(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の開閉表示機能付きバルブでは、開閉状態を表示するための表示器や検出子等がアクチュエータと一体化しているため、既設の流体制御装置に流体通路の開閉表示機能を具備させようとする場合には、バルブを交換しなければならない。また、開閉表示機能に不具合が生じた場合にも、バルブを交換しなければならない。しかし、バルブの交換はラインの停止と再段取りを必要とするため、できる限り避けることが好ましい。
また、上記特許文献1記載の開閉表示機能付きバルブでは、アクチュエータ内で検出子が摺動するため、高い清浄度が求められるクリーンルーム内での使用には適さない。
【0005】
そこで、本発明は、ラインに既設の流体制御装置に対し、流体通路の開閉状態を確認可能な機能を付加することにより、当該流体通路の開閉状態を確認可能な流体制御装置を提供する。さらに、高い清浄度が求められるクリーンルーム内での使用にも適した流体制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る流体制御装置は、外部供給路を介して導入される駆動圧によって流体通路を開閉するエアオペレートバルブと、上記エアオペレートバルブの流体通路の開閉状態を検知する検知装置と、からなる流体制御装置であって、上記検知装置は、上記外部供給路に連通して取り付けられ、上記エアオペレートバルブ内の駆動圧導入室に駆動圧が導入されるのに応じて、当該駆動圧導入室の内部の駆動圧の圧力を検出する圧力検出手段と、上記検出された圧力に基づき、上記流体通路の開閉状態を判別する開閉判別手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、上記検知装置は、上記外部供給路から分岐して取り付けられ、上記圧力検出手段は、上記外部供給路から分岐して導入されると共に、上記駆動圧導入室と同圧力に保持された駆動圧の圧力を検出するものとしてもよい。
【0008】
また、上記圧力検出手段は、上記外部供給路から分岐して供給された駆動圧が導入される圧力検出室と、上記駆動圧導入室内と同圧力に保持された上記ハウジング内の圧力変化を検出する感圧素子と、上記感圧素子による駆動圧の圧力変化の検出値を電気信号に変換する変換素子と、から構成されるものとしてもよい。
【0009】
また、上記流体通路の開閉状態の判別結果を出力する出力手段、をさらに有するものとしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ラインに既設の流体制御装置に対し、所定の検知装置を付加するだけで、流体通路の開閉状態を確認可能な流体制御装置を得ることができる。さらに、この流体制御装置は、クリーンルームに求められる高い清浄度を損なうこともない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る流体制御装置について、図を参照して説明する。
図1及び
図2に示されるように、本実施形態に係る流体制御装置1は、エアオペレートバルブ2と検知装置3とからなる。
なお、
図1は、検知装置3をエアオペレートバルブ2上に載置する前の状態を示し、
図2は、検知装置3をエアオペレートバルブ2上に載置した状態を示している。
【0013】
エアオペレートバルブ2は、外部供給路4を介して供給される駆動圧としてのエアによって流体通路211を開閉する流体制御器である。このエアオペレートバルブ2は流体制御機構として、バルブ本体21や当該バルブ本体21を作動させる空圧式のアクチュエータ22を備えている。
【0014】
バルブ本体21は、流体流入路211aと流体流出路211bからなる流体通路211が設けられたバルブボディ、流体通路211に設けられたシート、シートに当接離反して流体流入路211aから流体流出路211bへ流体を流通させる、又は流通を遮断するダイヤフラム(弁体)等からなる。
【0015】
一方、アクチュエータ22は、バルブボディ上に配設されたボンネット、ダイヤフラムを押圧する押圧体、ボンネット内を上下移動することで押圧体を介してダイヤフラムをシートに当接離反させるステム、ステムに一体化されたピストン、ピストンを下方に付勢するコイルバネや皿バネ等の付勢部材、ピストン下面に設けられた駆動圧導入室などかなる。
【0016】
駆動圧導入室には、駆動圧導入口2aに連結された外部供給路4からエアが導入される。エアが駆動圧導入室に導入されると、ピストンが付勢部材の付勢力に抗して上方に押し上げられ、ダイヤフラムがシートから離反する。これによりバルブ本体21は開弁した状態となって、流体が流通する。
一方、駆動圧導入室にエアが導入されなくなると、ピストンが付勢部材の付勢力に従って下方に押し下げられ、ダイヤフラムがシートに当接する。これによりバルブ本体21は閉弁した状態となって、流体の流通が遮断される。
【0017】
検知装置3は、エアオペレートバルブ2の流体通路211の開閉状態を検知する装置である。
本例における検知装置3は、エアオペレートバルブ2のアクチュエータ22の上面に検知装置3を載置した状態を示す
図3のとおり、内部に貫通孔3bが設けられたリング状の外観形状を有しており、この貫通孔3bにより、エアオペレートバルブ2の上面側に設けられている呼吸口2bに干渉しないようになっている。もっとも、エアオペレートバルブ2の構成によってはアクチュエータ22の上面に呼吸口2bが形成されていない場合もあり、特にそのような場合には、検知装置3が本例のようなリング形状である必要はなく、また貫通孔3bを設ける必要もない。
【0018】
この検知装置3は
図4に示されるように、エアオペレートバルブ2内の駆動圧導入室にエアが導入されるのに応じて当該駆動圧導入室の内部のエアの圧力を検出する圧力検出部31と、検出されたエアの圧力に基づき、流体通路211の開閉状態を判別する開閉判別部32、及び流体通路の開閉状態の判別結果を出力する出力部33を有する。
【0019】
圧力検出部31は所謂圧力センサであって、駆動圧導入口3aに連結された外部供給路4からエアが導入される圧力検出室311、駆動圧導入室と同圧力に保持された圧力検出室311内の圧力変化を検出する感圧素子312、感圧素子312によるエアの圧力変化の検出値を電気信号に変換する変換素子313によって構成される。
【0020】
この圧力検出部31は各種のもので構成することができるが、具体的には例えば、ダイヤフラムに加わる圧力による当該ダイヤフラムの変位として検出するダイヤフラムゲージで構成することができる。また、変位の検出には、ピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化を電気信号に変換する方法、ガラスの固定極とシリコンの可動極を対向させてコンデンサを形成し、圧力によって可動極が変形して発生する静電容量の変化を電気信号に変換する方法、ダイヤフラム面に歪みセンサを配置し、ダイヤフラムの変形を歪みセンサにより感知する方法等を用いることができる。
【0021】
開閉判別部32は、圧力検出部31から提供された駆動圧導入室内の圧力の検出値に基づき、予め設定された閾値を超えるか否かを判断することによって、流体通路211の開閉状態を判別する。即ち、検出値が予め設定された閾値を超える程度に駆動圧導入室内の圧力が高くなった場合には、ピストンと連動するダイヤフラムがシートから離反し、バルブ本体21が開弁した状態にあると判別される。一方、検出値が予め設定された閾値を超える程度にまで駆動圧導入室内の圧力が高くなっていない場合には、ピストンと連動するダイヤフラムがシートに当接したままとなっており、バルブ本体21が閉弁した状態にあると判別される。
なお、ここで予め設定される閾値は、バルブ本体21が開弁又は閉弁するときに、駆動圧導入室内あるいは圧力検出室311内において検出されるエアの圧力の検出値である。
【0022】
出力部33は、開閉判別部32による流体通路211の開閉状態の判別結果をディスプレイ331上に出力する機能部である。本例におけるディスプレイ331は液晶ディスプレイであり、この出力部33により、流体通路211の開閉状態に応じて使い分けられた「開」や「閉」といった文字あるいは色などが表示され、流体通路211の開閉状態が識別できるようになっている。
【0023】
なお、本例におけるディスプレイ331は、流体通路211の開閉状態を識別可能なものであれば、種々のもので構成することが可能であって、例えばLEDや電球等のランプで構成することもできる。開閉状態を識別可能に表示する方法についても、開閉状態に応じて使い分けられた「開」や「閉」といった文字あるいは色などに限らず、ランプの点灯や点滅などによることも可能である。さらに、視覚的に識別可能な手段に限らず、流体通路211の開閉状態に応じて異なる報知音を発するスピーカ等、聴覚的に識別可能な手段を単独あるいは組み合わせて用いることも可能である。
また、流体通路211の開閉状態の表示については、圧力検出部31による圧力の検出値が所定の閾値を超えている場合に、ディスプレイ331上に流体通路211が開放されている旨が表示されると共に、当該検出値が所定の閾値を下回っている場合に、ディスプレイ331上に流体通路211が閉じている旨が表示されるが、流体通路211の開閉状態が切り替わったときにだけ、その旨を表示させるようにすることもできる。
【0024】
外部供給路4は、外部のエア供給源からエアオペレートバルブ2に対して駆動のためのエアを供給する供給路であり、主に樹脂製チューブ等で構成される。
この外部供給路4は、一端がエア供給源と連結し、他端が二股に分岐した基本供給路41、基本供給路41の他端からエアオペレートバルブ2側に分岐したバルブ側供給路42、及び基本供給路41の他端から検知装置3側に分岐した検知装置側供給路43を有している。
さらに、バルブ側供給路42は、一端側に取り付けられたワンタッチ継手421によってエアオペレートバルブ2の駆動圧導入口2aに連結し、検知装置側供給路43は、一端側に取り付けられたワンタッチ継手431によって検知装置3の駆動圧導入口3aに連結している。
【0025】
ここで、エア供給源から外部供給路4内を通過するエアは、一部がバルブ側供給路42を介してエアオペレートバルブ2の駆動圧導入室に導入されると共に、一部が検知装置側供給路43を介して検知装置3の圧力検出室311に導入される。
そして、基本供給路41から分岐するバルブ側供給路42と検知装置側供給路43の内部は分岐箇所で連通しており、駆動圧導入室と圧力検出室311内のエアの圧力は同圧力に保持されている。これにより、圧力検出室311内のエアの圧力に基づき、駆動圧導入室内のエアの圧力を検出することが可能となっている。
【0026】
続いて、以上の構成からなる流体制御装置1において、検知装置3によって流体通路211の開閉が検知される仕組みを処理の流れから説明する。
流体制御装置1は、所定の操作に応じて流体通路211の開閉動作を繰り返すが、ここではまず、エアオペレートバルブ2の駆動圧導入室内にエアが導入されておらず、流体通路211が閉じている状態から開放された状態に至る流れから説明する。
【0027】
流体通路211を開放する操作が実行されると、エア供給源から基本供給路41とバルブ側供給路42を介してエアがエアオペレートバルブ2の駆動圧導入室内に導入される。
これと同時に検知装置3の圧力検出室311にも、エア供給源から基本供給路41と検知装置側供給路43を介してエアが導入される。
【0028】
駆動圧導入室内にエアが導入され続け、所定の圧力に達すると、ピストンが付勢部材の付勢力に抗して上方に押し上げられ、ステムを介してピストンに連動するダイヤフラムがシートから離反する。これによりバルブ本体21は開弁した状態となって、流体が流通する。
【0029】
検知装置3ではこの時、圧力検出室311内の圧力の検出値が所定の閾値を超え、これにより開閉判別部32は、流体通路211が開放されたものと判別する。
これに応じて出力部33は、ディスプレイ331上に、流体通路211が開放された旨を表示する。
【0030】
次に、流体通路211を閉じる操作が実行されると、エア供給源から基本供給路41とバルブ側供給路42を介して導入されていたエアの供給が止まり、エアオペレートバルブ2の駆動圧導入室内の圧力が減じる。
これと同時に検知装置3の圧力検出室311においても、エア供給源から基本供給路41と検知装置側供給路43を介して導入されていたエアの供給が止まり、圧力が減じる。
【0031】
駆動圧導入室にエアが導入されなくなると、ピストンが付勢部材の付勢力に従って下方に押し下げられ、ステムを介してピストンに連動するダイヤフラムがシートに当接する。これによりバルブ本体21は閉弁した状態となって、流体の流通が遮断される。
【0032】
このとき検知装置3では、圧力検出室311内の検出値が所定の閾値を下回り、これにより開閉判別部32は、流体通路211が閉じたものと判別する。
これに応じて出力部33は、ディスプレイ331上に、流体通路211が閉じた旨を表示する。
【0033】
以上の本実施形態に係る流体制御装置1によれば、ラインに既設の流体制御装置に対し、外部供給路4を分岐させ、当該外部供給路4に検知装置3を連結するだけで、流体通路211の開閉状態を確認可能な流体制御装置1を得ることができ、これにより作業者等は、流体通路211の開閉状態を容易に識別することができる。
また、流体制御装置1は、外部供給路4において連通する駆動圧導入室内のエアの圧力を検出し、これにより流体通路211の開閉状態を判別するため、クリーンルームに求められる高い清浄度を損なうこともない。
【0034】
なお、以上の本実施形態に係る流体制御装置1は、外部供給路4を分岐させ、検知装置3内にエアを引き込む構成としたが、外部供給路4を分岐させず、外部供給4の途中に検知装置3を取り付けることもできる。この場合、エアは供給源から検知装置3を通過してエアオペレートバルブ2内の駆動圧導入室に導入され、検知装置3は、当該通過するエアの圧力に基づいて駆動圧導入室内のエアの圧力を検出する。これによってもやはり、ラインに既設の流体制御装置に対し、外部供給路4に検知装置3を連結するだけで、流体通路211の開閉状態を確認可能な流体制御装置1を得ることができ、これにより作業者等は、流体通路211の開閉状態を容易に識別することができる。また、上記実施例においては、N.C.(ノーマルクローズ:常時閉)のダイヤフラム弁を用いているが、N.O.(ノーマルオープン:常時開)であってもよく、また、ダイヤフラム弁の他に、ベローズ弁等であってもよく、バルブ内部の構造についても、様々な構造を用いてもよい。さらに、バルブを駆動するのにエアを使用しているが、使用する気体について特に限定するものではない。また、出力部33からの出力は、ディスプレイ331で表示に用いるほか、通信機能を備えることで、外部の機器へ出力することも可能である。