特許第6564232号(P6564232)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6564232-飲料自動注出装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6564232
(24)【登録日】2019年8月2日
(45)【発行日】2019年8月21日
(54)【発明の名称】飲料自動注出装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20190808BHJP
【FI】
   B67D1/08 Z
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-91289(P2015-91289)
(22)【出願日】2015年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-204041(P2016-204041A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】柳田 伸也
(72)【発明者】
【氏名】畑田 康治
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−149186(JP,A)
【文献】 特開2006−016086(JP,A)
【文献】 特開2004−217306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/00− 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の前部に設けられて、弁機構部を開放状態とすることによって飲料を注出する注出コックと、
前記装置本体の前部に設けられて、前記注出コックの弁機構部を開閉操作させるコック操作装置と、
前記コック操作装置の作動を制御することにより前記注出コックの弁機構部を開放させて、前記注出コックから容器に所定量の飲料を注出させる制御装置と、
前記装置本体の前部に設けられて、前記制御装置に前記コック操作装置を作動させる注出信号を出力して、前記注出コックから容器に所定量の飲料を自動注出させる自動注出操作ボタンを有した操作パネルとを備えた飲料自動注出装置であって、
前記操作パネルには前記自動注出操作ボタンと同一操作面上に前記注出コックから前記容器に飲料を注出するときの注出条件を設定する注出条件設定ボタンと、操作に応じた量で前記注出コックから前記容器に飲料を注出させる非自動注出操作ボタンとの少なくとも1つをさらに有し、前記操作パネルの前記同一操作面上には、前記自動注出操作ボタンを操作不能な状態で覆い隠すことなく、前記注出条件設定ボタンと前記非自動注出操作ボタンとの少なくとも1つを操作不能な状態で覆い隠すカバーを着脱可能または開閉可能に設けたことを特徴とする飲料自動注出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料自動注出装置において、
前記操作パネルには前記注出条件設定ボタンによる注出条件を表示する表示部を設けて、この表示部を前記カバーにより覆われる位置に配置したことを特徴とする飲料自動注出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の飲料自動注出装置において、
前記操作パネルには前記表示部を前記注出条件設定ボタンより上側に配置したことを特徴とする飲料自動注出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ビール等の飲料を自動注出する飲料自動注出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には生ビール等の飲料を注出する飲料自動注出装置が開示されている。飲料自動注出装置は、装置本体の前部に設けられて、操作レバーを傾動させることで弁機構部を開放状態として飲料を注出する注出コックと、装置本体の前部に設けられて注出コックの操作レバーを傾動させることで弁機構部を開閉させるコック駆動装置とを備えている。また、飲料自動注出装置は、コック駆動装置の作動を制御して操作レバーを一定時間傾動させることで、注出コックの弁機構部を一定時間開放させて、注出コックからグラス等の容器に所定量の飲料を注出させる制御装置と、制御装置にコック駆動装置を作動させる自動注出信号を出力して、注出コックから容器に所定量の飲料を自動注出させる自動注出操作ボタンを有した操作パネルとを備えている。この飲料自動注出装置では、操作パネルの自動注出操作ボタンをオン操作すると、コック駆動装置が容器の容量に応じた時間で操作レバーを中立位置から傾動させ、注出コックから容器に応じた量の飲料が注出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−247193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような特許文献1に記載の飲料自動注出装置は、操作パネルに自動注出操作ボタン以外に、注出停止ボタン、注出条件設定ボタン及びマニュアル(非自動)注出操作ボタンとを備えている。自動注出操作ボタンをオン操作すると、コック駆動装置が容器の容量に応じた時間で操作レバーを中立位置から傾動させ、注出コックから容器に応じた量の飲料が自動注出される。自動注出操作ボタンをオン操作して、注出コックから容器に飲料を自動注出しているときに、注出停止ボタンをオン操作すると、コック駆動装置が操作レバーを傾動させた位置から中立位置に戻し、注出コックから飲料の自動注出を停止させる。
【0005】
注出条件設定ボタンは、飲料自動注出装置を飲食店等に設置したときに、飲食店等で使用されるグラスやジョッキ等の容器の容量に応じた時間で操作レバーを傾動させるように設定する操作ボタンである。飲料自動注出装置を飲食店等に設置した後では、グラスやジョッキ等の容器の容量が変わらない限り、注出条件設定ボタンは使用されないものである。また、マニュアル(非自動)注出操作ボタンは、オン操作している時間だけ、コック駆動装置により操作レバーを傾動させて、注出コックから飲料を注出させるものである。自動注出操作ボタンを適切に使用している限り、このマニュアル(非自動)注出操作ボタンは使用する必要のない操作ボタンである。
【0006】
このため、飲食店の客に飲料を提供する通常の使用時には、飲食店の店員等のオペレータは、飲料を自動注出させるために自動注出操作ボタンをオン操作するか、誤って自動注出されている飲料の注出を停止させるために注出停止ボタンをオン操作するだけであり、注出条件設定ボタン及びマニュアル(非自動)注出操作ボタンをオン操作する必要がなかった。操作パネルに通常使用しない多数の操作ボタンが操作可能な状態で見えていると、オペレータが誤操作する可能性があって使いにくい問題があった。本発明は、飲料自動注出装置の操作パネルを使用しやすいようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、装置本体の前部に設けられて、弁機構部を開放状態とすることによって飲料を注出する注出コックと、装置本体の前部に設けられて注出コックの弁機構部を開閉操作させるコック操作装置と、コック操作装置の作動を制御することにより注出コックの弁機構部を開放させて、注出コックから容器に所定量の飲料を注出させる制御装置と、装置本体の前部に設けられて、制御装置にコック操作装置を作動させる注出信号を出力して、注出コックから容器に所定量の飲料を自動注出させる自動注出操作ボタンを有した操作パネルとを備えた飲料自動注出装置であって、操作パネルには自動注出操作ボタンと同一操作面上に注出コックから容器に飲料を注出するときの注出条件を設定する注出条件設定ボタンと、操作に応じた量で注出コックから容器に飲料を注出させる非自動注出操作ボタンとの少なくとも1つをさらに有し、操作パネルの同一操作面上には自動注出操作ボタンを操作不能な状態で覆い隠すことなく、注出条件設定ボタンと非自動注出操作ボタンとの少なくとも1つを操作不能な状態で覆い隠すカバーを着脱可能または開閉可能に設けたことを特徴とする飲料自動注出装置を提供するものである。
【0008】
上記のように構成した飲料自動注出装置においては、操作パネルには自動注出操作ボタンと同一操作面上に注出コックから容器に飲料を注出するときの注出条件を設定する注出条件設定ボタンと、操作に応じた量で注出コックから容器に飲料を注出させる非自動注出操作ボタンとの少なくとも1つをさらに有し、操作パネルの同一操作面上には自動注出操作ボタンを操作不能な状態で覆い隠すことなく、注出条件設定ボタンと非自動注出操作ボタンとの少なくとも1つを操作不能な状態で覆い隠すカバーを着脱可能または開閉可能に設けた。飲食店の客に飲料を提供する通常の使用時には、飲食店の店員等のオペレータはカバーを取り外したり開放することなく自動注出操作ボタンをオン操作することができ、操作パネルにカバーを設けても、操作パネルの操作性が低下することがない。また、飲食店の客に飲料を提供する通常の使用以外に使用する、注出条件を設定する注出条件設定ボタンと、操作に応じた量で飲料を注出させる非自動注出操作ボタンとの少なくとも1つが着脱可能または開閉可能なカバーにより覆い隠されているので、オペレータが自動注出操作ボタン以外の操作ボタンを誤操作する可能性を低くすることができた。
【0009】
上記のように構成した飲料自動注出装置においては、操作パネルには注出条件設定ボタンによる注出条件を表示する表示部を設けて、この表示部をカバーにより覆われる位置に配置するのが好ましい。また、この場合には、操作パネルには表示部を注出条件設定ボタンより上側に配置するのが好ましく、このようにしたときには、注出条件設定ボタンを手指によりオン操作して注出条件を入力しているときに、表示部が操作してる手によって隠れないようになり、表示部で確認しながら注出条件の入力をすることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明による飲料自動注出装置の一実施形態の斜視図である。
図2図1の縦方向断面図である。
図3図1の正面図であり、左側の操作パネルのカバーが閉じられ、右側の操作パネルのカバーが開放された正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明による飲料自動注出装置の一実施形態を図面を参照して説明する。本発明の飲料自動注出装置10は注出コック20からグラスやジョッキ(容器)にビール(飲料)を自動注出するものであり、特に、グラスやジョッキ内でビールが過剰に泡立つのを防ぐように注出するものである。この実施形態の飲料自動注出装置10は、注出コック20、コック駆動装置24、容器受台装置30及び受台傾動装置40を含む自動注出ユニットを左右に2つ備えており、自動注出ユニットは左右同一のものであるので以後の説明では一方のみを説明する。
【0012】
図1図3に示したように、本発明の飲料自動注出装置10は、装置本体11の前部に設けられて、弁機構部21aを開放状態とすることによって飲料を注出する注出コック20と、装置本体11の前部に設けられて注出コック20の弁機構部21aを開閉操作させるコック駆動装置(コック操作装置)24と、コック駆動装置24の作動を制御することで注出コック20の弁機構部21aを開放させて注出コック20からグラスやジョッキに所定量のビールを注出させる制御装置50と、装置本体11の前部に設けられて制御装置50にコック駆動装置24を作動させる注出信号を出力して注出コック20からグラスに所定量のビールを自動注出させる自動注出操作ボタン61を有した操作パネル60とを備えている。
【0013】
この飲料自動注出装置10においては、操作パネル60には注出コック20からグラスに飲料を注出するときの注出条件を設定する注出条件設定ボタン63,64と、操作に応じた量で注出コック20からグラスに飲料を注出させる非自動注出操作ボタン65,66との少なくとも一方を有し、操作パネル60には注出条件設定ボタン63,64と非自動注出操作ボタン65,66との少なくとも一方を操作不能な状態で覆い隠すカバー68を開閉可能に設けた。以下に、この飲料自動注出装置10について詳述する。
【0014】
図2に示したように、飲料自動注出装置10は、装置本体11内に冷却水槽12と、この冷却水槽12内の冷却水を冷却する冷凍装置13とを内蔵している。冷却水槽12内には飲料冷却管14が設けられており、飲料冷却管14の導入端部には装置本体11の外部に設けたビア樽が接続され、飲料冷却管14の導出端部14aには装置本体11の上部に設けた注出コック20が接続されている。なお、ビア樽にはガスボンベ(図示しない)が接続されており、ビア樽のビールはガスボンベの炭酸ガスの圧力によって飲料冷却管14に送られるようになっている。
【0015】
図1及び図2に示したように、注出コック20は、グラスにビールを注出するものであり、弁機構部21aを内蔵した筒状の本体部21の上部に操作レバー22と、下部に注出ノズル23(23a,23b)とを備えている。本体部21の弁機構部21aは開放状態とすることによって注出ノズル23にビールを導くものである。また、弁機構部21aは、液用開放状態とすることで液用の注出ノズル23bに液状態のビールを導き、泡用開放状態とすることで泡用の注出ノズル23aに泡状態のビールを導くようになっている。操作レバー22は弁機構部21aを閉止状態と開放状態との開閉操作を行うためのものである。操作レバー22は、垂直に起立した中立位置にあるときには弁機構部21aを閉止状態とし、前方に傾動(前傾)させると弁機構部21aを液用開放状態とし、後方に傾動(後傾)させると弁機構部21aを泡用開放状態とする。注出ノズル23は弁機構部21aを通過したビールをグラスに注出するものであり、本体部21の下部の前部にビールを泡状態で注出する泡用の注出ノズル23aと、本体部21の下部の後部にビールを液状態で注出する液用の注出ノズル23bとを備えている。
【0016】
図1及び図2に示したように、コック駆動装置(コック操作装置)24は注出コック20の弁機構部21aを開閉操作させるためのものである。この実施形態のコック駆動装置24は、サーボモータ25の駆動によりスライダ26を前後させ、前後に移動するスライダ26によって注出コック20の操作レバー22を前傾または後傾させ、注出コック20の弁機構部21aを開閉操作するものである。
【0017】
図1及び図2に示したように、装置本体11の前部にはグラスを載置する容器受台装置30が設けられている。この実施形態の容器受台装置30は、注出コック20から注出されるビールをグラス内にできるだけ泡立つことのないように注出することを目的としたものであり、グラスを前後方向に傾斜させることを可能としたものである。容器受台装置30は、その上端部が装置本体11の前面に水平軸線回りに傾動可能に軸架された傾動基板31と、傾動基板31に取り付けた受台32(32a,32b)とを備えている。傾動基板31は後面が押動されると下端部が斜め前方に押し上げられて傾動する。受台32は傾動基板31の上下方向の中間部と下部とに上下2段に取り付けた受台32a,32bとからなる。上段の受台32aは主としてグラス等の小型の容器を載置するものであり、下段の受台32bは主としてグラスよりも容量の多いジョッキ等の大型の容器を載置するものである。
【0018】
上段の受台32aは傾動基板31に対して水平軸線回りに回動可能に支持されており、下段の受台32bに容器を載置するときには、上段の受台32aを前方に突出した使用位置から傾動基板31に沿う退避位置まで退避させる。装置本体11の前部には上段または下段の受台32a,32bが使用状態であることを検知する検知器33が設けられており、検知器33はこの実施形態ではリードスイッチ等の近接スイッチを用いている。上段の受台32aの側部には検知器33より検知される被検知部材として磁石34が設けられており、磁石34は上段の受台32aが退避位置に退避したときに検知器33に近接するようになっている。具体的には、グラスを載置するときのように、上段の受台32aが傾動基板31から前方に突出した使用位置にあるときには、磁石34は検知器33から離間しており、検知器33は磁石34が離間していることでオフ信号を出力し、上段の受台32aが使用状態であることを検知する。これに対し、下段の受台32bにジョッキを載置するときのように、上段の受台32aが傾動基板31に沿う退避位置にあるときには、磁石34は検知器33に近接しており、検知器33は磁石34が近接していることでオン信号を出力し、下段の受台32bが使用状態であることを検知する。
【0019】
図1及び図2に示したように、受台傾動装置40は、傾動基板31を起立姿勢から傾斜した傾斜姿勢に傾動させ、傾斜姿勢から起立姿勢に復帰させるものである。受台傾動装置40は、サーボモータ41と、サーボモータ41の駆動によって前後に伸縮するアーム42とを有している。受台傾動装置40は、サーボモータ41によりアーム42を前方に伸ばして、容器受台装置30の傾動基板31を前方に押し出して起立姿勢から傾斜姿勢に傾動させる。受台傾動装置40は、サーボモータ41によりアーム42を後方に縮めて容器受台装置30の傾動基板31を後方に戻して、容器受台装置30の傾動基板31を傾斜姿勢から起立姿勢に復帰させる。
【0020】
図2に示したように、飲料自動注出装置10は、グラス等の容器にビールを注出するのを制御する制御装置50を備えており、制御装置50は、コック駆動装置24(特にサーボモータ25)、検知器33及び受台傾動装置40(特にサーボモータ41)に接続されている(図2では接続関係についての記載を省略している)。制御装置50は内蔵するマイクロコンピュータによりメモリに記憶させた自動注出プログラムを実行すると、コック駆動装置24の作動を制御して操作レバー22を一定時間傾動させることで弁機構部21aを開放させて、注出コック20の注出ノズル23からグラスに所定量のビールを注出させる。また、この実施形態では、ビールを注出させるのに対応して、受台傾動装置40の作動を制御して、容器受台装置30の傾動基板31及び受台32に載置したグラスの姿勢を制御している。
【0021】
図1及び図3に示したように、装置本体11の前部には飲料自動注出装置10の操作をするための操作パネル60が設けられている。この実施形態では、操作パネル60は装置本体11の前部に設けたコック駆動装置24の筐体前面に取り付けられている。操作パネル60には、各種操作ボタンとして、自動注出操作ボタン61と、注出停止ボタン62と、切替ボタン(注出条件設定ボタン)63と、設定ボタン(注出条件設定ボタン)64と、泡注出ボタン(非自動注出操作ボタン)65と、液注出ボタン(非自動注出操作ボタン)66と、注出条件等を表示する表示部67とが設けられている。自動注出操作ボタン61と注出停止ボタン62とは操作パネル60の下部に配置され、切替ボタン63と、設定ボタン64と、泡注出ボタン65と、液注出ボタン66とが操作パネル60の上下方向の中間部に配置され、表示部67が操作パネル60の上部に配置されている。
【0022】
自動注出操作ボタン61は、グラス等の容器にビールを自動注出するための操作ボタンである。注出停止ボタン62は、自動注出操作ボタン61によるビールの自動注出を停止させる操作ボタンである。切替ボタン63と設定ボタン64は、ビールの自動注出をするための注出条件を設定するための操作ボタンである。泡注出ボタン65は操作に応じた量の泡状態のビールを注出させる操作ボタンであり、また、注出条件設定モードで泡状態のビールを注出する条件を設定するときにも用いられる操作ボタンである。液注出ボタン66は操作に応じた量の液状態のビールを注出させる操作ボタンであり、また、注出条件設定モードで液状態のビールを注出する条件を設定するときにも用いられる操作ボタンである。表示部67は、7セグにより切替ボタン63と設定ボタン64等により設定した注出条件等を表示するものであり、注出回数、注出量等も表示可能としたものである。
【0023】
操作パネル60にはカバー68が開閉自在に設けられており、カバー68は操作パネル60の上端部に水平軸線回りに回動可能に取り付けられている。カバー68を閉じた状態とすると、操作パネル60の下部の自動注出操作ボタン61と注出停止ボタン62以外の操作ボタン63〜66が覆い隠されて操作不能な状態となるとともに、表示部67も覆い隠された状態となっている。カバー68を上側に回動させて開いた状態とすると、全ての操作ボタン61〜66が操作可能か状態となるとともに、表示部67も視認可能な状態となる。
【0024】
上記のように構成した飲料自動注出装置10の自動注出プログラムの作動について説明する。装置本体11内の冷却水槽12内の冷却水は冷凍装置13により冷却されている。また、通常時は、操作パネル60はカバー68により操作ボタン63〜66が覆い隠されて自動注出操作ボタン61と注出停止ボタン62以外は操作不能な状態となっており、また、表示部67もカバー68により覆い隠されている。この状態で、先ず上段の受台32aにグラスを載置する。上段の受台32aが傾動基板31から前方に突出しているときには、上段の受台32aの側部の磁石34が検知器33から離間しており、検知器33は上段の受台32aが使用状態であることの検知であるオフ信号を制御装置50に出力している。
【0025】
操作パネル60の自動注出操作ボタン61をオン操作すると、制御装置50は、受台傾動装置40により容器受台装置30の傾動基板31の後面を押動して前方に押し出す。傾動基板31は傾斜姿勢になり、受台32aに載置したグラスは傾動基板31とともに傾斜して傾斜姿勢となる。制御装置50は、コック駆動装置24によりグラスに対応した時間で操作レバー22を前方に傾動させる。注出コック20の弁機構部21aはグラスに対応した時間で液用に開放され、液用の注出ノズル23bから傾斜させたグラスに液状態のビールが注出される。
【0026】
液状態のビールを注出すると、制御装置50は、コック駆動装置24により操作レバー22を中立位置に戻し、弁機構部21aを閉止状態とすることで、注出コック20からビールの注出を停止させるとともに、受台傾動装置40による傾動基板31の傾斜姿勢を起立姿勢に戻すことで、受台32aに載置したグラスを起立姿勢に戻す。次に、制御装置50は、コック駆動装置24によりグラスに対応した時間で操作レバー22を後方に傾動させる。注出コック20の弁機構部21aはグラスに対応した時間で泡用に開放され、泡用の注出ノズル23aからグラスに泡状態のビールが注出される。グラスに対応した時間での泡状態のビールの注出が終了すると、制御装置50は、コック駆動装置24により操作レバー22を中立位置に戻し、注出コック20の弁機構部21aを再び閉止状態として、ビールの自動注出を終了する。
【0027】
上述したように、自動注出操作ボタン61をオン操作して、注出コック20からグラスにビールを自動注出しているときに、注出停止ボタン62をオン操作すると、制御装置50は、コック駆動装置24により操作レバー22を中立位置に戻し、注出コック20の弁機構部21aを閉止状態とするとともに、受台傾動装置40による傾動基板31の傾斜姿勢を起立姿勢に戻して、注出コック20からグラスへのビールの自動注出を停止させる。
【0028】
ビールの自動注出が適切に実行されているときには泡注出ボタン65と液注出ボタン66とを使用する必要がないが、グラスに液状態のビールが不足しているときには、カバー68を開放させて、液注出ボタン(非自動注出操作ボタン)66をオン操作した時間だけコック駆動装置24により操作レバー22を前傾させて、注出コック20の液用の注出ノズル23bからグラスに液状態のビールを追加で注出させることができる。また、グラスに泡状態のビールが不足しているときには、泡注出ボタン(非自動注出操作ボタン)65をオン操作した時間だけコック駆動装置24により操作レバー22を後傾させて、注出コック20の泡用の注出ノズル23aからグラスに泡状態のビールを追加で注出させることができる。
【0029】
また、ビールの自動注出の注出条件を設定するときには、この実施形態では、自動注出操作ボタン61を長押しすると、自動注出操作ボタン61のオン操作が入力されない自動注出条件設定モードに代わる。注出条件設定モードとしたときには、カバー68を開放させて、切替ボタン(注出条件設定ボタン)63と設定ボタン(注出条件設定ボタン)64とをオン操作して(必要に応じて泡注出ボタン65と液注出ボタン66もオン操作させて)、飲料を自動注出するときの注出条件を設定する。注出条件を設定完了した後で、自動注出操作ボタン61を再び長押しすると、注出条件設定モードが完了し、自動注出操作ボタン61のオン操作が入力されるようになる。
【0030】
上記のように構成した飲料自動注出装置10においては、操作パネル60には、注出コック20からグラス等の容器に所定量のビールを自動注出する自動注出操作ボタン61以外に、注出コック20からグラス等の容器にビールを注出するときの注出条件を設定する注出条件設定ボタン63,64と、操作に応じた量で注出コック20からグラス等の容器にビールを注出させる非自動(マニュアル)注出操作ボタン65,66とを有している。操作パネル60には注出条件設定ボタン63,64と非自動注出操作ボタン65,66を操作不能な状態で覆い隠すカバー68を開閉可能に設けた。飲食店の客にビールを提供する通常の使用時には、飲食店の店員等のオペレータはカバー68を開放することなく自動注出操作ボタン61をオン操作することができ、操作パネル60に注出条件設定ボタン63,64と非自動注出操作ボタン65,66を覆い隠すカバー68を設けても、操作パネル60の操作性が低下することがない。
【0031】
また、飲食店の客にビールを提供する通常の使用持以外に使用する、注出条件を設定する注出条件設定ボタン63,64と、操作に応じた量でビールを注出させる非自動注出操作ボタン65,66とが開閉可能なカバー68により覆い隠されているので、オペレータが自動注出操作ボタン61と注出停止ボタン62以外の操作ボタン63〜66を誤操作する可能性を低くすることができた。なお、この実施形態では、注出条件設定ボタン63,64、非自動注出操作ボタン65,66の両方をカバー68により覆い隠すようにしたが、本発明はこれに限られるものでなく、注出条件設定ボタン63,64または非自動注出操作ボタン65,66をカバー68により覆い隠すようにしたものであってもよい。また、カバー68は操作パネル60の上部に上端部を水平軸線回りに回動可能に取り付けられることで開閉自在となっているが、本発明はこれに限られるものでなく、カバー68を操作パネル60に対して上下または左右にスライド移動可能に取り付けることで開閉自在としてもよいし、カバー68操作パネル60に着脱可能に取り付けるようにしてもよい。
【0032】
また、操作パネル60には注出条件設定ボタン63,64による注出条件を表示する表示部67を設けて、この表示部67をカバー68により覆われる位置に配置している。また、操作パネル60には表示部67を注出条件設定ボタン63,64より上側に配置している。これにより、注出条件設定ボタン63,64(必要に応じて泡及び液注出ボタン65,66))を手指によりオン操作して注出条件を入力しているときに、表示部67が操作してる手によって隠れないようになり、表示部67で確認しながら注出条件の入力をすることができるようになった。
【0033】
上記のように構成した飲料自動注出装置10においては、飲料としてビールを注出するもので説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、発泡酒、酎ハイ、炭酸飲料、ソフトドリンク等の他の飲料に適用できるものであり、これらの飲料を注出するものであっても上述したのと同様の作用効果を得ることができる。
【0034】
上記のように構成した飲料自動注出装置10においては、容器としてグラスを用いて説明したが、本発明はこれに限られるものでなく、容器としてジョッキ等を用いたものであってもよい。容器としてジョッキを用いたときには、上側の受台32aを退避位置に退避させて、下側の受台32bにジョッキを載置させるのが好ましい。
【0035】
上記のように構成した飲料自動注出装置10においては、コック駆動装置(コック操作装置)24は、操作レバー22によって閉止状態から液用開放状態または泡用開放状態に操作することで、注出コック20の本体部21に内蔵した弁機構部21aを液状態または泡状態のビールが注出されるように操作したものである。本発明はこれに限られるものでなく、例えば、注出コック20に設けた電磁弁等の開閉弁を開閉操作するものであってもよい。この場合には、液用の開閉弁と泡用の開閉弁を別々に設け、各々の開閉弁を開閉動作させることによって、液状態と泡状態の発泡性飲料を選択的に注出できるようにする。
【0036】
上記のように構成した飲料自動注出装置10においては、注出ノズル23は泡用の注出ノズル23aと液用の注出ノズル23bとからなるが、本発明はこれに限られるものでなく、1つの注出ノズル23から液状態及び泡状態の発泡性飲料を注出するようにしたものであってもよく、このようにしたときにも上述したのと同様の作用効果を得ることができる。また、ソフトドリンクのように発泡性のない飲料を注出するときであれば、注出ノズル23の弁機構部21aを液用にのみ開放させるようするのが好ましい。
【0037】
上記のように構成した飲料自動注出装置10においては、受台傾動装置40により容器受台装置30の傾動基板31を起立姿勢から傾斜姿勢とすることで、受台32に載置した容器を起立姿勢から傾斜姿勢に傾斜させて、注出コック20から飲料を自動注出するようにしたが、本発明はこれに限られるものでなく、受台32に載置した容器を傾斜姿勢に傾斜させることなく、注出コックから飲料を自動注出するようにしたものであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
10…飲料自動注出装置、11…装置本体、20…注出コック、21a…弁機構部、24…コック操作装置(コック駆動装置)、50…制御装置、60…操作パネル、61…自動注出操作ボタン、63…注出条件設定ボタン(切替ボタン)、64…注出条件設定ボタン(設定ボタン)、65…非自動注出操作ボタン(泡注出ボタン)、66…液注出ボタン(非自動注出操作ボタン)、67…表示部、68…カバー。
図1
図2
図3