(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記価値付与手段は、遊技場の会員となった遊技者の識別情報を受け付け可能であり、前記付与操作を受け付けた場合に、当該識別情報の受け付け中であるか否かに応じて、当該付与操作分の付与分を前記第1付与処理と、前記第2付与処理との何れかにて選択的に行い、
前記遊技情報特定手段は、前記付与信号を入力した場合に、前記識別情報の受け付け中であるか否かに応じて、当該付与信号分の前記遊技機付与情報と、前記第2付与処理により付与された遊技価値を示す第2付与情報との何れかを特定することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載した遊技場用システム。
前記付与信号は、前記合計付与情報と、前記遊技機付与情報と、前記第2付与処理により付与された遊技価値を示す第2付与情報との内、少なくとも2つを示す遊技信号であり、
前記入力手段は、前記合計付与情報と、前記遊技機付与情報と、前記第2付与処理により付与された遊技価値を示す第2付与情報との内、少なくとも2つを示す遊技信号を前記付与信号として入力することを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載した遊技場用システム。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について
図1から
図5を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を示している。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して遊技装置2(価値受付手段、価値付与手段、出力手段に相当)及び情報表示装置3が設置されている。これら遊技機1、遊技装置2及び情報表示装置3は2台ずつ中継装置4と接続されており、中継装置4はLAN5を介して管理装置6(入力手段、遊技情報特定手段、管理手段に相当)と接続されている。又、遊技場にはPOS7や残高精算機(図示せず)も設置されており、これらPOS7や残高精算機もLAN5を介して管理装置6と接続されている。尚、
図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード8、モニタ9、プリンタ(図示せず)等が接続されている。管理装置6は、遊技機側(遊技機1、遊技装置2等)から出力される遊技信号を入力することで、遊技機1毎の遊技データ、会員登録された会員毎の個人データ、遊技機1や遊技装置2等の稼動状態等を管理する。
【0009】
遊技機1は、CR(カードリーダ)パチンコ遊技機であり、盤面10に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル11、上部受皿12、下部受皿13を有すると共に、盤面10に、液晶表示部14、普図入賞口15、第1始動口16、第2始動口17、大入賞口18を有する。
【0010】
遊技機1は以下に示すように動作する。
(1)第1始動口16は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口17は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。各始動口16、17への入賞(始動入賞)に応じて大当たり抽選を行い、抽選結果を液晶表示部14にて行う図柄変動にて報知し、その変動結果に応じて大当たりとなる。
(2)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。尚、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
(3)大当たり抽選の当選確率(大当たり確率)は1/360であり、大当たりがその後確変状態(確変)となる大当たり(確変大当たり)となる割合である確変率は(通常状態、確変状態共に)66.6%である。大当たりが発生すると15ラウンド分だけ大入賞口18を開放する。尚、1Rの上限入賞数は10個であり、上限開放時間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放時間の何れかが満たされた場合に1Rを終了する。
【0011】
(4)確変中は大当たり確率が1/36に向上すると共に、各始動口16、17への入賞率が高くなる時短状態(時短)になる。尚、確変は次回大当たりまで継続するので、大当たり後に大当たりでも確変でもない状態である通常遊技状態(通常状態)となる大当たり(通常大当たり)が発生するまで継続し、その後は所定数(例えば100回)の図柄変動を行うまで時短状態となり、その後に通常状態となる。
(5)第2始動口17は普図入賞口15への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当たりとなった場合に入賞率の高い開放状態となる。この場合、普
図1回の変動時間は通常状態では30秒であり時短状態では3秒となる。又、開放時間は通常状態では0.3秒であり時短状態では5秒となる。即ち、時短状態では通常状態と比較して普図変動時間が短くなる一方、開放時間は長くなることで第2始動口17の入賞率が高くなる。尚、上記は単なる例示であり、例示した数値等のスペックは機種に応じて異なる数値等が採用される。
【0012】
遊技機1及び当該遊技機1に付設された周辺機器は、遊技者による玉の打ち込みや各始動口16、17への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示す遊技信号を出力する。
アウト信号=消費玉を回収するアウトBOXから出力される消費価値(アウト)を特定可能な信号である。消費(使用、打込、回収)玉10玉に対して1パルスが出力されるので、「アウト信号数×10」をアウトとして特定する。尚、遊技機1から出力される信号でも良い。
セーフ信号=遊技機1から出力される入賞付与価値(セーフ)を特定可能な信号である。払出10玉に対して1パルスが出力されるので、「セーフ信号数×10」をセーフとして特定する。
【0013】
始動信号=遊技機1から出力される始動入賞(特定の入賞)により変動(作動)する液晶表示部14(役物)におけるスタート処理(図柄変動、役物作動、単位遊技)を特定可能な信号である。図柄変動確定時に出力されるので、始動信号の入力に応じてスタート処理を特定し、「始動信号×1」をスタート回数(スタート処理数)として特定する。尚、第1始動口16又は第2始動口17への入賞を示す信号としても良い。
大当たり信号=遊技機1から出力される大当たり期間を特定可能な信号である。大当たり中にレベル出力される状態信号であるので、大当たり信号の入力中を大当たり中として特定する。
特別状態信号=遊技機1から出力される特別状態(甘中)を特定可能な信号である。第2始動口17の入賞率が向上する特別状態中(時短中)にレベル出力される状態信号であるので、特別状態信号の入力中を特別状態中として特定する。又、大当たり信号と特別状態信号の何れも入力していない期間を通常状態として特定する。
【0014】
遊技装置2は、所謂各台計数機能付の貸出機であり、遊技機1の遊技状態を示す状態表示灯19、貨幣(遊技者の貨幣価値、有価価値)が投入される貨幣投入口20、遊技者からの操作入力を受け付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当たり確率等の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部21、持玉(会員であれば貯玉も含む、遊技者が遊技により獲得した遊技価値である獲得価値、有価価値)を払い出すための払出釦22、払い出された玉が通過する払出ノズル23、一般カードや会員カードが挿入されるカード挿入口24、遊技機1の下部受皿13の下方に位置する着脱可能な計数受皿25等を有する。
【0015】
遊技装置2は、以下に示す機能を備えている。
(1)貨幣を受け付ける(貨幣受付処理)と、入金額を残高に加算して表示し、残高がある状態で遊技機1の貸出釦(図示せず)が押下(貸出操作、付与操作)されると、対価額単位(例えば500円)分の貸出玉(対価付与価値)を遊技機1と払出ノズル23から払い出し(貸出処理、付与処理)、その対価分を残高から引き落とす(減算する)。尚、貨幣は複数回分の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。
【0016】
(2)消費税等を考慮して貸出レート(以下、レート)が設定され、そのレートに基づいて貸出処理を行う。例えばレートが500円で120玉(1玉≒4.16円)の場合であれば、500円分の120玉の払い出しを行うには、遊技機1からの払い出しが25玉単位であるので、25玉の倍数である100玉を遊技機1から払い出し(台払出、第1付与処理)、残りの20玉を払出ノズル23から払い出す(ノズル払出、第2付与処理)。
【0017】
(3)貸出処理を行うと、売上信号(付与信号)として100円に対して1パルスのパルス信号を管理装置6に出力する。即ち、500円分の貸出処理を行った場合には5パルスを管理装置6に出力する。ここで、売上信号について補足する。売上信号は台払出とノズル払出の払出分との合計を示す付与信号であるので、仮に台払出が100円分となった場合にはノズル払出がなくとも1パルスを出力し、逆にノズル払出が100円分となった場合には台払出分がなくとも1パルスを出力する。一方で、レートの異なるコーナーの遊技装置2では、例えばレートが100円で96玉(1玉≒1.04円)の場合であれば、100円分の96玉の払い出しを行うには、25玉の倍数である75玉を遊技機1から払い出し(台払出)、残りの21玉を払出ノズル23から払い出す(ノズル払出)が、この場合も100円につき1パルスを出力する。
【0018】
(4)遊技機1の下部受皿13から落下した玉を計数受皿25により受けると、その受けた玉を計数して持玉として管理し、その持玉を対価とした払い出し(付与処理)も可能とする。払出釦22が押下(再プレイ操作、付与操作)されると、対価額単位(例えば500円)分の持玉を払出ノズル23から払い出し(再プレイ処理、付与処理)、その対価分を持玉から引き落とす(減算する)。この場合、払い出した合計の玉数を示す払出信号(付与信号)として払出10玉に対して1パルスのパルス信号を管理装置6に出力する。
【0019】
(5)残高や持玉がある状態で遊技機1の返却釦(図示せず)が押下(発行操作)されると、残高や持玉を特定可能な(記録して)一般カードを発行する。又、一般カードを受け付けた場合は、その一般カードにより特定される(記録されている)残高及び持玉を引き継ぐ。即ち、レートの異なる遊技装置2にて対価付与処理を行った場合に、残高として500円以外の残高が残る場合もあり、この場合に先のレート(1玉≒4.16円)にて払い出しを行い、例えば400円分の96玉を払い出した場合には4パルスを出力する。
【0020】
(6)会員カードのIDに対応付けて遊技者が遊技場へと預け入れた持玉である貯玉を管理装置6(会員毎の貯玉口座)にて管理しており、会員カードを受け付けると、管理装置6に管理されている貯玉を特定し、その貯玉を対価とした払い出し(付与処理)も可能とする。この場合も、持玉の払い出しと同様に、払い出した合計の玉数を示す払出信号(付与信号)として払出10玉に対して1パルスのパルス信号を管理装置6に出力する。
【0021】
(7)中継装置4とのシリアル通信により管理装置6にて貨幣受付処理、貸出処理、付与処理、残高、持玉、貸出数、払出数、入金額、台払出、ノズル払出、計数玉数、貸出の対価となる売上額、及び一般カードの受付や発行処理等の各種情報を特定可能としても良い。尚、上記の払出数や売上額以外を払出信号や売上信号と同様にパルス信号(例えば入金500円に対して1パルス等)にて特定しても良い。
【0022】
図2は、遊技装置2の貨幣価値を対価とした払い出し(貸出処理)に関わる設定情報を示す対価付与設定を示し、管理装置6への設定操作により設定された設定情報が各遊技装置2等に出力されることで、設定情報が各遊技装置2等に設定される。尚、管理装置6とは別の異なる管理装置(例えば異なるメーカ製の管理装置)への設定操作により設定された設定情報が各遊技装置2等に出力されることで、設定情報が各遊技装置2等に設定される構成でも良い。
図2に示す対価付与設定の各項目の意味は以下の通りである。
【0023】
「種別」=レートに応じた遊技機グループである。尚、別途対応する台番範囲が設定され、遊技装置2に対応する台番が属する台番範囲の種別が、当該遊技装置2の自レート(自種別)となる。
【0024】
「パルス単位」=1パルスにより特定する合計の売上玉数である。即ち、売上信号により特定される売上玉の内、遊技機1からの払出(以下、台払出、遊技機付与情報、遊技機付与価値)分と払出ノズル23からの払出(以下、ノズル払出、第2付与情報)分との合計値(合計付与情報)であり、後述する
図4に示す遊技履歴の売上額等の従来の売上情報を特定するための設定値である。
【0025】
「対価額単位」=対価を貨幣価値とする貸出処理(対価付与処理)を行う場合の1回の操作に応じた対価の上限値(レート情報)である。
「最低対価」=貸出処理を行う場合に最低限必要な対価額である。残高が最低対価以上である場合に、最低対価の倍数分の払い出しが許容される。
「払出単位」=対価額単位分の対価を徴収した場合の払出対象となる遊技媒体数(付与操作1回に対して付与する遊技機価値の上限、基準操作付与単位、レート情報)である。
「台払出単位」=遊技機1から払い出しを行う際の最低払出数(台付与単位)である。
【0026】
「比較基準値」=セーフ信号等が実際の払出数に対応しない(過小又は出力なし)払い出しを行わせる払出不正が行われたか否かを特定するための基準値である。台払出とセーフとの合計値と、補給玉数(補給価値)とが、比較基準値を超えて離れている場合に異常であると特定する異常判定処理にて参照する。尚、本実施形態では、台払出とセーフとの合計値から補給玉数を差し引いた演算値が比較基準値の反数(マイナスとした値)に達していない(比較基準値の反数よりも小さい)場合に、演算値が基準範囲外であるとして異常を特定する。又、データの異常を特定するため、演算値が別途設定される異常基準値以上である際に別途異常を特定しても良い。
【0027】
図3は、管理装置6において、遊技装置2から入力した売上信号のパルス数に応じてどのように台払出とノズル払出とに区分するかの一覧である貸出区分一覧を示す。尚、このような設定を予め行っても良いし、入力に応じてその都度特定しても良い。
【0028】
図3に示す貸出区分一覧を特定する手順は以下の通りである。最初に
図2に示す対価付与設定の対価額単位(例えば4パチであれば500円)の台払出である基準払出を特定する(例えば100玉)。次に基準払出に対するパルス数である基準パルス数を特定する(例えば100玉は5パルス)。特定対象となるパルス数(例えば1パルス)と基準パルス数(例えば5パルス)との比(1:5)が、特定対象となる払出数(特定対象となる遊技機付与価値)と基準払出数(100、基準付与価値)との比と同様の比(1:5)となるように特定対象となる払出数を特定する(100×1÷5=20)。尚、
図3の場合の他の基準パルス数は、2パチが3パルスとなり、1パチが1パルスとなる。又、合計が
図4等の他のデータにおける売上額や売上玉の対象となる。
【0029】
図4は、従来と同様の遊技情報の履歴である遊技履歴を示す。台払出とノズル払出との合計分を対象とした売上情報(売上額)を特定し、管理対象としている。
図4に示す遊技履歴の各項目の意味は以下の通りである。
「時刻」=レコードの作成時刻であり、カードの受け付け、返却又は発行の何れかの時刻である。
「払出玉」=持玉から払い出した玉数である。
「売上額」=売上玉に対応した売上額(売上玉×貸単価(4円)、合計売上情報)である。
「アウト」=遊技機1への打込玉数(消費価値)である。
「セーフ」=遊技機1からの払出玉数(入賞付与価値)である。
「S」=図柄変動数(スタート)である。
「TY」=大当たり発生から通常状態に戻るまでの出玉である。
【0030】
「大当たり」=大当たり数である。
「計数玉」=対応する計数玉数である。
「実持玉」=発行可能な遊技者の獲得玉であり、「計数玉−払出玉」の演算式により特定する(累計値にて特定する)。
「収支」=遊技者側の収支であり、「(計数玉−払出玉)×交換単価(3円)−売上額」の演算式により特定する(累計値にて特定する)。
図4は一例であり、
図4に示したような履歴形式だけでなく累計売上玉数や売上額等(合計売上情報)も売上信号により特定可能である。又、計数玉数、払出玉数、売上玉数、セーフ、アウトを用いた所謂誤差計数による不正判定(売上玉数+セーフ−アウト+払出玉数−計数玉数が基準値以下であるかを判定)を行う際にも、
図4と同様に台払出とノズル払出との合計(合計売上情報)が対象となる。
【0031】
図3にて示したように管理装置6は、売上信号により特定される従来の合計の売上情報とは異なる遊技機1からの払出分の売上玉数を台払出として特定可能であり、以下のようにその台払出とセーフとの合計値から補給玉数を差し引いた演算値が比較基準値の反数に達していない場合に異常を特定する異常判定処理を可能とする。
【0032】
図5は、異常判定処理を説明するためのタイムチャートである。
図5では「A」から「E」のように期間(例えば5秒、第1所定期間)を区切り、期間毎に異常が発生していないかを特定する。ここで、売上信号は遊技装置2から出力され、セーフ信号は遊技機1から出力されるが、補給信号は遊技機1へと玉を補給する補給装置から出力される(10玉に対して1パルス)。
図5では4パチを想定しているので、「丸数字1」から「丸数字5」の売上信号により特定する台払出は、A期間では「丸数字1」の5パルスと「丸数字2」の前半の2パルスとの合計7パルスで「140」と特定する。同様に、B期間では「丸数字2」の後半の3パルスと「丸数字3」の前半の1パルスとの合計4パルスで「80」、C期間では「丸数字3」の後半の4パルスで「80」、D期間では「丸数字4」の5パルスで「100」、E期間では「丸数字5」の3パルスで「60」と特定する。セーフ信号と補給信号は10玉に対して1パルスなので、パルス数×10をそのまま特定する。セーフは、例えばA期間では「丸数字6」の2パルスで「20」と特定し、補給玉数は、例えばA期間では「丸数字9」の12パルスと「丸数字10」の前半の1パルスとの合計13パルスで「130」と特定する。
【0033】
A期間では売上分(台払出)が「140」、セーフが「20」、補給玉数が「130」であり、台払出とセーフとの合計値から補給玉数を差し引いた演算値が「140+20−130=30」となり、演算値が比較基準値の反数である「−100」に達しており基準範囲内であるので、異常判定処理にて正常であると特定する。同様に、B期間では売上分が「80」、セーフが「30」、補給玉数が「120」であり、演算値が「80+30−120=−10」となるので、正常であると特定する。C期間では売上分が「80」、セーフが「0」、補給玉数が「190」であり、演算値が「80+0−190=−110」となり、演算値が比較基準値の反数である「−100」に達しておらず基準範囲外であるので、異常判定処理にて異常であると特定する。D期間では売上分が「100」、セーフが「0」、補給玉数が「210」であり、演算値が「100+0−210=−110」となるので、異常であると特定する。E期間で売上分が「60」、セーフが「0」、補給玉数が「50」であり、演算値が「60+0−50=10」となるので、正常であると特定する。
【0034】
図5の例示ではC期間にて異常を特定しているが、従来であれば「丸数字3」の売上信号により
図3のような他のデータを特定する際と同様(例えば
図3の合計)に売上玉を「96」と特定するので、演算値が「96−190=−94」となり、演算値が基準範囲内となって異常判定処理にて異常の特定が困難となるが、本案の手法を採用することで上記したように異常の特定が可能となる。D期間も同様であり、従来であれば売上玉を「120」と特定するので、演算値が「120−210=−90」となり、演算値が基準範囲内となって異常判定処理にて異常の特定が困難となるが、本案の手法を採用することで上記したように異常の特定が可能となる。このように売上を発生させてカモフラージュするような不正に対しても適切に対応可能となる。
【0035】
以上に説明したように第1の実施形態によれば、次に示す効果を得ることができる。
遊技機1からの払出分と払出ノズル23からの払出分との合計値である合計付与情報と、遊技機1からの払出分である遊技機付与情報とを管理対象とするようにしたので、遊技機付与情報を示すような信号を別途入力するか否かに関わらず、遊技機1から付与した遊技価値と払出ノズル23から付与した遊技価値との合計と、遊技機1から付与した遊技価値とを好適に特定することができる。
【0036】
払出不正が行われたか否かを特定するための基準値である比較基準値を設け、台払出とセーフとの合計値から補給玉数を差し引いた演算値が比較基準値の反数に達していない場合に異常であると特定するようにしたので、遊技機1から遊技価値が異常に付与されていないかを判定する異常判定処理を行う場合の誤差を軽減することができる。
【0037】
又、基準払出数を按分することで、台払出をパルス数単位で特定するようにしたので、遊技機1からの付与処理が台付与単位にて行われる場合、レートによっては売上信号1回当たりの払出単位が固定値とならずに台払出が行われる場合もあり得るが、基準付与価値に基づき信号出力比により、最も発生頻度の高い基準付与価値分の台払出が行われる場合には実際の付与処理と同様の台払出を特定することができる一方、それ以外の場合には誤差を低減した台払出を特定することができる。
【0038】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について
図6及び
図7を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第2の実施形態では、売上信号の発生に応じてタイマを作動させ、そのタイマの作動中に入力した売上信号をグループ化した上で、そのグループに対応する台払出を
図7に基づき特定し、グループが期間を跨る場合には特定した台払出を按分している。第2の実施形態では第1の実施形態と比較して処理は複雑になるが、より実際の払出数に即した異常判定を行うことが可能となる。
【0039】
図6は、第2の実施形態における異常判定処理を説明するためのタイムチャートである。
図7は、対応する払出数設定(第1の実施形態における
図3と同義)で売上信号数に応じた台払出を特定するための設定情報である。以下、第1の実施形態と異なる箇所のみ説明する。第2の実施形態では、売上信号の入力に応じてX期間(例えば1秒、第2所定期間)タイマを作動させ、その作動中に入力した売上信号をグループ化し、そのグループ化した売上信号のパルス数と
図7に示した払出数設定とを比較することにより台払出を特定し、そのグループが期間を跨ぐ場合には入力した信号数により台払出を按分する。尚、タイマはその非作動時に売上信号を入力した場合に作動を開始し、作動中に売上信号を再度入力した場合は再作動を行っても行わなくとも良い。
【0040】
例えば「丸数字1」の場合は5パルス分なので、台払出として「100」を特定する。「丸数字2」の場合ではグループの払出数は「丸数字1」と同様で「100」であるが、A期間にて2パルス、B期間にて3パルスと期間を跨いでいるので、パルス数によりA期間の台払出を「40」、B期間の台払出を「60」と按分して特定する。ここまでは第1の実施形態と同様の結果であるが、「丸数字5」のグループは3パルスなので、グループの払出が「50」となる点で第1の実施形態と異なる結果となる。
【0041】
図7は、
図3と同様に、
図2より特定可能であるので別途設定せずに以下のような演算により求めても良いし、基準払出数(5パルスに対応)以上も対象としたが、基準払出数までを特定対象としても良い。以下、上記した演算を例示する。即ち、各グループのパルス数と
図2のパルス単位とを比較して合計の売上玉数を特定し、その売上玉数を
図2の台払出単位にて除した商に台払出単位を乗じて台払出を特定する。尚、余りはノズル払出となる。例えば5パルスであれば「120」が合計の売上玉数となり、台払出単位「25」にて除した商が「4」となり、更に台払出単位である「25」を乗じて「100」となる。ここで、
図7では4パチのみを例示しているが、
図3と同様に2パチ等も対象となる。
【0042】
第2の実施形態によれば、売上信号をグループ化した上で台払出を特定するようにしたので、付与価値以外の台払出が付与された場合であっても、より誤差を低減した台払出を特定することができる。
【0043】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について
図8を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態と同一部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。第3の実施形態では、持玉を対価とした払出処理(持玉払出)を遊技機1から払い出す遊技装置2を想定している。ここで、対象となる遊技装置2は会員カード挿入中(遊技者の識別情報の受け付け中)に限り遊技機1から持玉払出を行う。よって、持玉払出があった場合、会員カード挿入中であれば遊技機1からの払い出しと特定し、会員カード非挿入中であれば払出ノズル23からの払い出しとして異常判定の対象とせずに異常判定処理を行う。
【0044】
図8は、第3の実施形態における異常判定処理を説明するためのタイムチャートである。以下、第1及び第2の実施形態と異なる箇所のみ説明する。第3の実施形態では、管理装置6は、再プレイ玉数を示す払出信号(25玉につき1パルス)と会員カードの挿入状況を特定可能な挿入中信号(挿入中にonとなる)とを遊技装置2から入力する。尚、
図8では省略したが売上信号も第1の実施形態等と同様に入力して演算対象としている。
【0045】
第3の実施形態における遊技装置2について説明する。第1及び第2の実施形態では払出玉を全て払出ノズル23から払い出していたが、第3の実施形態では会員カードの挿入中では当日貯玉か前日貯玉かに関わらず遊技機1から再プレイ玉を払い出し、会員カードの非挿入中では一般カードの挿入中か否かに関わらず払出ノズル23から再プレイ玉を払い出す。尚、会員カードの挿入中は台払出単位にて払い出し、端数分は払い出しを行わない。
【0046】
管理装置6は、払出信号を入力した場合、挿入中信号により会員カードが挿入中であるかを非挿入中であるかを判定し、A期間及びB期間のように挿入中であれば異常判定処理の対象(即ち、再プレイ玉数の内の台払出)として演算対象に加え、C期間からE期間のように非挿入中であれば演算対象に加えない。したがって、A期間では払出信号分を演算対象に加え、台払出が7パルスで「175」、セーフが2パルスで「20」、補給玉数が15パルスで「150」となり、台払出とセーフとの合計値から補給玉数を差し引いた演算値が「175+20−150=45」となり、演算値が比較基準値の反数である「−100」に達しており基準範囲内であるので、異常判定処理にて正常であると特定する一方、C期間やD期間では払出信号分を演算対象に加えず、例えばC期間では台払出が4パルスであるが「0」、セーフが2パルスで「20」、補給玉数が19パルスで「190」となり、演算値が「0+20−190=−170」となり、異常判定処理にて異常であると特定する。尚、払出信号により遊技機1からの払出分と払出ノズル23からの払出分との合計値は
図4等にて例示した遊技情報として管理対象となり、上述した誤差計数の払出玉数の対象となる。又、遊技機1からの払い出しと払出ノズル23からの払い出しとを区分して遊技装置2から払出信号が出力される場合には上記した判定を行わずとも演算対象とするか否かを判定可能となる。
【0047】
第3の実施形態によれば、払出信号を入力した場合に、会員カードの挿入中であれば遊技機1からの払い出しと特定する一方、会員カードの非挿入中であれば払出ノズル23からの払い出しと特定するようにしたので、遊技装置2が会員カードを挿入中であるか否かに応じて遊技機1からの払い出しと払出ノズル23からの払い出しとを選択的に行う構成であり、遊技機1からの払い出しと払出ノズル23からの払い出しとで共通の払出信号を遊技装置2から入力したとしても適切に対応することができる。
【0048】
(その他の実施形態)
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形又は拡張することができる。
台払出を異常判定処理に採用することを例示したが、例えば台払出を遊技情報として
図4等にて管理対象としたり、例示した以外の異常判定処理に採用したりしても良い。
第2の実施形態において、売上信号をグループ化する際にタイマを作動させたが、売上信号を入力してからの所定期間を特定可能であればタイマを作動させずに例えば入力した売上信号の時刻差等により所定期間を特定する等、どのような方法により所定期間を特定しても良い。
【0049】
第3の実施形態において、再プレイ玉を払い出す場合に、会員カードの受け付け中であるか否かに応じて遊技機1からの払い出しと払出ノズル23からの払い出しとを選択的に行う構成を例示したが、再プレイ玉の払い出しだけでなく売上玉を払い出す場合にも、会員カードの受け付け中であるか否かに応じて遊技機1からの払い出しと払出ノズル23からの払い出しとを選択的に行う構成としても良い。又、会員カードの受け付け中であれば払出ノズル23から払い出し、非受け付け中であれば遊技機1から払い出す構成としても良い。同様に再プレイ玉を払い出す場合に、売上玉と同様に台払出単位の倍数を遊技機1から払い出し、残りを払出ノズル23から払い出す構成とし、遊技機1からの払い出しと払出ノズル23からの払い出しとを特定しても良い。
【0050】
第2付与処理として払出ノズル23からの払出処理を例示したが、例えば遊技装置2の計数アーム等に払出口を別途設けて、その払出口等の遊技機1の上皿以外へと玉を払い出す構成等、例示した以外の構成を採用しても良い。
【0051】
以上や達する等の表現は、基準値との比較において、以上だけなく超過とならないかを判定する構成も包含するが、以下や達しない等の表現も同様に以下だけでなく未満とならないかを判定する構成を包含する。又、範囲について下限を設定することを例示したが、上限と下限との双方を設定したり、上限を設定したりして範囲を定めても良い。又、比較基準値等は反数を例示したがマイナスとなる基準値を設定する等、必ずしも反数を採用しなくとも良い。勿論、演算式を調整すれば、基準値に達していない場合に正常と判定する一方、基準値に達している場合に異常と判定することも可能であり、どのような比較を行っても良い。
【0052】
記録媒体に獲得価値や残高を対応付け、その記録媒体を受け付けること、及び遊技媒体の計数や貨幣価値を受け付けることで有価価値を受け付ける構成を例示したが、何れか一方の受付のみを採用しても良いし、例えば管理装置6にて発行処理等に応じて指紋等の記録媒体以外の識別情報に有価価値を対応付け、その識別情報を受け付けることにより有価価値を受け付けても良い。
【0053】
遊技装置2として持玉の計数や払い出しを行う所謂各台計数機能や再プレイ機能と、貨幣受付処理や、その貨幣による対価付与処理等の所謂貸出機の機能との双方を備えた遊技装置2を例示したが、一方の機能を備えた遊技装置2を対象とする等、持玉と残高との一方を管理対象としても良い。
【0054】
合計付与情報を示す付与信号だけでなく、台払出とノズル払出とを示す付与信号を管理対象とすることを例示したが、これらの3つの内の少なくとも2つを示す信号を管理対象とし、「台払出+ノズル払出=合計付与情報」という関係により残りの1つを特定して管理しても良い。又、信号の種別はシリアル信号であれば1種類の信号でも良いし、パルス信号であれば複数種類の信号が対象となる。勿論、何れか一つを示す付与信号のみを管理対象としても、
図3等に基づけば3つの付与情報を特定可能となる。
【0055】
対象となる遊技機1として、例示したパチンコ遊技機以外のパチンコ遊技機やスロットマシン等も採用することができ、この場合、遊技価値はメダルとなる。
例示した設定値は予め設定されれば、遊技場の管理者が任意に設定しても良いし、管理装置6の製造メーカにて設定しても良いし、外部(例えばチェーン店本部等)の管理サーバから設定情報をダウンロードして設定しても良い。又、記録媒体としてカードを例示したが、有価価値を特定可能な情報を記録可能であれば例えばコイン等の他の記録媒体であっても良い。
【0056】
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用する等して間接的に特定しても良い。又、数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用しても良い。又、管理対象とするとは異常判定処理等の演算値を特定する際の演算対象とする概念も含み、必ずしも
図4のように特定した遊技情報を出力対象とする必要はない。
例示した処理は管理装置6だけでなく、中継装置4、遊技装置2又は情報表示装置3等、どのような機器により行っても良い。又、変形例を含む例示した構成をどのように組み合わせても良いし、適宜採用しなくとも良い。