【実施例】
【0010】
以下に、本発明の実施例である発光装置について、
図1乃至5を参照しつつ説明する。
図1及び
図2に示すように、本発明による発光装置10は、第1の基板としての下部基板11、第2の基板としての上部基板13、及び下部基板11と上部基板13によって挟持されている波長変換体15によってレーザダイオード17を封止してなる発光装置である。
【0011】
下部基板11は、AlN等の絶縁体からなる略直方体の基板である。
図2乃至4に示すように、下部基板11の上面11Aには素子搭載凹部19が形成されている。素子搭載凹部19は、略直方体状の凹部であり、下部基板11の短手方向に平行な側面11Bにまで達している。すなわち、素子搭載凹部19は側面11Bにおいて開口部(開放端部)を有している。
【0012】
素子搭載凹部19の下部基板11の側面11Bの近傍には、素子搭載凹部19の底面19S及び側面に沿って側面11Bに平行に、すなわち下部基板11の短手方向に延在している凹部である嵌合溝としての嵌合凹部19Rが形成されている。換言すれば、嵌合凹部19Rは、素子搭載凹部のLD素子と側面11Bとの間の領域に配されている。
図3に示すように嵌合凹部19R内には、嵌合凹部19Rの表面を覆うように凹部接合層20(
図2では省略)が形成されている。
【0013】
下部基板11の上面11Aの素子搭載凹部19が形成されている領域よりも側面11Bから離間している領域には、Auからなる取り出し電極21が形成されている。また、下部基板11の上面11Aの素子搭載凹部19以外の領域でありかつ取り出し電極21が形成されていない領域には、AuSnからなる基板接合層23が形成されている。基板接合層23は、上面11Aに垂直な方向において取り出し電極21と同一の厚みを有している。
【0014】
図3及び4に示すように、下部基板11の素子搭載凹部19の底面19Sの中央には、素子搭載凹部19の底面19Sから下部基板11の下面11Cまで貫通している貫通孔19Hが形成されている。貫通孔19H内には、Au等の導電体によって貫通孔19Hを充填するように形成されている貫通電極25が設けられている。
【0015】
下部基板11の素子搭載凹部19の底面19S上には、貫通電極25を覆うようにAuSn等の導電体からなる接合材27が形成されている。接合材27上には、CuW等の導電体からなる板状のサブマウント29が配されている。
【0016】
サブマウント29上には、例えば青色光を出射する直方体形状のレーザダイオード17が底面19Sに略平行に搭載されている。すなわちレーザダイオード17は、接合材27及びサブマウント29という金属材を介して下部基板11及び貫通電極25に接合されている。
【0017】
レーザダイオード17は、サブマウント29に接している面及び当該面と反対の面、すなわち下面及び上面に電極を有している。レーザダイオード17は、側面にレーザ光の出射領域ERを有し、当該出射領域ERが下部基板11の側面11Bの開口部に向くように配されている。
【0018】
すなわち、レーザダイオード17は、レーザダイオード17から出射した光が素子搭載凹部19の側面11Bにおける開口部から発光装置10の外方に出射されるように配向されている。レーザダイオード17の上面には、AuSnからなる層状の上面接合材31が形成されている。
【0019】
本実施例では、接合材27、サブマウント29、レーザダイオード17及び上面接合材31によって、レーザ素子が形成されている。
【0020】
絶縁膜33(
図2では省略)は、例えばSiO
2等の絶縁体からなり、接合材27の上面、サブマウント29の側面及び上面、並びにレーザダイオード17の側面を覆うように形成されている。絶縁膜33は、レーザダイオード17の側面のレーザ光の出射領域ERには形成されず、光出射領域ERは、絶縁膜33から露出している。
【0021】
上部基板13は、AlN等からなる板状の基板であり、下部基板11上に素子搭載凹部19を覆うように配されている。上部基板13は、下部基板11と対向している下面13Aの下部基板11の嵌合凹部19Rと対向する領域に嵌合溝としての嵌合凹部13Rを有している。
【0022】
嵌合凹部13Rは、嵌合凹部19Rと同様に側面11Bと平行に延在している直方体状の凹部であり、長手方向及び短手方向において嵌合凹部19Rと同一の幅を有している。すなわち、嵌合凹部13Rと嵌合凹部19Rは上面視において同一の形状を有しており、嵌合凹部13R及び嵌合凹部19Rは1の連続した凹部を形成している。
図3に示すように、嵌合凹部13R内には、嵌合凹部13Rの表面を覆うようにAuからなる凹部接合層34(
図2では省略)が形成されている。
【0023】
上部基板13の下面13Aの嵌合凹部13Rが形成されている領域以外の領域には、Au等の導電体からなる接続電極35が形成されている。接続電極35は、下部基板11の取り出し電極21といわゆるAu−Au金属接合によって接合され、基板接合層23とAuSnの共晶接合によって接合されている。すなわち下部基板11と上部基板13とは金属同士の接合によって密着接合されている。
【0024】
また、接続電極35とレーザダイオード17の上面に形成されている上面接合材31とは、AuSnの共晶接合によって接合されている。すなわち、貫通電極25、レーザダイオード17及び取り出し電極21がこの順に電気的に接続されていることとなる。
【0025】
上部基板13は、下部基板11の長手方向において下部基板11よりも短い平面形状を有している。すなわち、下部基板11の取り出し電極21は、上面視において上部基板13に覆われずに露出している。上述のように、貫通電極25、レーザダイオード17及び取り出し電極21がこの順に電気的に接続されており、かつ取り出し電極21が外部に露出しているので、貫通電極25及び取り出し電極21を通して外部からレーザダイオード17に給電を行うことができる。
【0026】
また、レーザダイオード17は、その下面において熱伝導性の高いサブマウント29及び接合材27という金属部材を介して下部基板11に熱的に接続され、その上面において熱伝導性の高い上面接合材31及び接続電極35を介して上部基板13に熱的に接続されている。すなわち、レーザダイオード17は、下部基板11及び上部基板13からなるパッケージ内において、いわゆる二面接触で実装されている。従って、レーザダイオード17から発せられた熱は、下部基板11及び上部基板13を通じて効率よく外方に放散される。
【0027】
波長変換体15は、重ね合わされた2枚のプレートである蛍光体プレート15A及び光拡散プレート15Bからなり、下部基板11の嵌合凹部19R及び上部基板13の嵌合凹部13Rに嵌入されている板状の部材である。波長変換体15は、下部基板11上に上部基板13を密着させた際に、嵌合凹部13R及び19Rに嵌入されて、底面19Sに垂直に挟持される寸法を有している。すなわち、嵌合凹部13R及び19Rによって形成される空間が、波長変換体15とほぼ同一かやや大きい形状を有している。換言すれば、発光装置10は、
図1に示すように、下部基板11上に上部基板13を密着接合させた際に、下部基板11、上部基板及び波長変換体15によって、レーザダイオード17が封止される構造になっている。
【0028】
上述したように、レーザダイオード17は、直方体形状を有し、底面19Sに略平行に搭載されている。また、波長変換体15は、下部基板11及び上部基板13に垂直に挟持されている。従って、レーザダイオード17からのレーザ光は波長変換体15に略垂直に入射するように構成されている。
【0029】
図5に示すように、波長変換体15は、板状の蛍光体プレート15Aと板状の光拡散プレート15Bが樹脂接着層37によって接合されている構造を有している。蛍光体プレート15Aは、例えば、YAG蛍光体(Y
3Al
5O
12:Ce
3+)の単結晶からなり、レーザダイオード17から発せられる青色光(波長約450nm)によって励起されて黄色蛍光(波長約560nm)を発する。光拡散プレート15Bは、例えば、光散乱材となるAl
2O
3粒子を母体のガラスに混ぜて板状に成型したものである。
【0030】
樹脂接着層37は、例えばエポキシ樹脂接着剤またはシリコーン樹脂接着剤からなっている。樹脂接着層37は、蛍光体プレート15A及び光拡散プレート15Bの互いに対向する表面であって、レーザダイオード17から出射される光の透過領域である中央の領域を除いた周縁領域に形成されている。
【0031】
蛍光体プレート15A及び光拡散プレート15Bの互いに対向する面と反対側の面のそれぞれには、AuSnからなる変換体接合層39が形成されている。波長変換体15は、下部基板11の嵌合凹部19R及び上部基板13の嵌合凹部13Rに嵌入された後に加熱処理されて、凹部接合層20、34と変換体接合層39がAuSn共晶接合されることで嵌合凹部19R、13R内に固定されている。
【0032】
このように、波長変換体15は嵌合凹部13R、19R内に、金属層のAuSn共晶接合によって固定される。従って、波長変換体15と嵌合凹部13R、19Rとの間に多少の寸法の誤差があった場合でも、波長変換体15の表面と嵌合凹部13R、19Rの表面とが隙間無く密着して接合される。
【0033】
本実施例の発光装置によれば、下部基板11と上部基板13とが金属同士の接合によって密着接合され、さらに、下部基板11及び上部基板13と波長変換体15とが、嵌合凹部19R及び13Rにおいて金属同士の接合によって密着接合されている。従って、下部基板11、上部基板13及び波長変換体15によって、レーザダイオード17が搭載されている素子搭載凹部19によって形成される空間を密封封止することが可能である。これにより、レーザダイオード17の耐久性を向上させることができる。
【0034】
また、本実施例の発光装置によれば、下部基板11と上部基板13によって波長変換体15を挟持してレーザダイオード17の近傍に波長変換体15を配することが可能であるので、レーザダイオード17と波長変換体15との間にレンズ等の光学系を配することを不要とすることができる。それにより、発光装置パッケージを小型化可能であり、かつ光学系のアラインメントを不要とすることができるので、発光装置の製造プロセスを単純化しかつ歩留まりを向上させることが可能である。
【0035】
また、本実施例の発光装置によれば、レーザダイオード17が下部基板11及び上部基板13と熱伝導性の高い金属材を介して接合されている。すなわち、レーザダイオード17を含むレーザ素子が下部基板11及び上部基板13からなるパッケージ内において、上下二面で接触して実装されている。これにより、レーザダイオード17から発せられた熱は、下部基板11及び上部基板13の両方を通じてパッケージの外方に効率よく消散され、放熱性の高い発光装置を実現可能である。
【0036】
[製造方法]
以下に
図6A−6Dを用いて、発光装置10の製造方法の一例について説明する。なお、
図6A−6Dにおいては、1個の発光装置10について図示して説明をするが、実際の製造においては、下部基板11及び上部基板13の構造を1の基板上に複数形成し、後に個片化することとしてもよい。
【0037】
図6Aに示すように、まず、AlN等の絶縁基板を用意し、エッチング、レーザ照射またはサンドブレスト等を用い素子搭載凹部19及び嵌合凹部19R、並びに貫通孔19Hを形成する。さらに、貫通孔19HにAuを充填し、貫通電極25を形成する。
【0038】
次に
図6Bに示すように、下部基板11の上面11A上の素子搭載凹部19の周辺領域にAuSnを蒸着して基板接合層23を形成し、さらに基板接合層23が形成された領域よりも側面11Bから離間した領域にAuを蒸着して取り出し電極21を形成する。その後、嵌合凹部19R内にAuペーストを塗布し、凹部接合層20(
図3参照)を形成する。1の基板上に下部基板11を並列して複数形成する場合には、基板接合層23及び取り出し電極21を形成した後に、下部基板11をダイシング及びブレーキングによって個片化する。
【0039】
次に、
図6Cに示すように、上部基板13を形成する。具体的には、AlN等の絶縁基板を用意し,エッチング、レーザ照射またはサンドブラスト等を用いて一方の面13Aに嵌合凹部13Rを形成する。その後、嵌合凹部13Rを形成した面上の嵌合凹部13Rが形成されていない領域にAu金属層をパターニングして形成し、接続電極35を形成する。その後、嵌合凹部13R内にAuペーストを塗布し、凹部接合層34(
図3参照)を形成する。
【0040】
基板上に上部基板13を並列して複数形成する場合には、凹部接合層34を形成した後に、上部基板13をダイシング及びブレーキングによって個片化する。
【0041】
その後、波長変換体15を作成する。波長変換体15は、
図5に関して上述したように、板状の蛍光体プレート15Aと板状の光拡散プレート15Bを樹脂接着層37によって接合して形成する。蛍光体プレート15Aは、例えば、YAG蛍光体(Y
3Al
5O
12:Ce
3+)の単結晶からなり、レーザダイオード17から発せられる青色光(波長約450nm)によって励起されて黄色蛍光(波長約560nm)を発する。光拡散プレート15Bは、例えば、光散乱材となるAl
2O
3粒子を母体のガラスに混ぜて板状に成型したものである。
【0042】
波長変換体15の作成においては、まず、蛍光体プレート15A及び光拡散プレート15Bのそれぞれの一方の表面に、
図5に関して上述したようなAuSnパターンを蒸着して、変換体接合層39を形成する。この際、レーザダイオード17からの出射光が通過する光透過領域である中央の領域を除いた周縁領域に変換体接合層39を形成する。
【0043】
次に、例えばエポキシ樹脂接着剤またはシリコーン樹脂接着剤を蛍光体プレート15Aまたは光拡散プレート15Bに樹脂接合層37を形成する。樹脂接合層37は、蛍光体プレート15Aまたは光拡散プレート15Bのいずれかの、変換体接合層39が形成されている面と反対側の表面に塗布して形成する。この際、レーザダイオード17からの出射孔が通過する光透過領域である中央の領域を除いた周縁領域に樹脂接合層37を形成する。
【0044】
次に、蛍光体プレート15Aと光拡散プレート15Bをそれぞれの変換体接合層39が形成されている面と反対側の面で樹脂接合層37を挟むように押圧して接合することで、波長変換体15が完成する。
【0045】
次に、
図6Dに示すように、下部基板11にレーザダイオード17を搭載する。具体的には、まず、素子搭載凹部19の底面に貫通電極25を覆うようにAuSnペーストを塗布して接合材27を形成する。
【0046】
次に、レーザダイオード17を実装したCuW等からなるサブマウント29を接合材27上に搭載し、加熱して接合する。その後、スパッタ等により、レーザダイオード17の側面、サブマウントの上面及び側面並びに接合材27の上面を覆うように、SiO
2等の絶縁性材料からなる絶縁膜33を形成する。この際、出射領域ERが絶縁膜33から露出するように絶縁膜33を成膜する。
【0047】
次に、レーザダイオード17の上面を覆うようにAuSnペーストを塗布して上面接合材31を形成する。その後、波長変換体15を嵌合凹部19Rに挿入する。その後、波長変換体15が嵌合凹部13R内に嵌入されるように、上部基板13を下部基板11上に載置して加熱する。
【0048】
これにより、上部基板13の接続電極35と、下部基板11の取り出し電極21及び基板接合層23並びにレーザダイオード17の上面接合材31とを金属同士の接合によって密着接合させる。さらに、波長変換体15の変換体接合層39と嵌合凹部13R、19R内の凹部接合層20、34とを金属同士の接合によって密着接合させる。この金属同士の接合によって、下部基板11、上部基板13及び波長変換体15は密着接合され、素子搭載凹部19によって形成される空間が密封封止される。
【0049】
[他の実施例]
上述の実施例においては、下部基板11の嵌合凹部19Rを素子搭載凹部19の底面19S及び側面に沿って延在している凹部とした。しかし、嵌合凹部19Rは、
図3に対応する断面図である
図7に示すように、素子搭載凹部19の底面19Sに形成せずに側面のみに形成することとしてもよい。すなわち、素子搭載凹部19の底面19S以外の素子搭載凹部19の側面と上部基板13の下面13Aに亘って連続した嵌合凹部が形成されることとしてもよい。
【0050】
嵌合凹部19Rを素子搭載凹部19の側面のみに形成する場合、嵌合凹部19R及び素子搭載凹部19の底面19S及び嵌合凹部13Rによって形成される空間が、波長変換体15とほぼ同一かやや大きい形状を有するように嵌合凹部19R、13Rを形成する。
【0051】
この場合、凹部接合層20は、素子搭載凹部19の側面に形成された嵌合凹部19R内及び素子搭載凹部19の嵌合凹部19Rに挟まれた領域にAuを塗布することで形成される。なお、この場合であっても、波長変換体15と下部基板11及び上部基板13とが密着接合され、素子搭載凹部19によって形成される空間を密封封止することができる。
【0052】
また、上述の実施例においては、上部基板13に嵌合凹部13Rを形成することとしたが、
図3に対応する断面図である
図8に示すように、上部基板13に嵌合凹部13Rを形成しなくともよい。嵌合凹部13Rを形成しない場合、嵌合凹部19R及び上部基板13の下部基板11に接した面によって形成される空間が、波長変換体15とほぼ同一かやや大きい形状を有するように嵌合凹部19Rを形成する。
【0053】
また、この場合、上部基板13の波長変換体15が当接する領域にAuを塗布することで、波長変換体15の変換体接合層39とAuSn共晶接合を形成する当接接合層41を形成する。なお、この場合であっても、波長変換体15と下部基板11及び上部基板13とが密着接合され、素子搭載凹部19によって形成される空間を密封封止することができる。
【0054】
なお、嵌合凹部を
図7のように形成する場合には、波長変換体15の素子搭載凹部19の底面19Sと当接する側面に変換体接合層39を形成してもよい。また、嵌合凹部を
図8のように形成する場合には、波長変換体15の上部基板13と当接する側面に変換体接合層39を形成してもよい。
【0055】
上述の実施例においては、蛍光体プレート15Aと光拡散プレート15Bとが樹脂接合層37で接合されており、変換体接合層39をAuで形成することとした。しかし、波長変換体15内において、光の消失が発生しないように、光反射層を形成してもよい。
【0056】
具体的には、
図9に示すように、樹脂接合層37の代わりに多層接合層43を形成し、変換体接合層39の代わりに多層接合層45を形成する。多層接合層43は、蛍光体プレート15A及び光拡散プレート15Bの互いに対向する表面に形成されており、かつレーザダイオード17からの出射光が通過する中央の領域を除いた周縁領域にそれぞれ形成されている。
【0057】
多層接合層43は、蛍光体プレート15A及び光拡散プレート15Bの表面に、Ti、Agがこの順に積層されている光反射層43A及び光反射層45A上に形成されているNi、Pt、Auがこの順に積層されている接合寄与層43Bからなっている。
【0058】
また、多層接合層45は、蛍光体プレート15A及び光拡散プレート15Bの互いに対向する面と反対側の表面に形成されている。また、多層接合層45は、当該表面のレーザダイオード17からの出射光が通過する中央の領域を除いた周縁領域にそれぞれに形成されている。多層接合層45は、蛍光体プレート15A及び光拡散プレート15Bの表面に、Ti、Agがこの順に積層されている光反射層45A及び光反射層45A上に形成されているNi、Pt、Au、AuSnがこの順に積層されている接合寄与層45Bからなっている。
【0059】
蛍光体プレート15A及び光拡散プレート15Bとは、各プレートの接合寄与層43Bの表面同士がいわゆるAu−Au金属接合されることによって接合される。また、波長変換体15は、接合寄与層45Bの表面と凹部接合層20、34の表面とが、いわゆるAuSn共晶接合することによって下部基板11及び上部基板13に接合されている。
【0060】
上述のように、光反射層43A、45Aを形成することで、蛍光体プレート15A及び光拡散プレート15Bに入射した光は、蛍光体プレート15A及び光拡散プレート15Bにおいて、反射率の高いAg等からなる光反射層43A、45Aによって反射され、ほとんど減衰することなく波長変換体15から外方に出射される。
【0061】
また、上述の実施例においては、絶縁膜33表面と素子搭載凹部19の側面との間には間隙が形成されているように図示して説明したが、絶縁膜33の表面と素子搭載凹部19の側面との間の領域に、熱伝導性が良好な材料を充填してもよい。この場合、
図4に対応する断面図である
図10に示すように絶縁膜33の表面と素子搭載凹部19の側面との間に、例えばTi等の金属ナノ粒子等の金属フィラーを含む樹脂材料からなる伝熱材料47を充填することとしてもよい。
【0062】
また、上述の実施例においては、上部基板13をAlN等の絶縁性を有する材料で形成することとしたが、上部基板13を導電性の基板で形成してもよい。このようにすることで、上部基板13を経由した熱の放散をさらに増加させて放熱性を良好にすることが可能である。なお、この場合には、上部基板13を介して外部からのレーザダイオード17への給電が可能であるので、例えば、上部基板13と下部基板の平面形状を同一として、取り出し電極21全体を上部基板13によって覆う構成としてもよい。
【0063】
また、絶縁膜33は形成しなくとも良い。この場合、製造時に導電性の上面接合材31がレーザダイオード17の側面にまで達してしまわないこと、すなわちレーザダイオード17の短絡が生じてしまわないことを担保するのが好ましい。従って、上面接合材31がレーザダイオード17の上面のみに形成されるように、上面接合材31を、マスクパターンを用いて形成することとしてもよい。
【0064】
また、上記実施例において素子搭載凹部19の形状は略直方体であるとしたが、底面19S上にサブマウント29が固定可能であるならば形状は任意である。例えば、発光装置10の出射光の形状により、嵌合凹部19Rと下部基板11の側面11Bとの間の領域の素子搭載凹部19の形状を側面11B(
図2等参照)と平行な底面を有する三角柱、五角柱等の多角柱状、半円柱状もしくは楕円半円柱状、または錐台状としてもよい。
【0065】
また、上記実施例においては、波長変換体15は、蛍光体プレート15A及び光拡散プレート15Bからなる場合を例にして説明したが、波長変換体15は、蛍光体プレート15Aのみからなっていてもよい。
【0066】
上述した実施例における種々の構成及び材料等は、例示に過ぎず、用途及び製造される発光装置等に応じて、適宜選択することができる。