(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564215
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】シート蓋開け用クリップ
(51)【国際特許分類】
B67B 7/12 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
B67B7/12
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-64154(P2015-64154)
(22)【出願日】2015年3月26日
(65)【公開番号】特開2016-182975(P2016-182975A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2018年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】506204047
【氏名又は名称】プラスワン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068308
【弁理士】
【氏名又は名称】後田 春紀
(72)【発明者】
【氏名】青木 尊利
【審査官】
加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−074300(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0175006(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3195724(JP,U)
【文献】
実開平05−068408(JP,U)
【文献】
実開昭57−071802(JP,U)
【文献】
実開昭55−143192(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67B 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質合成樹脂により先方部を互いに内側方向に互いに折曲して対面する折曲面を備えて上挟持片と下挟持片が形成されると共に、前記上挟持片の下面中央部付近と下挟持片の上面中央部付近に、前記上挟持片と下挟持片とを連結する軸支部を設けて、該軸支部を支点にして、前記上挟持片と下挟持片とが上下に揺動可能なるよう形成する一方、前記軸支部の基部側に接するようにして押しばねを配設して、該押しばねの一方の先端縁を前記上挟持片の下面に、また前記押しばねの他方の先端縁を下挟持片の上面にそれぞれ圧着させて、該押しばねの弾発力により、前記上・下挟持片が前記軸支部を支点として、基端部側が拡開して上・下方向方へ押し広げられると共に、先方部側が狭閉して各折曲面の先端が圧接して、前記上・下挟持片は一体に連結固定されるよう形成され、且つ前記上・下挟持片の基端部側をそれぞれ指で挟んで、該上・下挟持片の基部側を押しばねに抗して、それぞれ内側方向へ押圧すると、前記軸支部を支点として、前記上・下挟持片の基部側が狭閉されると共に、先方側の挟持部材が離間して隙間が形成され、該隙間に前記引き剥がし片を挿入して、前記上・下挟持片の基部側を離すと、前記押しばねの弾発力により、前記軸支部を支点として、前記上・下挟持片の基部部が拡開すると共に、該上・下挟持片の先方部が狭閉して、各挟持部材間に引き剥がし片が挟持されて、前記シート蓋を剥離するシート蓋開け用クリップにおいて、
収納容器の上部外周縁に接着剤で固定されたシート蓋に突設された引き剥がし片を挟持できるよう、前記上挟持片と下挟持片の各折曲面の先端縁部には摩擦係数が大なるゴム系素材またはウレタンより成る挟持部材がそれぞれ対面して固着されると共に、該挟持部材は、前記収納容器の外周面の湾曲面部に沿うよう、湾曲凹状に形成され、更に、前記上挟持片は透明に形成されると共に、該上挟持片の先方側上面に指挿入凹部を凹設したことを特徴とするシート蓋開け用クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳酸菌飲料、ゼリー、プリン、アイスクリーム、インスタントラーメン等飲食物を入れたプラスチック容器、紙容器等の収納容器の上部外周縁に接着剤等で固着されたビニールフィルム、アルミニウムシート、ラミネート紙等を素材とするシート蓋を開けるためのシート蓋開け用クリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来一般に、ゼリー等の飲食物を入れたプラスチック容器、紙容器等の収納容器の上部外周縁に接着剤等で固定されたビニールフィルム、アルミニウムシート、ラミネート紙等を素材とするシート蓋を剥がす場合、シート蓋の外周縁から一部が突設された引き剥がし片を指で摘まんで引っ張って開けていた。
【0003】
一方、前記飲食物の収納容器のシート蓋を開けるという技術思想につき、過去の特許文献を遡及探索したところ、下記の特許文献に開示されたものが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−142887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来一般に使用されているシート蓋の引き剥がし片を指で摘まんで引っ張って開ける方法では、老人や幼児等の力の弱い人では開けることができず、またネイルや爪を痛めてしまうという課題があり、更に、特許文献1記載の発明では、シート蓋に引き剥がし片がある場合は剛性の棒部材1と可撓性の条体2との間の隙間7に前記引き剥がし片を挿入して、巻き取って行くことにより剥ぎ取ることができるが、前記引き剥がし片が短いが、あるいは引き剥がし片がない場合、シート蓋を開けることができないという課題があった。
【0006】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたものであって、収納容器のシート蓋の引き剥がし片が短くても、またそれがない場合でも、収納容器のシート蓋を老人や幼児等、力がない人達でも簡単に開けることができるシート蓋開け用クリップを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、硬質合成樹脂により先方部を互いに内側方向に互いに折曲して対面する折曲面を備えて上挟持片と下挟持片が形成されると共に
、前記上挟持片の下面中央部付近と下挟持片の上面中央部付近に、前記上挟持片と下挟持片とを連結する軸支部を設けて、該軸支部を支点にして、前記上挟持片と下挟持片とが上下に揺動可能なるよう形成する一方、前記軸支部の基部側に接するようにして押しばねを配設して、該押しばねの一方の先端縁を前記上挟持片の下面に、また前記押しばねの他方の先端縁を下挟持片の上面にそれぞれ圧着させて、該押しばねの弾発力により、前記上・下挟持片が前記軸支部を支点として、基端部側が拡開して上・下方向方へ押し広げられると共に、先方部側が狭閉して各折曲面の先端が圧接して、前記上・下挟持片は一体に連結固定されるよう形成され、
且つ前記上・下挟持片の基端部側をそれぞれ指で挟んで、該上・下挟持片の基部側を押しばねに抗して、それぞれ内側方向へ押圧すると、前記軸支部を支点として、前記上・下挟持片の基部側が狭閉されると共に、先方側の挟持部材が離間して隙間が形成され、該隙間に前記引き剥がし片を挿入して、前記上・下挟持片の基部側を離すと、前記押しばねの弾発力により、前記軸支部を支点として、前記上・下挟持片の基部部が拡開すると共に、該上・下挟持片の先方部が狭閉して、各挟持部材間に引き剥がし片が挟持されて、前記シート蓋を剥離
するシート蓋開け用クリップ
において、
収納容器の上部外周縁に接着剤で固定されたシート蓋に突設された引き剥がし片を挟持できるよう、前記上挟持片と下挟持片の各折曲面の先端縁部には摩擦係数が大なるゴム系素材またはウレタンより成る挟持部材がそれぞれ対面して固着されると共に、該挟持部材は、前記収納容器の外周面の湾曲面部に沿うよう、湾曲凹状に形成され、更に、前記上挟持片は透明に形成されると共に、該上挟持片の先方側上面に指挿入凹部を凹設するという手段を採用することにより、上記課題を解決した。
【発明の効果】
【0008】
上記構成より成る本発明によれば、上・下挟持片の基部側を押しばねに抗して、それぞれ内側方向へ押圧して、前記軸支部を支点として、前記上・下挟持片の基部側が狭閉されると共に、先方側の挟持部材が離間して隙間が形成され、該隙間に前記引き剥がし片を挿入して、前記上・下挟持片の基部側を離すと、前記押しばねの弾発力により、前記軸支部を支点として、前記上・下挟持片の基部部が拡開すると共に、該上・下挟持片の先方部が狭閉して、
前記上挟持片と下挟持片の各折曲面の先端縁部に対面して固着された摩擦係数が大なるゴム系素材またはウレタンより成る挟持部材間にシート蓋の引き剥がし片を確固に挟持されて簡単に引き剥がすことができ、また前記挟持部材は、前記収納容器の外周面の湾曲面部に沿うよう湾曲凹状に形成されているため、前記引き剥がし片を挟持し易く、更に前記上挟持片は透明に形成されているため、前記挟持部材が引き剥がし片を確実に挟持したか否かを視認できるので、引き剥がし作業を確実に実行でき、更にまた、前記透明に形成された上挟持片から、前記挟持部材が引き剥がし片を挟持したことを確認した後、親指を前方側へずらして、前記上挟持片の先方側上面に凹設された指挿入凹部に挿入して、下挟持片を上方へ引っ張ることにより、前記引き剥がし片を挟持部材で確固に挟持したまま確実に引き剥がして、簡単にシート蓋を剥離して収納容器を開けることができ、また、前記上挟持片は透明に形成されているため、本発明クリップの作動状況が視認できるので安全であり、また老人や幼児等、力がない人達でも簡単に開けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明シート蓋開け用クリップの全体の斜視図である。
【
図2】本発明シート蓋開け用クリップを使用して、シート蓋の引き剥し片を挟持した状態を示す斜視図である。
【
図3】本発明シート蓋開け用クリップを使用して、シート蓋の引き剥し片を剥離しようする状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明シート蓋開け用クリップを使用して、引き剥し片のないシート蓋を剥開けようとする状態を示す斜視図である。
【実施例】
【0010】
本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。本発明シート蓋開け用クリップは、硬質合成樹脂により基端部を指で押圧し易く湾曲面1・2にすると共に、先方部を互いに内側方向に互いに折曲して対面する折曲面3・4を備えて上挟持片5と下挟持片6が形成されると共に、前記上挟持片5は透明に形成され、且つ該上挟持片5の下面中央部付近と下挟持片6の上面中央部付近に、前記上挟持片5と下挟持片6とを連結する軸支部7を設けて、該軸支部7を支点にして、前記上挟持片5と下挟持片6とが上下に揺動可能なるよう形成する一方、前記軸支部7の基部側に接するようにして押しばね8を配設して、該押しばね8の一方の先端縁9を前記上挟持片5の下面に、また前記押しばね8の他方の先端縁10を下挟持片6の上面にそれぞれ圧着させることにより、該押しばね8の弾発力により、前記上・下挟持片5・6が前記軸支部7を支点として、基端部側が拡開して上・下方向方へ押し広げられると共に、先方部側が狭閉して各折曲片3・4の先端が圧接して、前記上・下挟持片5・6は一体に連結固定されるよう形成されている。
【0011】
前記軸支部7の構造は、特に限定する必要はなく、前記上挟持片5と下挟持片6の基部側と先方部とが、該軸支部7を支点として上下方向に揺動可能に軸支される構造であればよい。好ましくは、
図1に示すように、前記下挟持片6の上面に中央に湾曲凹溝11を備えた突条12を横設すると共に、前記上挟持片5の下面に前記湾曲凹溝11に嵌入して回動自在となる回動突条13を垂設することが推奨される。これにより、前記回動突条13が前記湾曲凹溝11に嵌入して、該回動突条13と湾曲凹溝11部分を支点として、前記上挟持片5と下挟持片6の基部側と先方部とが上下に揺動できる。
【0012】
なお、前記構成より成る上挟持片5は作動状態を視認して確認できるよう、全体が透明に形成されており。これにより、全体の作動状況が視認することができ、安全性にも寄与できる効果を有する。
【0013】
そして、乳酸菌飲料やゼリー等の飲食物を入れたプラスチック容器や紙カップ容器等の収納容器14の上部外周縁に接着剤で固定されたビニールフィルム、アルミニウムシート、ラミネート紙等を素材とするシート蓋15に突設された引き剥がし片16を挟持できるよう、前記上挟持片5と下挟持片6の各折曲面3・4の先端縁部には摩擦係数が大なるゴム系素材またはウレタンより成る挟持部材17・18がそれぞれ対面して固着されている。
【0014】
なお、前記挟持部材17・18は、前記引き剥がし片16を挟持し易いように、収納容器14の外周面の湾曲面部に沿うよう湾曲凹状に形成されている。また、特に限定する必要はないが、好ましくは、前記上挟持片5の先方側上面には、後述するシート蓋15を開ける際に、指を掛けて引っ張り易いようにする指挿入凹部19を凹設することが推奨される。更に、前記上・下挟持片5・6の基部側は、特に限定する必要はないが、好ましくは、指で摘み易くするために、上方側へ緩やかに傾斜した傾斜面20・21とすることが推奨される。また更に、下挟持片6の底面に磁石22を埋込むことにより、本発明蓋開け用クリップを冷蔵庫等の扉に、該磁石22を介して吸着固定して保管することができる。
【0015】
前記構成より成る本発明シート蓋開け用クリップの作用について説明する。先ず、
図2に示すように、本発明クリップの上・下挟持片5・6の基端部側をそれぞれ指で挟んで、該上・下挟持片5・6の基部側を押しばね8に抗して、それぞれ内側へ押圧すると、前記軸支部7を支点として、前記上・下挟持片5・6の基部側が狭閉されると共に、先方側の挟持部材17・18か離間して隙間が形成される。
【0016】
前記先方側の挟持部材17・18が離間して隙間が形成されると、該隙間に前記収納容器14のシート蓋15に突設された引き剥がし片16を挿入させ、然る後、前記指で押圧していた上・下挟持片5・6の基部側を離すと、前記押しばね8の弾発力により、前記軸支部7を支点として、上・下挟持片5・6の基部部が拡開すると共に、該上・下挟持片5・6の先方部が狭閉して、各挟持部材17・18間に引き剥がし片16が挟持される。
【0017】
前記各挟持部材17・18が引き剥し片16を挟持した段階で、特に限定する必要はないが、
図3(
図3は、上・下挟持片5・6が
図2と異なり、上下逆になっている)に示すように、
図2の状態から親指を前方側へずらして指挿入凹部19内に挿入して、下挟持
片6を上方へ引っ張ることにより、シート蓋15は収納容器14から剥離される。その後は、前記上・下挟持片5・6の基端部側を押圧して、挟持部材17・18を離間させて、前記剥離したシート蓋15を取り去ればよい。
【0018】
なお、シート蓋15に引き剥し片16が突設されておらず、該シート蓋15が収納容器14に密着している場合は、
図4に示すように、上・下挟持片5・6の先方側の挟持部材17・18を離間させて、下挟持片6の先方端の挟持部材18の端部でシート蓋15を引き起こし、これを前記挟持部材17・18を挟持して引き剥せばよい。
【符号の説明】
【0019】
1・2 湾曲面
3・4 折曲面
5 上挟持片
6 下挟持片
7 軸支部
8 押しばね
9 一方の先端縁
10 他方の先端縁
11 湾曲凹部
12 突条
13 回動突条
14 収納容器
15 シート蓋
16 引き剥し片
17・18 挟持部材
19 指挿入凹部
20・21 傾斜面
22 磁石