(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記本体の左方または右方に隣接するように機械室が設けられ、前記冷却ユニットにおける前記機械室側の側面に、前記機械室と前記冷却器とを結ぶ配管が接続されるとともに、
前記冷却ユニットにおいて、前記枠体に取付けられる部品が、前記機械室とは逆側の側面に取り外し可能な固定手段により取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような構造では、鉛直枠の後方に取付けられる冷却器、庫内ファン、シーズヒータ等の機能部品が、本体内面に設置されたブラケット等を介して個々に取り付けられる構造となっており、冷却貯蔵庫の製造時や冷却器等の機能部品のメンテナンス時には、作業者が狭い本体内に上半身を押し込みながら、各部品の着脱作業を個々に行う必要があった。よって、作業性が非常に悪く、作業工数が大きいのに加え、工具等によって製品や部品にキズ等を生じることも多く、改善が望まれていた。
【0005】
本明細書は、上記状況に鑑み、本体内のスペースを有効活用しつつ、製造時や、冷却器等の機能部品のメンテナンス時の作業性にも優れた冷却貯蔵庫を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される冷却貯蔵庫は、断熱箱体からなる本体と、前記本体内に形成される複数の貯蔵空間とを備え、前記複数の貯蔵空間の境界部分に、冷却器を含む複数の部品を一体化した冷却ユニットが着脱可能に取り付けられることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、冷却器等の複数の部品を、貯蔵空間の境界部分に取り付けることで、本体内のスペースを有効活用でき、しかも複数の部品を冷却ユニットとして一体化し着脱可能にしたことで、複数の部品を冷却ユニットとして本体外で組み付けてから、本体に取り付けることができる。よって、作業者が本体内に身体を押し込みつつ行わなければならない作業を、格段に減らすことができる。この結果、作業負担が軽減されるとともに、冷却ユニットを構成する各部品を楽な体勢で組み付け可能となって、各部品の組付品質も向上する。また、部品の組付け時に、本体や各部品等にキズ等を生ずるリスクも低下し、製品品質の向上につながる。さらに、製造時には、本体に係るその他の作業の進行状況と関わりなく冷却ユニットを作製でき、外注生産等も可能となる。
【0008】
また、本明細書によって開示される冷却貯蔵庫は、前記複数の貯蔵空間が、前記境界部分を挟んで前記本体内に左右横並びに形成されるものを含み、前記冷却ユニットが、枠体と、前記枠体内の上部に取付けられる2つの庫内ファンと、を備え、前記冷却器は、前記枠体内において前記庫内ファンの下方に取付けられているものとすることができる。このような構成によれば、冷却ユニット内において庫内ファンと冷却器とを上下に並べたことで、冷気流通経路に配慮しつつ、鉛直方向の境界部分に冷却ユニットを配することができる。
【0009】
また、本明細書によって開示される冷却貯蔵庫は、前記枠体が、前板、上板、後板を備えて下側を開放する形にて構成され、前記冷却ユニットは、前記庫内ファンおよび前記冷却器を間に挟んで、枠体の左側面および右側面に取付けられる2枚の側面板、を備え、前記2つの庫内ファンのうち、一方が左方を、他方が右方を、吹出し方向とするように取り付けられるとともに、前記2枚の側面板において前記2つの庫内ファンの吹出し方向正面に対応する位置には、それぞれ冷気吹出口が設けられているものとすることができる。この場合、冷却ユニットの下方を除く外郭が、枠体と側面板とで覆われることによって、冷気吹出口から吹出された冷気が貯蔵空間内を循環せずに冷却器に取り込まれるショートサイクルの発生を防止できる。すなわち、左右の貯蔵空間内の空気は、冷却ユニットにおいて開放されている下方から吸込まれ、共通の冷却器で冷却された後に、2つのファンにより、左右側面板に設けられた冷気吹出口を通じて、左右の貯蔵空間の上方に吹出される。上方から吹出された冷気は、自然対流に従って下方に流下しつつ各貯蔵空間内の温度を低下させる。放冷された空気は、各貯蔵空間の下方から冷却ユニット内に吸い込まれ、再び冷却される。このように、枠体および側面板に、部品取付部材、冷気案内部材、ショートサイクル防止部材としての機能を持たせることができる。この結果、部品点数を削減しつつ、効率よく左右両方の貯蔵空間を冷却することができる。
【0010】
また、本明細書によって開示される冷却貯蔵庫は、前記冷却ユニットにおける前記冷却器の下方に除霜ヒータが取り付けられる一方、前記2枚の側面板の外面下部に、樹脂製のカバーが取り付けられている構成としてもよい。
【0011】
貯蔵空間の境界部分に配される冷却ユニットを、除霜ヒータを備えて冷却器の除霜を行う構成とすると、除霜ヒータと貯蔵空間との距離が近く、除霜ヒータの輻射熱が貯蔵空間の室温に影響を与え易いため、庫内収容物への悪影響や冷却能力不足が懸念される。そこで、上記構成のように、冷却ユニットの除霜ヒータ配設部分と、貯蔵空間との間に、熱伝導率の低い樹脂製のカバーを取り付けることで、除霜ヒータの貯蔵空間への影響を低減できる。
【0012】
また、本明細書によって開示される冷却貯蔵庫は、前記本体の左方または右方に隣接するように機械室が設けられ、前記冷却ユニットにおける前記機械室側の側面に、前記機械室と前記冷却器とを結ぶ配管が接続される構成としてもよい。ここで、前記冷却ユニットにおいて、前記枠体に取付けられる部品は、前記機械室とは逆側の側面に取り外し可能な固定手段により取り付けられることが好ましい。
【0013】
機械室が本体の片側側方に設けられ、冷却ユニット内の冷却器と機械室内の冷凍装置とが配管によって接続される構成の冷却貯蔵庫では、配管が接続される機械室側から冷却ユニットのメンテナンスを行うことは、容易ではない。上記構成のように、機械室とは逆側(反対面側)から、冷却ユニット内の部品を取り付け或いは取り外す構成とすれば、反対面側の側面板を取り外し、比較的容易に各部品を脱着して修理や交換等を行うことができる。また、各部品を、個々に枠体に取付ける構成とすれば、メンテナンスが必要な部品だけを取り外すことができる。
【0014】
また、本明細書によって開示される冷却貯蔵庫は、前記冷却ユニットにおいて、前記冷却器が備えるUベンド管が、前記枠体の前板の後面に臨んで設けられるベンド空間内に配され、前記庫内ファンおよび前記冷却器に接続されるリード線が、前記ベンド空間内に配線されている構成としてもよい。
【0015】
上記構成によれば、冷却ユニットに組み付けられる各部品の配線・配策を、枠体内のベンド空間で行うことができる。すなわち、冷却ユニットを本体から脱着した状態で各部品の配線ができるため、配線作業が容易となり、作業時間の短縮、作業負担の軽減、品質の向上および安定化等の効果が得られる。また、各部品に接続されるリード線を、枠体の内部構造に這わせるように配線してベンド空間内にまとめれば、側面板を取り付ける際に挟み込む等してリード線が切断したり、リード線が引っ張られて部品が破損したり、といった事態を回避できる。
【0016】
また、本明細書によって開示される冷却貯蔵庫は、前記本体が前面に開口を備えた箱体からなり、前記本体内の天面に、前記冷却ユニットを吊り下げた状態に保持するユニット取付板が設けられている構成としてもよい。
【0017】
上記構成によれば、前面開口型の本体内に、天面から吊り下げられた状態で冷却ユニットが固定されることで、冷却ユニットの下方空間を有効活用できる。そして、冷却ユニット下部の構成に関わりなく、冷却ユニットを容易に着脱することができる。
【0018】
また、本明細書によって開示される冷却貯蔵庫は、前記ユニット取付板に取り付けられた前記冷却ユニットの下方に、ドレンパンが取り付けられている構成としてもよい。
【0019】
上記構成によれば、吊り下げられた冷却ユニットの下方に、別体とされたドレンパンを配することで、冷却ユニットの着脱を妨げることなく、冷却器を覆うカバーや枠体等に生じた結露水を適切に受け止めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本明細書によって開示される技術によれば、本体内のスペースを有効活用しつつ、製造時や、冷却ユニットのメンテナンス時の作業性にも優れた冷却貯蔵庫を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を、
図1から
図15に基づいて説明する。なお、以下では、
図1における左側を左(右側を右)、前側を前(奥側を奥または後)、上側を上(下側を下)とする。
【0023】
まず、本実施形態の冷却貯蔵庫の全体構造について、
図1から
図3を参照しつつ説明する。
図1および
図2に示すように、本実施形態に係る冷却貯蔵庫1はドロワ型の冷却貯蔵庫であって、前面に開口を有する背の低い横長の断熱箱体からなる本体2の内部が貯蔵室3とされ、4本の脚で支持されている。
【0024】
図2に示すように、本体2前面の開口5には、左右方向の中央に鉛直方向に配設される仕切枠(鉛直枠)6が、上下方向の中央に水平な仕切枠(水平枠)7が、それぞれ着脱可能に装着されて、上下並びに左右の4個の出入口8が形成され、各出入口8の奥側に対応して4個の貯蔵空間4が設けられる。
図2および
図3には示されていないが、各貯蔵空間4には、奥行き方向に沿ったガイドレールが設置され、
図1に示すような前面に扉を備えた引出し9がガイドレールに沿って出し入れ可能に設けられて、各引出しに食材等を収納する図示しない収納ボックスが載置されるようになっている。
【0025】
図3等に示すように、鉛直枠6の後方(すなわち貯蔵空間4の境界部分)に、冷却ユニット10が配設される。冷却ユニット10は、貯蔵室3の後面との間に間隔を空けて配設されており、左右の貯蔵空間4は後部において互いに連通している。
【0026】
一方、
図3等に示すように、本体2の左側には機械室100が設けられ、その中に、圧縮機101、凝縮器102等からなる凝縮ユニット110が設置されている。この凝縮ユニット110と冷却ユニット10内の後述する冷却器40とが、
図11等に示すように冷媒配管11で接続されて、周知の冷凍サイクルが構成されており、この冷凍サイクルを制御運転することにより、各貯蔵空間4を含む貯蔵室3内が略一定の冷却温度に維持されるようになっている。なお、本体2と機械室100の天井面にわたって天板103が張られている。
【0027】
次に、本実施形態に係る冷却ユニット10について、説明する。
図4および
図5に示すように、冷却ユニット10は、略コの字型の概形をなすように形成された枠体20の内方に、2つの庫内ファン30A,30Bと、冷却器40と、除霜ヒータ51(
図13)を取り付けるためのヒータブラケット50が装着され、これらを挟むように枠体20の左右両側面に2枚の側面板60(左側面板60Lおよび右側面板60R)が取り付けられて構成される。また側面板60の下部には、それぞれ樹脂製のカバー70が取り付けられる。
【0028】
枠体20は、
図6等に示すような形状のものであって、上板22と、後板23と、アングル状の右前枠21に上下方向の中央部に開口を形成するように取り付けられる上前板24および下前板25と、を備えて、下方および左右側方に開放するように形成されている。
【0029】
図7に示すように、枠体20の後板23上部には、左右方向に延びて前後方向に貫通する嵌合スリット232が設けられている。嵌合スリット232は、後述するユニット取付板80の突起部84と嵌合するもので、上下縁が前方に向けて傾斜する傾斜面をなして、突起部84を受け入れ易くなっている。
また、
図6等に示されているように、枠体20の下前板25には、後述する側面板60やレールマウント14をネジ止めするためのネジ取付孔が形成されているとともに、下端が後方に向けて傾斜するように折り曲げられて、傾斜部251が形成されている。
【0030】
図5等に示すように、枠体20内の上部には、2つの庫内ファン30A,30Bが装着される。枠体20内における上板22の下面には、前寄り、中央、および後寄りの位置から、鉛直板261,262,263が、下方に向けて所定寸法だけ垂下するように付設されている。そして、鉛直板261と鉛直板262、および鉛直板262と鉛直板263の下端が、水平板271および水平板272(
図4)によってそれぞれ接続されて、前後に2つの矩形枠が連接された形状のファンシュラウド28が形成されている。中央に設けられた鉛直板262は、2つの矩形枠で共有され、仕切板として機能する。また、各矩形枠の四隅角部には、ネジ取付孔を備えた取付片29が設けられている。庫内ファン30A,30Bは、
図4等に示すように、右側からファンシュラウド28内に嵌め込まれ、隅部を取付片29に当接させた状態で、右側からネジ19を留めつけることにより、枠体20に装着される。なお、2つの矩形枠において下枠を形成する水平板271,272、並びに、各矩形枠の取付片29は、互いに左右方向にシフトした位置に配されており、2つの矩形枠内に配される庫内ファン30のうち、前側の庫内ファン30Aが右方を、後側の庫内ファン30Bが左方を、それぞれ吹き出し方向として装着されるようになっている。
【0031】
図4等に示すように、枠体20内におけるファンシュラウド28の下方には、冷却器40が装着される。冷却器40は、
図5および
図14に示すように、前後両側にエンドプレート41が配され、蒸発管42が、エンドプレート41を貫通しつつ蛇行状に配管されて、全体としてブロック状に形成されている。蒸発管42は、エンドプレート41の外側(前側または後側)においてU字型に曲げられ、Uベンド管42Uを形成している。他方、
図4および
図6等に示すように、枠体20において、アングル状の右前枠21は、前縁部211と右縁部212とを備えており、また後板23の右側端には、前方に曲げられた後板フランジ231が形成されている。冷却器40は、
図5に示すように、左側から枠体20内に嵌め込まれ、
図4に示すように、エンドプレート41を、右前枠21の右縁部212および後板23の後板フランジ231にそれぞれ当接させた状態で、右側からネジ19を留めつけることにより、枠体20に装着される。枠体20は、左右方向の幅が冷却器40の同幅とほぼ等しく、前後方向の奥行が冷却器40の同奥行よりも長く寸法設定されており、冷却器40は、前および後に所定のクリアランスを形成しつつ枠体20内に装着される。
図14にも示すように、冷却器40のエンドプレート41と、枠体20の上前板24および下前板25、並びに後板23との間に形成されるベンド空間Sに、前述のUベンド管42Uが配される。なお、
図14および
図15に示すように、前側のベンド空間S内には、庫内ファン30A,30B、冷却器40、および後述する除霜ヒータ51、サーミスタ57等に接続されるリード線13がまとめて配線される。リード線13は、下前板25後方の通路259、前枠21に設けられた切欠状の通路219、ファンシュラウド28に設けられた切欠状の通路289等を配線用通路として枠体20に沿って配線され、冷却器40等の右側面側を回り込むようにして各部品に接続される。
【0032】
図4等に示すように、冷却器40の下方には、除霜ヒータ51を取り付けるためのヒータブラケット50が装着される。ヒータブラケット50は、前後方向の奥行が、冷却器40のエンドプレート41の間隔よりも短く、左右方向の幅が、冷却器40の左右方向の幅とほぼ同じ寸法に形成されている。ヒータブラケット50の上面は、前後方向に延びる左右両側縁部52の間に、同じく前後方向に延びる2本の桁部53が配され、これらが前後両縁部54で接続された梯子状をなしており、
図13に示すように、2本の桁部53の下面に棒状の除霜ヒータ51が取り付けられるようになっている。ヒータブラケット50の右側の側縁部52には、取付フランジ55が、上方に突出しつつ前後に張り出すように形成されている。他方、
図4等に示すように、冷却器40のエンドプレート41の下端部は、ネジ取付孔を備えて、前述の後板23の後板フランジ231、および右前枠21の右縁部212の下端から下方に突出するようにされている。ヒータブラケット50は、
図4に示すように、右側から枠体20内に嵌め込まれ、取付フランジ55をエンドプレート41の下端部に当接させた状態で、右側からネジ19で留めつけることにより、冷却器40に装着される。
【0033】
図4および
図5に示すように、枠体20の左右両側面には、前述の庫内ファン30A,30B、冷却器40、およびヒータブラケット50を間に挟んで、2枚の側面板60(60L,60R)が取り付けられる。側面板60は、
図4および
図5に示すように、いずれも枠体20の両側面をほぼ緊密に閉塞する寸法形状の板材であって、庫内ファン30A,30Bの吹き出し正面に対応する位置、すなわち、左側面板60Lにおいては前側上部、右側面板60Rにおいては後側上部に、細い複数のスリットと細孔からなる冷気吹出口61が形成されている。また、後端部の各2箇所に、係止切欠64が設けられている。他方、
図5等に示すように、枠体20の後板23の左縁部、および後板フランジ231の後端部には、各2箇所に係止片233が突設されている。両側面板60は、
図7にも示すように、枠体20の外側に当接させて前方からスライドされ、係止片233の基端部を前述の係止切欠64で逃がしつつ、係止片233の内側に両側面板60を嵌め込み係止させることにより、その後部が枠体20に取付けられる。一方、両側面板60の前部には、前端部62が段差状に形成されており、両側面板60は、前述のように後部を係止させた状態で、前端部62を外側からネジ止めすることにより、枠体20に取付けられる。
左側面板60Lの前端部62の高さ方向中央付近には、後述する冷媒配管11等を通すための切欠63が形成されている。また、両側面板60の下端中央部は、下方において互いに近接するように折り曲げられて、傾斜部65が形成されている。なお、傾斜部65は、
図13に示すように、その下端部が、除霜ヒータ51の下端よりも下方に位置するように設けられている。
図5に示すように、左側面板60Lの傾斜部65における前後方向中央部には、除霜ヒータ51への通電を制御するための温度ヒューズ56と、サーミスタ57とが、ブラケット58を介して装着されるようになっている。
【0034】
図4および
図5に示すように、両側面板60の下部には、カバー70が取り付けられる。カバー70は、前後方向に延びる樹脂製の帯状部材であって、面一となるように形成された上縁、前縁、後縁に対して、下端が外側に向けて膨出するような形状に形成されている。カバー70の前後方向における中央部には、複数の細孔からなる吸込口71が形成されている。カバー70は、上縁、前縁、後縁を両側面板60の下部に当接させて、外側からネジ止めすることによって、両側面板60に取付けられる。
【0035】
続いて、貯蔵室3内における冷却ユニット10の配設について説明する。
貯蔵室3への冷却ユニット10の配設に先立って、
図8に示すように、貯蔵室3の天面301において冷却ユニット10が配設される位置に、ユニット取付板80が固着される。ユニット取付板80は、
図9に示すように、天面301に固着される矩形状の板材81の左右両側縁から垂下する案内壁82と、同後縁から垂下する後壁83と、後壁83の下端から前方に向けて突出する突起部84と、を有する。ユニット取付板80は、板材81を貯蔵室3の天面301に当接させて、板材81の四隅にネジ19を下側から留めつけることにより、貯蔵室3内に固着される。左右両案内壁82は、中央部における垂下長よりも前部と後部における垂下長が大きくなるように形成されており、前部には挿通孔85が形成され、後部は後壁83に接続されている。突起部84は、後壁83の左右方向の中央であって、前述の枠体20の後板23上部に設けられた嵌合スリット232に対応する位置に設けられている。
【0036】
冷却ユニット10を貯蔵室3内に配設する際には、
図8に示すように、前面の開口5から冷却ユニット10を挿入し、貯蔵室3の天面301に固着されたユニット取付板80の左右の案内壁82の間に差し込んで、左右両側面を案内壁82に沿わせながら冷却ユニット10を貯蔵室3の奥側へとスライドさせ、後板23がユニット取付板80の後壁83に当接するまで押し込む。この結果、
図10に示すように、ユニット取付板80の突起部84が、枠体20の後板23に形成された嵌合スリット232内に嵌め込まれて、冷却ユニット10の後部が貯蔵室3内に固定される。そして、冷却ユニット10の前部は、案内壁82の前部に設けられた挿通孔85と、枠体20の前部に設けられたネジ取付孔とを整合させて、外側からネジ止めされる。この結果、冷却ユニット10は、左右両側面の上部が案内壁82によって当接保持された状態で、貯蔵室3の天面301に吊り下げ固定される。さらに、冷却ユニット10の前部下側は、
図12に示すように、冷却ユニット10の前方において本体2に取付けられるレールマウント14に、ネジ19を留めつけることによって、しっかりと固定される。
【0037】
図11に示すように、貯蔵室3の底面302における冷却ユニット10下方には、ドレンパン90が取り付けられる。ドレンパン90は、
図14等にも示すように、浅型皿状の部材であって、その底面から左右両側に突出する計4片の突片91を底面302にネジ止めすることで、やや前下がりとなるように貯蔵室3内に取り付けられる。なお、前述のように、冷却ユニット10の側面板60および下前板25の下端部には、傾斜部65および傾斜部251が形成されており、これらの傾斜部の下端は、
図13および
図14に示すように、ドレンパン90の側壁内側の上方に位置するように設定されている。他方、
図13に示すように、側面板60に取付けられたカバー70の下端は、ドレンパン90の側壁よりも外側(貯蔵空間4側)に配置されている。
【0038】
次に、冷却ユニット10と機械室100の間の配管について説明する。冷却器40に出し入れされる冷媒配管11は、冷却ユニット10の前側で溶接接続される。
図11等に示すように、冷却器40と接続された冷媒配管11は、冷却ユニット10の前側において左側面板60Lの前端部62に形成された切欠63から左方に引き出され、貯蔵室3の前寄りの部分を通って開口5を横断し、貯蔵室3の左側面303に沿って屈曲して配管されて、左側面303の中央付近に形成された2つの配管通孔104から機械室100内に導入または導出されるようになっている。
【0039】
冷媒配管11は、断熱チューブ12で覆われ、貯蔵室3前面において、開口5に配される水平枠7の後方に配管される。
図12に示すように、貯蔵室3内に取付けられた冷却ユニット10の前面には、引出し9を案内するガイドレールを取り付けるための2本のレールマウント14が配され、ネジ19により下前板25にネジ止めされるとともに、
図3に示すように、貯蔵室3の底面302にネジ止め固着される。なお、
図3に示すように、貯蔵室3の左側面303の前縁部分にも、左側面側レールマウント16が取り付けられており、冷却ユニット10の前面に取付けられたレールマウント14のうち左側に配されるレールマウント14と、左側面側レールマウント16との間に、配管カバー15が水平に取り付けられる。配管カバー15は、前面に開口する断面コの字型のチャンネル状に形成されており、
図12に示すように、このチャンネル内に断熱チューブ12が嵌め込まれるようになっている。そして、
図3に示すように、レールマウント14の前方に鉛直枠6が、配管カバー15の前方に水平枠7が、それぞれ配設されることにより、引出し9の出し入れを妨げることなく配管されるようになっている。なお、
図2および
図3に示すように、貯蔵室3の右側面304と鉛直枠6の間にも水平枠7が着脱可能に取り付けられ、
図1のように引出し9が出し入れ可能に装着される。
【0040】
続いて、冷却ユニット10を構成する部品のメンテナンス作業について説明する。最初に、貯蔵室3の右方に取付けられた水平枠7、および冷却ユニット10の右側面板60Rを取り外す。水平枠7は、本体2に着脱可能に取り付けられており、容易に取り外しできるようになっている。また、右側面板60Rは、前部のネジを外し、前方にスライドさせて後板23の係止片233との係合を外すことにより、容易に取り外すことができる。
庫内ファン30A,30Bおよび除霜ヒータ51のメンテナンスを行う場合には、冷却ユニット10の右側から、枠体20に庫内ファン30A,30Bまたはヒータブラケット50を固定しているネジ19を脱着して、枠体20の右側へ庫内ファン30A,30Bまたはヒータブラケット50を取り出し、必要に応じてリード線13の接続部を外す。
冷却器40のメンテナンスを行う場合には、配管カバー15を取り外した後、冷却ユニット10の左側面板60Lを取り外す。左側面板60Lは、前部のネジを外し、少し撓み変形させながら、後板23の係止片233との係合を係止切欠64から解除して、左方に取り外す。次に、冷却ユニット10の右側から、枠体20に冷却器40を固定しているネジ19を脱着して、機械室100との間を接続している冷媒配管11を少し湾曲させながら、枠体20の左側へ取り出し、必要に応じて溶接部分を外す。
なお、上記のように取り外され、修理や交換が行われた各部品は、上記とは逆の手順により、冷却ユニット10に組み付けられる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
本実施形態では、冷却器40等の複数の部品が、鉛直枠6の後方、すなわち各貯蔵空間4の境界部分に取り付けられることで、貯蔵室3内のスペースが有効に活用されている。しかも庫内ファン30A,30B、冷却器40、および除霜ヒータ51を取り付けるためのヒータブラケット50を、枠体20内に組み付けて冷却ユニット10として一体化し、冷却ユニット10ごと装着可能にしたことで、冷却ユニット10を組み付けてから、貯蔵室3内に取り付けできる。よって、作業者が貯蔵室3内に身体を押し込みつつ行わなければならない作業を、格段に減らすことができる。この結果、作業負担が軽減されるとともに、各部品を、枠体20内に楽な体勢で組み付け可能となることで、各部品の組付品質も向上する。また、部品の組付け時に、本体2や各部品等にキズ等を生ずるリスクも低下し、製品品質の向上につながる。さらに、製造時には、本体2に係るその他の作業の進行状況と関わりなく冷却ユニット10を作製でき、外注生産等も可能となる。
【0042】
また、本実施形態では、冷却ユニット10内において庫内ファン30A,30Bと冷却器40とを上下に並べたことで、冷気流通経路に配慮しつつ、鉛直枠6の後方に冷却ユニット10が配される。また、冷却ユニット10の下方を除く外郭が、枠体20と側面板60とで覆われることによって、冷気吹出口61から吹出された冷気が貯蔵室3内を循環せずに冷却器40に取り込まれるショートサイクルの発生を防止できる。すなわち、左右の貯蔵空間4内の空気は、冷却ユニット10のカバー70に設けられた左右の吸込口71から吸込まれ、共通の冷却器40で冷却された後に、2つの庫内ファン30A,30Bにより、左右側面板60L,60Rに設けられた冷気吹出口61を通じて、左右の貯蔵空間4の上方に吹出される。上方から吹出された冷気は、自然対流に従って下方に流下しつつ各貯蔵空間4内の温度を低下させる。放冷された空気は、各貯蔵空間4の下方から吸込口71を通って冷却ユニット10内に吸い込まれ、再び冷却される。このように、枠体20および側面板60が、部品取付部材、冷気案内部材、ショートサイクル防止部材として機能する。この結果、部品点数を削減しつつ、効率よく左右両方の貯蔵空間4を冷却できるものとなっている。
ここで、側面板60に傾斜部65を設けたことにより、庫内空気が確実に冷却器40の下側から吸い込まれることとなり、ショートサイクルの発生が一層着実に防止される。一方、傾斜部65とドレンパン90との距離を適切に調整することで、冷気の流量を確保できる。
【0043】
本実施形態では、冷却ユニット10に除霜ヒータ51を取り付けて冷却器40の除霜を行う構成としているが、除霜ヒータ51の配設部分と貯蔵室3との間に、熱伝導率の低い樹脂製のカバー70を取り付けたことで、除霜ヒータ51の貯蔵空間4への影響が低減されている。
さらに、側面板60の傾斜部65の下端を、除霜ヒータ51よりも下方に位置するように設定したため、傾斜部65によっても、除霜ヒータ51から貯蔵室3への熱伝導が遮られる。また、カバー70を、傾斜部65の外側に配置したため、除霜ヒータ51の輻射熱が樹脂製のカバー70に直接当たることがなくなり、樹脂の溶融も回避される。
【0044】
本実施形態に係る冷却貯蔵庫1は、本体2の左側に機械室100が設けられ、冷却ユニット10の左側に溶接接続された冷媒配管11が引き出される構成となっている。このため、冷却ユニット10の左側からはメンテナンス等の作業が行いにくく、また手間がかかる。そこで、本実施形態にかかる冷却ユニット10では、庫内ファン30A,30B、冷却器40、ヒータブラケット50が、いずれも右側からネジ止めされている。よって、冷却ユニット10の右側面板60Rを取り外し、右側からネジを脱着できる。特に、比較的部品寿命が短く、頻繁にメンテナンスが必要な庫内ファン30A,30Bおよび除霜ヒータ51は、冷却ユニット10の右側に取り外せる構造となっており、修理や交換等の作業負担が軽減される。一方、冷却器40は、機械室100に連結される冷媒配管11が左側から接続され溶接されるため、冷却ユニット10の左側に取り外されるようになっている。また、庫内ファン30A,30Bおよび冷却器40は、個々に枠体20に装着されているため、これらのメンテナンスが必要な場合には、対象部品だけを取り外すことができる。
【0045】
本実施形態によれば、庫内ファン30A,30Bや除霜ヒータ51等の各部品に接続されるリード線13が、枠体20内のベンド空間Sで配線・配策される。すなわち、冷却ユニット10を貯蔵室3に取付ける前に、各部品の配線を行うことができるため、配線作業が容易となり、作業時間の短縮、作業負担の軽減、品質の向上および安定化等の効果が得られる。また、各部品に接続されるリード線13は、枠体20の内部構造、すなわち前枠21やファンシュラウド28等に設けられた通路(配線用通路)259,219,289等に沿って配線され、枠体20内に保持されている。よって、側面板60を取り付ける際に挟み込む等してリード線13が切断されて漏電したり、リード線13が引っ張られて部品が破損したり、といった事態を回避できる。さらに、冷却ユニット10前部のベンド空間S内にリード線13をまとめたことで、これらと接続した電線を、そのまま冷媒配管11とともに左側面板60Lの切欠63から左方に引出して配線できる。また、ベンド空間Sを通したリード線13は、冷却ユニット10内においては、枠体20の右側面側を回り込むように各部品に接続したため、部品の取り外し時にリード線13が邪魔になることがなく、配線作業のやり直し等も容易に行うことができる。
【0046】
本実施形態によれば、冷却ユニット10は、ユニット取付板80を介して、貯蔵室3の天面301に吊り下げられた状態で固定される。よって、冷却ユニット10の下方空間を有効活用でき、冷却ユニット10下方の構成に関わりなく、冷却ユニット10を容易に着脱することができる。
また、冷却ユニット10は、ユニット取付板80の案内壁82により案内されて、後部は嵌合スリット232と、ユニット取付板80の突起部84との嵌合により固定される。よって、身体を貯蔵室3の奥まで入れ込んでネジ止め等の作業を行う必要がない。また、冷却ユニット10の左右両側面が、案内壁82の間に挟持されることで、ガタツキが防止される。
【0047】
本実施形態によれば、吊り下げられた冷却ユニット10の下方に、別体とされたドレンパン90を配することで、冷却ユニット10の着脱を妨げることなく、冷却器40を覆う枠体20や側面板60等に生じた結露水を、適切に受け止めることができる。
ここで、側面板60および下前板25の下端に、傾斜部65および傾斜部251を形成し、これらの下端をドレンパン90の側壁内側の上方に配したことで、冷却ユニット10の外郭内面に結露した水を、ドレンパン90内に確実に受け止めることができる。他方、側面板60に取付けられたカバー70の下端を、ドレンパン90の側壁よりも外側(貯蔵空間4側)に配置したことで、食材等の収容物がドレンパン90内に落下しないようにされている。
【0048】
<その他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は、上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0049】
(1)上記実施形態では、引出しを備えたドロワ型の冷却貯蔵庫について例示したが、これに限定されるものではなく、複数の貯蔵空間の開口が搖動開閉可能な複数の扉によって閉塞される構成の冷却貯蔵庫に本技術を適用してもよい。
(2)上記実施形態では、冷却ユニットの前面に鉛直枠を配設した構成について記載したが、冷却ユニットの枠体自体が、本体開口の仕切枠としての機能を備えた構成の冷却貯蔵庫に本技術を適用してもよい。また、上記実施形態では、水平枠の後方に冷媒配管を配設した構成について記載したが、冷媒配管は開口の上縁または下縁等に沿って配設される構成であってもよい。