(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の発振回路は、周波数設定信号に応じた周波数で周波数信号を出力するDDSを備え、前記DDSの出力に基づいて生成されるパルスを参照パルスとしてPLLにより内部クロック信号を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の発振装置。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話の移動体通信や地上放送システムなどの基地局などにおいては、高い周波数安定性が求められる。そのため例えば特許文献1に示すようなセシウム周波数標準発振器やルビジウム標準発振器等により発振された基準信号となる外部クロック信号を受信し、PLL(Phase Locked Loop)回路により、外部クロック信号の周波数と発振周波数の周波数とを同期させて周波数を安定させる発振装置が知られている。
更にまた例えば特許文献2に記載されているように基準周波数として例えばGPSから送信される周波数信号を外部クロック信号として用いた発振装置が知られている。
【0003】
ところでこのような外部クロック信号に基づいて動作する発振装置においては、環境条件の変化等により機器あるいは伝送路に不具合が生じた場合などに外部クロック信号が受信できなくなることがあり、外部クロック信号の通信が途絶えたときに、発振装置から出力する周波数信号を安定させる必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、その目的は外部から供給される外部クロック信号に基づいて動作する発振回路を含む発振装置において、外部クロック信号が途絶えたときにも周波数が安定している周波数信号を出力することができる発振装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発振装置は、基準信号に基づいてPLLにより周波数信号を出力する第1の発振回路と、
周波数設定値に応じた周波数で内部クロック信号である周波数信号を出力する第2の発振回路と、
外部から送られる外部クロック信号と前記内部クロック信号との間で前記基準信号を切り替えるために設けられ、外部クロック信号が送られているときには当該外部クロック信号を前記第1の発振回路に入力し、外部クロック信号が途絶えたときには前記内部クロック信号を前記第1の発振回路に入力する切り替え部と、
前記外部クロック信号と前記第2の発振回路から出力された周波数信号との周波数差に対応する差分値を求める周波数差検出部と、
前記周波数差検出部により求められた差分値の時系列データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された差分値の時系列データ
及び予め決めた基準時からの経過時間に基づいて、前記第2の発振回路から出力される周波数信号の周波数の経時変化を予測し、当該周波数の経時変化を相殺するための周波数設定信号の補正値を求める補正値算出部と、
前記外部クロック信号が途絶えたときに、前記周波数設定値に補正値を加えるための加算部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また本発明の発振装置は、前記補正値算出部は、
前記時系列データに基づいて前記周波数の経時変化を指数関数を含む関数として近似し、近似された前記関数と予め決めた基準時からの経過時間とに基づいて
前記周波数信号の周波数を予測し、前記補正値を算出してもよく、前記周波数の経時変化の予測は、予め決められた時間の長さ分の前記差分値の時系列データが順次用いられてもよい。更に前記第2の発振回路は、周波数設定信号に応じた周波数で周波数信号を出力するDDSを備え、前記DDSの出力に基づいて生成されるパルスを参照パルスとしてPLLにより内部クロック信号を出力するように構成されていることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、外部から供給される外部クロック信号、例えばGPSから送信される外部クロック信号に同期させて周波数信号を出力する発振回路(第1の発振回路)を含む発振装置において、外部クロック信号が途絶えたときに代わりに用いる内部クロック信号を発生させる発振回路(第2の発振回路)を設けている。そして、外部クロック信号と前記第2の発振回路から出力された周波数信号との周波数差に対応する差分値の時系列データを取得して予測した、第2の発振回路から出力される周波数信号の周波数の経時変化に基づいて第2の発振回路の周波数設定値を補正している。従って外部クロック信号が途絶えた場合においても周波数が安定した周波数信号(発振装置の出力信号)が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の発振装置の実施形態を示すブロック図である。発振装置は、基準信号に従って、発振周波数を出力するように構成された第1の発振回路1を備えている。
図2に示すように第1の発振回路1は、例えば周波数を出力するための電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)10と、VCO10の発振出力を分周、例えば分周比が1/(4.0×10
7)に設定された分周回路11と、切り替え部30を介して入力される周波数信号と分周回路11からの周波数信号の位相とを比較して差分を取り出す位相比較回路12と、チャージポンプ13と、ループフィルタ14と、を備えている。第1の発振回路1は、VCO10の出力を分周回路11にて分周した後、位相比較回路12にて位相差信号を求め、位相差信号をチャージポンプ13を介して、ループフィルタ14により積分し、VCO10に入力するPLL回路として構成されている。
【0011】
また
図1に示すように第1の発振回路1に入力される基準信号は、GPSから受信される外部クロック信号である1Hzの周波数信号と、第2の発振回路2から出力される40MHzの周波数信号を分周回路31により1/(4.0×10
7)に変換した周波数信号と、の間で切り替え部30により切り替えられるように構成されている。
図3に示すように第2の発振回路2は、第1の発振回路1と同様に、位相比較回路22、チャージポンプ23、ループフィルタ24、VCO20及び分周回路21で構成されるPLL回路を構成しており、後述する加算部6から出力される周波数設定信号(周波数設定値)をDDS(Direct Digital Synthesizer)回路部25に入力し、DDS回路部25から出力された周波数信号が、位相比較回路22に参照信号(上記の基準信号との混同を避けるため「参照信号」という用語を用いる)として入力される。
【0012】
GPSから受信される1Hzの周波数信号(GPS信号)は、逓倍回路部32にて40MHzに逓倍された後、周波数差検出部3に入力される。周波数差検出部3は、GPSから受信される1Hzの周波数信号を例えば40MHzに逓倍した周波数信号f1と第2の発振回路2の周波数信号f2とを各々カウントするカウンタと、周波数信号f1の周波数と周波数信号f2の周波数との差分値に対応する値である周波数の変化率を計測する計測部と、により構成されている。ここで周波数の変化率とは、(f1−f2)/f1の値であり、f1は経時変化を伴わないことから、この値はf1に対するf2の変化率ということができる。しかしながら説明の便宜上、以後の記載において、(f1−f2)/f1の値を「周波数差」と称して説明する場合がある。なお記載の煩雑化を避けるために周波数信号f1の周波数及び周波数信号f2の周波数をf1、f2と記載する場合がある。周波数差検出部3にて求められた周波数差は、補正値算出部である経時変化補正部4に入力される。
【0013】
また発振装置は、GPSから送信されているGPS信号が受信できているか否かを検出し、GPS信号の受信の有無を示す1ビットの信号を経時変化補正部4に出力するGPS検出部5を備えている。GPS検出部5は、GPS信号を受信しているときには、例えば論理「1」の1ビットの信号を出力し、GPS信号を受信していないときには、論理「0」の1ビットの信号を出力する。
既述の切り替え部30は、GPS検出部5からの検出信号が論理「1」のときには、GPS信号の信号ラインに切り替えられ、GPS検出部5からの検出信号が論理「0」のときには、第2の発振回路2の出力側に切替えられるように構成されている。切り替えるための回路構成としては、GPS検出部5からの検出信号が後述の制御部(コンピュータ)に送られてこの制御部から切り替え信号が切り替え部30に出力されるように構成してもよいし、あるいはGPS検出部5からの検出信号により直接切り替え部30が切り替えられるように構成してもよい。
【0014】
経時変化補正部4は、例えばコンピュータから構成される制御部の一部として構成され、第2の発振回路2の発振開始後の発振の経過時間を計測する経過時間計測部41と、経時変化補正値を求めるための補正値算出プログラム42と、補正値算出プログラム42(詳しくは、補正値算出プログラム42を格納したプログラム格納部を備えているが、便宜上補正値算出プログラム42として記載する)を実行するためのCPU43と、記憶部であるメモリ44と、を備えている。40は、バスである。
【0015】
メモリ44は、周波数差検出部3において算出された、既述の(f1−f2)/f1の周波数差のデータを例えば30分おきに24時間分書き込めるように構成されている。またメモリ44は、24時間分の周波数差のデータを書き込んだ以後は、古いデータを順に削除し、最新のデータから24時間前のデータまでを記録しておくように構成されている。
【0016】
続いて補正値算出プログラム42について説明する。GPS信号の周波数は正確に1Hzであるため、周波数差検出部3にて求められる周波数差は、第2の発振回路2の発振周波数の経時変化に起因しているということができる。
図4は、第2の発振回路2から出力される周波数信号の周波数f2の経時変化を補正しない場合において、第2の発振回路2の電源を投入した後の経過時間と既述の周波数差((f1−f2)/f1)との関係をイメージとして示すものである。この関係は、上記の経過時間をtとすると、(1)式で近似される。
((f1−f2)/f1)=A1×(1−exp(−t/τ1))+A2×(1−exp(−t/τ2))+A3×t・・・(1)式
【0017】
そして補正値算出プログラム42は、例えば電源投入時(t=0)から24時間が経過した後、メモリ44に記憶されている24時間分の差分値のデータに基づいて指数関数を求める。具体的には、(1)式の定数A1〜A3、τ1及びτ2を求め、求めた定数A1〜A3、τ1及びτ2を当てはめた(1)式がメモリ44に記憶される。上述のように周波数差検出部3にて求められる周波数差は、第2の発振回路2の発振周波数の経時変化に起因するため、第2の発振回路2の発振周波数の経時変化を指数関数を含む関数で近似することと、周波数差((f1−f2)/f1)を指数関数を含む関数で近似することと、は、実質的に同じであると言える。
【0018】
さらにGPS検出部5から経時変化補正部4にGPS信号が途切れたことを伝える1ビットの信号が入力されると、補正値算出プログラム42は、メモリ44に記憶された(1)式と、経過時間計測部41により計測された経過時間とにより、当該経過時間における周波数差を演算する。
周波数差は経過時間に伴って大きくなっていくことから、この例では第2の発振回路2から出力される周波数信号の周波数f2は経時変化に伴って小さくなっている。そこでDDS回路部25から出力される、第2の発振回路2のPLLにおける参照信号の周波数を高くするように、DDS回路部25に入力される周波数設定値を大きくするように補正することにより、補正後におけるf2は高くなる。周波数f2が40MHzよりどれだけ低い時に、DDS回路部25に入力される周波数設定値をどれだけ大きくすればよいかは事前に分かっているので、補正値算出プログラム42は、周波数差検出部3において検出された周波数差に基づいて、周波数設定値の補正値(経時変化補正値)を求めることができ、求めた補正値が加算部6に出力される。
【0019】
加算部6は、経時変化補正部4から出力される経時変化補正値を、例えば外部のパーソナルコンピュータによりレジスタに設定された周波数設定値に加算し、補正された周波数設定信号を第2の発振回路2のPLLの参照信号を生成するDDS回路部25に出力する。周波数設定値は、例えば第2の発振回路2から出力される周波数信号の周波数に対応した設定値であり、例えばDDS回路部25から出力されるパルスの周波数を設定するための電圧値である。
【0020】
続いて上述の実施形態の作用について説明する。今発振装置がGPS信号を受信しているとすると、GPS検出部5からGPS信号の受信に相当する論理「1」の1ビットの信号が出力される。従って切り替え部30は
図1の状態になっており、GPS信号である1Hzの外部クロックが第1の発振回路1に基準信号として供給され、分周回路11の分周比が1/(4.0×10
7)に設定されているため、40MHzの周波数信号を出力する。
【0021】
この時経時変化補正部4からは、経時変化補正値は出力されないため、加算部6に入力された周波数設定値が、第2の発振回路2に入力され、例えば40MHzの周波数信号f1を出力する。そして周波数差検出部3において、GPS信号を4.0×10
7に逓倍した周波数信号の周波数f1と、第2の発振回路2から出力される周波数信号の周波数f2と、の周波数差((f1−f2)/f1)が演算され、例えば24ビットの信号として経時変化補正部4に入力される。経時変化補正部4においては、既述の周波数差が例えば30分ごとにメモリ44に書き込まれ、発振装置の電源投入時からの経過時間と対応させた24時間分の時系列データが作成される。そして周波数差が書き込まれる度に、周波数差の経時変化を示す既述の(1)式である近似式を求めてメモリ44に記憶する。さらに例えば
図4中の時刻t0にて、GPS信号が途絶えたとすると、GPS検出部5から論理「0」の1ビットの信号が出力される。これにより経時変化補正部4は、基準時、例えば発振装置の電源投入時からの現在の経過時間を(1)式に代入して、
図4のグラフにおけるt0における周波数差((f1−f2)/f1)の予測値を求める。更に当該周波数差の予測値から経時変化補正値を演算し、加算部6に出力して、周波数設定値を補正する。
【0022】
例えば周波数差の予測値からt0における((f1−f2)/f1)の予測値を求め、この予測値の符号を正負逆にした値に所定の係数を掛けて経時変化補正値が算出される。更に論理「0」の1ビットの信号を受信したことから、切り替え部30が
図1の状態から第2の発振回路2の出力側に切り替えられる。従って、第1の発振回路1には、第2の発振回路2から出力される周波数信号の周波数f2が分周回路31により1/(4.0×10
7)に分周されて1Hzの周波数信号となって入力される。そして第1の発振回路1から40MHzの周波数信号を出力する。
【0023】
その後、GPS信号が途絶えている間は、例えば1時間ごとに、(1)式から予測される、その時の時刻における周波数差が求められ、この周波数差に基づいて周波数設定値の補正値が算出されて加算部6に出力される。そしてGPS信号が回復すると、GPS検出部5からGPS信号の受信に相当する論理「1」の1ビットの信号が出力される。従って切り替え部30は
図1の状態に戻り、GPS信号である1Hzの外部クロック信号が第1の発振回路1に基準信号として供給される。
【0024】
上述の実施の形態によれば、GPSから送信される外部クロック信号に周波数を同期させた周波数信号を出力する発振装置において、GPS信号が途絶えたときに代わりに用いる内部クロック信号を発生させる第2の発振回路2を設けている。そして、GPS信号と第2の発振回路2から出力された周波数信号との周波数差に対応する差分値の時系列データを取得して近似式を求め、当該近似式と経過時間とにより、第2の発振回路2から出力される周波数信号の周波数の経時変化を予測し、第2の発振回路2の周波数設定値を補正している。従ってGPS信号が途絶えた場合において、第2の発振回路2から出力された周波数信号を第1の発振回路1の内部クロック信号として用いたときに、第2の発振回路2の経時変化による内部クロック信号の誤差が相殺されるため、第1の発振回路1の出力する周波数信号が安定する。
【0025】
また第2の発振回路2は、制御電圧あるいは電源電圧を調整することにより発振周波数を制御することができる回路、例えば水晶振動子を用いたコルピッツ回路であってもよい。この場合には、制御電圧等が周波数設定値に相当する。
またDDS回路部25の周波数設定値がアナログ電圧値である場合には、加算部6の後段にA/D変換器を設ければよい。さらに外部クロック信号は、セシウム周波数標準発振器やルビジウム標準発振器であってもよい。
またメモリ44は、30分ごとに取得した30日分のデータを記憶してもよく、30日分のデータを用いて(1)式を求めるようにしてもよい。