(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記主ばね(34、90)と前記同調ばね(36、92)の一方が、前記平板構造体(14、82)の内側環状領域に形成され、前記主ばね(34、90)と前記同調ばね(36、92)の他方が、前記平板構造体の外側環状領域に形成さる、請求項1に記載の3パラメータ防振器(10、80)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0013]説明を簡単、明瞭にするために、図は一般的な構造を示し、本発明を不必要に不明瞭にすることを避けるため、公知の特徴および技術の説明および詳細は省略される場合がある。加えて、図の要素は必ずしも原寸に比例して描かれたものではない。例えば、本発明の実施形態をよりよく理解することを助けるために、図中のいくつかの要素または領域の寸法は他の要素または領域に対して強調する場合がある。
【0012】
[0014]以下の発明を実施するための形態は、本質的に単なる例示であり、本発明、または本発明の用途および使用を限定することを意図するものではない。さらに、上記の背景技術または以下の発明を実施するための形態に提示されるいかなる理論にも拘束されることを意図するものではない。
【0013】
[0015]
図1、2および3は、本発明の例示的な実施形態にしたがって示された薄型3パラメータ防振器10の、それぞれ、等角図、上面図、断面図である。防振器10の長さは、他の公知の細長いストラット状の形状の3パラメータ防振器に比べて著しく短いことで、防振器10は「薄型」とみなされる。そのような従来の公知の防振器とは対照的に、防振器10の形状は
図1〜3に示すようにおおむねパック状またはパッド状の形状とすることができる。直列に結合された二次ばね(K
B)とダンパ(C
A)とに、一次ばね(K
A)が並列に結合されているとして防振器10が少なくとも部分的に振る舞うことで、防振器10は「3パラメータ」装置とみなされる。
図1〜3に示す実施形態では、3パラメータ防振器10は、防振器10の長手方向軸線すなわち中心線(
図1で両矢印12によって示される)に一致する作動軸を有する1自由度(軸方向減衰)装置である。したがって、防振器10は多点取付け配置で使用するのに適する。例えば、防振器10は、いくつかの類似の防振器と組み合わせて6自由度の高忠実度の減衰を提供することができる。このような多点取付け配置は、宇宙船と宇宙船によって運搬される搭載物との間で伝達される振動または衝撃力を減衰するために利用される宇宙船の防振システムに有効に用いられる。しかしながら、防振器10(および本明細書で説明される他の防振器)は、2つの物体または取付け点の間での振動または衝撃荷重を減衰することを望まれる、任意の衛星搭載用途、航空機搭載用途、地上用途、または他の用途で利用することができることが強調される。防振器10およびいくつかの類似の防振器を含む多点防振システムの例は、
図7と併せて下記で説明する。
【0014】
[0016]3パラメータ防振器10は、構成部品の中で特に、平板構造体14と、構造体14に固定的に結合され、そこから軸方向に延在する環状カラー16と、カラー16の反対側で構造体14に取り付けられたベース部材18とを含む。加えて、防振器10は、防振器10の機械的な入力/出力として働く取付け接合部20および22を両側に含む。取付け接合部20および22のそれぞれは、取付け用器具(例えば、締結具、クランプ、ブラケットなど)、接合(例えば、溶接またははんだ付け)、または他の手段のいずれかによって、より大きな防振システム内に防振器10を組み込むことを可能にする任意の形態をとることができる。図示の実施形態では、取付け接合部20は、複数の締結具開口24をその中に有するカラー16のフランジとなる終端の形態をとる(
図1および2)。同様に、取付け接合部22は、周方向に間隔を置いて配置された複数の締結具開口26をその中に有するベース部材18の外側環状領域に形成される。防振器10が、振動に敏感な搭載物を運搬する宇宙船、航空機、または他のプラットホームに実装して配置される防振システム内に組み込まれる場合、取付け接合部20は、振動に敏感な構成部品を支持するパレットまたはベンチにボルト締め、または他の方法での取付けをすることができ、一方、反対側の取付け接合部22はプラットホームに取り付けられる。これに代えて、この取付け配置を逆にして、取付け接合部20をプラットホームに取り付け、一方、取付け接合部22を搭載物に取り付けることもできる。さらなる実施形態では、防振器10は、擾乱力の減衰が望まれる他の物体間に取り付けることができる。
【0015】
[0017]3パラメータ防振器10は、少なくとも1つの軸方向延長部をさらに含み、この延長部は、防振器10の長手方向軸線12すなわち中心線に実質的に平行な軸線に沿って、平板構造体14からベース部材18まで延在する(
図1)。
図1〜3に示す例示的な実施形態では、軸方向延長部は環状側壁28(
図1および3)の形態をとり、この側壁は、平板構造体14の外周部からベース部材18の外周部まで軸方向に延在する。平板構造体14、環状カラー16、および環状側壁28は、別部品として作られ、その後、器具を利用して、接合(例えば、はんだ付け、または溶接)によって、または別の方法(例えば、ねじ取付け)で結合することができる。しかしながら、平板構造体14、環状カラー16、および環状側壁28は、単一の機械加工部品として一体で形成されるのが好ましい。いくつかのタブ30(
図1および2)は、環状側壁28の下部周縁から半径方向外向きに突出し、いくつかの締結具開口32をその中に含む。防振器10を組み立てるとき、開口32は、ベース部材18に設けられた対応する開口と位置合わせされて、複数のボルトまたは他のそのような締結具(図示せず)を利用して、部材18をタブ30に取り付ける(したがって、ベース部材18を環状側壁28、平板構造体14、および環状カラー16に取り付ける)ことが可能になる。
【0016】
[0018]少なくとも2つのばね、またはばね要素、すなわち、主ばね、および二次または同調ばねが平板構造体14に形成される。
図1〜3に示す例示的な実施形態では、主ばね34(K
A)は、構造体14の外側環状部に形成され、一方、同調ばね36(K
B)は構造体14の内側環状部に形成される。結果として、主ばね34は、同調ばね36と同心となり、同調ばね36の周囲を囲む。平板構造体14は、おおむね平坦、円板形状、または板状の形状で、長手方向軸線12に実質的に直交する方向を有する任意の物体または物体の組立体とすることができる。
図1〜3に示すように、平板構造体14は、主ばね34および同調ばね36がその中に形成される一体すなわち単一部材のダイアフラム壁40を含むことができる。図示の例では、主ばね34が形成される平板構造体14の外側環状領域の厚さは、同調ばね36が形成される内側環状領域の厚さに実質的に等しい。結果として、主ばね34および同調ばね36は、長手方向軸線12に沿って間隔を置いて配置され、軸線12に実質的に直交する第1および第2平面に拘束される。さらなる実施形態では、構造体14の内側環状領域と外側環状領域の厚さを変えて(例えば、ばね36が形成されるダイアフラム壁40の内側環状領域が、ばね34が形成される壁40の外側環状領域に比べて薄くして)、ばね34および36の特性をそれぞれ調整することができる。特に、環状カラー16が平板構造体14に結合する位置は、主ばね34が形成される構造体14(および壁40)の外側環状領域と同調ばね36が形成される構造体14(および壁40)の内側環状領域との間にある。
【0017】
[0019]防振器10の製造において、いくつかの空洞または開口38(
図3に示される)が平板構造体14内に切り込まれ、または他の方法で形成され、構造体14の外側環状部(したがって、ダイアフラム壁40の外側環状領域)に主ばね34を画定し、構造体14の内側環状部(したがって、ダイアフラム壁40の内側環状領域)に同調ばね36をさらに画定する。開口38を形成するのに適するプロセスには、完全に網羅しているわけではないが、放電加工、フライス加工、およびレーザ切断が挙げられる。開口38(
図3)は、主ばね34および同調ばね36に所望の特性を与えるのに適する任意のパターンに切断することができる。主ばね34および同調ばね36が平板構造体14から材料を切除して生成される実施形態では、ばね34および36は、実質的に同心で、防振器10の長手方向軸線12から半径方向外向きに延在する、円板形状に加工されたばねとみなすことができる。
【0018】
[0020]3パラメータ防振器10は、構造体14の中央部とベース部材18の中央部との間を結合する少なくとも1つのダンパ42(C
A)をさらに含む。ダンパ42は、限定するものではないが、能動的減衰装置(例えば、ボイスコイルおよび圧電ダンパ)と同様に、他のタイプの受動的減衰装置(例えば、渦電流、粘弾性、および空圧ダンパ)を含む、振動を減衰することができる任意の減衰装置の形態をとることができる。ある特定の実施形態では、ダンパ42は、シリコーン減衰液などの減衰流体を含む密閉された流体ダンパとすることができる。図示の例を詳細に参照すると、
図3に最も明瞭に示されるように、ダンパ42は、以下の構成部品、すなわち、(i)対向する金属ベローズ44および46と、(ii)対向するベローズエンドキャップ48および50と、(iii)連結棒52と、(iv)円板形状のダンパピストン54とを含む流体ダンパである。参照しやすくするために、以下、ベローズ44およびエンドキャップ48はそれぞれ「上部」ベローズおよび「上部」エンドキャップと呼び、ベローズ46およびエンドキャップ50はそれぞれ「下部」ベローズおよび「下部」エンドキャップと呼ぶことができる。このような用語は、本明細書では、
図1〜3に示したダンパ42(より一般的には、3パラメータ防振器10)の図示の向きを参照して使用され、またダンパ42(および防振器10)が3次元空間の任意の向きをとれることを理解しながら使用される。
【0019】
[0021]上部エンドキャップ48は、上部ベローズ44の上部周縁に封止的に結合される一方、下部エンドキャップ50は、下部ベローズ46の下部周縁に封止的に結合される。エンドキャップ48および50とベローズ44および46との間をそれぞれ流体密封して接合するのに適する任意の接合技術が、円周溶接を含め、この目的のために利用することができる。連結棒52は、上部エンドキャップ48から、ピストン54に設けられた中央開口を通って、下部エンドキャップ50まで軸方向に延在して、エンドキャップ48とエンドキャップ50を固定的に結合する。ダンパピストン54は、ベローズ44とベローズ46との間に弾性的に結合される。対向する液圧チャンバ56および58は、ベローズ44および46、エンドキャップ48および50、連結棒52、ならびにピストン54によって画定される。チャンバ56および58は、ダンパピストン54の内側円周面および連結棒52の外側円周面によってさらに画定される環状部60によって流体結合される。チャンバ56および58は流体密封されており、シリコーンベースの減衰液などの減衰流体を封止的に含むように構成される。防振器10は、最初は減衰流体なしで製造、配置され、後で、防振器10を使用する前に、図示していない注入口を使用して液圧チャンバ56および58内に減衰流体を導入することができる。
【0020】
[0022]ダンパピストン54は、ピストン54からベローズ44および46を超えて半径方向外向きに突出する半径方向フランジ62を含む。ピストンフランジ62は、平板構造体14の中央領域に、例えば複数のボルト(図示せず)を使って取り付けられる。同様に、ベース部材18をキャップ50の周りに設けられた半径方向フランジ64にボルト留め、または他の方法で取り付けることによって、下部エンドキャップ50はベース部材18の中央領域に固定される。中央開口66は平板構造体14に設けられて、ダンパ42の上部を収容する。上部エンドキャップ48がダンパピストン54および下部エンドキャップ50に比べて平板構造体14の反対側に位置するように、上部ベローズ44は開口66を通って延在する。防振器10の作動中、ダンパピストン54は同調ばね36の撓みと共に動き、ベローズ44および46は伸縮し、チャンバ56および58の容積はそれぞれ変化し、減衰流体は環状部60を通るように送り込まれて所望の減衰効果を与える。
図1〜3に示す実施形態では、ダンパ42は完全に防振器10内に含まれる、または入れ子になっており、ダンパ42の大部分は環状側壁28によって周囲を囲まれる内側空洞68内に含まれる。さらなる実施形態では、他の取付け配置を利用することができ、ダンパ42の設計に対して様々な修正を行うことができ、例えば、さらなる実施形態では、ベローズ44および46は外側で加圧することができる。さらに、他の実施においては、複数の流体ダンパが平板構造体14の中央領域とベース部材18との間を結合することができる。
【0021】
[0023]上記の構造的構成によって、防振器10を通る2つの平行な荷重経路が提供される。すなわち、(i)取付け接合部20から、環状カラー16を通り、平板構造体14の外側環状領域を通り(したがって、主ばね34を通り)、環状側壁28を通り、ベース部材18を通り、取付け接合部22へ延在する第1の荷重経路(
図3において矢印70で示す)、および(ii)取付け接合部20から、環状カラー16を通り、平板構造体14の内側環状領域を通り(したがって、同調ばね36を通り)、ダンパ42を通り、ベース部材18を通り、取付け接合部22へ延在する第2の荷重経路(矢印72で示す)である。ダンパ42は、第1および第2の荷重経路に沿って見ると、それぞれ、環状側壁28(軸方向延長部)と並列に、かつベース部材18と直列に結合されていると言うこともできる。したがって、防振器10は、直列に結合された二次ばね(内側に加工されたばね36)とダンパ(流体ダンパ42)とに並列に結合された主ばね(外側に加工されたばね34)を含む3パラメータ装置を備える。3パラメータ防振器は、2パラメータ粘弾性防振器などの他のタイプの受動的防振器と比べて、ジッタなどの高周波、小振幅の起振力を減衰するのに優れる。3パラメータ防振器のさらなる考察は、1984年1月26日付与の「THREE PARAMETER VISCOUS DAMPER AND ISOLATOR」という名称の米国特許第5,332,070号、および2007年2月27日付与の「ISOLATOR USING EXTERNALLY PRESSURIZED SEALING BELLOWS」という名称の米国特許第7,182,188(B2)号に見ることができ、両件ともに、本件出願の譲受人に譲渡され、参照によって組み込まれる。矢印70および72は、図を明瞭にするために、
図3の3パラメータ防振器10の一部にしか重ね書きされておらず、またそれぞれの矢印は1つの矢先しか含んでないが、防振器10を通って与えられる平行な荷重経路は、双方向であり、防振器10の長手方向軸線すなわち中心線周りに見ると、一般に軸対称であることを理解されたい。
【0022】
[0024]したがって、他の公知の3パラメータ防振器に比べて長さが短いまたは高さが低い(例えば、防振器10の長さはその外径より短くすることができる)、かつ多点取付け配置で使用するのに適する、薄型3パラメータ防振器の例示的な実施形態が提供される。したがって、上記の防振器は、防振器の取付け点間の比較的限られた軸方向間隔に適応しながら、(パック状の粘弾性取付台または他の薄型2パラメータ防振器に比べて)優れた減衰特性が望まれる用途に使用するのに有利な場合がある。
図1〜3に示す薄型3パラメータ防振器10は単に非限定的な例として提供され、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに、様々な変更を防振器10に行うことができることを理解されたい。例えば、本防振器のさらなる実施形態では、主ばねおよび同調ばねはそれぞれ平板構造体の内側環状部および外側環状部に形成することができ、一方、いくつかのダンパは平板構造体の外側周縁部の周りに配置される。この点をさらに強調するために、このような構造的配置を有する薄型3パラメータ防振器の例示的な実施形態をつぎに
図4〜6と併せて説明する。
【0023】
[0025]
図4〜6は、本発明の例示的なさらなる実施形態にしたがって示された薄型3パラメータ防振器80の、それぞれ、上面図、側面図、および断面図である。防振器80は多くの点で、
図1〜3と併せて上で説明した防振器10と同様である。例えば、3パラメータ防振器80は、防振器80の長手方向軸線すなわち中心線に直交して配置された平板構造体82と、構造体82から軸方向に延在し、防振器80の第1の取付け点として働く環状カラー84と、構造体82に固定的に結合され、防振器80の第2の取付け点として働くベース部材86(
図5および6に示す)と、構造体82とベース部材86との間に延在する軸方向延長部88(
図6に示す)と、構造体82に形成された主ばね90(
図4および6)と、主ばね90に近接して構造体82に形成された同調ばね92(
図4および6)とを含む。しかしながら、防振器10のばね(
図1〜3)とは対照的に、主ばね90は平板構造体82の内側環状部に形成され、構造体82の外側環状部に形成された同調ばね92によって周囲を囲まれる。さらなる違いとしては、軸方向延長部88(
図6)は細長い円柱または支柱の形態をとり、平板構造体82の中央部からベース部材86の中央部に延在する。防振器10の軸方向延長部(すなわち
図1〜3に示す環状側壁28)と同様に、軸方向延長部88は防振器の長手方向軸線すなわち中心線に実質的に平行に、かつ実質的に同心で延在する。この場合も、平板構造体82、環状カラー84、および軸方向延長部88は、(決して必要ということではないが)単一の機械加工部品として一体で製作されるのが好ましい。環状カラー84は、平板構造体82と一体で形成されようとそうでなかろうと、ばね90および92がそれぞれ形成される構造体82の内側環状部と外側環状部との間の位置で平板構造体82に結合される。
【0024】
[0026]3パラメータ防振器80は密閉された複数の流体ダンパ94をさらに含み、ダンパ94は、平板構造体82の外側周縁部に結合して、その回りに環状配列状に間隔を置いて配置される。より詳細には、防振器80は、周方向に間隔を置いて配置されたいくつかのタブ96を含むように製作され、タブ96は平板構造体82から半径方向外向きに延在し、平板構造体82と一体に形成することができる。各タブ96は、その中に流体ダンパ94を受け入れる開口98を含む。図示の例では、流体ダンパ94は、
図3と併せて上で説明したダンパ42と実質的に同一であり、したがって、同様な参照符号が同様な構造要素を示すために使用されている。ダンパ94の詳細な説明は、冗長さを避けるために繰り返さない。各ダンパ94の上部ベローズ44(
図5および6)は対応するタブ96に設けられた開口98を通って延在することができ、各ダンパ94のダンパピストン54(
図6)はピストン54の周りに設けられた半径方向フランジ62(
図5および6)を通じてタブ96に固定することができ、下部エンドキャップ50(
図6)はキャップ50の周りに設けられた半径方向フランジ64を通じてベース部材86に固定することができる。このようにして流体ダンパ94の環状配列は、同調ばね92とベース部材86との間に機械的に結合される。したがって、同調ばね92が防振器80の長手方向軸線に沿って撓むことによって、ダンパピストン54には並進運動が生じて、各ダンパ94内の対向する液圧チャンバ56および58(
図6)間に減衰流体の流れをつくり出し所望の減衰効果を与える。さらなる実施形態では、流体ダンパ94は、他のタイプ、いくつか例を挙げると、渦電流、粘弾性、空圧、圧電、またはボイスコイルダンパなどの減衰装置に置き換えることができる。
【0025】
[0027]この場合も、2つの平行な荷重経路が例示的な防振器を通って与えられる。
図4〜6に示す3パラメータ防振器80の場合、第1の荷重経路(
図6において矢印100で示す)は、環状カラー84に設けられた、または結合された取付け接合部から、カラー84の本体を通り、平板構造体82の内側環状領域を通り(したがって、主ばね90を通り)、軸方向延長部88を通り、ベース部材86の本体を通り、ベース部材86に設けられた、または結合された取付け接合部へ延在する。同様に、第2の荷重経路(矢印102で示す)は、環状カラー84に付随する取付け接合部から、カラー84の本体を通り、平板構造体82の外側環状領域を通り(したがって、同調ばね92を通り)、ダンパ94の環状配列を通り、ベース部材86の本体を通り、部材86に付随する取付け接合部へ延在する。したがって、防振器80は、直列に結合された二次ばね(外側に加工されたばね92)と1つまたは複数のダンパ(流体ダンパ94)とに並列に結合された主ばね(内側に加工されたばね90)を含む3パラメータ装置を備える。しかしながら、他の公知の3パラメータ防振器とは対照的に、3パラメータ防振器80は軸方向に小さく、その形状はおおむねパック状またはパッド状である。防振器80はまた、比較的耐久性があり、軽量であり、比較的少数の部品数を特徴とする。
【0026】
[0028]本明細書で説明する薄型3パラメータ防振器は、6自由度の高忠実度の防振および剛性を提供する防振システム内で使用するのに有利である。通常、1自由度、軸方向減衰装置として設計される
図1〜3に示す防振器10の場合、防振器10と同一の、または同様ないくつかの防振器が多点防振システムを製作するのに利用することができる。この点をさらに強調して、
図7は、
図1〜3に示す防振器10と実質的に同一とすることができる複数の防振器112を含む防振システム110を一般的に示す。防振システム110は、ボルト、ブラケット、クランプなどの取付け器具116(2つの防振器112に対して一般的に示す)を使用して、防振される物体114(例えば、リアクションホイールアレイ、コントロールモーメントジャイロスコープアレイ、または他の搭載物)に取り付けられた3つ以上の防振器112を含むことができる。全体として、防振器112は、防振システム110を通じて、防振される物体114へ伝達される、または防振される物体114から伝達する起振力を減衰する。比較すると、
図4〜6に示す防振器80は、1自由度、軸方向減衰として利用することができるが、多自由度減衰装置としても利用することができる。防振器80の長手方向軸線すなわち中心線からダンパ94への距離(平板構造体82の直径および/または半径方向タブ96の長さを増減することによって望むように調節することができる)を比較的長くすることにより、モーメントアームを比較的長くすることができ、3つの直交する軸線すべてに沿った、またはそれらの周りの、顕著な減衰を与えるのに十分なダンパ94内での動きを生じさせることができる。したがって、
図8に示すように、防振システム120は、防振器80(
図4〜6)と同一または同様で、防振される物体124に取付け器具126を通じて取り付けられる単一の比較的幅広い防振器122を含んで製作することができる。したがって、防振器122は、単一のパッケージ内の物体124へ伝達される、または物体124から伝達される6自由度の擾乱力の防振を可能にする。3パラメータ防振器122内のダンパは、ベローズのせん断運動およびスクイーズフィルム減衰によって、防振される物体124の防振器122に対する横の運動を減衰するように構成することができる。1つの実施形態では、防振器122の最大平面寸法は、物体124の最大平面寸法の少なくとも半分とすることができる。この例にかかわらず、防振器80と同様な複数の防振器を用いる多点防振システムは、さらなる実施形態において製作することができる。
【0027】
[0029]したがって、前記は、おおむねパック状またはパッド状の形状の防振器などの薄型3パラメータ防振器の複数の例示的な実施形態を提供した。この点について、上記の3パラメータ防振器の実施形態の(防振器の長手方向軸線に沿って見た)長さまたは高さは、防振器の最大平面寸法(例えば外径)より短い。有利なことに、上記の3パラメータ防振器の実施形態は、容易に製造でき、耐久性があり、軽量である。さらに、特に、主ばねおよび同調ばねが、一体すなわち単一部材の板構造体または半径方向に延在する壁に切り込まれて、または他の方法で形成される実施形態において、上記の3パラメータ防振器の部品数は比較的少なくすることができる。さらなる利点としては、上記の平板の設計によって、防振器の減衰特性が荷重および温度とともに実質的に線形に変化することを可能にしながら、ばねを様々なサイズおよび剛性に加工して調整することができる。上記の防振器の実施形態はまた、6自由度の高忠実度の減衰および剛性を提供することができる防振システムに使用するのに適する。
【0028】
[0030]少なくとも1つの例示的な実施形態が、前述の発明を実施するための形態において提示されたが、非常に多くの変形が存在することを認識されたい。また、1つまたは複数の例示的な実施形態は単なる例であり、本発明の範囲、適用性、または構成を、いかなる形でも限定するように意図するものではないことも理解されたい。むしろ、前述の発明を実施するための形態は、本発明の例示的な実施形態を実施するための便利な手引きを当業者に提供する。添付の特許請求の範囲に明記される本発明の範囲から逸脱することなく、例示的な実施形態で説明された要素の機能および配置において、様々な変更を行うことができることを理解されたい。