱10の側面,図示の実施形態にあってはフレーム20部分の側面には,
図3に示すように,防音箱10に対しドレンタンク50の出し入れを行うための出入口60が設けられていると共に,この出入口60を開閉する開閉扉28を設け,この開閉扉28によって前記出入口60を閉じることができるようにすることで,防音箱10内で発生した騒音がこの部分を介して機外に漏出することを防止できると共に,機外よりドレンタンク50の存在を隠すことができ圧縮機1の外観が向上する。
【0048】
図示の実施形態において,前記開閉扉28は,その上端を床板251の底面にヒンジ62を介して揺動可能に取り付けられていると共に,下端側に扉係止機構70が設けられており,この扉係止機構70によって,開閉扉28を閉位置に係止することができるように構成されている。
【0049】
図示の実施形態において,この扉係止機構70はラッチ錠であり,このラッチ錠に設けられているハンドル71の操作によりラッチ72を開閉扉28の下端縁より突出させることで,ラッチ72の突出時,下フレーム21の底板211の幅方向の一辺211a近傍にスリット状の穴として設けたラッチ受け73(
図6参照)にラッチ72を挿入することで,開閉扉28を閉位置に係止することができるように構成されている。
【0050】
この開閉扉28は,閉位置において中間壁である防油壁215に対し所定間隔W1(
図3参照)を介して平行となるよう取り付けられており,防音箱10内でドレンタンク50が移動や転倒をすることがないよう,ドレンタンク50の幅W2を,前記間隔W1に対し僅かに小さく形成することで,開閉扉28と防油壁215間でドレンタンク50の位置を固定できるようにしている。
【0051】
これにより,ドレンタンク50をドレンタンク収容部27内に配置した後,開閉扉28を閉じると共に扉係止機構70によって閉位置に係止するだけで,ドレンタンク50をフレーム20に対しボルト止め等することなく,ドレンタンク収容部27内の所定の位置に固定することができる。
【0052】
図示の実施形態では,開閉扉28の内面に弾性ゴム29等の弾性材料を取り付けており,開閉扉28を閉じた際に,この弾性ゴム29をドレンタンク50の側面に圧接することで,ドレンタンク50を防油壁215(図示の例では防油壁215に取り付けた弾性材料22)と開閉扉28に設けた弾性ゴム29間で挟持することにより,ドレンタンク50のがたつきを防止した状態でドレンタンク収容部27内に固定することができるように構成している。
【0053】
このようにして,ドレンタンク収容部27内に固定されたドレンタンク50の入口51には,ドレンセパレータ41に設けられているドレン排出口41aがドレン配管42を介して連通されており,また,ドレンタンク50に設けた出口52には,上フレーム25の側壁255を貫通して防油堰内の空間S上で一端を開口するオーバーフロー配管44を連通し,ドレンタンク50内に回収されたドレンの液面が上昇して出口52に至るとオーバーフローして,このオーバーフローしたドレンが防油堰内の空間Sに回収されるように構成している。
【0054】
なお,
図3〜5中の符号53はキャップであり,このキャップ53を外すことでドレンタンク50に設けた排水口54を開放することができ,この排水口54を介して回収したドレンの排水を行うことができるように構成されている。
【0055】
ドレンの排出は,ドレンタンク50をドレンタンク収容部27より取り出し,取り出したドレンタンク50を,ドレンの廃棄場所に運んで排水する。
【0056】
このようなドレンタンク50の取り出しを容易とするために,本実施形態にあっては,ドレンタンク収容部27内に配置されたドレン配管42及びオーバーフロー配管44の一部を,雄の継手と雌の継手を着脱可能に組合せて成るホースジョイント421,441によって形成し,この位置でドレン配管42及びオーバーフロー配管44を2分割できるようにすることで,ドレンタンク50の取り出し及び取り付け時に,各配管42,44の着脱作業を容易に行うことができるようにしている。
【0057】
また,
図3〜5中の符号55は,例えばナイロン製の板等の,摩擦係数の低い材質で形成された板材からなる摺動材であり,このような摺動材55をドレンタンク50の底面と接触する位置でドレンタンク収容部27の床面(下フレーム21の底板211)に取り付けることで,ドレンの回収によって重たくなったドレンタンク50を,ドレンタンク収容部27より容易に引き出すことができるようにしている。
【0058】
以上で説明した本発明のアフタクーラドレン回収部を備えたエンジン駆動型圧縮機のエンジン3を始動して圧縮機本体5を駆動すると,圧縮機本体5は被圧縮気体の圧縮を開始する。
【0059】
圧縮機本体5として油冷式のスクリュ圧縮機を採用する本実施形態にあっては,圧縮機本体5は冷却油と共に被圧縮気体の圧縮を行うことから,冷却油との気液混合流体として圧縮気体を吐出し,このようにして冷却油と共に吐出された圧縮気体は,レシーバタンク7内に導入され,レシーバタンク7内で冷却油の一次分離が行われた後,更にオイルセパレータ9に導入されて圧縮気体中に残る油分が二次分離される。
【0060】
オイルセパレータ9によって冷却油の二次分離が終了した圧縮気体は,アフタクーラ40に導入されて冷却され,この冷却の際に圧縮気体中の水蒸気が凝集して生じたドレンをドレンセパレータ41によって除去した後,ドレンが除去された乾燥した圧縮気体が,図示せざる空気作業機等が接続された消費側に供給される。
【0061】
ドレンセパレータ41で捕集されたドレンは,ドレンセパレータ41の下部に設けたドレン排出口41aに連通されたドレン配管42を介して圧縮気体と共にドレンタンク50内に導入され回収される。
【0062】
圧縮機の運転を継続することにより,ドレンタンク50には徐々にドレンが溜まり,このようにして,ドレンタンク50内に溜まったドレンは,オーバーフローが生じる前にドレンタンク50をドレンタンク収容部27より取り出して廃棄することが好ましい。
【0063】
このようなドレンの廃棄は,扉係止機構70であるラッチ錠に設けられているハンドル71の操作によって開閉扉28の係止を解除し,ドレンタンク収容部27を覆う開閉扉28を開き,ドレンタンク50とドレンセパレータ41間を連通するドレン配管42をホースジョイント421部分で切り離すと共に,ドレンタンク50と防油堰内の空間Sを連通するオーバーフロー配管44をホースジョイント441部分で切り離し,この状態でドレンタンク50をドレンタンク収容部27より機外に引き出して行う。
【0064】
ドレンタンク50の底面と接触する位置の底板211上に摺動材55を取り付けた本実施形態の構成では,ドレンを回収して重たくなったドレンタンク50であっても,この摺動材55によって比較的容易に引き出すことが可能であり,このようにして引き出したドレンタンク50は,取っ手56を把持する等してドレンの廃棄位置まで運び,キャップ53を外して排水口54より排出する。
【0065】
ドレンを排出した後のドレンタンク50は,キャップ53により排水口54を閉じた後,再度,ドレンタンク収容部27内に収容し,ドレン配管42及びオーバーフロー配管44のホースジョイント421,441を接続した後,開閉扉28を閉じると共に扉係止機構70によってこの開閉扉28を閉位置に係止すると,開閉扉28に設けた押圧用の弾性ゴム29によってドレンタンク50の側面が押圧されて,ドレンタンク50がドレンタンク収容部27内の所定の位置に固定されて,圧縮機1に対するドレンタンク50の装着が完了する。
【0066】
このように,本発明のアフタクーラドレン回収部を備えた圧縮機では,防音箱10に対するドレンタンク50の着脱と固定を極めて容易に行うことができ,その結果,回収したドレンの廃棄作業を容易に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 圧縮機(防音型エンジン駆動圧縮機)
3 エンジン
4 燃料タンク
5 圧縮機本体
6 ラジエータ
7 レシーバタンク
8 排気系統
8a マフラ
8b テールパイプ
9 オイルセパレータ
10 防音箱
20 フレーム
21 下フレーム
211 底板
211a 幅方向の一辺(底板211の)
212〜214 防油壁
215 防油壁(中間壁)
22 弾性材料
25 上フレーム
251 床板
252 開口
255 側壁
27 ドレンタンク収容部
28 開閉扉
29 弾性ゴム
30 ボンネット
40 アフタクーラ
41 ドレンセパレータ
41a ドレン排出口
42 ドレン配管
421 ホースジョイント
44 オーバーフロー配管
441 ホースジョイント
50 ドレンタンク
51 入口
52 出口
53 キャップ
54 排水口
55 摺動材
56 取っ手
60 出入口
62 ヒンジ
70 扉係止機構
71 ハンドル
72 ラッチ
73 ラッチ受け