特許第6564220号(P6564220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564220
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】火災受信機
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   G08B17/00 L
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-68657(P2015-68657)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-189100(P2016-189100A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2018年3月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 茂
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 夏彦
(72)【発明者】
【氏名】横田 真吾
【審査官】 白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−089034(JP,A)
【文献】 特開2006−178870(JP,A)
【文献】 特開平04−048399(JP,A)
【文献】 特開2016−110521(JP,A)
【文献】 特開平10−326389(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C2/00−99/00
G08B17/00
19/00−31/00
H02B1/00−1/38
1/46−7/08
H02G3/08−3/20
H05K5/00−5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設置された火災感知器と、該火災感知器と信号線を介して接続され、前記火災感知器が火災を検出すると火災警報を行う火災受信機であって、
該火災受信機は、前面に扉を有し、箱状に形成された自立可能な筐体を備え、
前記火災受信機の機能が内蔵され、前記筐体とは別体に形成された箱体からなる火災受信機ユニットを前記筐体内に設け
前記火災受信機ユニットは、前記火災感知器と信号線を介して接続され、前記箱体の前面に操作部が設けられ、前記操作部に対応するプリント基板が前記箱体内部に備えられる
ことを特徴とする火災受信機。
【請求項2】
前記扉は、窓部を有し、
前記窓部を介して、前記操作部が操作可能となるように、前記火災受信機ユニットを前記筐体内に設置するための取付部が、前記筐体内に設けられた
ことを特徴とする請求項1記載の火災受信機。
【請求項3】
前記火災受信機は、前記窓部を埋める閉鎖パネルを備えたことを特徴とする請求項2記載の火災受信機。
【請求項4】
前記火災受信機は、前記火災受信機ユニットの下端が、前記窓部の下端より下に位置するように設けられたことを特徴とする請求項2記載の火災受信機。
【請求項5】
前記火災受信機は、前記筐体と前記火災受信機ユニットの間であって、前記火災受信機ユニットの上または下に、追加設備を設置可能な空間が形成されたことを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の火災受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災発生時に火災感知器によって火災を検出すると、火災警報を行う火災受信機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内に設置された火災感知器と電源兼信号線を介して接続され、火災感知器が火災を検出すると火災警報を行う火災受信機が建物の防災センターに設けられている。(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−245259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような火災受信機は、箱状に形成された自立可能な筐体内に基板を備え、この筐体を建物の壁面に埋設して設置されているため、火災受信機の機能を拡充するためにリニューアルする際、火災受信機の筐体ごと取り外してリニューアルする必要があるため、リニューアル作業が困難という問題があった。
【0005】
また、電源兼信号線から電源の供給を受けるという電源供給方式では、間仕切り変更による端末機器数の増加や、火災受信機の機能拡充による火災報知設備のリニューアルの際、設備の規模によっては特殊な大きさの電源装置及び予備電源を搭載する必要があり、盤サイズもそれに合わせて変更する必要があった。
【0006】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、火災報知設備のリニューアルを行う際に、自立可能な火災受信機の筐体を取り外すことなく、必要な電源容量を設置可能な空間が形成される火災受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、建物内に設置された火災感知器と、火災感知器と信号線を介して接続され、火災感知器が火災を検出すると火災警報を行う火災受信機であって、火災受信機は、前面に扉を有し、箱状に形成された自立可能な筐体を備え、火災受信機の機能が内蔵され、筐体とは別体に形成された箱体からなる火災受信機ユニットを筐体内に設け、火災受信機ユニットは、火災感知器と信号線を介して接続され、箱体の前面に操作部が設けられ、その操作部に対応するプリント基板が箱体内部に備えられることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、箱状に形成された自立可能な筐体とは別体に形成された箱体からなる火災受信機ユニットを筐体内に設けたので、筐体内の火災受信機ユニットの上下に空間が形成される。
【0009】
これにより、火災報知設備のリニューアルを行う際に必要な追加電源を設置可能な空間が形成されるので、この空間に追加電源やサイレージ等の追加設備を設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1に係る火災受信機の正面図。
図2】本発明の実施の形態1に係る図1のA−A線断面図。
図3】本発明の実施の形態1に係る平面断面図。
図4】本発明の実施の形態1に係る取付部の斜視図。
図5】本発明の実施の形態2に係る火災受信機の正面図。
図6】本発明の実施の形態2に係る図5のB−B線断面図。
図7】本発明の実施の形態2に係る平面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施形態1]
本発明の実施形態1を図1〜4に基づき説明する。
本実施形態1の火災受信機100は、箱状に形成された筐体2と、筐体2の前面開口部に扉3が設けられている。さらに筐体2は、取付部8を介して設けられた火災受信機ユニット1と、中継器5と、追加電源部6と、サイレージ部7を内部に備えている。
【0012】
火災受信機100は、建物内の防災センター等に設置され、建物内の居室やテナントなどの防護領域の天井面に設置された火災感知器と信号線を介して接続されている。
【0013】
このような火災受信機100は、防護領域にて火災が発生し、天井面に設置された火災感知器が火災を検出すると、火災信号を火災受信機100に送信する。火災信号を受信した火災受信機100は、火災受信機100に備えられたスピーカ等から火災警報を行うことで、防災センター等の管理者に火災の発生を知らせるものとなっている。
【0014】
筐体2は、筐体2の側面を折り曲げて、前面開口部を形成することにより、前面に大きな開口部を備えていても、自立可能なだけの強度を有している。そして、箱状に形成された自立可能な筐体2は、台座4によって複数台連結して固定され、例えば防災センターの壁面に埋込設置、または床面に自立して設けられている。火災受信機ユニット1や、火災感知器と信号線を介して接続された中継器5は、ひとつの筐体2にそれぞれ設けられている。
【0015】
筐体2の前面開口部には、回動部3bを介して扉3が取り付けられており、扉3には、筐体2の内部に連通可能な窓部3aが設けられている。
【0016】
火災受信機ユニット1は、筐体2とは別体に形成された箱体と、箱体の前面に一部が開口した扉を備えて箱状に形成され、取付部8を介して火災受信機100の筐体2内に設けられ、中継器5と信号線を介して接続されている。
【0017】
さらに火災受信機ユニット1の箱体は筐体2の高さより低く(たとえば3分の2以下)、かつ、筐体2の前面開口部と略同一幅に形成されている。また、火災受信機ユニット1の箱体は、箱体前面に形成された開口部から露出する位置に操作部10を備えたプリント基板を内部に備え、操作部10と、筐体2の前面開口部が略同一平面上になるように、取付部8を介して火災受信機100の筐体2内に設けられている。
【0018】
取付部8には、平板状の金属を折り曲げて凸状に形成され、火災受信機ユニット1の背面とねじ止めして固定される取付面8aと、火災受信機100の筐体2にねじ止めして固定されるフランジ部8bと、火災感知器または中継器5と接続される信号線を纏める整線部8cとが設けられている。
【0019】
なお、整線部8cは、取付面8aに複数設けられた孔により構成され、その数は、取付部8の強度に応じて適宜設けられる。
【0020】
中継器5は、火災受信機ユニット1及び火災感知器と信号線を介して接続されており、火災感知器からの火災信号を火災受信機ユニット1に送信するものである。
追加電源部6は、筐体2内に設けられ、P型受信機からR型受信機へのリニューアルなど、火災受信機100の機能拡充などのリニューアルの際に不足した電源容量を追加するものである。
【0021】
サイレージ部7は、筐体2内に設けられ、建物に落雷した際の過電流を防止するものである。
【0022】
次に、本実施形態1を用いたP型火災受信機からR型火災受信機へのリニューアル手順について説明する。より詳しく述べると、防災センター等の壁面に埋込設置された既設P型火災受信機100の既設筐体2を利用して、R型火災受信機の機能が内蔵された火災受信機ユニット1の箱体を筐体2内に配置するようにして設置することで、火災受信機100の機能を拡充するリニューアル手順について説明する。
【0023】
はじめに、防災センター等の壁面に埋め込んで設置されたP型火災受信機100の筐体2の内部から、プリント基板や電源等を取り外す。併せて、扉3の窓部3aに設置されていた操作部(既設の操作部)及び、台座4にて複数台連結して固定された他の筐体2の扉3から地区窓を取り外す。この時、プリント基板と接続されていた信号線を、取付部8の整線部8cに、接続される地区ごとにまとめて挿入することにより、火災受信機ユニット1又は中継器5に信号線を再接続する際、容易に接続できるものとなっている。
【0024】
次に、P型火災受信機100の筐体2背面と、取付部8のフランジ部8bをネジにより固定すると共に、隣り合う筐体2内に中継器5のプリント基板を取り付ける。
【0025】
その後、取付部8の整線部8cに挿入した信号線を、火災受信機ユニット1又は中継器5と接続し、火災受信機ユニット1の背面と取付部8の取付面8aをねじ止めによって固定する。
【0026】
火災受信機ユニット1を取り付ける高さは、例えば800mm程度の高さとし、火災受信機ユニット1の下端が窓部3aの下端より下に来るような位置とする。これにより、火災受信機ユニット1の下に隙間が生じないので、美観が良いものとなる。
【0027】
このとき、取付部8により、火災受信機ユニット1の操作部10が、筐体2の前面開口部と略同一平面上となるように設置されるので、筐体2に取り付けられた扉3の窓部3aから火災受信機ユニット1の操作部10が操作可能な位置に露出する。さらに、筐体2に取り付けられた扉3と、火災受信機ユニット1の扉が干渉しない位置となるように取付部8の高さが調整されているので、筐体2に取り付けられた扉3が開閉可能な状態となっている。
【0028】
また、火災受信機ユニット1の高さは、筐体2より低く形成されているため、筐体2内の上下に空間が形成される。この空間に、追加電源部6及びサイレージ部7を設け、火災受信機ユニット1と接続することが可能となる。
【0029】
なお、中継器5と信号線を接続した後は、管理者等が操作する必要がないので、中継器5が設置された筐体2の扉3は、窓部3aを備えない扉と交換する。
【0030】
このように、建物内に設置された火災感知器と、火災感知器と信号線を介して接続され、火災感知器が火災を検出すると火災警報を行う火災受信機100であって、火災受信機100は、前面に扉を有し、箱状に形成された自立可能な筐体2を備え、筐体2とは別体に形成された箱体からなる火災受信機ユニット1を筐体2内に設けたので、火災報知設備のリニューアルを行う際に、自立可能な火災受信機100の筐体2を建物の壁面から取り外すことなくリニューアルが可能となると共に、追加の電源を設ける空間が形成されるので、電源容量を追加する必要がある場合でも、容易に火災報知設備のリニューアルが可能となる。
【0031】
また、扉3は、窓部3aを有し、火災受信機ユニット1は、前面に操作部10を備えたプリント基板を内部に備え、窓部3aを介して、操作部10が操作可能となるように、火災受信機ユニット1を筐体2内に設置するための取付部8が、筐体内に設けられたので、扉3の窓部3aから操作部10を操作可能となるため、余計な加工が不要となり、容易に火災報知設備のリニューアルが可能となる。
【0032】
また、火災受信機ユニット1の箱体は、凸状に形成された取付部8を介して筐体2内に設けられたので、火災受信機ユニット1をそのまま火災受信機100の筐体2内に設置することができ、余計な加工が不要となるため、容易に火災報知設備のリニューアルが可能となる。
【0033】
また、取付部8に、信号線を纏める整線部8cが設けられたので、接続される地区ごとにまとめて信号線を纏めることができるので、容易に火災報知設備のリニューアルが可能となる。
【0034】
[実施形態2]
次に、本発明の実施形態2を図5〜7に基づき説明する。なお、実施形態1と同一名称または同一符号のものは、その機能と役割を同一のものとし、ここでは、実施形態1と異なる点について主に説明する。
【0035】
本実施形態2の火災受信機100は、箱状に形成された筐体2と、筐体2の前面開口部に扉3が設けられ、取付部9を介して設けられた火災受信機ユニット1を筐体2の内部に備えている。
【0036】
筐体2の前面開口部には、回動部3bを介して扉3が取り付けられており、扉3には、筐体2の内部に連通可能な窓部3aと、窓部3aの一部を埋めるように、閉鎖パネル3cが設けられている。
【0037】
火災受信機ユニット1は、前面すべてが開口された箱体が筐体2とは別体に形成され、火災受信機100の筐体2内に設けられている。
【0038】
さらに火災受信機ユニット1の箱体は、筐体2の高さより低く(たとえば3分の2以下)、かつ、筐体2の前面開口部とより大きく形成されており、前面に操作部10を備えたプリント基板を内部に備え、操作部10と、筐体2の前面開口部が略同一平面上になるように、取付部9を介して火災受信機100の筐体2内に設けられている。
【0039】
取付部9は、平板状の金属を折り曲げてL字状に形成され、火災受信機ユニット1の側面とねじ止めして固定される取付面と、筐体2の側面を折り曲げて、形成された前面開口部にねじ止めして固定されるフランジ部とを備えている。さらに取付部9の取付面には、図示しない整線部が設けられている。
【0040】
次に、本実施形態2を用いたP型火災受信機からR型火災受信機へのリニューアル手順について説明する。
はじめに、防災センター等の壁面に埋め込んで設置されたP型火災受信機100の筐体2の内部から、プリント基板や電源等を取り外す。併せて、扉3の窓部3aに設置されていた操作部(既設の操作部)及び、台座4にて複数台連結して固定された筐体2の扉3から地区窓を取り外す。
【0041】
次に、P型火災受信機100の筐体2の前面開口部と、取付部9のフランジ部をネジにより固定する。より詳しく述べると、筐体2の側面を折り曲げて形成した前面開口部のうち、筐体2の背面側と対向する面と取付部9のフランジ部をネジにより固定する。
このとき、取付部9の取付面は、折り曲げて形成された前面開口部から突出しない位置となっている。
その後、火災受信機ユニット1の側面と取付部9の取付面をねじ止めによって固定する。
【0042】
取付部9により、火災受信機ユニット1の操作部10が、筐体2の前面開口部と略同一平面上となるように設置されるので、筐体2に取り付けられた扉3の窓部3aから火災受信機ユニット1の操作部10が操作可能な位置に露出する。このとき火災受信機ユニット1の箱体は、筐体2の前面開口部より突出しない位置で固定されているので、筐体2に取り付けられた扉3が開閉可能な状態となっている。
【0043】
さらに、扉3の窓部3aには、火災受信機ユニット1の上端から窓部3aの上端までを埋める閉鎖パネル3cを扉3に取り付けることにより、必要以上に窓部3aが開いた状態のままとならないので、設置後の美観が良いものとなる。
【0044】
このように、建物内に設置された火災感知器と、火災感知器と信号線を介して接続され、火災感知器が火災を検出すると火災警報を行う火災受信機100であって、火災受信機100は、箱状に形成された自立可能な筐体2を備え、筐体2とは別体に形成された箱体からなる火災受信機ユニット1を筐体2内に設けたので、火災報知設備のリニューアルを行う際に、自立可能な火災受信機100の筐体2を建物の壁面から取り外すことなくリニューアルが可能となると共に、追加の電源を設ける空間が形成されるので、電源容量を追加する必要がある場合でも、容易に火災報知設備のリニューアルが可能となる。
【0045】
また、火災受信機ユニット1の箱体は、L字状に形成された取付部9を介して、前面開口部に固定したので、多少サイズが異なる火災受信機ユニット1であっても、そのまま火災受信機100の筐体2内に設置することができるので、容易に火災報知設備のリニューアルが可能となる。
【0046】
なお、本願発明の実施形態において、取付部8はあらかじめ操作部10と、筐体2の前面開口部が略同一平面上になる高さとしたが、例えば取付部8をL字状に形成したフランジ部と、コ字状に形成した取付面に分け、いずれか一方の側面に横長の孔を設けてネジ接続することにより、高さを調整可能なものとしても良い。
【0047】
また、整線部8cに信号線を直接挿入するものとしたが、整線部8cに結束バンドを通し、結束バンドによって信号線を纏めるものであっても良い。
【符号の説明】
【0048】
100 火災受信機、1 火災受信機ユニット、2 筐体、3 扉、3a 窓部、3b 回動部、3c 閉鎖パネル、4 台座、5 中継器、6 追加電源部、7 サイレージ部、8,9 取付部、8a 取付面、8b フランジ部、8c 整線部、10 操作部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7